以下、本発明の実施の形態に係る携帯局装置、その位置管理システム、およびその位置修正情報の提供方法を、図面に基づいて説明する。なお、携帯局装置の位置修正情報の提供方法は、携帯局装置の位置管理システムの動作の一部として説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯局装置6を有する位置管理システム1を示す構成図である。位置管理システム1は、基地局としての基地局装置2と、移動局としての携帯局装置6と、他の移動局としての車載局装置10と、を有する。なお、位置管理システム1は、複数の基地局装置2、複数の携帯局装置6あるいは複数の車載局装置10を有するものであってもよい。
基地局装置2は、基地局無線機3と、この基地局無線機3にケーブル4により接続される、位置演算手段および蓄積手段としてのパーソナルコンピュータ(以下、基地局PCと記載する。)5とを有する。携帯局装置6は、携帯用無線機7と、この携帯用無線機7にケーブル43により接続される、別体ユニットとしての外付センサユニット8と、この携帯用無線機7にケーブル53により接続される外付SPM(スピーカマイク)ユニット9とを有する。外付センサユニット8、携帯用無線機7などは、図示外のベルトクリップなどにより衣服に装着することができる。車載局装置10は、自動車などの車両に設置されるものであり、車載局無線機11と、この車載局無線機11にケーブル12により接続されるGPS(Global Positioning System)受信機13と、さらにGPS受信機13にケーブル14により接続されるジャイロセンサ15とを有する。そして、これら基地局無線機3、携帯用無線機7および車載局無線機11とは、共通する所定の周波数帯の電波を用いた無線通信により、音声信号やデータ(たとえば携帯用無線機7や車載局無線機11の位置に関するデータ)などを送受信することができる。
図2は、図1中の携帯局装置6の詳細な構成を示すブロック図である。携帯局装置6の携帯用無線機7は、たとえば図示外のベルトクリップが固定されるハウジング21を有する。ハウジング21は、ABS樹脂などのプラスチック材料により形成される。
携帯用無線機7のハウジング21内には、バッテリ22、電源スイッチ23、電源回路24、マイクロコンピュータIC(Integrated Circuit)25、携帯局データ変換回路26、携帯局送受信回路27、携帯局音声変換回路28、内蔵スピーカ29、内蔵マイクロホン30、本体コネクタ31などが配設される。電源回路24は、電源スイッチ23がオン状態にあるとき、バッテリ22に蓄積された電力を、マイクロコンピュータIC25などの各部へ供給する。
そして、マイクロコンピュータIC25、携帯局データ変換回路26、携帯局送受信回路27、携帯局音声変換回路28などは、放熱のために金属シャーシ32に取り付けられた状態でハウジング21内に配設される。金属シャーシ32には、たとえば亜鉛を用いたダイカスト成形により形成したものなどがある。なお、携帯用無線機7のハウジング21の内面などには、電磁波の遮蔽などのために、金属皮膜を形成するようにしてもよい。
内蔵スピーカ29は、たとえばダイナミック型スピーカなどによる非防磁型スピーカである。ダイナミック型スピーカでは、音声信号に基づいて振動板を駆動するために、永久磁石などによる図示外のスピーカマグネットを有する。また、内蔵マイクロホン30は、たとえばコイル型マイクロホンである。コイル型マイクロホンは、音声などの空気振動に起因する振動板の動きに応じて変化する音声信号を生成するために、永久磁石などによる図示外のスピーカマグネットを有する。
本体コネクタ31には、外付センサユニット8のセンサコネクタ41と、外付SPMユニット9のSPMコネクタ51とが接続される。
外付センサユニット8は、図示外のベルトクリップが固定される略立方体形状のハウジング42を有する。ハウジング42は、ABS樹脂などのプラスチック材料により形成される。このハウジング42内には、加速度センサとしての3軸加速度センサ44と、地磁気センサとしての3軸地磁気センサ45と、気圧センサ46と、が配設される。3軸加速度センサ44は、たとえば外付センサユニット8が図示外のベルトクリップによりベルトなどに装着された場合での水平面をX−Y面とするX,YおよびZの3軸の方向の加速度を検出し、加速度の大きさに応じたレベルの3つの加速度信号を生成する。3軸地磁気センサ45は、たとえば上述した3つの各軸方向が、磁北の方向に対してなす角度に応じたレベルの3つの地磁気信号を生成する。気圧センサ46は、外付センサユニット8の周囲の気圧を検出し、気圧の高さに応じたレベルの気圧信号を生成する。3軸加速度センサ44、3軸地磁気センサ45および気圧センサ46は、ケーブル43、センサコネクタ41および本体コネクタ31を介して、携帯用無線機7のマイクロコンピュータIC25に接続される。
外付SPMユニット9は、手の中に収まり易い小型のハウジング52を有する。このハウジング52内には、GPSアンテナ54と、位置データ生成手段としてのGPS電波受信回路55と、外部マイクロホン56と、外部スピーカ57と、が配設される。GPS電波受信回路55は、GPSアンテナ54により受信された電波から、位置データとしてのGPSデータを生成する。GPS電波受信回路55は、ケーブル53、SPMコネクタ51および本体コネクタ31を介して、携帯用無線機7のマイクロコンピュータIC25に接続される。また、外部マイクロホン56および外部スピーカ57は、ケーブル53、SPMコネクタ51および本体コネクタ31を介して、携帯用無線機7の携帯局音声変換回路28に接続される。
携帯用無線機7の携帯局送受信回路27は、所定の搬送波を音声信号やデータによって変調して得られた電波を、基地局無線機3などとの間で送受信する。携帯局送受信回路27は、アンテナ33により基地局無線機3などから電波を受信すると、受信信号を生成する。携帯局送受信回路27は、音声信号やデータが供給されると、これらを所定の搬送波で変調し、アンテナ33へ供給する。アンテナ33は、所定の搬送波で変調された音声信号やデータによる電波を放射する。
携帯局音声変換回路28には、携帯局送受信回路27とともに、内蔵スピーカ29、内蔵マイクロホン30、本体コネクタ31(外部マイクロホン56および外部スピーカ57)などが接続される。携帯局音声変換回路28は、内蔵マイクロホン30あるいは外部マイクロホン56の振動板の振動に応じて変化する音声信号を生成し、携帯局送受信回路27へ供給する。携帯局音声変換回路28は、携帯局送受信回路27から受信信号が供給されると、その受信信号から音声信号の成分を抽出し、その音声信号により内蔵スピーカ29あるいは外部スピーカ57の振動板を駆動する。
携帯局データ変換回路26には、携帯局送受信回路27およびマイクロコンピュータIC25が接続される。携帯局データ変換回路26は、マイクロコンピュータIC25から送信データが供給されると、この送信データに応じた波形のデータ信号を生成し、携帯局送受信回路27へ供給する。携帯局データ変換回路26は、携帯局送受信回路27から受信信号が供給されると、その受信信号からデータ信号の成分を抽出し、抽出したデータ信号に対応する受信データをマイクロコンピュータIC25へ供給する。
マイクロコンピュータIC25に実現される、差分データ生成手段としての位置差分データ演算部36は、外付センサユニット8が生成した加速度信号のデータ、地磁気信号のデータおよび気圧信号のデータを用いて、位置差分データ38を生成する。この実施の形態1の位置差分データ38は、外付センサユニット8が位置差分データ38の生成を開始してからの、累積的な位置の変化量を示すデータである。また、この差分データとしての位置差分データ38は、マイクロコンピュータIC25の図示外のメモリに記憶される。
マイクロコンピュータIC25に実現される、送信手段としての送信データ取得部37は、GPSデータや位置差分データ38を取得し、これらを位置に関する送信データとして、携帯局データ変換回路26へ供給する。
次に、この実施の形態1の位置管理システム1の動作を説明する。以下の説明では、位置管理システム1の基地局装置2が携帯局装置6の位置を表示するための動作を例として説明する。図3は、基地局装置2が携帯局装置6の位置を表示するための一連の動作の流れを示すタイミングチャートである。図3中には、左側から順番に、図1中の基地局PC5、基地局無線機3、携帯用無線機7、外付センサユニット8が表示されている。図3において、時間は、上から下へ向かって経過する。
図4は、図2中の位置差分データ演算部36の処理の流れを示すフローチャートである。位置差分データ演算部36は、まず、外付センサユニット8から、加速度信号のデータ、地磁気信号のデータ、気圧信号のデータなどの検出データを取得する(ステップST11)。位置差分データ演算部36は、次に、各検出データについて、前回取得したものとの差分を演算する(ステップST12)。なお、電源投入後の最初の処理では、前回取得した検出データは無い。この場合、位置差分データ演算部36は、後述する一連の処理をせずに、図4の最初(1回目)のループ処理を終了するようにすればよい。
前回取得した検出データと今回取得した検出データの差分を演算した後、位置差分データ演算部36は、これらのデータを用いて、前回演算したときの位置からの位置の変化量を示す位置差分データ38を演算する(ステップST13)。位置差分データ演算部36は、水平面内の位置の変化量と、高さ方向での位置の変化量とを示す位置差分データ38を演算する。
具体的にはたとえば、位置差分データ演算部36は、気圧が高度の上昇に伴って低下する事実を利用して、気圧データの差分から、その気圧差に相当する高さ方向の移動距離を演算する。また、位置差分データ演算部36は、3軸方向の地磁気データにより、南北の方向を判断する。
また、たとえば、位置差分データ演算部36は、3つの軸方向のそれぞれの方向における加速度データから、水平方向の移動距離を演算する。位置差分データ演算部36は、まず、3つの加速度データからその3つの軸方向の移動距離を演算し、判断済みの南北の方向および演算済みの高さの変化量によりその3つの軸方向を特定する。そして、位置差分データ演算部36は、その3つの軸方向の移動距離および向きから、水平面内における南北方向での移動距離および東西方向での移動距離を演算する。なお、位置差分データ演算部36は、その3つの軸の中の2つを予め水平面内での軸方向であると決めておき、その2つの軸方向の移動距離および向きから、水平面内における南北方向での移動距離および東西方向での移動距離を演算するようにしてもよい。その後、位置差分データ演算部36は、気圧データに基づいて演算した高さ方向の移動距離と、水平面内での南北方向での移動距離と、東西方向での移動距離とを、位置差分データ38としてマイクロコンピュータIC25のメモリに保存する(ステップST14)。
以上の位置差分データ38が終わると、位置差分データ演算部36の処理はステップ11に戻る。その後、位置差分データ演算部36は、周期的に、位置差分データ38を演算し、マイクロコンピュータIC25のメモリに記憶されている位置差分データ38を更新する。位置差分データ演算部36は、新たに演算した位置差分データ38を、記憶されている位置差分データ38に加算し、この加算した位置差分データ38をマイクロコンピュータIC25のメモリに記憶させる。
このように周期的に更新される位置差分データ38は、マイクロコンピュータIC25のメモリに周期的に記憶される。また、この位置差分データ演算部36による周期的な検出データの取得処理により、図3に示すように、外付センサユニット8から携帯用無線機7へ検出データが周期的に出力される。
その一方で、基地局無線機3は、基地局PC5からの要求などに基づいて、ポーリングにより送信要求を周期的に無線送信する(ステップST1)。この送信要求は、携帯用無線機7の携帯局送受信回路27により受信される。携帯局送受信回路27は、アンテナ33により送信要求の電波を受信すると、受信信号を生成し、携帯局データ変換回路26および携帯局音声変換回路28へ供給する。携帯局データ変換回路26は、受信信号からデータ信号の成分を抽出し、抽出したデータ信号に対応する受信データをマイクロコンピュータIC25へ供給する。
なお、携帯局音声変換回路28は、受信信号に音声信号の成分が含まれている場合、その音声信号の成分を抽出し、その音声信号により内蔵スピーカ29あるいは外部スピーカ57の振動板を駆動する。これにより、内蔵スピーカ29あるいは外部スピーカ57から、基地局無線機3により音声信号へ変換された音声が出力される。
マイクロコンピュータIC25において、携帯局データ変換回路26が生成した受信データは、送信データ取得部37へ供給される。送信データ取得部37は、受信データを解釈し、その受信データが送信要求であること理解する(ステップST2)。
図5は、図2中の送信データ取得部37の処理の流れを示すフローチャートである。
送信データ取得部37は、送信要求を受信したと判断する(ステップST21でYesと判断する)と、まず、GPS電波受信回路55からGPSデータを取得できるか否かを判断する(ステップST22)。
GPS電波受信回路55は、GPSアンテナ54によりGPS衛星からの電波を受信している最中にはGPSデータを生成し、電波が受信できないときにはGPSデータを生成しない。GPS電波受信回路55は、たとえばトンネル内や地下やビル内などのようにGPS衛星からの電波が遮蔽されてしまう環境下では、GPSデータを生成しない。
そして、GPS電波受信回路55からGPSデータを取得できる場合、送信データ取得部37は、そのGPSデータを取得し、送信する最新のGPSデータとして携帯局データ変換回路26へ供給する(ステップST23)。携帯局データ変換回路26は、最新のGPSデータに応じた波形のデータ信号を生成し、携帯局送受信回路27は、そのデータ信号に基づいて所定の搬送波を変調して無線送信する。図3中のステップST3として示すように、この電波は、基地局無線機3により受信される。
また、GPS電波受信回路55からGPSデータを取得できない場合、送信データ取得部37は、送信データとして、最新GPSデータ無しを示すデータを、携帯局データ変換回路26へ供給する(ステップST24)。携帯局データ変換回路26は、この最新GPSデータ無しを示すデータに応じた波形のデータ信号を生成し、携帯局送受信回路27は、そのデータ信号に基づいて所定の搬送波を変調して無線送信する。図3中のステップST3として示すように、この電波は、基地局無線機3により受信される。
最新GPSデータあるいはそのデータが無いことを示すデータを無線送信させた後、送信データ取得部37は、次に、マイクロコンピュータIC25に記憶される位置差分データ38を取得し、前回送信した位置差分データ38との位置差分量が所定距離以上であるか否かを判断する(ステップST25)。たとえば、送信データ取得部37は、前回からの水平面内の移動距離と高さ方向の移動距離との総和が所定の距離(たとえば10mなど)以上である場合、前回との位置差分量が所定距離以上であると判断する。
そして、前回との位置差分量が所定距離以上である場合、送信データ取得部37は、送信データとして、今回の位置差分データ38を携帯局データ変換回路26へ供給する(ステップST26)。携帯局データ変換回路26は、位置差分データ38に応じた波形のデータ信号を生成し、携帯局送受信回路27は、そのデータ信号に基づいて所定の搬送波を変調して無線送信する。図3中のステップST4として示すように、この電波は、基地局無線機3により受信される。
また、前回との位置差分量が所定距離以上ではない場合、送信データ取得部37は、送信データとして、位置差分データ38無しを示すデータを、携帯局データ変換回路26へ供給する(ステップST27)。携帯局データ変換回路26は、この位置差分データ38無しを示すデータに応じた波形のデータ信号を生成し、携帯局送受信回路27は、そのデータ信号に基づいて所定の搬送波を変調して無線送信する。図3中のステップST4として示すように、この電波は、基地局無線機3により受信される。
以上の処理により、携帯用無線機7の送信データ取得部37は、図3に示すように、ポーリングによる送信要求を受信すると、最新GPSデータあるいはそのデータが無いことを示すデータと、位置差分データ38あるいはそのデータが無いことを示すデータとを、基地局無線機3へ送信する(ステップST3およびST4)。基地局無線機3は、受信したこれらのデータの対応関係が明確となるように一緒に(まとめて)、位置に関するデータとして基地局PC5へ供給する(ステップST5)。
位置に関するデータが供給された基地局PC5は、携帯局装置6の位置をモニタ61(図1を参照)に表示するための処理を開始する。たとえば、基地局PC5は、まず、基地局装置2が受信した位置に関するデータを図示外のHDD(ハードディスクドライブ)に蓄積保存する(ステップST6)。その後、基地局PC5は、携帯局装置6の位置情報を生成する(ステップST7)。
図6は、図1中の基地局PC5が、受信条件に応じて選択する携帯局装置6の位置の算出方法を示す説明図である。基地局PC5は、有意な位置データとしての最新GPSデータを受信した場合、図6の上段に示すように、携帯局装置6の位置として、その最新GPSデータに基づく位置を演算する。この携帯局装置6の位置は、たとえば緯度、経度および標高(高さ)により表される。また、有意なGPSデータを受信していない場合、つまり最新GPSデータ無しを受信している場合、基地局PC5は、図6の下段に示すように、最近に受信したGPSデータによる位置を演算し、さらにその位置をそれ以降の位置の変化量により修正した位置を、携帯局装置6の位置として演算する。
なお、この位置の修正処理において、基地局PC5は、具体的にはたとえば、GPSデータによる緯度に南北方向での移動距離をその向きを考慮して加算し、GPSデータによる経度に東西方向での移動距離をその向きを考慮して加算し、さらに、GPSデータによる標高に高さ方向の移動距離を加算すればよい。
図7は、図1中の基地局PC5による位置の演算処理の一例を示す説明図である。この例では、基地局PC5は、有意なGPSデータおよび有意な位置差分データ38を受信した後に2回続けて有意な位置差分データ38を受信している。GPSデータ無しを示すデータは、有意なGPSデータが無いこと示している。図7において、時間は、上から下向かって経過する。図7のケースは、図6では下段の場合に相当する。
図7の例の場合、基地局PC5は、時刻T1において受信した有意なGPSデータおよび有意な位置差分データ38と、時刻T3において受信した最新の有意な位置差分データ38とを用いて、携帯局装置6の位置を演算する。具体的にはたとえば、基地局PC5は、時刻T1において受信した有意なGPSデータに基づいて位置を演算する。次に、基地局PC5は、時刻T3での最新の有意な位置差分データ38による累積的な位置の変化量から、時刻T1での有意な位置差分データ38による累積的な位置の変化量を減算し、この時刻T1から時刻T3までの期間での位置の変化量を演算する。最後に、基地局PC5は、時刻T1の有意なGPSデータに基づく位置に、この時刻T1から時刻T3までの期間での位置の変化量を加算し、これを時刻T3での現在の携帯局装置6の位置とする。
図8は、図1中の基地局PC5による位置の演算処理の他の例を示す説明図である。この他の例では、基地局PC5は、有意なGPSデータおよび有意な位置差分データ38を受信した後に有意な位置差分データ38を受信し、さらにGPSデータ無しを示すデータおよび位置差分データ無しを示すデータを受信している。GPSデータ無しを示すデータは、有意なGPSデータが無いこと示し、位置差分データ無しを示すデータは、有意な位置差分データ38が無いこと示している。図8のケースも、図6では下段の場合に相当する。
図8の例の場合、基地局PC5は、時刻T1において受信した有意なGPSデータおよび有意な位置差分データ38と、時刻T2において受信した有意な位置差分データ38とを用いて、携帯局装置6の位置を演算する。具体的にはたとえば、基地局PC5は、時刻T1において受信したGPSデータに基づいて位置を演算する。次に、基地局PC5は、時刻T2での最新の位置差分データ38による累積的な位置の変化量から、時刻T1での位置差分データ38による累積的な位置の変化量を減算し、この時刻T1から時刻T2までの期間での位置の変化量を演算する。最後に、基地局PC5は、時刻T1のGPSデータに基づく位置に、この時刻T1から時刻T2までの期間での位置の変化量を加算し、これを時刻T3での現在の携帯局装置6の位置とする。
なお、図8において、時刻T2から時刻T3までの期間では、携帯用無線機7の送信データ取得部37により、前回(時刻T2)との位置差分量が所定距離以上ではないと判断されている。したがって、時刻T1から時刻T2までの期間での位置の変化量により修正された位置を、時刻T3での現在の携帯局装置6の位置としても、位置の確からしさは保たれる。
また、基地局PC5は、たとえば最新GPSデータ無しを示すデータがHDDに記憶されている場合に、GPSデータ無しと判断し、位置差分データ38無しを示すデータがHDDに記憶されている場合に、位置差分データ38無しと判断すればよい。
以上の処理により携帯局装置6の現在位置を演算すると、基地局PC5は、その携帯局装置6の現在位置をモニタ61に表示する。たとえば、基地局PC5は、図示外のHDDに記憶されている図示外の地図の表示データを読み込んで、携帯局装置6の現在位置をその周辺の地図と重ねてモニタ61に表示する。
以上のように、この実施の形態1の携帯局装置6は、GPSデータとともに、位置の変化量を得るための位置差分データ38を、基地局装置2へ送信する。また、基地局PC5は、受信したGPSデータおよび位置差分データ38を蓄積保存し、位置に関するデータとして有意なGPSデータを受信した場合には、そのGPSデータのみにより位置を演算する。他方、有意なGPSデータを受信しない場合には、基地局PC5は、過去の有意なGPSデータによる位置を、受信した位置差分データ38により修正した位置を演算する。
したがって、基地局装置2は、GPSデータが得られない場合であっても、過去のGPSデータの位置を位置差分データ38により修正し、携帯局装置6の位置として、確からしい位置を得ることができる。基地局装置2は、GPSデータのみによる位置に比べて、その携帯局装置6の位置としてより確からしい位置を演算することができる。
しかも、位置差分データ38は、携帯用無線機7および外付SPMユニット9とは別体の外付センサユニット8に配設された3軸地磁気センサ45などによる検出に基づいて生成される。そして、地磁気センサ45の検出精度は、その近傍にある金属や磁石の影響を受けて低下し易いものであるが、この実施の形態1の構成であれば、地磁気センサ45は、そのような悪影響を受けていない高い精度で地磁気を検出することができる。つまり、地磁気センサ45の検出精度は、携帯用無線機7の金属製シャーシ32や、携帯用無線機7の内蔵スピーカ29や内蔵マイクロホン30のスピーカマグネットや、外付SPMユニット9の外部スピーカ57や外部マイクロホン56のスピーカマグネットなどにより、低下してしまうことはない。その結果、基地局装置2は、位置差分データ38を用いて修正した携帯局装置6の位置として、確からしい位置を得ることができる。また、外付センサユニット8、携帯用無線機7および外付SPMユニット9は、それぞれ別々の筐体内に収容され、これらを近接して配置した場合であっても、各種マグネットと地磁気センサ45との距離を充分に遠ざけることができるので、ユーザは、携帯用無線機7を装着する際に、地磁気センサ45などの位置を気にすることなく衣服へ装着することができる。携帯用無線機7の装着位置の自由度が向上する。
また、この実施の形態1では、別体の外付センサユニット8は、3軸地磁気センサ45とともに、3軸加速度センサ44および気圧センサ46を有する。また、位置差分データ演算部36は、これらのセンサ44,45,46の検出データに基づいて、高さ方向での位置の変化量およびその高さ方向に垂直な方向での位置の変化量を演算し、位置差分データ38を生成する。基地局装置2は、GPSデータとともに、位置差分データ38を受信する。したがって、基地局装置2は、GPSデータから得た、緯度、経度および標高により表される位置(検出精度が10〜20m程度である位置)を、緯度方向、経度方向および標高方向において修正することができる。
また、この実施の形態1では、3軸地磁気センサ45などの検出信号は、ケーブル43を介して、別体の外付センサユニット8から携帯用無線機7へ送信され、位置差分データ演算部36は、携帯用無線機7に設けられている。そのため、外付センサユニット8には、センサ44,45,46以外のものを持たない。その結果、外付センサユニット8の電源電位は安定し、地磁気センサ45の周囲には最小限の金属のみが存在し、地磁気センサ45は、精度の良い検出に基づく検出信号を出力することができる。
また、この実施の形態1では、位置差分データ演算部36は、周期的に位置差分データを生成し、マイクロコンピュータIC25のメモリに記憶される位置差分データ38を更新する。送信データ取得部37は、ポーリングよる送信要求があったとき、この位置差分データ38を送信する。3軸加速度センサ44が計測する値は、瞬時的な加速度であり、3軸地磁気センサ45が計測する値は、瞬時的な方向である。位置差分データ38による位置の補正精度は、ポーリング時のみに更新される場合に比べて頻繁に更新され、良好なものとなる。したがって、送信データ取得部37は、ポーリングよる送信要求の有無に関係なく位置の変化に応じて好適に更新される位置差分データ38を、基地局装置2へ供給することができる。
また、この実施の形態1の基地局PC5は、基地局装置2が受信した位置に関するデータを蓄積記憶し、この位置に関するデータとしてGPSデータ無しを示すデータを受信した場合には、蓄積した過去の有意なGPSデータによる位置を、受信した位置差分データ38により修正した位置を演算する。したがって、携帯局装置6がGPSデータを受信できない状態にあっても、その携帯局装置6の確からしい位置を演算することができる。
また、この実施の形態1の基地局PC5は、位置に関するデータとして有意なGPSデータおよび有意な位置差分データ38を受信しなかった場合には、蓄積した過去の有意なGPSデータによる位置を、蓄積した過去の有意な位置差分データ38により修正した位置を演算する。したがって、携帯局装置6において移動していないと判断され、携帯局装置6が位置差分データ無しを示すデータを送信する場合において、過去に演算した位置と同じ位置を演算することができる。その結果、モニタに表示される携帯局装置6の位置を同じ位置とすることができ、基地局PC5のユーザ(たとえば管理者)は、携帯局装置6が移動していないことを容易に判断することができる。携帯局装置6が停止しているときに、モニタに表示される携帯局装置6の位置が微妙に動いたり、揺れたりしてしまうことはない。
また、基地局PC5は、携帯局装置6が基地局装置2との間で通信ができない状態にある場合と、携帯局装置6が基地局装置2と通信できるもののGPSデータを生成することができない状態とを区別し、後者の場合には、携帯局装置6の位置を演算することができる。そのため、基地局PC5は、たとえば、ポーリングに基づいて携帯局装置6から位置に関するデータを受信した場合において、蓄積した過去のデータに基づいて位置を演算した場合にモニタに表示する携帯局装置6の位置の表示と、ポーリングに基づいて携帯局装置6から位置に関するデータを受信できなかった場合において、蓄積した過去のデータに基づいて位置を演算した場合にモニタに表示する携帯局装置6の位置の表示と、を分けて表示するようにするとよい。これにより、基地局PC5のユーザ(管理者)は、ポーリングに基づいて携帯局装置6から位置に関するデータを受信できたときの確かな位置と、ポーリングに基づいて携帯局装置6から位置に関するデータを受信できなかったときの不確かな位置とを区別して認識することができる。
なお、実施の形態1の携帯局装置6の構成は、図9あるいは図10に示す構成であってもよい。
図9は、図2の携帯局装置6の変形例(その1)を示すブロック図である。図9の変形例(その1)に係る携帯局装置6では、外付センサユニット8が、マイクロコンピュータIC71と、バッテリ72と、電源の切替回路73と、を有する。また、この外付センサユニット8のマイクロコンピュータIC71には、差分データ生成手段としての位置差分データ演算部74が実現され、位置差分データ75が記憶される。この位置差分データ演算部74は、たとえば図4に示すフローチャートの処理を実行する。携帯用無線機7のマイクロコンピュータIC25に実現される送信データ取得部37は、外付センサユニット8のマイクロコンピュータIC71からデータ通信により位置差分データ75を取得する。
これにより、この図9の変形例(その1)に係る携帯局装置6は、実施の形態1の携帯局装置6と同様の動作を実行することができる。また、3軸加速度センサ44、3軸地磁気センサ45、気圧センサ46の出力は、外付センサユニット8内で位置差分データ75へ変換されるので、実施の形態1のようにケーブル43などを介して出力される場合に比べて、出力レベルが変動(低下)し難くなり、より正確な検出値に基づく位置差分データ75を生成することができる。また、携帯用無線機7のマイクロコンピュータIC25の処理負荷を軽減することができる。
また、外付センサユニット8の内部回路(たとえば3軸地磁気センサ45など)は、切替回路73により、それに内蔵されるバッテリ72により動作することができる。これにより、外付センサユニット8は、携帯用無線機7のバッテリ22を使用しなくて済むので、携帯用無線機7のバッテリ22の消耗を抑えることができ、携帯用無線機7は、長時間の通話やデータ通信が可能となる。
さらに、図9の場合、位置差分データ演算部74は、別体の外付センサユニット8に設けられている。したがって、地磁気センサ45などの検出信号は、外付センサユニット8内において位置差分データ75へ変換される。その結果、地磁気センサ45などの検出信号は、ケーブル43などの伝送により減衰されてしまうことなく、精度良くデータへ変換される。また、この外付センサユニット8の位置差分データ演算部74は、検出信号を位置差分データ75に変換した上で、データ通信により検出データとしてまとめて携帯用無線機の送信データ取得部37へ送信することができる。
図10は、図2の携帯局装置6の変形例(その2)を示すブロック図である。図10の変形例(その2)に係る携帯局装置6では、外付センサユニット8が、マイクロコンピュータIC71およびバッテリ72とともに、センサコネクタ41およびケーブル43の代わりとしてのセンサ無線回路81を有する。外付SPMユニット9は、SPMコネクタ51およびケーブル53の代わりにSPM無線回路82を有する。携帯用無線機7は、本体コネクタ31の替わりに本体無線回路83を有する。携帯用無線機7のマイクロコンピュータIC25に実現される送信データ取得部37は、携帯用無線機7とセンサ無線回路81との間に確立される無線通信路を用いて、外付センサユニット8のマイクロコンピュータIC71から位置差分データ38を取得する。なお、携帯用無線機7、センサ無線回路81およびSPM無線回路82は、たとえばブルートゥース方式や、無線LANによる通信方式により、互いにデータを送受信すればよい。
これにより、この図10の変形例(その2)に係る携帯局装置6は、実施の形態1の携帯局装置6と同様の動作を実行することができる。また、3軸加速度センサ44、3軸地磁気センサ45、気圧センサ46の検出信号による検出値精度の向上効果、携帯用無線機7のマイクロコンピュータIC25の処理負荷の軽減効果、携帯用無線機7のバッテリ22の消耗の抑制効果などを得ることができる。また、外付センサユニット8のケーブル43や、SPMユニットのケーブル53が不要となるので、それぞれの機器の取り付け(装着)位置の自由度が向上する。
また、実施の形態1の送信データ取得部37は、図11に示す処理を実行するようにしてもよい。図11は、図2中の送信データ取得部37の処理の流れの変形例を示すフローチャートである。送信データ取得部37は、まず、携帯用無線機7の図示外のタイマを起動し(ステップST31)、その後、所定の経過時間がタイマにより計測されたか否かを判断する(ステップST32)。そして、タイマにより所定の時間が計測されると、送信データ取得部37は、ステップST22〜ST27までの処理、すなわち最新GPSデータや位置差分データ38などの位置に関するデータの送信処理を実行する。その後、位置差分データ演算部36の処理はステップ32に戻る。
これにより、変形例の送信データ取得部37は、基地局無線機3による周期的な送信要求の送信が無くとも、位置に関するデータを周期的に送信することができる。
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2に係る携帯局装置6の詳細な構成を示すブロック図である。携帯用無線機7のマイクロコンピュータIC25には、差分データ生成手段としての検出差分データ演算部91、送信手段としての送信データ取得部92などが実現される。また、マイクロコンピュータIC25のメモリには、差分データとしての検出差分データ93が記憶される。
検出差分データ演算部91は、外付センサユニット8が生成した加速度データ、地磁気データおよび気圧データを用いて、検出差分データ93を生成する。この実施の形態2の検出差分データ93は、外付センサユニット8が検出差分データ93の生成を開始してからの、累積的な位置の変化量を示すデータである。
送信データ取得部92は、GPSデータ、検出差分データ93などの位置に関する送信データを取得し、送信データとして携帯局データ変換回路26へ供給する。
上述した携帯局装置6の構成要素以外の構成要素は、実施の形態1の携帯局装置6の同名の構成要素と同じ機能を有するものであり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。また、図12の携帯局装置6以外の位置管理システム1の構成要素、すなわち基地局装置2および車載局装置10は、実施の形態1の同名のものと同じ構成を有するものであり、実施の形態1と同一の符号を付して図示および説明を省略する。
次に、この実施の形態2の位置管理システム1の動作を説明する。以下の説明では、実施の形態1の動作説明と同様に、位置管理システム1の基地局装置2が携帯局装置6の位置を表示するための動作を例として説明する。図13は、本発明の実施の形態2の基地局装置2が携帯局装置6の位置を表示するための一連の動作の流れを示すタイミングチャートである。
基地局無線機3は、基地局PC5からの要求などに基づいて、ポーリングにより送信要求を周期的に無線送信する(ステップST41)。この送信要求は、携帯用無線機7の携帯局送受信回路27および携帯局データ変換回路26を介して、受信データとしてマイクロコンピュータICへ供給される。マイクロコンピュータICの送信データ取得部92は、受信データを解釈し、その受信データが送信要求であること理解する(ステップST42)。
図14は、図12中の送信データ取得部92の処理の流れを示すフローチャートである。
送信データ取得部92は、送信要求を受信した後(ステップST61)、まず、GPS電波受信回路55からGPSデータを取得できるか否かを判断する(ステップST62)。そして、GPS電波受信回路55からGPSデータを取得できる場合、送信データ取得部92は、取得したGPSデータを、最新のGPSデータとして携帯局データ変換回路26へ供給する(ステップST63)。最新のGPSデータは、図13のステップST43に示すように、携帯局データ変換回路26および携帯局送受信回路27を介して無線送信され、基地局無線機3により受信される。
また、GPS電波受信回路55からGPSデータを取得できない場合、送信データ取得部92は、最新GPSデータ無しを示すデータを、携帯局データ変換回路26へ供給する(ステップST64)。最新GPSデータ無しを示すデータは、図13のステップST43に示すように、携帯局データ変換回路26および携帯局送受信回路27を介して無線送信され、基地局無線機3により受信される。
最新GPSデータあるいはそのデータが無いことを示すデータを無線送信させた後、送信データ取得部92は、次に、検出差分データ演算部91に、ポーリングよる送信要求の受信に基づく実行を指示する(ステップST65)。
図15は、図12中の検出差分データ演算部91の処理の流れを示すフローチャートである。検出差分データ演算部91は、実行が指示されると、外付センサユニット8から、加速度データ、地磁気データ、気圧データなどの検出データを取得し(ステップST71)、前回送信したものとの差分を演算し(ステップST72)、前回送信したときの位置からの位置の変化量を示す検出差分データ93を演算する(ステップST73)。検出差分データ93は、前回送信後の3軸加速度センサ44による加速度の検出値と、前回送信後の3軸地磁気センサ45による地磁気の検出値と、前回送信後の気圧センサ46による気圧の検出値の変化量とで構成される。検出差分データ演算部91は、生成した検出差分データ93を、マイクロコンピュータIC25のメモリに記憶させる(ステップST74)。
検出差分データ演算部91により新たな検出差分データ93が生成されると、送信データ取得部92は、メモリから新たな検出差分データ93を取得し、前回送信した検出差分データ93との位置差分量が所定値以上であるか否かを判断する(図14のステップST66)。たとえば、送信データ取得部92は、有意な加速度の検出値が得られたとき、前回送信後の3軸地磁気センサ45による地磁気の検出値が所定値以上変化したとき、あるいは、前回送信後の気圧センサ46による気圧の検出値が所定値以上変化したとき、前回送信した検出差分データ93との位置差分量が所定値以上であると判断する。
そして、前回送信した検出差分データ93との位置差分量が所定値以上である場合、送信データ取得部92は、今回の検出差分データ93を、携帯局データ変換回路26および携帯局送受信回路27を介して、基地局無線機3へ送信する(図14のステップST67、図13のステップST45)。
また、前回送信した検出差分データ93との位置差分量が所定値以上ではない場合、送信データ取得部92は、検出差分データ93無しを示すデータを、携帯局データ変換回路26および携帯局送受信回路27を介して、基地局無線機3へ送信する(図14のステップST68、図13のステップST45)。
基地局無線機3は、受信した位置に関するデータを基地局PC5へ供給する(図13のステップST46)。基地局PC5は、位置に関するデータを図示外のHDDに蓄積保存する(ステップST47)。その後、基地局PC5は、携帯局装置6の位置情報を生成する(ステップST48)。
なお、このステップST48における実施の形態2の基地局PC5による携帯局装置6の位置情報の生成処理は、実施の形態1の基地局PC5の処理(図3のステップST7)と略同じである。ただし、実施の形態2の基地局PC5は、位置を示すデータとして、位置差分データ38の代わりに、検出差分データ93を受信して蓄積している。
したがって、受信した最新の位置を示すデータにGPSデータ無しを示すデータが含まれており、過去のGPSデータに基づいて位置を演算した後にその位置を位置の変化量により修正する場合には、実施の形態2の基地局PC5は、実施の形態1の基地局PC5による位置情報の生成処理に加えて、検出差分データ93から位置差分データ38を生成する処理に相当する処理を実行する。
すなわち、実施の形態2の基地局PC5は、受信した気圧データの差分から、その気圧差に相当する高さ方向の移動距離を演算するとともに、受信した加速度データなどを用いて、南北方向での移動距離および東西方向での移動距離を演算する。そして、基地局PC5は、たとえばGPSデータによる緯度に南北方向での移動距離をその向きを考慮して加算し、GPSデータによる経度に東西方向での移動距離をその向きを考慮して加算し、さらに、GPSデータによる標高に高さ方向の移動距離を加算する。
以上の処理により携帯局装置6の現在位置を演算すると、基地局PC5は、その携帯局装置6の現在位置を地図と重ねてモニタ61に表示する(ステップST49)。
また、基地局PC5は、所定の周期が経過する度に、周期的にポーリングによる送信要求を携帯用無線機7へ送信する(ステップST50)。これにより、基地局PC5は、ポーリングにより送信を要求したときに、外付センサユニット8により検出される検出データと、GPS電波受信回路55が生成するGPSデータを、位置に関するデータとして取得することができる。
以上のように、この実施の形態2の携帯局装置6は、GPSデータとともに、位置の変化量を得るための検出差分データ93を、基地局装置2へ送信する。また、基地局PC5は、位置に関するデータとして有意なGPSデータを受信した場合には、そのGPSデータのみにより位置を演算する。他方、有意なGPSデータを受信しない場合には、基地局PC5は、過去の有意なGPSデータによる位置を、受信した検出差分データ93により修正した位置を演算する。
したがって、基地局装置2は、GPSデータが得られない場合であっても、過去のGPSデータの位置を検出差分データ93により修正し、携帯局装置6の位置として、確からしい位置を得ることができる。基地局装置2は、GPSデータのみによる位置に比べて、その携帯局装置6の位置としてより確からしい位置を演算することができる。
また、この実施の形態2の検出差分データ演算部91は、送信データ取得部92の要求により、検出差分データ93を生成する。したがって、検出差分データ演算部91は、基地局装置2がポーリングにより送信を要求したときの検出差分データ93を生成することができる。また、検出差分データ演算部91は自発的に周期的な動作をしないので、バッテリ22の電力消費を抑えることができる。
なお、実施の形態2の携帯局装置6は、実施の形態1の携帯局装置6と同様に、図9から図11に示すように変形してもよい。すなわち、実施の形態2の携帯局装置6は、外付センサユニット8がマイクロコンピュータIC71、バッテリ72および電源の切替回路73を有するものであっても、携帯用無線機7、外付センサユニット8および外付SPMユニット9がそれぞれの無線回路81,82,83により通信するものであっても、送信データ取得部92が内蔵タイマにより所定の時間が計測される度に位置に関するデータを送信させるものであってもよい。
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
上記各実施の形態では、外付センサユニット8は、基本的にセンサ44,45,46を有し、検出をするためのものである。この他にもたとえば、外付センサユニット8は、たとえば図16に示すように、マイクロコンピュータIC71の表示制御により、通電状態を表示する表示手段としての表示デバイス101や、携帯用無線機7との通信可能状態あるいは通信中状態を表示する表示手段としての表示デバイス101を有するものであってもよい。図16は、本発明の実施の形態1の携帯局装置6の変形例(その3)を示すブロック図である。これにより、携帯局装置6を所持するユーザは、たとえば、外付センサユニット8が利用されていることを知ることができる。また、仮にたとえば、送信データ取得部37,92が、上記各実施の形態とは異なり、GPSデータを取得できない場合にのみ外付センサユニット8から検出データを取得する場合には、外付センサユニット8による通信中状態などの表示に基づいて、GPS電波が受信できない状態にあることを知ることも可能となる。
上記各実施の形態では、送信データ取得部37,92は、外付SPMユニットから、位置を演算するために用いる位置データとしてGPSデータを取得している。この他にもたとえば、外付SPMユニットは、公共放送電波や携帯電話端末用の基地局からの電波を受信し、送信データ取得部37,92は、位置データとして、公共放送電波の受信方向データや携帯電話端末用の基地局のIDなどを取得するようにしてもよい。
上記各実施の形態では、位置管理システム1の携帯局装置6は、基地局装置2へ位置に関するデータを送信している。この他にもたとえば、位置管理システム1の携帯局装置6は、他の移動局装置などの端末へ、位置に関するデータを送信してもよい。
上記各実施の形態では、位置管理システム1の携帯局装置6は、携帯用無線機7、外付SPMユニット9および外付センサユニット8の組合せで構成されている。この他にもたとえば、携帯局装置6は、GPS電波受信回路55を有する携帯用無線機と、外付センサユニット8との組合せで構成されていてもよい。また、携帯用無線機7の代わりに、携帯電話端末などが組み合わされていてもよい。さらに、別体の外付センサユニット8は、携帯用無線機7のハウジング21の外部に取り付けられていてもよい。