JP4897437B2 - 低分子化合物溶液循環型フローnmr装置 - Google Patents

低分子化合物溶液循環型フローnmr装置 Download PDF

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Description

本発明は、NMR(核磁気共鳴)装置に係り、特に、NMR装置において試料の測定条件を変化させながら繰り返し測定を行うための低分子化合物溶液循環型フローNMR装置に関する。
タンパク質など生体内で機能を有する分子の分子量は薬などに用いられる化合物に比べて大きく高分子化合物としての特性を有している。
タンパク質に代表される高分子化合物は溶液中で分子機能を有しており、この機能は特定の低分子化合物と結合することで阻害されたり促進されたりする。
特定の低分子化合物と高分子化合物の結合あるいは相互作用は、多くの方法で検出されている。特に高分子化合物あるいは低分子化合物の分子構造の情報を直接観測できる核磁気共鳴を用いた測定(以下、NMR測定という。)では、化合物濃度に対する測定スペクトルの変化から高分子化合物と低分子化合物の解離定数、反応速度の評価だけでなく化合物の構造に基づいた相互作用の解析が可能である。NMR測定によるタンパク質と低分子化合物の相互作用を測定する方法の記載については、例えば、特許文献1を参照のこと。
NMR測定に用いる高分子化合物のうちタンパク質は、自然界に存在する生命体から抽出する方法、タンパク質の生成に関連する遺伝子を組み込んだ大腸菌等を利用した大量発現系から抽出する方法、生きた細胞を用いずにタンパク質を大量発現させる無細胞発現系を利用する方法などによって生成される。また、タンパク質を構成する主な元素である水素、炭素、窒素に対して同位体放射元素による標識(以下、ラベル化という。)を行う場合がある。このラベル化には、タンパク質を構成する水素、炭素、窒素の3元素を組み合わせてラベル化する方法、すべてをラベル化する全標識方法、特定のアミノ酸残基に属する原子のみをラベル化する選択的標識などの方法がある。どの方法においてもラベル化の処理コストは高額である。
核磁気共鳴分光装置(以下、NMR装置という。)は、典型的には静磁場B0を生じさせる磁石と、この磁石の内側に設置したボア部に配置された核磁気共鳴プローブとを含む。この核磁気共鳴プローブは、目的とする試料にRF磁場B1を加え、そして加えられた磁場に対する試料の反応(応答)を検出するための1つ以上のコイルが含まれる。
従来の核磁気共鳴プローブには、静置試料プローブおよびフロースループローブが含まれる。静置試料プローブではガラス管またはアンプル(以下、試料管という)の中に試料を加え、この試料管をNMR装置の所定の位置にセットしてから測定を開始する方法が行われている。
従来の静置試料プローブでは、開口部を持つ試料管で低分子化合物の滴定を行いながらNMR測定を行うことで、濃度増加に対するNMRスペクトル変化の観測が可能である。
従来のフロースループローブは、試料入口、試料出口、および入口と出口との間に延びる内部の管部を含む。この内部の管部には、試料を保持するためのセルが含まれる。試料は試料入口から入れられ、内部の管部を流れてセルに入る。測定後には管部を流れてプローブ外へと取り除かれる。
従来のフロースループローブとロボット式の試料移送システムの組み合わせが使用されている。様々な試料移送システムとの組み合わせが、例えばGilson, Inc. から市販されている。そのようなシステムでは、複数の測定条件に調整した試料を、複数の容器にあらかじめ準備する必要がある。試料は容器から試料を取り出せる装置を経由してあらかじめセットされたフロースループローブへ試料を送り込まれる。1つの試料に対してNMR測定が終了すると、試料はプローブ外に排出される。試料を送りこむために好適な従来システムの記載については、例えば、特許文献2を参照のこと。
特願2001−527224号 特表2004−534958号
しかしながら、従来の静置試料プローブでは、試料溶液は高分子化合物、薬物としての効果を評価する低分子化合物、その他の試薬が混合した溶液であるため、一旦、ある濃度の低分子化合物を含んだ条件に達した試料溶液を用いて、その濃度以下の条件でNMR測定を行うことは困難である。
また、NMR測定で用いる試料管での低分子化合物の滴定は、試料溶液全体の体積の増大を生じさせ、高分子化合物試料濃度の変化および試料溶液の液面位置の変化を生じる。これらの変化を抑制するためには、試料溶液の体積に対して滴下する体積を出来るだけ少なくする必要がある。
滴下する体積を小さくするためには、滴下する低分子化合物の濃度を上げる必要があるが、滴下溶液の濃度は低分子化合物の溶解度によってその上限が決まり、一般に物質の溶解度は溶媒の種類や温度などによって大きく異なる。従って、滴下による低分子化合物濃度変化に対するNMR測定では、溶媒や温度の違いが高分子化合物濃度の安定性に影響を及ぼす。
さらに、従来のフロースループローブと試料移送システムの組み合わせでは、複数の濃度条件に調整した試料をあらかじめ準備することが求められる。したがって、測定条件数だけの一定濃度の高分子化合物溶液が必要となり、試料に要する費用が高価となる。
また、測定条件範囲が未知の高分子化合物や低分子化合物では、好適な測定条件範囲や条件変化の度合いが確定するまで機能評価の計測全体を繰り返し行う問題で悩まされ得る。
そこで、本発明の目的は、タンパク質などの高分子化合物と低分子化合物を含んだ溶液試料において高分子化合物を効率良く交換し、核磁気共鳴測定を行うための装置および方法、ならびに試料の濃度条件を安定的に制御し、低分子化合物の濃度を変化させながら繰り返し測定を行うための装置を提供することである。
低分子化合物溶液の注入、排出、送液を行う低分子化合物濃度制御部30、高分子化合物試料を含む溶液(試料)を低分子化合物溶液と混ぜる混合用フィルタ部32、核磁気共鳴プローブ24にセットした容器10、試料と低分子化合物溶液を分ける分離用フィルタ部34を通過して再び上記制御部30へと低分子化合物溶液を循環的に移動させ、試料を上記混合用フィルタ部32から注入し、上記容器10内の計測部に試料を保持し、NMR測定を実施後に試料を上記分離用フィルタ部34から排出させることで、一定の低分子化合物濃度条件下で複数の試料の計測を可能とする。
上記制御部30から上記混合用フィルタ部32、上記容器10、上記分離用フィルタ部34の間で低分子化合物溶液を循環的に移動できるように、上記核磁気共鳴プローブ24に設置された上記容器10の注入口14と第1試料移送管16、上記容器の排出口12と第2試料移送管16を接続し、(低分子化合物注入口51と試料注入口52と排出口50を有する)上記混合用フィルタ部32の排出口50と上記第1試料移送管16を接続し、上記混合用フィルタ部32の低分子化合物注入口51に第1低分子化合物溶液移送管18を接続し、(低分子化合物排出口61と試料排出口62と注入口60を有する)上記分離用フィルタ部34の注入口60と上記第2試料移送管16を接続し、上記分離用フィルタ部34の低分子化合物排出口61に第2低分子化合物溶液移送管18を接続し、(低分子化合物溶液の注入口40と排出口42を有する)低分子化合物濃度制御部30の注入口40に上記第2低分子化合物溶液移送管18を接続し、排出口42に上記第1低分子化合物溶液移送管18を接続する。
上記低分子化合物濃度制御部30は、上記低分子化合物濃度制御部の注入口40と低分子化合物溶液注入部70、排水バルブ44、注水バルブ46、送液ポンプ部48、圧力計49、上記低分子化合物濃度制御部の排出口42が接続されており、上記低分子化合物溶液注入部70は1つあるいは複数のシリンジポンプと制御する電子機器で構成され、上記送液ポンプ部48は、加圧により溶液を送液するポンプと上記送液ポンプを制御する電子機器で構成される。
送液ポンプがプローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域の全体積に相当する量の溶液を連続的に押し出すことで、溶液はプローブ24にセットされた容器10内を通り、送液ポンプ48の入力側に到達し、循環的に溶液を移送することが可能となる。
溶液がプローブ24にセットされた容器10を満たし送液ポンプ48の入力側へ達した後は、常に一定体積の溶液が容器内を満たしている。
(バッファー液の注水)
送液ポンプ48を稼動させ、バッファー液を注水バルブ46から取り入れる。バッファー液は第1の低分子化合物溶液移送管18を経由して混合用フィルタ部32へ送られる。混合用フィルタ32では低分子化合物溶液のみが通過する部分55、55から中空状フィルタ54,54を通過して、混合溶液が通過する部分56に達し、排出口50から出て、第1試料移送管16を経て容器10に達する。その後、バッファー液は第2試料移送管16、分離用フィルタ34、第2の低分子化合物溶液移送管18を通って制御部30の送液ポンプ48の入力側へ達する。
(低分子化合物の注入)
低分子化合物の注入時には、まず、送液ポンプ48による溶液の循環を行い溶液の流れを移送管の中に作る。低分子化合物注入部70には予め注入用の低分子化合物溶液をセットしておき、測定者が設定した体積だけ溶液を注入する。注入した溶液は流れに沿って送液ポンプ48に達し、第1の低分子化合物溶液移送管18を経由して混合用フィルタ部32へ送られる。
混合用フィルタ32では低分子化合物溶液注入口から、低分子化合物溶液のみが通過する部分55、55に送られ、中空状フィルタ54,54を通過して、混合溶液が通過する部分56に達する。低分子化合物溶液のみの注入時には混合溶液が通過する部分56には低分子化合物溶液のみが存在する。排出口50から出た溶液は第1試料移送管16を経て容器10に達する。
注入と同時に余剰溶液が発生する。排水バルブ44を開き余剰溶液を排出させる。余剰溶液の排出が終了すると圧力計の示す圧力は循環送液時の圧力に戻る。この圧力の戻りを確認して、排水バルブ44を閉め、定常的な循環送液を行う。
このとき、プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域では、低分子化合物濃度が増加した状態となる。
上記の低分子化合物の注入動作を複数回繰り返すことで、NMR測定に用いる試料溶液内の低分子化合物濃度を増加させることが出来る。プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域全体の体積をV、すべての注入動作前に体積Vの中に存在する低分子化合物濃度をα、注入する低分子化合物の濃度をβとし、注入動作1回当りの体積をvとする。そして、i回目の注入動作においてフィルタ部から排出される低分子化合物量をE(i)、注入動作後に残った低分子化合物量をM(i)、平均濃度をδ(i)とする。最初の注入動作後、排出される低分子化合物量E(1)、残った低分子化合物量M(1)、平均濃度δ(1)はそれぞれ、
Figure 0004897437
Figure 0004897437
Figure 0004897437
となる。
低分子化合物の注入動作をi回繰り返した後では、低分子化合物量E(i)、残った低分子化合物量M(i)、平均濃度δ(i)はそれぞれ、
Figure 0004897437
Figure 0004897437
Figure 0004897437
となる。
(低分子化合物濃度の希釈)
低分子化合物濃度の希釈は低分子化合物の注入と同様な動作で、注入溶液として低分子化合物を含まない溶媒を用いることで実現される。低分子化合物を含まない溶液の注入時には、まず、送液ポンプ48による溶液の循環を行い溶液の流れを移送管の中に作る。低分子化合物注入部70には予め注入用の低分子化合物を含まない溶液をセットしておき、測定者が設定した体積だけ溶液を注入する。注入した溶液は送液ポンプ48に達し、第1の低分子化合物溶液移送管18を経由して混合用フィルタ部32へ送られる。
混合用フィルタ32では低分子化合物溶液注入口から、溶液が通過する部分55、55に送られ、中空状フィルタ54,54を通過して、混合溶液が通過する部分56に達する。排出口50から出た溶液は第1試料移送管16を経て容器10に達する。
注入と同時に余剰溶液が発生し、試料通過領域全体の圧力が上昇する。注入による溶液の循環送液時からの圧力上昇を圧力計49で確認して、排水バルブ44を開き余剰溶液を排出させる。余剰溶液の排出が終了すると圧力計の示す圧力は循環送液時の圧力に戻る。この圧力の戻りを確認して、排水バルブ44を閉め、定常的な循環送液を行う。
このとき、プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域では、低分子化合物濃度が減少した状態となる。上記の注入動作を複数回繰り返すことで、NMR測定に用いる試料溶液内の低分子化合物濃度を減少させることが出来る。
プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域全体の体積をV、希釈前の低分子化合物濃度をδ(0)、注入動作1回当りの低分子化合物を含まない溶液の体積をvとする。そして、i回目の注入動作においてフィルタ部から排出される低分子化合物量をE(i)、注入動作後に残った低分子化合物量をM(i)、平均濃度をδ(i)とする。最初の注入動作後、排出される低分子化合物量E(1)、残った低分子化合物量M(1)、平均濃度δ(1)はそれぞれ、
Figure 0004897437
Figure 0004897437
Figure 0004897437
となる。
希釈動作をi回繰り返した後では、排出される低分子化合物量E(i)、残った低分子化合物量M(i)、平均濃度δ(i)はそれぞれ、
Figure 0004897437
Figure 0004897437
Figure 0004897437
となる。
上記の手順を組み合わせることで、容器10内の低分子化合物濃度を増加あるいは減少させ、NMR測定を行った後に再び、低分子化合物濃度を変化させることが可能である。また、これを繰り返すことで、低分子化合物濃度を変化させた一連のNMR測定を実施することが可能である。
(試料溶液の注入)
送液ポンプ48を稼動させ、プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30の循環路全体に一定流を発生させる。高分子化合物に適した溶媒に高分子化合物を含んだ試料溶液を試料溶液注入部90から、注入する。混合溶液が通過する部分56では、既にある低分子化合物溶液と注入した高分子化合物溶液の混合が行われる。注入により溶液の圧力が上昇するが、中空状フィルタ54,54は高分子化合物を通さないので、高分子化合物を含んだ溶液は一定流に沿って、プローブにセットされた容器10へと移動する。容器10は試料移送管16,16と比べて内径が大きいため試料移送管16を通過した溶液は容器10の所でさらに混合される。
(試料溶液の保持)
高分子化合物を含む混合溶液が容器10に達し、その内部を満たしたときに送液ポンプ48を停止する。ポンプ停止により溶液に働く圧力は低下し、溶液の循環流は停止する。容器10は試料移送管16,16と比べて内径が大きいため、試料移送管16,16を溶液が通過する際の抵抗が大きく、ポンプ停止後には容器10内部の溶液は保持されている。
(NMR測定)
高分子化合物を含んだ試料溶液をプローブにセットされた容器内に満たしたのち、磁石により均一静磁場が試料に加えられた状況下でNMR測定を試料に対して行う。
(試料溶液の排出)
送液ポンプ48を稼動させ、プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30の循環路全体に一定流を発生させる。発生した一定流により容器10内部に保持された混合溶液は試料移送管16を通って、フィルタ部34へ達する。混合溶液が通過する部分66から、中空状フィルタ64,64を通過した低分子化合物溶液は61を通過して18へと排出される。高分子化合物を含んだ溶液は試料排出口62から試料排出用シリンジ91へと移動する。
本発明によれば、複数の高分子化合物に対する、一定濃度の低分子化合物と高分子化合物の混合溶液に対するNMR計測を高効率で行うことができる。
または、高分子化合物群の中から低分子化合物と結合する特定の高分子化合物の抽出をNMR計測により効率よく行うことができる。
または、混合溶液中の高分子化合物の性質変化を促す低分子化合物溶液条件をNMR計測から効率よく求めることができる。
以下に、本発明の実施例を図を用いて詳細に説明する。
本発明のNMR測定における試料溶液の循環型フロー構成およびその方法の好適な実施の形態について図を参照して、以下に説明する。
図1に示したように、核磁気共鳴プローブ24は試料に磁場を加えるための磁石20,20の内部に配置されたボア22,22内に固定されている。試料の一定量を保持する容器10は核磁気共鳴プローブ24の中で、核磁気共鳴信号を検出する検出コイル28との最適な位置関係にセットされている。一般に容器10はガラスによって作成することが望ましい。容器10は排出部12を介して第2の試料移送管16と接続されている。また、容器10は注入口14を介して第1の試料移送管16と接続されている。
この実施例では、ボア22,22の内部において容器10、排出部12、第1の試料移送管16、注入口14、そして、第2の試料移送管16が同軸上に接続されている。
第2の試料移送管16は分離用フィルタ部34と接続される。分離用フィルタ部34は注入口60、低分子化合物溶液排出口61、試料排出口62、中空状フィルタ物質64,64、低分子化合物溶液のみが通過する部分65,65、混合溶液が通過する部分66を有する。
注入口60から注入された溶液は、混合溶液が通過する部分66で中空状フィルタ物質64,64に接する。中空状フィルタ物質は高分子化合物を通過させないので、部分65,65には高分子化合物が存在しない。高分子化合物を含む溶液は部分66に繋がれた試料排出口62から排出することができる。低分子化合物を含む溶液は部分65,65に繋がれた低分子溶液排出口61から排出される。
中空状フィルタ物質64,64はタンパク質などの高分子化合物と他の成分を分離できるものである限り、特に限定はされないが、好ましくは、タンパク質は通過できない程度であって低分子化合物を含む他の成分が通過できる程度の径の細孔を持った中空状物質を用いる。
分離用フィルタ部の低分子溶液排出口61は第2低分子溶液移送管18を介して制御部30の注入口40に接続される。
制御部30では、上記注入口40と低分子化合物溶液注入部70、排水バルブ44、注水バルブ46、送液ポンプ部48、圧力計49、上記低分子化合物濃度制御部の排出口42が接続されており、
上記低分子化合物溶液注入部70は1つあるいは複数のシリンジポンプと制御する電子機器で構成され、
上記送液ポンプ部48は、加圧により溶液を送液するポンプと上記送液ポンプを制御する電子機器で構成される。
低分子化合物溶液注入部70は1つあるいは複数の加圧式のシリンジポンプを電子制御する形態が好ましい。例えば、Kdサイエンティフィック社製のシリンジポンプKDS200を用いることで、溶液が入ったシリンジを精密制御しながら溶液を循環経路内に注入する作業を好適に行うことができる。
送液ポンプ50は、一般に高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCという。)で用いられるものが好適である。電子制御可能なステッピングモーターなどを用いてプランジャーを駆動し、定圧送液が可能なものが望ましい。
制御部30の排出口42は第1低分子溶液移送管18を介して混合用フィルタ部32の低分子化合物溶液注入口51に接続される。
混合用フィルタ部32は排出口50、低分子化合物溶液注入口51、試料溶液注入口52、中空状フィルタ物質54,54、低分子化合物溶液のみが通過する部分55,55、混合溶液が通過する部分56を有する。
低分子化合物溶液注入口51から注入された溶液は、部分55,55で中空状フィルタ物質54,54に接する。また、高分子化合物を含む試料溶液は試料溶液注入口52から注入される。中空状フィルタ物質は高分子化合物を通過させないので、部分55,55側に高分子化合物が通過しない。高分子化合物を含む溶液は低分子化合物溶液と混合されて部分56に繋がれた試料排出口50から排出される。
中空状フィルタ物質54,54はタンパク質などの高分子化合物と他の成分を分離できるものである限り、特に限定はされないが、好ましくは、タンパク質は通過できない程度であって低分子化合物を含む他の成分が通過できる程度の径の細孔を持った中空状物質を用いる。
移送管16,16,18,18の材質は試料溶液の性質によって選択すべきである。タンパク質などの生体関連高分子化合物に対する測定では、ポリエチレンエチレンケトン(PEEK)、Tefzel、Kel−F、フューズドシリカが用いられる事が多い。また試料移送管の内径は0.5mmから0.065mmの範囲であることが望ましい。
容器10はNMR測定に十分な試料を溜める必要がある。高分子化合物としてタンパク質を用いる場合には400μLから100μLが好ましい。
プローブの検出感度の向上を行い、磁場均一度の維持が可能な場合には100μL以下でも計測可能である。
容器10と試料移送管16との接続は接続部12で行われ、容器10と試料移送管16との接続は接続部14で行われる。接続方法としては押し込み圧力によって密閉性を維持する形式が好適である。図2に接続形態の1例を示す。容器10は細管220を持ち、この細管220と試料移送管16,16が接続部12,14で接続されている。接続部12,14は接続コネクタ200とオシネ210から成る、HPLCで一般的に用いられる接続具が好適である。オシネ210は一体型のものとナットとフェレルが分離した型と2種類あるが、どちらも接続に適している。コネクタ200とオシネ210は好適には、PEEK又はPTEF,Kel−F,TefzelあるいはHPLCの分野で知られているそのほかの材料で作られる。容器10の細管220の外径は試料移送管と同じ外径が好ましく、好適な値は1.57mmから0.36mmの範囲である。
図3に従って、低分子化合物溶液条件を調整し、一定の条件の下で高分子化合物溶液を注入してNMR計測を行う好適な実施形態を説明する。
計測開始100後には、注入する純粋およびバッファー液の脱気102を行う。
溶液の脱気する方法はデガッサーを注水バルブ46または循環ポンプ48に設置して通過する溶液から溶存空気を除去するか、注入する溶液を予め減圧させて気泡を発生させる減圧による脱気処理を用いてもよい。減圧にはアスピレーター、例えば東京理化器械製アスピレーターと溶液を入れたナス型フラスコなどの耐圧性のある容器を接続し、フラスコをBranson製超音波バスB−220Hに入れて、超音波を当てて60分間脱気処理を行うとよい。
循環部分への純水の注水104は次のように行う。
注水バルブ46に脱気処理済の純水が入った容器を接続し、循環ポンプ48によって溶液を吸引し排出口42から排出し、移送管18へと送液する。送液の間、排水バルブ44を開き、高分子化合物溶液の注入口52および排出口62は閉じておく。純水は第1の低分子化合物溶液移送管18を経由して混合用フィルタ部32へ送られる。混合用フィルタ32では低分子化合物溶液のみが通過する部分55、55から中空状フィルタ54,54を通過して、混合溶液が通過する部分56に達し、排出口50から出て、第1試料移送管16を経て容器10に達する。その後、純水は第2試料移送管16、分離用フィルタ34、第2の低分子化合物溶液移送管18を通って制御部30の排水バルブ44に達し、外へ排出される。排水バルブ44からの純水に気泡等が混入しなくなるまで、純水の通水を行う。注水バルブ46からの注水を継続したまま、排水バルブ44を閉じると、純水は送液ポンプ48の入力側へ達し、圧力が増大する。この後、ポンプ48を一旦停止し、注水バルブ46を閉じると循環部分である、プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域全体は純水で満たされている。
バッファー液へ交換106は次のように行う。
脱気処理102で処理したバッファー液の容器を注水バルブ46に接続し、純水の注水作業104と同様の作業を行うことで、循環部分であるプローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域全体がバッファー液で満たされる。
低分子化合物溶液の注入、濃度調整108は次のように行う。
まず、送液ポンプ48による溶液の循環を行い溶液の流れを移送管の中に作る。低分子化合物注入部70に注入用の低分子化合物溶液をセットし、測定者が設定した体積だけ溶液を注入する。注入期間の間、排水バルブ44を開けておく。注入にはシリンジポンプを用いると、測定者が設定した注入体積、注入速度で、溶液を正確に注入することが可能である。注入した溶液は流れに沿って送液ポンプ48に達し、第1の低分子化合物溶液移送管18を経由して混合用フィルタ部32へ送られる。混合用フィルタ32では低分子化合物溶液注入口から、低分子化合物溶液のみが通過する部分55、55に送られ、中空状フィルタ54,54を通過して、混合溶液が通過する部分56に達する。低分子化合物溶液のみの注入時には混合溶液が通過する部分56には低分子化合物溶液のみが存在する。排出口50から出た溶液は第1試料移送管16を経て容器10に達する。注入と同時に余剰溶液が発生し、排水バルブ44から排出される。余剰溶液の排出が終了すると圧力計の示す圧力は循環送液時の圧力に戻る。この圧力の戻りを確認して、排水バルブ44を閉め、定常的な循環送液を行う。このとき、プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域では、低分子化合物濃度が増加した状態になり、定常的な循環送液を5周期程度実施すると内部の濃度はほぼ一定になる。
上記の低分子化合物の注入動作を複数回繰り返すことで、NMR測定に用いる試料溶液の低分子化合物の濃度増加を制御できる。注入回数に対する容器10内の低分子化合物濃度は数式(4)、(5)、(6)にしたがって変化する。図4にはプローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域全体の体積を1000μL、初期の低分子化合物濃度は0mol/L、すべての注入動作に亘って注入する低分子化合物濃度を0.01mol/L、1回の注入動作での溶液注入部70からの注入体積を10μLとした場合の容器10内での低分子化合物濃度を示す。注入回数が増加するに従って容器10内の低分子化合物濃度が増大する。従って、注入濃度、体積、動作回数を指定することで、設定した低分子化合物濃度を実現させ、その条件下でNMR測定を実行する。
また、低分子化合物を含む溶液の代わりに緩衝液のみあるいは、特定の低分子化合物のみを含まない溶液を注入する動作を複数回繰り返すことで、NMR測定に用いる試料溶液内の注目している低分子化合物の濃度を減少させることができる。注入回数に対する容器10内の低分子化合物濃度は数式(10)、(11)、(12)にしたがって変化する。
図5にはプローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域全体の体積を1000μL、初期の低分子化合物濃度は0.0019mol/L、すべての注入動作に亘って注入する低分子化合物濃度を0.00mol/L、1回の注入動作での溶液注入部44からの注入体積を100μLとした場合の容器10内での低分子化合物濃度を示す。注入回数が増加するに従って容器10内の低分子化合物濃度が減少する。従って、体積、動作回数を指定することで、設定した低分子化合物濃度を実現させ、その条件下でNMR測定を実行する。
また、上記に示した低分子化合物濃度を増加させる操作と減少させる操作を組み合わせることにより、低分子化合物濃度の増減も自由に制御することが可能であり、一旦測定した条件を再び測定することが可能であることも分かる。
低分子化合物を含むあるいは含まない溶液の注入動作において、注入溶液に一定濃度のロック溶媒を入れておくことで、一連の動作において容器10内のロック溶媒の濃度を一定にすることが可能である。
濃度均一化110は次にように行う。
定常的な循環送液を5周期程度実施すると内部の濃度はほぼ一定になるが、更に循環回数を重ねると更に濃度の均一化が可能である。
磁場均一度調整112は次にように行う。
低分子化合物溶液にロック溶媒を混入しておくと、NMR計測でのロック信号を利用して磁場均一度調整(シミング)を行うことが出来る。また、ロック信号を用いずに、低分子化合物由来信号を用いてシミングを行うことも可能である。
分子化合物溶液の注入、濃度調整120は次にように行う。
低分子化合物由来のNMR信号、スペクトル計測を行って、低分子化合物濃度が所定の濃度と異なると判断した場合には、上記低分子化合物溶液の注入、濃度調整108、濃度均一化110の作業を行い、濃度調整を行うことができる。
高分子化合物溶液の注入122は次にように行う。
送液ポンプ48を稼動させ、プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30の循環路全体に一定流を発生させる。高分子化合物を含んだ溶液を試料溶液注入部90から測定者が指定した体積を注入する。混合溶液が通過する部分56では、既にある低分子化合物溶液と注入した高分子化合物溶液の混合が行われる。中空状フィルタ54,54は高分子化合物を通さないので、高分子化合物を含んだ溶液は一定流に沿って、プローブにセットされた容器10へと移動する。容器10は試料移送管16,16と比べて内径が大きいため試料移送管16を通過した溶液は容器10の所でさらに混合される。
NMR計測部への保持124は次のように行う。
注入する高分子化合物溶液の体積、流量および領域56、移送管161、容器10の体積は既知なので、注入後の経過時間から混合溶液が容器10を満たす時間を判断できる。その容器10を満たす時間に送液ポンプ48を停止する。ポンプ停止により溶液に働く圧力は低下し、溶液の循環流は停止する。容器10は試料移送管16,16と比べて内径が大きいため、容器10と試料移送管16,16を溶液が通過する際の抵抗差から、容器10内部の溶液は保持されている。
NMR計測126は次のように行う。
高分子化合物を含んだ試料溶液をプローブにセットされた容器内に満たしたのち、磁石により均一静磁場が試料に加えられた状況下でNMR測定を試料に対して行う。
高分子化合物溶液の排出128は次のように行う。
送液ポンプ48を稼動させ、プローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30の循環路全体に一定流を発生させる。発生した一定流により容器10内部に保持された混合溶液は試料移送管16を通って、フィルタ部34へ達する。混合溶液が通過する部分66から、中空状フィルタ64,64を通過した低分子化合物溶液は61を通過して18へと排出される。試料排出口62に試料排出用シリンジ91を接続し、試料排出口62を開けると、高分子化合物を含んだ溶液は試料排出口62から試料排出用シリンジ91へと移動し、高分子化合物溶液が排出される。
高分子化合物溶液交換の反復終了の判断130は次にように行う。
計測すべき高分子化合物溶液の条件すべての計測が行われたどうかの判断を行う。判断方法としては、計測前に計測すべき高分子化合物溶液の条件の数を記録しておき、実施した計測条件の数が記録してある計測すべき高分子化合物溶液の条件の数と等しいかを毎回比較する方法がある。判断の結果、計測すべき高分子化合物溶液の条件すべての計測が行われた場合には低分子化合物濃度変化または交換の反復終了の判断140へと進める。そうでない場合には、低分子化合物濃度調整120へと戻り高分子化合物溶液の注入、NMR計測を行う。また、測定者が反復終了と判断した時点で終了する。
低分子化合物溶液濃度変化または交換の反復終了の判断140は次のように行う。
計測すべき低分子化合物溶液の条件すべての計測が行われたどうかの判断を行う。判断方法としては、計測前に計測すべき低分子化合物溶液の条件(濃度変化回数、低分子化合物種類など)の数を記録しておき、実施した計測条件の数が記録してある計測すべき低分子化合物溶液の条件の数と等しいかを毎回比較する方法がある。判断の結果、計測すべき低分子化合物溶液の条件すべての計測が行われた場合には低分子化合物溶液の排出150へと進める。そうでない場合には、低分子化合物濃度の注入108へと戻り低分子化合物濃度の調整を行い、繰り返し計測を進める。また、測定者が反復終了と判断した時点で終了する。
低分子化合物溶液の排出150は次のように行う。
脱気処理102で処理したバッファー液の容器を注水バルブ46に接続し、純水の注水作業104と同様の作業を行うことで、循環部分であるプローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域全体がバッファー液で満たされる。このとき、循環部分にある低分子化合物溶液は排水バルブ44から排出される。
純水への交換152は次のように行う。
脱気処理102で処理した純水の容器を注水バルブ46に接続し、純水の注水作業104と同様の作業を行うことで、循環部分であるプローブ24にセットされた容器10、試料移送管全体16,16,18,18、フィルタ部32,34および制御部30での試料通過領域全体が純水で満たされ、バッファー液は排水バルブ44から排出される。
試料の中にはNMR測定時に必要なロック溶媒を混入する必要がある。タンパク質のNMR測定で多く用いられる燐酸バッファーなど、溶媒に軽水が大半を占める場合には、好適には、ロック溶媒として重水を用いる。好適な重水濃度は5%から10%である。
また、測定対象の高分子化合物に合わせて好適なバッファー溶媒、ロック溶媒を選択して測定するのも本発明の実施例の範囲である。
容器10内のロック溶媒を含んだ試料溶液に対して磁石20より磁場B0を加え、磁場ロックを行うことができる。この磁場ロックを用いて磁石20が発生する磁場B0の均一性の調整を行うことでNMR計測を行える磁場B0の均一性を維持できる。
高分子化合物の中でもタンパク質は酵素反応としての性質を有することが知られている。この酵素反応はタンパク質を触媒として基質を生成物へと変化させる反応であり、タンパク質は特定の基質とのみ反応する。この反応は阻害剤と呼ばれる化合物により反応が阻害される。阻害剤はタンパク質の酵素反応を制御する化合物であり、その探索は産業上有用である。
阻害剤の探索、開発においてはタンパク質と低分子化合物の相互作用を調べ、結合状態を解明し、より強い結合性能を示す低分子化合物を開発する必要がある。
このタンパク質と薬剤の相互作用を調べる際には、1種類のタンパク質の相互作用を調べるのではなく、活性部位(化合物、基質との結合部分)の活性/失活制御を行ったタンパク質の特定残基を改変した複数のタンパク質の相互作用を、低分子化合物の種類、濃度を変化させて調べることが有用である。
複数のタンパク質に対するNMR計測での相互作用解析を行うには本発明は効率的である。上記で説明した図3の手順に従い、手順108で、特定の低分子化合物溶液を注入する。溶液条件を一定にした後に、手順122でタンパク質溶液を注入し、手順124でタンパク質溶液を容器10に保持し、NMR計測を実施する。
NMR計測は低分子化合物溶液あるいはタンパク質溶液に対して用いられるパルスシーケンスが適用範囲である。
低分子化合物由来ピークの化学シフト値、線幅の変化を測定する場合で溶媒に水分子(HO)を含む場合には、水分子からの信号を抑制し標的タンパク質由来の信号を効率よく検出できる、WATERGATE法、DPFGSE法、Water−Flipback法を用いたプロトン1次元計測が適している。溶媒に水分子(HO)を含まない場合には、WATERGATE法、DPFGSE法、Water−Flipback法を用いなくてもよい。
低分子化合物由来ピークの間の相関を測定する場合で溶媒に水分子(HO)を含む場合には、水分子からの信号を抑制し標的タンパク質由来の信号を効率よく検出できる、WATERGATE法、DPFGSE法、Water−Flipback法を用いたプロトンCOSY、NOESY、TOCSY計測が適している。溶媒に水分子(HO)を含まない場合には、WATERGATE法、DPFGSE法、Water−Flipback法を用いなくてもよい。
13C、15Nといった同位体修飾したタンパク質由来ピークの相関を測定する場合で溶媒に水分子(HO)を含む場合には、水分子からの信号を抑制し標的タンパク質由来の信号を効率よく検出できる、WATERGATE法、DPFGSE法、Water−Flipback法を用いたHSQC、HMQC計測が適している。また、HSQC,HMQC以外の異種核間相関を計測する計測方法を用いるのも本発明である。
溶媒に水分子(HO)を含まない場合には、WATERGATE法、DPFGSE法、Water−Flipback法を用いなくてもよい。
NMR計測後、手順128で測定したタンパク質を取り出し、次のタンパク質を入れる準備である手順120を行い、次のタンパク質を手順122で注入する。
このように一定条件の低分子化合物溶液の中で、タンパク質を順次取り替える本発明では、循環路全体にタンパク質溶液を行き渡らせる必要がないので、計測タンパク量をNMR計測に必要な量に限定できる。NMR計測に必要な量とは、容器10内の溶液の磁場均一度を維持し、NMRプローブ24に設置されたプローブコイル28によって検出するのに必要な量である。
本発明では、低分子化合物濃度を増加あるいは希釈することが可能なので、計測中に測定者が溶液条件を制御し、効率よく溶液条件を設定できる。また、高分子化合物への作用に適した濃度条件が未知な場合にも、計測を行いながら条件を制御できるので、広範囲な濃度変化に対する複数サンプルの準備なしで、相互作用計測に適した濃度範囲で計測を行うことができる。
溶液条件に対するタンパク質同士の会合、凝集条件の割り出しに関する好適な例を説明する。
タンパク質は溶液のpH値、温度、溶液中低分子化合物濃度によって会合を引き起こすことが知られている。タンパク質の会合、凝集が生じるとタンパク質機能が変化し、新たな活性が生じる場合がある。このようなタンパク質の凝集による変化はNMR計測で得られるスペクトル変化として検出される。
実施例1で説明したシステム、手順を用いることで低分子化合物濃度の違いによるタンパク質の会合、凝集を生じさせる低分子化合物濃度条件を見つけだすことができる。
例えば、リゾチームはアルギニンなどのアミノ酸が存在すると凝集することが知られている。このように単一種類タンパク質に対する特定低分子化合物の作用を調べる場合には、図3の手順の中で低分子化合物の注入、濃度調整108において、アルギニンなどのアミノ酸を注入する。
その後、図3に示す手順に従い計測を進め、高分子化合物溶液の注入122では標的タンパク質を注入する。
会合や凝集状態を判定するNMR計測126では、溶媒の水分子(HO)からの信号を抑制し標的タンパク質由来の信号を効率よく検出できる、WATERGATE法、DPFGSE法、Water−Flipback法を用いたプロトン1次元計測が適している。溶媒に水分子(HO)を含まない場合には、WATERGATE法、DPFGSE法、Water−Flipback法を用いなくてもよい。
得られたNMRスペクトルの標的タンパク質由来のピークの線幅、ピーク高さを、低分子化合物溶液条件の違い毎に記録する。
タンパク質の会合、凝集が生じると溶液中において1分子で運動していたタンパク質が複数のタンパク質が結合して運動し始める。このため、運動に対する質量が大きくなり、溶液中のランダムな運動が緩慢になり、タンパク質由来ピークの線幅が増大し、ピーク高さが低くなる。
先に記録したデータを比較して、低分子化合物濃度に対するピーク線幅の増大、高さの減少が生じているかを判断する。変化が生じ始めた低分子化合物濃度が、会合、凝集を生じさせる溶液条件である。
本実施例の範囲は、単一タンパク質溶液だけでなく、複数種類のタンパク質溶液に対する計測も含まれる。
本実施例の範囲は、複数種類タンパク質溶液、複数種類低分子化合物溶液に対する計測も含まれる。
本発明の別の実施形態では、図6に示したように注入口14および排出口12をプローブ24の外に配置し、第1試料移送管16および第2試料移送管16を容器10に対して直交方向に配置し、第1試料移送管16および第2試料移送管16をボア22内部で核磁気共鳴プローブ24に沿って配置し、ボア22のプローブ挿入口からマグネット20の外へ取り出す。かかる実施形態では、第1試料移送管16および第2試料移送管16の長さを短くし、内部空間が限られたプローブ内に試料移送管を通さなくても良い。
本発明の別の実施形態では、図7に示したように注入口14および排出口12をプローブ24の内部に配置し、第1試料移送管16および第2試料移送管16を容器10に対して直交方向に配置し、プローブ24の内部を経由して第1試料移送管16および第2試料移送管16をマグネット20の外へ取り出す。かかる実施形態では、第1試料移送管16および第2試料移送管16の長さを短くし、プローブと試料移送管を一体化することができる。
本発明の別の実施形態では、図8に示したように第2試料移送管16をボア22に、第1試料移送管16をプローブ24の内部に配置し、注入口14および排出口12において第1試料移送管16および第2の試料移送管16と容器10を接続する。
本発明の別の実施形態では、図9に示したように第1試料移送管16、第2試料移送管16をプローブ24の内部に配置し、注入口14および排出口12において第1試料移送管16および第2試料移送管16と容器10を接続する。かかる実施形態では、プローブと容器10、試料移送管を一体化することができる。
本発明の別の実施形態では、図10に示したようにボア22の上部開口部から第2試料移送管16を挿入し、第1試料移送管16をプローブ24の内部に配置し、注入口14および排出口12において第1試料移送管16および第2試料移送管16と容器10を接続する。
なお、上記以外の本発明の構成を以下に示す。
(1)核磁気共鳴測定を行うための装置であって、試料に磁場を加えるための磁石と、この磁石の内部に配置されたボアと、このボア内に配置された核磁気共鳴プローブと、上記核磁気共鳴プローブに設置され試料の注入口と排出口を有する試料を保持する容器からなる計測部と、上記容器注入口に接続された第1試料移送管と、上記容器排出口に接続された第2試料移送管と、低分子化合物溶液注入口と試料注入口と排出口を有し、排出口と上記第1試料移送管が接続された低分子化合物溶液と試料溶液を混合する混合用フィルタ部と、上記混合用フィルタ部の低分子化合物注入口に接続された第1低分子化合物溶液移送管と、低分子化合物排出口と試料排出口と注入口を有し、注入口と上記第2試料移送管が接続された低分子化合物と試料の混合溶液から試料を含まない低分子化合物溶液を分離する分離用フィルタ部と、上記分離用フィルタ部の低分子化合物排出口に接続された第2低分子化合物溶液移送管と、低分子化合物溶液の注入口と排出口を有し、注入口と上記第2低分子化合物溶液移送管が接続され、排出口と上記第1低分子化合物溶液移送管が接続された、低分子化合物濃度を制御し低分子化合物溶液を送液する低分子化合物濃度制御部と、
上記核磁気共鳴プローブへ電磁波を送るあるいは上記核磁気共鳴プローブから電磁波を受け取る送受信システムを有し、上記低分子化合物濃度制御部、上記第1低分子化合物溶液移送管、上記混合用フィルタ部、上記第1試料移送管、上記容器、上記第2試料移送管、上記分離用フィルタ部、上記第2低分子化合物溶液移送管の間で循環的な溶液移送を行うための手段、低分子化合物溶液を注入する手段、低分子化合物濃度を制御する手段、
試料溶液を注入する手段、試料溶液を計測部に保持する手段、試料溶液を排出する手段、
試料溶液の核磁気共鳴計測を行う手段、を有することを特徴とする装置。
(2)上記容器は、上記第1および第2試料移送管よりも径が大きいNMR計測部を有することを特徴とする上記(1)記載の装置。
(3)上記混合用フィルタ部は、低分子化合物溶液のみが透過される中空状のフィルタ物質によって分けられた低分子化合物と試料の混合溶液が通過する部分と低分子化合物溶液のみが通過する部分と、低分子化合物溶液注入口と試料注入口と、混合溶液を排出する排出口を有することを特徴とし、上記分離用フィルタ部は、低分子化合物溶液のみが透過される中空状のフィルタ物質によって分けられた低分子化合物と試料の混合溶液が通過する部分と低分子化合物溶液のみが通過する部分と、混合溶液の注入口と試料排出口と、低分子化合物溶液排出口を有することを特徴とする(1)記載の装置。
(4)上記低分子化合物濃度制御部は、上記低分子化合物濃度制御部の注入口と低分子化合物溶液注入部、排水バルブ、注水バルブ、送液ポンプ、圧力計、上記低分子化合物濃度制御部の排出口が接続されており、上記低分子化合物溶液注入部は1つあるいは複数のシリンジポンプからなり、上記シリンジポンプを制御する電子機器によってシリンジポンプからの注入を制御することを特徴とし、上記送液ポンプ部は、注入口にデガッサーの取り付けが可能であり、加圧により溶液を送液するポンプと上記ポンプを制御する電子機器で構成されることを特徴とする(1)記載の装置。
(5)上記循環的な溶液移送を行うための手段は、上記送液ポンプ部によって加圧された溶液が、上記低分子化合物濃度制御部の排出口から上記第1低分子化合物溶液移送管を通って上記混合用フィルタ部の低分子化合物溶液注入口へ達し、上記混合用フィルタ部で中空状のフィルタ物質を通過して、排出口から上記第1試料移送管を通って上記容器へ達し、その後、上記第2試料移送管を通って上記分離用フィルタ部の注入口、上記分離用フィルタ部で中空状のフィルタ物質を通過して上記第2低分子化合物溶液移送管を通って上記低分子化合物濃度制御部の注入口へ達することを特徴とする(1)記載の装置。
(6)上記低分子化合物溶液を注入する手段は、上記循環的な溶液移送を行いながら、上記低分子化合物濃度制御部の上記低分子化合物溶液注入部から低分子化合物を含む溶液を注入し、圧力計の値が定常循環状態の圧力に戻るまで、上記排水バルブから溶液を排出することを特徴とする(1)記載の装置。
(7)上記低分子化合物濃度を制御する手段は、上記低分子化合物濃度制御部の上記低分子化合物溶液注入部から低分子化合物溶液を注入し、注入した低分子化合物溶液の体積に応じて余剰溶液を排出することで上記容器内の低分子化合物濃度を増加させる手段であるか、上記低分子化合物溶液注入部から低分子化合物を含まない溶液を注入し、注入体積に応じて余剰溶液を排出することで上記容器内の低分子化合物濃度を減少させる手段であることを特徴とする(1)記載の装置。
(8)上記試料溶液を注入する手段は、上記循環的な溶液移送を行いながら、上記混合用フィルタ部の試料注入口に装着したシリンジなどによって加圧して、試料溶液を上記混合用フィルタ部の低分子化合物と試料の混合溶液が通過する部分に送りこみ、溶液の循環的な溶液移送方法に沿って試料を上記容器へと送り込むことを特徴とする(1)記載の装置。
(9)上記試料溶液を計測部に保持する手段は、上記循環的な溶液移送によって試料が上記容器のNMR計測部に達したときに、上記送液ポンプの加圧を停止することで、試料溶液が上記容器のNMR計測部に保持されることを特徴とする(1)記載の装置。
(10)上記試料溶液を排出する手段は、上記送液ポンプの加圧送液を開始することで、溶液の循環的な溶液移送が生じ、試料を含む混合溶液が上記分離用フィルタ部で試料を含む溶液と試料を含まない低分子化合物溶液に分離され、試料を含む溶液を上記分離用フィルタ部の排出口から取り出すことを特徴とする(1)記載の装置。
(11)試料溶液の核磁気共鳴計測を行う手段は、上記低分子化合物溶液を注入する手段、上記低分子化合物濃度を制御する手段を用いて、上記容器内部の低分子化合物濃度を制御した後に、上記試料溶液を注入する手段、上記試料溶液を計測部に保持する手段によってNMR計測部に試料を保持し、核磁気共鳴測定を実施し、測定後上記試料溶液を排出する手段によって試料を排出することを特徴とする(1)記載の装置。
タンパク質をはじめとする生体内で機能を有する高分子化合物に本発明を適用することにより、NMR計測領域での試料体積を一定に維持しつつ溶液条件と高分子化合物を効率よく変化させたNMR計測の反復が可能となるので、ライフサイエンスの分野では生体内で生じている生化学プロセス解析の効率向上となり、医療や創薬分野では疾病関連タンパク質との結合強度計測による疾病メカニズム解析やスクリーニングの高効率化に繋がる。
本発明の好ましい実施形態による循環型フローNMR装置の概略図である。 本発明による試料保持容器と試料移送管の間の接続部の概略図である。 本発明での計測手順のフロー図である。 本発明による低分子化合物の複数回の注入動作による試料溶液内の低分子化合物濃度変化のグラフである。 本発明による低分子化合物の複数回の希釈動作による試料溶液内の低分子化合物濃度変化のグラフである。 試料移送管がプローブと平行にマグネットに挿入された以外は図1の構成と等しい、本発明の好ましい実施形態による循環型フローNMR装置の概略図である。 試料移送管がプローブ内部に配置された以外は図1の構成と等しい、本発明の好ましい実施形態による循環型フローNMR装置の概略図である。 縦型マグネットにおいて片側の試料移送管のみがプローブ内部に配置されている、本発明の好ましい実施形態による循環型フローNMR装置の概略図である。 試料移送管がプローブ内部に配置された以外は図8の構成と等しい、本発明の好ましい実施形態による循環型フローNMR装置の概略図である。 マグネットの上部から下部に向けて貫く形で試料移送管が配置された以外は図8の構成と等しい、本発明の好ましい実施形態による循環型フローNMR装置の概略図である。
符号の説明
10…容器、
12…容器の排出口、
14…容器の注入口、
161…第1試料移送管、
162…第2試料移送管、
181…第1低分子化合物溶液移送管、
182…第2低分子化合物溶液移送管、
201,202…磁石、
221,222…ボア、
24…核磁気共鳴プローブ、
26…送受信システム、
28…プローブコイル、
30…低分子化合物濃度制御部、
32…混合用フィルタ部、
34…分離用フィルタ部、
40…低分子化合物濃度制御部の注入口、
42…低分子化合物濃度制御部の排出口、
44…排水バルブ、
46…注水バルブ、
47…デガッサー、
48…送液ポンプ、
49…圧力計、
50…混合用フィルタ部の排出口、
51…混合用フィルタ部の試料注入口、
52…混合用フィルタ部の低分子化合物溶液注入口、
541,542…中空状フィルタ、
551,552…低分子化合物のみが通過する部分、
56…低分子化合物と試料の混合溶液が通過する部分、
60…分離用フィルタ部の注入口、
61…分離用フィルタ部の低分子化合物排出口、
62…分離用フィルタ部の試料排出口、
641,642…中空状フィルタ、
651,652…低分子化合物のみが通過する部分、
66…低分子化合物と試料の混合溶液が通過する部分、
70…低分子化合物注入部、
90…試料注入用シリンジ、
91…試料排出用シリンジ、
100…計測開始、
102…純水、バッファー液の脱気、
104…循環部分への純水の注水、
106…バッファー液へ交換、
108…低分子化合物溶液の注入、濃度調整、
110…濃度均一化、
112…磁場均一度調整、
120…低分子化合物溶液の注入、濃度調整、
122…高分子化合物溶液の注入、
124…NMR計測部への保持、
126…NMR計測、
128…高分子化合物溶液の排出、
130…高分子化合物溶液交換の反復終了の判断、
140…低分子化合物溶液濃度変化または交換の反復終了の判断、
150…低分子化合物溶液の排出、
152…純水への交換、
160…計測終了。

Claims (13)

  1. 測定を行なう試料に磁場を加えるための磁石と、
    上記磁石の中空部に配置されたボアと、
    上記ボア内に少なくともその本体の一部が配置された核磁気共鳴プローブと、
    上記核磁気共鳴プローブの一部に設置され上記試料を注入する試料注入口および排出を行なう試料排出口を有する容器を具備してなるNMR計測部と、
    上記試料注入口に接続され上記試料を上記NMR計測部に移送する第1の試料移送管と、
    上記第1の試料移送管に接続され試料溶液と低分子化合物溶液とを混合して上記試料の生成を行なう混合用フィルタ部と、
    上記NMR計測部へ電磁波を送信、あるいは上記核磁気共鳴プローブから電磁波を受信する送受信装置と、を有し、
    上記混合用フィルタ部に接続された上記第1の試料移送管を介して上記NMR計測部に注入された上記試料に対して上記電磁波を照射し核磁気共鳴測定を行ない、
    上記混合用フィルタ部は、
    上記低分子化合物溶液と上記試料溶液とが混合されてなる混合溶液が通過する第1の混合溶液通過部と、
    上記第1の混合溶液通過部の少なくとも一部を囲むように接して設けられた上記低分子化合物溶液以外を透過しない第1のフィルタと、
    上記第1のフィルタの少なくとも一部を囲むように接して設けられた上記低分子化合物溶液を移送する第1の低分子化合物溶液移送部と、を有し、
    上記第1の混合溶液通過部は、その一端に取り付けられた上記試料溶液を注入する試料溶液注入口と、その他端に取り付けられ上記第1の試料移送管に接続された上記混合溶液を排出する混合溶液排出口と、上記一端と上記他端との間に上記低分子化合物溶液が注入される第1の低分子化合物溶液注入口とを有することを特徴とする低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  2. 測定を行なう試料に磁場を加えるための磁石と、
    上記磁石の中空部に配置されたボアと、
    上記ボア内に少なくともその本体の一部が配置された核磁気共鳴プローブと、
    上記核磁気共鳴プローブの一部に設置され上記試料を注入する試料注入口および排出を行なう試料排出口を有する容器を具備してなるNMR計測部と、
    上記試料注入口に接続され上記試料を上記NMR計測部に移送する第1の試料移送管と、
    上記第1の試料移送管に接続され試料溶液と低分子化合物溶液とを混合して上記試料の生成を行なう混合用フィルタ部と、
    上記NMR計測部へ電磁波を送信、あるいは上記核磁気共鳴プローブから電磁波を受信する送受信装置と、を有し、
    上記混合用フィルタ部に接続された上記第1の試料移送管を介して上記NMR計測部に注入された上記試料に対して上記電磁波を照射し核磁気共鳴測定を行ない、
    上記混合用フィルタ部は、
    上記低分子化合物溶液と上記試料溶液とが混合されてなる混合溶液が通過する第1の混合溶液通過部と、
    上記第1の混合溶液通過部の少なくとも一部を囲むように接して設けられた上記低分子化合物溶液以外を透過しない第1のフィルタと、
    上記第1のフィルタの少なくとも一部を囲むように接して設けられた上記低分子化合物溶液を移送する第1の低分子化合物溶液移送部と、を有し、
    上記第1の混合溶液通過部は、その一端に取り付けられた上記試料溶液を注入する試料溶液注入口と、その他端に取り付けられ上記第1の試料移送管に接続された上記混合溶液を排出する混合溶液排出口と、上記一端と上記他端との間に上記低分子化合物溶液が注入される第1の低分子化合物溶液注入口とを有し、
    上記NMR計測部への注入は、
    上記第1の低分子化合物溶液注入口から上記低分子化合物溶液の注入を行いながら、上記試料溶液注入口に設けられた注入手段によって加圧して上記第1の混合溶液通過部に上記試料溶液を送りこみ、上記第1の混合溶液通過部において上記試料溶液と上記低分子化合物溶液とが混合されてなる上記試料を、上記試料を搬送する搬送溶液の流れに沿って上記容器へ送り込むことを特徴とする低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  3. 上記第1の試料移送管の内径が、上記NMR計測部を構成する容器の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1または2記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  4. 上記核磁気共鳴測定は、
    上記NMR計測部に上記試料を保持しながら、上記電磁波の照射により上記試料から放出される核磁気共鳴信号を上記核磁気共鳴プローブを用いて検出し、
    上記検出の終了後、上記試料を上記NMR計測部の容器から排出することを特徴とする請求項1または2記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  5. 上記試料の保持は、
    上記第1の低分子化合物溶液注入口から上記低分子化合物溶液を注入し、上記試料が上記NMR計測部の容器に充填された時点で、上記搬送溶液の流れを停止することにより、上記試料を上記NMR計測部の容器に保持することを特徴とする請求項記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  6. 上記NMR計測部の容器からの排出は、上記第1の低分子化合物溶液注入口から上記低分子化合物溶液を注入することにより、上記容器外へ上記試料を排出することを特徴とする請求項記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  7. 上記試料排出口に接続された第2の試料移送管と、
    上記第2の試料移送管に接続され上記試料に混合された上記試料溶液と上記低分子化合物溶液との分離を行なう分離用フィルタ部と、
    上記試料を排出する手段とを有することを特徴とする請求項1または2記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  8. 上記分離用フィルタ部は、
    上記低分子化合物溶液と上記試料溶液との混合溶液が通過する第2の混合溶液通過部と、
    上記第2の混合溶液通過部の少なくとも一部を囲むように接して設けられた上記低分子化合物溶液以外を透過しない第2のフィルタと、
    上記第2のフィルタの少なくとも一部を囲むように接して設けられた上記低分子化合物溶液を移送する第2の低分子化合物溶液移送部と、を有し、
    上記第2の混合溶液通過部は、その一端に取り付けられた上記試料溶液を排出する試料溶液排出口と、その他端に取り付けられ上記第2の試料移送管に接続された上記混合溶液を注入する混合溶液注入口と、上記一端と上記他端との間に上記混合溶液を分離し上記低分子化合物溶液を排出する低分子化合物溶液排出口とを有することを特徴とする請求項記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  9. 上記試料の排出は、
    上記混合用フィルタ部の低分子化合物溶液注入口から上記低分子化合物溶液を注入することにより、上記混合溶液が上記分離用フィルタ部で上記試料を含む溶液と上記試料を含まない低分子化合物溶液に分離され、上記試料を含む溶液を上記分離用フィルタ部の試料溶液排出口から取り出すことを特徴とする請求項記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  10. 上記混合溶液中の低分子化合物濃度を制御し上記低分子化合物溶液を送液する低分子化合物濃度制御部と、
    上記低分子化合物濃度制御部の排出口と上記混合用フィルタ部の低分子化合物溶液注入口とに接続された第1の低分子化合物溶液移送管と、
    上記分離用フィルタ部の低分子化合物溶液排出口と上記低分子化合物濃度制御部の注入口とに接続された第2の低分子化合物溶液移送管と、
    上記低分子化合物濃度制御部に接続され低分子化合物溶液を注入する低分子化合物溶液注入手段と、
    上記低分子化合物濃度制御部に接続され上記試料溶液および上記低分子化合物溶液を搬送する搬送溶液を注入する搬送溶液注入手段と、を有し、
    上記低分子化合物溶液は、上記低分子化合物溶液注入手段により上記第1の低分子化合物溶液移送管を介して上記混合用フィルタへ送液され、上記混合用フィルタで混合された上記試料溶液と共に上記NMR計測部を経由して上記分離用フィルタへ送液され、上記分離用フィルタで上記試料溶液と分離されて上記低分子化合物濃度制御部へ送液されることにより、循環的な上記低分子化合物溶液の移送が行われることを特徴とする請求項記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  11. 上記低分子化合物濃度制御部は、
    上記第2の低分子化合物溶液移送管に接続され上記低分子化合物溶液が注入される注入口と、
    上記低分子化合物溶液を上記第1の低分子化合物溶液移送管に排出する排出口と、
    上記注入口と上記排出口とを接続する溶液移送管と、
    上記溶液移送管に接続され上記低分子化合物溶液を注入する低分子化合物溶液注入部と、
    上記溶液移送管に接続され上記低分子化合物溶液の排出を調整する排水バルブと、
    上記溶液移送管に接続され注水の調整を行なう注水バルブと、
    上記溶液移送管中の溶液を加圧により送液する送液ポンプと、
    上記溶液の流量を測定する圧力計と、を有し、
    上記低分子化合物溶液注入部は、少なくとも一つのシリンジポンプを具備し、上記シリンジポンプからの上記低分子化合物溶液の注入が電子機器によって制御され、
    上記送液ポンプは、その注入口にデガッサーの取り付けが可能であり、電子機器によって制御されることを特徴とする請求項10記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  12. 上記試料溶液は、上記試料溶液注入口から上記混合用フィルタの上記第1の混合溶液通過部へ注入され、上記第1の試料移送管を介して上記NMR計測部へ移送され、上記第2の試料移送管を介して上記分離用フィルタの上記第2の混合溶液通過部へ注入され、上記第2の混合溶液通過部の上記試料溶液排出口へ移送されて回収されることを特徴とする請求項10記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
  13. 上記低分子化合物溶液の注入は、上記循環的な溶液移送を行いながら、上記低分子化合物濃度制御部の上記低分子化合物溶液注入部から低分子化合物を含む溶液を注入し、上記圧力計の値が定常循環状態の圧力に戻るまで、上記排水バルブから溶液を排出することを特徴とする請求項11記載の低分子化合物溶液循環型フローNMR装置。
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