JP4900253B2 - 運転補助装置 - Google Patents
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Description
隣接車線を走行する他車両の死角範囲内を走行していると、自車両の存在に気付いていない他車両の予期せぬ進路変更によって安全な走行が脅かされるかもしれない。不注意に進路変更した結果、自車両を追い抜こうとしている他車両の前方を遮るようなことになれば、安全に走行することが難しい。
しかしながら、隣接車線を走行する他車両の死角範囲を知ることは容易でない。隣接車線を走行する車両の型式は様々であり、大型車両や特殊車両等の死角範囲を知らない運転者が多く居る。
また他車両の運転者にとって避けきれない範囲は、他車両の車速に依存して変化する。しかしながら、追い抜こうとしている他車両の車速を正確に認識することは容易でなく、他車両の車速の認識を誤れば、意図せずに他車両の前方を遮る事態を発生させてしまう。
このような技術を活用すれば、隣接車線を走行する他車両の死角範囲を計算することはできる。
また非特許文献1から3に、自車両の周囲に存在している他車両を抽出してその位置を特定する技術が開示されている。それらの技術を活用すれば、隣接車線を走行する他車両の有無を判別し、他車両の車速を計算することができる。他車両の車速が計算できれば、他車両にとって避けきれない範囲を計算することができる。
現状の技術によって、他車両の死角範囲を計算することはできても、現状の技術では、それを知りたい運転者に知らせる方法がない。
本明細書では、第1車両の運転者の死角範囲(単に死角範囲ということがある)と、第1車両の運転者にとっては避けきれない範囲(単に避けきれない範囲ということがある)のいずれかまたは双方の範囲を第1車両の対処困難範囲という。死角範囲と避けきれない範囲の一方を描画することで有用な結果が得られることもあるし、死角範囲と避けきれない範囲のいずれか一方に属する範囲を描画することで有用な結果が得られることもある。
非特許文献1〜3の技術によって、自車両の視界内に他車両が存在するか否かを判別することができ、存在する場合にはその位置を特定することができる。それらの技術によって、隣接車線を走行する他車両の有無を判別する手段を構築することができる。
その場合は、自車両が他車両の対処困難範囲内に居るか否かを判別する手段を付加し、その判別手段が居ると判別したときに、車載式描画手段が前記範囲を路面に描画するようにする。あるいは、自車両が他車両の対処困難範囲に侵入するか否かを判別する手段を付加し、その判別手段が侵入すると判別したときに、車載式描画手段が前記範囲を路面に描画するようにしてもよい。
(特徴1) 特定出段が、運転者の死角範囲を特定する。
(特徴2) 特定手段が特定した範囲内を自車両が走行している場合に、自車両の運転者に警告する。対処困難範囲を描画してもよいし、描画しなくてもよい。運転者に警告すれば、対処困難範囲を路面に描画しなくても、安全性が向上する。
(特徴3) 特定手段が特定した範囲内に自車両が侵入する場合に、自車両の運転者に警告する。対処困難範囲を描画してもよいし、描画しなくてもよい。運転者に警告すれば、対処困難範囲を路面に描画しなくても、安全性が向上する。
実施例1は、図2に示すように、隣接車線を走行する一方の車両(以下では第1車両という)200の運転者にとって対処することが困難な範囲を、隣接車線を走行する他方の車両(以下では第2車両という)220の車載式運転補助装置によって、路面222に実際に描画する。図2において、202は第1車両200の右サイドミラーによる死角範囲、204は第1車両200の右ピラーによる死角範囲、206は第1車両200の運転者に避けきれない範囲、210は第1車両200の左ピラーによる死角範囲、212は第1車両200の左サイドミラーによる死角範囲、214は第1車両200の同乗者による死角範囲を示している。208は、死角範囲202,204,210,212,214と、避けきれない範囲206を重複した範囲、すなわち、死角範囲と避けきれない範囲の少なくとも一方である範囲を示している。範囲208は、第1車両200の運転者にとっては対処することが困難な範囲を示している。第2車両220の車載式運転補助装置は、第1車両200の対処困難範囲208を路面222に実際に描画する。
路面222における第1車両200の対処困難範208を計算するために、図1に示すように、装置100は、車外撮影カメラ102(レーザーレーダ等であってもよいし、遠赤外線カメラであってもよい)と、車速センサ104と、操舵角センサ106と、投射型表示装置110と、警告装置112を備えている。
装置100は、車両抽出処理プログラム120で決定された車型と、同乗者の有無と、右ハンドルか左ハンドルかの決定結果に基づいて、死角範囲/車型/運転席データベース118を検索し、抽出された車両200の死角範囲を計算するプログラム122を備えている。
装置100は、車速センサ104と操舵角センサ106を備えており、車両220の走行コースを計算することができる。装置100は、車両220の走行コースを計算する処理を実行するプログラム134を備えている。
車両220の走行コースが判明し、車両220に対する車両200の車速と走行方向が判明すれば、車両200の走行コースを計算することができる。装置100は、車両200の走行コースを計算する処理を実行するプログラム128を備えている。
車両200の走行コースが判明すれば、車両200の避けきれない範囲206を計算することができる。装置100は、車両200の避けきれない範囲206を計算する処理を実行するプログラム130を備えている。
車両200の避けきれない範囲206と車両200の死角範囲202,204,210,212,214が判明すれば、車両200の対処困難範囲208を計算することができる。車両200の走行コースはすでに計算されていることから、車両200の対処困難範囲208が時間的に変化していくことを計算することができる。装置100は、時間とともに変化する車両200の対処困難範囲208を計算する処理を実行するプログラム132を備えている。
車両200の対処困難範囲208が時間とともに推移することが計算され、車両220の走行コースが計算されれば、車両220が車両200の対処困難範囲208に侵入するか否かを判別することができる。装置100は、車両220が車両200の対処困難範囲208に侵入するか否かを判別する処理を実行するプログラム136を備えている。プログラム136は、すでに侵入しているのか、これから侵入するのかを判別することができる。これから侵入する場合には、侵入までの時間をも計算する。
投射型表示装置110は、プロジェクタなような結像方式であってもよいし、レーザービームをラスタースキャンするものあってもよいし、レーザービームをベクトルスキャンするものあってもよい。光源も限定されず、レーザーでもよいし、超高圧水銀ランプや、ハロゲンランプ等あってもよい。投射型表示装置110によって車載式の描画手段を構築することができる。上記はあくまで例示であり、任意の描画手段を採用することができる。
ステップS4で隣接車線に車両が居ると判別されると(以下この車両を車両200とし、装置100を搭載している車両を車両220という)、ステップS6で車両200の車両形状から車両200の車型を決定する。ステップS8では、同乗者の有無を判別する。同乗者が居なければ、ステップS10で運転者が車両の左側に居るのか右側に居るのかを判別する。その後に、ステップS12で車両200の位置を計算する。この計算では、車両200の車両220に対する位置を計算する。ステップS12で計算した車両200の位置は、ステップS16で記憶装置に記憶する。
ステップS14では、前回の処理時に記憶した車両200の位置と、今回の処理時に計算した車両200の位置と、その間の時間差から、車両200の走行速度と走行方向を計算する。
ステップS16では、次回の処理時に備えて、ステップS12で計算した車両200の位置を記憶する。
ステップS18では、ステップS14で計算した車両200の走行速度と走行方向から車両200の走行コースを計算する。ここでは、将来の時間に対応付けて、その時間における車両200の位置を計算して求める。
以上によって、車両200の死角範囲202,204,210,212,214を計算するためのデータと、車両200の避けきれない範囲206を計算するためのデータがそろう。そこで、ステップS20で、車両200の死角範囲202,204,210,212,214を計算し、車両200の避けきれない範囲206を計算し、両者を統合して対処困難範囲208を計算する。さらに、車両200の走行コースを計算に入れ、対処困難範囲208が時間とともに推移する関係を計算する。この結果、将来の時間に対応付けて、その時間における車両200の対処困難範囲208が計算して求められる。
ステップS22では、車速センサ104と操舵角センサ106の検出値を演算装置114に入力し、ステップS24では、車両220の走行コースを計算する。
(1)の処理手順では、ステップS26で隣接車線に車両が居るか居ないかを判別し、居なければ今回の処理を終了する。所定時間後に、図4の処理を再度実行する。
隣接車線に車両200が居る場合には、車両200の対処困難範囲208を、車両220が搭載している装置100によって、路面222に実際に描画する。これによって、車両220の運転者は、車両200との関係で安全に走行できる範囲と、安全に走行できない範囲の別を直接的に知ることができる。運転者は、装置100によって、安全に運転できるように補助される。
ステップS30では、さらに車両220が車両200の対処困難範囲208内に入り込んでいるか否かを判別する。車両200の対処困難範囲208内に入り込んでいる場合には、ステップS32で車両220の運転者に警告する。ステップS32で実施する警告は、「注意」といった音声警告であってもよいし、ブザー等で警告してもよい。
図5の(4)では、ステップS30に代えてステップS30aを実行する。その他の点は、図5(3)または図5(2)に同じである。
上記では、正確な死角範囲を計算して求めるが、これに代えて、死角範囲を事前に計測あるいは計算しておいてもよい。計測あるいは計算しておいた死角範囲を記憶しておき、記憶しておいた死角範囲に基づいて計算した対処困難範囲208を路面222に描画してもよい。
実施例2では、車両200の対処困難範囲208を車両200の側で計算し、車・車間通信装置を利用して、車両220に車両200の対処困難範囲208を伝達する。その他の点は、実施例1に同じである。図6、図7において、第1実施例の説明と同一の参照番号で示す部材または処理は、第1実施例のものと同一であることを示し、重複する説明を省略する。
図6は、第2実施例の装置150のハードウエア構成を示し、車両220に搭載されている。装置150は、車外撮影カメラ102に代えて、車・車間通信装置138を備えている。
装置150は、車両200から車・車間通信装置138を利用して、車両200の死角範囲202,204,210,212,214を示すデータを入力する処理を実行するプログラム140を備えている。装置150は、車両200から車・車間通信装置138を利用して、車両200の避けきれない範囲206を示すデータを入力する処理を実行するプログラム142を備えている。装置150は、車両200から車・車間通信装置138を利用して、車両200の走行コースを示すデータを入力する処理を実行するプログラム144を備えている。
車両200から車・車間通信装置138によって死角範囲と避けきれない範囲と走行コースを示すデータを入力すると、装置150によって時間とともに変化する車両200の対処困難範囲208を計算することができる。その処理を実行するプログラム132は、第1実施例のプログラムと共通である。
図7のステップS52では、車・車間通信を実施する。ステップS54は、車両220の装置150に、車両200の死角範囲202,204,210,212,214を示すデータを入力する。ステップS56では、車両220の装置150に、車両200の走行コースを示すデータを入力する。ステップS58では、車両220の装置150に、車両200の避けきれない範囲を示すデータを入力する。ステップS20以降の処理は、図4と同一であり、重複説明を省略する。図7の処理の終了後は、図5の処理を実行する。図5の重複説明は省略する。
実施例2でも実施例1と同じ結果を得ることができる。車両200で車両200の死角範囲を計算すると、実施例1による場合よりも死角範囲を正確に計算することができる。なお、死角範囲の計算には、特開平9-197950号の技術を利用することができる。また本出願人が同日に出願する特許願(整理番号K07−382)に記載の技術を利用することもできる。
この実施例では、車両220に搭載されている装置が、車両200の対処困難範囲208に車両220が侵入している場合に、車両220の運転者に警告する。この実施例では、対処困難範囲208を描画しない。対処困難範囲208を描画しなくても、車両220の運転者に警告することによって車両220の走行安全性は高められる。
図8の処理は、図4または図7の処理に続けて実施する処理手順を示している。(1)では、車両200の対処困難範囲208に車両220が侵入している場合に車両220の運転者に警告する。(2)では、車両200の対処困難範囲208に車両220が侵入しているかあるいは侵入する場合に車両220の運転者に警告する。(2)では、侵入までの時間によって警告強度を変えてもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
102・・・車外撮影カメラ
104・・・車速センサ
106・・・操舵角センサ
110・・・投射型表示装置
112・・・警告装置
114・・・演算装置
116・・・車両形状/車型データベース
118・・・死角範囲/車型/運転席データベース
120・・・車両抽出処理
122・・・死角範囲計算処理
124・・・車速計算処理
126・・・走行方向計算処理
128・・・走行コース計算処理
130・・・避けきれない範囲の計算処理
132・・・対処困難範囲の推移の計算処理
134・・・自車両走行コース計算処理
136・・・進入判別処理
138・・・車・車間通信装置
Claims (5)
- 隣接車線を走行する他車両の有無を判別する手段と、
その他車両の運転者が対処することが困難な路面上の範囲を特定する特定手段と、
その特定手段で特定された範囲の路面を車両から照射して路面に前記範囲を実際に描画する車載式描画手段、
を備えている運転補助装置。 - 前記特定出段が、他車両の運転者が避けきれない範囲を特定することを特徴とする請求項1の運転補助装置。
- 前記特定出段が、他車両の運転者が避けきれない範囲と他車両の運転者の死角範囲の少なくとも1種に属する範囲を特定することを特徴とする請求項1の運転補助装置。
- 自車両が、他車両の運転者が対処することが困難な路面上の範囲に居るか否かを判別する判別手段が付加されており、
その判別手段が居ると判別したときに、前記車載式描画手段が前記範囲を描画することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の運転補助装置。 - 自車両が、他車両の運転者が対処することが困難な路面上の範囲に侵入するか否かを判別する判別手段が付加されており、
その判別手段が侵入すると判別したときに、前記車載式描画手段が前記範囲を描画することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の運転補助装置。
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