しかしながら、従来の結束方法で、結束具と結束補助具を用いて結束対象物を結束した場合、結束補助具が有する結束具を結合する為の孔(以下、「結合孔」とも言う。)が、結束具に対して、限定的な拘束力しか有していない為に、結束対象物から結束具が緩む可能性がある。
つまり、例えば、結束バンドを結束補助具の結合孔の中を通してから、結束対象物を結束した場合、結束バンドのバンド部分を係止する為の係止機構部は、結束バンド自体の他の部分の径よりも大きいので、結束補助具の結合孔を通過することは出来ないが、結束バンドの係止機構部が結束補助具の結合孔に行き当たるまで、結束バンドが結束対象物の周りを回転移動可能となり、また、係止機構部が結束補助具の結合孔に行き当たても、今度は逆方向に回転移動可能となる為、結束対象物の形状によっては、結束対象物の周囲を結束バンドが回転することに伴って、結束バンドが結束対象物から緩む可能性が生じる。
本発明は、上記課題を考慮し、簡易かつ効果的な結束方法、その結束方法に用いることが出来る結束具と結束補助具から成る結束装置、結束具の結束効果を向上させる結束補助具を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明に係る結束方法は、2つの結束具と2つの結束補助具を用いて結束対象物を結束する結束方法であって、前記2つの結束具のそれぞれは、長尺状の係止部材と、前記係止部材を貫通させ、かつ任意の位置で係止する係止機構部を備え、前記2つの結束補助具の中の一方は、前記2つの結束具の中の一方の結束具の係止部材を貫通させ、かつ任意の位置で係止することにより、前記一方の結束具に係止結合する為の係止結合孔または係止結合溝と、前記2つの結束具の中の他方の結束具の係止部材を貫通させて結合する為の結合孔または結合溝を備え、前記2つの結束補助具の中の他方は、前記他方の結束具の係止部材を貫通させ、かつ任意の位置で係止することにより、前記他方の結束具に係止結合する為の係止結合孔または係止結合溝と、前記一方の結束具の係止部材を貫通させて結合する為の結合孔または結合溝を備え、前記結束方法は、第1の結束補助具の係止結合孔または係止結合溝に第1の結束具の係止部材を貫通させるステップと、第2の結束補助具の係止結合孔または係止結合溝に第2の結束具の係止部材を貫通させるステップと、前記第1の結束補助具を前記第1の結束具に係止させるステップと、前記第2の結束補助具を前記第2の結束具に係止させるステップと、前記第1の結束具の係止部材を前記第2の結束補助具の結合孔または結合溝に貫通させるステップと、前記第2の結束具の係止部材を前記第1の結束補助具の結合孔または結合溝に貫通させるステップと、前記第1の結束具と、前記第2の結束具との間に前記結束対象物を配置するステップと、前記第1の結束具の係止部材を、前記第1の結束具の係止機構部に貫通させるステップと、前記第2の結束具の係止部材を、前記第2の結束具の係止機構部に貫通させるステップと、前記第1の結束具の係止部材と、前記第2の結束具の係止部材とにより、互いに異なる方向へ前記結束対象物を締め付けるステップと、前記第1の結束具の係止部材を前記第1の結束具の係止機構部から挿抜できないように係止させるステップと、前記第2の結束具の係止部材を前記第2の結束具の係止機構部から挿抜できないように係止させるステップとを含む結束方法が考えられる。なお、上記手順は一例であり、その順番は上記手順通りでなくてもよい。例えば、結束対象物を配置するステップは、結束補助具の係止結合孔または係止結合溝に結束具の係止部材を貫通させるステップの前でも構わない。つまり、結束する為に都合の良い手順で行えば良い。これにより、例えば、図1(a)に示す結束用チェーンを2つと図1(c)に示す結束補助具を2つ用いて、図2に示す結束を実施することが可能となり、図4(a)および(b)に示す結束バンドに、図4(c)に示す結束補助具を装着して、図4(o)の状態になった物を2つ用いて、図5に示す結束を実施することが可能となる。また、結束具が結束チェーンで無い場合、前記2つの結束補助具のそれぞれが備える係止結合孔または係止結合溝の方向と、結合孔または結合溝の方向とは、お互いに平行ではなく、結束具同士の交差角度に合わせた方が係止部材の歪みが少なくなる。
ここで、本発明内において、孔の方向とは、孔に対する係止部材の挿抜方向のことを言い、溝の方向とは、溝の中に係止部材を保持した時に、溝の中の部分における係止部材の長手方向となる方向のことを言う。
また、本発明内において、結束補助具の結合孔とは、結束具の係止部材をその中に通して結合する機能を有するが、孔の方向への係止部材に対する係止機能は有していない孔のことである。同様に、結束補助具の結合溝とは、結束具の係止部材をその中に通して結合する機能を有するが、溝の方向への係止部材に対する係止機能は有していない溝のことである。
また、本発明内における結束補助具の係止結合孔とは、結束具の係止部材をその中に通して結合する機能を有し、孔の方向への係止部材に対する係止機能を有している孔のことである。同様に、結束補助具の係止結合溝とは、結束具の係止部材をその中に通して結合する機能を有し、溝の方向への係止部材に対する係止機能を有している溝のことである。
つまり、単に結合孔と呼ぶ場合には、結束具の係止部材をその中に通して結合する機能を有するが、孔の方向への係止部材に対する係止機能は有していない孔のことであり、単に結合溝と呼ぶ場合には、結束具の係止部材をその中に通して結合する機能を有するが、溝の方向への係止部材に対する係止機能は有していない溝のことである。
また、この結束方法の実施に用いられる結束装置としては、物品を結束するための複数の結束具と複数の結束補助具からなる結束装置であって、前記複数の結束具のそれぞれは、長尺状の係止部材と、自身の係止部材に係止結合した結束補助具が備える結合孔または結合溝を貫通する前記複数の結束具の中の他の結束具に係止結合した結束補助具が備える結合孔または結合溝を貫通した、自身の係止部材を貫通させ、かつ任意の位置で係止する係止機構部を備え、前記複数の結束補助具のそれぞれは、前記複数の結束具の中の少なくとも何れか1つの結束具の係止部材を貫通させ、かつ任意の位置で係止することにより、前記少なくとも何れか1つの結束具に係止結合する為の係止結合孔または係止結合溝と、前記係止結合孔または前記係止結合溝により係止結合する結束具以外の前記複数の結束具の中の結束具の係止部材を貫通させて結合する為の結合孔または結合溝を備えることを特徴とする結束装置が考えられる。また、結束具が結束チェーンで無い場合、前記複数の結束補助具のそれぞれが備える係止結合孔または係止結合溝の方向と、結合孔または結合溝の方向とは、お互いに平行ではなく、結束具同士の交差角度に合わせた方が係止部材の歪みが少なくなる。
また、2つの結束具と2つの結束補助具を用いて行う上述の結束方法は、全く同じ結束具を2つと、全く同じ結束補助具を2つ用いて行うことが可能であるが、全く同じ結束具を2つと、異なる形状の結束補助具を2つ用いて行うことや、異なる形状の結束具を2つと、全く同じ結束補助具を2つ用いて行うことも可能であり、異なる形状の結束具を2つと、異なる形状の結束補助具を2つ用いて行うことも可能である。
つまり、係止結合孔または係止結合溝により、第1の結束具の係止部材を係止および結合した第1の結束補助具の結合孔または結合溝に、第2の結束具の係止部材を貫通させることが可能であり、係止結合孔または係止結合溝により、第2の結束具の係止部材を係止および結合した第2の結束補助具の結合孔または結合溝に、第1の結束具の係止部材を貫通させることが可能でさえあれば、係止結合孔または係止結合溝と、結合孔または結合溝を有する結束補助具が、係止結合孔または係止結合溝により係止および結合している結束具を2つ用いて、互いに相手の結束具に係止および結合している結束補助具の結合孔または結合溝の部分で、立体交差する様に連結させて、結束対象物を結束する結束方法を行うことが可能である。
例えば、図1(c)の結合孔122と図3(b)の結合孔212の形状を調節すれば、図1(a)の結束具1、図3(a)の結束具2、図1(c)の結束補助具120、図3(b)の結束補助具210を用いて、図2および図5に示した結束方法を実施することが可能である。
図2の様に、2つの結束具と2つの結束補助具を用いて、それぞれの結束補助具が有する係止結合孔または係止結合溝で、それぞれの結束補助具を結合させたそれぞれの結束具の係止部材を、相手の結束具に結合させた結束補助具の結合孔または結合溝に通して、2つの結束具を2箇所の交差部で連結させることで、結合孔または結合溝に、係止部材に対する孔の方向または溝の方向の係止機能がなくても、それぞれの結束具は、相手の結束具に結合した結束補助具の結合孔または結合溝により可動性を抑制され、結束対象物に対してずれにくくなる。
この結束方法においては、それぞれの結束具の係止部材が、相手の結束具に係止結合した結束補助具の結合孔または結合溝の内外で、相手の結束具に係止結合した結束補助具による歪みがほとんど生じていない場合、それぞれの結束具は、相手の結束具に係止結合した結束補助具の結合孔または結合溝から孔または溝の方向への制御をほとんど受けない為、結束対象物に対して自由に締め付けて結束することが可能であり、一方の結束具を締め付けても、他方に係止結合した結束補助具の結合孔または結合溝により、他方の結束具を孔または溝の方向に引っ張ることがほとんどない為、結束対象物を相手の結束具に影響をほとんど与えずに結束可能である。つまり、大きな結束対象物から小さな結束対象物まで同じ結束具と結束補助具を用いて結束が可能であり、結束対象物に対して結束が緩んだ場合の結束具の締め直しが容易である。しかし、結束後においては、結束対象物の周囲を、一方の結束具が回転する場合、係止結合孔または係止結合溝により回転する結束具に連結した結束補助具の結合孔または結合溝が、結束対象物の周囲を回転する必要があり、他方の結束具が結束対象物に対してスライドしなければならない。また、結束対象物に対して、一方の結束具がスライドする場合、結合孔または結合溝によりスライドする結束具に連結した結束補助具の係止結合孔または係止結合溝が、結束対象物に対してスライドする必要があり、他方の結束具が結束対象物の周囲を回転しなければならない。つまり、この結束方法を用いた場合、一方の結束具のみが、結束対象物に対して、回転やスライドすることは不可能であり、それぞれの結束具が同時に2つとも、結束対象物に対して、回転またはスライドを生じない限り、結束対象物に対して、結束具がずれることはない。即ち、この結束方法は、一方の結束具のみが、結束対象物に対して、回転やスライドすることが出来ないために、ずれにくい結束方法となる。
また、上述の結束方法を、全く同じ結束具を2つと、全く同じ結束補助具を2つ用いて行う場合、対称形状の結束が可能となり、それぞれの結束具の自身の係止機構部を通した係止部材を、互いに反対の方向に引っ張るだけで、簡単に結束対象物を締め付けることが可能となる。
また、前記複数の結束具のそれぞれは、結束バンドであり、前記係止部材は、前記結束バンドのバンド部であり、前記バンド部には長手方向に前記係止機構部に係止されるための凹凸部が形成されており、前記係止機構部は、前記凹凸部を1方向にのみ貫通可能とする、孔の内部に凸部を持つ貫通孔を有し、前記貫通孔により前記バンド部を係止し、前記複数の結束補助具のそれぞれの前記係止結合孔は、前記結束バンドの係止機構部と同様の構造により、前記バンド部の前記凹凸部を1方向にのみ貫通可能とする凸部を孔の内部に有し、前記凹凸部を任意の位置で係止するとしてもよい。これにより、結束具が結束バンドで、結束補助具が結合孔と結束バンドの係止機構部の構造を有している係止結合孔を備えるものであれば、それぞれを各々2つずつ使用して、図5に示す結束形態を実施することが出来る。また、結束バンド以外の結束具において、結束補助具の係止結合孔または係止結合溝と、結束具の関係は、前記結束補助具の前記係止結合孔または前記係止結合溝は、前記結束具の係止機構部と同様の構造で、前記係止部材を1方向にのみ貫通可能とし、係止するとしても良い。
また、前記複数の結束補助具のそれぞれにおいて、自身の備える前記係止結合孔または前記係止結合溝と、自身の備える前記結合孔または前記結合溝は、互いにねじれの位置で垂直に交差するとしてもよい。これにより、例えば、図3(b)、図3(c)や図4(c)などの形態の結束補助具を用いて、図2や図5に示す結束形態を、結束具同士が交差部分で、互いにねじれの位置で垂直となるようにして実施することが可能となる。
また、前記複数の結束補助具の中の少なくとも1つの結束補助具の前記係止結合孔または前記係止結合溝を有する部分と、前記結合孔または前記結合溝を有する部分とが軸により回転可能であり、前記係止結合孔または前記係止結合溝の方向に対する前記結合孔または前記結合溝の方向を変えることが可能であるとしてもよい。これにより、例えば、図4(n)などの形態の結束補助具を用いて、図2や図5に示す結束形態を効果的に実施することが可能となる。
また、この結束方法の実施に用いられる結束補助具としては、結束対象物を結束するための結束具を結合して補助する結束補助具であって、前記結束具は、長尺状の係止部材と、前記係止部材を貫通させ、かつ任意の位置で係止する係止機構部を備え、前記結束補助具は、前記結束具の前記係止部材を貫通させ、かつ任意の位置で係止することにより、前記結束具に係止結合する為の係止結合孔または係止結合溝と、前記結束具の前記係止部材または他の結束具の係止部材を貫通させて結合する為の結合孔または結合溝を備える結束補助具が考えられる。具体的には、例えば、図1(b)〜図1(d)、図3(b)〜図3(d)、図4(c)などの形態が考えられる。
また、本発明の結束補助具は、1つのまたは複数の結束具の係止部材を結合するための係止結合孔または係止結合溝と、結合孔または結合溝を備える部材であり、結束具とは独立した部材であり、結束補助具の有する係止結合孔または係止結合溝により係止部材に係止結合は可能であるが、元々から係止部材と一体化されているものではない。
また、前記結束補助具の前記係止結合孔または前記係止結合溝は、前記結束具の前記係止機構部と同様の構造で前記係止部材を係止するとしても良い。これにより、結束具の係止部材に、係止機構部が有する凹凸部や突起と係合する凹凸部や穴が存在する場合には、結束補助具が結束具の係止部材に正確に係止可能となる。
また、前記結束具は、結束バンドであり、前記係止部材は、前記結束バンドのバンド部であり、前記バンド部には長手方向に前記係止機構部に係止されるための凹凸部が形成されており、前記係止機構部は、前記凹凸部を1方向にのみ貫通可能とする、孔の内部に凸部を持つ貫通孔を有し、前記貫通孔により前記バンド部を係止し、前記結束補助具の前記係止結合孔は、前記バンド部の前記凹凸部を1方向にのみ貫通可能とする凸部を孔の内部に有し、前記凹凸部を任意の位置で係止するとしてもよい。また、前記結束補助具の前記係止結合孔は、前記結束バンドの係止機構部と同様の構造で前記バンド部を係止しても構わない。これにより、結束補助具の製作が容易となる。つまり、結束補助具の係止結合孔または係止結合溝と、結束具の関係は、前記結束補助具の前記係止結合孔または前記係止結合溝は、前記結束具の係止機構部と同様の構造で、前記係止部材を1方向にのみ貫通可能とし、係止するとしても良い。これにより、例えば、結束具が結束バンドで、係止結合孔が結束バンドの係止機構部の構造を有している図4(c)の形態の結束補助具が考えられる。
また、前記結束補助具の前記係止結合孔または前記係止結合溝と、前記結束補助具の前記結合孔または前記結合溝は、互いにねじれの位置で垂直に交差するとしてもよい。これにより、例えば、結束具が結束バンドであれば、前記結束補助具の前記係止結合孔と前記結合孔は、互いにねじれの位置で垂直に交差する図4(c)の形態の結束補助具が考えられる。
また、前記結束補助具の前記係止結合孔または前記係止結合溝を有する部分と、前記結束補助具の前記結合孔または前記結合溝を有する部分が軸により回転可能であり、前記係止結合孔または前記係止結合溝の方向に対する前記結合孔または前記結合溝の方向を変えることが可能であるとしてもよい。これにより、例えば、結束具が結束バンドであれば、図4(n)の様な形態の結束補助具が考えられる。
また、前記結束補助具は、前記係止結合孔または前記係止結合溝を複数有するとしても良い。これにより、結束補助具を用いれば、1つの結束具で複数の閉鎖環状部を作製し、複数の結束対象物を結束して連結することや、1つの結束対象物を幾重にも弛まない様にして結束することが可能となる。また、前記結束補助具は、前記結合孔または前記結合溝を複数有するとしても良い。
また、前記結束補助具は、前記係止結合孔または前記係止結合溝を複数有し、更に、前記結束具の前記係止部材を1方向にのみ貫通可能とし、係止するとしても良い。これにより、例えば、結束具が結束バンドで、結束補助具が結束バンドの係止機構部と同様の構造を有している場合、前記結束具は、結束バンドであり、前記係止部材は、前記結束バンドのバンド部であり、前記バンド部には長手方向に前記係止機構部に係止されるための凹凸部が形成されており、前記係止機構部は、前記凹凸部を1方向にのみ貫通可能とする、孔の内部に凸部を持つ貫通孔を有し、前記貫通孔により前記バンド部を係止し、前記結束補助具は、複数の係止結合孔を備え、前記複数の係止結合孔は、前記結束バンドの係止機構部と同様の構造により、前記バンド部の前記凹凸部を1方向にのみ貫通可能とする凸部を孔の内部に有し、前記凹凸部を任意の位置で係止するとしてもよい。
また、前記結束補助具の前記係止結合孔または前記係止結合溝と、前記結束補助具の前記結合孔または前記結合溝は、互いに平行ではないとしてもよい。これにより、例えば、図1(c)、図1(d)、図3(b)、図3(c)、図4(c)などの形態の結束補助具が考えられる。
本発明は、安価かつ装着が容易であり、結束具の締結力を向上させる結束補助具、および結束具と結束補助具から成る結束装置を用いた効果的な結束方法を提供することができる。
以下、図1〜図5を用いて、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の結束補助具と結束具の1例を示す図である。図1(a)に示す結束具1は、チェーンを利用して物品を結束する結束チェーンである。図1(b)〜図1(d)は、結束具1に取り付けて結束を補助する結束補助具を示す図である。また、図1(e)は、結束具1に図1(c)の結束補助具を取り付けた図である。
図1(a)に示す結束具1は、結束具1が有する被係止部を係止する為の係止機構部である開閉可能な開閉リング1aと、被係止部を連結する為の閉鎖リング1bと、係止機構部により係止される被係止部であるチェーン部分から構成されている。つまり、被係止部であるチェーン部分が係止部材である。
開閉リング1aは、図に示すように、スライド式の開閉機能を有する。また、通常、開閉部はばねの力で閉じられている。チェーンを係止する場合、開閉部を開け、チェーンを構成する複数の環状部材の内の1つの環状部材に開閉リング1aを貫通させる。また、開閉部はばねの力で自動的に閉じることが可能である。
図1(b)は、結束具1に取り付けることが可能な結束補助具110を示している。結束補助具110は、結束具1に取り付ける為の係止結合孔111を形成する開閉可能な開閉リングと、被係止部を結合する為の結合孔112を有している。また、係止結合孔111と結合孔112は、同一平面状に形成されている。
図1(c)は、結束具1に取り付けることが可能な結束補助具120を示している。結束補助具120は、結束具1に取り付ける為の係止結合孔121を形成する開閉可能な開閉リングと、被係止部を結合する為の結合孔122を有している。また、係止結合孔121と結合孔122は、同一平面状ではなく、交差する平面状に形成されている。
図1(d)は、結束具1に取り付けることが可能な結束補助具130を示している。結束補助具130は、結束具1に取り付ける為の係止結合孔131を形成する開閉可能な開閉リングと、被係止部を結合する為の結合孔132を形成する閉鎖リングを有している。また、開閉リングと閉鎖リングが、孔の部分で連結されている。
図1(e)は、結束具1に結束補助具120を取り付けた状態を示している。図では、閉鎖リング1bの隣の環状部材に結束補助具120が取り付けられている。しかし、取り付け位置は自由に決定して変える事が可能である。つまり、最適な位置に取り付ければ良い。
また、閉鎖リング1bは、開閉可能な開閉リングであっても構わない。開閉リングであれば、被係止部であるチェーン部分からの係止機構部の取り外しや交換が可能となり便利である。
図2は、図1(a)に示す結束具と、図1(c)に示す結束補助具を各々2つずつ用いて結束する方法を示す図である。なお、図1(e)とは異なり、図示の都合上、結束補助具は、閉鎖リング1bに取り付けられている。結束具Aに係止して結合した結束補助具の結合孔を結束具Bの被係止部であるチェーン部分が貫通しており、結束具Bに係止して結合した結束補助具の結合孔を結束具Aの被係止部であるチェーン部分が貫通している。また、実際に図2の様に、結束補助具を結束具の係止部材以外の部位に取り付けてこの結束方法に用いることも可能である。
図2に示すように、2つの結束チェーンにより、物品を前後、左右、上下から締め付けるように結束することが可能である。結束補助具の使用により、結合孔を元々有していない結束具を用いて、2箇所で交差させて結束することが可能となる。また、双方の結束具共に、2箇所の交差部分において、互いに装着されている結束補助具の結合孔により、相手の結束具に結合されている。結束補助具120の係止結合孔の方向と結合孔の方向の立体交差する角度は垂直であってもその他の角度であっても構わない。結束対象物の形状などを考慮して決定すればよい。各結束具の結束の結果、形成される環状部が形成する平面が直交する様にしたければ、係止結合孔または係止結合溝の方向と結合孔または結合溝の方向の立体交差する角度を垂直にすることにより、結合孔と結合孔の中に通された係止部材との抵抗が減り、結束しやすくなる。
また、この様な、長尺状の結束具と結束補助具を各々2つずつ用いて結束する方法は、結束チェーン以外の結束具を用いても実現可能である。例えば、図3や図4に示す結束ベルトや結束バンドを用いても実現可能である。勿論、結合孔や結合溝の形状を調整すれば、結束チェーンと結束ベルト、結束ベルトと結束バンドと言った異なる種類の結束具を使用して、図2や図5に示す様な結束をすることが可能である。
また、予め、長尺状の結束具に、結束補助具が組み込まれていても構わない。つまり、結合孔や結合溝をそれぞれ元々有している2つの結束具を用いても、図2に示す2箇所の結束具による交差部分が、それぞれ互いの結合孔や結合溝で結合される結束を実現することが可能である。勿論、一方が結合孔または結合溝を元々有する長尺状の結束具で、他方が結合孔または結合溝を有する結束補助具を装着した長尺状の結束具であっても、図2に示す2箇所の結束具による交差部分が、それぞれ互いに相手に付属する結合孔や結合溝で結合される結束を実現することが可能である。
図3は、図1に示す結束具および結束補助具以外の、結束具および結束補助具の例を示す図である。
図3(a)は、結束具として用いることが可能な結束ベルトの構造の概要を示す図である。結束ベルトとは、係止機構部により係止される被係止部としてベルトを用いたものである。つまり、係止部材としてベルトを用いた結束具である。
図3(a)に示すように、結束ベルト2は、複数の孔207aと、孔207aに挿入することで孔207aを含むベルト部を係止する部位である係止部207bを有する。つまり、衣服に使用するベルトと同様の構造である。また、係止部207bを備えるバックル部分が結束ベルト2における係止機構部である。
図3(b)〜図3(d)は、結束ベルト2に用いることが出来る結束補助具の例を示す図である。
図3(b)に示すように、結束補助具210は、結束ベルト2を係止し結合する溝である係止結合溝213と、結束ベルト2自身または他の結束ベルトのベルト部を結合する為の孔である結合孔212を有している。また、結束補助具210は、図3(b)において、下面から係止結合溝213に至るネジ穴218aを有している。ネジ穴218aは、ネジ218bのネジ山およびネジ溝に対応するネジ溝およびネジ山を有しているが、図3(b)においては、図示の都合上、ネジ溝およびネジ山を省略している。ネジ218bは、結束補助具210の下面からネジ穴218aにねじ込まれた後、係止結合溝213に通されたベルト部の孔207aに差し込まれることで、ベルト部を結束補助具に係止する。
図3(c)に示すように、結束補助具220は、結束ベルト2を係止し結合する孔である係止結合孔221と、結束ベルト2自身または他の結束ベルトのベルト部を結合する為の孔である結合孔222を有している。また、結束補助具220は、図3(c)において、下面から係止結合孔221に至るネジ穴228aを有している。ネジ穴228aは、ネジ228bのネジ山およびネジ溝に対応するネジ溝およびネジ山を有しているが、図3(c)においては、図示の都合上、ネジ溝およびネジ山を省略している。ネジ228bは、結束補助具220の下面からネジ穴228aにねじ込まれた後、係止結合孔221に通されたベルト部の孔207aに差し込まれることで、ベルト部を結束補助具に係止する。
図3(d)に示すように、結束補助具230は、結束ベルト2を係止し結合する係止結合ネジ238bおよびネジ穴238aと、結束ベルト2自身または他の結束ベルトのベルト部を結合する為の孔である結合孔232を有している。また、結束補助具230のネジ穴238aは、図3(d)において、下面から結合孔232に到達しない穴となっている。ネジ穴238aは、係止結合ネジ238bのネジ山およびネジ溝に対応するネジ溝およびネジ山を有しているが、図3(d)においては、図示の都合上、ネジ溝およびネジ山を省略している。係止結合ネジ238bは、ベルト部の孔207aに差し込まれた後、結束補助具230の下面からネジ穴238aにねじ込まれることで、ベルト部を結束補助具に係止する。また、結束補助具230の場合、ネジ穴238aを有する下面と、係止結合ネジ238bの円盤の上面との間が係止結合溝となっている。
また、図3(b)の結束補助具210の係止結合溝213と結合孔212のお互いが、ベルトを保持した場合のベルトの交差部分のベルトの長手方向はねじれの位置で、ネジ穴218aの方向から見ると、直交する向きであるが、互いの方向の関係に制約はない。例えば、ネジ穴218aの方向から見て、斜めであっても構わない。但し、図2に示す結束方法の実施においては、互いに平行でないことが望ましい。つまり、互いに平行の場合には、被係止部に強い歪みが生じてしまうことになる。図3(c)における結束補助具220の係止結合孔221と結合孔222の互いの孔の方向についても同様である。
また、図2の様な物の縛り方は結束バンドを用いても可能である。すなわち、二つの結束バンドに、他の結束バンドのバンド部分が通過出来る結合孔を有する結束補助具をそれぞれ装着して、図2の様に縛ることが可能である。
図4は、結束バンドと結束バンドに用いることができる結束補助具の例を示す図である。
図4(a)は、結束バンド3の正面を示す図であり、図4(b)は、結束バンド3の上面を示す図である。結束バンド3は、係止機構部に係止される為の被係止用凹凸部を長手方向に複数有するバンド部と、被係止用凹凸部を係止する為の係止機構部とから構成されている。係止機構部は、バンド部の凹凸部を1方向にのみ貫通可能とする、孔の内部に凸部を持つ貫通孔を有し、貫通孔の凸部によりバンド部を係止することが可能である。また、結束バンド3においては、バンド部が係止部材となる。
図4(c)〜図4(n)は、結束バンド3に装着可能な結束補助具を示す概略図である。また、図4(c)〜図4(n)に示す結束補助具は、結束バンド3の係止機構部と同様に、結束バンド3のバンド部の凹凸部を1方向にのみ貫通可能とする、孔の内部に凸部を持つ係止結合孔を有し、係止結合孔によりバンド部の凹凸部を係止することが可能である。
図4(c)は、内部に係止機能を備えている係止結合孔311と内部に係止機能を備えていない結合孔312を有する結束補助具310を示す図である。図中、点線で描かれているのが、係止結合孔で、バンド部の凹凸部を1方向に限り貫通可能とする凸部が、孔の内部に存在している。図において、係止結合孔311の右から左の方向に限り、結束バンド3のバンド部の凹凸部を下にして挿入することが可能である。しかし、左から右の方向への挿入は不可であり、また、右から左の方向へ挿入後、逆方向への移動は出来ない構造となっている。つまり、挿入後抜去できない構造となっている。また、係止結合孔311と結合孔312の孔の方向は、互いにねじれの位置で垂直に交差する向きに構成されている。
図4(d)は、係止結合孔321aと係止結合孔321bを有する結束補助具320を示す図である。係止結合孔321aと係止結合孔321bの孔の方向は、互いにねじれの位置で垂直に交差する向きに構成されている。
図4(e)〜図4(m)は、互いの向きや角度が異なる2つの係止結合孔を有する結束補助具のバリエーションを示す図である。
図4(n)は、係止結合孔と結合孔を有する結束補助具を示す図で、軸900により、軸900を軸として、互いに回転が可能で、互いの向を変えることが可能となっている。また、図4(d)〜図4(m)などの係止結合孔同士の互いの方向も、軸により同様にして変更することを可能にできる。
図4(o)は、図4(a)および図4(b)に示す結束バンド3に、図4(c)に示す結束補助具310を装着した図である。結束補助具310の係止結合孔311に、結束バンド3のバンド部分を挿入して、図4(o)の様に、矢印の方向に結束補助具310を結束バンド3の係止機構部付近までスライドさせると、結束補助具310は矢印とは逆向きの方向にはスライド出来ない為に結束バンド3に固定された状態となる。
図5は、図4(o)に示す結束補助具310を装着した結束バンド3を2組用いて、図2に示す結束方法と同じ結束を行った場合の状態を示す図である。
図5に示す結束方法を、図4(o)に示した状態の結束バンド3と結束補助具310を用いて行った場合、2つのそれぞれの結束補助具は、係止機能を備えている係止結合孔と、係止機能を備えていない結合孔を両方とも有していることになる。結合孔の方向には係止効果が無い為、結束対象物に対するそれぞれの結束バンド3で形成される環状部には、他方の結束バンド3の長手方向への歪みが生じにくくなり、より簡単に効果的な結束が可能となる。
つまり、結束対象物の大小に関わらずそれぞれの結束バンドの環状部は、それぞれの結束バンドに係止結合した結束補助具の結合孔部分において、結合孔の方向、即ち、相手の結束バンドの長手方向への影響を受けずに結束が可能であり、歪みが少なく、相手の結束バンドが切れてしまった場合でも、切れずに残った環状の結束が緩みにくいといった効果がある。
また、結束バンド3と結束補助具310が、図4(o)の状態になったものを、図5の様にして結束した場合、左上方の結束補助具310の上方に位置する孔である結合孔312と、右下方の結束補助具310の下方に位置する孔である結合孔312には、孔の内部に係止機能を有する凸部が存在しない為、各結合孔312を通っている結束バンドのバンド部には、結合孔312の孔の方向に係止力が働かない。それ故に、各結束バンドに、結束対象物の形状や固さなどの影響による歪みが発生しない場合には、各結束バンドの環状部を小さくして行っても、各結束バンドの環状部はそれぞれ1つの平面を形成し続けることが出来る。
つまり、図4(o)に示した状態の結束バンド3と結束補助具310を2組用いて、図5に示した対向する2箇所で交差結合する結束を実施すると、各結束バンド3に係止結合した対向する結束補助具310の備えるそれぞれの結合孔312の孔の方向がねじれの位置で交差することになるため、一方の結束バンド3のみが、結束対象物の周囲を回転またはスライドすることが無く、非常にずれにくい結束となる。更に、自身の備える係止機構部を貫通した各結束バンド3のバンド部の端部付近を反対側に引っ張るだけで、極めて小さいものまで簡単に結束可能となる。つまり、各結束バンド3で形成される閉鎖環状部は、理論上、独立してほぼ0の大きさまで小さくすることが可能である。また、結合孔312にはどちら側からでも、相手の結束バンド3のバンド部の挿入が可能である為、一方の結束バンド3の締める方向を逆向きにしても、対向する2箇所で交差結合する結束を実施することが可能である。
しかしながら、図5に示した左上方の結束補助具の孔の両方に係止機能を持つ凸部が存在するか、右下方の結束補助具が有する孔の両方に係止機能を持つ凸部が存在した場合、例えば、少なくともどちらか一方の結束補助具が図4(d)に示した結束補助具であった場合、結束バンド同士の結合力は、結束補助具の各々が、バンド部に対する係止機能がある凸部を孔の内部に備える係止結合孔と、係止機能の無い結合孔の両方を有している場合、つまり、両方の結束具補助具が図4(c)に示した結束補助具であった場合に比べて、強くなるといった効果がある反面、一旦、何かの弾みでバンド部が係止結合孔の中をスライドしてしまうと、係止機能が無い結合孔の場合と異なり、逆向きのスライドが出来ないために結束バンドの環状部に歪みが生じてしまう恐れが出てくる。
例えば、左上方の結束補助具310が有する上方の結合孔312が、バンド部の凹凸に対する係止機能を有する凸部を孔の内部に備えている係止結合孔であり、左上方の結束補助具が図4(d)に示した結束補助具であった場合、左上方の結束補助具が、一度、係止機構部が右下方に描かれた結束バンドの係止機構部側にスライド(図5においては、反時計回りの方向。)してしまうと、左上方の結束補助具が有する上方の係止結合孔の係止機能を有する凸部により、係止機構部が右下方に描かれた結束バンドのバンド部の凹凸部が係止され、左上方の結束補助具は、係止機構部が右下方に描かれた結束バンドの係止機構部側にスライド(図5においては、反時計回りの方向。)したままになってしまう。それにより、係止機構部が左上方に描かれた結束バンドのバンド部は、左上方の結束補助具により引っ張られて歪んだ状態となる。この歪みは、修正が難しく、係止機構部が右下方に描かれた結束バンドが切れてしまった場合、係止機構部が左上方に描かれた結束バンドは、結束対象物から緩んだ状態となってしまう。 勿論、右下方の結束補助具310が有する下方の結合孔312が、バンド部の凹凸に対する係止機能を有する凸部を孔の内部に備えている係止結合孔であっても同様のことが言える。
また、結束補助具が有する2つの孔または溝が、両方共に係止結合孔または係止結合溝の場合、一方の係止結合孔または係止結合溝を結束具の係止部材に係止結合した後、残りの他方の係止結合孔または係止結合溝に係止部材を挿入することになるが、この場合、その他方の係止結合孔または係止結合溝には、係止部材の挿入方向の制限が存在するといった大きなデメリットが生じている。その為、その他方の係止結合孔または係止結合溝に対する係止部材の挿入方向を考慮して結束を施行しなければならなくなる。
しかし、結束補助具が有する2つの孔または溝の一方が、係止結合孔または係止結合溝で、残りの他方が結合孔または結合溝の場合、一方の係止結合孔または係止結合溝を結束具の係止部材に係止結合した後、残りの他方の結合孔または結合溝に係止部材を挿入することになるが、この場合、その他方の結合孔または結合溝には、係止部材の挿入方向の制限が存在しないといった大きなメリットが生じている。その為、その他方の結合孔または結合溝に対する係止部材の挿入方向を考慮せずに結束を施行することが可能となる。
また、図4(c)において、係止結合孔311と結合孔312の孔の方向は、互いにねじれの位置で垂直に交差する向きに構成されているとしたが、互いにねじれの位置で垂直に交差する向きでなくても良い。例えば、互いに平行であっても、斜めであっても構わない。使用状況におけるバンド部の交差方向に合わせて作製すれば良い。図4(d)〜図4(m)などについても、同様に係止結合孔同士の向きに制限はない。例えば、互いに平行であっても、斜めであっても、ねじれの位置で垂直に交差していても構わない。使用状況におけるバンド部の交差方向に合わせて作製すれば良い。また、結束具を交差結合させて結束対象物を結束する場合、係止部材の材質によっては交差部位の歪みが大きな問題となる為、孔同士の方向が互いに平行ではなく、ねじれの位置で交差する方がより効果的な結束が行える。
また、図4(n)に示す結束補助具は、係止結合孔を有する部分と、結合孔を有する部分が軸900により回転可能であることにより、係止結合孔と結合孔は、お互いの角度を様々に変えることが可能であるが、図4(n)に示す結束補助具を用いて図5に示す結束を行った場合に、結束バンド同士の交差部分の角度は、結束時の状況に合わせて様々な角度になることができる。その結果、結束バンド同士の交差部分に歪みが生じにくくなり、安定した結束を得ることが可能となる。
例えば、図4(c)の結束補助具310においては、係止結合孔311と結合孔312は垂直に立体交差しており、結束バンド同士を垂直に近い角度で交差するようにして、結束対象物を結束する場合には、結束バンド同士が交差部分で歪むことがないので問題ないが、垂直とは明らかに異なる角度で交差するようにして、結束対象物を結束する場合には、結束バンドの交差部分で歪みが問題となることが考えられ、係止結合孔と結合孔の互いに対する角度を変えられる結束補助具は、利用価値が非常に高いと考えられる。
また、結束バンドで結束を行う過程で考えると、結束補助具が備える係止結合孔と結合孔の立体交差の角度が不変であったとしても、係止結合孔と結合孔の立体交差の角度と同じ角度で結束バンド同士が終始交差するようにして図5の様に結束が可能な場合には、結合孔の方向へのバンド部のスライドが速やかに行え、簡単に各結束バンドを結束対象物に締め付けることが可能である。
しかし、結束対象物の形状や性状によっては、結束バンドの締め付け始めから締め付け終わり迄の過程において、係止結合孔と結合孔の立体交差の角度が変化する方が結束し易いことがある。
分かりやすく説明すると、結束バンドを2つ用いて、結束バンド同士が2箇所で交差する様にして、結束対象物を結束する場合、つまり、図5において、結束補助具を2つとも除去した状態で、2つの結束バンドで結束対象物を結束する場合、結束対象物の形状や性状によっては、それぞれの結束バンドを締め付けていくに従い、結束バンド同士の交差する角度が一定ではなく変化していくことがある。例えば、各結束バンドは、結束して出来る閉鎖環状部を小さくしていった場合、結束対象物に対する緊縛力が最も弱くなる様に、つまり、結束バンド自体が張る力が最も弱くなる様に、結束対象物に対して位置取りをしようとする。それにより、2つの結束バンドを用いて、2箇所でお互いが交差する様にして結束対象物を結束する過程において、互いの交差する角度が変化していくことがある。それ故に、2つの結束バンドと2つの結束補助具を用いて、図5の様に結束する場合においても、結束補助具の係止結合孔の方向と結合孔の方向の交差角度が可変であり、結束する過程で結束補助具部分での結束バンド自体の歪みが少ない方が、結束バンドを結束するのに要する力が少なくて済む。
具体的には、図4(n)に示す結束補助具を2つと図4(a)および図4(b)に示す結束バンド3を2つ用いて、図5の様に、上述の結束方法を施行する場合、結束補助具の係止結合孔を有する部分と結合孔を有する部分が軸900により回転可能であり、結束バンドを締め付けていくに従い、結束対象物の形状や性状に応じて、結束バンド同士の交差部分の角度が、結束バンドのバンド自体の歪みの少ない角度に自由に変化可能な為、結束バンド同士が2箇所で交差する様にして結束対象物を簡単に結束可能で、結束補助具の構造上の特性により、それぞれの結束バンドが単体で、結束対象物の周囲を回転やスライドすることが無く、簡単に緩みにくい結束が実現できる。
このように、本発明は、安価かつ装着が容易であり、結束具の締結力を向上させるための結束補助具と、結束補助具を用いた結束具による締結力の強い結束方法を提供することができる。