以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタを示す斜視図、図2は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す上面図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタを示す下面図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタを示す上面図である。なお、図1において、(a)は分解図、(b)はシェルを取除いた状態を示す図、図2及び3において、(a)は全体図、(b)は要部拡大図である。
図において、1は本実施の形態におけるカード用コネクタであり、図示されない電子機器に取付けられる。そして、前記カード用コネクタ1の内部には後述されるカード101が挿入され、前記カード用コネクタ1を介して、前記電子機器にカード101が装着される。なお、前記電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等であるが、いかなる種類の機器であってもよい。
また、カード101は、例えば、SIMカード、MMC(R)、SD(R)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(R)、メモリスティック(R)、メモリスティックDuo(R)、スマートメディア(R)、TransFlash(R)メモリカード、マイクロSD(R)カード等のICカードであり、いかなる種類のカードであってもよい。
なお、本実施の形態において、カード用コネクタ1の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、カード用コネクタ1又はその部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、カード用コネクタ1又はその部品の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
ここで、前記カード用コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形されたハウジング11と、金属等の導電性材料から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施すことによって一体的に成形され、ハウジング11の上側に取付けられたカバー部材としてのシェル61とを有する。該シェル61は、ハウジング11の少なくとも一部の上方を覆うようにしてハウジング11に取付けられ、これにより、シェル61とハウジング11との間に、カード101の少なくとも一部が収容されるカード収容空間が形成される。そして、前記カード用コネクタ1は、概略、扁(へん)平な直方体形状を備え、前記電子機器に取付けられ、前方(図2〜4における上方)からカード収容空間にカード101が挿入される。なお、該カード101は、端子部材としてのコンタクトパッドが複数個露出して配設された面がハウジング11側を向くような姿勢で、カード用コネクタ1に挿入される。
図に示されるように、ハウジング11は、カード101の挿入方向に関して手前側となる前縁側(図2における上側)がアーチ状となっている底壁部11a、及び、該底壁部11aの奥部において奥側(図2における下側)の縁に沿って延在し、底壁部11aから立設する奥壁部11bを有する。ここで、該奥壁部11bには、前後方向に貫通するように形成された図示されない端子装填(てん)孔(こう)が複数形成され、各端子装填孔に接続端子としての端子51の本体部51aが挿入されて取付けられている。また、底壁部11aの上面には、前後方向(図2における上下方向)に延在するように形成された端子装填溝11eが複数形成され、各端子装填溝11eに端子51が収容されている。
そして、該端子51は、ハウジング11の前縁側に向けて延在し、先端近傍に端子装填溝11eから上方に突出する接触部51bが形成され、カード101の下向きの面に配設されたコンタクトパッドに接触して電気的に接続される。また、前記端子51の本体部51aの根本から後方(図2における下方)に延在するソルダーテール部51cは、底壁部11aの後側の縁から後方に向けて突出し、前記電子機器における配線基板等の基板に形成された信号線、コンタクトパッド、端子等、すなわち、相手側端子部材に、はんだ付等によって電気的に接続される。
また、ハウジング11は、底壁部11aの一方の側縁に沿って前後方向に延在する断面L字状の側壁としての第1側壁部11c、及び、底壁部11aの他方の側縁に沿って前後方向に延在する側壁としての第2側壁部11dを有する。なお、前記カード収容空間は、前記底壁部11a、奥壁部11b、第1側壁部11c及び第2側壁部11dと、シェル61の天板部62とによって周囲を画定された空間である。
ここで、前記カード用コネクタ1は、該カード用コネクタ1内にカード101を挿入する際にも、カード用コネクタ1内からカード101を取出す際にも、カード101を押込む動作を必要とする、いわゆる、プッシュインプッシュアウトタイプ、又は、プッシュ/プッシュタイプと通称されるものである。このような動作は、押しボタンスイッチの分野におけるオルタネイト動作(位置保持型、プッシュオン・プッシュオフ型)と同様のものである。そのため、第2側壁部11dには、カード用コネクタ1内に挿入されたカード101を案内するためのカード案内機構のスライド部材21が前後方向、すなわち、カード101の挿入方向にスライド可能に取付けられている。
そして、スライド部材21は、カード101を保持するためのカード保持部として内側の側面から突出するように形成された第1係合部21a及び第2係合部21bを備える。該第1係合部21a及び第2係合部21bは、カード101の外面に形成された図示されない係合凹部と係合する。そして、スライド部材21は、第1係合部21a及び第2係合部21bによってカード101を保持し、該カード101とともに前後方向に移動する。
また、スライド部材21におけるカード101の後方の端面には、コイルスプリングから成る付勢部材81の一端が取付けられている。該付勢部材81の他端は、奥壁部11bの係止部11fに取付けられている。これにより、前記スライド部材21は、付勢部材81によって、カード101の挿入方向と反対の方向、すなわち、カード101の排出方向に付勢される。
そして、スライド部材21の上面にはカム溝22が形成され、該カム溝22には固定カム部材としての細長いピン部材82の自由端が係合している。また、該ピン部材82の他端は、固定端として、ハウジング11の係止部11fの上面に掛止され、ピボット結合されている。そして、前記ピン部材82とカム溝22とが協働することによって、カード101とともに移動するスライド部材21にプッシュ/プッシュの動作を行わせるようになっている。これにより、前記カード案内機構は、カード101を挿入方向に押込むプッシュ動作によってカード101が挿入方向に移動して終端点まで到達すると、前記付勢部材81の付勢力によって、前記カード101を終端点から挿入方向と反対の方向に移動させて排出することができる。
前記ピン部材82は、シェル61の板ばね63によって上から下方向に付勢されることによって保持されている。前記板ばね63は、シェル61の天板部62の一部をハウジング11の底壁部11aの方向に押圧可能に折曲げ加工することによって形成されており、ピン部材82は、前記板ばね63とスライド部材21又はハウジング11との間に位置し、スライド部材21又はハウジング11から離脱しないように保持されている。
なお、第2側壁部11dにはストッパ部11gが形成されている。そして、付勢部材81の付勢力によって、スライド部材21がカード101の挿入方向と反対の方向に移動させられてカード101が排出される際には、スライド部材21は、ストッパ部11gに当接することによって停止させられる。
また、ハウジング11におけるカード案内機構と反対側(図2における右側)には、カード101がカード用コネクタ1に装填され、カード101のコンタクトパッドと端子51とが接触していることを検知する検知スイッチが配設されている。前記第1側壁部11cの奥側にはスイッチ保持部12が一体的に形成され、該スイッチ保持部12に形成されたスイッチ収容空間12a内に検知スイッチを形成する第1接点部材52及び第2接点部材53が取付けられている。
なお、前記検知スイッチは、必ずしも第1側壁部11cに配設される必要はなく、例えば、奥壁部11bに配設されていてもよい。つまり、本実施の形態における検知スイッチは、必ずしもハウジング11の側壁に配設される必要はなく、カード収容空間の内壁面に沿って配設されていれば、いかなる部位に配設されていてもよい。ここでは、説明の都合上、検知スイッチが第1側壁部11cに配設されている例についてのみ説明する。
図3に示されるように、第1接点部材52は、スイッチ保持部12に取付けられた取付部52a、基端が該取付部52aに接続されて前方に向けて延出するカンチレバー状の本体部52b、該本体部52bの自由端に接続された接触部52d、該接触部52dの先端に接続され、第2側壁部11d方向に向けて突出するようにループ状に曲げられた突出部52e、及び、前記取付部52aに接続されてハウジング11の外側に突出するソルダーテール部52cを備える。
一方、前記第2接点部材53は、スイッチ保持部12に取付けられた取付部53a、基端が該取付部53aに接続されて後方に向けて延出するカンチレバー状の本体部53b、該本体部53bの自由端に接続された接触部53d、及び、前記取付部53aに接続されてハウジング11の外側に突出するソルダーテール部53cを備える。そして、前記第2接点部材53の接触部53dは、第1接点部材52の接触部52dよりも外側に、かつ、第1接点部材52の接触部52dから離間して配設されている。そのため、カード101が挿入されていない状態においては、図3に示されるように、第1接点部材52と第2接点部材53とは非接触であり、検知スイッチは非導通状態、すなわち、オフ(OFF)になっている。
なお、カード101が挿入され、コンタクトパッドと端子51とが接触する位置に到達すると、第1接点部材52の突出部52eが外側に押出されて変位し、第1接点部材52の接触部52dが第2接点部材53の接触部53dに接触する。これにより、第1接点部材52と第2接点部材53とが接触し、検知スイッチは導通状態、すなわち、オン(ON)になる。
また、第1接点部材52のソルダーテール部52c及び第2接点部材53のソルダーテール部53cは、スイッチ保持部12の外側の縁から後方に向けて突出し、前記電子機器における配線基板等の基板に形成された信号線、コンタクトパッド、端子等、すなわち、相手側端子部材に、はんだ付等によって電気的に接続される。
図2に示されるように、第1側壁部11cと第2側壁部11dとの間に位置するカード収容空間と、スイッチ収容空間12aとは、第1側壁部11cの内壁面を貫通するように形成された接続開口12bによって連通されている。そして、該接続開口12bを塞ぐように、ハウジング11に対して移動可能な可動カバー部材41が配設されている。
該可動カバー部材41は、スイッチ収容空間12aの天板部12cにおけるカード収容空間寄りの部分及びカード収容空間側の側面を覆う部材であり、検知スイッチの周囲の少なくとも一部を覆う本体部43と、該本体部43の一端(図に示される例では前端)に形成された枢支部42と、前記本体部43から突出し、前記接続開口12bを通ってカード収容空間内に進入可能なボタン部44とを備える。前記本体部43は、内部が空洞となっているが、該空洞内に第1接点部材52の突出部52eに当接するスイッチ作用部46が配設されている。
そして、前記可動カバー部材41は、前記枢支部42を中心にしてハウジング11に対して回転することができる。カード収容空間にカード101が挿入されていない状態では、ばね性を備える第1接点部材52の突出部52eによってスイッチ作用部46がハウジング11の幅方向中心に向けて付勢されるので、可動カバー部材41全体も、図1及び2に示されるように、ハウジング11の幅方向中心に寄った第1の位置にある。なお、カード収容空間にカード101が挿入された状態では、ボタン部44がカード101によって押されることにより、可動カバー部材41全体は、ハウジング11の幅方向外側に変位して、図示されない第2の位置に到達する。
前記第1の位置においては、本体部43におけるボタン部44より奥側に突出した部分におけるカード収容空間寄りの面である第1位置決め部43bが、スイッチ保持部12の接続開口12bの奥側端において突出するハウジング側第1突部12gに当接し、押付けられている。また、前記第1の位置においては、本体部43におけるボタン部44より手前側の部分におけるカード収容空間寄りの面である第2位置決め部43cが、スイッチ保持部12の接続開口12bの手前側端において突出するハウジング側第2突部12dに当接し、押付けられている。
この場合、ハウジング側第1突部12gにおけるハウジング11の幅方向外側面がハウジング側第1停止シール部として機能し、第1位置決め部43bがカバー側第1停止シール部として機能する。また、ハウジング側第2突部12dにおけるハウジング11の幅方向外側面がハウジング側第2停止シール部として機能し、第2位置決め部43cがカバー側第2停止シール部として機能する。つまり、可動カバー部材41が第1の位置において停止しているときには、ハウジング側第1突部12g及び第1位置決め部43bとハウジング側第2突部12d及び第2位置決め部43cとが停止シール部として機能し、接続開口12bの奥側及び手前側において、すなわち、接続開口12bを塞ぐボタン部44の奥側及び手前側において、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを確実に遮断する。したがって、カード収容空間の塵埃等の異物がスイッチ収容空間12aに進入することがなく、第1接点部材52の接触部52d及び第2接点部材53の接触部53dに異物が付着することが確実に防止される。
ところで、前記ボタン部44は、図2に示されるように、上方から見て、略三角形又は山のような形状を有し、ハウジング11の幅方向中心に最も突出した頂上部44dと、該頂上部44dから手前側に向けて斜めに延在する手前側傾斜面部44aと、前記頂上部44dから奥側に向けて斜めに延在し、カバー側第1遷移シール部として機能する奥側傾斜面部44bと、前記手前側傾斜面部44aにおける手前側端と第2位置決め部43cにおける奥側端とを接続し、カバー側第2遷移シール部として機能する手前側壁面部44cとを有する。
そして、前記第1の位置においては、前記奥側傾斜面部44bのハウジング11の幅方向外側端近傍が、ハウジング側第1遷移シール部として機能するハウジング側第1突部12gの先端(図2における上側端)に対向し、前記手前側壁面部44cのハウジング11の幅方向外側端近傍が、ハウジング側第2遷移シール部として機能するハウジング側第2突部12dの先端(図2における下側端)に対向している。
また、本体部43の先端面43aにおける少なくともハウジング11の幅方向中心寄りの部分は、カバー側第3遷移シール部として機能し、ハウジング側第3遷移シール部として機能するスイッチ収容空間12aの奥側内壁面12eに対向している。
ハウジング11の位置が、前記第2の位置にあるとき、及び、第1の位置と第2の位置との間にあるとき、すなわち、遷移状態にあるときには、奥側傾斜面部44b及びハウジング側第1突部12gの先端と、手前側壁面部44c及びハウジング側第2突部12dの先端と、先端面43a及び奥側内壁面12eとが遷移シール部として機能し、接続開口12bの奥側及び手前側において、すなわち、接続開口12bを塞ぐボタン部44の奥側及び手前側において、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを確実に遮断する。
また、シェル61は、概略矩(く)形の天板部62と、該天板部62に形成された板ばね63と、前記天板部62の側縁の複数箇所から立設する複数の側板部64とを有する。該側板部64には、複数の掛止開口65が形成され、シェル61をハウジング11の上側に取付けると、該ハウジング11の第1側壁部11c及び第2側壁部11dの外側面に形成された掛止突起11hに前記掛止開口65が掛止され、シェル61がハウジング11に固定される。また、前記側板部64の下端からは、複数のソルダーテール部67が外方に延出する。該ソルダーテール部67を前記電子機器における配線基板等の基板に形成された接続パッド等にはんだ付等によって接続することにより、カード用コネクタ1を強固に基板に固定することができる。また、前記接続パッド等が基板のグランドラインに接続されている場合には、シェル61をカード用コネクタ1のグランドラインとして機能させることができる。
さらに、シェル61は、ハウジング11に取付けられた状態で、スイッチ保持部12の上面及び幅方向外側の側面を覆い、スイッチ収容空間12aにおける上面及びハウジング11の幅方向外側の側面を閉止するようになっている。したがって、スイッチ収容空間12aは、図3に示されるように、ハウジング11の底壁部11aに形成された底面開口部12fによってのみ、カード用コネクタ1の外側の空間と連通する。
なお、カード用コネクタ1が電子機器における配線基板等の基板に実装される場合には、底壁部11aの裏面全体が基板の表面に対向するようにして基板に実装されることとなるので、前記底面開口部12fは基板によって塞がれることとなる。したがって、カード用コネクタ1が基板に実装されると、スイッチ収容空間12aは、実質的に、カード用コネクタ1の外側の空間から遮断されるので、大気中の塵埃等の異物がスイッチ収容空間12aに進入することがなく、第1接点部材52の接触部52d及び第2接点部材53の接触部53dに異物が付着することが確実に防止される。
次に、前記構成のカード用コネクタ1の動作について説明する。
図5は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタのカード挿入途中の状態を示すシェルを取除いた上面図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタのカード挿入途中の状態を示す下面図である。なお、図5及び6において、(a)は全体図、(b)は要部拡大図である。
まず、カード101を挿入する場合の動作について説明する。この場合、利用者が手指等によってカード101をカード用コネクタ1の前方(図5及び6における上方)から挿入する。なお、カード101は、略矩形の平板状の部材であり、一面側に端子部材としてのコンタクトパッドが複数個配設され、該コンタクトパッドの配設された面がハウジング11の底壁部11aと対向し、コンタクトパッドの配設されていない面がシェル61の天板部62と対向するような姿勢で、カード用コネクタ1のカード収容空間内に挿入される。これにより、カード101は、一方の側端がハウジング11の第1側壁部11cに沿って、かつ、他方の側端がハウジング11の第2側壁部11dに沿って進行する。
そして、挿入の初期の状態において、カード101のコンタクトパッドは、端子51の接触部51bにまで到達しておらず、かつ、カード101は、可動カバー部材41のボタン部44にまで到達していない。したがって、第1接点部材52と第2接点部材53とは非接触であり、検知スイッチはオフになっている。
続いて、利用者がカード101をプッシュして更に押込むと、スライド部材21の第1係合部21a及び第2係合部21bは、カード101に形成された係合凹部と係合し、前記カード101は、スライド部材21とともに、奥壁部11bに向けて移動する。この際、利用者の手指等が発揮する押圧力は、カード101の係合凹部から第1係合部21a及び第2係合部21bを介してスライド部材21に伝達される。該スライド部材21がコイルスプリングから成る付勢部材81を圧縮するので、スライド部材21及びカード101は、付勢部材81の反発力を受けるが、該反発力が利用者の手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記反発力に抗して移動する。そして、前記スライド部材21及びカード101は、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。
なお、カード101が終端点に到達するまでの行程の途中において、コンタクトパッドは、端子51の接触部51bと接触して導通する。また、図5に示されるように、カード101における第1側壁部11cと対向する側端の挿入方向先端寄りの部分が可動カバー部材41のボタン部44に当接し、可動カバー部材41をハウジング11の幅方向外側に変位させる。具体的には、可動カバー部材41は、枢支部42を中心にして図5において反時計回り方向に回転する。
これにより、図6に示されるように、可動カバー部材41のスイッチ作用部46がハウジング11の幅方向外側に変位し、第1接点部材52の突出部52eを押して、ハウジング11の幅方向外側に変位させる。そのため、第1接点部材52の接触部52dが第2接点部材53の接触部53dと接触し、第1接点部材52と第2接点部材53とが導通する。これにより、検知スイッチがオンになり、カード用コネクタ1にカード101が適切に挿入されたことが検知される。
続いて、利用者がカード101をプッシュする動作を止め、カード101に対する押圧力を解除すると、付勢部材81の反発力によって、スライド部材21及びカード101は奥壁部11bから離脱する向きに移動させられる。そして、スライド部材21及びカード101は、カード用コネクタ1内でカード101をロックした状態で保持するロック位置で停止する。これは、カム溝22と係合しているピン部材82が、カム溝22の一部に係止してスライド部材21の動きを停止させることによって、スライド部材21を前記ロック位置で停止させているからである。
そして、カード101は、ロック位置に保持されることによって、カード用コネクタ1が取付けられた電子機器の演算手段等との間でデータの送受信を行うことができる状態となる。なお、カード101がロック位置に保持されている場合、カード101のコンタクトパッドは、端子51の接触部51bと接触して導通している。そして、第1接点部材52の接触部52dが第2接点部材53の接触部53dと接触しているので、検知スイッチはオンの状態になっている。
なお、前記終端点及びロック位置では、カード101は、図5に示される状態よりも奥側に位置する、すなわち、奥壁部11bにより近接した位置にある。そして、可動カバー部材41は、図5に示される状態よりもハウジング11の幅方向外側に更に変位して、第2の位置に到達している。
図5に示されるように、可動カバー部材41の位置が、第1の位置と第2の位置との間にあるとき、すなわち、遷移状態にあるとき、又は、第2の位置にあるときには、カバー側第1遷移シール部としての奥側傾斜面部44bと、ハウジング側第1遷移シール部としてのハウジング側第1突部12gの先端とが互いに近接した状態で対向し、第1遷移シール部として機能する。これにより、接続開口12bを塞ぐボタン部44の奥側において、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを遮断する。
なお、奥側傾斜面部44bの形状は、ハウジング側第1突部12gの先端との間隔を一定に保持するという観点からは、上方から観て、枢支部42を中心とする円弧状であることが望ましいが、図5に示されるように、ハウジング側第1突部12gの先端との間隔が近接した状態を維持することができる場合には、上方から観て、直線状であってもよい。
また、可動カバー部材41の位置が遷移状態又は第2の位置にあるときには、カバー側第2遷移シール部としての手前側壁面部44cと、ハウジング側第2遷移シール部としてのハウジング側第2突部12dの先端とが互いに近接した状態で対向し、第2遷移シール部として機能する。これにより、接続開口12bを塞ぐボタン部44の手前側において、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを遮断する。
なお、手前側傾斜面部44cの形状は、ハウジング側第2突部12dの先端との間隔を一定に保持するという観点からは、上方から観て、枢支部42を中心とする円弧状であることが望ましいが、図5に示されるように、ハウジング側第2突部12dの先端との間隔が近接した状態を維持することができる場合には、上方から観て、直線状であってもよい。
さらに、可動カバー部材41の位置が遷移状態又は第2の位置にあるときには、カバー側第3遷移シール部としての本体部43の先端面43aにおける少なくともハウジング11の幅方向中心寄りの部分と、ハウジング側第3遷移シール部としてのスイッチ収容空間12aの奥側内壁面12eとが互いに近接した状態で対向し、第3遷移シール部として機能する。これにより、接続開口12bを塞ぐボタン部44の奥側において、前記第1遷移シール部と協働してハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを遮断する。
なお、スイッチ収容空間12aの奥側内壁面12eの形状は、本体部43の先端面43aにおける少なくともハウジング11の幅方向中心寄りの部分との間隔を一定に保持するという観点からは、上方から観て、枢支部42を中心とする円弧状であることが望ましいが、図5に示されるように、本体部43の先端面43aにおける少なくともハウジング11の幅方向中心寄りの部分との間隔が近接した状態を維持することができる場合には、上方から観て、直線状であってもよい。
本実施の形態においては、ボタン部44の奥側に、複数の遷移シール部、具体的には、第1遷移シール部及び第3遷移シール部が配設されている。これは、ボタン部44の手前側よりも奥側の方が異物が進入しやすい環境にある、と考えられるからである。カード収容空間内に存在する塵埃等の異物は、挿入されたカード101が奥壁部11bに向けて前進すると、それとともに、前進する。そして、図5に示されるように、カード101が可動カバー部材41のボタン部44に当接する時点では、カード101の前方に位置するカード収容空間の容積はかなり圧縮されており、そこに存在する異物の密度が高くなっている。この状態で、可動カバー部材41がハウジング11の幅方向外側に変位して、第1位置決め部43bがハウジング側第1突部12gにおけるハウジング11の幅方向外側面から離間すると、第1停止シール部が無効となり、接続開口12bにおけるボタン部44の奥側を通ってスイッチ収容空間12a内に異物が進入する可能性が高くなる。しかし、本実施の形態においては、ボタン部44の奥側に複数の遷移シール部が配設されているので、接続開口12bにおけるボタン部44の奥側を通る異物の進入を効果的に防止することができる。
カード収容空間とスイッチ収容空間12aとの間を結ぶスイッチ保持部12と可動カバー部材41との間の隙間に配設された複数の遷移シール部は、全体として、いわゆるラビリンスシールとして機能するので、前記隙間を効果的にシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを確実に遮断することができる。
なお、ボタン部44の手前側の第1停止シール部は、カード101の前端が通過した後に無効となるので、ボタン部44の手前側には、単数の遷移シール部、具体的には、第2遷移シール部のみが配設されていても、異物の進入を十分に防止することができる。もっとも、必要に応じて、ボタン部44の手前側に、複数の遷移シール部を配設することもできる。
次に、カード101をカード用コネクタ1から排出させる動作について説明する。この場合、利用者が手指等によってカード101をプッシュして押込むと、スライド部材21及びカード101は、ロック位置から奥壁部11bに向けて移動させられる。そして、利用者がカード21をプッシュして更に押込むと、スライド部材21及びカード101は、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。
続いて、利用者がカード101をプッシュする動作を止め、カード101に対する押圧力を解除すると、付勢部材81の反発力によって、スライド部材21及びカード101は、奥壁部11bから離脱する向きに移動させられ、ロック位置の方向に復帰する。この際、付勢部材81の反発力は、押圧力となり、スライド部材21の第1係合部21a及び第2係合部21bを介してカード101に伝達される。そして、スライド部材21がロック位置に到達しても、カム溝22と係合しているピン部材82がカム溝22の一部に係止しないので、スライド部材21の動きが規制されず、前記ロック位置で停止させられない。そのため、スライド部材21及びカード101は、前記ロック位置を通過し、カード101の挿入方向と反対の方向に更に移動する。これにより、カード101は確実に挿入方向と反対の方向に移動して排出される。
なお、カード101が排出されるまでの行程の途中において、コンタクトパッドは、端子51の接触部51bから離間して非導通となる。また、カード101における第1側壁部11cと対向する側端が可動カバー部材41のボタン部44から離間する。すると、第1接点部材52が、それ自体のばね性によって復元し、図3に示されるような姿勢に復帰するので、第1接点部材52と第2接点部材53とが非接触に戻り、検知スイッチはオフになる。また、第1接点部材52の突出部52eによってスイッチ作用部46が押され、それにより、可動カバー部材41がハウジング11の幅方向中心側に変位し、図2に示されるような姿勢に復帰する。つまり、可動カバー部材41は、第2の位置から第1の位置に復帰する。
このように、本実施の形態において、カード用コネクタ1は、コンタクトパッドを備えるカード101を収容するハウジング11と、ハウジング11に取付けられ、カード101のコンタクトパッドと接触する端子51と、ハウジング11に取付けられ、ハウジング11との間にカード収容空間を形成するシェル61とを有し、カード収容空間に挿入されたカード101のコンタクトパッドが端子51と接触していることを検知する検知スイッチと、ハウジング11に形成され、検知スイッチを収容するスイッチ収容空間12aと、カード収容空間とスイッチ収容空間12aとを連通する接続開口12bを塞ぐようにハウジング11に配設された可動カバー部材41とを更に有する。
これにより、異物が検知スイッチに付着することを確実に防止することができ、カード101の検知を正確に行うことができる。また、構造を簡素化することができ、組立を容易にし、コストを低減するとともに、小型化を可能とし、信頼性を向上させることができる。
また、可動カバー部材41が、カード収容空間に挿入されたカード101と当接しない第1の位置にあるとき、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールする停止シール部と、可動カバー部材41が、カード収容空間への挿入が完了したカード101によって変位させられた第2の位置にあるとき、及び、第1の位置と第2の位置との間にあるとき、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールする遷移シール部とを有する。これにより、可動カバー部材41が停止しているときのみならず、可動カバー部材41がカード101によって変位させられた状態であっても、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間がシールされるので、異物がスイッチ収容空間12a内に進入することがなく、異物が検知スイッチに付着することを確実に防止することができる。
さらに、可動カバー部材41は、検知スイッチの周囲の少なくとも一部を覆う本体部43と、本体部43から突出し、接続開口12bを通ってカード収容空間内に進入可能なボタン部44とを備え、停止シール部はボタン部44の両側に配設されるとともに、遷移シール部もボタン部44の両側に配設される。これにより、接続開口12bを通ってカード収容空間内に進入可能なボタン部44の両側において、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間がシールされるので、異物がスイッチ収容空間12a内に進入することを効果的に防止することができる。
さらに、遷移シール部は、ボタン部44の少なくとも一側に複数配設される。この場合、複数の遷移シール部がラビリンスシールとして機能するので、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを確実に遮断することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図7は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタを示す斜視図、図8は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す上面図である。なお、図7において、(a)は分解図、(b)はシェルを取除いた状態を示す図、図8において、(a)は全体図、(b)は要部拡大図である。
本実施の形態における可動カバー部材41は、前記第1の実施の形態における可動カバー部材41と同様に、接続開口12bを塞ぐように配設され、ハウジング11に対して移動可能な部材であって、スイッチ収容空間12aの天板部12cにおけるカード収容空間寄りの部分及びカード収容空間側の側面を覆う部材である。
しかし、本実施の形態における可動カバー部材41は、ハウジング11の幅方向にスライドするように取付けられており、本体部43と、該本体部43からカード収容空間内に突出するボタン部44とを備えているが、枢支部42は備えていない。なお、前記本体部43は、前記第1の実施の形態と同様に、内部が空洞となっているが、該空洞内に第1接点部材52の突出部52eに当接するスイッチ作用部46が配設されている。また、検知スイッチの構造も、前記第1の実施の形態と同様である。
そして、カード収容空間にカード101が挿入されていない状態では、ばね性を備える第1接点部材52の突出部52eによってスイッチ作用部46がハウジング11の幅方向中心に向けて付勢されるので、可動カバー部材41全体も、図7及び8に示されるように、ハウジング11の幅方向中心に寄った第1の位置にある。なお、カード収容空間にカード101が挿入された状態では、ボタン部44がカード101によって押されることにより、可動カバー部材41全体は、ハウジング11の幅方向外側に変位して、図示されない第2の位置に到達する。
前記第1の位置においては、本体部43におけるボタン部44より奥側に突出した部分におけるカード収容空間寄りの面である第1位置決め部43bが、スイッチ保持部12の接続開口12bの奥側端において突出するハウジング側第1突部12gに当接し、押付けられている。なお、図に示される例において、ハウジング側第1突部12gは、その先端(図8における上側端)が奥壁部11bの内壁面と面一になるように形成されているが、その先端が奥壁部11bの内壁面よりも手前側に突出するように形成されていてもよい。また、前記第1の位置においては、本体部43におけるボタン部44より手前側の部分におけるカード収容空間寄りの面である第2位置決め部43cが、スイッチ保持部12の接続開口12bの手前側端において突出するハウジング側第2突部12dに当接し、押付けられている。
本実施の形態においても、前記第1の実施の形態と同様に、ハウジング側第1突部12gにおけるハウジング11の幅方向外側面がハウジング側第1停止シール部として機能し、第1位置決め部43bがカバー側第1停止シール部として機能する。また、ハウジング側第2突部12dにおけるハウジング11の幅方向外側面がハウジング側第2停止シール部として機能し、第2位置決め部43cがカバー側第2停止シール部として機能する。つまり、可動カバー部材41が第1の位置において停止しているときには、ハウジング側第1突部12g及び第1位置決め部43bとハウジング側第2突部12d及び第2位置決め部43cとが第1及び第2停止シール部として機能し、接続開口12bの奥側及び手前側において、すなわち、接続開口12bを塞ぐボタン部44の奥側及び手前側において、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを確実に遮断する。したがって、カード収容空間の塵埃等の異物がスイッチ収容空間12aに進入することがなく、第1接点部材52の接触部52d及び第2接点部材53の接触部53dに異物が付着することが確実に防止される。
ところで、前記ボタン部44は、図8に示されるように、上方から見て、略台形又は台地のような形状を有し、ハウジング11の幅方向中心に突出し、カード101の挿抜方向(図8における上下方向)に延在する平坦(たん)な頂上部44dと、該頂上部44dの手前端から手前側に向けて斜めに延在する手前側傾斜面部44aと、前記頂上部44dの奥側端においてハウジング11の幅方向に、カバー側第1遷移シール部として機能する奥側壁面部44eと、前記手前側傾斜面部44aにおける手前側端と第2位置決め部43cにおける奥側端とを接続し、手前側壁面部44cとを有する。
そして、前記第1の位置においては、前記奥側壁面部44eが、ハウジング側第1遷移シール部として機能するハウジング側第1突部12gの先端に対向し、前記手前側壁面部44cがハウジング側第2突部12dの先端(図8における下側端)に対向している。
また、本体部43の先端面43aはカバー側第3遷移シール部として機能し、ハウジング側第3遷移シール部として機能するスイッチ収容空間12aの奥側内壁面12eに対向している。さらに、本体部43の後端面43dはカバー側第2遷移シール部として機能し、ハウジング側第2遷移シール部として機能するスイッチ収容空間12aの手前側内壁面12hに対向している。
ハウジング11の位置が、前記第2の位置にあるとき、及び、遷移状態にあるときには、奥側壁面部44e及びハウジング側第1突部12gの先端と、後端面43d及び手前側内壁面12hと、先端面43a及び奥側内壁面12eとが遷移シール部として機能し、接続開口12bの奥側及び手前側において、すなわち、接続開口12bを塞ぐボタン部44の奥側及び手前側において、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを確実に遮断する。
なお、検知スイッチを形成する第1接点部材52及び第2接点部材53の構成、並びに、シェル61の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。また、その他の点の構成についても、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるカード用コネクタ1の動作について説明する。
図9は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタのカード挿入途中の状態を示すシェルを取除いた上面図である。なお、図において、(a)は全体図、(b)は要部拡大図である。
まず、カード101を挿入する場合の動作について説明する。この場合、可動カバー部材41以外の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
カード101が終端点に到達するまでの行程の途中において、図9に示されるように、カード101における第1側壁部11cと対向する側端が可動カバー部材41のボタン部44に当接し、可動カバー部材41をハウジング11の幅方向外側に変位させる。具体的には、可動カバー部材41は、スイッチ保持部12に対してスライドし、ハウジング11の幅方向外側に向って変位する。
これにより、前記第1の実施の形態と同様に、可動カバー部材41のスイッチ作用部46がハウジング11の幅方向外側に変位し、第1接点部材52の突出部52eを押して、ハウジング11の幅方向外側に変位させる。そのため、第1接点部材52の接触部52dが第2接点部材53の接触部53dと接触し、第1接点部材52と第2接点部材53とが導通する。これにより、検知スイッチがオンになり、カード用コネクタ1にカード101が適切に挿入されたことが検知される。
図9に示されるように、可動カバー部材41の位置が、第2の位置にあるとき、又は、遷移状態にあるときには、カバー側第1遷移シール部としての奥側壁面部44eと、ハウジング側第1遷移シール部としてのハウジング側第1突部12gの先端とが互いに近接した状態で対向し、第1遷移シール部として機能する。なお、図9(b)では、図示の都合上、奥側壁面部44eとハウジング側第1突部12gの先端とが対向しているか否かがやや不明であるが、本実施の形態においては、可動カバー部材41の位置が第2の位置にあるときも、奥側壁面部44eとハウジング側第1突部12gの先端とが対向している。これにより、接続開口12bを塞ぐボタン部44の奥側において、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを遮断する。
また、可動カバー部材41の位置が第2の位置又は遷移状態にあるときには、カバー側第2遷移シール部としての後端面43dと、ハウジング側第2遷移シール部としての手前側内壁面12hとが互いに近接した状態で対向し、第2遷移シール部として機能する。これにより、接続開口12bを塞ぐボタン部44の手前側において、ハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを遮断する。
さらに、可動カバー部材41の位置が第2の位置又は遷移状態にあるときには、カバー側第3遷移シール部としての先端面43aと、ハウジング側第3遷移シール部としてのスイッチ収容空間12aの奥側内壁面12eとが互いに近接した状態で対向し、第3遷移シール部として機能する。これにより、接続開口12bを塞ぐボタン部44の奥側において、前記第1遷移シール部と協働してハウジング11と可動カバー部材41との間の隙間をシールし、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを遮断する。
本実施の形態においても、前記第1の実施の形態と同様に、ボタン部44の奥側に、複数の遷移シール部、具体的には、第1遷移シール部及び第3遷移シール部が配設されている。そして、複数の遷移シール部は、全体として、いわゆるラビリンスシールとして機能するので、スイッチ収容空間12aとカード収容空間とを確実に遮断することができる。
また、ボタン部44の手前側には、単数の遷移シール部、具体的には、第2遷移シール部のみが配設されているが、必要に応じて、ボタン部44の手前側に、複数の遷移シール部を配設することもできる。
さらに、本実施の形態においては、カバー側第1遷移シール部としての奥側壁面部44e、及び、ハウジング側第1遷移シール部としてのハウジング側第1突部12gの先端が、それぞれ、平面状であって、広い範囲に亘(わた)って対向している。そのため、第1遷移シール部のシール機能は、前記第1の実施の形態よりも高くなっている。また、カバー側第2遷移シール部としての後端面43d、及び、ハウジング側第2遷移シール部としての手前側内壁面12hも、それぞれ、平面状であって、広い範囲に亘って対向している。そのため、第2遷移シール部のシール機能は、前記第1の実施の形態よりも高くなっている。さらに、カバー側第3遷移シール部としての先端面43a、及び、ハウジング側第3遷移シール部としての奥側内壁面12eも、それぞれ、平面状であって、広い範囲に亘って対向している。そのため、第3遷移シール部のシール機能は、前記第1の実施の形態よりも高くなっている。
なお、カード101をカード用コネクタ1から排出させる動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。