JP4893617B2 - 水銀除去装置、及び水銀除去方法 - Google Patents
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Description
これにより、金属水銀(Hg0)の酸化を効率的に行うことができ、排ガスから金属水銀(Hg0)を取り除くことができる。
図4及び図5の実験では、水銀を除去するために40[℃]の吸収液「A」,「B」,「C」,「D」を用いて実験を行った。また、図4の実験における吸収液の水素イオン指数は1.3とした。
吸収液は、金属水銀(Hg0)を酸化するための酸化剤を含有する液体である。酸化された金属水銀(2価水銀)は吸収液に吸収されることで、排ガスから除去できるようになっている。
図5における実験で用いた排ガスの組成は、窒素ガスをベースとし、酸素:5[vol%]、二酸化炭素:15[vol%]、水銀:22.9〜26.6[μg/cm3]とし、二酸化硫黄を含まない組成とした。ガス流量は、1[NL]とした。
一方、二酸化硫黄(SO2)の濃度が300[ppm]程度であると、吸収液「B」による水銀除去率が70[%]程度に上昇したが、吸収液「A」,「C」,「D」による水銀除去率は、二酸化硫黄の濃度が500[ppm]の場合とほとんど変化していない。
しかし、二酸化硫黄(SO2)の濃度が0[ppm]である条件では、すべての吸収液による水銀除去率が75[%]から90[%]の範囲となった。
これにより、排ガス中における二酸化硫黄の濃度が低くなるにつれて水銀除去率が向上し、特に二酸化硫黄をほとんど含まない排ガスにおいて、水銀の除去が効率的に行われることがわかった。
吸収液の水素イオン指数が3.0の場合には、吸収液「A」及び「C」の水銀除去率が80[%]以上となったが、吸収液「B」及び「D」の水銀除去率は、水素イオン指数が5.0の場合とほとんど変わらなかった。しかし、吸収液の水素イオン指数が1.0の場合には、すべての吸収液の水銀除去率は75[%]以上であった。
これにより、吸収液の水素イオン指数が小さくなるにつれて水銀除去率が向上し、特に水素イオン指数がおよそ1.0になると、水銀の除去が効率的に行われることがわかった。
これにより、吸収塔において排ガス中の硫黄酸化物の濃度が低下することで、水銀と反応する酸性液を増やすことができるので、水銀の酸化を促進し水銀除去率を向上させた水銀除去装置とすることができる。
これにより、容易な手段を用いて排ガスから酸性液を生成することができ、別途で酸性液を用意する必要がないので、酸性液に係るコストを低減した水銀除去装置とすることができる。
これにより、酸性液生成手段で水を噴射することで取り込まれた煤塵を排出手段を介して外部に排出することができるので、酸性液生成手段中に煤塵が蓄積されない。これにより、酸性液生成手段の目詰まりを防止することができる。
また、酸性液噴射手段から酸性液を噴射することで減少する酸性液生成手段内の水量を給液手段により補うことができるので、連続運転が可能な水銀除去装置とすることができる。
これにより、酸性液生成手段の設置面積を低減することが可能となるので、小型化を実現し、製造コストを低減した水銀除去装置とすることができる。
このような方法により、吸収塔において排ガス中の硫黄酸化物の濃度を低下させ、水銀と反応する酸性液を増やすことができるので、水銀の酸化を促進し水銀除去率を向上させた水銀除去方法とすることができる。
このような方法により、排ガスから容易に酸性液を生成することができるので、別途で酸性液を用意する必要がない。したがって、酸性液に係るコストを低減した水銀除去方法とすることができる。
このような方法により、濃度の低い酸性液を排ガス中に繰り返し噴射することができるので、高濃度の酸性液を生成することができる。よって、水銀の酸化を促進し水銀除去率を向上させた水銀除去方法とすることができる。
排ガス中には微量の金属が含まれており、この金属が触媒として機能することで水銀の酸化が促進される。
一方、排ガス中に含まれる金属量は燃焼する石炭によってばらつきがある。排ガス中の金属が少なくなると酸性液中の触媒の濃度が低くなるので、水銀を酸化する能力が低下する。そこで、酸性液中に触媒を添加することで、水銀を酸化する能力を低下させずに水銀を除去することができる。
鉄イオン及びマンガンイオンは、水銀を酸化するときに有効な触媒として機能する。したがって、これらの金属イオンを触媒として添加すると、水銀を酸化する能力を低下させずに水銀を除去することができる。
(水銀除去装置の構成)
また、仕切り部材29は吸収塔20の内側から見てガス導入口10aを覆うように配置されている。仕切り部材29には、スリット29aが設けられており、スリット29aを介して排ガスGを流通させるとともに、硫黄除去液Lが酸性液貯留タンク(酸性液収容部)22bに混入するのを抑えるようになっている。
図1に示された硫黄除去液噴射ノズル21は、吸収塔20の高さ方向に1段のみ配置されているが、複数段設けた構成としたものであってもよい。
このような硫黄除去液Lを、空気供給管31から空気を供給しながら撹拌すると、炭酸カルシウムと硫黄酸化物とが反応して硫酸カルシウム(石膏)が析出する。析出した硫酸カルシウム及び煤塵は、硫黄除去液循環ポンプ23からの水圧により、排液パイプ104から一部の硫黄除去液Lとともに外部に排出される。
このようにして硫黄酸化物及び煤塵を硫黄除去液Lから取り除くことにより、硫黄除去液噴射ノズル21及び硫黄除去液供給パイプ24の目詰まりを防止している。
また、酸性液貯留タンク22bには、給液パイプ(給液手段)101が接続され、酸性液供給パイプ13には、排液パイプ(排液手段)102が接続されている。
このときの排ガスGは、吸収塔20を通過して硫黄酸化物の濃度が低くなっているので、金属水銀(Hg0)と硫酸とが反応しやすくなっている。よって、二価水銀(Hg2+)に変化する金属水銀(Hg0)を増やすことができ、排ガスGからの水銀除去率が向上する。
ミストエリミネーター25は、排ガスG中に残留する硫黄除去液Lを除去捕集するために設けられたものである。ミストエリミネーター25により排ガスG中の硫黄除去液Lの濃度を低減することで、水銀除去率を向上させることができる。
ミストエリミネーター26は、排ガスG中に残留する硫酸を除去捕集するために設けられたものである。ミストエリミネーター26により排ガスG中の硫酸を除去することで、大気へ排出される硫酸の量を抑えている。
硫酸回収部27は、硫酸回収パイプ28を介して硫黄除去液貯留タンク22aと接続されており、ミストエリミネーター26で捕集した硫酸は、硫黄除去液貯留タンク22aに回収される。
次に、このような構成を有する水銀除去装置1を用いた水銀除去方法について説明する。ここでは、硫黄除去液貯留タンク22aに硫黄除去液Lが貯留され、酸性液貯水タンク22bに水が貯留されている状態から説明する。
水噴射ノズル11から噴射された水は、排ガスG中の二酸化硫黄を吸収して硫酸が生成される。生成された硫酸は、酸性液貯留タンク22bに回収されて繰り返し水噴射ノズル11から噴射されることで濃硫酸となる。
このとき、排ガスGにおける硫酸酸化物の濃度が高いので効果は小さいが、排ガスGに噴射された硫酸によって一部の金属水銀(Hg0)を二価水銀(Hg2+)に変えて、排ガスGから除去することができる。
吸収塔20では、硫黄除去液噴射ノズル21から下方に向けて硫黄除去液Lを噴射し、排ガスG中の硫黄酸化物を除去する。硫黄除去液噴射ノズル21から噴射される硫黄除去液Lは、硫黄除去液循環ポンプ23及び硫黄除去液供給パイプ24を介して硫黄除去液貯留タンク22aから供給されたものである。
また、硫黄酸化物とともに回収された煤塵も排液パイプ104を介して外部に排出する。
このとき、ミストエリミネーター25を通過する排ガスGから硫黄除去液Lを取り除く。
酸性液貯留タンク22bから酸性液噴射ノズル51に硫酸を供給して、酸性液噴射ノズル51から硫酸を噴射する。このときの排ガスGには、硫黄酸化物及び硫黄除去液Lがほとんど残っておらず、水銀と硫酸とが反応しやすくなっている。
そこで、水銀除去率を向上させるために、硫酸に触媒を添加するようにしてもよい。例えば、給液パイプ101を介して、触媒を添加した水又は硫酸を酸性液貯留タンク22bに供給することによって、触媒の濃度を高くすることができる。
図2の実験における硫酸の水素イオン指数(pH)はそれぞれ1.3、鉄イオン濃度及びマンガンイオン濃度はそれぞれ0.2(mol/l)である。
ミストエリミネーター26において取り除いた硫酸は、硫酸回収部27及び硫酸回収パイプ28を介して硫黄除去液貯留タンク22aに回収し、排液パイプ104から外部に排出する。
まず、硫黄除去液噴射ノズル21の下流側に、酸性液噴射ノズルを設けたことで、硫黄酸化物が除去された排ガスGに対して硫酸を噴射することができるので、水銀と反応する硫酸を増やすことができる。これにより、水銀の酸化を促進し、排ガスGからの水銀除去率を向上させることができる。
そして、酸化物貯留タンク22bと酸性液噴射ノズル51とが、酸性液供給パイプ13及び酸性液供給パイプ53を介して接続されているので、ガス導入路10で生成した硫酸を、酸性液噴射ノズル51に供給することができる。
そして、酸性液貯留タンク22bに給液パイプ101を設けていることで、酸性液貯留タンク22bの水量が減少しても補うことができるので、水銀除去装置を連続して運転させることができる。
これにより、水銀の酸化を促進し水銀除去率を向上させることができる。
次に、本発明における第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係る水銀除去装置は、硫酸を生成する酸化塔(酸性液生成手段)と吸収塔とが別途で設けられた点が、第1の実施形態の水銀除去装置1と異なるところである。
本実施形態における説明は、第1の実施形態と重複する構成要素に対して同一の符号を付し、説明は適宜省略する。
酸化塔300の高さ方向の略中央部には、ガス導入路10が接続されている。また、酸化塔300の上端と、吸収塔20の高さ方向の略中央部とを接続するガス移動路290が設けられている。
酸化塔300内には、ガス導入路10との接続部210aより上方に水噴射ノズル211が設けられている。水噴射ノズル211は、吸収塔20の高さ方向に1段のみ配置されているが、複数段設けた構成としたものであってもよい。
また、酸性液貯留タンク222には、給液パイプ(給液手段)201が接続され、酸性液供給パイプ13には、排液パイプ(排液手段)202が接続されている。
Claims (7)
- 石炭の燃焼により発生する排ガスから水銀を除去する装置であって、
前記排ガスから硫黄酸化物を除去する吸収塔の下流側に設けられ、酸性液を前記排ガスに噴射する酸性液噴射手段と、
前記吸収塔の上流側に設けられ、前記排ガスに対して水を噴射することで前記酸性液を生成する酸性液生成手段とを備え、
前記酸性液生成手段と前記酸性液噴射手段とが接続されていることを特徴とする水銀除去装置。 - 請求項1に記載の水銀除去装置であって、
前記酸性液生成手段には排液手段及び給液手段が設けられていることを特徴とする水銀除去装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の水銀除去装置であって、
前記酸性液生成手段は前記酸性液を収容する酸性液収容部を有し、前記酸性液収容部が前記吸収塔の内部に設けられていることを特徴とする水銀除去装置。 - 石炭の燃焼により発生する排ガスから水銀を除去する方法であって、
吸収塔の上流側において前記排ガスに対して水を接触させることで酸性液を生成し、前記吸収塔において前記排ガスの硫黄酸化物濃度を下げた後、前記酸性液を前記吸収塔から排出される前記排ガスに接触させることを特徴とする水銀除去方法。 - 請求項4に記載の水銀除去方法であって、
前記吸収塔の前段で水と排ガスとを繰り返し接触させることで前記酸性液を生成することを特徴とする水銀除去方法。 - 請求項4又は請求項5に記載の水銀除去方法であって、
前記酸性液に触媒を添加することを特徴とする水銀除去方法。 - 請求項6に記載の水銀除去方法であって、
前記触媒として鉄イオン及びマンガンイオンの少なくとも何れかを添加することを特徴とする水銀除去方法。
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