JP4897858B2 - 保温構造の補修方法及び保温構造 - Google Patents

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Description

本発明は、保温構造の補修方法及び保温構造に関し、特に、既設の保温構造の補修に関する。
従来、例えば、特許文献1には、配管の外周を保温材で覆い、さらに当該保温材の外周を金属板からなる保護カバーで覆うことが記載されている。
特開平8−19830号公報
しかしながら、上記従来技術においては、例えば、雨によって保護カバーの継ぎ目から水が浸入した場合には、保温材が水を含み、その結果、当該保温材の断熱性が低下することがあった。そして、この場合、水を含んだ保温材を、乾燥した新たな保温材と交換する必要があった。
しかしながら、単に保温材を交換し、補修前と同一の保温構造を再構築するのみでは、その後、再び同様に当該保温構造に水が浸入すること、及びその結果として断熱性が低下することを防止することはできなかった。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、既設の保温構造に比べて断熱性が効果的に向上した新たな保温構造を構築することのできる保温構造の補修方法及びこれにより構築される保温構造を提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る保温構造の補修方法は、被保温体と、前記被保温体を覆う保温材と、を有する既設の保温構造を補修する方法であって、前記被保温体と、前記保温材と、前記保温材を覆う断熱性、水蒸気透過性及び非透水性を備えた補修材と、前記補修材を覆い下方側部分に排水穴が形成された金属製の外装材と、を有する新たな保温構造を構築することを特徴とする。本発明によれば、既設の保温構造に比べて断熱性が効果的に向上した新たな保温構造を構築することのできる保温構造の補修方法を提供することができる。
また、前記既設の保温構造は、内部に流体が流通する配管である前記被保温体と、前記配管の外周を覆う前記保温材と、を有する既設の配管保温構造であって、前記新たな保温構造は、前記配管と、前記保温材と、前記保温材の外周を覆う前記補修材と、前記補修材の外周を覆う前記外装材と、を有する新たな配管保温構造であることとしてもよい。
また、この場合、前記新たな配管保温構造は、前記配管と、前記保温材と、前記保温材の外周を覆う第一外装材と、前記第一外装材の外周を覆う前記補修材と、前記補修材の外周を覆う第二外装材である前記外装材と、を有し、その下方側部分に、前記第一外装材、前記補修材及び前記第二外装材を貫通する排水穴が形成されていることとしてもよい。さらに、この場合、前記既設の配管保温構造は、前記保温材の外周を覆う金属製の既設外装材をさらに有し、前記新たな配管保温構造において、前記第一外装材は、前記既設外装材であることとしてもよい。
また、これらの場合、前記第一外装材の外周を前記補修材で覆うとともに前記補修材の外周を前記第二外装材で覆うことによって、前記第一外装材、前記補修材及び前記第二外装材を積層し、次いで、積層された前記第一外装材、前記補修材及び前記第二外装材を貫通する前記排水穴を形成することとしてもよい。
また、前記既設の配管保温構造は、前記保温材の外周を覆う金属製の既設外装材をさらに有し、前記既設の配管保温構造から前記既設外装材を除去し、次いで前記保温材の外周を前記補修材で覆うとともに、前記補修材の外周を前記外装材で覆うことによって、前記新たな配管保温構造を構築することとしてもよい。また、前記いずれかの補修方法において、前記補修材は、エアロゲルが充填された繊維体であることとしてもよい。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る保温構造は、前記いずれかの補修方法により構築されたことを特徴とする。本発明によれば、既設の保温構造に比べて断熱性が効果的に向上した新たな保温構造を提供することができる。
本発明によれば、既設の保温構造に比べて断熱性が効果的に向上した新たな保温構造を構築することのできる保温構造の補修方法及びこれにより構築される保温構造を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る補修方法の一例において補修される既設の配管保温構造の斜視図である。 図1に示す既設の配管保温構造の断面図である。 本発明の一実施形態に係る補修方法の一例により構築される配管保温構造の斜視図である。 図3に示す配管保温構造の断面図である。 本発明の一実施形態に係る補修方法の他の例により構築される配管保温構造の斜視図である。 図5に示す配管保温構造の断面図である。 本発明の一実施形態に係る補修方法により構築された配管保温構造の一例について、その含水率の経時的変化を評価した結果を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る保温構造の補修方法(以下、「本方法」という。)及びこれにより構築される保温構造(以下、「本構造」という。)について説明する。
本方法は、保温の対象となる構造体である被保温体と、当該被保温体を保温するために設けられた当該被保温体を覆う保温材と、を有する既設の保温構造を補修する方法である。本実施形態においては、この既設の保温構造が、内部に流体が流通する配管である被保温体と、当該配管の外周を覆う保温材と、を有する既設の配管保温構造である例について主に説明するが、本発明は本実施形態に限られるものではない。
図1は、本方法の一例において補修される既設の配管保温構造(以下、「配管構造1」という。)の斜視図であり、図2は、当該配管構造1の断面図である。図1及び図2に示す例において、配管構造1は、内部に流体が流通する配管10と、当該配管10の外周を覆う保温材20と、当該保温材20の外周を覆う金属製の外装材(以下、「既設外装材30」という。)と、を有している。なお、図1においては、説明の便宜のために、配管10の外周を覆う保温材20及び既設外装材30の一部を省略して、当該配管10、保温材20及び既設外装材30をそれぞれ露出させて図示している。また、以下の説明で参照する他の斜視図においても同様に図示する。
配管10は、配管構造1が配置される環境の外気温度より高い温度の液体又は気体を輸送するために設置されている。配管10の温度は、例えば、40℃以上であり、より具体的には、例えば、40〜500℃の範囲である。この配管10は、例えば、炭素鋼やステンレス等の金属製である。配管10の内部に形成された中空部11には、輸送すべき液体又は気体が流通する。
保温材20は、配管10の外気による冷却を抑制するために設けられた断熱材である。保温材20として用いることのできる断熱材は、目的に応じた適切な断熱性を有する部材であれば特に限られないが、例えば、けい酸カルシウム(ゾノライト系けい酸カルシウム等)、パーライト等の断熱性無機多孔質成形体や、グラスウール、ロックウール等の断熱性無機繊維体を好ましく用いることができる。
保温材20としては、円周方向において複数に分割可能な円筒成形体として形成されたものを用いることができる。すなわち、図1及び図2に示す例において、保温材20は、2つの部分に分割可能な円筒成形体として形成されている。具体的に、この保温材20は、配管10の上方側部分の外周を覆う半円筒形状の上側保温材20aと、当該配管10の下方側部分の外周を覆う半円筒形状の下側保温材20bと、から構成されている。なお、保温材20は、3つ以上(例えば、4つ)の部分に分割可能に形成することもできる。また、保温材20は、分割可能に形成されたものに限られない。また、配管構造1の長手方向においては、所定長さの複数の保温材20が繋ぎ合わされて設けられている(不図示)。
保温材20としては、その撥水性を高める処理が施された断熱性無機多孔質成形体又は無機繊維体を用いることもできる。ただし、このような撥水化処理によって保温材20に十分な非透水性を付与することはできず、当該保温材20は少なからず透水性を有するものとなる。
既設外装材30は、保温材20を保護するために設けられる金属製のカバー部材である。既設外装材30としては、例えば、着色メッキ鋼板やステンレス板等の金属板を好ましく用いることができる。
図1及び図2に示す例において、既設外装材30は、金属板を保温材20の外周に巻き付け、当該金属板の円周方向の一方端と他方端とをかしめることにより形成されている。このため、既設外装材30は、長手方向に延びるかしめ部分31を有している。
また、配管構造1の長手方向においては、所定長さの複数の既設外装材30が繋ぎ合わされて設けられている(不図示)。複数の既設外装材30は、その繋ぎ目の位置が、上述の複数の保温材20の繋ぎ目の位置とずれるように設けられることが好ましい。
本実施形態において、配管構造1は、屋外に設置される。すなわち、この配管構造1は、例えば、雨や雪に晒され得る環境下に設置される。
ここで、配管構造1においては、既設外装材30が最外層として保温材20の外周の全体を覆っているため、雨や雪によって保温材20に水が浸入することは、ある程度防止することができている。
しかしながら、例えば、既設外装材30は、金属製の板材を保温材20の外周に巻き付け、端部をかしめて施工されるため、当該既設外装材30には継ぎ目(かしめ部分31)が形成される。したがって、配管構造1に対して雨や雪が強く吹き付けられた場合には、既設外装材30の継ぎ目の隙間から、当該既設外装材30と保温材20との間に水が浸入することがある。
この場合、浸入した水は、保温材20のうち、既設外装材30の継ぎ目に対応する部分から、それ以外の外周部分へも浸透し、さらに、当該保温材20の内部にまで浸透する。この結果、断熱性無機多孔質成形体や無機繊維体からなる保温材20の内部の空隙には、熱伝導率が空気よりも高い水が保持されることとなり、当該保温材20の断熱性が低下してしまう。
保温材20の断熱性が低下すると、当該保温材20の既設外装材30側の表面(図2に示す、配管10の径方向外側の外面22)の温度が低下し、当該外面22の温度と、当該保温材20の配管10側の表面(図2に示す、配管10の径方向内側の内面21)の温度と、の差が大きくなる。
したがって、例えば、保温材20の内面21の温度が、配管10の温度に近い比較的高い温度であることにより、当該内面21の近傍において当該保温材20に含まれる水が蒸発したとしても、当該保温材20の外面22の温度が低いために、発生した水蒸気は、当該外面22付近で凝縮してしまう。このため、既設の配管構造1において、いったん保温材20に浸透した水を排出して当該保温材20の断熱性を回復させることは容易でない。
また、保温材20に水分が浸入することにより、配管10の腐食が生じやすくなる。すなわち、例えば、配管10の表面に水分が存在し、且つ当該配管10の温度が腐食反応に適した温度(例えば、60〜80℃付近)となることにより、当該配管10の腐食が新たに発生し又は発生した腐食が進行しやすくなる。また、保温材20への水分の浸入により、当該保温材20に含有されていた腐食に関与する成分や、当該水分に含有されている塩類が配管10の近傍に溶出し蓄積することもまた、当該配管10の腐食を促進し得る。配管10の防錆塗装に劣化がある場合も、腐食が進行しやすくなる。
そこで、本方法においては、このような配管構造1を補修し、新たな配管保温構造として、例えば、図3及び図4に示すような本構造2を構築する。図3は、本方法の一例により構築される本構造2の斜視図であり、図4は、当該本構造2の断面図である。
図3及び図4に示す例において、本構造2は、既設の配管構造1(図1及び図2参照)の配管10及び保温材20に加えて、当該保温材20の外周を覆う金属製の第一外装材40と、当該第一外装材40の外周を覆う補修材50と、当該補修材50の外周を覆う金属製の第二外装材60と、を有している。
第一外装材40は、保温材20を保護するために設けられる金属製のカバー部材である。第一外装材40としては、例えば、着色メッキ鋼板やステンレス板等の金属板を好ましく用いることができる。
図3及び図4に示す例において、第一外装材40は、金属板を保温材20の外周に巻き付け、当該金属板の円周方向の一方端と他方端とをかしめることにより形成されている。このため、第一外装材40は、長手方向に延びるかしめ部分41を有している。なお、図4に示す例では、本構造2の下方側部分において、保温材20と第一外装材40との間に隙間が形成されている。
また、本構造2の長手方向においては、所定長さの複数の第一外装材40が繋ぎ合わされて設けられている(不図示)。複数の第一外装材40は、その繋ぎ目の位置が、上述の複数の保温材20の繋ぎ目の位置とずれるように設けられることが好ましい。
第一外装材40は、既設の配管構造1の既設外装材30(図1及び図2参照)とすることができる。すなわち、既設外装材30を再利用して、第一外装材40を形成することができる。第一外装材40として既設外装材30を使用する場合には、本方法における補修作業に要する時間やコストを効果的に低減することができる。なお、第一外装材40は、既設外装材30に代えて設けられた、未使用の新設のカバー材とすることもできる。
補修材50は、断熱性、水蒸気透過性及び非透水性を備えている。すなわち、補修材50は、当該補修材50を設けない場合に比べて、保温材20の外面22の温度を上昇させることのできる断熱性を有している。また、補修材50は、保温材20で発生した水蒸気(すなわち、気体状態の水)が透過することのできる水蒸気透過性も有している。さらに、補修材50は、強い雨や風に晒された場合であっても液体状の水が透過することのできない非透水性をも有している。
補修材50としては、水蒸気透過性と非透水性とを兼ね備えた断熱材を用いることができる。すなわち、補修材50としては、例えば、エアロゲルが充填された繊維体(以下、「エアロゲル繊維体」という。)を好ましく用いることができる。
このエアロゲル繊維体は、繊維基材にエアロゲルを充填することにより製造することのできる断熱性の構造体である。具体的に、エアロゲル繊維体は、例えば、繊維基材の繊維間にエアロゲルの原料を含浸し、次いで、当該エアロゲル原料が含浸された繊維基材を超臨界乾燥することにより製造することができる。
エアロゲル繊維体を構成する繊維基材としては、無機繊維又は有機繊維の織布又は不織布を用いることができる。繊維基材として、繊維が不規則に絡み合った不織布を用いることにより、繊維間にエアロゲルをより効果的に保持することができる。
また、繊維基材を構成する繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維等の樹脂繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維等のセラミックス繊維を用いることができる。
繊維基材に充填されるエアロゲルとしては、無機材料からなるエアロゲル(無機エアロゲル)又は有機材料からなるエアロゲル(有機エアロゲル)を用いることができる。無機エアロゲルを用いることにより、エアロゲル繊維体の耐熱性を効果的に高めることができる。
無機エアロゲルとしては、例えば、シリカエアロゲルやアルミナエアロゲルを用いることができる。中でも、シリカエアロゲルを用いることにより、エアロゲル繊維体の断熱性を効果的に高めることができる。
また、補修材50としては、既設の配管構造1の保温材20よりも断熱性が高いものを好ましく用いることができる。すなわち、例えば、その熱伝導率が、保温材20の熱伝導率よりも低い補修材50を好ましく用いることができる。
具体的に、ASTM C177に準拠した方法で測定される補修材50の25℃における熱伝導率は、例えば、0.05W/(m・K)以下であることが好ましく、0.02W/(m・K)以下であることがより好ましい。
すなわち、例えば、その熱伝導率が上記の範囲であるエアロゲル繊維体を補修材50として好ましく用いることができる。なお、エアロゲル繊維体の繊維間の空隙を埋めるエアロゲルは、当該エアロゲル内の微細孔により、当該エアロゲル繊維体の内部における空気の対流を効果的に防止することができる。このため、エアロゲル繊維体は、優れた断熱性を有することができる。
また、ASTM E96(Procedure B)に準拠した方法で測定される補修材50の水蒸気透過性は、例えば、600ng/(Pa・S・m)以上であることが好ましく、1500ng/(Pa・S・m)以上であることがより好ましい。
また、ASTM C1104に準拠した方法で測定される補修材50の水中浸漬後の吸水率は、例えば、10重量%以下であることが好ましく、4重量%以下であることがより好ましい。また、ASTM C1511に準拠した方法で測定される補修材50の撥水性は、例えば、5g重量減以下であることが好ましく、3g重量減以下であることがより好ましい。
すなわち、補修材50としては、例えば、上記の範囲の水蒸気透過性に加えて、上記の範囲の吸水率又は撥水性の両方または一方をさらに備えたエアロゲル繊維体を好ましく用いることができる。なお、エアロゲル繊維体は、上述したようなエアロゲル内の微細孔により、優れた断熱性に加えて、上記のような水蒸気透過性と非透水性とを兼ね備えることができる。
また、補修材50としてエアロゲル繊維体を用いる場合、当該エアロゲル繊維体の嵩密度は、例えば、100〜300kg/mの範囲とすることが好ましく、150〜200kg/mの範囲とすることがより好ましい。嵩密度が上記の範囲であるエアロゲル繊維体を用いることで、本構造2の軽量化を図ることができる。
また、補修材50は、適度な可撓性を有することが好ましい。すなわち、補修材50としては、配管構造1の保温材20及び第一外装材40の外周に沿って巻き付けることのできる柔軟性を備えたシート状体を用いることができる。
具体的に、例えば、不織布である繊維基材にエアロゲルが充填されてなるエアロゲル繊維体のシートを好ましく用いることができる。この場合、エアロゲル繊維体の厚さは、例えば、2〜20mmの範囲であることが好ましく、3〜10mmの範囲であることがより好ましい。
配管構造1の長手方向においては、所定長さの複数の補修材50が繋ぎ合わされて設けられている。すなわち、図3に示す例では、配管10の長手方向において、一方側(例えば、配管10の上流側)に設けられた第一補修材50aと、他方側(例えば、配管10の下流側)に設けられた第二補修材50bと、が繋ぎ合わされている。
そして、図3に示す例では、配管10の長手方向において、第一補修材50aの一部と第二補修材50bの一部とが重ね合わされることにより、重複部分51が形成されている。すなわち、この重複部分51は、第一外装材40の外周において、第一補修材50aの下流側の端部51aの上に、第二補修材50bの上流側の端部51bが重ね合わされることにより形成されている。なお、複数の補修材50は、その繋ぎ目である重複部分51の位置が、上述の複数の第一外装材40の繋ぎ目の位置とずれるように設けられることが好ましい。
また、図3及び図4に示す例において、補修材50は、所定長さのシート状体(例えば、エアロゲル繊維体)を第一外装材40の外周に巻き付け、当該シート状体の円周方向の一方端と他方端とを重ね合わせることにより形成されている。なお、図3に示す例では、各補修材50の外周に複数の番線Wを巻き付けることにより、当該補修材50を緊縛している。
第二外装材60は、主に補修材50を保護するために設けられる金属製のカバー部材である。第二外装材60としては、例えば、着色メッキ鋼板やステンレス板等の金属板を好ましく用いることができる。
図3及び図4に示す例において、第二外装材60は、金属板を補修材50の外周に巻き付け、当該金属板の円周方向の一方端と他方端とをかしめることにより形成されている。このため、第二外装材60は、長手方向に延びるかしめ部分61を有している。
また、本構造2の長手方向においては、所定長さの複数の第二外装材60が繋ぎ合わされて設けられている(不図示)。複数の第二外装材60は、その繋ぎ目の位置が、上述の複数の補修材50の繋ぎ目(重複部分51)の位置とずれるように設けられることが好ましい。
そして、図4に示すように、本構造2においては、その下方側部分に、第一外装材40、補修材50及び第二外装材60を貫通する排水穴70が形成されている。すなわち、図4に示す例では、第一外装材40の下方側部分に形成された貫通穴42、補修材50の下方側部分に形成された貫通穴52及び第二外装材60の下方側部分に形成された貫通穴62が、配管10の径方向に連なるよう配置されることにより排水穴70が形成されている。なお、本構造2の下方側部分とは、例えば、図4に示す例において、本構造2のうち、配管10の径方向中心を通る水平線Hよりも、鉛直方向における下方(図4に示す矢印Lの指す方向)側の部分である。
図4に示す例において、排水穴70は、本構造2のうち、鉛直方向における下方側の頂点部分に1つ形成されているが、当該排水穴70の態様はこれに限られない。すなわち、排水穴70は、例えば、保温材20と第一外装材40との間や、補修材50と第二外装材60との間に侵入し主に重力の作用により下方側に流れ落ちた水を当該排水穴70から排出されるよう、適切な位置に、適切な数だけ形成される。
例えば、本構造2の下方側部分においては、長手方向の複数の位置に排水穴70を形成することができ、周方向の複数の位置に排水穴70を形成することもできる。具体的に、例えば、本構造2が長手方向に繋ぎ合わされた複数の第二外装材60を有する場合には、各第二外装材60に1つ以上の排水穴70が開口するよう、当該排水穴70を設けることができる。
なお、図3及び図4に示す例では、第一外装材40のかしめ部分41、補修材50の周方向の重複部分及び第二外装材60のかしめ部分61は、いずれも本構造2の上方側部分(図4に示す例において、本構造2のうち、配管10の径方向中心を通る水平線Hよりも、鉛直方向における上方(図4に示す矢印Uの指す方向)側の部分)に形成されている。
本方法により図3及び図4に示す本構造2を構築する場合、例えば、第一外装材40の外周を補修材50で覆うとともに当該補修材50の外周を第二外装材60で覆うことによって、当該第一外装材40、当該補修材50及び当該第二外装材60を積層し、次いで、積層された当該第一外装材40、当該補修材50及び当該第二外装材60を貫通する排水穴70を形成することができる。
すなわち、例えば、第一外装材40として、既設の配管構造1の既設外装材30(図1及び図2参照)を利用する場合には、まず、当該既設外装材30(第一外装材40)の外周に補修材50を巻き付け、次いで、当該補修材50の外周に新たな第二外装材60を巻き付ける。なお、配管構造1の長手方向に複数の補修材50を施工する場合には、上述のとおり、当該複数の補修材50を、長手方向において互いに一部が重なるように(隣接する一対の補修材50a,50bの継ぎ目部分に重複部分51が形成されるように)配置することが好ましい。
また、第一外装材40として、新たな外装材を使用する場合には、まず、既設の配管構造1の既設外装材30を除去し、当該既設外装材30に代えて、保温材20の外周に当該第一外装材40を巻き付け、次いで、当該第一外装材40の外周に補修材50を巻き付け、さらに、当該補修材50の外周に新たな第二外装材60を巻き付ける。
そして、このように第一外装材40、補修材50及び第二外装材60を積層した後、ドリル等の穴あけ用工具を使用して、径方向の外側から内側に向けて、当該第二外装材60の貫通穴62、当該補修材50の貫通穴52及び当該第一外装材40の貫通穴42を順次形成することにより、図4に示すような排水穴70を形成する。
なお、第一外装材40、補修材50及び第二外装材60のそれぞれに、予め貫通穴42,52,62を形成しておき、これらの部材を施工する際に、当該貫通穴42,52,62を位置合わせすることにより、排水穴70を形成することもできる。また、第一外装材40、補修材50及び第二外装材60の貫通穴42,52,62のうち、一部を施工前に形成しておき、他の一部を施工後に形成することもできる。
このように、本方法においては、既設の配管構造1の保温材20を上述したような特性を備えた補修材50及び第二外装材60で覆い、排水穴70を形成することによって、当該既設の配管構造1に比べて断熱性が効果的に向上した本構造2を構築することができる。
まず、本構造2においては、保温材20の断熱性を効果的に回復させることができる。すなわち、既設の配管構造1において、保温材20が外部から浸入した水を含むことにより、当該保温材20の断熱性が低下している場合には、本方法により、当該保温材20から水を効果的に排出させることができる。
具体的に、断熱性の補修材50で保温材20の外周(すなわち外面22)を覆うことにより、当該保温材20の外面22の温度を上昇させ、当該保温材20の外面22の温度と内面21の温度との差を低減することができる。この結果、保温材20の内面21から外面22にわたる内部の全範囲において、当該保温材20に含まれる水を蒸発させることが可能となる。
そして、保温材20を覆う補修材50は、気化した水が透過できる水蒸気透過性を有しているため、保温材20に含まれていた水の蒸発により発生した水蒸気は、当該補修材50を透過して、本構造2の外部に効果的に排出される。すなわち、保温材20の内部で発生した水蒸気は、補修材50の当該保温材20側の表面(図4に示す内面53)から、当該補修材50の第二外装材60側の表面(図4に示す外面54)まで、当該補修材50の内部を通過して排出される。
したがって、本方法によれば、既設の保温材20を補修材50で覆うという簡単な作業により、いったん水を含んだ当該保温材20を効果的に乾燥させ、その断熱性を回復させることができる。
次に、本構造2においては、その内部に浸入した水を、排出穴70から効果的に排出することができる。すなわち、上述のように、補修材50を設けることによって、保温材20に含まれていた水を効果的に蒸発させることができるが、例えば、第一外装材40及び第二外装材60の温度が当該保温材20の外面22の温度より低い場合には、当該保温材20と当該第一外装材40との間や、当該補修材50と当該第二外装材60との間で、当該水蒸気が凝縮して、再び水滴が生成され得る。
そして、本構造2の内部において、水は、主に重力の作用によって、その下方側部分に流れ落ち、蓄積されやすい。すなわち、例えば、水蒸気の凝縮により生成された水や、新たに浸入した水は、保温材20のうち下方側部分、当該保温材20と第一外装材40との境界部分のうち下方側部分、及び補修材50と第二外装材60との境界部分のうち下方側部分に溜まりやすい。
この点、本構造2においては、上述のように、その下方側部分に、第一外装材40、補修材50及び第二外装材60を貫通する排水穴70が形成されているため、当該本構造2の下方側部分に溜まった水を、当該排水穴70から効率よく排出することができる。
また、本方法により構築される本構造2は、保温材20に加えて断熱性の補修材50をも有するため、補修前の配管構造1に比べて、より高い断熱性を有することができる。特に、補修材50として、薄いシート状で高い断熱性を有するエアロゲル繊維体を使用する場合には、補修に伴う径方向のサイズの増加を抑えつつ、断熱性が顕著に向上した本構造2を簡便且つ確実に構築することができる。
さらに、保温材20を覆う補修材50は非透水性を有しているため、例えば、本構造2が雨や雪に晒された場合においても、当該保温材20に新たに水が浸入することを効果的に防止することができる。
また、本構造2においては、万が一、外部から新たに水が浸入した場合であっても、当該浸入した水を効果的に排出することができる。すなわち、この場合、本構造2においては、上述のように保温材20に新たに含まれた水を蒸発させ補修材50を介して排出するとともに、新たに浸入した水や水蒸気が凝縮して生成された水滴を排水穴70から排出することにより、当該保温材20を再び乾燥させることができる。すなわち、本構造2は、断熱性の自己回復能力を備えている。したがって、本構造2においては、その高い断熱性を安定して維持することができる。
また、本構造2においては、既設の配管構造1に比べて、配管10の腐食を効果的に回避することができる。すなわち、本構造2においては、上述のように、いったん保温材20に含有された水分や、水蒸気が凝縮して生成された水滴等、当該本構造2の内部に侵入した水を、補修材50及び排水穴70を介して速やかに排出することができる。したがって、本構造2においては、例えば、浸入した水分、当該水分に含有される塩類、保温材20から溶出した成分等、腐食の原因となり得る物質が配管10の表面付近に存在することを効果的に回避することができる。この結果、本構造2においては、配管10の腐食の発生及び進行を効果的に防止することができる。
また、最外層として金属製の第二外装材60を設けることによって、本構造2の力学的強度を向上させることができる。このため、例えば、作業者が本構造2の上(すなわち、第二外装材60の上)に乗って所定の作業を行うこともできる。
図5は、本方法の他の例により構築される本構造2の斜視図であり、図6は、当該本構造2の断面図である。図5及び図6に示す例において、本構造2は、既設の配管構造1(図1及び図2参照)の配管10及び保温材20に加えて、当該保温材20の外周を覆う補修材50と、当該補修材50の外周を覆う金属製の外装材80と、を有している。
補修材50としては、上述の例と同様に、エアロゲル繊維体等、水蒸気透過性と非透水性とを兼ね備えた断熱材を用いることができる。補修材50の施工もまた、上述の例と同様にして行うことができる。
外装材80は、主に保温材20及び補修材50を保護するために設けられる金属製のカバー部材である。外装材80としては、例えば、着色メッキ鋼板やステンレス板等の金属板を好ましく用いることができる。
図5及び図6に示す例において、外装材80は、金属板を補修材50の外周に巻き付け、当該金属板の円周方向の一方端と他方端とをかしめることにより形成されている。このため、外装材80は、長手方向に延びるかしめ部分81を有している。
また、本構造2の長手方向においては、所定長さの複数の外装材80が繋ぎ合わされて設けられている(不図示)。複数の外装材80は、その繋ぎ目の位置が、上述の複数の補修材50の繋ぎ目(重複部分51)の位置とずれるように設けられることが好ましい。
この外装材80は、既設外装材30に代えて設けられた、未使用の新設のカバー材とすることができる。また、外装材80は、既設の配管構造1の既設外装材30(図1及び図2参照)とすることもできる。すなわち、既設外装材30を再利用して、外装材80を形成することもできる。
そして、図6に示すように、本構造2においては、その下方側部分に、外装材80を貫通する排水穴90が形成されている。すなわち、この排水穴90は、外装材80の下方側部分に形成された貫通穴である。
図6に示す例において、排水穴90は、本構造2のうち、鉛直方向における下方(図6に示す矢印Lの指す方向)側の頂点部分に1つ形成されているが、当該排水穴90の態様はこれに限られない。すなわち、排水穴90は、例えば、補修材50と外装材80との間に侵入し主に重力の作用により下方側に流れ落ちた水を当該排水穴90から排出されるよう、適切な位置に、適切な数だけ形成される。
例えば、外装材80の下方側部分においては、長手方向の複数の位置に排水穴90を形成することができ、周方向の複数の位置に排水穴90を形成することもできる。具体的に、例えば、本構造2が長手方向に繋ぎ合わされた複数の外装材80を有する場合には、各外装材80に1つ以上の排水穴90が開口するよう、当該排水穴90を設けることができる。
本方法により図5及び図6に示す本構造2を構築する場合、まず、既設の配管構造1から既設外装材30を除去し、次いで、当該配管構造1の保温材20の外周を補修材50で覆い、さらに当該補修材50の外周を外装材80で覆う。なお、配管1の長手方向に複数の補修材50を施工する場合には、上述のとおり、当該複数の補修材50を、長手方向において互いに一部が重なるように(隣接する一対の補修材50a,50bの継ぎ目部分に重複部分51が形成されるように)配置することが好ましい。
排水穴90は、外装材80を補修材50の外周に施工した後に、ドリル等の穴あけ用工具を使用して形成することができる。また、予め外装材80に排水穴90を形成しておき、当該排水穴90が形成された外装材80を補修材50の外周に施工することもできる。
このような本構造2もまた、補修材50と、排水穴90が形成された外装材80と、を有するため、上述した例と同様の効果を奏する。すなわち、本構造2は、既設の配管構造1に比べて効果的に向上した断熱性を備えることができる。また、本構造2は、断熱性の自己回復能力を備え、その高い断熱性を安定して維持することができる。
次に、本実施形態の具体的な実施例について説明する。
本構造2として、図3及び図4に示すような配管保温構造を構築した。配管10は、外径が114mmである炭素鋼製の円筒状構造体であり、水平に延びるよう配置された。保温材20としては、けい酸カルシウムを主成分とする円筒状の断熱性多孔質成形体を用いた。この保温材20は、厚さ(図2に示す内面21から外面22までの長さ)が40mmであり、円周方向において上下に分割可能な2つの半円筒体である上側保温材20a及び下側保温材20bから構成された。第一外装材40としては、厚さが0.3mmである着色亜鉛メッキ鋼板製の円筒状カバー材を用いた。
補修材50としては、炭素繊維とガラス繊維とを含む混合繊維の不織布である繊維基材に、シリカ系エアロゲルを充填したエアロゲル繊維体(Pyrogel XT、Aspen Aerogels Inc.)を用いた。このエアロゲル繊維体は、厚さが5mmであって適度な可撓性を有するシート状成形体であった。第二外装材60としては、厚さが0.3mmである着色亜鉛メッキ鋼板製の円筒状カバー材を用いた。
そして、これらの部材を施工した後、ドリルを用いて、図4に示すように、本構造2の鉛直方向下方側の頂点部分に排水穴70を形成した。排水穴70は、本構造2の長手方向において120mmおきに5つ形成した。排水穴70の直径は10〜30mmの範囲とした。
また、第一外装材40及び第二外装材60のうち、長手方向の中央部分であって鉛直方向上方側の頂点部分に、後述のように試験中に本構造2内に水を侵入させるための給水穴を1つずつ形成した。
一方、比較の対照として、図1及び図2に示すような配管保温構造(以下、「比較構造」という。)を構築した。配管10、保温材20及び既設外装材30としては、それぞれ上述の本構造2の配管10、保温材20及び第一外装材40と同様のものを用いた。すなわち、既設外装材30として、未使用の外装材を使用した。ただし、この既設外装材30には排水穴70は形成せず、給水穴のみ形成した。
図7には、実施した試験のスケジュールと、当該試験にて測定された保温材20の含水率の経時的変化と、を示す。図7において、横軸は、試験の開始から経過した時間(時間)を示し、縦軸は、各経過時間において測定された保温材20の含水率(体積%)を示す。また、図7において、太い破線及び太い実線は、本構造2の上側保温材20a及び下側保温材20bの含水率をそれぞれ示し、細い破線及び細い実線は、比較構造の上側保温材20a及び下側保温材20bの含水率をそれぞれ示す。なお、含水率は、保温材20に含有される水分量を中性子水分計(MCM−2型、CPN社製)により測定した結果に基づいて算出した。
試験においては、まず、水中に所定時間浸漬することにより十分に水を含有させた半円筒形状の保温材20a,20bを配管10の外周に施工し、本構造2及び比較構造をそれぞれ構築した。すなわち、図7に示すように、経過時間がゼロ時間の時点では、本構造2及び比較構造の保温材20a,20の含水率は、いずれも約70体積%であった。
次いで、配管10に設置されたヒータの通電を開始することにより、当該配管10の加熱を開始した。すなわち、図7に示すように、配管保温構造の運転状態を模して、配管10の温度を800時間にわたって100℃に維持した。
その結果、図7に示すように、本構造2の保温材20a,20bの含水率は、加熱の開始後、速やかに低下し、加熱期間を通じて低値に維持された。一方、比較構造においては、上側保温材20aの含水率の低下は、本構造2に比べて極めて緩やかであり、800時間が経過した時点でも30体積%を超えていた。
その後、配管保温構造の運転停止状態を模して、ヒータによる配管10の加熱を停止した。すなわち、図7に示すように、加熱期間の経過後、経過時間が約1800時間となるまでの間、本構造2及び比較構造を常温にて放置した。なお、この常温放置期間のうち、経過時間が1000時間となった付近で、比較構造の上側保温材20aの含水率が上昇したため、配管10の加熱を短時間行い、当該保温材20aの含水率を低下させた。
また、配管保温構造が運転停止状態で雨や雪に晒された状態を模して、図7に示すように、常温放置期間のうち、経過時間が約1400時間以降、本構造2及び比較構造に水滴を滴下した。すなわち、本構造2及び比較構造の給水穴に、1日あたり約220gの水滴を、17日間供給した。
この結果、比較構造においては、図7に示すように、上側保温材20aの含水率(細い実線)が、給水の開始後、急激に増加した。また、それに続いて、下側保温材20bの含水率(細い破線)も急激に増加した。
これに対し、本構造2においては、図7に示すように、上側保温材20a及び下側保温材20bのいずれの含水率も全く増加しなかった。この結果は、本構造2において、補修材50によって保温材20a,20bに水が浸透することを効果的に防止でき、また、当該補修材50及び排水穴70によって、わずかに浸透した水を速やかに排出できたためと考えられた。
最後に、水滴の滴下後、図7に示すように、配管10の加熱を再び開始し、当該配管10の温度を100℃に維持した。その結果、比較構造における上側保温材20aの含水率は急激に低下したが、下側保温材20bの含水率の低下は緩やかであり、試験終了の時点でも40体積%を超えていた。
これに対し、本構造2における保温材20a,20bの含水率は、試験開始後の配管10の加熱によって低下した後、ゼロ体積%に近い極めて低い値を維持できた。このように、本構造2は、保温材20が当初水を含んでいたとしても運転開始後速やかに当該保温材20を乾燥させることができ、且つその後、運転停止状態で雨や雪に晒されたとしても、極めて優れた断熱性を効果的に維持できることが確認された。
なお、予備的検討において、上述のエアロゲル繊維体からなる複数の補修材50を配管10の長手方向に施工した配管保温構造として、図3に示すように重複部分51が形成されるように施工した第一の構造と、当該重複部分51を形成することなく一方の補修材50aと他方の補修材50bとを突き合わせて施工した第二の構造と、を構築し、これらの構造に上述のように水滴を滴下し、その後、配管10の加熱状態を維持する試験を行った。
その結果、重複部分51を形成しない第二の構造においては、配管10の表面に腐食の発生が認められた。これに対し、重複部分51を形成した第一の構造においては、配管10の腐食は認められなかった。したがって、長手方向において複数の補修材50を施工する場合には、図3に示すような重複部分51を形成することにより、本構造2への水の浸入を確実に防止できると考えられた。また、本構造2の規模に依存するため限定されるものではないが、例えば、本構造2が、外径が10〜1600mmの範囲である配管10を有し、補修材50として上述のエアロゲル繊維体を用いる場合には、当該補修材50の重複部分51の長手方向の長さは10mm以上(例えば、25mm前後)とすることが好ましいことが確認された。また、各補修材50a,50bの円周方向における重複部分の長さも同様に10mm以上(例えば、25mm前後)とすることが好ましいことが確認された。
なお、本発明は、本実施形態に限られるものではない。すなわち、既設の配管構造1及び本構造2は、配管10が水平方向に延びる配管保温構造に限られず、例えば、傾斜して配置された配管10や、屈曲したエルボ部分を含む配管10を有することとしてもよい。そして、配管10がエルボ部分を含む場合、本構造2においては、当該エルボ部分の外周を覆う部分のうち下方側部分に排水穴70,90が形成される。また、例えば、本方法による補修の対象となる既設の保温構造は、上述したような配管構造1に限られない。例えば、保温材で覆われた、横型又は縦型の既設の機器の胴体部や鏡部もまた、本方法による補修の対象となり得る。
1 既設の配管保温構造、2 本実施形態に係る配管保温構造、10 配管、11 中空部、20 保温材、20a 上側保温材、20b 下側保温材、21 保温材の内面、22 保温材の外面、30 既設外装材、31 かしめ部分、40 第一外装材、41 かしめ部分、42 貫通穴、50 補修材、50a 第一補修材、50b 第二補修材、51 重複部分、51a 第一補修材の端部、51b 第二補修材の端部、52 貫通穴、53 補修材の内面、54 補修材の外面、60 第二外装材、61 かしめ部分、62 貫通穴、70 排水穴、80 外装材、81 かしめ部分、90 排水穴。

Claims (9)

  1. 内部に外気温度より高い温度の流体が流通する配管である被保温体と、
    前記配管の外周を覆う保温材と、
    を有する既設の配管保温構造を補修する方法であって、
    前記配管と、
    前記保温材と、
    前記保温材の外周を覆う、その熱伝導率が前記保温材のそれよりも低い断熱性、水蒸気透過性及び非透水性を備えた補修材と、
    前記補修材の外周を覆い下方側部分に排水穴が形成された金属製の外装材と、
    を有する新たな配管保温構造を構築する
    ことを特徴とする保温構造の補修方法。
  2. 内部に流体が流通する配管である被保温体と、
    前記配管の外周を覆う保温材と、
    前記保温材の外周を覆う金属製の既設外装材と、
    を有する既設の配管保温構造を補修する方法であって、
    前記既設の配管保温構造から前記既設外装材を除去し、次いで前記保温材の外周を、断熱性、水蒸気透過性及び非透水性を備えた補修材で覆うとともに、前記補修材の外周を、下方側部分に排水穴が形成された金属製の外装材で覆うことによって、
    前記配管と、
    前記保温材と、
    前記保温材の外周を覆う前記補修材と、
    前記補修材の外周を覆う前記外装材と、
    を有する新たな配管保温構造を構築する
    ことを特徴とする保温構造の補修方法。
  3. 前記外装材は、前記補修材と別体に形成され、前記補修材で前記保温材を覆った後に、前記補修材を覆うように施工されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載された保温材の補修方法。
  4. 前記新たな配管保温構造は、
    前記配管と、
    前記保温材と、
    前記保温材の外周を覆う第一外装材と、
    前記第一外装材の外周を覆う前記補修材と、
    前記補修材の外周を覆う第二外装材である前記外装材と、
    を有し、
    その下方側部分に、前記第一外装材、前記補修材及び前記第二外装材を貫通する排水穴が形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載された保温構造の補修方法。
  5. 前記既設の配管保温構造は、前記保温材の外周を覆う金属製の既設外装材をさらに有し、
    前記新たな配管保温構造において、前記第一外装材は、前記既設外装材である
    ことを特徴とする請求項4に記載された保温構造の補修方法。
  6. 前記第一外装材の外周を前記補修材で覆うとともに前記補修材の外周を前記第二外装材で覆うことによって、前記第一外装材、前記補修材及び前記第二外装材を積層し、
    次いで、積層された前記第一外装材、前記補修材及び前記第二外装材を貫通する前記排水穴を形成する
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載された保温構造の補修方法。
  7. 前記既設の配管保温構造は、前記保温材の外周を覆う金属製の既設外装材をさらに有し、
    前記既設の配管保温構造から前記既設外装材を除去し、次いで前記保温材の外周を前記補修材で覆うとともに、前記補修材の外周を前記外装材で覆うことによって、前記新たな配管保温構造を構築する
    ことを特徴とする請求項に記載された保温構造の補修方法。
  8. 前記補修材は、エアロゲルが充填された繊維体である
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載された保温構造の補修方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載された補修方法により構築された
    ことを特徴とする保温構造。
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