以下、図面を参照して本発明の光路変換装置、光路変換装置の製造方法及びこの光路変換装置を備えたレーザモジュールの実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態の光路変換装置の構成例>
図1は第1の実施の形態の光路変換装置の一例を示す全体斜視図である。第1の実施の形態の光路変換装置1Aは、一の方向に長い発光部がその長手方向に沿って2つ以上並ぶバーレーザ等の図示しない発光素子から出射された光を、各々の発光部毎に光軸を中心として所定角度回転させるものである。
バーレーザからは、一の方向に扁平なパターンで光が出射され、光路変換装置1Aは、バーレーザから出射される扁平な光を、一の方向に沿った長手方向(幅方向)に例えば発光部毎に分割し、分割した各光を短手方向(縦方向)に回転させる光路変換機能を有する。
すなわち、光路変換装置1Aは、図示しない発光部から出射される光であるレーザビームを複数回反射させることで、扁平したレーザビーム束を長手方向に分割し、分割した各レーザビームを所定角度回転させて再配置する第1の反射面群S10A及び第2の反射面群S20Aを備える。
ここで、図1に示す光路変換装置1Aでは、隣接した2つの発光部から出射されるレーザビームAとレーザビームBについての光路変換を1つの組として説明する。
光路変換装置1Aにおいて、第1の反射面群S10Aと第2の反射面群S20Aで実現する機能の概要を説明すると、第1の反射面群S10Aは、隣接して入射する2つのレーザビームA,Bを、異なる2つの方向へと反射することで分割する。
また、第1の反射面群S10Aと第2の反射面群S20Aは、入射するレーザビームA,Bに対して所定の角度で傾斜していることで、反射したレーザビームA,Bを各々の光軸を中心として約90度回転させて再配置する。
次に、光路変換装置1Aの構成の詳細について説明する。ここで、以下の説明では、方向をベクトル表記する。表記の方法として3つの成分を持つベクトルを(x,y,z)として示す。本例では、x軸をレーザビームA,Bの出射パターンの長手方向、y軸をレーザビームA,Bの短手方向、z軸をレーザビームA,Bの出射方向とする。そして、例えば+x方向は(1,0,0)方向、+y方向は(0,1,0)方向、+z方向は(0,0,1)方向として表す。
光路変換装置1Aは、点101,点102,点103,点104を頂点としたほぼ正方形からなる四角形101−102−103−104を底面とし、点105を頂点とした四角錐形状の4内側面の中の隣接した一方の2面で第1の反射面群S10Aが構成され、他方の2面で第2の反射面群S20Aが構成される。
第1の反射面群S10Aは、隙間無く配列した2面の反射面からなる入射反射面S11Aと入射反射面S12Aを備える。入射反射面S11Aと入射反射面S12Aは、直線である辺101−105を交線として両面が所定の角度で交差する。また、入射反射面S11Aと入射反射面S12Aの交線である辺101−105の射影は、第1の反射面群S10Aに入射するレーザビームA,Bの短手方向とほぼ平行である。
これにより、第1の反射面群S10Aは、入射反射面S11Aと入射反射面S12Aが、交線となる辺101−105を挟んで対称形状となり、第1の反射面群S10Aに含まれる複数の反射面である入射反射面S11A,S12Aは、光源からの距離が実質的に等しく配置される。
そして、入射反射面S11Aは、第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームAを、第2の方向である(1,0,1)方向に反射する角度で傾斜し、入射反射面S12Aは、レーザビームAに並列して第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームBを、第2の方向と交差する第3の方向である(−1,0,1)方向に反射する角度で傾斜する。
以上の構成によって、光路変換装置1Aは、第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームA,Bを、第1の反射面群S10Aにおいて、辺101−105で分割する。
すなわち、光路変換装置1Aでは、第1の反射面群S10Aに入射したレーザビームAは、入射反射面S11Aで第2の方向である(1,0,1)方向に反射し、第1の反射面群S10Aに入射したレーザビームBは、入射反射面S12Aで第3の方向である(−1,0,1)方向に反射することで、並列して第1の方向に進行するレーザビームA,Bが、異なる2つの方向へ反射して分割される。
第2の反射面群S20Aは、隙間無く配列した2面の反射面からなる出射反射面S21Aと出射反射面S22Aを備える。出射反射面S21Aと出射反射面S22Aは、入射反射面S11A,S12Aの交線である辺101−105と所定の角度で交差する直線である辺103−105を交線として両面が所定の角度で交差する。
また、第2の反射面群S20Aと第1の反射面群S10Aは、出射反射面S21Aと入射反射面S11Aが、辺102−105を交線として所定の角度で交差し、出射反射面S22Aと入射反射面S12Aが、辺104−105を交線として所定の角度で交差する。
ここで、出射反射面S21Aと出射反射面S22Aの交線である辺103−105の射影は、第1の反射面群S10Aに入射したレーザビームA,Bを再配置して、第2の反射面群S20Aから出射したレーザビームA′,B′の長手方向とほぼ平行である。
また、出射反射面S21Aと入射反射面S11Aの交線である辺102−105の射影及び出射反射面S22Aと入射反射面S12Aの交線である辺104−105の射影は、第1の反射面群S10Aに入射するレーザビームA,Bの長手方向及び第2の反射面群S20Aから出射するレーザビームA′,B′の短手方向とほぼ平行である。
これにより、第2の反射面群S20Aは、出射反射面S21Aと出射反射面S22Aが、交線となる辺103−105を挟んで対称形状となる。また、第2の反射面群S20Aの出射反射面S22Aは、対角線上に配列される第1の反射面群S10Aの入射反射面S11Aと対向し、入射反射面S11Aで反射して第2の方向に進行するレーザビームAが入射する。更に、第2の反射面群S20Aの出射反射面S21Aは、対角線上に配列される第1の反射面群S10Aの入射反射面S12Aと対向し、入射反射面S12Aで反射して第3の方向に進行するレーザビームBが入射する。よって、第2の反射面群S20Aに含まれる複数の反射面である出射反射面S21A,S22Aは、光源からの距離が実質的に等しく配置される。
そして、出射反射面S22Aは、第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAを、第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する角度で傾斜し、出射反射面S21Aは、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBを、第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する角度で傾斜する。
以上の構成によって、光路変換装置1Aは、第1の反射面群S10Aで分割されて第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAと、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBを、第2の反射面群S20Aで同一の第4の方向である(0,−1,0)方向に沿って再配置する。
すなわち、光路変換装置1Aでは、第1の反射面群S10Aの入射反射面S11Aで反射して、第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAは、第2の反射面群S20Aの出射反射面S22Aで第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
また、第1の反射面群S10Aの入射反射面S12Aで反射して、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBは、第2の反射面群S20Aの出射反射面S21Aで第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
これにより、異なる2つの方向である第2の方向に進行するレーザビームAと第3の方向に進行するレーザビームBが、それぞれ所定の角度回転して、同一の第4の方向に並列したレーザビームA′とレーザビームB′に再配置されて、第2の反射面群S20Aから出射する。
光路変換装置1Aは、反射プリズム300を介してレーザビームの入出射が行われる。すなわち、反射プリズム300は、発光部から出射され、(0,0,1)方向に進行するレーザビームA,Bを、(0,1,0)方向に反射して光路変換装置1Aに入射し、また、光路変換装置1Aから出射したレーザビームA′,B′を、再び(0,0,1)方向に反射する機能を有する。
光路変換装置1Aでは、入射するレーザビームの進行方向と出射するレーザビームの進行方向が、反対向きでかつほぼ平行であるので、光路変換装置1Aと反射プリズム300を組み合わせることで、入射するレーザビームの進行方向と出射するレーザビームの進行方向を、同一方向でかつほぼ平行として、光の出射形態が利用に適したものとなるようにしている。
図2は光路変換装置の詳細を示す説明図で、次に、第1の反射面群S10Aを構成する入射反射面S11A,S12Aと、第2の反射面群S20Aを構成する出射反射面S21A,S22Aの幾何学的配置について説明する。
入射反射面S11A,S12Aと、出射反射面S21A,S22Aは、それぞれ点105を共有しており、入射反射面S11Aの法線ベクトルの向きは(1,−√2,1)、入射反射面S12Aの法線ベクトルの向きは(−1,−√2,1)である。また、出射反射面S21Aの法線ベクトルの向きは(1,−√2,−1)、出射反射面S22Aの法線ベクトルの向きは(−1,−√2,−1)である。
つまり、入射反射面S11Aと出射反射面S22A、入射反射面S12Aと出射反射面S21Aは、互いに直交する配置にある。
すなわち、光路変換装置1Aを(1,0,−1)方向から矢視すると、図2(b)に示すように、三角形102−105−103は直角二等辺三角形であり、入射反射面S11Aと出射反射面S22Aは、点105で直交する。
また、光路変換装置1Aを(1,0,1)方向から矢視すると、図2(c)に示すように、三角形101−105−102は直角二等辺三角形であり、入射反射面S12Aと出射反射面S21Aは、点105で直交する。
<第1の実施の形態の光路変換装置の動作例>
次に、図1及び図2を参照して、第1の実施の形態の光路変換装置1Aの動作の一例について説明する。
光路変換装置1Aに入射するレーザビームA及びレーザビームBは、図示しない発光素子の各発光部から出射されて、(0,0,1)方向にほぼ平行に進行する構成である。
レーザビームA,Bは、それぞれ一の方向に扁平した出射パターンを有し、長手方向が(1,0,0)方向に沿った向き、短手方向が(0,1,0)方向に沿った向きであり、長手方向に並列して進行するレーザビームA及びレーザビームBが通る点401,点403,点406,点404を頂点とした長方形の範囲を入射開口400とする。
入射開口400は、短手方向の2つの辺である辺401−404と辺403−406が、レーザビームA,Bの短手方向、すなわち(0,1,0)方向と平行であり、長手方向の2つの辺である辺401−403と辺404−406が、レーザビームA,Bの長手方向、すなわち(1,0,0)方向と平行である。
レーザビームAは、入射開口400の中で、点401,点402,点405,点404を頂点としたほぼ正方形の範囲からなる第1の入射開口400A内を通る。また、レーザビームBは、入射開口400の中で第1の入射開口400Aと隣接し、点402,点403,点406,点405を頂点としたほぼ正方形の範囲からなる第2の入射開口400B内を通る。
図示しない発光素子の各発光部から出射されて、(0,0,1)方向に進行するレーザビームA及びレーザビームBは、反射プリズム300の反射面S31で、それぞれ(0,1,0)方向に反射する。
反射プリズム300の反射面S31における入射開口400の射影を入射開口射影451として示す。反射プリズム300においては、入射開口400の長手方向の辺である辺401−403の反射面S31への射影が辺301−302となる。これにより、点401,点403,点406,点404からなる入射開口400の内部を通るレーザビームA,Bは、欠けること無く反射面S31で反射する。
反射プリズム300の反射面S31で反射して、第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームA,Bは、光路変換装置1Aの第1の反射面群S10Aに入射する。
光路変換装置1Aにおいて光が入出射する面である点101,点102,点103,点104を頂点とした光路変換装置1Aの底面における入射開口400の射影を、入射開口射影452として示す。
光路変換装置1Aの第1の反射面群S10Aにおいては、第1の入射開口400Aと第2の入射開口400Bの境界となる辺402−405が、入射反射面S11Aと入射反射面S12Aの交線である辺101−105に射影される。これは、レーザビームAとレーザビームBの分割が、出射パターンの短手方向とほぼ平行に行われることを示す。
また、第1の入射開口400Aの辺401−402と、第2の入射開口400Bの辺402−403は、それぞれ光路変換装置1Aの辺102−105と辺105−104に射影される。
これにより、点401,点402,点405,点404からなる第1の入射開口400Aの内部を通るレーザビームAは、第1の反射面群S10Aの入射反射面S11Aで、欠けること無く第2の方向である(1,0,1)方向に反射する。また、点402,点403,点406,点405からなる第2の入射開口400Bの内部を通るレーザビームBは、第1の反射面群S10Aの入射反射面S12Aで、欠けること無く第3の方向である(−1,0,1)方向に反射する。
従って、第1の方向である(0,1,0)方向に並列して進行するレーザビームAとレーザビームBは、光路変換装置1Aの第1の反射面群S10Aで、第2の方向である(1,0,1)方向と、第3の方向である(−1,0,1)方向にそれぞれ欠けること無く反射されて、レーザビームAとレーザビームBに分割される。
第1の反射面群S10Aの入射反射面S11Aで反射して分割されたレーザビームAは、第2の方向である(1,0,1)方向に進行することで、第2の反射面群S20Aの出射反射面S22Aに入射する。
光路変換装置1Aの第2の反射面群S20Aにおいては、入射反射面S11Aの辺102−105が出射反射面S22Aの辺103−105に射影し、入射反射面S11Aの辺101−105が出射反射面S22Aの辺104−105に射影する。
これにより、第1の反射面群S10Aの入射反射面S11Aで反射して第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAは、第2の反射面群S20Aの出射反射面S22Aで、欠けることなく第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
同様に、第1の反射面群S10Aの入射反射面S12Aで反射して分割されたレーザビームBは、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行することで、第2の反射面群S20Aの出射反射面S21Aに入射する。
光路変換装置1Aの第2の反射面群S20Aにおいては、入射反射面S12Aの辺104−105が出射反射面S21Aの辺103−105に射影し、入射反射面S12Aの辺101−105が出射反射面S21Aの辺102−105に射影する。
これにより、第1の反射面群S10Aの入射反射面S12Aで反射して第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBは、第2の反射面群S20Aの出射反射面S21Aで、欠けることなく第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
光路変換装置1Aにおいて光が入出射する光路変換装置1Aの底面における再配置後の入射開口400の射影を、入射開口射影453として示す。第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAと、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBは、光路変換装置1Aの第2の反射面群S20Aで、それぞれ同一の第4の方向である(0,−1,0)方向に欠けること無く反射され、所定の角度回転したレーザビームA′とレーザビームB′として再配置される。
第2の反射面群S20Aの出射反射面S22Aで反射されて、(0,−1,0)方向に進行するレーザビームA′、及び第2の反射面群S20Aの出射反射面S21Aで反射されて、レーザビームA′の進行方向と同一方向である(0,−1,0)方向に進行するレーザビームB′は、反射プリズム300の反射面S32で、それぞれ(0,0,1)方向に反射する。
反射プリズム300の反射面S32における再配置後の入射開口400の射影を入射開口射影454として示す。反射プリズム300においては、出射反射面S21Aの辺102−105及び出射反射面S22Aの辺105−104が、反射面S32の辺301−302に射影される。
これにより、第2の反射面群S20Aの出射反射面S22Aで反射して再配置されたレーザビームA′及び出射反射面S21Aで反射して再配置されたレーザビームB′は、欠けること無く反射プリズム300の反射面S32に入射し、反射面S32で欠けること無く反射する。
反射プリズム300の反射面S32で反射したレーザビームA′及びレーザビームB′が通る点501,点503,点506,点504を頂点とした長方形の範囲を出射開口500とする。
レーザビームA′は、出射開口500の中で、点502,点503,点506,点505を頂点としたほぼ正方形の範囲からなる第1の出射開口500A内を通る。また、レーザビームB′は、出射開口500の中で第1の出射開口500Aと隣接し、点501,点502,点505,点504を頂点としたほぼ正方形の範囲からなる第2の出射開口500B内を通る。
そして、点501,点503,点506,点504で構成される長方形の出射開口500は、点401,点403,点406,点404で構成される長方形の入射開口400が欠けること無く、分割及び再配置されたものとなり、入射開口400と出射開口500の形状は等しい。
従って、光路変換装置1Aから出射されるレーザビームA′,B′が通る出射開口500は、光路変換装置1Aに入射するレーザビームA,Bが通る入射開口400に対応し、欠けることが無いので、有効開口100%がほぼ実現できる。
すなわち、光路変換装置1A更には反射プリズム300の各反射面では、上述したように、各反射面の幾何学的配置等に起因して伝播が妨げられることが無く、入射開口400を通るレーザビームA,Bは、各反射面でほとんど損失が発生せずに実質的に全て反射されることになって、出射開口500内に伝播される。
なお、若干の損失の原因になるのは、光路変換装置1Aの入射反射面S11A,S12Aと、出射反射面S21A、S22Aの交線となる辺101−105、辺102−105、辺103−105、辺104−105の形状不良、あるいは反射プリズム300の反射面S31,S32の交線となる辺301−302の形状不良と、図示しない前段の光学系でコリメートされたレーザビームA,Bがもつ広がりである発散角(divergence)である。
ここで、光路変換装置1Aを、上述したようにほぼ正方形からなる四角形101−102−103−104を底面とし、点105を頂点とした四角錐形状で構成する場合、四角錐形状の底面を構成する辺101−102と辺102−103の長さはほぼ等しく構成し、更に、レーザビームを欠け無く反射するために、辺101−102と辺102−103は、入射開口400の辺401−404の2√2倍以上の長さとする。
さて、光路変換装置1Aの第1の反射面群S10Aを構成する入射反射面S11A,S12Aと、第2の反射面群S20Aを構成する出射反射面S21A,S22Aは、入射したレーザビームA,Bを所定の角度回転させて出射する傾斜を有している。
これにより、レーザビームAは、光路変換装置1Aに入射して、第1の反射面群S10Aの入射反射面S11Aと、第2の反射面群S20Aの出射反射面S22Aで反射することで、光軸を回転軸として時計廻りに−90度回転して、長手方向と短手方向が入れ替わったレーザビームA′となる。
同様に、レーザビームBは、光路変換装置1Aに入射して、第1の反射面群S10Aの入射反射面S12Aと、第2の反射面群S20Aの出射反射面S21Aで反射することで、光軸を回転軸として時計廻りに90度回転して、長手方向と短手方向が入れ替わったレーザビームB′となる。
そして、変換前では、出射パターンの長手方向に沿って(1,0,0)方向に順に配置されていたレーザビームAとレーザビームBは、光路変換装置1Aによる光路の変換後では、レーザビームB′、レーザビームA′の順に配置が入れ替わり、かつ短手方向に並んで再配置される。
このように、光路変換装置1Aでは、第1の反射面群S10Aを構成する入射反射面S11A,S12Aと、第2の反射面群S20Aを構成する出射反射面S21A,S22Aで、レーザビームA,Bを1回ずつ反射させることで、分割された各レーザビームA,Bは、光軸を中心としてほぼ90度回転する。
従って、複数の発光部が長手方向に並ぶ発光素子から出射される扁平したレーザビームを分割して、分割した光ごと、扁平の方向を変換できるようになる。また、光路変換装置1Aにおいて、並列して進行するレーザビームを異なる2つの方向に反射して分割する第1の反射面群S10Aでは、反射させる方向を交互に変えているため、互いの光路が干渉することなく、かつ、光路長がほぼ等しくなって、発光点のずれを抑制することができる。
<第2の実施の形態の光路変換装置の構成例>
図3は第2の実施の形態の光路変換装置の一例を示す全体斜視図である。第2の実施の形態の光路変換装置1Bは、一の方向に長い発光部をその長手方向に沿って多数並べてアレイ化した発光素子に対応するため、発光部の並びに沿ったx軸方向の幅を、入射及び出射開口を遮ることなく最小化するものである。
ここで、図3に示す光路変換装置1Bでは、隣接した2つの発光部から出射されるレーザビームAとレーザビームBについての光路変換を1つの組として説明する。また、図3の説明においても、図1等の説明と同様に方向をベクトル表記する。
光路変換装置1Bは、図示しない発光部から出射されて並列して進行するレーザビームA,Bを複数回反射させることで、扁平したレーザビーム束を長手方向に分割し、分割した各レーザビームA,Bを所定角度回転させて再配置する第1の反射面群S10B及び第2の反射面群S20Bを備える。
第1の反射面群S10Bは、隙間無く配列した2面の反射面からなる入射反射面S11Bと入射反射面S12Bを備える。入射反射面S11Bと入射反射面S12Bは、直線である辺101−105を交線として両面が所定の角度で交差する。また、入射反射面S11Bと入射反射面S12Bの交線である辺101−105の射影は、第1の反射面群S10Bに入射するレーザビームA,Bの短手方向とほぼ平行である。
更に、入射反射面S11Bは、入射反射面S12Bとの交線である辺101−105と対向する側が、辺101−105と平行な辺106−107で区切られる形状とし、入射反射面S12Bは、入射反射面S11Bとの交線である辺101−105と対向する側が、辺101−105と平行な辺109−110で区切られる形状とすることで、第1の反射面群S10Bの幅が、第1の実施の形態の光路変換装置1Aにおける第1の反射面群S10Aの幅より狭まる形状としている。
これにより、第1の反射面群S10Bは、入射反射面S11Bと入射反射面S12Bが、交線となる辺101−105を挟んで対称形状となり、第1の反射面群S10Bに含まれる複数の反射面である入射反射面S11B,S12Bは、光源からの距離が実質的に等しく配置される。
そして、入射反射面S11Bは、第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームAを、第2の方向である(1,0,1)方向に反射する角度で傾斜し、入射反射面S12Bは、レーザビームAに並列して第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームBを、第2の方向と交差する第3の方向である(−1,0,1)方向に反射する角度で傾斜する。
以上の構成によって、光路変換装置1Bは、第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームA,Bを、第1の反射面群S10Bにおいて、辺101−105で分割する。
すなわち、光路変換装置1Bでは、第1の反射面群S10Bに入射したレーザビームAは、入射反射面S11Bで第2の方向である(1,0,1)方向に反射し、第1の反射面群S10Bに入射したレーザビームBは、入射反射面S12Bで第3の方向である(−1,0,1)方向に反射することで、並列して第1の方向に進行するレーザビームA,Bが、異なる2つの方向へ反射して分割される。
第2の反射面群S20Bは、隙間無く配列した2面の反射面からなる出射反射面S21Bと出射反射面S22Bを備える。出射反射面S21Bと出射反射面S22Bは、入射反射面S11B,S12Bの交線である辺101−105と所定の角度で交差する直線である辺103−105を交線として両面が所定の角度で交差する。
また、第2の反射面群S20Bと第1の反射面群S10Bは、出射反射面S21Bと入射反射面S11Bが、辺107−105を交線として所定の角度で交差し、出射反射面S22Bと入射反射面S12Bが、辺110−105を交線として所定の角度で交差する。
そして、出射反射面S21Bは、出射反射面S22Bとの交線である辺103−105と対向する側が、辺103−105と平行な辺108−107で区切られる形状となり、出射反射面S22Bは、出射反射面S21Bとの交線である辺103−105と対向する側が、辺103−105と平行な辺111−110で区切られる形状となって、第2の反射面群S20Bの幅が、第1の実施の形態の光路変換装置1Aにおける第2の反射面群S20Aの幅より狭まる形状としている。
ここで、出射反射面S21Bと出射反射面S22Bの交線である辺103−105の射影は、第1の反射面群S10Bに入射したレーザビームA,Bを再配置して、第2の反射面群S20Bから出射したレーザビームA′,B′の長手方向とほぼ平行である。
また、出射反射面S21Bと入射反射面S11Bの交線である辺107−105の射影及び出射反射面S22Bと入射反射面S12Bの交線である辺110−105の射影は、第1の反射面群S10Bに入射するレーザビームA,Bの長手方向及び第2の反射面群S20Bから出射するレーザビームA′,B′の短手方向とほぼ平行である。
これにより、第2の反射面群S20Bは、出射反射面S21Bと出射反射面S22Bが、交線となる辺103−105を挟んで対称形状となる。また、第2の反射面群S20Bの出射反射面S22Bは、対角線上に配列される第1の反射面群S10Bの入射反射面S11Bと対向し、入射反射面S11Bで反射して第2の方向に進行するレーザビームAが入射する。更に、第2の反射面群S20Bの出射反射面S21Bは、対角線上に配列される第1の反射面群S10Bの入射反射面S12Bと対向し、入射反射面S12Bで反射して第3の方向に進行するレーザビームBが入射する。よって、第2の反射面群S20Bに含まれる複数の反射面である出射反射面S21B,S22Bは、光源からの距離が実質的に等しく配置される。
そして、出射反射面S22Bは、入射反射面S11Bに対して直交し、第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAを、第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する角度で傾斜し、出射反射面S21Bは、入射反射面S12Bに対して直交し、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBを、第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する角度で傾斜する。
以上の構成によって、光路変換装置1Bは、第1の反射面群S10Bで分割されて第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAと、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBを、第2の反射面群S20Bで同一の第4の方向である(0,−1,0)方向に沿って再配置する。
すなわち、光路変換装置1Bでは、第1の反射面群S10Bの入射反射面S11Bで反射して、第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAは、第2の反射面群S20Bの出射反射面S22Bで第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
また、第1の反射面群S10Bの入射反射面S12Bで反射して、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBは、第2の反射面群S20Bの出射反射面S21Bで第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
これにより、異なる2つの方向である第2の方向に進行するレーザビームAと第3の方向に進行するレーザビームBが、それぞれ所定の角度回転して、同一の第4の方向に並列したレーザビームA′とレーザビームB′に再配置されて、第2の反射面群S20Bから出射する。
光路変換装置1Bでも、反射プリズム300を介してレーザビームの入出射が行われる。すなわち、反射プリズム300は、発光部から出射され、(0,0,1)方向に進行するレーザビームA,Bを、(0,1,0)方向に反射して光路変換装置1Bに入射し、また、光路変換装置1Bから出射したレーザビームA′,B′を、再び(0,0,1)方向に反射する機能を有する。
光路変換装置1Bでも、入射するレーザビームの進行方向と出射するレーザビームの進行方向が、反対向きでかつほぼ平行であるので、光路変換装置1Bと反射プリズム300を組み合わせることで、入射するレーザビームの進行方向と出射するレーザビームの進行方向を、同一方向でかつほぼ平行として、光の出射形態が利用に適したものとなるようにしている。
<第2の実施の形態の光路変換装置の動作例>
次に、図3を参照して、第2の実施の形態の光路変換装置1Bの動作の一例について説明する。
光路変換装置1Bに入射するレーザビームA及びレーザビームBは、図示しない発光素子の各発光部から出射されて、(0,0,1)方向にほぼ平行に進行する。
レーザビームA,Bは、それぞれ一の方向に扁平した出射パターンを有し、長手方向が(1,0,0)方向に沿った向き、短手方向が(0,1,0)方向に沿った向きであり、長手方向に並列して進行するレーザビームA及びレーザビームBが、点401,点403,点406,点404を頂点とした長方形からなる入射開口400を通る。
入射開口400は、短手方向の2つの辺である辺401−404と辺403−406が、レーザビームA,Bの短手方向、すなわち(0,1,0)方向と平行であり、長手方向の2つの辺である辺401−403と辺404−406が、レーザビームA,Bの長手方向、すなわち(1,0,0)方向と平行である。
レーザビームAは、入射開口400の中で、点401,点402,点405,点404を頂点としたほぼ正方形の範囲からなる第1の入射開口400A内を通る。また、レーザビームBは、入射開口400の中で第1の入射開口400Aと隣接し、点402,点403,点406,点405を頂点としたほぼ正方形の範囲からなる第2の入射開口400B内を通る。
図示しない発光素子の各発光部から出射されて、(0,0,1)方向に進行するレーザビームA及びレーザビームBは、反射プリズム300の反射面S31で、それぞれ(0,1,0)方向に反射する。
反射プリズム300の反射面S31における入射開口400の射影を入射開口射影451として示す。反射プリズム300においては、入射開口400の長手方向の辺である辺401−403の反射面S31への射影が辺301−302となる。これにより、点401,点403,点406,点404からなる入射開口400の内部を通るレーザビームA,Bは、欠けること無く反射面S31で反射する。
反射プリズム300の反射面S31で反射して、第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームA,Bは、光路変換装置1Bの第1の反射面群S10Bに入射する。
光路変換装置1Bにおいて光が入出射する面である点101,点106,点108,点103,点111,点109を頂点とした光路変換装置1Bの底面における入射開口400の射影を、入射開口射影452として示す。
光路変換装置1Bの第1の反射面群S10Bにおいては、第1の入射開口400Aと第2の入射開口400Bの境界となる辺402−405が、入射反射面S11Bと入射反射面S12Bの交線である辺101−105に射影される。これは、レーザビームAとレーザビームBの分割が、出射パターンの短手方向とほぼ平行に行われることを示す。
また、第1の入射開口400Aの辺401−402と、第2の入射開口400Bの辺402−403は、それぞれ光路変換装置1Bの辺107−105と辺105−110に射影される。
更に、第1の入射開口400Aの辺401−404は、光路変換装置1Bの辺107−106に射影され、第2の入射開口400Bの辺403−406は、光路変換装置1Bの辺110−109に射影される。
これにより、点401,点402,点405,点404からなる第1の入射開口400Aの内部を通るレーザビームAは、第1の反射面群S10Bの入射反射面S11Bで、欠けること無く第2の方向である(1,0,1)方向に反射する。また、点402,点403,点406,点405からなる第2の入射開口400Bの内部を通るレーザビームBは、第1の反射面群S10Bの入射反射面S12Bで、欠けること無く第3の方向である(−1,0,1)方向に反射する。
従って、第1の方向である(0,1,0)方向に並列して進行するレーザビームAとレーザビームBは、光路変換装置1Bの第1の反射面群S10Bで、第2の方向である(1,0,1)方向と、第3の方向である(−1,0,1)方向にそれぞれ欠けること無く反射されて、レーザビームAとレーザビームBに分割される。
第1の反射面群S10Bの入射反射面S11Bで反射して分割されたレーザビームAは、第2の方向である(1,0,1)方向に進行することで、第2の反射面群S20Bの出射反射面S22Bに入射する。
光路変換装置1Bの第2の反射面群S20Bにおいては、第1の入射開口400Aの辺404−405が、出射反射面S22Bの辺111−110に射影される。
これにより、第1の反射面群S10Bの入射反射面S11Bで反射して第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAは、第2の反射面群S20Bの出射反射面S22Bで、欠けることなく第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
同様に、第1の反射面群S10Bの入射反射面S12Bで反射して分割されたレーザビームBは、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行することで、第2の反射面群S20Bの出射反射面S21Bに入射する。
光路変換装置1Bの第2の反射面群S20Bにおいては、第2の入射開口400Bの辺405−406が、出射反射面S21Bの辺107−108に射影される。
これにより、第1の反射面群S10Bの入射反射面S12Bで反射して第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBは、第2の反射面群S20Bの出射反射面S21Bで、欠けることなく第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
光路変換装置1Bにおいて光が入出射する光路変換装置1Bの底面における再配置後の入射開口400の射影を入射開口射影453として示す。第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAと、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBは、光路変換装置1Bの第2の反射面群S20Bで、それぞれ同一の第4の方向である(0,−1,0)方向に欠けること無く反射され、所定の角度回転したレーザビームA′とレーザビームB′として再配置される。
第2の反射面群S20Bの出射反射面S22Bで反射されて、(0,−1,0)方向に進行するレーザビームA′、及び第2の反射面群S20Bの出射反射面S21Bで反射されて、レーザビームA′の進行方向と同一方向である(0,−1,0)方向に進行するレーザビームB′は、反射プリズム300の反射面S32で、それぞれ(0,0,1)方向に反射する。
反射プリズム300の反射面S32における再配置後の入射開口400の射影を入射開口射影454として示す。反射プリズム300においては、出射反射面S21Bの辺107−105及び出射反射面S22Bの辺105−110が、反射面S32の辺301−302に射影される。
これにより、第2の反射面群S20Bの出射反射面S22Bで反射して再配置されたレーザビームA′及び出射反射面S21Bで反射して再配置されたレーザビームB′は、欠けること無く反射プリズム300の反射面S32に入射し、反射面S32で欠けること無く反射する。
反射プリズム300の反射面S32で反射したレーザビームA′及びレーザビームB′は、点501,点503,点506,点504を頂点とした長方形からなる出射開口500を通る。
レーザビームA′は、出射開口500の中で、点502,点503,点506,点505を頂点としたほぼ正方形の範囲からなる第1の出射開口500A内を通る。また、レーザビームB′は、出射開口500の中で第1の出射開口500Aと隣接し、点501,点502,点505,点504を頂点としたほぼ正方形の範囲からなる第2の出射開口500B内を通る。
そして、点501,点503,点506,点504で構成される長方形の出射開口500は、点401,点403,点406,点404で構成される長方形の入射開口400が欠けること無く、分割及び再配置されたものとなり、入射開口400と出射開口500の形状は等しい。
従って、光路変換装置1Bから出射されるレーザビームA′,B′が通る出射開口500は、光路変換装置1Bに入射するレーザビームA,Bが通る入射開口400に対応し、欠けることが無いので、有効開口100%がほぼ実現できる。
ここで、入射及び出射開口を遮ることなく、光路変換装置1Bの幅を最小化するには、第1の反射面群S10Bの各反射面の交線及び第2の反射面群S20Bの各反射面の交線に含まれる点101,点103,点105で形成される平面と、各反射面の端部となる点106,点107,点108で形成される平面及び点109,点110,点111で形成される平面を互いに平行とする。かつ、点101,点103,点105で形成される平面と、点106,点107,点108で形成される平面の間隔を、入射開口400の辺401−402の長さと等しくし、点101,点103,点105で形成される平面と、点109,点110,点111で形成される平面の間隔を、入射開口400の辺402−403の長さと等しくする。
これにより、光路変換装置1Bでも、上述したように、各反射面の幾何学的配置等に起因して伝播が妨げられることが無く、入射開口400を通るレーザビームA,Bは、各反射面でほとんど損失が発生せずに実質的に全て反射されることになって、出射開口500内に伝播される。
また、光路変換装置1Bは、x軸方向の幅を、レーザビームA,Bの入射開口400の幅と等しくすることができる。
さて、光路変換装置1Bでも、第1の実施の形態の光路変換装置1Aと同様に、第1の反射面群S10Bを構成する入射反射面S11B,S12Bと、第2の反射面群S20Bを構成する出射反射面S21B,S22Bは、入射したレーザビームA,Bを所定の角度回転させて出射する傾斜を有している。
これにより、レーザビームAは、光路変換装置1Bに入射して、第1の反射面群S10Bの入射反射面S11Bと、第2の反射面群S20Bの出射反射面S22Bで反射することで、光軸を回転軸として時計廻りに−90度回転して、長手方向と短手方向が入れ替わったレーザビームA′となる。
同様に、レーザビームBは、光路変換装置1Bに入射して、第1の反射面群S10Bの入射反射面S12Bと、第2の反射面群S20Bの出射反射面S21Bで反射することで、光軸を回転軸として時計廻りに90度回転して、長手方向と短手方向が入れ替わったレーザビームB′となる。
そして、変換前では、出射パターンの長手方向に沿って(1,0,0)方向に順に配置されていたレーザビームAとレーザビームBは、光路変換装置1Bによる光路の変換後では、レーザビームB′、レーザビームA′の順に配置が入れ替わり、かつ短手方向に並んで再配置される。
このように、光路変換装置1Bでも、第1の反射面群S10Bを構成する入射反射面S11B,S12Bと、第2の反射面群S20Bを構成する出射反射面S21B,S22Bで、レーザビームA,Bを1回ずつ反射させることで、分割された各レーザビームA,Bは、光軸を中心としてほぼ90度回転する。
従って、複数の発光部が長手方向に並ぶ発光素子から出射される扁平したレーザビームを分割して、分割した光ごと、扁平の方向を変換できるようになる。また、光路変換装置1Bにおいて、並列して進行するレーザビームを異なる2つの方向に反射して分割する第1の反射面群S10Bでは、反射させる方向を交互に変えているため、互いの光路が干渉することなく、かつ、光路長がほぼ等しくなって、発光点のずれを抑制することができる。
<第3の実施の形態の光路変換装置の構成例及び動作例>
図4は第3の実施の形態の光路変換装置の一例を示す全体斜視図である。第3の実施の形態の光路変換装置1Cは、図3で説明した第2の実施の形態の光路変換装置1Bを複数(n)個並べることで、入射したレーザビームを2n分割して光路変換を行えるようにしたものである。
すなわち、光路変換装置1Cは、本例では4個の光路変換部1C(1)〜(4)を並列して構成される。例えば、隣接する光路変換部1C(1)と光路変換部1C(2)では、光路変換部1C(1)において第1の反射面群S10Cを構成する入射反射面S12Cと、光路変換部1C(2)において第1の反射面群S10Cを構成する入射反射面S13Cとの交線となる辺112−113は、図3で説明した辺106−107及び辺109−110である。
また、光路変換部1C(1)において第2の反射面群S20Cを構成する出射反射面S22Cと、光路変換部1C(2)において第2の反射面群S20Cを構成する出射反射面S23Cとの交線となる辺113−114は、図3で説明した辺107−108及び辺110−111である。
光路変換装置1Cは、同様の構成で4個の光路変換部1C(1)〜(4)が並列する。そして、本例では、8個の発光部がアレイ化された図示しない発光素子から出射されたレーザビーム束が、反射プリズム300を介して入射する。
光路変換装置1Cでは、隣接した2つの発光部から出射されて並列して進行するレーザビームAとレーザビームBについての光路変換を1つの組として、各光路変換部1C(1)〜(4)毎にレーザビームA,Bの分割及び再配置が行われ、再配置されたレーザビームA′,B′が、反射プリズム300を介して出射する。
次に、光路変換部1C(1)と光路変換部1C(2)を例に、隣接する光路変換部でのレーザビームの分割及び再配置の動作について説明する。
光路変換装置1Cにおいて光が入出射する面における入射開口400の射影を入射開口射影452として示す。
光路変換装置1Cに入射するレーザビームが通る入射開口400の中で、並列して進行する一対のレーザビームA,Bが通る隣接した入射開口411と入射開口412において、一方の入射開口411の第2の入射開口411Bと、他方の入射開口412の第1の入射開口412Aとの境界となる辺403−406が、光路変換部1C(1)において第1の反射面群S10Cを構成する入射反射面S12Cと、光路変換部1C(2)において第1の反射面群S10Cを構成する入射反射面S13Cとの交線となる辺112−113に射影される。
これは、隣接する光路変換部1C(1)と光路変換部1C(2)との間でも、レーザビームA,Bの分割が、出射パターンの短手方向とほぼ平行に行われることを示す。これにより、光路変換部1C(1)の第1の反射面群S10Cの入射反射面S12Cに入射したレーザビームBと、光路変換部1C(2)の第1の反射面群S10Cの入射反射面S13Cに入射したレーザビームAは、それぞれ欠けることなく反射して分割される。
光路変換装置1Cにおいて光が入出射する面における再配置後の入射開口400の射影を入射開口射影453として示す。
隣接する入射開口411と入射開口412において、一方の入射開口411の第1の入射開口411Aの辺404−405と、他方の入射開口412の第2の入射開口412Bの辺409−410が、光路変換部1C(1)において第2の反射面群S20Cを構成する出射反射面S22Cと、光路変換部1C(2)において第2の反射面群S20Cを構成する出射反射面S23Cとの交線となる辺113−114に射影される。
これにより、隣接する光路変換部1C(1)と光路変換部1C(2)との間でも、光路変換部1C(1)の第2の反射面群S20Cの出射反射面S22Cに入射したレーザビームAと、光路変換部1C(2)の第2の反射面群S20Cの出射反射面S23Cに入射したレーザビームBは、それぞれ欠けることなく反射して、レーザビームA′とレーザビームB′に再配置される。
従って、光路変換装置1Cでも、扁平したレーザビーム束が欠けることなく長手方向に分割され、分割された各レーザビームが、欠けることなく約90度回転して再配置される。
光路変換装置1Cから出射されたレーザビームは、出射開口511,512,513,514が並列した所定の形状の出射開口500を通る。ここで、出射開口511は入射開口411が欠けること無く、分割及び再配置されたものであり、入射開口411と出射開口511の形状は等しい。
同様に、出射開口512は入射開口412が欠けること無く、分割及び再配置されたものであり、入射開口412と出射開口512の形状は等しい。また、出射開口513は入射開口413が欠けること無く、分割及び再配置されたものであり、入射開口413と出射開口513の形状は等しい。更に、出射開口514は入射開口414が欠けること無く、分割及び再配置されたものであり、入射開口414と出射開口514の形状は等しい。
従って、光路変換装置1Cでは、x軸方向の幅を拡げること無く、有効開口をほぼ100%とすることができる。
更に、光路変換部1C(1)に含まれる入射反射面S11C,S12Cは、光源からの距離が実質的に等しく配置され、同様に、光路変換部1C(2)〜1C(4)の入射反射面S13C〜S18Cは、光源からの距離が実質的に等しく配置される。
また、光路変換部1C(1)に含まれる出射反射面S21C,S22Cは、光源からの距離が実質的に等しく配置され、同様に、光路変換部1C(2)〜1C(4)の出射反射面S23C〜S28Cは、光源からの距離が実質的に等しく配置される。
従って、光路変換装置1Cでは、アレイ化した光源を使用しても、各レーザビームの光路長がほぼ等しくなって、各発光点のずれを抑制することができる。
<第4の実施の形態の光路変換装置の構成例及び動作例>
図5は第4の実施の形態の光路変換装置の一例を示す全体斜視図である。第4の実施の形態の光路変換装置1Dは、図3で説明した第2の実施の形態の光路変換装置1Bと同様の構成を有した複数の光路変換部を、一体に形成してアレイ化したものである。
すなわち、光路変換装置1Dは、複数の入射反射面S11D〜S18Dを有した第1の反射面群S10Dと、複数の出射反射面S21D〜S28Dを有した第2の反射面群S20Dが、入射した光の波長に対して所望の透過率を有したガラスプリズム等の透明な光学部材で一体に形成される。
ここで、光路変換装置1Dでは、入射反射面S11D〜S18Dと、出射反射面S21D〜S28Dにおける全反射を利用して、レーザビームを反射する。
光路変換装置1Dに入射する光が通る入射開口400の射影を入射開口射影452として示し、再配置後の射影を入射開口射影453として示す。
光路変換装置1Dでは、隣接した2つの発光部から出射されて並列して進行するレーザビームAとレーザビームBについての光路変換を1つの組として、例えば入射反射面S11D,S12Dと、出射反射面S21D,S22Dで分割及び再配置が行われる。
このため、入射反射面S11Dは、第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームAを、第2の方向である(1,0,1)方向に反射する角度で傾斜し、入射反射面S12Dは、レーザビームAに並列して第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームBを、第2の方向と交差する第3の方向である(−1,0,1)方向に反射する角度で傾斜する。
また、出射反射面S22Dは、入射反射面S11Dに対して直交し、第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAを、第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する角度で傾斜し、出射反射面S21Dは、入射反射面S12Dに対して直交し、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBを、第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する角度で傾斜する。
以上の構成によって、光路変換装置1Dでは、第1の反射面群S10Dの入射反射面S11Dに入射したレーザビームAは、第2の方向である(1,0,1)方向に反射し、入射反射面S12Dに入射したレーザビームBは、第3の方向である(−1,0,1)方向に反射することで、並列して第1の方向に進行するレーザビームA,Bが、異なる2つの方向へ反射して分割される。
更に、第1の反射面群S10Dで分割されて第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAは、第2の反射面群S20Dの出射反射面S22Dで第4の方向である(0,−1,0)方向に反射し、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBは、出射反射面S21Dで第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
これにより、異なる2つの方向である第2の方向に進行するレーザビームAと第3の方向に進行するレーザビームBが、それぞれ所定の角度回転して、同一の第4の方向に並列したレーザビームA′とレーザビームB′に再配置されて、第2の反射面群S20Dから出射する。
同様に、入射反射面S13D,S14Dと、出射反射面S23D,S24Dを1組の光路変換部として、レーザビームA,Bの分割及び再配置が行われる。また、入射反射面S15D,S16Dと、出射反射面S25D,S26Dを1組の光路変換部として、レーザビームA,Bの分割及び再配置が行われる。更に、入射反射面S17D,S18Dと、出射反射面S27D,S28Dを1組の光路変換部として、レーザビームA,Bの分割及び再配置が行われる。
従って、光路変換装置1Dでも、扁平したレーザビーム束が欠けることなく長手方向に分割され、分割された各レーザビームが、欠けることなく約90度回転して再配置される。これにより、光路変換装置1Dに入射する光が通る入射開口400と、光路変換装置1Dから出射した再配置後の光が通る出射開口500の形状は等しくなり、有効開口がほぼ100%となる。
また、第1の反射面群S10Dを構成する各入射反射面S11D〜S18Dは、光源からの距離が実質的に等しく配置され、更に、第2の反射面群S20Dを構成する各出射反射面S21D〜S28Dは、光源からの距離が実質的に等しく配置されることで、光路変換装置1Dでも、各レーザビームの光路長がほぼ等しくなって、各発光点のずれを抑制することができる。
<第5の実施の形態の光路変換装置の構成例及び動作例>
図6は第5の実施の形態の光路変換装置の一例を示す全体斜視図である。第5の実施の形態の光路変換装置1Eは、図3で説明した第2の実施の形態の光路変換装置1Bと同様の構成を有した複数の光路変換部を、複数の光学部品を組み合わせた構成としてアレイ化したものである。
すなわち、光路変換装置1Eは、複数の入射反射面S11E〜S18Eを有した第1の反射面群S10Eが形成された第1の光学ブロック610と、複数の出射反射面S21E〜S28Eを有した第2の反射面群S20Eが形成された第2の光学ブロック620とを備える。
第1の光学ブロック610と第2の光学ブロック620は、例えば金属板材を加工して各反射面を形成した同一形状の部材で、光路変換装置1Eは、第1の光学ブロック610と第2の光学ブロック620を、反射面を向かい合わせて接合して構成される。
ここで、光路変換装置1Eでは、反射を利用することで分割して再配置される光の波長に応じて金属膜や誘電体多層膜を形成して、入射反射面S11E〜S18E及び出射反射面S21E〜S28Eが構成される。
光路変換装置1Eに入射する光が通る入射開口400の射影を入射開口射影452として示し、再配置後の射影を入射開口射影453として示す。
光路変換装置1Eでも、隣接した2つの発光部から出射されて並列して進行するレーザビームAとレーザビームBについての光路変換を1つの組として、例えば入射反射面S11E,S12Eと、出射反射面S21E,S22Eで分割及び再配置が行われる。
このため、入射反射面S11Eは、第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームAを、第2の方向である(1,0,1)方向に反射する角度で傾斜し、入射反射面S12Eは、レーザビームAに並列して第1の方向である(0,1,0)方向に進行するレーザビームBを、第2の方向と交差する第3の方向である(−1,0,1)方向に反射する角度で傾斜する。
また、出射反射面S22Eは、入射反射面S11Eに対して直交し、第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAを、第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する角度で傾斜し、出射反射面S21Eは、入射反射面S12Eに対して直交し、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBを、第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する角度で傾斜する。
以上の構成によって、光路変換装置1Eでは、第1の反射面群S10Eの入射反射面S11Eに入射したレーザビームAは、第2の方向である(1,0,1)方向に反射し、入射反射面S12Eに入射したレーザビームBは、第3の方向である(−1,0,1)方向に反射することで、並列して第1の方向に進行するレーザビームA,Bが、異なる2つの方向へ反射して分割される。
更に、第1の反射面群S10Eで分割されて第2の方向である(1,0,1)方向に進行するレーザビームAは、第2の反射面群S20Eの出射反射面S22Eで第4の方向である(0,−1,0)方向に反射し、第3の方向である(−1,0,1)方向に進行するレーザビームBは、出射反射面S21Eで第4の方向である(0,−1,0)方向に反射する。
これにより、異なる2つの方向である第2の方向に進行するレーザビームAと第3の方向に進行するレーザビームBが、それぞれ所定の角度回転して、同一の第4の方向に並列したレーザビームA′とレーザビームB′に再配置されて、第2の反射面群S20Eから出射する。
同様に、入射反射面S13E,S14Eと、出射反射面S23E,S24Eを1組の光路変換部として、レーザビームA,Bの分割及び再配置が行われる。また、入射反射面S15E,S16Eと、出射反射面S25E,S26Eを1組の光路変換部として、レーザビームA,Bの分割及び再配置が行われる。更に、入射反射面S17E,S18Eと、出射反射面S27E,S28Eを1組の光路変換部として、レーザビームA,Bの分割及び再配置が行われる。
従って、光路変換装置1Eでも、扁平したレーザビーム束が欠けることなく長手方向に分割され、分割された各レーザビームが、欠けることなく約90度回転して再配置される。これにより、光路変換装置1Eに入射する光が通る入射開口400と、光路変換装置1Eから出射した再配置後の光が通る出射開口500の形状は等しくなり、有効開口がほぼ100%となる。
また、第1の反射面群S10Eを構成する各入射反射面S11E〜S18Eは、光源からの距離が実質的に等しく配置され、更に、第2の反射面群S20Eを構成する各出射反射面S21E〜S28Eは、光源からの距離が実質的に等しく配置されることで、光路変換装置1Eでも、各レーザビームの光路長がほぼ等しくなって、各発光点のずれを抑制することができる。
<光路変換装置の製造方法例>
図7及び図8は第5の実施の形態の光路変換装置1Eの製造方法の一例を示す工程説明図で、次に、光路変換装置の製造方法の実施の形態について説明する。
まず、図7(a)に示すように、所定の厚さを有した平板状の金属板材700の一方の面701に、入射反射面S11E〜S18Eあるいは出射反射面S21E〜S28Eとなる反射面形成溝702を作成する。反射面形成溝702は、断面形状がV字形状で、入射反射面及び出射反射面の数に応じて、本例では4本の反射面形成溝702が作成される。
並列した反射面形成溝702のピッチP1は、図示しない発光部のピッチに応じて設定され、本例では約1mmに設定される。また、各反射面形成溝702の開き角α1は、本例では約120度に設定される。なお、反射面形成溝702の開き角α1の算出方法については後述する。
次に、図7(b)に示すように、反射面形成溝702が作成された金属板材700を、反射面形成溝702の延在方向に対して直交し、かつ面701に対して所定の角度で傾斜した接合面703で切断する。接合面703の切断角度α2は、本例では約54.74度に設定される。なお、接合面703の切断角度α2の算出方法については後述する。
接合面703で切断された金属板材700は、反射面形成溝702で入射反射面S11E〜S18Eを形成した第1の光学ブロック610か、反射面形成溝702で出射反射面S21E〜S28Eを形成した第2の光学ブロック620となる。
次に、図8に示すように、接合面703で切断された2つの金属板材700を、反射面形成溝702を向かい合わせることで、一方を第1の光学ブロック610とすると共に、他方を第2の光学ブロック620として、接合面703で接合する。
これにより、入射反射面S11E〜S18Eを有した第1の反射面群S10Eと、出射反射面S21E〜S28Eを有した第2の反射面群S20Eが形成された光路変換装置1Eが作成される。
次に、反射面形成溝702の開き角α1の算出方法について説明する。
複数の入射反射面S11E〜S18Eの中で、1つの組である入射反射面S11E,S12Eを例に説明すると、入射反射面S11Eと入射反射面S12Eの法線ベクトル同士の内角は、以下の式(1)に示される。
S11E・S12E=│S11E││S12E│cosθ・・・(1)
式(1)から、cosθ=2/4で、θ=60度となる。従って、入射反射面S11Eと入射反射面S12Eの開き角は約120度になる。これにより、入射反射面S11Eと入射反射面S12Eを構成する反射面形成溝702の開き角α1は約120度となり、1つの組となる入射反射面同士及び出射反射面同士の開き角は、それぞれ約120度となる。
次に、接合面703の切断角度α2の算出方法について、入射反射面S11Eと入射反射面S12Eを例に説明する。
入射反射面S11Eと入射反射面S12Eで形成される交線の方向ベクトルaは、入射反射面S11E,S12Eの法線ベクトルと直交するので、S11E・a=0、S12E・a=0となり、a=(0,1,√2)と求まる。
方向ベクトルaとy軸の方向ベクトルey=(0,1,0)との内角は、以下の式(2)に示される。
a・ey=│a││ey│cosθ・・・(2)
式(2)から、cosθ=1/√3で、θ=54.74度となる。従って、接合面703の切断角度α2は、約54.74度となる。
以上説明した光路変換装置1Eの製造方法では、反射面となるV字形状の反射面形成溝702を形成した金属板材700を、接合面703において所定の角度で切断し、2つの金属板材700を向かい合わせて接合して第1の反射面群S10Eと第2の反射面群S20Eを作成したので、各反射面の交線が形状不良となることを防ぐことができる。従って、反射面で反射する光の損失を抑制することができる。
<第1の実施の形態のレーザモジュールの構成例>
図9は第1の実施の形態のレーザモジュールの一例を示す構成図で、図9(a)は第1の実施の形態のレーザモジュール800Aの平面図、図9(b)はレーザモジュール800Aの側面図である。
第1の実施の形態のレーザモジュール800Aは、アレイ化した光源に対応した例えば図6で説明した光路変換装置1Eと、レーザビームを出射するバーレーザ801と、バーレーザ801から出射されたレーザビームを光路変換装置1Eに結合させる第1の光学系802と、光路変換装置1Eで再配置されたレーザビームを光ファイバ803に結合させる第2の光学系804を備える。
バーレーザ801は、半導体レーザの活性層ストライプの発光端面で一の方向に長い図示しない発光部が形成され、例えば10個程度の複数の発光部が、その長手方向に沿って一列に配置される。
第1の光学系802は入射光集光部材の一例で、バーレーザ801から出射されたレーザビームCの垂直方向の放射角を狭めてほぼ平行にするFAC(fast axis collimating)レンズ802aと、バーレーザ801から出射されたレーザビームCの水平方向の放射角を狭めてほぼ平行にするSAC(slow axis collimating)レンズ802bとを備える。
第2の光学系804は出射光集光部材の一例で、光路変換装置1Eで再配置されたレーザビームC′をほぼ平行にするシリンドリカルレンズ804aと、シリンドリカルレンズ804aでほぼ平行にされたレーザビームC′を、光ファイバ803の入射端面に集光するフォーカスレンズ804bとを備える。
レーザモジュール800Aは、例えば、光ファイバ803が接続された図示しないパッケージに、バーレーザ801、第1の光学系802、光路変換装置1E、反射プリズム300及び第2の光学系804が実装されてモジュール化される。
<第1の実施の形態のレーザモジュールの動作例>
次に、図9等を参照して、第1の実施の形態のレーザモジュール800Aの動作の一例について説明する。
レーザモジュール800Aは、バーレーザ801から一の方向に扁平したパターンでレーザビームCが出射される。ここで、扁平したレーザビームCの長手方向がx軸に沿った方向、レーザビームCの出射方向がz軸に沿った方向とする。
バーレーザ801から出射されたレーザビームCは、FACレンズ802aを透過することで垂直方向(y軸方向)の放射角が狭められ、更に、SACレンズ802bを透過することで水平方向(x軸方向)の放射角が狭められて、ほぼ平行にされる。
バーレーザ801から出射され、FACレンズ802a及びSACレンズ802bを透過してほぼ平行にされたレーザビームCは、反射プリズム300で反射して光路変換装置1Eの第1の反射面群S10Eに入射する。
光路変換装置1Eの第1の反射面群S10Eに入射したレーザビームCは、図6で説明したように、入射反射面S11E〜S18Eで反射することで長手方向に分割され、更に、出射反射面S21E〜S28Eで反射することで所定の角度回転して再配置されて、第2の反射面群S20Eから出射する。
再配置されて光路変換装置1Eから出射したレーザビームC′は、反射プリズム300で反射し、シリンドリカルレンズ804aを透過することでほぼ平行にされ、フォーカスレンズ804bを透過することで光ファイバ803の入射端面に集光されて、光ファイバ803に入射する。
図6等で説明した光路変換装置1Eで再配置されたレーザビームC′は、扁平した出射パターンのレーザビームを長手方向に分割し、分割した各レーザビームをそれぞれ光軸を中心に所定の角度回転させたものであり、かつ、分割して回転した各レーザビームの発光点のずれが抑制されている。
これにより、レーザモジュール800Aでは、バーレーザ801から出射された扁平したパターンのレーザビームを、光路変換装置1Eの後段にフォーカスレンズ804bを備えることで狭い範囲に焦点を合わせることができる。そして、光路変換装置1Eは、ほぼ100%の有効開口を持つため、バーレーザ801から出射された扁平したレーザビームを、高効率で光ファイバ803に集光することができる。
<第2の実施の形態のレーザモジュールの構成例>
図10は第2の実施の形態のレーザモジュールの一例を示す構成図で、図10(a)は第2の実施の形態のレーザモジュール800Bの平面図、図10(b)はレーザモジュール800Bの側面図である。
第2の実施の形態のレーザモジュール800Bは、光源として複数のバーレーザ801をスタック化したものである。すなわち、レーザモジュール800Bは、図示しない発光部の長手方向に対して直交する方向に、本例では5個のバーレーザ801が積層される。
各バーレーザ801から出射されたレーザビームを、光路変換装置1Eに結合させる入射光集光部材としての第1の光学系805は、各バーレーザ801毎にFACレンズ802aとSACレンズ802bを備える。また、各バーレーザ801から出射され、FACレンズ802aとSACレンズ802bでほぼ平行にされたレーザビームDを集光するシリンドリカルレンズ805aと、シリンドリカルレンズ805aで集光されたレーザビームDをほぼ平行にするシリンドリカルレンズ805bを備える。
光路変換装置1Eで再配置されたレーザビームD′を光ファイバ803に結合させる第2の光学系804は、第1の実施の形態のレーザモジュール800Aと同様に、レーザビームD′をほぼ平行にするシリンドリカルレンズ804aと、シリンドリカルレンズ804aでほぼ平行にされたレーザビームD′を、光ファイバ803の入射端面に集光するフォーカスレンズ804bとを備える。
<第2の実施の形態のレーザモジュールの動作例>
次に、図10等を参照して、第2の実施の形態のレーザモジュール800Bの動作の一例について説明する。
レーザモジュール800Bは、各バーレーザ801から一の方向に扁平したパターンでレーザビームが出射される。各バーレーザ801から出射されたレーザビームは、FACレンズ802aを透過することで垂直方向(y軸方向)の放射角が狭められ、更に、SACレンズ802bを透過することで水平方向(x軸方向)の放射角が狭められて、ほぼ平行にされる。
各バーレーザ801から出射され、FACレンズ802a及びSACレンズ802bを透過してほぼ平行にされることで、一の方向に扁平し、かつ一の方向に直交した他の方向に積層したパターンのレーザビームDは、シリンドリカルレンズ805aを透過することで集光され、シリンドリカルレンズ805bを透過することで光路変換装置1Eに入射する大きさとなるようにほぼ平行にされる。そして、反射プリズム300で反射して光路変換装置1Eの第1の反射面群S10Eに入射する。
光路変換装置1Eの第1の反射面群S10Eに入射したレーザビームDは、図6で説明したように、入射反射面S11E〜S18Eで反射することで長手方向に分割され、更に、出射反射面S21E〜S28Eで反射することで所定の角度回転して再配置されて、第2の反射面群S20Eから出射する。
再配置されて光路変換装置1Eから出射したレーザビームD′は、反射プリズム300で反射し、シリンドリカルレンズ804aを透過することでほぼ平行にされ、フォーカスレンズ804bを透過することで光ファイバ803の入射端面に集光されて、光ファイバ803に入射する。
第2の実施の形態のレーザモジュール800Bでは、光路変換装置1Eの前段に、2組のシリンドリカルレンズ805a,805bを備えることで、スタックされた複数のバーレーザ801から出射されたレーザビームを、光路変換装置1Eに入射することができる。
これにより、レーザモジュール800Bでは、スタック化された複数のバーレーザ801から出射されたレーザビームを、光路変換装置1Eの後段に備えたフォーカスレンズ804bで狭い範囲に焦点を合わせることができ、高出力化が可能となる。
なお、上述した第1の実施の形態のレーザモジュール800A及び第2の実施の形態のレーザモジュール800Bでは、レーザビームを分割して再配置する光路変換装置として、図6で説明した光路変換装置1Eを例に説明したが、バーレーザ801の図示しない発光部の数に応じて、図1で説明した光路変換装置1Aや図3で説明した光路変換装置1Bでも良いし、図4で説明した光路変換装置1Cや図5で説明した光路変換装置1Dでも良い。
1A〜1E・・・光路変換装置、S10A〜S10E・・・第1の反射面群、S20A〜S20E・・・第2の反射面群、S11A〜S12A・・・入射反射面、S11B〜S12B・・・入射反射面、S11C〜S18C・・・入射反射面、S11D〜S18D・・・入射反射面、S11E〜S18E・・・入射反射面、S21A〜S22A・・・出射反射面、S21B〜S22B・・・出射反射面、S21C〜S28C・・・出射反射面、S21D〜S28D・・・出射反射面、S21E〜S28E・・・出射反射面、S400・・・入射開口、500・・・出射開口、610・・・第1の光学ブロック、620・・・第2の光学ブロック、700・・・金属板材、702・・・反射面形成溝、703・・・接合面、800A,800B・・・レーザモジュール、801・・・バーレーザ、802a・・・FACレンズ、802b・・・SACレンズ、803・・・光ファイバ、804a・・・シリンドリカルレンズ、804b・・・フォーカスレンズ、805a・・・シリンドリカルレンズ、805b・・・シリンドリカルレンズ