JP4898233B2 - マンホールの浮上防止構造 - Google Patents
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Description
一般に、図3に示すようなマンホール51は砂地盤52に埋設されることがある。この場合、砂地盤52は無数の砂粒53よりできているが、砂粒53と砂粒53との間には隙間がある。そして、この隙間部分に水が存在して満たしている場合、その水を間隙水54という。この間隙水54の圧力は間隙水圧と呼ばれているが、通常時は静水圧となっている。このような場合に、地震が発生すると、図4に示す如く、砂粒53が間隙に入り込もうとすることで、間隙水圧が上昇することになる。この間隙水圧の増加分を過剰間隙水圧と呼ぶが、過剰間隙水圧が発生し、間隙水圧が砂粒53同士を押し付ける力(有効応力)よりも大きくなると、砂粒53同士の接合が切れ、水54の中に砂粒53が漂うような状態になる。これが地盤の液状化現象である。この時、比重の小さい地中の構造物、例えば組立マンホール51などは浮上り、比重の大きな構造物は液状化地盤に沈むという状況になる。そして、液状化現象はしばらくすると、図5に示す如く、水54よりも比重の大きな砂粒53が時間経過に伴い沈下し、砂地盤52は再構築されることになる。
液状化現象の発生条件は、地盤の地下水位が高く、緩い砂質地盤である所に震度5程度の地震動があることと一般的に言われている。新潟県中越地震では、まさにこの状況であったため、マンホールが多数浮上った。
かかる技術においては、マンホールの側壁の周囲に礫材からなる埋め戻し材の層を設けるとともに、マンホールの地表側開口部の周囲に埋め戻し材の層に連続するように透水性舗装を行って、地震時におけるマンホールの浮上りを防止している。
また、上述した従来の技術のうち、マンホールの側部を礫材などで囲む方法にあっては、マンホールの周囲に礫材からなる埋め戻し材を囲むように埋設して締め固め、マンホールの地表側開口部の周囲に透水性舗装を行うため、装置全体が大掛かりで大規模の工事を必要として工事費用が高額となり、工事期間も長くなるという問題点があった。
しかも、本発明の浮上防止構造は、マンホールの設置箇所周辺における舗装道路を掘り起す必要がないので、車両通行止めなどを行わずに済み、既設のマンホールにも容易に適用することができる。
図1及び図2は本発明の実施形態の浮上防止構造が適用されるマンホールであって、図1は地盤改良構造体を設ける前の状態の縦断面図、図2(A)は地盤改良構造体を設けた後の状態の平面断面図、図2(B)はその縦断面図である。
このように構成されたマンホール本体2は、上蓋の上面が地表面9と同じ高さになるように地中10に立杭状に埋設され、下水道管5が接続されるようになっている。
そこで、例えば、上部ブロック7の貫通孔11から下方の底版3までの長さが1m以上ある場合は、胴部ブロック6の設置箇所の側壁2aに同様の貫通孔12が周方向に等間隔を置いて4個穿孔されて、形成されている。
このように、本発明の実施形態では、マンホール本体2の側壁2aの周辺に地盤改良構造体13が設けられているため、マンホール1の埋設箇所が砂粒と砂粒との間に間隙水の存在する砂地盤の地中10であっても、砂粒と砂粒との間隙にグラウト注入材が充填されて地盤が改良されることになり、地震による地盤の液状化現象の発生原因を無くし、マンホール1の浮上りを防ぐことが可能な構造となっている。
なお、ポンプ15には、グラウト注入材の供給量、注入圧力等を制御調整するため、図示しない流量測定器、注入圧力計などが電気的に接続されている。
次いで、図1に示す如く、ポンプ15に接続されたグラウトホース14をマンホール本体2の内部200に入れ、ホース先端部を上部ブロック7の貫通孔11から地中10に向けて一定の長さにわたり押し込む。この状態で、ポンプ15によって図外の注入材供給源からグラウト注入材を圧送し、グラウトホース14の先端部からグラウト注入材を所定の供給量及び圧力で地中10側に注入する。この注入作業をすべての貫通孔11で行い、グラウト注入材が固化すれば、地盤改良構造体13がマンホール本体2の側壁2aの全周に沿って設けられ、マンホール1の浮上防止構造が得られることになる(図2参照)。なお、胴部ブロック6の上下方向の長さが大きく、マンホール本体2の高さが高い場合には、胴部ブロック6の貫通孔12からも同様の注入作業を行うようにすると良い。
これにより、長期間にわたり車両の通行を止めて、既設のマンホール1の周辺に施工された舗装道路などを掘り起こさなくても、地盤改良構造体13を設けることができる。
例えば、本発明の浮上防止構造は、マンホール本体2の側壁2aの外周に対して地盤改良構造体13が一体化されていても、あるいは別体であっても良いが、貫通孔11,12にグラウト注入材を充填するなどして一体化した場合には、液状化地盤に対するマンホール1の見掛けの比重を大幅に増大させることができ、より確実にマンホール1の浮上りを防ぐことができる。
2 マンホール本体
2a 側壁(壁部)
3 底版
4 インバートブロック
4a インバート
5 下水道管
6 胴部ブロック
7 上部ブロック
8 開口部ブロック
9 地表面
10 地中
11,12 貫通孔
13 地盤改良構造体
14 グラウトホース
15 ポンプ
200 マンホール本体の内部
Claims (2)
- 埋設管路の点検等に使用すべくマンホール本体を立杭状に埋設して、前記埋設管路に接続させるマンホールの浮上防止構造において、前記マンホール本体の壁部に地中側とマンホール本体内部とを連通する複数の貫通孔を周方向に間隔を置いて形成し、該貫通孔を介してグラウト注入材を前記マンホール本体の内部から前記地中側に注入して固化させることにより、前記マンホール本体の壁部の全外周に沿って一定の大きさで、かつ前記マンホール本体の底部から上部付近までの上下方向の長さで、地盤改良構造体を設けたことを特徴とするマンホールの浮上防止構造。
- 前記マンホール本体と前記地盤改良構造体とが一体化していることを特徴とする請求項1に記載のマンホールの浮上防止構造。
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