JP4899492B2 - 無端ベルトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、芯体上にむらなく均一に溶液を塗布する塗布方法を適用して無端ベルトを製造する方法に関する。該無端ベルトは、特に複写機、プリンター等の電子写真方式を利用した画像形成装置に好ましく用いられる
画像形成装置において、感光体、帯電体、転写体、及び定着体等の小型/高性能化のために、肉厚が薄いプラスチック製フィルムからなるベルトが用いられる場合がある。その場合、ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目の跡が生じるので、継ぎ目がない無端ベルトが好ましい。材料としては、強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂が好ましい。(適宜、ポリイミドはPI、ポリアミドイミドはPAIと略す)
PI樹脂で無端ベルトを作製するには、円筒体の内面にPI前駆体溶液を塗布し、回転しながら成膜する遠心成形法や、円筒体内面にPI前駆体溶液を展開する内面塗布法が知られているが、これらの方法では、PI前駆体の加熱の際に、皮膜を円筒体から抜いて加熱用芯体に載せ換える必要があり、工数がかかる短所がある。
他のPI樹脂無端ベルトの製造方法として、芯体の表面に浸漬塗布法によってPI前駆体溶液を塗布して乾燥し、加熱反応させた後、PI樹脂皮膜を芯体から剥離する方法もある。この方法では、塗布による塗膜形成工程から、加熱反応させる皮膜形成工程まで、芯体は一貫して同じものが使用され、載せ換える工数が不要という利点を有している。
このような製造方法で得られるPI樹脂無端ベルトは例えば中間転写ベルトに適用することができるが、この中間転写ベルトを使用する電子写真装置では、高画質の転写画像を得るために中間転写ベルトの電気抵抗値が所定の範囲に制御されており、かつ中間転写ベルトの面内バラツキ(抵抗値の最大値と最小値の差)が少なく、かつ印加電圧が変化しても電気抵抗値が大きく変化しないこと、また、長期耐久試験において経時的な電気抵抗値の変動が少ないことが必要であることが知られている。
ところが、10℃15%RHの低温低湿環境下において葉書などの中間転写ベルトの幅より短い用紙を1000枚以上連続して転写した後で、ハーフトーンの画像を転写した場合に、電気抵抗値の変動が顕著に発生する。これにより用紙走行部で白抜けが発生するが、これは二次転写部での用紙剥離時に中間転写ベルトと用紙との間における剥離放電によって、中間転写ベルト中の不純物が炭化することで、用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下し、転写効率が周辺部位より低下することが原因と考えられる。
このような問題を改善するために、例えば特許文献1に開示されているように高温処理により不純物を無くす方法もあるが、十分な効果を得るためには空気雰囲気中で長時間高温処理が必要であり、熱エネルギーの観点から必ずしも工業的に生産性が高い方法ではなかった。
ところで、導電性粒子を含有するシート形成材料を導体板で挟み込み、加熱しながら電位差を与えることで導電性粒子を厚さ方向に配向させて異方導電シートを作製する方法が開示されている(例えば特許文献2、3参照)。
しかし、この提案は、中間転写ベルトを含む無端ベルトに関するものではなく、膜厚、抵抗範囲、ベルトの機械特性など大きく異なり、実質的に中間転写ベルトとしての必要な特性を有する無端ベルトを製造することができないのが現状である。しかも、導電性粒子を厚さ方向に配向させることを目的としており、電位極性に言及がなく、当然、抵抗低下を改善することができない。
このように、現在でも、生産性良く、経時による電気抵抗の変化の少ない無端ベルト(中間転写ベルト)が得ることができないのが現状である。
特開2001−75369公報 特開平7−161236号公報 特開2005−218889公報
従って、本発明の目的は、上記従来諸問題に鑑み、生産性良く、経時による電気抵抗の変化の少ない無端ベルトを得ることができる皮膜形成用樹脂溶液の塗膜を形成する塗布方法利用し、生産性良く、経時による電気抵抗の変化の少ない無端ベルトを得ることができる無端ベルトの製造方法を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の無端ベルトの製造方法は、下記本発明の塗布方法を利用するものである。
発明の塗布方法は、導電性物質を含有した皮膜形成用樹脂溶液を用い、当該皮膜形成樹脂溶液を芯体上に塗布する際、前記皮膜形成用樹脂溶液の塗膜に当接手段を当接させ、前記当接手段と前記芯体との間に電圧差を有し、且つ前記当接手段が前記芯体に対して正電位となるように電圧を印加することを特徴としている。
本発明の塗布方法では、上記本発明の塗布装置と同様に、生産性良く、経時による電気抵抗の変化の少ない無端ベルトを得ることができる皮膜形成用樹脂溶液の塗膜を形成することができる。
本発明の塗布方法においても、当接手段は、塗布における膜厚調整部材や平滑化部材とすることができる。即ち、以下の第1及び第2の本発明の塗布方法が好適に挙げられる。
第1の本発明の塗布方法は、
導電性物質を含有した皮膜形成用樹脂溶液を貯留する塗布槽と、
前記皮膜形成用樹脂溶液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体と、
を具備し、
前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布方法であって、
前記芯体表面に塗液を塗布する際、前記環状体と前記芯体との間に電圧差を有し、且つ前記環状体が前記芯体に対して正電位となるように電圧を印加することを特徴としている。
第2の本発明の塗布方法は、
導電性物質を含有した皮膜形成用樹脂溶液を用い、芯体をその中心軸が水平になるように回転させ、付着手段により前記皮膜形成用樹脂溶液を前記芯体に付着させつつ、付着させた前記皮膜形成用樹脂溶液を平坦化手段により平坦化し、前記付着手段及び前記平滑化手段を相対的に前記芯体の一端から他の一端へ水平方向に移動させて、前記芯体に前記皮膜形成用樹脂溶液を塗布する塗布方法であって、
芯体に皮膜形成用樹脂溶液を塗布する際、前記平滑化手段と前記芯体との間に電圧差を有し、且つ前記平滑化手段が前記芯体に対して正電位となるように電圧を印加することを特徴としている。
また、本発明の無端ベルトの製造方法は、上記本発明の塗布方法により芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成した後、樹脂皮膜を芯体から抜き取ることを特徴としている。
本発明の無端ベルトの製造方法では、上記本発明の塗布方法で述べたように、生産性良く、経時による電気抵抗の変化の少ない無端ベルトを得ることができる
本発明の無端ベルトの製造方法において、無端ベルトは、中間転写ベルトであることがよい。
本発明によれば、生産性良く、経時による電気抵抗の変化の少ない無端ベルトを得ることができる皮膜形成用樹脂溶液の塗膜を形成する塗布装置、及び塗布装置を提供することができる。
また、上記塗布方法を利用し、生産性良く、経時による電気抵抗の変化の少ない無端ベルトを得ることができる無端ベルトの製造方法を提供することができる。
また、経時による電気抵抗の変化の少ない中間転写ベルトを提供することができる。
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る塗布装置を示す概略構成図である。図2は、第1実施形態に係る塗布装置の塗布槽周辺を示す概略構成図である。図3は、第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布槽周辺を示す概略上面図である。図4は、第1実施形態に係る環状塗布装置を用いて塗布する様子を説明するための説明図である。但し、各図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や昇降装置等、他の装置は省略する。
なお、本実施形態の環状塗布装置を用いて、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する。ここで、「芯体上に塗布」とは、芯体側面の表面、及び該表面に層を有する場合は、その層の表面に塗布することをいう。また、「芯体を上昇」とは、塗布時の液面との相対関係であり、「芯体を停止し、塗布溶液面を下降」させる場合を含む。
本実施形態に係る塗布装置は、図1〜3に示すように、導電性物質を含有した皮膜形成用樹脂溶液(以下、塗布溶液18)を貯留するための環状塗布槽12を有している。環状塗布槽12の底部には、芯体10の外径より若干小さい穴を有する環状シール材16を設けられており、芯体10を環状シール材16の中心に挿通させ、環状塗布槽12に塗布溶液18を収容する。これにより、塗布溶液18は漏れることがない。環状塗布槽12に満たされた塗布溶液18上には、中央に円孔22を有する環状体20を設置する。環状体20には、停止時の環状体20を支えるために、腕24が取り付けられている。
そして、環状体20と芯体10の間に電圧を印加するための電圧印加部34を有している。電圧印加部34は、環状体20を正電位、芯体10を負の電位となるようにそれぞれ電気的に接続されている。ここで、芯体10は軸方向に動かして塗布を行うので、電圧印加部34は、導電性摺動部材34A(例えば、導電性不職布や導電性ブラシなど)を介して芯体10と電気的に接続するようにしている。
なお、電圧印加部34の電気的接続は、上記形態に限られず、環状体20が芯体10に対して正電位となるように電圧を印加する形態であれば特に制限はなく、例えば、図5に示すように、電圧印加部34の正極を環状体20と接続し、且つ負極を接地すると共に、芯体10も接地させる形態でもよい。ここで、図5は、第1実施形態に係る塗布装置の他の形態の塗布槽周辺を示す概略構成図である。
環状塗布槽12には、その外枠面(外壁)に周方向に等間隔で塗布溶液18を供給する供給管26が4つ設けられている。供給管26(供給口)の数は、環状塗布槽12の大きさ(内径の大きさ)よるが、2〜20個程度、環状塗布槽12の側面外周方向に等間隔で設けることがよい。
供給管26は、分流器14を介して供給用塗布溶液タンク30と連結され、ポンプ32により供給用塗布溶液タンク30から分流器14及び供給管26を経て環状塗布槽12へ塗布溶液が供給される。
供給管26は、環状塗布槽12との連結部から分流器14の連結部までの長さが全て同一としている。各供給管26の長さを全て同一であると、分流器14から同液量及び同液圧で各供給管26に塗布溶液18が供給され、そして、環状塗布槽12へ同液量及び同液圧で各供給管26から供給されることとなる。また、各供給管26から同液量及び同液圧で供給するには、各供給管26の長さのみならず、その外径、内径及びその構成材料も同一であることがよい。
分流器14には、図示しないがフィルター(例えば、金属繊維で織られたメッシュ金網や焼結させた焼結金網等)が内蔵されており、供給される塗布溶液18に異物が混入しないようにしている。
分流器14とポンプ32の間を連結する供給管26Aには、スタティックミキサー36が配設されており、当該スタティックミキサー36により塗布溶液18を攪拌・混合しつつ分流器14へ供給する。スタティックミキサー36は、図示しないが内部にエレメントと呼ばれる攪拌羽が配されており、この攪拌羽が回転することで、塗布溶液18を攪拌・混合しつつ供給する。なお、一つの攪拌羽(エレメント)は、例えば、長方形の板状体を、長手方向両端部同士が180°ねじった形状をしている。
ここで、異なるロット(材料ロットや分散ロット)の塗布溶液18を追加しながら塗布する場合、塗布溶液18の組成、粘度、濃度、その他の処方がロット毎に微妙にことなる。このため、異なるロットの塗布溶液18の境目で液が2層に別れ、塗布した際に筋や凹みといった障害が発生することがある。そこで、スタティックミキサー36の如く攪拌・混合手段により供給管経路でよく攪拌・混合することで、異なるロットの塗布溶液18に境目が生じないようにする。
環状体20の材質は、正の電位を付与するために導電性の金属(例えば、真鍮、ステンレス、アルミニウム等)で構成する。また、金属であれば、塗布溶液18の溶剤によって侵されることもない。環状体20の沈没防止のために、環状体20の外側又は環状塗布槽12には、腕24のほか、環状体20を支える足を設けても良い。
ここで、塗布時、芯体10の外径と円孔22の内径との間隙により、塗膜28の膜厚が決まるので、円孔22の内径は、所望の膜厚により調整する。また、円孔22内径の真円度が低いと膜厚均一性が低下するので、真円度は20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることはさらに好ましい。もちろん、真円度が0μmであることが最適なのであるが、加工上は困難である。
環状体20の内壁面は、溶液に浸る下部が広く、上部が狭い形状であれば、直線的傾斜面のほか、階段状や曲線的でもよい。真円度を高く加工するために、円孔内壁面の上部には、芯体と平行になる部分があってもよい。
供給管26からは塗布溶液18が送り込まれが、槽内に塗布溶液18を送り込む方法としては、加圧空気を利用して圧送する方法や、適宜のポンプにより圧送する方法がある。本実施形態では、ポンプ32により圧送する方法を適用している。
本実施形態に係る塗布装置では、塗布時には図4に示すように、芯体10の下に他の芯体10A(これはベルトを作製しない中間体であってもよい)をつなぎ、環状塗布槽12の下部から上部に押し上げて、芯体10の表面に塗膜28を形成する。その際、環状体20は塗布溶液18の摩擦抵抗によって持ち上げられ、塗膜28の膜厚は、環状体20の円孔22と芯体10との隙間によって一定値に規制される。これにより、均一な塗膜28が得られる。
ここで、塗布する際の芯体10の引き上げ速度は、0.1〜1.5m/min程度が好ましい。芯体10を引き上げると、環状体20は浮遊状態で設置されているので、塗布溶液18の粘性による摩擦抵抗により持ち上げられる。環状体20は自由移動可能なので、芯体10と環状体20との摩擦抵抗が周方向で一定になるように、すなわち間隙が均一になるように環状体20は動き、芯体10上には均一な膜厚の塗膜28が形成される。このように、環状体20により膜厚を規制するので、膜厚を均一にして高粘度の溶液を塗布することができる。
なお、環状塗布槽12への塗布溶液18の供給は、塗布溶液18がポンプ32により供給用塗布溶液タンク30から分流器14へ送液され、当該分流器14で各供給管26へ分流される。そして、同一長さの供給管26を適用しているので、塗布溶液18は環状塗布槽12へ各供給管26から同液量及び同液圧で供給される。
そして、上記塗布の際、電圧印加部34により環状体20が芯体10に対し正の電位となるように直流電圧を印加する。ここで、印加する電圧は、直流の正電位で300〜2000Vが好ましく、より好ましくは、300〜1000Vであり、さらに好ましくは500〜1000Vである。この電圧が300V以下では不純物移動効果が得られ難いことがある。また、2000V以上では安全性に問題がある上、絶縁破壊や放電などの障害が発生することがあるため好ましくない。
以上説明した本実施形態に係る塗布装置では、塗布溶液18(導電性物質を含有した皮膜形成樹脂溶液)を芯体10上に塗布する際、塗布溶液18の塗膜28と当接する環状体20が芯体10に対して正電位となるように電圧を印加する、即ち芯体10に対し塗膜28表面に正の電位差を印加する。
ここで、ベルトを使用して連続プリントする際に発生する抵抗低下が一般的に負極性に吸引させる不純物が主原因と推定されており、このため塗膜28表面を芯体10に対して正の電位(正極)にすることで、塗膜28厚み方向の芯体10側に移動する、即ち例えば得られる無端ベルトの内周面側に移動し、外周面側に存在しなくなるためだと考えられ、ベルト表面側に不純物が少なくなり抵抗低下が改善できる。
また、ベルト(塗膜28)中の正イオン不純物が二次転写の負帯電で移動することにより抵抗低下につながるが、加熱硬化した樹脂では不純物は移動することが困難であり、ベルト表面付近の不純物しか抵抗低下に寄与しない(抵抗低下は、ある程度低下すると飽和し、それ以降低下しない。また、抵抗低下したベルト表面を研磨すると抵抗が回復するが、また、連続使用により抵抗低下する。)。つまり、塗膜表面付近の不純物を塗膜内部(芯体側)に移動、即ち樹脂が硬化する以前のウェット状態で上記電圧印加を行った後、塗膜を効果させ硬化樹脂内部に閉じ込めることで、抵抗低下が防止できる。
加えて、塗膜を形成後、塗膜全体に電圧を印加することも可能であるが、処理に長時間必要であり、塗布時に電圧印加を行うことが効果的である。
従って、生産性良く、経時による電気抵抗の変化の少ない無端ベルトを得ることができる塗布溶液18(皮膜形成用樹脂溶液)の塗膜を形成することができる。
なお、不純物を移動させる効果は、印加する電圧、時間、膜厚に依存し、同一電圧でも環状体20(当接手段)が塗膜28に接触する時間が長く、膜厚が薄いほど効果が高い。さらに、印加電圧の短絡を防止するため、塗布以外の時間では電圧を切っておくのが好ましい。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る樹脂分散液の塗布装置の主要部分を示す斜視図である。
第2実施形態の塗布装置は、芯体10が保持部材10Bで挟持されている。図示しないが、芯体10は、芯体10が水平に回転可能(矢印A)に支持するアームを有する台座に保持部材10Bを介して配設されている。また、図示しないが、芯体10は、芯体10を軸回転させるための駆動手段(回転手段)と保持部材10Bを介して連結されている。
芯体10の周辺には、塗布溶液18を流下して芯体10に塗布溶液18を付着させ流下装置38(流下手段)が配置されている。また、芯体10の周辺には、芯体10へ付着した塗布溶液18を平滑化する板状体からなるへら40(平滑化手段)が配置されている。
そして、へら40と芯体10の間に電圧を印加するための電圧印加部34を有している。電圧印加部34は、へら40を正電位、芯体10を負の電位となるようにそれぞれ電気的に接続されている。ここで、芯体10は回転して塗布を行うので、電圧印加部34は、導電性摺動部材34A(例えば、導電性不職布や導電性ブラシなど)を介して芯体10と電気的に接続するようにしている。
なお、電圧印加部34の電気的接続は、上記形態に限られず、へら40が芯体10に対して正電位となるように電圧を印加する形態であれば特に制限はなく、例えば、図7に示すように、電圧印加部34の正極をへら40と接続し、且つ負極を接地すると共に、芯体10も接地させる形態でもよい。ここで、図7は、第2実施形態に係る樹脂分散液の塗布装置の他の例の主要部分を示す斜視図である。
流下装置38は、例えば、塗布溶液18を流下させるノズル38Aと、図示しないノズル38Aへ塗布溶液18を供給する容器38Bとから構成されている。容器38Bとしては、例えば、メニカスシリンダー、スクリューなどを利用した装置が適用される。流下装置38は、ノズル38Aと容器38Bとが連結管により連結してノズル38Aと容器38Bとが分離して別置している形態でもよいし、ノズル38Aと容器38Bとが一体的に構成された形態でもよい。
ノズル38Aからは、粘度が高い塗布溶液18であると、重力だけでは自然に流下しにくいので、容器38Bからエア圧やポンプで押し出すことも有効である。ノズル38Aと芯体10の距離は任意でよいが、流下液が途切れることがないよう、10〜100mm程度が好ましい。液の途切れが生じると、泡を巻き込むことがある。
へら40の材質は、正の電位を付与するために導電性の金属(例えば、真鍮、ステンレス、アルミニウム等)で構成する。また、金属であれば、塗布溶液18の溶剤によって侵されることもない。
ここで、へら40の芯体10への圧接力としては、例えば真円度が0〜1mmの芯体10の回転時の最大振れ幅(例えば0〜2mm)に合わせて、へら40が当該振れ幅に追随できるように0.2Nから4Nの範囲で上記調整手段により調整し、塗膜にらせん状模様が発生しない条件とする。
なお、真円度とは、JIS B 0621−1974に準じて、円形部分の幾何学的円からの狂いの大きさをいい,円形部分を二つの同心の幾何学的円ではさんだとき、両円の間の領域が最小となる場合の半径の差で表す。
流下装置38(ノズル38A)及びへら40は、塗布溶液18の芯体10への付着及び平滑化に伴い、芯体の回転毎に付着部及び平滑化部が相対的に芯体10の一端から他の一端へ水平方向(矢印B)に移動させる。この構成は、図示しないが、流下装置38(ノズル38A)及びへら40を移動させる構成としてもよいし、芯体10が移動する構成としてもよく、周知の技術により構成することができる。
流下装置38(ノズル38A)及びへら40とを連動させ、芯体10の一端から他の一端へ水平方向に移動させることにより、芯体10の表面に塗布することができる。その移動速度が塗布速度と言える。
塗布時の条件は、芯体10の回転速度が20〜200rpmであり、塗布速度Vは、芯体の外径k、塗布溶液の流下量f、所望の濡れ膜厚tと関係があり、V=f/(t・k・π)の式で表わされる。πは円周率を示す。
そして、上記塗布の際、電圧印加部34によりへら40が芯体10に対し正の電位となるように直流電圧を印加する。ここで、印加する電圧は、直流の正電位で300〜2000Vが好ましく、より好ましくは、300〜1000Vであり、さらに好ましくは500〜1000Vである。この電圧が300V以下では不純物移動効果が得られ難いことがある。また、2000V以上では安全性に問題がある上、絶縁破壊や放電などの障害が発生することがあるため好ましくない。
以上説明した本実施形態に係る塗布装置では、塗布溶液18(導電性物質を含有した皮膜形成樹脂溶液)を芯体10上に塗布する際、塗布溶液18の塗膜28と当接するへら40が芯体10に対して正電位となるように電圧を印加する、即ち芯体10に対し塗膜28表面に正の電位差を印加する。
このため、上記第1実施形態と同様に、生産性良く、経時による電気抵抗の変化の少ない無端ベルトを得ることができる塗布溶液18(皮膜形成用樹脂溶液)の塗膜を形成することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、上記第1又は第2の実施形態に係る塗布装置を適用して、無端ベルトを製造する方法について説明する。以下、符号は省略して説明する。
本発明の無端ベルトの製造方法は、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成する皮膜形成工程と、樹脂皮膜を芯体から抜き取って無端ベルトを得る抜き取り工程と、を有する。
まず、芯体について説明する。芯体は、負の電位を付与するために導電性である必要があり、例えば、アルミニウムやステンレス、ニッケル、銅等の金属円筒が好ましい。芯体の長さは、端部に生じる無効領域に対する余裕幅を確保するため、目的とする無端ベルトの長さより、10〜40%程度長いことが望ましい。芯体の外径は、無端ベルトの直径に合わせ、肉厚は芯体としての強度が保てる厚さにする。
芯体の両端には、芯体を保持する保持板を取り付けてもよい。保持板は、ねじで固定しても良いし、芯体と溶接してもよい。保持板には、必要に応じて、円形や扇形など任意形状である通風孔や、中央に心棒を通す穴、又は軸があってもよい。また、吊り下げや載置のための部品を取り付けてもよい。なお、保持板を介して芯体への負の電位を付与する場合、保持板も芯体と同様に、例えば、アルミニウムやステンレス、ニッケル、銅等の金属で構成する。
形成される皮膜が芯体表面に接着するのを防ぐため、芯体表面をフッ素樹脂やシリコーン樹脂で被覆したり、表面に離型剤を塗布する方法がある。
皮膜形成樹脂の種類によっては、加熱時に溶剤の揮発物や、反応時に発生する気体があり、加熱後の樹脂皮膜は、その気体のために、部分的に膨れを生じることがある。これは特に、PI樹脂皮膜において膜厚が50μmを越えるような場合に顕著である。
上記膨れを防止するために、特開2002−160239号公報開示の如く、芯体表面はRa0.2〜2μm程度に粗面化することが好ましい。粗面化の方法には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。これにより、PI樹脂から生じる気体は、芯体とPI樹脂皮膜の間に形成されるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れを生じない。
次に、皮膜形成樹脂溶液について説明する。皮膜形成樹脂溶液は、強度などの観点から、PI前駆体、又はPAI樹脂などを溶液化(塗液化)したものが好適に挙げられる。PI前駆体又はPAI樹脂としては、種々の公知のものを用いることができる。それらの溶剤は、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、等の非プロトン系極性溶剤であり、常温での揮発性は低い。なお、溶液の濃度、粘度等は、適宜選択されるが、好ましい溶液の固形分濃度は10〜40質量%、粘度は1〜100Pa・sである。
皮膜形成樹脂溶液には、得られるベルトに導電性(或いは半導電性)を付与する目的で、導電性物質が配合されている。
導電性物質としては、導電性であれば特に限定しない。カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタンなどの窒化物導電粒子、硫酸水素マグネシウム、硫酸バリウム、タングステン、モリブデンもしくはバナジウムのアルカリ金属からなる導電粒子等が挙げられる。体積抵抗と表面抵抗の制御の観点から、導電性物質は、針状、繊維状、鱗片状、板状の粒子であることが好ましい。
これらのうち、導電性物質としては、材料の入手性が容易である、低コストである、分散性が良いことから、特にカーボンブラック、グラファイト、黒鉛化カーボンブラックが好ましい。また、上記導電性物質を2種以上混合して使用してもよい。また、導電性物質の配合量は、得られる樹脂に対して5〜30重量%が好ましい。
次に、塗膜形成工程について説明する。塗膜形成工程では、上記実施形態に係る塗布装置を用いて、塗布溶液として皮膜形成樹脂溶液を芯体表面に塗布する。
次に、皮膜形成工程について説明する。皮膜形成工程では、皮膜形成樹脂溶液を芯体表面塗布した後、芯体を加熱乾燥装置に入れ、溶剤の乾燥を行う。乾燥時に塗膜が垂れる場合には、芯体を水平にして、回転させながら乾燥すると良い。回転速度は1〜60rpm程度が好ましい。
加熱条件は、90〜170℃の温度で20〜60分間が好ましい。その際、温度が高いほど加熱時間は短くてよく、温度は、段階的、又は一定速度で上昇させてもよい。
溶液がPAI樹脂溶液である場合には、溶剤の乾燥だけで皮膜を得ることができる。
溶液がPI前駆体溶液の場合、塗膜から溶剤を除去しすぎると、皮膜はまだ強度を保持していないので、割れを生じやすい。そこで、ある程度(PI前駆体皮膜中に15〜45質量%)、溶剤を残留させておくのがよい。
その後、250〜450℃、好ましくは300〜350℃前後で、20〜60分間、PI前駆体皮膜を加熱して縮合反応させることで、PI樹脂が形成される。その際、温度を段階的に上昇させてもよい。この工程では、皮膜は固定されているので、芯体の向きはどちらでもよいし、加熱中の回転もしなくてよい。
次に、抜き取り工程について説明する。抜き取り工程では、皮膜形成後、冷却し、形成された皮膜を芯体から剥離して無端ベルトを得る。皮膜の芯体からの剥離は、芯体と皮膜の間に加圧空気を吹き込んで行う。しかし、加圧空気を吹き込むと、皮膜の厚さが薄い部分を起点に破断してしまうことがあった。
そこで、芯体に皮膜を形成後、図8及び図9に示すように、皮膜42の軸方向両端側で皮膜端部から離れた10〜50mm程度の位置に帯状の補強テープ44を巻き付ける。この状態で、芯体と皮膜の間に加圧空気を吹き込んで皮膜を剥離することで、皮膜の破断を防止することができる。また、皮膜切断時に、この補強テープ44を残して切断することで、当該補強テープ44が得られるベルト自体の補強材となり、例えば、当該補強テープ44巻き付け領域のベルト内周面にリブを設けることともでき、工程数が削減される。
ここで、補強テープとしては、例えばポリエステル、ポリイミド、OPP(オルトフェニルポリプロピレン)等で構成された、裂けに強いテープが好ましく適用される。また、補強テープは、厚みが25〜100μmが好ましく、幅が10〜20mmであることが好ましい。補強テープは皮膜に一周巻きつけた後、10〜20mm程度重ね合わせる。
なお、図8は、芯体に形成された皮膜に補強テープを巻き付けた様子を示す側面図である。図9は、芯体に形成された皮膜に補強テープを巻き付けた様子を示す正面図である。
また、芯体から剥離、即ち抜き取られた皮膜は、通常、不要の軸方向両端部を切断したり、所定の大きさに切断される。しかし、芯体からの抜き取り、切断用芯体への嵌め込み、搬送などにより、皮膜が歪んで折り目が付き易いという問題もある。
そこで、図10に示すように、芯体10に皮膜42を形成後、芯体10同軸上に柔軟性支持体46を配設する(図10(A))。次に、芯体と皮膜の間に加圧空気を吹き込んで皮膜42を剥離、抜き取りつつ、柔軟性支持体46に嵌め込む(図10(B))。嵌め込んだ後、柔軟性支持体46に設けられた孔46Aから負圧吸引し、皮膜42と柔軟性支持体46との間を減圧し、皮膜42が柔軟性支持体46から落下しないように支持する。
このような状態で、柔軟性支持体46を切断用芯体48同軸上に配設する(図10(C))。次に孔46Aからの負圧吸引を中止し、皮膜42を柔軟性支持体46から抜き取りつつ、切断用芯体48へ嵌め込む(図10(D))。そして、カッター50により切断する。
このような、一連の抜き取り・嵌め込み・搬送作業において、皮膜42に変形する力がかかっても、柔軟性支持体46により皮膜42を保持して行うことで、柔軟性支持体46がある程度滑らかに変形することで、皮膜42に無理な力が加わらず、より効果的に折れ目が入るのを防止することができる。
ここで、柔軟性支持体は、例えば、PETフィルム等の樹脂フィルムを丸めた形状のものを挙げることができる。その直径は、芯体の直径よりわずかに小さい直径であるのが好ましい。高さは、抜き取る皮膜の長さ(高さ)以上である必要がある。
なお、図10は、皮膜の抜き取り・嵌め込み・搬送作業を示す概念図である。
以上のようにして無端ベルトを得ることができる。得られた無端ベルトは、さらに必要に応じて、穴あけ加工やリブ付け加工、等が施されることがある。また、得られた無端ベルトは、導電性(或いは半導電性)を有しているので、中間転写ベルトとして好適に適用することができる。
以下、上記実施形態で得られる中間転写ベルトについて説明する。上記実施形態により得られる中間転写ベルト(以下、本発明の中間転写ベルトと称する)は、第1及び第2実施形態で説明したように、経時による電気抵抗の変化の少なくなっている。
具体的には、本発明の中間転写ベルトは、温度10℃、湿度15%、ベルト表面電位が−3.0KVになる電場をかけられた条件下で、普通紙と1万回の接触及び剥離を繰り返した後の表面電気抵抗率の常用対数値と初期の表面電気抵抗率の常用対数値との差が0.3以下(好ましくは0.1以下)であることがよい。
本発明の中間転写ベルトでは、表面抵抗率の抵抗量が上記範囲となることで、用紙走行部と用紙非走行部でハーフトーン画像での濃度ムラが防止される。なお、この表面抵抗率の低下量は、普通紙と1万回の接触及び剥離した領域でのものである。
ここで、本発明における普通紙とは坪量60〜70g/m2、厚み85〜90μm、ベック平滑度が30〜50秒、23℃50%環境の表面電気抵抗が1010〜1011Ωに入る非塗工用紙であり、例えば富士ゼロックス社製P紙A4である。
このP紙は坪量63g/m2、厚み87μm、ベック平滑度が39秒、23℃50%環境の表面電気抵抗が1×1011Ωに入る非塗工用紙である。
ここで、坪量は23℃50%環境において面積1m2あたりの質量から求める。厚みの測定はシチズン製、JIS式紙厚測定器MEI-10を用いて23℃50%環境において求める。ベック平滑度の測定は旭精工(株)製、デジタル表示型透気度平滑度試験器を用いて23℃50%環境において求める。表面電気抵抗の測定は、三菱油化製、UPプローブを用い23℃50%環境において100V印加、10sec後の電流値をアドバンテスト製、微小電流計 R8340Aを用い測定し、その電流値から求める。
また、上記条件下での普通紙との接触及び剥離は、具体的には、次のように行ったものである。プロセス速度150mm/s、二次転写電圧−3.0Kvのプリンターに測定対象である中間転写ベルトを装着して、A4普通紙を使用し、10℃15%RH(容積絶対湿度1.4g/m3)の環境下で、連続10000枚の連続コピー試験を行う。
本発明の中間転写ベルトは、その体積抵抗率(ρv)が108〜1012Ω・cm(好ましくは109〜1011Ω・cm)であり、表面抵抗率(ρs)が1010Ω/□以上(好ましくは1010〜1012Ω/□)であることがよい。この体積抵抗率が108Ω・cm未満では、転写ベルトとして使用した際に感光体との間で有効な電場がかからず、トナーの転写不良や粒状性の低下が発生することがある。また、体積抵抗率が1012Ω・cmを超えると転写後の用紙剥離ができなかったり、感光体との剥離放電や用紙との剥離放電が発生し、画質欠陥となってしまうことがある。また、表面抵抗率が1010Ω/□以下ではブラー(輪郭部のトナー飛び散り)が悪化することがある。
本発明の中間転写ベルトは、表面抵抗率(ρs)が体積抵抗率(ρv)より1桁以上(好ましくは1〜2桁)高くなることが好ましい。これにより、二次障害のない体積抵抗率とブラーが発生しない良好な画質を得る表面抵抗率の両立が制御できるようになる。
ここで、表面抵抗率及び体積抵抗率の測定は、JIS−K−6911(1995)に準じて、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極の外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧100V印加し、印加後5sec後の電流値をアドバンテスト製、微小電流計 R8340Aを用いることにより測定し、その電流値により、表面抵抗及び体積抵抗から、表面抵抗率、及び体積抵抗率を求める。
本発明の中間転写ベルトの膜厚は、60μm〜200μmが好ましく、更に好ましくは70μm〜150μmである。膜厚が60μm未満ではベルトの強度が不足し、破断したり、折れが発生し、画像欠陥になることがある。また、膜厚が200μmを超えると、感光体への密着性が低下し、画像が劣化することがある。また、膜厚ムラは、ベルト内で20μm以内であることが好ましく、更に好ましくは10μmである。特に好ましくは5μm以内である。20μmを超えると、カラー画像を複数回の転写により形成した際に、色ずれが発生してしまうことがある。
ここで、膜厚は、渦電流方式のFisher社製イソスコープで測定した値(測定条件は、22℃/55%RH環境下で5回測定した平均値)である。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びオキシジアニリンからなるPI前駆体(商品名:Uイミド ユニチカ社製)のNMP溶液(固形分濃度20質量%)100質量部と、カーボンブラック24部(スペシャルブラック4A、Degussa社製)、黒鉛化カーボンブラック3部(トーカブラック#3845 東海カーボン社製)とを、対向衝突型分散機で分散処理を行い(条件は200N/mm2、5pass)、PI前駆体溶液にカーボンブラック及び黒鉛化カーボンブラックを分散した。この分散液をステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物や粒子の凝集物を取り除いた。更に、攪拌しながら真空脱泡を15分間行い、最終的な塗布溶液を作製した。
別途、外径302.2mm、肉厚10mm、長さ500mmのアルミニウム製円筒を用意し、球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、表面をRa1.0μmに粗面化した。該円筒の真円度は20μm以下であった。
円筒の表面には、シリコーン系離型剤(商品名:セパコート、信越化学(株)製)を塗布して、300℃1時間焼付け処理を施し、これを芯体とした。
上記実施形態と同様な構成の環状塗布装置を用いて塗布を行った(図1〜3参照)。ここで、本環状塗布装置は次のようにして作製した。まず、内径500mm、内高80mmの槽の底面に内径322mmの穴をあけ、底面の裏面には、内径298mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン製の環状シール材を取り付けた。槽の側面には、下から20mmの位置に、内径9mmのフッ素樹脂チューブから供給管を、周方向60°間隔で6箇所設置した。そして、6つの供給管は長さ5m、外径12mm、内径9mmのものを適用し、フィルター内蔵の分流器と連結した。当該フィルターとしては、ステンレス繊維焼結フィルター(目開き20μM、直径230M(ろ過面直径200mm)を適用した。
また、環状体として、外径350mm、円孔の上部最小部の内径304mm、高さ50mmのステンレス製のものを作製した。内壁は直線傾斜状であり、鉛直線との傾斜角は7°とした。上端には芯体と平行になる部分を2mm形成したが、その内径の真円度は8μmであった。
そして、環状塗布槽の中央に芯体を通し、環状体を配置した後、2軸スクリューポンプとしてラジアルスクリューポンプ(商品名:RADIAL SCREW PUMP<二軸スクリューポンプ>、伏虎金属工業株式会社製)を用いて、流量は約200ml/分で供給用塗布溶液タンクから分流器へPI前駆体溶液を供給した。そして、分流器から供給管と通じて環状塗布槽内へPI前駆体溶液を供給し、環状塗布槽内のPI前駆体溶液の高さが50mmになった時点で供給を停止した。環状塗布槽にPI前駆体溶液を供給し始め、これを停止するまでの時間は42分であり、環状塗布槽に供給されたPI前駆体溶液を確認すると気泡の発生はなかった。
次に、電圧印加部としての電源を、芯体を負極、環状体を正極として電気的に接続し、当該芯体と環状体との間に500Vの直流電圧を印加し、環状体に正の電位差を与えた。
そして、この状態で、芯体の下に他の芯体を配置し、0.8m/分で押し上げて塗布を行った。その際、環状体は約20mm持ち上げられた。これにより、芯体の上には、濡れ膜厚が約500μmのPI前駆体塗膜が形成された。塗膜を観察したところ、塗布むらも、筋も見られなかった。
塗布後、芯体の中央に20mmφのステンレス製シャフトを通し、回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、80℃で20分間、130℃で30分間、加熱してPI前駆体塗膜を乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのPI前駆体皮膜を得た。
次いで、芯体を鉛直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置に入れて200℃で30分、320℃で30分加熱反応させ、PI樹脂皮膜を形成した。
室温に冷えた後、芯体と皮膜の間にエアを吹き込みながら、芯体から皮膜を抜き取り、無端ベルトを得た。無端ベルトの膜厚は80μmで均一であった。該無端ベルトは両端から約50mmずつ切断し、幅331mmの無端ベルトを得た。
(比較例1)
塗布時に、環状体へ電圧印加を行わなかった以外は、実施例1と同様にして無端ベルトを得た。
(比較例2)
電圧印加部としての電源を、芯体を正極、環状体を負極として電気的に接続し、当該芯体と環状体との間に500Vの直流電圧を印加し、環状体に負の電位差を与えた以外は、実施例1と同様にして無端ベルトを得た。
(評価)
得られた無端ベルトは、実施例1では表面抵抗率は10.9LogΩ/□(常用対数値)、体積抵抗率9.5LogΩ・cm(常用対数値)であった。比較例1では表面抵抗率10.6LogΩ/□(常用対数値)、体積抵抗率10.0LogΩ・cm(常用対数値)であった。比較例2では表面抵抗率は10.8LogΩ/□(常用対数値)、体積抵抗率9.5LogΩ・cm(常用対数値)であった。
また、得られた無端ベルトを中間転写ベルトとして以下の評価を行った。
−評価−
富士ゼロックス社製Docu Centre Color a450改造機(プロセス速度150mm/s、二次転写電圧−3.0Kv)に上記作製の中間転写ベルトを装着して、富士ゼロックス社製P紙A4を使用し、10℃15%RH(容積絶対湿度1.4g/m3)の環境下で、連続10000枚の連続コピー試験を行った。試験後のマゼンタ30%ハーフトーン画像をP紙A3に出力し、通紙部と非通紙部の転写性を観察した。また、表面抵抗率、及び体積抵抗率を測定し、初期の抵抗率と比較した。
画質:実施例1ではA3全面濃度ムラがなく良好な画質が得られた。一方、比較例1ではA4サイズを超える領域では均一なマゼンタハーフトーンが得られたが、A4サイズ内では、濃度が低下し、A4サイズで明らかな境界ができていた。また、比較例2では、A4サイズを超える領域では均一なマゼンタハーフトーンが得られたが、A4サイズ内で、像が形成されず白抜けとなった。
抵抗率低下:実施例1では表面抵抗率は10.9LogΩ/□(低下0)、体積抵抗率9.5LogΩ・cmであり全く変化がなかった。一方、比較例1では表面抵抗率9.6LogΩ/□(低下1.0LogΩ)、体積抵抗率9.5LogΩ・cmであり、抵抗低下が大きかった。また、比較例2では、表面抵抗率9.0LogΩ/□(低下1.8LogΩ)、体積抵抗率8.8LogΩ・cmであり、抵抗低下が大きかった。
以上実施例から、繰り返し使用時にも抵抗変動が少なく、安定した画質を得ることのできる中間転写ベルトが簡易に得られることがわかる。
第1実施形態に係る塗布装置を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る塗布装置の塗布槽周辺を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布槽周辺を示す概略上面図である。 第1実施形態に係る環状塗布装置を用いて塗布する様子を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る塗布装置の他の形態の塗布槽周辺を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る樹脂分散液の塗布装置の主要部分を示す斜視図である。 第2実施形態に係る樹脂分散液の塗布装置の他の例の主要部分を示す斜視図である。 芯体に形成された皮膜に補強テープを巻き付けた様子を示す側面図である。 芯体に形成された皮膜に補強テープを巻き付けた様子を示す正面図である。 図10は、皮膜の抜き取り・嵌め込み・搬送作業を示す概念図である。
符号の説明
10…芯体、10A…他の芯体、10B…保持部材、12…環状塗布槽、14…分流器、16…環状シール材、18…塗布溶液、20…環状体、22…円孔、24…腕、26…供給管、26A…供給管、28…塗膜、30…供給用塗布溶液タンク、32…ポンプ、34…電圧印加部、34A…導電性摺動部材、36…スタティックミキサー、38…流下装置、38A…ノズル、38B…容器、42…皮膜、44…補強テープ、46A…孔、46…柔軟性支持体、50…カッター

Claims (4)

  1. 導電性物質を含有した皮膜形成用樹脂溶液を用い、当該皮膜形成樹脂溶液を芯体上に塗布する際、前記皮膜形成用樹脂溶液の塗膜に当接手段を当接させ、前記当接手段と前記芯体との間に電圧差を有し、且つ前記当接手段が前記芯体に対して正電位となるように電圧を印加して芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成し、
    該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成した後、樹脂皮膜を芯体から抜き取ることを特徴とする無端ベルトの製造方法。
  2. 導電性物質を含有した皮膜形成用樹脂溶液を貯留する塗布槽と、
    前記皮膜形成用樹脂溶液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体と、
    を具備し、
    前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する際、前記環状体と前記芯体との間に電圧差を有し、且つ前記環状体が前記芯体に対して正電位となるように電圧を印加して芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成し、
    該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成した後、樹脂皮膜を芯体から抜き取ることを特徴とする無端ベルトの製造方法
  3. 導電性物質を含有した皮膜形成用樹脂溶液を用い、芯体をその中心軸が水平になるように回転させ、付着手段により前記皮膜形成用樹脂溶液を前記芯体に付着させつつ、付着させた前記皮膜形成用樹脂溶液を平坦化手段により平坦化し、前記付着手段及び前記平滑化手段を相対的に前記芯体の一端から他の一端へ水平方向に移動させて、前記芯体に前記皮膜形成用樹脂溶液を塗布する際前記平滑化手段と前記芯体との間に電圧差を有し、且つ前記平滑化手段が前記芯体に対して正電位となるように電圧を印加して芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成し、
    該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成した後、樹脂皮膜を芯体から抜き取ることを特徴とする無端ベルトの製造方法
  4. 無端ベルトは、中間転写ベルトである請求項1〜3のいずれか一項に記載の無端ベルトの製造方法。
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