JP4898322B2 - 軟質ポリウレタン発泡体及びその製造方法 - Google Patents

軟質ポリウレタン発泡体及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、天然スポンジ(海綿)に似たセル構造を有する軟質ポリウレタン発泡体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、相対的にセル径の大きい粗いセルと、セル径の小さい細かいセルとが混在するセル構造を有する軟質ポリウレタン発泡体及びその製造方法に関するものである。
古くは、生物のカイメン(海綿)を化粧用、浴用、医療用として、洗剤などを染みこませて洗浄などの用途に使用されていた。この海綿は、連続気泡構造からなる柔らかい多孔質体であり、連続気泡内に水等の液体を保持することができ、押し潰すことで容易に水等を放出する特性がある。現在では、その大部分が、工業的に量産される軟質ポリウレタン発泡体に取って代わられている。
ところで、近年の自然志向により海綿の特徴が見直されつつある。特に、その大小様々なセルからなる連続気泡構造により、泡立ち性のよさや、泡のきめの細かさに優れているとされている。また、海綿は、シフォンケーキのような非常に柔らかい触感が好まれている。
そこで、軟質ポリウレタン発泡体を用いて、海綿に似たセル構造を有する樹脂発泡体を得ることが試されている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、係る樹脂発泡体は、3官能性ポリオールと親水性ポリオールからなる混合ポリオールを用い、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンからなる硬質用の破泡性シリコーンを使用して製造される。
特公平2−57808号公報(第2頁及び第4頁)
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、発泡が常圧で行われていることから、特定の混合ポリオールや硬質用の破泡性シリコーンを使用しているにも拘らず、得られる軟質ポリウレタン発泡体の見掛け密度が高くなり(具体的には見掛け密度が24〜25kg/m)、従って硬くなる傾向を示す。その結果、軟質ポリウレタン発泡体は海綿ほどの柔らかさが得られないという問題があった。
そこで本発明の目的とするところは、海綿状のセル構造を有し、低密度で海綿のように柔らかい軟質ポリウレタン発泡体及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤、整泡剤及び破泡剤を含む軟質ポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させて軟質ポリウレタン発泡体を製造する方法において、前記破泡剤として、二酸化珪素を含有する物質である無機フィラーを前記ポリオール類100質量部当たり0.01〜0.05質量部含有すると共に、反応及び発泡を0.05〜0.07MPaの減圧条件下に行った後、常圧に戻すことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の軟質ポリウレタン発泡体は、請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法により製造された軟質ポリウレタン発泡体であって、JIS K 7222に準拠して測定される見掛け密度が12〜20kg/mであると共に、微細孔の長径が0.2〜0.4mm及び粗細孔の長径が2〜3mmであるセルが混在してなる連続気泡構造を有することを特徴とするものである。
請求項に記載の発明の軟質ポリウレタン発泡体は、請求項に係る発明において、JIS K 6400に準拠して測定される硬さが1〜10N/314cmであることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、破泡剤として、二酸化珪素を含有する物質である無機フィラーを所定量使用することから、係る無機フィラーはポリオール類などに対する相溶性が低く、破泡作用が有効に機能し、微細孔と粗細孔とが混在する海綿状のセル構造が形成される。さらに、軟質ポリウレタン発泡体の原料の反応及び発泡を0.05〜0.07MPaという減圧条件下に行うことから、発泡を助長することができ、軟質ポリウレタン発泡体の見掛け密度を下げることができる。従って、破泡作用を高め、海綿状のセル構造を形成しやすくすることができ、海綿のように柔らかい軟質ポリウレタン発泡体を容易に製造することができる。
請求項2に記載の発明の軟質ポリウレタン発泡体においては、微細孔の長径が0.2〜0.4mm及び粗細孔の長径が2〜3mmであるセルが混在してなる連続気泡構造が形成され、海綿状のセル構造を有している。しかも、軟質ポリウレタン発泡体は、見掛け密度が12〜20kg/mという低密度のものである。従って、軟質ポリウレタン発泡体は、微細孔と粗細孔とが混在するセル構造と低い見掛け密度とに基づいて海綿のような柔らかさを発揮することができる。
請求項に記載の発明の軟質ポリウレタン発泡体では、硬さが1〜10N/314cmという低い範囲に抑えられていることから、請求項に係る発明の効果に加えて、柔らかさを向上させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の軟質ポリウレタン発泡体(以下、単に発泡体ともいう)は、JIS K 7222に準拠して測定される見掛け密度が12〜20kg/mであると共に、微細孔(微細セル)の長径が0.2〜0.4mm及び粗細孔(粗細セル)の長径が2〜3mmであるセルが混在してなる連続気泡構造を有するものである。係る微細孔と粗細孔とを有するセル構造をもつことにより、軟質ポリウレタン発泡体は天然の海綿に似た柔らかい触感を発揮することができる。ここで、軟質ポリウレタン発泡体とは、ポリウレタンの発泡体であって、連続気泡構造を有し、柔軟性があり、かつ復元性を有するものをいう。
前記見掛け密度は発泡倍率の逆数を示すもので、JIS K 7222:1999に準拠して測定され、12〜20kg/mという低密度に形成される。見掛け密度が12kg/mより低い場合には、過度に高発泡になり、発泡のバランスが崩れる傾向を示し、所望とする発泡体が得られなくなる。その一方、20kg/mを越える場合には、見掛け密度が高くなり過ぎて、発泡体が硬くなり、海綿のような柔らかい触感を有する発泡体が形成されなくなる。
天然の海綿は、セル径の大きい粗いセルと、セル径の小さい細かいセルとが混在する二重のセル構造を有しており、軟質ポリウレタン発泡体はこのセル構造に似た構造を有している。すなわち、軟質ポリウレタンは、微細孔の長径が0.2〜0.4mm及び粗細孔の長径が2〜3mmであるセルが混在してなる連続気泡構造を有している。微細孔及び粗細孔の長径は、微細孔及び粗細孔が通常長円形(楕円形)をなしており、その長径を意味する。このように、粗細孔の長径と微細孔の長径とが約10倍の差を有することで、発泡体がシフォンケーキのような柔らかい触感を有すると共に、食器洗浄剤などとして用いる場合には泡立ちを良好にすることができる。
微細孔の長径が0.2mm未満の場合には、微細孔が小さくなり過ぎて製造条件が厳しくなり、良好な発泡体が得られなくなる。一方、0.4mmを越える場合には、微細孔が大きくなり過ぎて粗細孔との差が小さくなり、海綿のような触感が得られなくなる。さらに、前記粗細孔の長径が2mm未満の場合には、粗細孔が小さくなり過ぎて微細孔との差が小さくなり、異なる孔径が混在するセル構造が形成されなくなる。一方、3mmを越える場合には、破泡剤の配合量を増加させたりしなければならず、発泡のバランスを欠いて所要の発泡体が形成されなくなる。
また、軟質ポリウレタン発泡体は、JIS K 6400に準拠して測定される硬さが1〜10N/314cmであることが好ましい。この場合、発泡体は硬さが抑えられ、言い換えれば柔らかさが増し、海綿のような触感が高められる。
次に、上記のような軟質ポリウレタン発泡体の製造方法について説明する。
軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤、整泡剤及び破泡剤を含む軟質ポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させることにより製造される。その際、破泡剤である無機フィラーがポリオール類100質量部当たり0.01〜0.05質量部配合される。かつ、反応及び発泡が0.05〜0.07MPaの減圧条件下に行われ、その後常圧に戻される。
軟質ポリウレタン発泡体の原料について順に説明する。
まず、ポリオール類としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどが用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、多価アルコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等にプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加重合させた重合体よりなるポリエーテルポリオール、それらの変性体等が用いられる。多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールなどが挙げられる。3価アルコールを用いることにより、ポリウレタン発泡体の架橋密度を上げ、その強度を向上させることができる。
ポリエーテルポリオールとして具体的には、グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させたトリオール、グリセリンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、トリメチロールプロパンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合させたジオール等が挙げられる。
また、前記ポリエステルポリオールは、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。
前記ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)又はそれらの変性体等が用いられる。変性体としては、例えばMDIのプレポリマー、ポリメリックMDI等が挙げられる。
ここで、ポリイソシアネート類のイソシアネート指数(イソシアネートインデックス)は80〜130であることが好ましく、100〜120であることがより好ましい。ここで、イソシアネート指数は、ポリオール類の水酸基及び発泡剤(水)等の活性水素に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。従って、その値が100未満の場合には水酸基がイソシアネート基より過剰であることを意味し、100を越える場合にはイソシアネート基が水酸基より過剰であることを意味する。イソシアネート指数が80未満の場合には、ポリオール類がポリイソシアネート類と十分に反応することができず、発泡体の柔軟性が大きく、形状保持性が低下する原因となる。一方、イソシアネート指数が130を越える場合には、発泡体が硬くなり過ぎる結果軟質ポリウレタン発泡体としての物性が低下する。
次に、触媒はポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応などの反応を促進するためのものである。係る触媒としては、アミン触媒、金属触媒などを用いることができる。アミン触媒としては、ジメチルエタノールアミン、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン等の第3級アミンが挙げられる。金属触媒としては、オクチル酸スズ等の有機金属化合物、アルカリ金属アルコラート等が挙げられる。これらの触媒のうち、樹脂化反応などの反応を促進し、良好な軟質ポリウレタン発泡体を得るために、アミン類と金属触媒とを併用することが望ましい。
触媒の配合量は、ポリオール類100質量部当たり、アミン触媒の場合0.05〜1.0質量部、金属触媒の場合0.05〜0.5質量部であることが好ましい。アミン触媒の配合量が0.05質量部未満の場合には樹脂化反応が不十分となり、1.0質量部を越える場合には樹脂化反応が過度に促進される傾向を示して好ましくない。金属触媒の配合量が0.05質量部未満の場合には樹脂化反応が不足しやすく、0.5質量部を越える場合には樹脂化反応の進行が過度になる傾向を示すと共に、発泡体が着色する傾向を示す。
発泡剤は、ポリウレタンを発泡させて軟質ポリウレタン発泡体とするためのものである。この発泡剤としては、水のほかペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。これらの発泡剤のうち、泡化反応の反応性に優れ、取扱性の良好な水が好ましい。発泡剤の配合量は、ポリオール類100質量部当たり1〜10質量部であることが好ましく、2〜7質量部であることがより好ましい。この配合量が1質量部未満の場合には発泡が不十分になって発泡体の柔らかさが不足する傾向を示し、10質量部を越える場合には発泡が過大になってそのバランスが崩れ、良好な軟質ポリウレタン発泡体を得ることが難しくなる。
整泡剤は、発泡剤によって行われる発泡を円滑に進行させるために用いられる。その整泡剤としては、軟質ポリウレタン発泡体の製造に際して一般的に使用されるものを用いることができる。一般的に使用されている整泡剤として具体的には、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。この一般的な整泡剤の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜2.5質量部であることが好ましい。この配合量が0.5質量部未満の場合、ポリウレタン発泡体の原料の発泡時における整泡作用が十分に発現されず、良好な発泡体を得ることが難しくなる。一方、2.5質量部を越える場合、整泡作用が強くなり、セルの連通性が低下する傾向を示す。
破泡剤は、発泡時に形成されるセルを粗くするように作用し、無機フィラー(無機充填剤)が用いられる。この無機フィラーを前記ポリオール類100質量部当たり0.01〜0.05質量部含有することが必要である。係る無機フィラーとしては、特にポリオール類に対して相溶性の低い珪藻土、珪酸ジルコニウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム等が用いられる。これらのうち、二酸化珪素(SiO)を含有する物質、例えば珪藻土、珪酸ジルコニウム、シリカ等が破泡作用を高めて粗細孔を形成することができる点から好ましい。
珪藻土は、珪藻と呼ばれる単細胞藻類の化石から構成されているものであり、主成分は二酸化珪素であって、その平均粒子径は、0.5〜50μm程度である。珪酸ジルコニウムの比重(4.6〜4.7)が大きく、ポリオール類との相溶性が低く、破泡作用の高い物質である。また、珪藻土を10〜20質量%、珪酸ジルコニウムを30〜40質量%及びジメチルポリシロキサンを50〜60質量%含む組成物を用いることもできる。
無機フィラーの配合量がポリオール類100質量部当たり0.01質量部未満の場合には、破泡作用が不足し、得られる発泡体のセル構造を所望のセル構造にすることが困難になる。その一方、0.05質量部を越える場合には、破泡作用が過剰に働き、円滑な発泡が望めず、目的とする発泡体を得ることが難しくなる。
軟質ポリウレタン発泡体の原料としては、前記各原料のほか、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤等を配合することができる。難燃剤としては、ハロゲン化リン酸エステル、縮合リン酸エステルなどが用いられる。
続いて、前述のように軟質ポリウレタン発泡体の原料の反応及び発泡は0.05〜0.07MPaの減圧条件下に行われ、その後常圧に戻される。減圧下で製造することにより、セルがより大きく成長し、粗いセルが形成されるため、その粗いセルと微細なセルとが混成されたセル構造が達成される。減圧発泡装置としては、公知の装置のいずれも用いられる。
前記圧力が0.05MPa未満の場合には過剰に減圧されることから、発泡体の強度に比べて減圧の効果が強く、負圧が過剰となって良好な発泡体が得られない。一方、0.07MPaを越える場合には、減圧の効果が発揮されず、低密度の発泡体が得られない。さらに、前記0.05〜0.07MPaという減圧下の時間(減圧時間)は、原料(反応混合液)を発泡成形機から吐出して成形開始後、1〜10分が好ましい。この場合、発泡停止後も発泡体の樹脂強度がでるまで減圧状態を維持することが好ましい。減圧時間が1分未満の場合には減圧による効果が少なく、一方10分を越える場合には発泡硬化後も発泡体が減圧状態に置かれ、減圧が過剰になって成形不良を招く。
発泡体の製造過程において、反応による発熱が最高に達する段階で発泡体が減圧下にあることが、気泡(セル)が形成された状態でこれを崩壊させることなく、適度な樹脂強度を保ちつつ低密度の発泡体とするうえで重要である。また、発泡体の製造に際し、その原料配合を適宜調整することにより、連続気泡型の構造を有する軟質ポリウレタン発泡体を得ることができる。
なお、軟質ポリウレタン発泡体を製造する際、その原料を公知の発泡成形機から一旦大気圧下に吐出した後に前記減圧下に置いて実施してもよく、或いは直接減圧環境下に吐出して実施してもよい。また、発泡体を製造する当たって、ワンショット法又はプレポリマー法のいずれの方法も採用される。ワンショット法は、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオール類とポリイソシアネート類との各一部を事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するプレポリマーを得、それにポリオール類又はポリイソシアネート類を反応させる方法である。ワンショット法はプレポリマー法に比べて製造工程が一工程で済み、製造条件の制約も少ないことからより一般的に用いられ、製造コストを低減させることができる。
発泡体の原料を反応及び発泡させて軟質ポリウレタン発泡体を製造する際の反応は複雑であり、基本的には次のような反応が主体となっている。すなわち、ポリオール類とポリイソシアネート類との付加重合反応及びその反応生成物等とポリイソシアネート類との架橋反応を含む樹脂化反応、並びにポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化反応であると考えられる。
さて、本実施形態の作用について説明すると、発泡体の原料として特に破泡剤である無機フィラーが用いられると共に、原料の反応及び発泡が0.05〜0.07MPaという減圧条件下に行われる。原料の発泡過程において、微細孔が形成されると共に、無機フィラーがポリオール類などに対して相溶せず、破泡作用が発現され、かつ発泡が減圧下に進行することで粗細孔が形成される。さらに、減圧条件下で原料の発泡が行われることにより、発泡が促進されて発泡倍率が高められる。このため、得られる発泡体中には微細孔と粗細孔とが混在する海綿状のセル構造が形成されると共に、発泡体の低密度化が図られる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の軟質ポリウレタン発泡体においては、微細孔の長径が0.2〜0.4mm及び粗細孔の長径が2〜3mmであるセルが混在してなる連続気泡構造が形成され、海綿状のセル構造を有している。しかも、軟質ポリウレタン発泡体は、見掛け密度が12〜20kg/mという低密度のものである。従って、軟質ポリウレタン発泡体は、二重のセル構造と低い見掛け密度とに基づいて海綿のような柔らかさを発揮することができる。
・ 軟質ポリウレタン発泡体の硬さが1〜10N/314cmという低い範囲に抑えられることにより、発泡体の柔らかさを向上させることができる。
・ 軟質ポリウレタン発泡体の製造方法において、破泡剤である無機フィラーを所定量使用することにより、係る無機フィラーはポリオール類などに対する相溶性が低く、破泡作用が有効に機能し、微細孔と粗細孔とが混在する海綿状のセル構造を形成することができる。さらに、発泡体の原料の反応及び発泡を0.05〜0.07MPaという減圧条件下に行うことにより、発泡を助長することができ、軟質ポリウレタン発泡体の見掛け密度を下げることができる。従って、低密度で海綿のように柔らかい軟質ポリウレタン発泡体を容易に製造することができる。
・ 前記無機フィラーとして、珪藻土等の二酸化珪素を含有する物質を用いることにより、ポリオール類などとの相溶性を低くすることができ、破泡作用を高め、海綿状のセル構造を形成しやすくすることができる。
・ 従って、軟質ポリウレタン発泡体は、自動車洗浄用、食器洗浄用、トイレ洗浄用、化粧用、浴用、医療用等のスポンジとして好適に用いられ、使用時には柔らかく、泡立ちが良好である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜4)
表1に示す各成分を同表中の配合割合に従って配合して原料を調製し、ワンショット法によって大気圧下に吐出し、実施例1〜3については、直ちに減圧発泡装置〔(株)大阪空気機械製作所製、品番PT−200〕内に配置し、表1に示す圧力でそのまま8分間減圧状態を維持し、原料の反応及び発泡を行った。なお、減圧状態を維持した時間の8分間は、原料又は発泡体中のガスが吸引されるに十分な時間であり、ゲルタイム以上の時間である。その後、常圧に戻すことにより軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
一方、比較例1〜4については、実施例1〜3と同様に原料を大気圧下に吐出し、減圧装置を使用することなく、常圧で原料を反応及び発泡させることにより軟質ポリウレタン発泡体を製造した。ここで、比較例1では破泡剤としての珪藻土の配合量が過剰である例、比較例2では圧力が低過ぎる(減圧度が高過ぎる)例を示す。比較例3では圧力が常圧である例、比較例4では破泡剤としての珪藻土を配合しない例を示す。
そして、軟質ポリウレタン発泡体の製造時における発泡状態、軟質ポリウレタン発泡体の見掛け密度、硬さ、微細孔の長径及び粗細孔の長径を、下記に示す方法によって測定し、それらの測定結果を表1に示した。また、表1中の略号も下記に示した。
発泡状態:原料が発泡する状況を目視により判断した。
見掛け密度(kg/m):JIS K7222:1999に準拠して測定した。
硬さ(N/314cm):JIS K 6400−2:2004に準拠し、25%圧縮時における硬さを測定した。
微細孔の長径(mm):顕微鏡を用いて目視により測定した。
粗細孔の長径(mm):顕微鏡を用いて目視により測定した。
(表1中の略号)
ポリオール:ポリエーテルポリオール、分子量3000、水酸基価56.1mgKOH/g、ダウ・ポリウレタン日本(株)製、ボラノール3022。
アミン触媒:第3級アミン、エアープロダクツジャパン(株)製、polycat 8。
金属触媒:オクチル酸第1スズ、城北化学(株)製、MRH110。
整泡剤:アルキル変性ポリシロキサン、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、SH192。
破泡剤(珪藻土):平均粒子径45μm、関東化学(株)製。
破泡剤入り整泡剤(S−729−15):ジメチルポリシロキサン50〜60質量%、珪酸ジルコニウム30〜40質量%及び珪藻土10〜20質量%の混合物。
ポリイソシアネート:トリレンジイソシアネート(2,4-トリレンジイソシアネート80質量%と2,6-トリレンジイソシアネート20質量%との混合物)、日本ポリウレタン工業(株)製、T−80。
顔料:黄色顔料、山陽色素(株)製、UT YELLOW4678。
Figure 0004898322
表1に示した結果より、実施例1〜4ではいずれも発泡状態が良好で、見掛け密度が12〜20kg/mという低密度であり、しかも硬さが1〜10N/314cm)という低硬度であった。さらに、微細孔の長径が0.2〜0.4mmで粗細孔の長径が2〜3mmであり、明瞭な所望とするセル構造を有していた。これは、通常の整泡剤に加え、珪藻土などの破泡剤を所定量配合すると共に、0.05〜0.07MPaという減圧下に原料の反応及び発泡を行ったことによるものである。
一方、比較例1では破泡剤としての珪藻土の配合量が過剰であるため、セルが切れて所望の発泡体が得られなかった。比較例2では圧力が低過ぎた結果、セルが破れて所望の発泡体を製造することができなかった。比較例3では圧力が常圧であるため、発泡が不足し、発泡体の見掛け密度が高くなると共に、硬くなった。比較例4では破泡剤としての珪藻土を配合しなかったため、破泡性が発現されず、粗細孔が形成されなかった。
なお、前記実施形態を、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記無機フィラーを複数種類用い、破泡作用を調整できるように構成することもできる。
・ 減圧時における圧力を、0.05〜0.07MPaの範囲内で発泡状態に応じて変化させることも可能である。
・ 軟質ポリウレタン発泡体の特性として、圧縮残留歪、反発弾性、通気性などを測定し、それらの範囲を目的に応じて設定することもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記二酸化珪素を含有する物質は、珪藻土であることを特徴とする請求項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。このように構成した場合、請求項に係る発明の効果に加えて、発泡時における破泡作用を向上させることができる。
・ 前記触媒は、アミン触媒と金属触媒との併用であることを特徴とする請求項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。このように構成した場合、請求項に係る発明の効果に加えて、樹脂化反応などの反応を促進し、良好な軟質ポリウレタン発泡体を得ることができる。
・ 前記発泡剤は水であることを特徴とする請求項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。このように構成した場合、請求項に係る発明の効果に加えて、泡化反応の反応性に優れ、発泡剤の取扱性を良好にすることができる。

Claims (3)

  1. ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤、整泡剤及び破泡剤を含む軟質ポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させて軟質ポリウレタン発泡体を製造する方法において、
    前記破泡剤として、二酸化珪素を含有する物質である無機フィラーを前記ポリオール類100質量部当たり0.01〜0.05質量部含有すると共に、反応及び発泡を0.05〜0.07MPaの減圧条件下に行った後、常圧に戻すことを特徴とする軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法により製造された軟質ポリウレタン発泡体であって、
    JIS K 7222に準拠して測定される見掛け密度が12〜20kg/m であると共に、微細孔の長径が0.2〜0.4mm及び粗細孔の長径が2〜3mmであるセルが混在してなる連続気泡構造を有することを特徴とする軟質ポリウレタン発泡体。
  3. JIS K 6400に準拠して測定される硬さが1〜10N/314cm であることを特徴とする請求項2に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
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