JP4895064B2 - 路上作業用車両、牽引装置、及び路上作業方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、道路下方の地中内における空洞検査等を行なうための路上作業用車両、及び、このような路上作業用車両等における牽引車と実際に検査等の作業を行なう作業手段を搭載した被牽引車とを連結するための牽引装置、更に、路上における検査等の作業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、道路を破壊せずに(すなわち、非破壊で)地中内の空洞を検査するための空洞検査装置としては、道路上(地上)から路面に電磁波(レーダ波)を放射し、その反射波の変化等から空洞の有無や空洞の位置等を検査する地中レーダ装置がある。
【0003】
また、このような地中レーダ装置が搭載された被牽引車若しくは地中レーダ装置のレーダ波発生源及び反射波受信装置自体に車輪を設けた被牽引車を牽引車(自動車)に連結し、牽引車で被牽引車を牽引して道路上を走行しながら連続的若しくは断続的に空洞検査を行なう地中レーダ車も開発されており、その一例が特開平4−159145号に開示されている。以下、この特開平4−159145号に開示された地中レーダ車について簡単に説明する。
【0004】
この特開平4−159145号に開示された地中レーダ車は、車両(牽引車)の車幅方向に沿った方向の両端側と車両の前後方向に沿った方向の前端部中央にそれぞれキャスタ(車輪)を取り付けたアンテナケース(被牽引車)を備えている。
【0005】
このアンテナケースには車両の前後方向に沿って設けられた一対のブラケットが車両の車幅方向に沿って2組設けられており、各々が車両の車幅方向を軸方向としてロッドの先端部を回動自在に支持している。これらのロッドの基端部は、車両の後輪の車軸を収納するリアアクスルケースに一体的に設けられたブラケットに車両の車幅方向を軸方向として回動自在に軸支されており、車両の前後方向に対をなすロッドと、アンテナケース、並びにリアアクスルケースとで平行四節リンク機構を構成している。
【0006】
また、アンテナケースにはワイヤロープの一端が係止されている。このワイヤロープの他端は車両に取り付けられた油圧シリンダに連結されており、油圧シリンダの油圧によりワイヤロープを引き上げることでアンテナケースを路上から離間させることができるようになっている。
【0007】
すなわち、この特開平4−159145号に開示された地中レーダ車は、検査を行なわない場合等においては油圧でワイヤロープを引き上げてアンテナケースを路上から離間させておく。また、検査を行なう場合等には油圧を解除してアンテナケースの自重でアンテナケースを下降させ、アンテナケースの接地状態で車両を移動させることでアンテナケースが追従移動するようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この地中レーダ車は、ロッドを介してアンテナケースをリアアクスルケースに連結することでアンテナケースのアンテナ受信面と路面との間の距離を略一定にできるとしているが、凹凸がある路面ではアンテナケースに取り付けたキャスタ自体が跳ねたりすることでアンテナケース全体が路面に対して接離移動するため、アンテナケースのアンテナ面と路面との間の距離を一定に保つことが難しい。
【0009】
また、上記のようなレーダ車で、仮に、リアアクスルケース若しくはアンテナケースとロッドとの間にばねを設けたり、アンテナケースのキャスタにショックアブソーバを設けたとしても、この地中レーダ車の構成ではアンテナケースが自重で接地しているため、キャスタの跳ね等に起因する路面に対するアンテナケースの接離移動を効果的に防止若しくは制限することはできない。
【0010】
本発明は、上記事実を考慮して、空洞検査等を行なう作業手段と路面等の作業面との間を一定に保ちつつ作業手段を牽引移動できる路上作業用車両、牽引される作業手段と作業面との間を一定に保つことができる牽引装置、及び、作業面と作業手段との間を一定に保ちながら移動して作業が行なえる路上作業方法を得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の路上作業用車両は、路面への接地状態で所定の作業を行なう作業手段と、前記作業手段を牽引して移動可能な牽引車と、前記牽引車に取り付けられると共に、駆動手段の駆動力により前記路面に対して昇降して前記作業手段を前記路面に対して接離させ、且つ、前記昇降方向の所定位置で前記接地状態の前記作業手段に対して前記路面側への押圧力を付与する昇降手段と、前記昇降手段と前記作業手段との間に介在して前記昇降手段からの前記押圧力を前記作業手段に伝達すると共に、少なくとも前記作業手段が前記接地状態では前記押圧力の変化を吸収して略一定の大きさに保つ緩衝手段と、を備えている。
【0012】
上記構成の路上作業用車両によれば、作業手段は緩衝手段並びに昇降手段を介して牽引車に連結されており、作業手段が路面へ接地した状態で移動する牽引車に牽引されることで作業手段が路上を移動しつつ作業手段による所定の作業が行なわれる。
【0013】
また、本路上作業用車両では、駆動手段からの駆動力を受けた昇降手段は昇降し、これにより、作業手段が昇降して路面に対して接離する。したがって、作業手段を使用しない場合には、作業手段を上昇させて路面から離すことにより、実質的に作業手段の牽引状態が解除されることになる。このため、作業手段を牽引している場合に比べて牽引車の走行性能を向上させることが可能となる。
【0014】
一方、作業手段が路面から離間した上昇状態で駆動手段からの駆動力が昇降手段に付与され、この駆動力によって昇降手段が下降すると作業手段が共に下降して接地し、更に、昇降方向の所定位置まで昇降手段が下降することで昇降手段は緩衝手段を介して押圧力を作業手段に付与し、この押圧力によって作業手段は路面へ圧接される。このため、路上の凹凸等で作業手段が路面から離間する方向へ移動しようとしても、昇降手段からの押圧力で押さえ込まれるため、基本的に作業手段と路面との間の距離が常時一定に保たれる。
【0015】
また、路上の凹凸等に起因して作業手段が昇降手段を押圧し、その押圧反力が昇降手段からの押圧力に重なることで、結果的に、昇降手段から作業手段に付与される押圧力(すなわち、通常の押圧力と押圧反力の和)が大きくなると、昇降手段と作業手段との間に介在する緩衝手段によってそれ以前の通常の押圧力との差分が吸収される。
【0016】
一方、これとは反対に、路上の凹凸等によって作業手段が昇降手段から離間する方向に移動しようとし、これにより、作業手段に対する昇降手段からの押圧力が減少しそうになると、通常の押圧力との差分が緩衝手段により補われる。このように、本路上作業用車両では、作業手段に対して昇降手段が押圧力を付与するのみならず、この押圧力が増減した際には緩衝手段によって増減の差分が吸収される。これにより、常に略一定の力で作業手段が路上の路面に圧接されるため、牽引車や作業手段の走行性能等に支障をきたすことはなく、路上における作業を円滑で且つ確実に行なうことができる。
【0017】
なお、本発明で言う「作業手段」とは、路上における諸作業を行なうための装置等を言い、その一例としては、路中(地中)の空洞検査を行なうためのレーダ装置(特に、レーダ波発生源及び反射波の受信装置)や、路上清掃用のブラシや噴水装置等がある。
【0018】
また、本発明で言う「路上」とは、所謂道路のみに限定されるものではなく、上述した牽引車が移動する部分言う。すなわち、牽引車が所謂自動車であれば「路上」とは所謂道路のことを指すが、牽引車を鉄道用車両等とした場合には、「路上」とは鉄道等の軌道やこれらの軌道が設置された設置面等を指すことになる(もちろん、鉄道用軌道が設置された路面上を自動車で作業手段を牽引する構成であっても同じである)。
【0019】
請求項2記載の路上作業用車両は、請求項1記載の本発明において、前記駆動手段の駆動力により先端側が前記路上の路面に対して接離する方向へ回動可能に基端部が前記牽引車の車体へ機械的に連結されたアームを含めて前記昇降手段を構成したことを特徴としている。
【0020】
上記構成の路上作業用車両によれば、昇降手段を構成するアームの先端側に緩衝手段を介して作業手段が連結されており、アームに駆動手段の駆動力が付与されると、牽引車の車体へ連結されている基端部周りにアームが回動し、これにより、アームの先端側が路面に対して接離する。
【0021】
したがって、アームが路面から離間する方向へ回動することで緩衝手段を介して作業手段に付与される押圧力が減少し、更に、離間する方向へアームが回動することで作業手段が路面から離間する。このため、作業手段による作業を行なわない場合等には、このように作業手段を路面から離間させることで、実質的に牽引車は作業手段の牽引を行なわなくなるため、移動時においては牽引車単独走行となり、走行性能等を向上させることができる。
【0022】
一方、作業手段が路上から離間した状態でアームを路面へ接近する方向へ回動させると、作業手段が路面へ接近して路面に接することになる。単に作業手段が路面に接した状態で更にアームを路面へ接近させる方向へ回動させると、このアームの回動量に応じた荷重、すなわち、押圧力が緩衝手段を介して作業手段に付与される。
【0023】
すなわち、本路上作業用車両では、アームの回動だけで作業手段の昇降と押圧力の付与並びに解除の双方がアームの回動だけで可能となる。
【0024】
請求項3記載の路上作業用車両は、請求項1又は請求項2記載の本発明において、前記昇降手段と前記作業手段との間に設けられると共に内部にガスが充填された容積可変の主気室を有する空気ばね本体と、前記主気室へ連結された副気室を有すると共に前記気室内のガス圧が所定値未満の場合に前記主気室へ前記ガスを供給する供給手段と、前記主気室に接続され前記主気室内のガス圧が所定値を越えた場合に前記主気室内のガスを外部に放出する調整弁と、を含めて前記緩衝手段を構成したことを特徴としている。
【0025】
上記構成の路上作業用車両では、基本的に昇降手段からの押圧力は先ず緩衝手段を構成する空気ばね本体に付与される。この空気ばね本体は容積可変の主気室を有しており、押圧力が主気室の容積を減少するように作用し、主気室の容積減少に伴い主気室内の内圧(ガス圧)が上昇する。この主気室のガス圧は作業手段に押圧力として作用し、この押圧力によって作業手段が路上(路面)に圧接される。
【0026】
ここで、路上の凹凸等に起因して作業手段が緩衝手段を介して昇降手段を押圧しようとし、これに応じた押圧反力が昇降手段からの押圧力に重なることで昇降手段からの押圧力が過剰になると、調整弁が開放されて主気室内のガスが抜かれ、主気室の内圧が所定の大きさに維持される。
【0027】
これに対して、路上の凹凸等によって作業手段が昇降手段から離間する方向に移動しようとし、これにより、作業手段に対する昇降手段からの押圧力が減少すると、主気室に対して供給手段の副気室からガスが供給され、主気室の内圧が所定の大きさに維持される。
【0028】
このようにして本路上作業用車両では、空気ばね本体の主気室の内圧を所定の大きさ(所定値)に保つため、路面に対する作業手段の圧接力が一定に保たれる。
【0029】
請求項4記載の路上作業用車両は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の本発明において、前記牽引車の車幅方向に沿った方向の前記作業手段の略中央を境として、その両側にそれぞれ独立して作動する前記緩衝手段を設けたことを特徴としている。
【0030】
上記構成の路上作業用車両では、牽引車の車幅方向に沿った作業手段の中央を境として、その両側にそれぞれ緩衝手段が設けられており、これらの緩衝手段は独立して作動し、各々により連結手段からの押圧力の増減が吸収される。
【0031】
すなわち、例えば、作業手段の左右何れか一方の側にのみ路上に凹凸が存在したり、又は、走行中の牽引車が左右何れか一方の方向に進路を変更することで遠心力が作業手段に作用した場合等、作業手段の左側と右側とで昇降手段に対して異なる変位が生じた場合には、この変位に応じて左右双方の緩衝手段が独自に作動して押圧力の増減を各々が吸収する。このため、作業手段全体に対して常に一定の大きさの押圧力が付与される。
【0032】
請求項5記載の路上作業用車両は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の本発明において、前記昇降手段と前記作業手段との間に介在し、緩衝手段が特定の大きさ押圧力の減少を補った状態で前記作業手段を機械的に支持する支持手段を備えることを特徴としている。
【0033】
上記構成の路上作業用車両では、昇降手段の上昇等に伴い緩衝手段によって特定の大きさの押圧力の減少が補われると、作業手段と昇降手段との間に介在する支持手段によって作業手段が機械的に支持される。これにより、緩衝手段に過剰な負荷がかかることを防止若しくは軽減できる。
【0034】
なお、支持手段は緩衝手段とは別に設けてもよいし、緩衝手段に支持手段の機能を付加することで実質的に緩衝手段が支持手段を兼ねる構成であってもよい。また、この支持手段に緩衝手段と類似する機能を付加して緩衝手段を保持する構成としてもよい。
【0035】
請求項6記載の路上作業用車両は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の本発明において、前記昇降手段と前記作業手段との間に介在し、少なくとも前記作業手段の前記接地状態で、前記牽引車の上下方向に対して傾斜した方向に沿った前記昇降手段に対する前記作業手段の変位を制限する制限手段を備えることを特徴としている。
【0036】
上記構成の路上作業用車両では、昇降手段と作業手段との間に制限手段が介在しており、少なくとも作業手段が接地した状態では、牽引車の上下に対して傾斜した方向、例えば、牽引車の車幅方向に沿った方向(作業手段の左右方向)に作業手段が昇降手段に対して変位しようとすると、この作業手段の変位が制限手段により制限される。これにより、基本的に作業手段の変位方向を昇降方向に制限でき、昇降手段からの押圧力を所定の大きさで作業手段に付与できる。
【0037】
請求項7記載の本発明は、作業面への接地状態で所定の作業を行なう作業手段を移動手段へ機械的に連結して前記移動手段と共に前記接地状態のまま前記作業手段を移動させる牽引装置であって、前記牽引手段の所定部位に取り付けられると共に、駆動手段の駆動力により前記作業面に対して昇降して前記作業手段を前記作業面に対して接離させ、且つ、前記昇降方向の所定位置で前記接地状態の前記作業手段に対して前記作業面側への押圧力を付与する昇降手段と、前記昇降手段と前記作業手段との間に介在して前記昇降手段からの前記押圧力を前記作業手段に伝達すると共に、少なくとも前記作業手段が前記接地状態では前記押圧力の変化を吸収して略一定の大きさに保つ緩衝手段と、を備えることを特徴としている。
【0038】
上記構成の牽引装置では、これを構成する緩衝手段並びに昇降手段を介して作業手段が移動手段に連結され、作業手段が作業面へ接地した状態で移動手段が移動することで作業手段が移動手段と共に作業面上を移動しつつ作業手段による所定の作業が行なわれる。
【0039】
また、本牽引装置では、駆動手段からの駆動力を受けた昇降手段は昇降し、これにより、作業手段が昇降して作業面に対して接離する。したがって、作業手段を使用しない場合には、作業手段を上昇させて作業面から離すことにより、実質的に作業手段の牽引状態が解除されることになる。このため、作業手段を牽引している場合に比べて移動手段の移動性能を向上させることが可能となる。
【0040】
一方、作業手段が作業面から離間した上昇状態で駆動手段からの駆動力が昇降手段に付与され、この駆動力によって昇降手段が下降すると作業手段が共に下降して接地し、更に、昇降方向の所定位置まで昇降手段が下降することで昇降手段は緩衝手段を介して押圧力を作業手段に付与し、この押圧力によって作業手段は作業面へ圧接される。このため、作業面上の凹凸等で作業手段が作業面から離間する方向へ移動しようとしても、昇降手段からの押圧力で押さえ込まれるため、基本的に作業手段と作業面との間の距離が常時一定に保たれる。
【0041】
また、作業面上の凹凸等に起因して作業手段が昇降手段を押圧し、その押圧反力が昇降手段からの押圧力に重なることで、結果的に、昇降手段から作業手段に付与される押圧力(すなわち、通常の押圧力と押圧反力の和)が大きくなると、昇降手段と作業手段との間に介在する緩衝手段によってそれ以前の通常の押圧力との差分が吸収される。
【0042】
一方、これとは反対に、作業面上の凹凸等によって作業手段が昇降手段から離間する方向に移動しようとし、これにより、作業手段に対する昇降手段からの押圧力が減少しそうになると、通常の押圧力との差分が緩衝手段により補われる。このように、本牽引装置では、作業手段に対して昇降手段が押圧力を付与するのみならず、この押圧力が増減した際には緩衝手段によって増減の差分が吸収される。これにより、常に略一定の力で作業手段が作業面上の作業面に圧接されるため、移動手段や作業手段の移動性能等に支障をきたすことはなく、作業面上における作業を円滑で且つ確実に行なうことができる。
【0043】
なお、本発明で言う「作業手段」とは、作業面上における諸作業を行なうための装置等を言い、その一例としては、作業面を道路とした場合の路中(地中)の空洞検査を行なうためのレーダ装置(特に、レーダ波発生源及び反射波の受信装置)や、清掃用のブラシや噴水装置等がある。
【0044】
また、本発明における昇降手段を上述した請求項2記載の発明が有するアームを含めて構成してもよいし、更には、本発明における緩衝手段を請求項3記載の発明が有する空気ばね本体、供給手段、及び調整弁を含めて構成してもよい。さらに、本発明に上述した請求項4記載の発明のように牽引手段の幅方向に沿った方向の作業手段の略中央を境として、その両側にそれぞれ独立して作動する緩衝手段を設けてもよい。また、本発明に上述した請求項5及び請求項6記載の各発明が有する支持手段や制限手段を設けてもよい。なお、このように請求項2乃至請求項6記載の各発明が有する構成を本発明に適用する場合は、請求項2乃至請求項6記載の各発明で言う牽引車が本発明では移動手段に置き換えられ、路面や路上は作業面や作業面上に置き換えられることを補足しておく。
【0045】
請求項8記載の本発明は、路面へ接地された作業手段を牽引車で牽引して前記作業手段を前記接地状態で移動させつつ所定の作業を行なう路上作業方法であって、駆動力によって前記作業手段を前記路面に対して昇降可能に前記牽引車へ連結すると共に、前記作業手段が接地した状態で下降方向への前記駆動力に基づく所定の大きさの押圧力で前記作業手段を前記路面へ圧接し、且つ、前記押圧力の増減を吸収して前記押圧力を略一定の大きさに保ちつつ前記作業手段による所定の作業を行なう、ことを特徴としている。
【0046】
上記構成の路上作業方法によれば、接地状態の作業手段が牽引車に牽引されて牽引車と共に作業手段が移動しつつ所定の作業が作業手段により行なわれる。
【0047】
ここで、作業手段は駆動力によって路面に対して昇降可能とされており、しかも、接地状態の作業手段には駆動力に基づいた所定の大きさの押圧力が付与され、この押圧力によって作業手段が路面へ圧接される。これにより、路上の凹凸等で作業手段が路面から離間する方向へ移動しようとしても、押圧力によって作業手段が押さえ込まれるため、基本的に作業手段と路面との間の距離が常時一定に保たれる。
【0048】
しかも、路面の変動等に起因して押圧力が変動しても、押圧力の増減は吸収されて常に略一定の大きさに保たれる。これにより、路面が変動しようとも常に略一定の大きさの力で作業手段が路面へ圧接される。このため、路上における作業を円滑で且つ確実に行なうことができる。
【0049】
なお、本発明で言う「作業手段」とは、路上における諸作業を行なうための装置等を言い、その一例としては、路中(地中)の空洞検査を行なうためのレーダ装置(特に、レーダ波発生源及び反射波の受信装置)や、路上清掃用のブラシや噴水装置等がある。また、本発明で言う「路上」とは、所謂道路のみに限定されるものではなく、上述した牽引車が移動する部分言う。すなわち、牽引車が所謂自動車であれば「路上」とは所謂道路のことを指すが、牽引車を鉄道用車両等とした場合には、「路上」とは鉄道等の軌道やこれらの軌道が設置された設置面等を指すことになる(もちろん、鉄道用軌道が設置された路面上を自動車で作業手段を牽引する構成であっても同じである)。
【0050】
請求項9記載の本発明は、請求項8記載の路上作業方法において、前記駆動力により先端側が前記路面に対して接離する方向へ回動可能に基端部が前記牽引車へ連結されると共に前記先端側に前記作業手段が連結されたアームを有し、前記作業手段が接地し、且つ、前記アームの先端側が所定位置まで下降することで前記アームから前記作業手段に前記押圧力を付与することを特徴としている。
【0051】
上記構成の路上作業方法によれば、先端側に作業手段が連結されたアームは駆動力によって回動してアームの先端側が昇降する。さらに、作業手段が接地した状態でアームの先端側が所定位置まで下降することにより、単純に作業手段が接地した位置に対応するアームの先端側の位置から前記所定位置までの変位量に応じた押圧力が作業手段に付与され、この押圧力で作業手段が路面へ圧接される。
【0052】
しかも、作業手段がアームの先端側に連結されることでアームの先端側が上昇する方向へアームを回動させることにより作業手段を路面から離間させることもできる。
【0053】
請求項10記載の本発明は、請求項8又は請求項9記載の路上作業方法において、前記牽引車の車幅方向に沿った方向の前記作業手段の略中央を境として、その両側にそれぞれ独立して前記押圧力の増減を吸収することを特徴としている。
【0054】
上記構成の路上作業方法では、牽引車の車幅方向に沿った作業手段の中央を境として、その両側でそれぞれ独立して押圧力の増減が吸収される。これにより、例えば、作業手段の左右何れか一方の側にのみ路上に凹凸が存在したり、又は、移動中の牽引車が左右何れか一方の方向に進路を変更することで遠心力が作業手段に作用した場合等、作業手段の左側と右側とで押圧力に差異が生じた場合には、この差異に応じて作業手段の左右両側で押圧力の増減が吸収される。このため、作業手段全体に対して常に一定の大きさの押圧力が付与される。
【0055】
【発明の実施の形態】
図4には本発明の一実施の形態に係る路上作業用車両としての地中レーダ車10の側面図が示されている。また、図1には本地中レーダ車10の要部の構成が斜視図により示されている。なお、以下の説明において、特に説明等がない限り「車幅方向」、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」等の方向性を指す文言は移動手段としての牽引車12を基準とする。
【0056】
これらの図に示されるように、本地中レーダ車10は牽引車12と作業手段としての地中レーダ装置14とを備えている。図1乃至図4に示されるように、地中レーダ装置14はフレーム16を備えている。フレーム16は上下方向に貫通した平面視(図3図示状態)略矩形の枠状とされており、牽引車12の後輪18の後方に配置されている。
【0057】
このフレーム16の内側には、下方へ向けて(すなわち、路面へ向けて)レーダ波を放射するレーダ波発生装置20と、地中にて反射したレーダ波を受信する受信装置22とが配置されており、図示しない固定手段を介してフレーム16へ一体的に固定されている。これらのレーダ波発生装置20と受信装置22は図示しないケーブル等の接続手段を介して図4に示される牽引車12内に設置された装置本体(図示省略)へ電気的に接続されており、この装置本体により制御されていると共に反射波を解析して地中の様子(空洞の有無等)をモニタできるようになっている。
【0058】
また、フレーム16の前端部及び後端部にはそれぞれ左右で対をなすブラケット24が固定されている。これらのブラケット24の各々には車輪26が牽引車12の車幅方向を軸方向としてこの軸周りに回動自在に軸支されており、これらの車輪26は作業面としての路面28(図2及び図4参照)に接地した状態で路面28上を転動可能とされており、車輪26が路面28上を転動することによりフレーム16が移動する構成となっている。
【0059】
さらに、図1乃至図3に示されるように、フレーム16の上方には牽引装置30及び駆動手段としての油圧シリンダ32が配置されている。この油圧シリンダ32はシリンダ本体34を備えている。シリンダ本体34は牽引車12に固定された左右一対のブラケット36を介して車幅方向を軸方向としてこの軸周りに所定角度回動可能に軸支されている。また、シリンダ本体34は開口端が略前方側へ向いており、その内側に収容されたピストン38の先端側が開口端から外部へ突出している。
【0060】
なお、本実施の形態において油圧シリンダ32は所謂「複動式の油圧シリンダ」とされており、シリンダ本体34の一方の側から油圧をかけて他方の側から油圧を抜くことでピストン38がシリンダ本体34内に引き込まれ、シリンダ本体34の他方の側から油圧をかけて一方の側から油圧を抜くことでピストン38がシリンダ本体34から押し出される構成となっている。
【0061】
ピストン38の先端部には揺動片40の先端部が車幅方向を軸方向としてこの軸周りに所定角度回動可能に軸支されている。
【0062】
揺動片40の基端部には車幅方向を軸方向としたシャフト42が一体的に固定されており、見かけ上、揺動片40との結合部分を中心にして揺動片40の基端部から車幅方向外側へ延びている。このシャフト42の軸方向両端側はそれぞれ軸受部44(図1では一方のみを図示)に回動自在に軸支されている。軸受部44は牽引車12の車体に一体的に設けられた一対の梁部46に固定されており、シャフト42は軸受部44及び梁部46を介して牽引車12の車体へ支持されることになる。
【0063】
図3に示されるように、一方の軸受部44には、一対のリミットスイッチ48が設けられており、シャフト42が所定角度回転すると、これらのリミットスイッチ48の一方が上述した油圧シリンダ32用の制御手段を介して更なる加圧若しくは減圧を停止させ、シャフト42の回動を停止させるようになっている。
【0064】
シャフト42の軸方向両端部には昇降手段を構成するアーム50の基端部が固定されている。アーム50は基端部から中間部までが略後方側へ延出されていると共に中間部において先端側が略下方へ屈曲している。なお、このアーム50の延出方向及び屈曲方向に関してはアーム50が基端部周りに回動することで随時変化することを補足しておく。
【0065】
各アーム50の先端部にはそれぞれ軸受部52が取り付けられており、軸方向が車幅方向とされたシャフト54の基端部を軸支している。各シャフト54は先端側が車幅方向外方へ延びており、その先端側は取付片56に固定された軸受部58に軸支されている。取付片56は緩衝手段を構成する空気ばね本体60のマウント62上に固定されている。このマウント62の下方には基部64が配置されており、更に、マウント62と基部64との間には主気室を構成する筒状で且つ弾性変形可能なダイヤフラム66が設けられ、マウント62と基部64とによりダイヤフラム66の両開口端が閉止されている。
【0066】
簡略化した模式図である図6に示されるように、空気ばね本体60(ダイヤフラム66)の内部には、例えば窒素ガス等のガスが所定圧力となるように充填されている。この空気ばね本体60は供給手段を構成するサブタンク68へ接続されている。図3に示されるように、サブタンク68は上述した一対の梁部46を連結する如く設けられた一対の支持部70へ一体的に固定されており、これらの支持部70及び梁部46を介して牽引車12の車体に一体的に固定されている。サブタンク68は基本的に容積一定とされており、その内部には窒素ガス等の空気ばね本体60内のガスと同種のガスが圧縮された状態で充填されている。
【0067】
このサブタンク68と空気ばね本体60との間には調整弁としてのレベリングバルブ72が設けられている。このレベリングバルブ72には後述するアーム96の基端部が車幅方向を軸方向としてその軸周りに回動自在に軸支されており、通常は、空気ばね本体60と外部及びサブタンク68との間を閉塞しているが、アーム96が基端部周りの一方に回動することで空気ばね本体60と外部との間を開放して空気ばね本体60内のガスを外部へ放出し、アーム96が基端部周りの他方に回動することで空気ばね本体60とサブタンク68との間を開放してサブタンク68内のガスを空気ばね本体60内へ供給するようになっている。
【0068】
このレベリングバルブ72よりもサブタンク68側には電磁弁74が設けられている。この電磁弁74は図示しない制御装置へ電気的に接続されており、制御装置からの制御信号に基づいてレベリングバルブ72とサブタンク68との間を開閉する。なお、この電磁弁74は車輪26が接地された状態では基本的に開放されており、フレーム16がアーム50により持ち上げられた場合にのみレベリングバルブ72とサブタンク68との間を閉塞する。
【0069】
一方、サブタンク68は車体のエア・サスペンション用のタンク76へも接続されており、このタンク76のガスがサブタンク68へ供給されるようになっている。このタンク76とサブタンク68との間には電磁弁78が設けられている。この電磁弁78は電磁弁74とサブタンク68との間に設けられている圧力スイッチ108へ電気的に接続されている。電磁弁74とサブタンク68との間での気圧を検出しており、この間の気圧が所定値未満となった場合、すなわち、サブタンク68の内圧が所定値未満の場合に電磁弁78を開放させてタンク76からガスをサブタンク68へ供給させるようになっている。
【0070】
この電磁弁78とサブタンク68との間には圧力計を備えたレギュレータ110が設けられており、サブタンク68内の内圧が所定値以上になった場合に減圧するようになっている。
【0071】
このように、本実施の形態では、サブタンク68へのガスの供給源として車体のエア・サスペンション用のタンク76を用いているため、サブタンク68の容積は比較的小さくてよく、しかも、タンク76を車体用と共用できることでコストを安価にできる。
【0072】
一方、基部64は、前後に対向するフレーム16の壁部をその上端部にて連結する如くフレーム16に一体的に設けられた支持部80に一体的に連結されている。これにより、フレーム16が間接的にアーム50へ連結される構成となっている。
【0073】
また、図1乃至図3に示されるように、各アーム50の側方には制限手段としてのロッド82、84が設けられている。ロッド82はその長手方向一端部がアーム50の基端部近傍に一体的に設けられた支持部86へ車幅方向を軸方向として回動自在に軸支されており、軸方向他端部にはロッド84の軸方向一端部が車幅方向を軸方向として回動自在に軸支されている。ロッド84の軸方向他端部は上述した支持部80へ車幅方向を軸方向として回動自在に軸支されており、すなわち、アーム50とフレーム16とはこれらのロッド82、84によっても機械的に連結されている。
【0074】
さらに、図1乃至図3に示されるように、空気ばね本体60の前後方向側方には制限手段並びに支持手段を構成する一対のブラケット88が設けられている。ブラケット88はその基端部が支持部80へ車幅方向を軸方向としてその軸周りに回動自在に軸支されており、その先端部では車幅方向を軸方向としてその軸周りに回動自在にロッド90の先端部を軸支している。各ロッド90の基端部はマウント62上の取付片により車幅方向を軸方向としてその軸周りに回動自在に軸支されている。
【0075】
また、空気ばね本体60の側方には支持部80に固定されたブラケット92が設けられている。このブラケット92にはボルト等の締結手段によりロッド94の一端が固定されている。ロッド94は概ね上下方向に沿って長手とされており、その他端部にはアーム96の先端部が車幅方向を軸方向としてその軸周りに回動自在に軸支されている。アーム96の基端部は図6に示されるレベリングバルブ72へ機械的に接続されており、アーム96が基端部を中心に車幅方向を軸方向としてその軸周り一方(ロッド94の上昇に伴う回動方向)へ回動することにより、レベリングバルブ72を開放して空気ばね本体60内のガスを外部へ放出でき、軸周り他方へ回動することにより、レベリングバルブ72を開放して空気ばね本体60内とサブタンク68との間を連通できるようになっている。
【0076】
さらに、図3に示されるように、支持部80の側方には、一対の梁部98が前後に対向するフレーム16の壁部をその上端部にて連結する如くフレーム16に一体的に設けられている。これらの梁部98には、車幅方向に貫通した透孔100が形成された係止片102が一体に固定されている。これに対して、この係止片102の略上方には、牽引車12の車体へ直接或いは間接的に固定されたシリンダ104が設けられている。
【0077】
図5に示されるように、このシリンダ104は油圧等により支持ピストン106を車幅方向に沿ってスライドさせる構成となっており、フレーム16と共に係止片102が所定量上昇して支持ピストン106のスライド軌跡上に透孔100が位置した状態で、支持ピストン106がシリンダ104から突出することにより、支持ピストン106が透孔100を貫通し、この貫通状態では係止片102の昇降を制限し、間接的にフレーム16の昇降を制限する(すなわち、シリンダ104、支持ピストン106、及び係止片102でフレーム16の昇降をロックするロック機構を構成している)。
【0078】
このシリンダ104は図示しない制御手段により内圧が制御されている。しかも、このシリンダ104の内圧を制御する制御手段は上述した油圧シリンダ32の油圧も制御しており、油圧シリンダ32とシリンダ104とが適宜に連動するようになっている。
【0079】
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明しつつ、本実施の形態における検査方法(路上作業方法)について説明する。
【0080】
本地中レーダ車10では、空洞検査を行なわない場合等においては、図2の二点鎖線に示される位置までアーム50を上昇させておく。この状態では、係止片102の透孔100に支持ピストン106が貫通しており、支持ピストン106によってフレーム16の車輪26が路面から離間した所定位置で保持されるため、仮に、油圧シリンダ32のシリンダ本体34内の油圧が不用意に変化したとしてもフレーム16が下降することはない。
【0081】
この状態で、図示しない操作パネル等を操作して油圧シリンダ32及びシリンダ104を制御する制御手段を作動させると、シリンダ本体34の一方の側からシリンダ本体34内に油圧がかけられると共に、シリンダ104の内圧が下げられて支持ピストン106がシリンダ104内に引き込まれ、透孔100に対する支持ピストン106の貫通状態(すなわち、フレーム16の保持状態)が解除される。
【0082】
シリンダ本体34の一方の側からシリンダ本体34内に油圧がかけられることで、ピストン38がシリンダ本体34内に引き込まれると、ピストン38によって揺動片40が後方へ引っ張られ、これにより、揺動片40が基端部周りに回動する。揺動片40が回動することでシャフト42が揺動片40と同方向へ一体に回動し、更に、アーム50が基端部周りに揺動片40と同方向へ一体に回動する。
【0083】
アーム50は回動することでその先端側を下降させ、路面28へ接近させるようにフレーム16を下降させる。所定量アーム50が回動するとフレーム16の車輪26が路面28へ接するが、本実施の形態では単に車輪26が路面28へ接したとしてもリミットスイッチ48が作動しない。したがって、この状態でリミットスイッチ48が作動して油圧シリンダ32からの油圧の低下を停止させるまでアーム50は更に回動し続けて先端側を下降させる。これにより、アーム50はシャフト54を介してマウント62を下方へ押圧する。
【0084】
アーム50からの押圧力を受けたマウント62はダイヤフラム66を弾性変形させて空気ばね本体60内のガスを圧縮する。圧縮されたガスはその反発力で基部64を下方へ押圧する。基部64が受けた押圧力は支持部80を介してフレーム16を下方へ押圧するように作用し、これにより、車輪26を路面28へ圧接させる。
【0085】
本地中レーダ車10では、アーム50からの押圧力に基づいた力によって車輪26が路面28に圧接された状態で牽引車12が走行する。牽引車12が走行することで、牽引装置30を介して牽引車12に連結されたフレーム16が牽引車12に追従して移動し、この状態で地中レーダ装置14を作動させることで、路面28上(路上)を移動しながら地中の空洞の有無等が検査される。
【0086】
ここで、本地中レーダ車10では、上述したように、アーム50からの押圧力に基づいた力によってフレーム16の車輪26が路面28に圧接されているため、基本的に、フレーム16と路面28との間隔が変化することはない。すなわち、検査中においては基本的にフレーム16に固定されたレーダ波発生装置20及び受信装置22と路面28との間隔を常時一定に保つことができるため、信頼性の高い検査を行なうことができる。
【0087】
また、本地中レーダ車10では、上述したように、アーム50とフレーム16との間に空気ばね本体60が介在しており、アーム50からの押圧力に基づく空気ばね本体60のばね力により押圧している。ここで、例えば、概念図である図7に示されるように車輪26が路面28上の凸部112に乗り上げた場合には、凸部112の高さDだけフレーム16が基部64を押し上げるため、そのままでは更に空気ばね本体60の容積が減少して内部のガス圧が上昇し、その結果、車輪26を路面28へ圧接するための押圧力が上昇してしまう。
【0088】
しかしながら、本地中レーダ車10では、凸部112の高さDだけ支持部80が上昇し、これに伴いロッド94が上昇すると、ロッド94がアーム96を回動させてレベリングバルブ72を開放させて空気ばね本体60内と外部とを連通させる。これにより、空気ばね本体60内のガスが放出されてガス圧が低下し、その結果、路面28に対する車輪26の圧接力が必要以上に上昇することを防止でき、牽引車12やフレーム16の走行性能低下を防止若しくは抑制できる。
【0089】
これに対して、例えば、図8に示されるように車輪26が路面28上の凹部114に落ち込んだ場合には、凹部114の深さDだけフレーム16が基部64を下方へ引っ張るため、そのままでは更に空気ばね本体60の容積が増加して内部のガス圧が低下し、その結果、車輪26を路面28へ圧接するための押圧力が低下してしまう。
【0090】
しかしながら、本地中レーダ車10では、凸部112の深さDだけ支持部80が下降し、これに伴いロッド94が下降すると、ロッド94がアーム96を回動させてレベリングバルブ72を開放させ、空気ばね本体60と電磁弁74との間を開放させる。ここで、電磁弁74は基本的に開放されているため、サブタンク68と空気ばね本体60との間が連通してサブタンク68内のガスが空気ばね本体60内に供給され、これによって、空気ばね本体60内へ供給されて全体的にガス圧が上昇し、その結果、路面28に対する車輪26の圧接力が必要以上に低下することを防止でき、牽引車12やフレーム16の走行性能低下や車輪26の跳ね等を防止若しくは抑制できる。
【0091】
なお、上記のようなロッド94の下降は、アーム50によってフレーム16が持ち上げられて車輪26の接地状態が解除された場合にもおこりうるが、この場合には、図示しない制御装置が電磁弁74を閉塞してサブタンク68からのガスの供給を遮断する。これにより、基本的には車輪26が接地した状態での路面28の凹凸に追従した減圧並びにガスの供給しか行なうことはない。
【0092】
しかも、本地中レーダ車10では、フレーム16の左右にそれぞれに空気ばね本体60が設けられているため、左右一方の車輪26が路面28上の凸部112に乗り上げたり、凹部114へ落ち込んだ場合には、基本的に凸部112に乗り上げたり凹部114へ落ち込んだりした方の車輪26に対応した空気ばね本体60で上述した内圧調整が行なわれる。このため、全ての車輪26に対して均一な押圧力を付与でき、その意味でも牽引車12やフレーム16の走行性能低下を防止若しくは抑制できる。
【0093】
また、牽引車12が左右にカーブしてフレーム16がこれに追従した場合に所謂ロール現象が生じたとしても、上述した作用と同様の作用を奏するため、常に一定の力で車輪26を路面28へ圧接させることができる。
【0094】
一方、検査が終了して油圧シリンダ32を作動させてアーム50を上昇させ、フレーム16を持ち上げると、車輪26が路面28から離れる。このとき、フレーム16の自重が支持部80並びに基部64をマウント62に対して下方へ変位させる。
【0095】
しかしながら、支持部70並びに基部64がマウント62に対して下方へ変位すると、ブラケット88並びにロッド90が回動して互いになす角度を変更する。この状態で、ブラケット88に対するロッド90の回動が制限させる位置までロッド90が相対回動したり、或いは、ブラケット88に対するロッド90の回動角度(すなわち、ブラケット88とロッド90とがなす角度)が180度になると、これらのブラケット88及びロッド90によってマウント62に対する支持部70並びに基部64の下方への変位が制限される。すなわち、基部64とマウント62とは一定量以上離間することはなく、このため、不要にガスを空気ばね本体60に供給することを防止できると共に、空気ばね本体60の寿命を延ばすことができる。
【0096】
また、本地中レーダ車10では、車輪26が路面28へ接地した状態でフレーム16がアーム50に対して相対的に左右若しくは前後に変位しようとすると、上述したロッド82、84やブラケット88及びロッド90によってこのような変位が制限される。すなわち、本地中レーダ車10ではアーム50に対するフレーム16の相対変位が基本的に上下方向のみに限定されるため、空気ばね本体60を介したアーム50からの押圧力を効果的に路面28に対する車輪26の圧接力に供することができる。
【0097】
なお、本実施の形態では、昇降手段に油圧シリンダ32の油圧で回動するアーム50を適用した構成であったが、例えば、油圧シリンダ32のピストン38の移動方向を上下方向として、油圧シリンダ32のシリンダ本体34及びピストン38の何れか一方を牽引車12の車体に固定すると共に他方をマウント62に固定し、単純にピストン38の移動でフレーム16を上下させる構成としてもよい。
【0098】
また、上記の実施の形態は、本発明を地中レーダ車10に適用した構成であったが、本発明は地中レーダ車10に限定されるものではなく、基本的に路面28等の作業面上で何らかの作業を行なう装置(すなわち、作業手段)を牽引車12等の移動手段で牽引する構成であれば適用できることは言うまでもない。その一例としては、例えば、回動するブラシを備える車両を牽引して路上を清掃する路上清掃車や、貯水タンク並びに噴水機を搭載した車両を牽引して路面に噴水する路上噴水車等に本発明を適用してもよい。
【0099】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明では作業手段と路面等の作業面との間を一定に保ちつつ作業手段を牽引移動できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る路上作業用車両の要部の斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る路上作業用車両の要部の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る路上作業用車両の要部の平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る路上作業用車両の全体側面図である。
【図5】作業手段を上昇状態でロックするロック機構を示す拡大正面図である。
【図6】緩衝手段の構成の概略を示す図である。
【図7】車輪が凸部に乗り上げた状態を概念的に示す図である。
【図8】車輪が凹部に落ち込んだ状態を概念的に示す図である。
【符号の説明】
10 地中レーダ車(路上作業用車両)
12 牽引車
14 地中レーダ装置(作業手段)
28 路面(作業面)
30 牽引装置
32 油圧シリンダ(駆動手段)
50 アーム(昇降手段)
60 空気ばね本体(緩衝手段)
68 サブタンク(緩衝手段、供給手段)
72 レベリングバルブ(調整弁、緩衝手段)
82 ロッド(制限手段)
84 ロッド(制限手段)
88 ブラケット(支持手段、制限手段)
90 ロッド(支持手段、制限手段)
Claims (10)
- 路面への接地状態で所定の作業を行なう作業手段と、
前記作業手段を牽引して移動可能な牽引車と、
前記牽引車に取り付けられると共に、駆動手段の駆動力により前記路面に対して昇降して前記作業手段を前記路面に対して接離させ、且つ、前記昇降方向の所定位置で前記接地状態の前記作業手段に対して前記路面側への押圧力を付与する昇降手段と、
前記昇降手段と前記作業手段との間に介在して前記昇降手段からの前記押圧力を前記作業手段に伝達すると共に、少なくとも前記作業手段が前記接地状態では前記押圧力の変化を吸収して略一定の大きさに保つ緩衝手段と、
を備える路上作業用車両。 - 前記駆動手段の駆動力により先端側が前記路上の路面に対して接離する方向へ回動可能に基端部が前記牽引車の車体へ機械的に連結されたアームを含めて前記昇降手段を構成したことを特徴とする請求項1記載の路上作業用車両。
- 前記昇降手段と前記作業手段との間に設けられると共に内部にガスが充填された容積可変の主気室を有する空気ばね本体と、
前記主気室へ連結された副気室を有すると共に前記気室内のガス圧が所定値未満の場合に前記主気室へ前記ガスを供給する供給手段と、
前記主気室に接続され前記主気室内のガス圧が所定値を越えた場合に前記主気室内のガスを外部に放出する調整弁と、
を含めて前記緩衝手段を構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の路上作業用車両。 - 前記牽引車の車幅方向に沿った方向の前記作業手段の略中央を境として、その両側にそれぞれ独立して作動する前記緩衝手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の路上作業用車両。
- 前記昇降手段と前記作業手段との間に介在し、緩衝手段が特定の大きさ押圧力の減少を補った状態で前記作業手段を機械的に支持する支持手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の路上作業用車両。
- 前記昇降手段と前記作業手段との間に介在し、少なくとも前記作業手段の前記接地状態で、前記牽引車の上下方向に対して傾斜した方向に沿った前記昇降手段に対する前記作業手段の変位を制限する制限手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の路上作業用車両。
- 作業面への接地状態で所定の作業を行なう作業手段を移動手段へ機械的に連結して前記移動手段と共に前記接地状態のまま前記作業手段を移動させる牽引装置であって、
前記牽引手段の所定部位に取り付けられると共に、駆動手段の駆動力により前記作業面に対して昇降して前記作業手段を前記作業面に対して接離させ、且つ、前記昇降方向の所定位置で前記接地状態の前記作業手段に対して前記作業面側への押圧力を付与する昇降手段と、
前記昇降手段と前記作業手段との間に介在して前記昇降手段からの前記押圧力を前記作業手段に伝達すると共に、少なくとも前記作業手段が前記接地状態では前記押圧力の変化を吸収して略一定の大きさに保つ緩衝手段と、
を備えることを特徴とする牽引装置。 - 路面へ接地された作業手段を牽引車で牽引して前記作業手段を前記接地状態で移動させつつ所定の作業を行なう路上作業方法であって、
駆動力によって前記作業手段を前記路面に対して昇降可能に前記牽引車へ連結すると共に、前記作業手段が接地した状態で下降方向への前記駆動力に基づく所定の大きさの押圧力で前記作業手段を前記路面へ圧接し、且つ、前記押圧力の増減を吸収して前記押圧力を略一定の大きさに保ちつつ前記作業手段による所定の作業を行なう、
ことを特徴とする路上作業方法。 - 前記駆動力により先端側が前記路面に対して接離する方向へ回動可能に基端部が前記牽引車へ連結されると共に前記先端側に前記作業手段が連結されたアームを有し、前記作業手段が接地し、且つ、前記アームの先端側が所定位置まで下降することで前記アームから前記作業手段に前記押圧力を付与することを特徴とする請求項8記載の路上作業方法。
- 前記牽引車の車幅方向に沿った方向の前記作業手段の略中央を境として、その両側にそれぞれ独立して前記押圧力の増減を吸収することを特徴とする請求項8又は請求項9記載の路上作業方法。
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