JP4899537B2 - 光学素子、その製造方法、および該光学素子を利用する光変調器 - Google Patents

光学素子、その製造方法、および該光学素子を利用する光変調器 Download PDF

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Description

本発明は、光通信、光配線、光ストレージの分野において利用可能な光学素子、その製造方法、ならびに、該光学素子を利用して構成される光変調器に関する。特に、光の伝播媒質として、優れた電気光学効果を有する光学材料を利用する構成の光学素子、その優れた電気光学効果を有する光学材料を利用する光学素子を製造する方法に関する。
情報通信分野においては、光通信技術や光ストレージ技術の普及に伴い、ネットワークとの光信号の授受、電気信号と光信号との間の変換に用いられる各種の装置を構成する上で利用される光学素子の需要が増大している。特に、光通信分野においては、波長多重伝送の実用化に伴い、超高速光ファイバー・ネットワークを中心とした、所謂、基幹系の広域光通信ネットワークから、メトロ、アクセス系の光通信ネットワークへの利用が加速している。この利用範囲の拡大に付随し、ネットワーク上に接続される各ノード点における、光信号のアド・ドロップ等に利用される光学素子も、従来のバルク材を用いる光学素子を組み合わせる構成から、薄膜の光学材料を用いる平面導波路の利用により、小型化、集積化が可能な素子構成の応用が進んでいる。また、電気信号を光信号へと変換する際、光信号の外部変調やスイッチングのように光を能動的に制御するためには、電気信号に基づき生起される、電場や熱等の外部入力信号と、光学素子を形成する光学材料の相互作用による物理効果を用いる必要がある。例えば、シリコン系の平面導波路を利用する際、方向性結合器にヒータを付加し、誘電率ε、屈折率nの温度依存性に起因する熱光学効果を利用する光スイッチや、MEMSとの組み合わせによるスイッチ等が知られているが、いずれも応答速度がμsレベルと遅い。さらに、温度変化に起因する熱光学効果を利用する光スイッチでは、消費電力が大きいという課題があり、一方、MEMS型光スイッチは、全体の構造が複雑になり、それに付随して、現状では高価であるという欠点を有している。
印加された電場と物質の相互作用によって、電場と平行な方向と、電場に直交する方向では、物質の屈折率に差異が生じる電気光学効果は、その高速性、電圧駆動であることによる低消費電力性、構造の単純性から、光変調器に応用されている。一次電気光学効果を示すLiNbO3を用いた光変調器では、単結晶LiNbO3基板上にTi拡散法によりマッハツエンダー型導波路を形成し、各導波路に電場を印加する電極を組み合わせることで、光変調器を形成している。各導波路に設ける電極に電圧を印加することで、各導波路の屈折率nを変化させ、各導波路を伝播した後のコヒーレント光の位相差を制御し、合波される際の干渉に因って出力端の光信号強度を変化させることで、「ON/OFF」スイッチ動作をおこなうことができる。しかし、単結晶LiNbO3基板を用いる必要があり、素子の価格は高価であること、また、LiNbO3の電気光学効果は大きくないため、「ON/OFF」スイッチ動作に必要な位相差を達成するに必要な導波路の長さはcm台となる、すなわち、素子サイズがcm台と非常に大きいという欠点がある。
透明セラミックスである(Pb1-xLax)(ZryTi1-y)O3(PLZT)は、現行の光変調器に用いられているLiNbO3単結晶より二桁近く電気光学係数が大きいことから、「ON/OFF」スイッチ動作に必要な位相差を達成するに必要な導波路の長さの短縮による光学素子の小型化を可能とする。すなわち、光学素子の小型化に伴って、低コスト化、低消費電力化、および高速化への貢献も期待できる。これまでゾルゲル法による、PLZT薄膜の作製法が検討されてきている(非特許文献1、非特許文献2参照)。
しかし、ゾルゲル法で作製される、PLZT薄膜の電気光学効果は、バルクセラミックスの1/10程度であり、その電気光学効果の改善が望まれている。一方、酸化物の新たな成膜技術として、常温衝撃固化現象を利用したエアロゾルデポジション法(AD法)が開発された。AD法は、超微粒子材料の衝突付着現象を利用して、基板上に薄膜を形成している。このAD方法を適用して作製された、PLZT薄膜、PZT薄膜等の薄膜状の電気光学材料と、その電気光学効果を評価した結果が開示されているが、光変調器等に応用して、素子サイズの更なる小型化へ適用するには、その電気光学効果の改善の程度は十分ではない(非特許文献3参照)。
電気光学的な光変調効果を利用して、光信号の外部変調効率を高める手法として、ナノ金属微粒子のプラズモン共鳴を利用する手法が提案されている。具体的には、液晶材料を利用する外部変調を行う際、液晶材料中にナノ金属微粒子を均一に分散させる構造として、この金属微粒子表面におけるプラズモン共鳴による光散乱を利用して、実効的な光の透過率変化を大きくする手法である。その応答性は、液晶材料の配向に要する速度に依存しているため、高速動作は不可能であった。(非特許文献4)
一方、結晶性の酸化物マトリクス中に、均一に分散したナノ金属微粒子を形成する方法としては、イオン・インプランテーション法を利用する手法が報告されている(非特許文献5)。ペロブストカイト型結晶構造を有する電気光学材料であるLiNbO3に、Cuをイオン注入し、注入イオン・フラックスを制御することで、生成されるCuナノ粒子の粒子径、サイズを制御することが可能であることが報告されている。このCuナノ粒子の生成に伴い、吸収スペクトル上に、プラズモン共鳴に起因するピークが現れることを示している。しかし、このイオン注入により形成されるCuナノ粒子のLiNbO3結晶が示す電気光学効果への影響は、測定されていない。
また、電気光学効果を示す誘電体の母相中に、金属粒子を分散させた複合膜を、透明導電膜で挟持し、この透明導電膜に印加する電圧を変化させることにより、前記複合膜を透過する光の透過率を変化させることが可能であることが報告されている。この原理を利用する調光素子の発明が特許登録されている(特許文献1)。特には、誘電体膜に金属の粒子を分散させた複合膜は、伝導電子の共鳴効果により、誘電体膜単体と比較した時、電気光学効果が大きい特徴も利用されております。なお、該特許発明の調光素子を構成する、透明導電膜、複合膜は、それぞれ、PVD法(真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等)やCVD法(プラズマCVD法等)により形成されることも、開示されている。
K. D. Preston and G. H. Haertling : Appl. Phys. Lett. 60 (1992) 2831 K. Nashimoto, K. Haga, M. Watanabe, S. Nakamura and E. Osakabe: Appl. Phys. Lett. 75 (1999) 1054 Masafumi Nakada, Keishi Ohashi and Jun Akedo: J. Crystal Growth, 275 (2005) e1275 J. Muller, C. Sonnichesen, H. von Poschinger, G. von Plessen, T. A. Klar and J. Feldmann: Appl. Phys. Lett. 81 (2002) 4357 O. A. Plaksin, Y. Takeda, H. Amekura, N. Umeda, K. Kono, N. Okubo, N. Kishimoto: Appl. Surf. Sci. 241 (2005) 213 特許第2540894号公報
電気信号を光信号に変換する、外部変調方式の光変調器や光スイッチにおいて、デバイス・サイズの小型化、高速化を実現する上では、高い動作速度を有する電気光学効果を利用する電気光学変調方式を採用し、大きな電気光学効果を示す光学材料を光の伝播媒体に採用する光学素子が必要となる。加えて、例えば、導波路型の光学素子において、そのデバイス・サイズの小型化を進める上では、光の伝播媒体に用いる電気光学効果を示す光学材料を薄膜化することが望まれる。すなわち、異種の基板上に所望の膜厚を有する薄膜として形成することが可能であり、作製された薄膜状の光学材料は、大きな電気光学効果を示すものであることが望まれている。
具体的には、薄膜光導波路を利用する、外部変調方式の光変調器や光スイッチでは、電気光学効果を示す光学材料で形成される光導波路に外部電場を印加し、この電場と平行な方向の屈折率変化と、直交する方向の屈折率変化の差異を利用し、光導波路内を伝播する光の位相を変化させている。電場の印加されている光導波路の長さを短くし、その間に達成される位相変化量の差(位相差)を所望の値とするためには、印加される電場に起因する屈折率の変化量の差(電気光学効果)を大きくする必要がある。
本発明は、前記の課題を解決するものであり、本発明の目的は、薄膜光導波路を利用する、外部変調方式の光変調器や光スイッチの構成に好適に利用される、大きな電気光学効果を示し、所望の膜厚を有する薄膜として形成された光学材料を光の伝播媒体として使用する光学素子、その製造方法を提供することにある。加えて、本発明の目的には、かかる製造方法により作製される光学素子を応用して、構成される外部変調方式の光変調器や光スイッチの提供も含まれる。
本発明者は、高速応答性を要求される、光導波路を利用する、外部変調方式の光変調器や光スイッチにおいて、その光の伝播媒体として利用されている、大きな電気光学効果を示す酸化物電気光学材料について、その電気光学効果をさらに向上する手段を検討した。その検討において、酸化物電気光学材料中に、ナノサイズの金属微粒子を均一に分散させ、このナノ金属微粒子における、伝導電子の共鳴効果、例えば、プラズモン共鳴の効果を利用することにより、全体として、電気光学効果をさらに向上することが可能であることに着目した。加えて、ナノ金属微粒子を所望の分散密度で均一に分散している酸化物電気光学材料の薄膜を形成することが可能とすれば、外部変調方式の光変調器や光スイッチを構成する際に用いる、薄膜光導波路を利用する光学素子における、光の伝播媒体として好適に利用できることを着想した。
従来、酸化物電気光学材料中に金属微粒子を分散した薄膜の作製に利用されていた手法を詳細に検討した結果、下記する二つ課題を有していることを見出した。すなわち、
(1) PVD法(真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等)やCVD法(プラズマCVD法等)を応用する成膜法では、酸化物電気光学材料に、所望の平均粒子径を有するナノ金属微粒子を均一に分散した成形体薄膜を形成することは、困難であること。特に、一次電気光学効果を示す酸化物電気光学材料は、ペロブスカイト構造等の複雑な結晶構造を有し、その結晶構造の異方性によって、電気光学効果が発揮されるが、通常の成膜法では、その本来の結晶構造を示す薄膜を形成することが困難である。また、酸化物材料と固溶しない金属材料と、酸化物材料とを共スパッタ等により供給し、薄膜を形成することで、酸化物マトリクス中に、金属微粒子を形成することは可能であるが、その際、酸化物マトリクスは、非晶質化する、もしくは結晶性が悪くなるため、得られた薄膜全体として、大きな電気光学効果を発揮することはできない。
(2) ナノ金属微粒子の粒子径サイズを、この光の伝播媒体中を伝播させる光の波長よりも十分小さく、且つナノ金属微粒子自身の光学特性、例えば、プラズモン共鳴の効果を発現するに十分な大きさにすること。具体的には、酸化物材料と固溶しない金属材料と、酸化物材料とを共スパッタ等により供給し、薄膜を形成する際、酸化物マトリクス中に、金属微粒子を形成することは可能であるが、その平均粒子径と、分散密度を任意に制御することは困難である。
本発明者は、前記の二つの課題を解決する手段として、本来の結晶構造を有する酸化物電気光学材料のマトリックス中に、所望の平均粒子径を有するナノ金属微粒子を、所定の分散密度で均一に分散させた成形体を目的の膜厚で薄膜形成する際、常温衝撃固化現象を利用した薄膜形成法、特には、エアロゾルデポジション法(AD法)が有効であるということを見出した。すなわち、常温衝撃固化現象を利用した薄膜形成法、特には、エアロゾルデポジション法(AD法)を適用する際、原料粉末として、本来の結晶構造を有する酸化物電気光学材料粉末とナノ金属微粒子とが均一に分散・混合されている混合粉末を利用すると、得られる薄膜中に分散されている、ナノ金属微粒子の平均粒子径と、その分散密度を独立に高い精度で制御することが可能である。また、形成される薄膜自体は、本来の結晶構造を有する酸化物電気光学材料の微細な粉末相互が、常温衝撃固化のメカニズムによって、相互接合したマトリックス中に、予め準備した平均粒子径を有するナノ金属微粒子が取り込まれ、均一に分散した成形体の形成が可能である。
一方、常温衝撃固化現象を利用した薄膜形成法、特には、エアロゾルデポジション法(AD法)を適用して作製される、酸化物電気光学材料の成形体薄膜中には、原料粉末中に僅かに混入している、目的の酸化物とは組成の異なる異種の酸化物微粉末に由来する「微細な異相」が散在していることを確認している(特開2005−181995号公報を参照)。例えば、溶融体を固化して、酸化物電気光学材料である(Pb1-xLax)(ZryTi1-y)O3(PLZT)の結晶を調製する過程で、部分的に、PbOが相分離して、結晶化したものが混入することがある。予め、酸化物電気光学材料の結晶を調製する過程で、僅かに副生される異種の酸化物結晶性微粉末が、原料粉末中に混入し、作製された酸化物電気光学材料マトリックス中に「微細な異相」として、散在することがある。加えて、目的酸化物の微細な粉末相互が接合する過程で、「微細なポア(空孔)」が残余し、成形体中に均一に分布していることを確認している(特開2005−181995号公報を参照)。
前記「微細な異相」は、目的の酸化物とは組成の異なる異種の酸化物微粉末に由来するため、本来の結晶構造を有する酸化物電気光学材料マトリックスの屈折率とは、異なる屈折率を示す。また、「微細なポア(空孔)」部分は、酸化物微粉末の隙間空間がマトリックス中に残余したものであり、本来の結晶構造を有する酸化物電気光学材料マトリックスの屈折率とは、異なる屈折率を示す。「微細な異相」と「微細なポア(空孔)」は、該酸化物マトリクス材料中に均一に分散して存在する微粒子状の微細領域となっており、また、屈折率nならびに誘電率εが異なっているため、光の散乱体として機能する。具体的には、酸化物電気光学材料マトリックス中に均一に分散している、この微粒子状の微細領域は、該マトリックス中を伝播する光をレイリー散乱させる散乱体として機能する。その際、散乱体として機能する、「微粒子状の微細領域」の平均半径d2(nm)が、レイリー散乱を受ける光の波長λ(nm)よりも十分に小さい場合、光の進行方向に沿った消衰係数kは、k∝d2 6/λ4の比例関係で示される、「微粒子状の微細領域」の平均半径d2(nm)と光の波長λ(nm)に対する依存性を示すことを解明している(特開2005−181995号公報を参照)。
この酸化物電気光学材料マトリックス中に均一に分散している「微粒子状の微細領域」によるレイリー散乱に起因する「実効的な光透過率の減衰」を抑制する上では、「微粒子状の微細領域」の平均半径d2(nm)が、該マトリックス中を伝播する光の波長λ(nm)よりも十分に小さくすることが、有効である。特には、該酸化物電気光学材料マトリックス中を伝播する光の真空中における波長λ0(nm)に対して、「微粒子状の微細領域」の平均半径d2(nm)が、d2 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すように選択すると、該「微粒子状の微細領域」によるレイリー散乱に起因する「実効的な光透過率の減衰」を抑制する上では、顕著な効果を有する。この条件を満足すると、酸化物電気光学材料マトリックス中を通過し、入射側から出力側へと透過する光の比率、すなわち、実効的な光透過率を高く維持でき、「透明性の高い」酸化物電気光学材料マトリックスとなることを確認している(特開2005−181995号公報を参照)。
本発明においては、酸化物電気光学材料マトリックス自体は、前記の「微細な異相」と「微細なポア(空孔)」を均一に分散されている状態とし、この「透明性の高い」酸化物電気光学材料マトリックス中に、予め、該酸化物電気光学材料マトリックス中を伝播する光の真空中における波長λ0(nm)に対して、平均粒子径が該波長λ0(nm)より十分に小さくなるように調製したナノ金属微粒子を均一に分散させている成形体型薄膜を、常温衝撃固化現象を利用した薄膜形成法、特には、エアロゾルデポジション法(AD法)を用いて作製する。このナノ金属微粒子自体は、導体であるため、光の振動電場によって、分極は生じないが、その微粒子表面には、振動双極子が誘起され、散乱が起こる。その際、光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、該ナノ金属微粒子の平均半径dm(nm)が、dm≦(1/10)×λ0となる範囲に選択すると、作製された成形体薄膜の実効的な光透過率を高く維持でき、「透明性の高い」成形体薄膜となることを見出した。
さらには、酸化物電気光学材料マトリックス自体は、酸化物の微細な結晶が接合した成形体となっており、その微細な結晶相互の接合界面に起因して、光の散乱が生じる。接合されている、酸化物の微細な結晶の平均半径d0(nm)が、d0≦100nmの範囲の粒径とすることで、作製された成形体薄膜の実効的な光透過率の低下を抑制できる。好ましくは、光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、d0≦(1/10)×λ0となる範囲に選択すると、作製された成形体薄膜の実効的な光透過率を高く維持でき、「透明性の高い」成形体薄膜となることを見出した。
本発明者は、上述する知見に基づき、以下に記載する本発明を完成するに至った。
先ず、本発明にかかる光学素子は、
電気光学効果を示す光学材料薄膜を光の伝播媒質として用いる光学素子であって、
結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料薄膜を、光の伝播媒質として用いており、
前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料は、その屈折率n0が、電界の印加によって、印加された電界に比例する屈折率変化Δn0を起こす、電気光学効果を示す材料であり、
前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料は、常温衝撃固化現象によって、平均半径d0(nm)が、d0≦100nmの範囲の粒径を有する、前記電気光学効果を示す材料の微結晶が一体に成形されたものであり、
前記酸化物マトリクス材料中に分散されている該金属微粒子は、プラズモン共鳴ピークを示し、
該金属微粒子の表面を構成する金属材料が、真空中において示すプラズモン共鳴ピークのピーク波長λp0(nm)を基準として、
前記光学素子において、光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)を、λ0>λp0の範囲に選択している
ことを特徴とする光学素子である。
その際、該酸化物マトリクス材料中に分散されている金属微粒子の平均粒子径は、
前記光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、
該金属微粒子の平均半径dm(nm)が、dm≦(1/10)×λ0となる範囲に選択されていることが好ましい。また、該金属微粒子の表面を構成する金属材料は、
金、銀、銅、タングステンからなる単体金属の群から選択される単体金属、あるいは、それら金属二種以上で構成される合金材料であることが望ましい。
さらに、本発明にかかる光学素子においては、
結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料は、
さらに、該酸化物マトリクス材料中に分散して存在する微粒子状の微細領域を具えており、
該酸化物マトリクス材料中に分散して存在する微粒子状の微細領域における屈折率n1は、前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料の屈折率n0と異なっており、
前記光学素子において、光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、
前記酸化物マトリクス材料中に分散して存在する微粒子状の微細領域の平均半径d2(nm)は、d2 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すように選択されている構成とすることが可能である。
一方、一体に成形された該酸化物マトリクス材料を構成している前記電気光学効果を示す材料の微結晶の粒径は、
前記光学素子において、光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、
該電気光学効果を示す材料の微結晶の平均半径d0(nm)が、d0 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すように作製されていることが好ましい。
また、前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料は、
ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(ZrxTi1-x)O3)、ランタンが添加されたジルコン酸チタン酸鉛((Pb,La)(ZrxTi1-x)O3)、ストロンチウム添加チタン酸バリウム((Ba,Sr)TiO3)、ストロンチウム添加チタン酸鉛((Pb,Sr)TiO3)、KTN(K(TixNb1-x)O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる電気光学効果を示す材料の群から選択される電気光学効果を示す材料で構成されている形態とすることができる。
加えて、本発明は、上記の本発明にかかる光学素子の用途発明を提供しており、すなわち、上記の本発明にかかる光学素子を利用して構成される、外部変調方式の光変調器ならびに光スイッチの発明を併せて提供する。
すなわち、本発明にかかる光変調器は、
外部変調方式の光変調器であって、
前記光変調器は、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料を、光の伝播媒質として用いる光学素子を利用し、
該光学素子の光の伝播媒質に対して、電場を印加し、電気光学効果により、該光の伝播媒質の実効的な屈折率を変化させ、該光学素子中を伝播する光の位相の変化させる変調方式を用いており、
前記光学素子として、上記構成を有する本発明にかかる光学素子を用いている
ことを特徴とする光変調器である。その際、前記外部変調方式の光変調器は、
平面導波路を利用するマッハツエンダー型の光変調器とすることが好ましい。
また、本発明にかかる光スイッチは、
電気光学効果を利用するスイッチング方式の光スイッチであって、
前記光スイッチは、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料を、光の伝播媒質として用いる光学素子を利用し、
該光学素子の光の伝播媒質に対して、電場を印加し、電気光学効果により、該光の伝播媒質の実効的な屈折率を変化させ、該光学素子中を伝播する光の位相の変化させるスイッチング方式を用いており、
前記光学素子として、上記構成を有する本発明にかかる光学素子を用いている
ことを特徴とする光スイッチである。その際、前記電気光学効果を利用するスイッチング方式の光スイッチは、
平面導波路を利用する方向性結合器型の光スイッチとすることが好ましい。
一方、上記構成を有する本発明にかかる光学素子を製造する方法の発明も、提供しており、
本発明にかかる光学素子の製造方法は、
上記構成を有する本発明の光学素子を製造する方法であって、
前記電気光学効果を示す光学材料薄膜の作製工程において、
前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶と、前記金属微粒子とを所定の含有比率で均一に混合してなる原料粉末を、キャリアガス中に所定の密度で浮遊させ、所定の供給速度で下地層の表面に吹き付けて、
前記下地層の表面に吹き付けた際、原料粉末に含まれる前記酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶を、平均半径d0(nm)が、d0≦100nmの範囲の微細結晶に粉砕し、該微細結晶相互を、常温衝撃固化現象を利用して接合させ、前記金属微粒子を、該微細結晶の接合体の隙間に均一に分散させた成形体の薄膜を形成する
ことを特徴とする光学素子の製造方法である。その際、
前記常温衝撃固化現象を利用する成形体の薄膜を形成する手法として、
エアロゾルデポジション法を用いることが好ましい。
特に、平面導波路を利用する形態に適する、本発明にかかる光学素子の製造方法は、
上記構成を有する本発明の光学素子を製造する方法であって、
目的とする光の伝播媒質の形状に従って、該平面形状に相当する開口部を有するレジスト膜を下地層の表面に設ける工程と、
前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶と、前記金属微粒子とを所定の含有比率で均一に混合してなる原料粉末を、キャリアガス中に所定の密度で浮遊させ、所定の供給速度で下地層の表面に吹き付けて、
前記下地層の表面に吹き付けた際、原料粉末に含まれる前記酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶を、平均半径d0(nm)が、d0≦100nmの範囲の微細結晶に粉砕し、該微細結晶相互を、常温衝撃固化現象を利用して接合させ、前記金属微粒子を、該微細結晶の接合体の隙間に均一に分散させた成形体の薄膜を、前記レジスト膜の開口部内に、所望の膜厚で一体形成する工程と、
前記レジスト膜を除去し、リフトオフによって、前記一体形成された成形体の薄膜を目的とする光の伝播媒質の平面形状に相当する形状にパターニング加工を行う工程と、
前記パターニング加工を施した、前記成形体の薄膜の表面に研磨加工を施し、目的の膜厚を有する光の伝播媒質の形状とする工程とを具えている
ことを特徴とする光学素子の製造方法である。その際、特に、前記常温衝撃固化現象を利用する成形体の薄膜を形成する手法として、
エアロゾルデポジション法を用いることが好ましい。
本発明にかかる光学素子は、高速応答性を有する、大きな電気光学効果を示し、所望の膜厚を有する薄膜として形成された光学材料を光の伝播媒体として使用する光学素子であり、特に、形成された所望の膜厚を有する薄膜中には、所望の平均粒子径を有するナノ金属微粒子を、面内方向、膜厚方向ともに均一な密度で、所望の密度で分散させており、このナノ金属微粒子に起因するプラズモン共鳴の効果を利用して、電気光学効果の更なる向上が達成されている。加えて、この電気光学効果の更なる向上は、例えば、薄膜光導波路を利用する、外部変調方式の光変調器や光スイッチの構成に、本発明にかかる光学素子を応用することにより、そのデバイス・サイズの小型化に大きく貢献する。
本発明に関して、以下により詳しく説明する。
本発明にかかる光学素子では、該光学素子中において利用される光の伝播媒質として、電気光学効果を示す光学材料薄膜を用いている。特に、当該光学素子の用途、動作形態に応じて、適宜、この光学材料薄膜の膜厚を適正に選択するとともに、その動作形態に応じて、種々の下地層の表面に目的の光学材料薄膜を所望の膜厚で作製している。本発明では、電気光学効果を示す光学材料薄膜として、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料薄膜を利用している。その際、該酸化物マトリクス材料中に分散されている金属微粒子の平均粒子径を所望の範囲に選択した上で、所望の分散密度で、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料中に均一に分散した成形体型光学材料薄膜としている。
特許第2540894号公報に開示される手法では、電気光学効果を有する誘電体の母相に金属粒子を分散させた複合膜を形成する際、PVD法(真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等)やCVD法(プラズマCVD法等)を応用して、例えば、二元蒸着法を利用して、誘電体材料と、金属材料とを独立に供給しつつ、複合膜を形成している。その手法では、形成される複合膜中における、誘電体材料と金属材料との含有比率(体積分率)は、個々の供給量の比率を選択することで制御可能であり、金属粒子は、複合膜中に均一に分散したものとなる。しかしながら、分散されている金属粒子の平均粒子径と、その分散密度をそれぞれ独立に制御することは、特許第2540894号公報に開示される手法では困難である。例えば、誘電体材料と金属材料との含有比率(体積分率)は同じであっても、金属粒子の平均粒子径と、その分散密度を任意に選択することは全く困難である。特に、所定のナノサイズの平均粒子径を有する金属微粒子を、誘電体材料で構成される薄膜中に、所望の分散密度で分散している光学材料薄膜は、PVD法(真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等)やCVD法(プラズマCVD法等)を応用することでは作製困難である。
加えて、PVD法(真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等)やCVD法(プラズマCVD法等)では、誘電体材料と金属材料は、成膜表面に分子(または原子)の形態で付着され、その表面状において、誘電体膜を構成するとともに、金属原子は凝集して、金属粒子を構成する。その過程では、生成する金属粒子の周囲では、誘電体膜は、非晶質化する、もしくは結晶性が悪くなるため、金属粒子の分散密度によっては、複合膜全体において、良好な結晶性を有する領域の比率が低下したものとなる。
本発明では、特開2005−181995号公報に開示する手法の有する利点、すなわち、
結晶構造を有する酸化物材料の微細結晶を、常温衝撃固化現象を利用して、相互に接合することで、全体として、透明度の高い成形体型光学材料薄膜を、任意の膜厚で、下地層の表面上に形成できること、
この成形体型光学材料薄膜は、結晶構造を有する酸化物材料の微細結晶相互が接合した形状を有しており、用いる酸化物材料が電気光学効果を有する場合、得られる成形体型光学材料薄膜も、該酸化物材料の結晶が示す電気光学効果と匹敵する電気光学効果を発揮すること、
加えて、該成形体型光学材料薄膜の微細加工性は、それを構成する酸化物材料の微細結晶の粒径により制約を受けるが、微細結晶の粒径をナノサイズにすると、ナノサイズの精度の微細加工性が達成できること、
を利用している。さらに、本発明では、
常温衝撃固化現象を利用する成膜法を応用する際、原料粉末として、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶と、金属微粒子とを所定の比率で均一に混合した混合粉末を用いることによって、
結晶構造を有する酸化物材料の微細結晶を、常温衝撃固化現象を利用して、相互に接合する過程で、金属微粒子が混在していると、この金属微粒子を取り囲むように、酸化物材料の微細結晶が配置された状態で接合が進行するため、金属微粒子の周囲において、非晶質化する、もしくは結晶性が悪くなるという不具合は生じないこと、
混在させる金属微粒子は、予め、その平均粒子径を選択でき、金属微粒子の混合比率によって、得られる薄膜中に含まれる金属微粒子の分散密度を、金属微粒子の平均粒子径と独立して選択できること、
という特徴を具えるものとなっている。
その際、本発明では、常温衝撃固化現象を利用する成膜法を適用する際、平均粒子径、密度が互いに相違している、酸化物材料の微細結晶と金属粒子を混合した上で、原料粉末として利用するが、好ましくは、エアロゾルデポジション法を利用することで、原料粉末中の配合比率に比例する含有比率を有する成形体型光学材料薄膜を高い再現性で作製している。加えて、結晶構造を有する酸化物材料の微細結晶を、常温衝撃固化現象を利用して、相互に接合する過程では、酸化物材料の微細結晶の飛来速度を適正に選択すると、サブミクロンの粒径を有する酸化物材料の微細結晶が、成膜面に入射する際、その微細結晶には機械的衝撃力が負荷され、成膜面上において、粉砕され、ナノサイズの超微細結晶粒子となり、互いに接合する状態となる。常温衝撃固化現象を利用する際、原料粉末の飛来速度は、成膜する酸化物材料の種類、平均粒径、また、基板材料の種類等を考慮し、適宜選択されるものであるが、本発明で利用される酸化物材料に対しては、通常、50m/s以上の速度を用いることが望ましい。
例えば、可視光領域から近赤外光領域の光、例えば、真空中における波長λ0(nm)が、400nm〜2000nmの範囲の光に対して、該酸化物マトリクス材料を構成する前記超微細結晶粒子の平均半径d0(nm)は、d0≦100nmの範囲とでき、前記光の波長λ0(nm)よりの十分に小さなものとできる。光の伝播媒質として利用する成形体型光学材料薄膜中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、好ましくは、該酸化物マトリクス材料を構成している、電気光学効果を示す材料の超微細結晶粒子の平均半径d0(nm)が、d0 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すように作製することもできる。なお、単位体積当り、該酸化物マトリクス材料を構成している、電気光学効果を示す材料の超微細結晶粒子の個数Nは、N∝d0 3の関係に従って、超微細結晶粒子の平均半径d0(nm)が小さくなるとともに、増大していく。
このような電気光学効果を示す材料の超微細結晶粒子相互が接合する際、その境界面によって、レイリー散乱が生じる。この境界面に起因するレイリー散乱も、形成される成形体型の該酸化物マトリクス材料の透明度、実効的な光透過率を低下させる要因となる。その際、光の伝播媒質として利用する成形体型光学材料薄膜中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、前記の条件;すなわち、該電気光学効果を示す材料の超微細結晶粒子の平均半径d0(nm)が、d0 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すと、境界面に起因するレイリー散乱の寄与をより効果的に抑制できる。
また、酸化物材料の微細結晶、例えば、ナノサイズの超微細結晶粒子を互いに接合する際、その微細結晶粒子の間に存在する隙間空間が残された状態で相互接合が進行する場合があり、該酸化物マトリクス材料中には、前記隙間空間に由来するポア(空孔)が散在している状態となる。かかるポア(空孔)の形状は、概ね微粒子状となり、また、そのサイズ(径)は、その起源となる微細結晶粒子の間に存在する隙間空間のサイズに依存する。具体的には、微細結晶粒子の間に存在する隙間空間のサイズは、微細結晶粒子自体の平均粒子径と比例しており、好ましくは、前記超微細結晶粒子の平均半径d0(nm)を小さくすることで、該成形体型光学材料薄膜中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、生成するポア(空孔)の平均半径dp(nm)が、dp 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すように作製することもできる。その際、該酸化物マトリクス材料全体に占める、ポア(空孔)の体積比率が一定とすると、単位体積当り、該酸化物マトリクス材料中に存在するポア(空孔)の個数Npは、Np∝dp 3の関係に従って、生成するポア(空孔)の平均半径dp(nm)が小さくなるとともに、増大していく。
加えて、結晶構造を有する酸化物材料の微細結晶を作製する過程において、例えば、溶融体を固化して、酸化物電気光学材料である(Pb1-xLax)(ZryTi1-y)O3(PLZT)の結晶やPb(ZryTi1-y)O3(PZT)の結晶を調製する過程で、部分的に、PbOが相分離して、結晶化したものが混入することがある。その際、混入している、結晶化したPbOも、常温衝撃固化現象を利用する成膜法を適用する際、PLZTの超微細結晶粒子やPZTの超微細結晶粒子と同様に、結晶化したPbOも超微細結晶粒子の形態として、該酸化物マトリクス材料中に取り込まれた状態となる。このような該酸化物マトリクス材料を構成する、目的の酸化物と異なる材料、あるいは、異なる組成を有する部位(異相)は、微粒子状の微細領域として、該酸化物マトリクス材料中に散在している状態となる。かかる異相の形状は、概ね微粒子状となり、また、そのサイズ(粒径)は、通常、目的の酸化物材料の微細結晶、例えば、ナノサイズの超微細結晶粒子のサイズと同等となる。従って、該酸化物マトリクス材料を構成している、目的の酸化物材料の微細結晶、例えば、ナノサイズの超微細結晶粒子の平均半径d0(nm)を小さくすることで、好ましくは、該成形体型光学材料薄膜中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、混入する異相の平均半径dc(nm)が、dc 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すように作製することもできる。その際、該酸化物マトリクス材料全体に占める、異相の体積比率が一定とすると、単位体積当り、該酸化物マトリクス材料中に存在する異相の個数Ncは、Nc∝dc 3の関係に従って、異相の平均半径dc(nm)が小さくなるとともに、増大していく。
該酸化物マトリクス材料中に散在している、ポア(空孔)あるいは異相は、ともに、微粒子状の微細領域であり、かかる微細領域における屈折率n1は、前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料の屈折率n0と異なっている。従って、かかる微粒子状の微細領域でも、レイリー散乱が生じ、形成される成形体型の該酸化物マトリクス材料の透明度、実効的な光透過率を低下させる、要因の一つとなる。なお、該微粒子状の微細領域の平均半径d2(nm)は、生成するポア(空孔)の平均半径dp(nm)や混入する異相の平均半径dc(nm)に相当する。従って、光の伝播媒質として利用する成形体型光学材料薄膜中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、前記の条件;すなわち、該微粒子状の微細領域の平均半径d2(nm)が、d2 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すと、「微粒子状の微細領域」に起因するレイリー散乱の寄与をより効果的に抑制できる。
本発明では、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料中に、所望の平均粒子径を有する金属微粒子を、所定の分散密度で分散している成形体型光学材料薄膜を、光の伝播媒質として用いている。この金属微粒子も、光の伝播媒質中を伝播する光に対する散乱中心として機能する。該金属微粒子に起因するレイリー散乱も、当然に、成形体型光学材料薄膜における「実効的な光透過率の減衰」を引き起こす要因の一つとなる。この金属微粒子に起因するレイリー散乱の寄与を効果的に抑制するために、光の伝播媒質として利用する成形体型光学材料薄膜中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、該金属微粒子の平均半径dm(nm)を、dm≦(1/10)×λ0となる範囲に選択することが好ましい。
成形体型光学材料薄膜中において、酸化物マトリクス材料を構成している微粒子の粒径、生成するポア(空孔)や混入する異相の粒径、さらには、分散されているナノ金属微粒子の粒径の測定は、作製される薄膜の断面透過電子顕微鏡観察により行うことが可能である。例えば、下記の具体例においては、作製される薄膜の断面透過電子顕微鏡観察に、透過電子顕微鏡:H−9000UHR(日立製)を利用し、明視野像を観察し、酸化物マトリクス材料を構成している微粒子の粒径を測定している。
本発明では、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料中に、分散される金属微粒子は、常温衝撃固化現象を利用する成膜法を適用する際、酸化物の微細な結晶を構成する金属元素と交換し、相互拡散を引き起こすことの無いものが利用される。また、予め、平均粒子径がナノサイズとした金属微粒子を容易に調製可能であることが好ましい。これらの要件を考慮すると、該金属微粒子の表面を構成する金属材料として、金、銀、銅、タングステンからなる単体金属の群から選択される単体金属、あるいは、それら金属二種以上で構成される合金材料が好適に利用できる。貴金属である金、銀は、表面酸化膜を形成しづらく、ナノ金属微粒子の形成が容易である。また、銅は、金、銀と比較すると、格段に酸化を受け易いが、ナノ粒子の作製は容易であり、また、表面酸化膜は、比較的容易に還元して、金属面を回復することも可能である。一方、タングステンも、酸化はされるものの、酸化の進行は遅いので、ナノ粒子作製の障害とならない。
本発明では、これら金属微粒子に起因するプラズモン共鳴に付随して、このプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)の近傍において、成形体型光学材料薄膜全体の実効的な屈折率は、大きな波長依存性を示すことを利用している。該金属微粒子の表面を構成する金属材料として、金、銀、銅を用いている際には、真空中におけるプラズモン共鳴のピーク波長λp0(nm)は、可視光領域に存在する。一方、タングステンを用いる際には、酸化物誘電体中におけるプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)は、近赤外領域に存在する。すなわち、タングステンを用いる際には、酸化物誘電体中におけるプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)は、長距離光通信で用いられるレーザー光の波長領域となるので、この波長領域の光学素子への応用に適している。
例えば、真空中におけるプラズモン共鳴のピーク波長λp0(nm)は、金では、526nm、銀では、320nm、銅では、550nm、タングステンでは、1430nmであり、目的に応じて、用いる金属微粒子の金属種類を選択することが好ましい。
電気光学効果を有する酸化物マトリクス材料中に、ナノサイズの金属微粒子を分散した成形体型光学材料における、屈折率の波長依存性について、具体例を示して、説明する。この成形体型光学材料では、分散されている金属微粒子に起因するプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)の近傍で、実効的な複素屈折率:n−ikを考慮すると、その虚数部k(消衰係数)は、プラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)でピークを示し、同時に、実数部nは、対応するように、急激な変化を示す。
図1に、酸化物電気光学材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(ZrxTi1-x)O3)中に、ナノサイズの金微粒子を分散させた成形体の屈折率(n−ik)の波長依存性の計算結果を示す。この計算では、PZTと金の屈折率(n−ik)の波長依存性は、それぞれバルク材料の値を用い、有効媒質近似法により計算した。すなわち、成形体中に分散されている金微粒子の平均半径dm(nm)は、計算された範囲の光の波長λ0(nm)よりも十分に微細であるという前提下で、前記の近似法を適用している。なお、成形体中に占める金微粒子の体積分率は0.6%とした。消衰係数kは、波長670nmにピークを持ち、このピーク波長は、金微粒子に起因するプラズモン共鳴に由来している。対応して、複素屈折率(n−ik)の実数部nは、波長670nm付近で大きく変化している。従って、このプラズモン共鳴の効果を利用すると、電場を印加する際、より大きな屈折率変化が得られ、電気光学効果の増大が可能になる。
また、図2には、酸化物電気光学材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(ZrxTi1-x)O3)中に、ナノサイズの金微粒子を分散させた成形体の薄膜を、ガラス基板の表面上に形成したと仮定して、垂直入射条件での光透過率Tの波長λ依存性を推定計算した結果を示す。この垂直入射条件では、成形体の薄膜の表面から光を垂直に入射させ、ガラス基板の裏面側から光を出射させる形態であり、成形体の薄膜表面、成形体の薄膜とガラス基板表面との界面、ガラス基板の裏面で、それぞれ反射が生じる。また、分散されている金属微粒子の表面での反射も生じている。これらの反射の影響によって、光透過率の上限は、0.76となっている。さらに、ガラス基板自体の光吸収により、300nmよりも波長が短い紫外線領域は、透過が起こらない。また、PZT自体の光吸収端が、波長370nm付近にあり、その波長付近から透過率Tは増加し始める。加えて、酸化物マトリクス中に分散されているナノサイズの金微粒子、ならびに、酸化物マトリクス中散在している、ポア(空孔)あるいは異相などの「微粒子状の微細領域」に起因するレイリー散乱の波長依存性、すなわち、波長の短い光ほど、散乱を受け易いため、全体として、波長の短い領域の実効的な光透過率が減少している。一方、波長670nm付近にピークを示す、実効的な光透過率の減少は、金微粒子に起因するプラズモン共鳴に由来するものである。
真空中における、金微粒子のプラズモン共鳴のピーク波長λp0(nm)は、526nmであり、屈折率n(比誘電率εr)が大きなPZT中に分散すると、プラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)は、この屈折率n(比誘電率εr)の増加に伴って、長くなる。すなわち、電気光学効果を有する酸化物誘電体の成形体中に分散されている、金属微粒子に起因するプラズモン共鳴の効果を利用するためには、この成形体を利用する光の伝播媒質中を伝播する光の波長λ0(nm)は、この酸化物誘電体中における金属微粒子に起因するプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)に相当するものとする。従って、この成形体を利用する光の伝播媒質中を伝播する光の波長λ0(nm)は、該金属微粒子の表面を構成する金属材料が、真空中において示すプラズモン共鳴ピークのピーク波長λp0(nm)よりも長く選択する。
実際的には、作製された金属微粒子を分散している酸化物誘電体の成形体中において、実際に観測されるプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)に対して、該ピークの半値全幅Δλp1/2(=Δλp1/2++Δλp1/2-)を用いて、この成形体を利用する光の伝播媒質中を伝播する光の波長λ0(nm)を、少なくとも、λp<λ0≦(λp+Δλp1/2)の範囲、好ましくは、(λp+0.1×Δλp1/2)λp≦λ0≦(λp+0.6×Δλp1/2)の範囲に選択することが好ましい。
屈折率n(比誘電率εr)の酸化物マトリクス材料中に存在している、金微粒子に起因するプラズモン共鳴のピークλp(nm)は、真空中に存在している、金微粒子のプラズモン共鳴のピーク波長λp0(nm)と、酸化物マトリクス材料の誘電率(比誘電率εr)、屈折率nを用いて、次式で表すことができる。
λp=λp0・(1+(εr−1))1/2
≒λp0・n
ここで、光の振動数の範囲では、εr≒n2である。
図3に、金微粒子のプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)のマトリクス材料の誘電率εr(屈折率n)依存性を示す。酸化物マトリクス材料の比誘電率εr(屈折率n)の増加により、プラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)は増加している。
すなわち、酸化物マトリクス材料の屈折率nは、真空中の屈折率1よりも大きく、酸化物マトリクス材料中における光の速度vMと、真空中の光の速度(光速)c0の関係は、c0/vM=n、つまり、vM=c0/nとなっている。従って、真空中において、波長λp(nm)の光は、屈折率n(比誘電率εr)の酸化物マトリクス材料中おいては、その波長は、λp/n(nm)≒λp0となり、金表面におけるプラズモンと共鳴可能となる。
加えて、電気光学効果を示す酸化物マトリクス材料に電場を印加すると、酸化物マトリクス材料の屈折率nは、n+Δnに変化するため、プラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)が変化することがわかる。
次に、この計算結果に基づき、金微粒子のプラズモン共鳴による、電気光学効果の増強を定量的に見積もる。バルク結晶のPZTの一次電気光学定数rcは、200pm/V
程度であるが、エアロゾルデポジション法により作製されるPZT薄膜においては、測定される一次電気光学定数rcは、作製条件により、40〜80pm/V程度の範囲に分散している。ここでは、酸化物マトリクス材料であるPZTの一次電気光学定数rcを60pm/Vとし、5μmの電極間隔に1Vを印加した場合、電界強度Eは、0.2V/μmとなり、一次電気光学効果による屈折率変化Δnは、Δn=rc・E=0.0002となる。この屈折率変化Δnによるプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)のシフト量Δλpは、Δλp≒λp0・Δn≒0.1nmと見積もられる。
電場を印加している際に、プラズモン共鳴のピーク波長は、λp+Δλp(nm)となっているが、電場を除くと、λp(nm)となる。プラズモン共鳴のピーク波長の近傍における屈折率の波長依存性:dn/dλは、図1に例示するように大きくなっている。例えば、波長λp+δλp(但し、0<δλp<Δλp)における屈折率は、電場の印加の前後において、図1に示すプラズモン共鳴のピーク波長の前後における屈折率の波長依存性:dn/dλに従って、(dn/dλ)・Δλpに相当する変化を示す。具体的には、dn/dλ≒0.004(nm-1)である場合、電場の印加の前後における、プラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)のシフト量Δλp≒0.1nmに伴って、波長λp+δλp(但し、0<δλp<Δλp)における屈折率は、0.0004の変化を示す。従って、このプラズモン共鳴に起因する屈折率変化を利用すると、電場の印加前後における屈折率の変化は、金微粒子が存在しない場合と比較すると、その大きさは2倍と見積もられる。
なお、金属微粒子に起因するプラズモン共鳴に由来する消衰係数kの増大は、酸化物マトリクス材料中に分散されている金属微粒子の分散密度が増すとともに、増強される。その際、金属微粒子の分散密度が増し、金属微粒子に起因するプラズモン共鳴に由来する消衰係数kの増大がなされると、対応して、プラズモン共鳴のピーク波長前後における、屈折率nの変化量も増大される。従って、かかるプラズモン共鳴に起因する屈折率変化を利用することによって、電場の印加前後における屈折率の変化は、酸化物マトリクス材料中に分散されている金属微粒子の分散密度が増すとともに、より大きくなる。
一方、酸化物マトリクス材料中に分散されている金属微粒子の分散密度が必要以上に増すと、かかる金属微粒子に起因するレイリー散乱は増大するため、光の伝播媒質としての透明度は低下する。その点を考慮すると、金属微粒子の分散密度は、形成される成形体型光学材料薄膜中における、金属微粒子の占める比率(体積比率)として、5%以下に選択することが望ましい。通常、形成される成形体型光学材料薄膜中における、金属微粒子の占める比率(体積比率)を、2%〜0.01%の範囲、好ましくは、1%〜0.01%の範囲に選択することがより望ましい。
本発明にかかる光学素子では、上述するように、一次電気光学効果によって、酸化物マトリクス材料の屈折率nが、電場の印加前後で変化することに付随し、金属微粒子に起因するプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)がシフトすることを利用している。従って、酸化物マトリクス材料を構成する酸化物としては、大きな電気光学効果を示すものが好適である。従って、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(ZrxTi1-x)O3)、ランタンが添加されたジルコン酸チタン酸鉛((Pb,La)(ZrxTi1-x)O3)、ストロンチウム添加チタン酸バリウム((Ba,Sr)TiO3)、ストロンチウム添加チタン酸鉛((Pb,Sr)TiO3)、KTN(K(TixNb1-x)O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる電気光学効果を示す材料の群から選択される電気光学効果を示す材料で構成すると好ましい。
本発明にかかる光学素子は、電場の印加の前後において、酸化物マトリクス材料自体の電気光学効果による屈折率変化と比較して、分散されている金属微粒子に起因するプラズモン共鳴の効果を利用することで、より大きな屈折率変化を達成している。この特徴を利用することで、外部変調方式の光変調器、あるいは、光スイッチの作製に、本発明にかかる光学素子を応用することができる。
具体的には、外部変調方式の光変調器に適用する際には、
前記光変調器は、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料を、光の伝播媒質として用いる光学素子を利用し、
該光学素子の光の伝播媒質に対して、電場を印加し、電気光学効果により、該光の伝播媒質の実効的な屈折率を変化させ、該光学素子中を伝播する光の位相の変化させる変調方式を用いたものとし、
前記光学素子として、本発明にかかる光学素子を利用する形態とする。特に、本発明にかかる光学素子は、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料薄膜を、光の伝播媒質として用いる光学素子であるので、この薄膜状の光の伝播媒質を用いて作製される、平面導波路を利用するマッハツエンダー型の光変調器とすることがより好ましい。すなわち、目的とする平面導波路の平面形状、膜厚にしたがって、成形体型光学材料薄膜をかかる平面形状、膜厚で作製した上で、マッハツエンダー型の光変調器を構成する。
また、光スイッチに適用する際には、電気光学効果を利用するスイッチング方式の光スイッチとする。すなわち、前記光スイッチは、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料を、光の伝播媒質として用いる光学素子を利用し、
該光学素子の光の伝播媒質に対して、電場を印加し、電気光学効果により、該光の伝播媒質の実効的な屈折率を変化させ、該光学素子中を伝播する光の位相の変化させるスイッチング方式を用いたものとし、
前記光学素子として、本発明にかかる光学素子を利用する形態とする。特に、本発明にかかる光学素子は、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料薄膜を、光の伝播媒質として用いる光学素子であるので、この薄膜状の光の伝播媒質を用いて作製される、平面導波路を利用する方向性結合器型の光スイッチとすることがより好ましい。
なお、本発明にかかる光学素子は、その光の伝播媒質として、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料薄膜を、その使用形態に応じて、所望の形状にパターン加工して利用する。特に、成形体型光学材料薄膜は、酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶と金属微粒子とを、下地層表面に吹く付け、酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶を更に粉砕して、得られる微細結晶相互を、常温衝撃固化現象を利用して接合させて、均質なマトリクスを形成し、その中に、金属微粒子が均一に分散した状態とする。形成される薄膜の膜厚は、均一であるが、微視的には、表面は、かかる微細結晶の平均粒子径に相当する極めて微細な凹凸を示すものとなる。この極めて微細な凹凸は、光の乱反射を引き起こす要因ともなり、使用目的に応じた平坦さを有する表面とするため、所定の研磨処理を施すことが望ましい。
また、下地層表面の所定部分に、目的とするパターン形状で、かかる成形体型光学材料薄膜からなる、光の伝播媒質を設けることが一般的である。その際、本発明で利用する、常温衝撃固化現象を応用する成膜方法は、下地層に対する依存性が無いという利点を有するが、換言するならば、下地層の特異性を反映する選択的な成膜(選択成長)には不向きな成膜方法となっている。従って、下地層表面の所定部分に、成形体型光学材料薄膜を形成する際には、この目的部分以外を、予め、マスク層で被覆して、このマスク層の表面を含め、表面全体に成膜を行った後、マスク層を除去する過程で、このマスク層の表面に形成される薄膜を併せて、除去する手法が好適に利用される。具体的には、レジスト膜を利用して、マスク層を形成し、表面全体に成膜を行った後、レジスト膜を除去する過程で、このレジスト膜の表面に形成される薄膜を併せて、除去するリフトオフ手法が好適に利用される。その結果、レジスト膜に設ける開口部の形状により、リフトオフ後に下地層表面に残される、成形体型光学材料薄膜の平面形状が一意的に決定される。このリフトオフ手法を利用するパターニング法を適用するので、高い精度で成形体型光学材料薄膜のパターニング可能が可能である。成形体型光学材料薄膜表面に対する研磨加工は、かかるパターニング工程の後に実施する。
リフトオフ法を適用する上では、レジスト膜自体のパターニングは、通常のフォトリソ法が利用できる。その際、フォトリソ工程後、現像し、ポストベーキング処理を施した後のレジスト膜の膜厚が、リフトオフ法によりパターニングされる成形体型光学材料薄膜の膜厚よりも有意に厚くする必要がある。例えば、平面導波路のコア層へ応用する際には、コア層の厚さ(高さ)は、かかるコア層中を伝播する光の波長と同程度、または、それ以上に選択されるため、例えば、波長1.55μmの半導体レーザー光を伝播させる際には、コア層の厚さ(高さ)は、2μm程度とする。このコア層の厚さ(高さ)は、表面に研磨加工を施した後の厚さ(高さ)であり、リフトオフ法によりパターニング加工される成形体型光学材料薄膜の膜厚は、2.5μm程度となる。従って、ポストベーキング処理を施した後のレジスト膜の膜厚は、この2.5μmを有意に超える、3μmあるいは、それ以上の厚さとなる。
通常、半導体装置の金属膜に適用されるリフトオフ法は、膜厚0.5μmを超えない金属膜を対象としており、レジスト膜の膜厚は、1μm程度である。本発明において、利用されるレジスト膜の膜厚が3μmを超える際に好適に利用可能なレジスト材料としては、例えば、THB151N(JSR製)などを挙げることができる。
例示されるレジスト材料を用いると、当初の塗布膜厚を、5μmを超える範囲に設定し、プレ・ベーキング後、含まれる溶剤を部分的に除去した状態では、膜厚は4μm程度となり、露光後、現像し、ポストベーキング処理を施した後、レジスト膜の膜厚は、3μm程度とできる。露光深さは、プレ・ベーキング後のレジスト膜の厚さ4μm程度が必要となるため、露光光源として、例えば、波長356nmの紫外線を用い、コンタクト露光を行うことが好ましい。
また、パターニング加工を施した、成形体薄膜の表面に研磨加工を施す際、研磨加工後の表面の平坦さは、その凹凸は2nm以下とすることが望ましい。表面には、酸化物材料に加えて、金属微粒子が露呈されている可能性があり、その双方に対して、研磨加工が可能な研磨手段として、ダイヤモンドスラリーなどを研磨剤として利用することが好ましい。
従って、本発明にかかる光学素子を製造する際、その主要な工程である、成形体型光学材料薄膜の作製と、そのパターニングの過程は、下記する工程により行うことが好ましい。すなわち、
目的とする光の伝播媒質の形状に従って、該平面形状に相当する開口部を有するレジスト膜を下地層の表面基板表面に設ける工程と、
前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶と、前記金属微粒子とを所定の含有比率で均一に混合してなる原料粉末を、キャリアガス中に所定の密度で浮遊させ、所定の供給速度で下地層の表面基板表面に吹き付けて、
前記下地層の表面基板表面に吹き付けた際、原料粉末に含まれる前記酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶を、平均半径d0(nm)が、d0≦100nmの範囲の微細結晶に粉砕し、該微細結晶相互を、常温衝撃固化現象を利用して接合させ、前記金属微粒子を、該微細結晶の接合体の隙間に均一に分散させた成形体の薄膜を、前記レジスト膜の開口部内に、所望の膜厚で一体形成する工程と、
前記レジスト膜を除去し、リフトオフによって、前記一体形成された成形体の薄膜を目的とする光の伝播媒質の平面形状に相当する形状にパターニング加工を行う工程と、
前記パターニング加工を施した、前記成形体の薄膜の表面に研磨加工を施し、目的の膜厚を有する光の伝播媒質の形状とする工程とを具えている作製プロセスとすることが好ましい。なお、本発明で利用する常温衝撃固化現象を利用する成形体の薄膜を形成する手法として、エアロゾルデポジション法を用いることがより好ましい。
加えて、本発明にかかる光学素子は、その光の伝播媒質として、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料薄膜を利用し、この分散されている金属微粒子に起因するプラズモン共鳴の効果を利用している。常温衝撃固化現象を利用して、成膜された成形体型光学材料薄膜は、成膜した時点でも、分散されている金属微粒子に起因するプラズモン共鳴を示すが、多くの場合、さらに、かかる薄膜にアニール処理を施すと、分散されている金属微粒子に起因するプラズモン共鳴の効果が向上される。このアニール処理の条件は、利用されている酸化物の種類、ならびに、分散されている金属微粒子の種類、サイズによって、適宜選択することが好ましい。しかしながら、一般的にアニール処理の条件として、アニール温度は、850℃〜350℃の範囲、アニール雰囲気は、酸素を含む雰囲気を選択し、少なくとも、アニール時間を5分間〜30分間の範囲に選択することは望ましい。
以下に、具体例を示して、本発明に関して、さらに詳しく説明する。なお、以下に示す事例は、本発明の最良の実施形態の一例ではあるが、本発明の技術的範囲は、これらの形態に限定されるものではない。
(実施の態様1)
図4は、本実施態様で成形体型光学材料薄膜の作製に用いた、AD法による成膜装置の構成を示す概略図である。キャリアガスとして酸素ガスを用いており、この酸素ガスを内蔵するガスボンベ40は搬送管を介してガラスボトル41に接続されている。ガラスボトル41内に、原料粉末42を入れ、排気管43を介して、20Pa程度の真空に排気した後、キャリアガスとして、酸素ガスの所定の流量に制御しながら導入する。ガラスボトル41を加振器44により振動させることで、酸素ガス中に原料粉末の微粒子を分散させたエアロゾルを発生させる。発生したエアロゾルは、キャリアガスにより、搬送管45を介して、成膜チャンバー46に搬送する。成膜チャンバー46は、真空ポンプ47により所定の真空度に排気される。ノズル48から、基板49表面に原料粉末を吹き付けることで、常温衝突固化現象を利用する薄膜の形成がなされる。
本実施態様では、次の成膜条件を用いている。キャリアガスの酸素ガス中に分散される原料粉末は、加振器の振動数:250rpm(250/60Hz)、酸素ガス流量:12L/分の条件でエアロゾルとされる。成膜チャンバー46内の圧力(真空度)は、作動排気により、成膜時は、600Pa程度に維持する。基板表面への原料粉末の吹き付けは、ノズルと基板の入射角を10°として行う。基板(下地層)には、ガラス基板を用いた。原料粉末は、電気光学効果の大きな酸化物であるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)系粉末と、金微粒子の混合物である。用いるPZT粉末の組成は、Pb(ZrxTi1-x)O3においてx=0.6であり、該PZT粉末(微細結晶)の平均粒径は、0.7μmとした。酸化物マトリクスの成膜材料である、PZT系粉末は、ペロブスカイト型結晶構造を持つ強誘電体の組成であり、一次の大きな電気光学係数を持っており、本発明にかかる光学素子への適応が可能な組成である。一方、金微粒子の平均粒径(平均半径)は、5nmである。原料粉末中における、PZT系粉末と金微粒子の混合比は、金微粒子の含有率を、体積分率で0.0005(0.05%)とした。
ここで使用するPZTの組成(x=0.6)は、モルホトロピック相境界と呼ばれるZr:Ti=52:48(x=0.52)付近の領域から、有意に外れた組成としている。
この成膜条件において、金微粒子を分散している成形体型光学材料薄膜の成膜速度は、0.5μm/分である。また、原料粉末として、PZT粉末(微細結晶)のみを用いて作製される、成形体型PZT単体薄膜の成膜速度も、0.5μm/分である。
図5に、上記の条件に準じて、PZT粉末(微細結晶)を用いて作製したPZT単体膜と、PZTと金微粒子の混合膜の透過率スペクトルを対比して示す。横軸は波長λ(nm)、縦軸は透過率Tである。光透過率は、垂直入射条件において、分光光度計によって測定した。作製された成形体型光学材料薄膜の試料表面を研磨し、表面散乱の影響を極力除去している。検出器には大型積分球を用い、成形体型光学材料薄膜を構成する微細な結晶粒子の粒界面、金微粒子に起因する散乱光と透過光とを合せて、実効的な透過光として測定している。研磨後の成形体型光学材料薄膜の試料膜厚は1μmである。
PZT単体膜では、透過率Tは、ガラスの光吸収端に相当する、350nm付近で急激に増加し、850nm以上でほぼ飽和(一定化)している。一方、PZTと金微粒子の混合膜では、アニール処理を施す前は、600nm付近に緩やかな吸収が観測されている。PZTと金微粒子の混合膜にアニール処理を施した後では、650nm付近の大きな吸収となり、金微粒子のプラズモン共鳴が生じていることがわかる。前記のアニール処理の条件は、大気中(酸素20%:窒素80%雰囲気中)、600℃、30分である。
アニール処理を施したPZTと金微粒子の混合膜上に、Tiにより電極を作製し、波長680nmの検出光で電気光学効果を測定した。電極間隔を20μmとし、5Vの電圧を印加し、実効的な電界強度E=5V/20μmが印加された際、印加される電場と平行な方向における、屈折率変化量は0.0004であった。従って、アニール処理を施したPZTと金微粒子の混合膜の、波長680nmにおける実効的な一次の電気光学定数rceff.(=2Δn/(E×n3))は、rceff.=2×0.0004/{(5V/20μm)×(2.5)3}=200pm/Vに相当する。一方、PZT単独膜の場合、同じ電圧印加条件において、印加される電場と平行な方向における、屈折率変化量は0.00015であった。従って、PZT単独膜の波長680mにおける、実効的な一次の電気光学定数rceff.(=2Δn/(E×n3))は、rceff.=2×0.00015/{(5V/20μm)×(2.5)3}=80pm/Vに相当する。
単純に両者を比較すると、アニール処理を施したPZTと金微粒子の混合膜では、PZT単独膜と比較して、電気光学効果を倍増する効果が認められる。なお、PZT単独膜における屈折率変化量Δn=0.00015に基づき推定される、プラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)のシフト量Δλpは、Δλp≒λp0・Δn≒525×0.00015≒0.075nmと見積もられる。このように僅かなシフト量Δλpによって、上記のような実効的な屈折率変化が得られている。換言すると、このアニール処理を施したPZTと金微粒子の混合膜において、プラズモン共鳴のピーク波長の前後における屈折率の波長依存性:dn/dλは、dn/dλ≒0.0004/0.08≒0.005(nm-1)に相当すると推定される。
なお、電場印加の前後における、上記の薄膜試料の屈折率変化は、非特許文献3(Masafumi Nakada, Keishi Ohashi and Jun Akedo: J. Crystal Growth, 275 (2005) e1275)に開示される測定法に準じて、発振波長632.8nmのHe−Neレーザー光に代えて、連続光源の光を分光して、単色化した光を利用して測定している。
比較例として、スパッタ法を用いて、PZTと金微粒子の混合膜を作製した。具体的には、PZTターゲットとAuターゲットを用いて、共スパッタ法により、PZTと金とを含む薄膜を形成した。スパッタガスにはArを用いて、PZTと金の混合比は、金の含有率を、体積分率で0.005(0.5%)とした。なお、作製した薄膜の膜厚は500nmであった。
アニール処理を施していない薄膜では、プラズモン共鳴に由来する光透過率の減少は観察できなかったが、600℃、5分間のアニール処理を施すことにより、650nm付近にプラズモン共鳴に由来する光透過率の減少が観測される。共スパッタ法で作製し、アニール処理を施した、前記PZTと金微粒子の混合膜上に、Tiにより電極を作製し、波長680nmの検出光で電気光学効果を測定したところ、電場(電界強度E=5V/20μm)印加の前後において、屈折率の変化は観測できなかった。
共スパッタ法で作製した混合膜のX線回折の結果、アニール処理後であっても、混合膜を構成している酸化物マトリクス部分は、ペロブスカイト構造に特徴的な回折を示していないことが判明した。従って、酸化物マトリクス自体、ペロブスカイト構造を有していない結果、電気光学効果を示さないと判断される。すなわち、電場を印加した際、酸化物マトリクス自体の屈折率変化が無く、また、プラズモン共鳴のピーク波長のシフトも得られないため、混合膜中の含有される金微粒子に起因する屈折率の変化が観測されていないと考えている。
本実施態様では、エアロゾルデポジション法を適用して、金属微粒子を分散している成形体型光学材料薄膜の作製する際、酸化物マトリクスを構成する、酸化物微細結晶として、電気光学材料であるPZT(Pb(ZrxTi1-x)O3)の微細結晶を用いているが、酸化物マトリクスの作製に利用する電気光学材料系はそれに限定されるものではない。例えば、ランタンが添加されたジルコン酸チタン酸鉛(PLZT:(Pb,La)(ZrxTi1-x)O3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ストロンチウム添加チタン酸バリウム((Ba,Sr)TiO3)、ストロンチウム添加チタン酸鉛((Pb,Sr)TiO3)、KTN(K(TixNb1-x)O3)等の電気光学材料を利用しても、同様の効果がある。また、PZT、ランタンが添加されたジルコン酸チタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム、ストロンチウム添加チタン酸バリウム、KTN、LiNbO3等の電気光学材料に、さらに、他の元素を添加した酸化物材料系を利用しても、同様の効果が得られる。
(実施の態様2)
次に、本発明にかかる光学素子を用いて、光変調器を構成する実施態様について説明する。まず、ガラス基板上に、下部電極として、膜厚180nmのITO膜を成膜する。ITO膜の成膜には、アルゴンガスを利用する、マグネトロン・スパッタ法を用いて、ガラス基板上に、室温で堆積させた。
下部電極用ITO膜の表面上に、マッハツエンダー型の平面導波路形状の開口部を有する、厚さ5μmのレジスト膜(マスク層)を形成した。平面導波路形状へのパターニングは、該レジスト膜(マスク層)を利用して、リフトオフ工程により行う。
その後、平均粒子径0.7μmのPb(Zr0.3Ti0.7)O3粉末と平均粒径(平均半径)5nmのタングステン微粒子の混合物を原料粉末として、AD法によって、膜厚3μmの混合膜を形成する。
なお、用いた原料粉末中、Pb(Zr0.3Ti0.7)O3粉末とタングステン微粒子の混合比は、タングステン微粒子の配合率を、体積分率で0.005(0.5%)とした。それ以外の成膜条件は、上記の実施態様1において、金微粒子を分散する成形体型光学材料薄膜の作製と同じ条件を用いている。このタングステン微粒子を分散している成形体型光学材料薄膜の成膜速度は、0.5μm/分である。
レジスト膜(マスク層)を除去することにより、リフトオフ法により、堆積されたPZTとタングステン微粒子の混合膜を、目的の平面導波路形状にパターニングする。次いで、この混合膜の表面を研磨加工により平坦化し、膜厚2μmの導波路コア層とする。電場を印加しない状態における、波長1.55μmに対する、このコア層の屈折率ncoreは、ncore=2.5である。電場を印加する領域における、該導波路コア層の断面形状は、幅2μm×高さ(厚さ)2μmの矩形形状である。また、電場印加用の電極を形成する領域の導波路長は、1mm(1000μm)とし、マッハツエンダー型の平面導波路の分岐部における、導波路のベント角は、5°に選択されている。
次いで、前記コア層を埋め込むように、コア層の屈折率ncoreより小さな屈折率を有するPLZT((Pb,La)(ZrxTi1-x)O3)膜を、膜厚2.5μm、AD法により形成する。その後、PLZT膜の表面を研磨し、コア層上面のPLZT膜を除去し、研磨後の膜厚を2.0μmとする。従って、コア層の側壁面を、該PLZT膜が被覆する状態とし、クラッド層として利用する。波長1.55μmに対する、このクラッド層用のPLZT膜の屈折率ncladは、nclad=2.45に選択されている。該クラッド層用のPLZT膜の平均組成は、(Pb0.91,La0.09)(Ti0.35,Zr0.65)O3である。結果的に、コア層/クラッド層の界面は、屈折率ncore/ncladの変化を示す界面となっている。このコア層/クラッド層の界面における臨界角rは、r=78°となっている。
PLZT膜表面の研磨を終えた後、該マッハツエンダー型の平面導波路のコア層の所定領域に、上部電極として、ITO膜/Au電極をスパッタ法で成膜する。上部電極用のITO膜も、アルゴンガスを利用する、マグネトロン・スパッタ法を用いて、室温で堆積させている。この上部電極用のITO膜の膜厚は、100nmとしている。該上部電極は、上記の導波路長1mmの領域の表面に設けられ、下部電極と上部電極との間に、電圧を印加し、かかる領域のコア層に対して、その膜厚方向に平行な電場が印加される形態とされている。前記上部電極のパターニングは、ITO膜に対しては、リフトオフ法を用い、Au電極に対しては、リフトオフ法を用いている。
なお、コア層用のPZTとタングステン微粒子の混合膜には、600℃、5分間のアニール処理が施されている。また、クラッド層用のPLZT膜には、600℃、5分間のアニール処理が施されている。
作製されたマッハツエンダー型の平面導波路を用いる、外部変調方式の光変調器では、電極が形成されている部分では、コア層の上面と下面は、波長1.55μmに対する屈折率が1.9のITO膜と接触している。
形成された光変調器において、該マッハツエンダー型の平面導波路部分について、電極に、0Vの電圧を印加している状態(無変調状態)での伝播損失の波長依存性を測定すると、酸化物マトリクス中に分散されているタングステン微粒子に起因するプラズモン共鳴のピーク波長λp(nm)は、λp=1450(nm)であり、対応する波長領域において、伝播損失の増大が観測される。一方、波長1.55μmの光に対する、無変調状態での伝播損失は、光変調器全体で12dBである。
次に、先球ファイバーにより、波長1.55μmの光を該光変調器のコア層に導入し、下部電極と上部電極との間に10Vの電圧を印加して、その変調度の評価を行った。印加電圧10V/0V間における、波長1.55μmの光に対する変調度は、15dBであった。
その際、下部電極と上部電極との間に10V電圧印加時における、該混合膜型コア層の膜厚方向の屈折率nZと、電場の印加方向と直行する、光の導波方向と平行な方向の屈折率nXとの差異:ΔnZX=(nZ−nX)は、波長1.55μmの光に対しては、ΔnZX≒0と見積もられる。また、10V電圧印加時における、コア層内の光の導波方向の屈折率nXと、コア層の側壁面方向(光の導波方向と直交方向の)の屈折率nYとの差異ΔnXY=(nX−nY)は、ΔnXY≒0.006と見積もられる。
従って、該混合膜型コア層を用いる際には、上記の電圧印加状態において、所望の位相差を得るに必要な電極形成領域の導波路長は、1mm(1000μm)が選択されている。
一方、タングステン微粒子を分散していないPZT単独膜をコア層に用いた場合、下部電極と上部電極との間に10V電圧印加時における、該コア層の膜厚方向の屈折率nZと、電場の印加方向と直行する、光の導波方向と平行な方向の屈折率nXとの差異:ΔnZX=(nZ−nX)は、波長1.55μmの光に対しては、ΔnZX≒0と見積もられる。また、10V電圧印加時における、単独膜型のコア層内の光の導波方向の屈折率nXと、コア層の側壁面方向(光の導波方向と直交方向の)の屈折率nYとの差異ΔnXY=(nX−nY)は、ΔnXY≒0.003と見積もられる。
従って、該単独膜型コア層を用いる際には、上記の電圧印加状態において、所望の位相差を得るに必要な電極形成領域の導波路長として、2mm(2000μm)を選択する必要がある。
すなわち、PZTとタングステン微粒子の混合膜コア層を利用すると、PZT単独膜型コア層を利用する際と比較し、同じ電圧の印加条件において、同じ位相差を得るに必要な導波路長を、1mm/2mmの比率で短縮することが可能となる。
この実施態様では、マッハツエンダー型の平面導波路を利用する、外部変調方式の光変調器の構成について、説明を行っているが、同様に平面導波路を利用する、方向性結合器型の光スイッチの構成に応用することも可能である。
なお、上記の実施態様においては、PZTとタングステン微粒子の混合膜コア層を形成する際、そのパターニング手法として、リフトオフ法を用いている。逆に、PZTとタングステン微粒子の混合膜を形成した後、目的とする平面導波路形状のレジスト・マスク層を作製し、このレジスト・マスク層をエッチングマスクとして、反応性イオンエッチング等で、混合膜を選択的にエッチング除去し、パターニングする方法も適用可能である。
本発明にかかる光学素子では、上述ように、平面導波路を構成するコア層として、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料薄膜を、加えて、該コア層を取り巻くクラッド層として、酸化物マトリクス材料で構成される成形体型光学材料薄膜を利用でき、いずれも、常温衝撃固化現象を利用する成形体の薄膜を形成する手法、特には、エアロゾルデポジション法を用いることが可能である。すなわち、これら薄膜自体は、結晶構造を有する酸化物マトリクスを構成する際、下地層の結晶性に本質的に依存しないため、目的の酸化物の結晶構造とは全く異なる結晶構造を有する下地層の表面に、本発明の光学素子で利用する、光の伝播媒質を形成することが可能である。例えば、ITO膜のような結晶構造が異なる多結晶体膜の表面に、平面導波路を構成するコア層、クラッド層を形成することが可能である。
下地層の結晶性に本質的に依存しないという利点は、例えば、レーザー、電気光変換器、光電気変換器、光増幅器、光導波路、光フィルター等の別種の光学素子を予め形成した基板、あるいは、CPU、メモリー等の電子素子で構成される集積回路が予め形成されている基板に対して、さらに、これらの基板上に本発明にかかる光学素子を作製して、全体として、本発明の光学素子で構成される光デバイスと、他のデバイスを集積した光集積デバイスの作製に応用することができる。
本発明にかかる光学素子、その製造方法は、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料薄膜を光の伝播媒質に用いており、特に、分散されている金属微粒子のサイズ、分散密度を独立に選択できる利点を活用することで、電気光学効果の増強を図れる上に、その設計自由度も広く、幅広い対象において、適用可能である。
本発明にかかる光学素子において、光の伝播媒質として利用可能な結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料の一例である、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr0.6Ti0.4)O3)のマトリックス中に、金微粒子を均一に分散させた成形体が示す実効的な屈折率neff、消衰係数keffの波長λ依存性を推定計算した結果を示す図である。 ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr0.6Ti0.4)O3)のマトリックス中に、金微粒子を均一に分散させた成形体薄膜に対して、垂直入射条件での光透過率Tの波長λ依存性を推定計算した結果を示す図である。 酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子における、プラズモン共鳴による非干渉性光散乱のピーク波長λpの酸化物マトリクス材料の比誘電率εr依存性(εr≒neff 2)の計算結果を、ピーク波長λpの実効的な屈折率neff依存性として示す図である。 本発明にかかる光学素子において利用される成形体型光学材料の薄膜を成長する装置の一例であり、実施例1において利用するエアロゾルデポジション法による成膜装置の構成を模式的に示す図である。 実施例1において、エアロゾルデポジション法によって成膜された、結晶性のPb(Zr0.6Ti0.4)O3マトリクス材料中に、ナノサイズの金微粒子が分散された薄膜の、アニール処理前、アニール処理後の透過率スペクトル、ならびに、結晶性のPb(Zr0.6Ti0.4)O3マトリクス材料自体の薄膜の透過率スペクトルを対比して示す図である。
符号の説明
40 ガスボンベ
41 ガラスボトル
42 原料粉末
43 排気管
44 加振器
45 搬送管
46 成膜チャンバー
47 真空ポンプ
48 ノズル
49 基板

Claims (14)

  1. 電気光学効果を示す光学材料薄膜を光の伝播媒質として用いる光学素子であって、
    結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料薄膜を、光の伝播媒質として用いており、
    前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料は、その屈折率n0が、電界の印加によって、印加された電界に比例する屈折率変化Δn0を起こす、電気光学効果を示す材料であり、
    前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料は、常温衝撃固化現象によって、平均半径d0(nm)が、d0≦100nmの範囲の粒径を有する、前記電気光学効果を示す材料の微結晶が一体に成形されたものであり、
    前記酸化物マトリクス材料中に分散されている該金属微粒子は、プラズモン共鳴ピークを示し、
    該金属微粒子の表面を構成する金属材料が、真空中において示すプラズモン共鳴ピークのピーク波長λp0(nm)を基準として、
    前記光学素子において、光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)を、λ0>λp0の範囲に選択している
    ことを特徴とする光学素子。
  2. 該酸化物マトリクス材料中に分散されている金属微粒子の平均粒子径は、
    前記光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、
    該金属微粒子の平均半径dm(nm)が、dm≦(1/10)×λ0となる範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 該金属微粒子の表面を構成する金属材料は、
    金、銀、銅、タングステンからなる単体金属の群から選択される単体金属、あるいは、それら金属二種以上で構成される合金材料である
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  4. 結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料は、
    さらに、該酸化物マトリクス材料中に分散して存在する微粒子状の微細領域を具えており、
    該酸化物マトリクス材料中に分散して存在する微粒子状の微細領域における屈折率n1は、前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料の屈折率n0と異なっており、
    前記光学素子において、光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、
    前記酸化物マトリクス材料中に分散して存在する微粒子状の微細領域の平均半径d2(nm)は、d2 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すように選択されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  5. 一体に成形された該酸化物マトリクス材料を構成している前記電気光学効果を示す材料の微結晶の粒径は、
    前記光学素子において、光の伝播媒質中を伝播させる光の真空中における波長λ0(nm)に対して、
    該電気光学効果を示す材料の微結晶の平均半径d0(nm)が、d0 6/λ0 4<4×10-5 nm2の関係を満すように作製されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の光学素子。
  6. 前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料は、
    ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(ZrxTi1-x)O3)、ランタンが添加されたジルコン酸チタン酸鉛((Pb,La)(ZrxTi1-x)O3)、ストロンチウム添加チタン酸バリウム((Ba,Sr)TiO3)、ストロンチウム添加チタン酸鉛((Pb,Sr)TiO3)、KTN(K(TixNb1-x)O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる電気光学効果を示す材料の群から選択される電気光学効果を示す材料で構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  7. 外部変調方式の光変調器であって、
    前記光変調器は、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料を、光の伝播媒質として用いる光学素子を利用し、
    該光学素子の光の伝播媒質に対して、電場を印加し、電気光学効果により、該光の伝播媒質の実効的な屈折率を変化させ、該光学素子中を伝播する光の位相の変化させる変調方式を用いており、
    前記光学素子として、請求項1に記載の光学素子を用いている
    ことを特徴とする光変調器。
  8. 前記外部変調方式の光変調器は、
    平面導波路を利用するマッハツエンダー型の光変調器である
    ことを特徴とする請求項7に記載の光変調器。
  9. 電気光学効果を利用するスイッチング方式の光スイッチであって、
    前記光スイッチは、結晶構造を有する酸化物マトリクス材料と、該酸化物マトリクス材料中に分散された金属微粒子を具えてなる成形体型光学材料を、光の伝播媒質として用いる光学素子を利用し、
    該光学素子の光の伝播媒質に対して、電場を印加し、電気光学効果により、該光の伝播媒質の実効的な屈折率を変化させ、該光学素子中を伝播する光の位相の変化させるスイッチング方式を用いており、
    前記光学素子として、請求項1に記載の光学素子を用いている
    ことを特徴とする光スイッチ。
  10. 前記電気光学効果を利用するスイッチング方式の光スイッチは、
    平面導波路を利用する方向性結合器型の光スイッチである
    ことを特徴とする請求項9に記載の光スイッチ。
  11. 請求項1に記載の光学素子を製造する方法であって、
    前記電気光学効果を示す光学材料薄膜の作製工程において、
    前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶と、前記金属微粒子とを所定の含有比率で均一に混合してなる原料粉末を、キャリアガス中に所定の密度で浮遊させ、所定の供給速度で下地層の表面に吹き付けて、
    前記下地層の表面に吹き付けた際、原料粉末に含まれる前記酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶を、平均半径d0(nm)が、d0≦100nmの範囲の微細結晶に粉砕し、該微細結晶相互を、常温衝撃固化現象を利用して接合させ、前記金属微粒子を、該微細結晶の接合体の隙間に均一に分散させた成形体の薄膜を形成する
    ことを特徴とする光学素子の製造方法。
  12. 前記常温衝撃固化現象を利用する成形体の薄膜を形成する手法として、
    エアロゾルデポジション法を用いる
    ことを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
  13. 請求項1に記載の光学素子を製造する方法であって、
    目的とする光の伝播媒質の形状に従って、該平面形状に相当する開口部を有するレジスト膜を下地層の表面に設ける工程と、
    前記結晶構造を有する酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶と、前記金属微粒子とを所定の含有比率で均一に混合してなる原料粉末を、キャリアガス中に所定の密度で浮遊させ、所定の供給速度で下地層の表面に吹き付けて、
    前記下地層の表面に吹き付けた際、原料粉末に含まれる前記酸化物マトリクス材料の微粉末状結晶を、平均半径d0(nm)が、d0≦100nmの範囲の微細結晶に粉砕し、該微細結晶相互を、常温衝撃固化現象を利用して接合させ、前記金属微粒子を、該微細結晶の接合体の隙間に均一に分散させた成形体の薄膜を、前記レジスト膜の開口部内に、所望の膜厚で一体形成する工程と、
    前記レジスト膜を除去し、リフトオフによって、前記一体形成された成形体の薄膜を目的とする光の伝播媒質の平面形状に相当する形状にパターニング加工を行う工程と、
    前記パターニング加工を施した、前記成形体の薄膜の表面に研磨加工を施し、目的の膜厚を有する光の伝播媒質の形状とする工程とを具えている
    ことを特徴とする光学素子の製造方法。
  14. 前記常温衝撃固化現象を利用する成形体の薄膜を形成する手法として、
    エアロゾルデポジション法を用いる
    ことを特徴とする請求項13に記載の光学素子の製造方法。
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