以下、本発明に係る二輪車シミュレーション装置について実施例の形態を挙げ、添付の図1〜図26を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る二輪車シミュレーション装置10は自転車のシミュレーション装置であって、模擬自転車(模擬二輪車)12と、該模擬自転車12の運転に応じた情景を画面14aに表示するモニタ(表示部)14と、運転者に対して音声指示を与えるとともに模擬音を発生するスピーカ15と、左右一対の光スイッチ(運転者検知部)16と、二輪車シミュレーション装置10の全体的な制御を行う主制御部18とを有する。主制御部18は模擬自転車12の前方に配置され、モニタ14及びスピーカ15は主制御部18の上部で模擬自転車12の運転者から視認性の良い位置に配置されている。
光スイッチ16は、左スイッチ(光学手段)150Lと右スイッチ(光学手段)150Rとからなる。
モニタ14の画面14aには、音声認識部190(図7参照)の作用下に音声認識処理が有効となっていることを示すインジケータとしての音声認識マーク19(図9参照)が表示される。該音声認識マーク19は、マイクの形状を示すマークと「マイクオン」という文字列から構成される。主制御部18、モニタ14及びスピーカ15は4本の支柱21によって昇降可能に支持されており、運転者の体型に合わせて高さの調整が可能である。モニタ14は、例えば、ハンドル28の上部に設けられる小型のものであってもよい。
次に、模擬自転車12について説明する。以下、模擬自転車12において左右に1つずつ設けられた機構については、左のものの番号符号に「L」を付し、右のものの番号符号に「R」を付すことにより区別して説明する。
模擬自転車12は、フレーム20と、該フレーム20にシートピラーを介して接続されたサドル(シート)24と、フレーム20のヘッドチューブ26を支軸として回動可能なハンドル28と、ヘッドチューブ26を固定支持するスタンドとしての左右一対のフロントフォーク(支持台)29L及び29Rと、フレーム20の後端部に設けられた鉄製のフライホイール30と、該フライホイール30が床面から離間するようにフレーム20を支えるバックスタンド(支持台)32とを有する。サドル24及びハンドル28は運転者の体型に合わせて高さの調整が可能である。
フロントフォーク29L及び29Rは、ヘッドチューブ26下端部から左右斜め下方に向かって拡開する形状であり、自転車のフロントフォークを模した形状であることからシミュレーション装置として好適である。
フロントフォーク29L及び29Rの下端部は、接地プレート(接地体)29aに接続されている。接地プレート29aは、地面に沿って左右方向に延在する板体であって、適度な面積を有する。
バックスタンド32は、フライホイール30の軸中心左右端から左右斜め下方に向かって拡開するポスト32L及び32Rと、該ポスト32L及び32Rの下端に接続された枠体(接地体)32aとを有する。
フロントフォーク29L、29R及びポスト32L、32Rによれば、左右斜め下方に向かって拡開する形状であることから、下方では左右にやや離れた箇所で支持が可能であり、運転者の重心位置が多少左右にずれても、運転者及び模擬自転車12を安定して支持することができる。また、上方では無駄な拡がりがなく、光スイッチ16等を設けるのに好適である。
接地プレート29a及び枠体32aは、適度な面積を有することから模擬自転車12を安定して支持することができる。特に、二輪車シミュレーション装置10を土の校庭等で用いる場合にも、フロントフォーク29L、29R及びポスト32L、32Rが地面に食い込まれることが防止でき、模擬自転車12を地面に対して安定して設置できる。二輪車シミュレーション装置10を土の校庭等で用いる場合にも、フロントフォーク29L、29R及びポスト32L、32Rが地面に食い込まれることを防止でき、模擬自転車12を地面に対して安定して設置できる。二輪車シミュレーション装置10を屋内で用いる場合でにも、床面を保護することができる。
図1、図2及びに示すように、模擬自転車12は、クランク軸34の左右に連結された一対のクランク36L及び36Rと、該クランク36L及び36Rの先端に設けられたペダル38L及び38Rと、クランク軸34の回転をフライホイール30へ伝達する駆動力伝達部40とを有する。
さらに、模擬自転車12は、電気的な機構として、フライホイール30に負荷を加える負荷部42と、フライホイール30を制動するための制動指示部44と、フライホイール30の回転速度を検出する速度検出部46と、クランク36L及び36Rの回転位置を検出するクランク位置検出部48と、ハンドル28の舵角θHを検出する舵角センサ50と、運転者の声を入力するためのマイクロホン52と、サドル24の後方下部に設けられたグリップ検出部56とを有する。また、模擬自転車12には、これらの電気的な機構から信号を受信するとともに所定の制御を行うための副制御部58が設けられており、該副制御部58と主制御部18とはリアルタイムの相互通信が可能である。
図2及び図3に示すように、前記駆動力伝達部40は、クランク軸34に設けられた駆動ギア70と、従動ギア72a及び駆動ギア72bを備える第1中間軸72と、従動ギア74a、駆動スプロケット74bを備える第2中間軸74とを有する。駆動ギア70は従動ギア72aと噛合する一方、駆動ギア72bは従動ギア74aと噛合しており、これにより、第2中間軸74は、第1中間軸72を介してクランク軸34の駆動力を受けて回転する。
また、駆動力伝達部40は、フライホイール30を軸支するフリーハブ76と、該フリーハブ76に設けられた従動スプロケット78と、駆動スプロケット74bの駆動力を従動スプロケット78に伝達するチェーン80とを有する。クランク軸34、第1中間軸72及び第2中間軸74はそれぞれ2つずつのベアリングにより軸支されている。フリーハブ76にはベアリングが内蔵されている。
フリーハブ76は、内部のワンウェイクラッチ機構により、従動スプロケット78の正方向の回転駆動力のみをフライホイール30に伝達する。従って、クランク軸34が逆方向に回転する場合、又はフライホイール30が正方向に回転している最中にクランク軸34の回転が停止した場合には、フライホイール30はクランク軸34と無関係にその時点の回転状態(正方向への回転又は停止)が維持される。
前記負荷部42は、一端がフレーム20に軸支された円弧状の負荷板90と、該負荷板90の他端に接続されたプルケーブル92と、プルケーブル92を巻き取るドラム94と、ドラム94を回転駆動させるモータ96とを有する。負荷板90はフライホイール30と同心状であって、内周側の面にはフライホイール30の外周のリム30aと対面するように複数のフェライト磁石98が貼り付けられている。負荷板90はトーションスプリングによりフライホイール30の方向に傾動付勢されており、プルケーブル92が引かれていないときには、負荷板90の他端に設けられたローラ99がリム30aに当接して回転する。このとき、フェライト磁石98とリム30aは非常に接近することとなり、フライホイール30が回転する際にリム30aに渦電流が流れて渦電流損が発生し、フライホイール30に負荷を与えることができる。渦電流によって負荷を与えることにより、機械的騒音の少ない静粛な運転が可能である。
また、モータ96の作用下にプルケーブル92を巻き取ることにより、負荷板90が傾動してフェライト磁石98がリム30aから離間する。従って、フライホイール30に対する負荷は、モータ96の作用下に調整可能であって、負荷板90がリム30aから最も離間したときには、負荷は略0となる。負荷部42によるフライホイール30に対する負荷は制動力としても作用し、負荷部42は制動手段を兼ねる。負荷部42は、制動のための摺動部がないことから、機械制動により負荷を発生させる型式では必要としていたブレーキパッド等の部品交換が不要である。
さらに、想定されるギア段が高い場合であってペダル38L、38Rを漕いでいるときには負荷板90をリム30aに接近させることにより運転者に対してペダル38L、38Rの操作を重く感じさせることができ、模擬的なギアチェンジを行うことができる。この場合、ペダル38L、38Rを漕いでいないときには負荷板90をリム30aから離間させ、不自然な制動が行われないようにするとよい。ペダル38L、38Rを漕いでいるか否かは、左近接センサ132L及び右近接センサ132Rから得られる信号に基づいて判断することができる。
制動指示部44は、ハンドル28に設けられた2つのブレーキレバー100L及び100Rの引き込み量を検出するセンサを有する。該センサにより、検出された信号はそれぞれ副制御部58へ供給される。副制御部58では、検知されたブレーキレバー100L及び100Rの操作(以下、ブレーキ操作という)の量に応じた信号に基づいて負荷部42を制御してフライホイール30に制動力を与える。ブレーキ操作がなされていないときには、負荷板90をフライホイール30から最も離間させて負荷を略0とする。
舵角センサ50はヘッドチューブ26の下端部に設けられており、ハンドル28を支持するステム28aの回動角度を検出する。マイクロホン52はハンドル28上に設けられており、運転者の顔に近いことから運転者の声が明瞭に入力される。舵角センサ50、マイクロホン52は副制御部58に接続されており、舵角θBの角度信号及び音声信号を供給する。
図2に戻り、速度検出部46は、フレーム20に対してブラケットを介して設けられた速度ピックアップ120と、フライホイール30と同軸で一体的に回転するピックアップロータ122とを有する。ピックアップロータ122は、放射状の4枚のブレード122aを有しており、速度ピックアップ120は各ブレード122aが正面を通過することを検知することによりフライホイール30の回転速度を検出する。フライホイール30は実際の自転車における車輪とみなすことができ、フライホイール30の回転速度を検出することにより、模擬自転車12における模擬走行速度を検出することができる。速度ピックアップ120の検出信号は副制御部58へ供給される。
図2、図3及び図4に示すように、クランク位置検出部48は、クランク軸34の中心から左右等距離位置に設けられた被検出突起130L及び130Rと、左近接センサ132L及び右近接センサ132Rとを有する。左近接センサ132L及び右近接センサ132Rは、ステー133を介してクランク軸34の近傍に設けられており、検出部の正面近傍をそれぞれ被検出突起130L及び130Rが通過するように配置されている。左近接センサ132L及び右近接センサ132Rは、フレーム20又は所定のケーシングに直接取り付けてもよい。
左近接センサ132L及び右近接センサ132Rは、例えば、ホール素子を用いたセンサであり、被検出物である被検出突起130L及び130Rが検出部の正面にあるときにオンとなる。クランク位置検出部48に左近接センサ132L及び右近接センサ132Rを用いることによって、廉価な構成で且つ簡便にクランクの回転位置を検出できる。
被検出突起130L及び130Rは、それぞれクランク軸34を中心として60°の扇形の突起である。クランク36Lが下方、クランク36Rが上方をそれぞれ向いているとき、被検出突起130Lは、図2における鉛直下方から時計方向に45°の角度(以下、基準角度と呼ぶ)を向き、被検出突起130Rは、基準角度から180°の方向を向くように取り付けられている。
左近接センサ132L及び右近接センサ132Rは、基準角度においてそれぞれ被検出突起130L及び130Rを検出可能な位置に設けられている。つまり、左近接センサ132Lは、クランク軸34が回転する際、被検出突起130Lの中心が基準角度を中心として±30°であるときオンとなり、それ以外のときにはオフとなる。一方、右近接センサ132Rは、クランク軸34が回転する際、被検出突起130Rの中心が基準角度を中心として±30°であるときオンとなり、それ以外のときにはオフとなる。すなわち、左側のクランク36L及びペダル38Lが下方を中心として±30°であるときに左近接センサ132Lがオンとなり、右側のクランク36R及びペダル38Rが下方を中心として±30°であるときに右近接センサ132Rがオンとなる。左近接センサ132L右近接センサ及び132Rで検出されたオン・オフの信号は副制御部58に供給される。
また、図4の二点鎖線で示すように、基準角度から時計方向に90°の位置に被検出突起130Lを検出する左近接センサ133Lと、被検出突起130Rを検出する右近接センサ133Rを設けるようにしてもよい。これにより、左近接センサ133Lがオンとなるときに、クランク36Lが水平前方を向いていることを検出することができ、右近接センサ133Rがオンとなるときに、クランク36Rが水平前方を向いていることを検出することができる。これによって、例えば、画面14aに表示される自転車のクランクの画像及び、運転者の足の画像を実際のクランク36L及び36Rの角度に応じて段階的に変化させてアニメーションのように表示させることができ、より現実的な画像が得られる。
グリップ検出部56は、サドル24の後方下部に設けられたモーメンタリ式のリミットスイッチである後退スイッチ140と、該後退スイッチ140をオン・オフ操作するためのレバー142とを有する。
図5に示すように、左スイッチ150Lは反射型であって、投光部200と受光部202と、レーザ204を有する。つまり、運転者が左足LFを地面に付いているときには、投光部200から発した光は運転者の左足で反射し、その一部が受光部202に入光し、内部の受光素子により反射を検知することができる。このとき左スイッチ150Lはオン状態となる。運転者が左足をペダル38Lに載せているときには、投光部200から発した光は反射することなく、受光部202は反射光を検知することはない。このとき左スイッチ150Lはオフ状態となる。左スイッチ150Lのオン信号及びオフ信号は副制御部58へ供給される。
レーザ204は、投光部200及び受光部202に対して固定(又は一体構成)にされており、図6に示すように、平面視(又は運転者の視点)でみて、左スイッチ150Lが発する光の対象物検出範囲500の中心線500a(又は光軸)と略一致するレーザ光を発する。これにより、運転者は左スイッチ150Lによる対象物検出範囲500を認識することができ、該対象物検出範囲500内に確実に足を降ろすことができる。
図5に戻り、レーザ光LBはその光軸が水平よりも下方に向かって指向するように設定されており、模擬自転車12の全長X内で床に当たるように設定するとよい。該レーザ光LBは、足首以外の人に当たることがなく、不快感を与えることがない。
また、レーザ204は左スイッチ150L内に一体的に設けられていることから、レーザ光LBの光軸を確認及び調整することにより、投光部200及び受光部202の光軸が一体的に調整され、簡便である。
左スイッチ150Lは反射型であることから、単体で運転者の左足を検知することができ、簡便構成となる。図5から明らかなように、左スイッチ150Lは小型であって、模擬自転車12の横幅内及び全長内に収まり、周囲の障害物に干渉することがなく、且つ搬送、収納に便利である。左スイッチ150Lは、投光及び受光面が透明のケースで覆われており、耐水性及び耐塵性等に優れる。
左スイッチ150Lは、フロントフォーク29Lに対してブラケット(向きの調整機構)206を介して適度な高さ位置に設けられており、ナット208により固定されている。ナット208を緩めることにより、左スイッチ150Lは下方向に向きを調整することができる。これにより、左スイッチ150Lの初期の向き調整又は運転者の個人差に応じた向きの調整が可能となる。左スイッチ150Lは地面に対して適度な高さに設けられ、床面に直接配置する必要はなく、耐水性及び耐塵性が一層向上する。
フロントフォーク29Lは左斜め下方向に広がる形状であることから、左スイッチ150Lは模擬自転車12の中央から左にややオフセットした位置に配置可能となり、運転者の左足を一層確実に検出することができる。
左スイッチ150Lの投光の向きは、ペダル38Lの回転範囲よりも下で、可及的に下の箇所で、且つ適度に反射をするように略垂直な面に対して投射されるように設定するとよく、例えば運転者が降車したときにフレーム20のフロントチューブ20aを跨いで両足を地面に付けたときの足首に向かって投射するとよい。
左スイッチ150Lの投光の向きは、水平よりやや下方に向かって投光し、対象物検出範囲500(図6参照)は模擬自転車12の全長内に収めるとよい。これにより、運転者の足を検出しやすく、光が他の物体に反射することが防止でき、しかも足首以外の人に当たることがなく、不快感を与えることがない。
左スイッチ150Lの向きは旋回方向にも調整可能であってもよい。左スイッチ150Lで用いる光は可視光である必要はなく、例えば赤外光であってもよい。左スイッチ150Lは、例えば接地プレート29a上や、ポスト32Lに設けられていてもよい。
左スイッチ150Lを例に説明をしたが、右スイッチ150Rについては左スイッチ150Lと左右対称位置に設けられており、床についた運転者の右足を検出するように設定されており、それ以外の構成は左スイッチ150Lと同様である。左スイッチ150Lと右スイッチ150Rとを一体的構成とし、模擬自転車12の中央位置(例えばヘッドチューブ26の下部)に設けてもよい。この場合、各光軸が左右に広がるようにしておくとよい。
なお、右スイッチ150Rを省略して左スイッチ150Lのみを設けてもよい。日本国では左側通行であることから、一時停止時に運転者は左側に足を付くことが望ましいとされ、押し歩き時には左側に降りることが望ましいとされている。したがって、左スイッチ150Lのみを設けることにより、左側に足を付き、又は左側に降りることを運転者に習慣付けさせることができて好適であるとともに、右スイッチ150Rを省略することにより簡便且つ廉価となる。
上述したように、本実施の形態に係る二輪車シミュレーション装置10では、光スイッチ16を設けることによって、運転者が床に足を着く動作を模擬的に実現することができる。
また、光スイッチ16をフレーム20に設けることにより、簡便に設置可能である。つまり、左スイッチ150L及び右スイッチ150Rは、一度設定を行えば基本的には再調整が不要であり、模擬自転車12に対して別体的に配置し、又は調整をする必要がない。もちろん、メンテナンス時や運転者の個人差に応じて光軸等の調整を行うこともできる。また、左スイッチ150L及び右スイッチ150Rは小さく、模擬自転車12の横幅内に収まって搬送及び収納に好適である。
次に、図7に示すように、副制御部58は、入力インタフェース部170と、ドライバ部172と、第1通信部174とを有し、主として、模擬自転車12の電気的な機構と主制御部18との間のインタフェース的な作用を奏する。入力インタフェース部170は、マイクロホン52及び前記の各種センサと接続されており、アナログ信号及びデジタル信号の入力を行う。ドライバ部172は、モータ96の制御を行う。第1通信部174は、主制御部18との間で各種のデータの授受を行う。
主制御部18は、模擬運転の状況を設定する状況設定部180と、走行状況に応じた演算処理を行う演算処理部182と、モニタ14の表示制御を行う表示制御部184と、スピーカ15の音声出力を行う音声ドライバ186と、運転者に対して所定の警告を行う警告部188と、マイクロホン52から入力された音声を認識する音声認識部190と、前記第1通信部174との通信制御を行う第2通信部192とを有する。
実際上、主制御部18は制御主体のCPU(Central Processing Unit)、と記憶部としてのRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HD(Hard Disk)等を有しており、図7に示す主制御部18の各機能部は、CPUがHDに記録されたプログラムを読み込み、該プログラムをROM、RAM及び所定のハードウェアと協動しながら実行することにより実現される。また、主制御部18は大容量の記憶部194と接続されており、種々のデータの書き込み及び読み取りが可能である。
次に、このように構成される二輪車シミュレーション装置10を用いて、自転車の模擬運転を行う方法について図8〜図21を参照しながら説明する。以下の説明は、所定の電源スイッチをオンとして主制御部18及び副制御部58を起動した後に主制御部18と副制御部58が協動的に行う処理に関するものである。以下の説明では、主制御部18の処理と副制御部58の処理を区別しないで説明し、また、断りのない限り表記したステップ番号順に処理が実行されるものとする。
図8のステップS1において、光スイッチ16がオンとなったか否かを確認する。つまり、光スイッチ16の左スイッチ150L又は右スイッチ150Rの少なくとも一方がオンとなったときにはステップS2へ移り、双方ともオフであるときにはステップS1で待機する。つまり、運転者が光スイッチ16上に立つと、自動的にステップS2へ移ることとなり、それまでの間はステップS1で待機して所定の省電力モード(例えば、モニタ14をオフにする)にしておくことができる。
ステップS2において、模擬運転を開始し画面14a上に所定の開始画面(図9参照)を表示する。この開始画面では、停止した自転車の画像と該自転車の横に起立した運転者である人物の画像を表示する。また、この画面14aに、「模擬運転を開始します。サドルに座ってペダルを漕いでください。」という文字を画面14aに表示させ、又は同様の言葉の音声をスピーカ15から発する(以下、まとめて「指示を行う」という)。さらに、「子供用体験コースはハンドルを左に、大人用体験コースはハンドルを右に操作してください。」という指示を行う。
このように、光スイッチ16の対象物検出検出範囲に足を付くことにより模擬運転を自動的に開始することができ、複雑な操作が不要であって違和感なく模擬運転を開始することができる。また、運転者は、画面14a又はスピーカ15から発せられる指示に従って操作を行えばよく、マニュアル等が不要で容易な操作が可能であり、子供でも模擬運転を行うことができる。
ステップS3において、光スイッチ16がオフとなったか否かを確認する。つまり、左スイッチ150L又は右スイッチ150Rの双方がオフとなったときにはステップS4へ移り、少なくとも一方がオンであるときにはステップS3で待機する。
つまり、運転者がサドル24に跨って、光スイッチ16から足を離すと、自動的にステップS4へ移って、模擬運転における実際の走行を開始することができる。このとき、前記の開始画面を終了するとともに、自転車の画像と該自転車に乗った人物の画像を表示する。
この際、舵角センサθHの信号に基づき、ハンドル28が左に操作されていると認識される場合には子供用体験コースであって、運転者は子供であると判定される。また、右に操作されていると認識される場合には大人用体験コースであって、運転者は大人であると判定され、それぞれコースに応じた所定のフラグをセットする。
ステップS4において、所定の走行条件が成立しているか否かを確認する。走行条件が成立しているときにはステップS5の走行モードへ移り、走行条件が不成立であるときにはステップS6へ移る。
ステップS6において、模擬運転の状況が停止、一時停止又は信号が赤の状況であるか否かを確認する。停止、一時停止又は信号が赤である場合にはステップS7の足つきモードへ移り、それ以外の場合にはステップS8へ移る。
ステップS8において、模擬運転の状況が、横断歩道等の歩行者優先路又は歩道等の歩行者専用路を通過する場合であるか否かを確認する。歩行者優先路又は歩行者専用路を通過する場合には、ステップS9の歩行モードへ移り、それ以外の場合にはステップS10へ移る。
ステップS10において、模擬運転の状況が自転車を後退させる状況であるか否かを確認する。後退させる場合にはステップS11の後退モードへ移り、それ以外の場合にはステップS12へ移る。
ステップS12において、所定の終了条件が成立しているか否かを確認する。終了条件が成立している場合には模擬運転を終了し、条件が不成立である場合にはステップS2へ戻り模擬運転を続行する。また、ステップS5、S7及びS9の処理の終了後においてもステップS2へ戻る。
模擬運転を終了する場合には、前記ステップS1と同様に、光スイッチ16がオンとなったか否かを確認する。この場合、光スイッチ16がオンとなったことにより、運転者が模擬自転車12から降車したことを検出することができ、これに基づいて模擬運転を終了し、所定の省電力モード等のスタンバイ状態に戻る。なお、前記ステップS2において、光スイッチ16がオフとなった後の所定の期間に、模擬自転車12の操作が全くなされない場合には、運転者が光スイッチ16の対象物検出範囲に一旦足を付いたが模擬自転車12に乗ることなく立ち去ったと考えられることから、この場合においてもスタンバイ状態に戻るとよい。
次に、走行モードについて説明する。走行モードとは、運転者がサドル24に座りながらペダル38L及び38Rを漕ぐとともにハンドル28を操作して、模擬走行を行うためのモードである。
図10に示すように、走行モード(図8のステップS5)では、先ず、ステップS101において、データ入力処理を行う。この入力処理では舵角センサ50、回転センサ106L、106R、速度ピックアップ120、左近接センサ132L、右近接センサ132R及び後退スイッチ140の信号を読み取る。このうち、アナログ信号については所定のAD変換を行い、デジタル化したデータを読み込む。
また、この入力処理では、速度ピックアップ120から入力されるデータをFV変換して模擬的な走行速度Vを求める。この際、想定されるギア段が高いときには、FV変換により求められたフライホイール30の回転速度に対してギア段に対応した1.0以上の速度係数を乗算して走行速度Vを求める。
さらに、必要に応じて走行距離、最大速度、平均速度、走行時間等を求め、画面14aに表示するとよい(図12参照)。さらにまた、必要に応じて左近接センサ132L、右近接センサ132Rからクランク軸34の回転数を求めて、画面14aに表示してもよい。このクランク軸回転数に応じて、画面14a上の運転者の足の回転速度を変えて表示すると、より現実的な画像が得られる。クランク軸回転数を適当な値に保持することは自転車の長距離走行時において身体的に重要なことであり、該クランク軸回転数を画面14a上に表示するとトレーニングの用途として好適である。
走行速度Vは、必ずしも速度検出部46により求められるものでなくても、運転者がペダル38L及び38Rを漕ぐことによって発生するパラメータに基づくものであればよく、例えば、前記クランク軸回転数とブレーキ操作の量を示す回転センサ106L及び106Rの信号から推定するようにしてもよい。
ステップS102において、前記音声認識部190の作用下に音声入力処理を行い、マイクロホン52から入力された運転者の音声を認識する。
ステップS103において、フライホイール30に対する負荷制御を行う。この負荷制御では、模擬運転の状況が加速時又は登坂時である場合には負荷を増大させ、平坦走行時又は下り走行時である場合には負荷を軽減させる。また、回転センサ106Lの信号と回転センサ106Rの信号の加算値に略比例させて負荷を増大させる。回転センサ106L及び106Rの信号はブレーキ操作と連動することから、これらのブレーキ操作により負荷が増大して制動作用を奏する。
フライホイール30に対する負荷は、前記のとおり、モータ96の作用下に負荷板90の傾斜角度を調整し、フェライト磁石98とリム30aとの距離を変更することにより行われる。
ステップS104において、走行状況がコーナリング(曲がり角の走行及びUターン等を含む)中である場合のコーナ制御を行う。
ステップS105においては、所定の条件を調べることにより走行モードを終了するか否かを判断する。続行する場合には前記ステップS101へ戻る。
なお、この走行モードの実行中においては、光スイッチ16の信号を調べ、走行速度Vが0でない走行中に、光スイッチ16がオンとなったときには、「走行中に足を着かないでください。」という指示を行うとよい。二輪車シミュレーション装置10の模擬運転を終了する際には、運転者は光スイッチ16の対象物検出範囲500(図6参照)に足を付くだけで足り、特別な操作を行う必要がない。
一方、図10に示した走行モードの処理とは別に、マルチタスク処理によって表示制御部184の処理が同時並行的に実行される。この表示制御部184では、走行モードの実行部とデータの授受を行いながら実行され、画面14aに表示する情景を変更するための制御を行う。この表示制御では、前記ステップS101で求めた走行速度V及び、舵角センサ50により検出されるハンドル28の舵角θHに基づいて画面14aに表示する情景をリアルタイムで変更する。
また、画面14aに表示される情景の視点は、前記ステップS102で得られた音声に基づいて変更され、該音声が「ひだり」であるときには、運転者の左方と想定される情景を表示し、「みぎ」であるときには、右方と想定される情景を表示する。音声が「まえ」であるときには、前方の表示に戻す。
さらに、音声が「うえ」であるときには、斜め後方から鳥瞰視点で前方をみた情景を自転車の画像及び該自転車に搭乗した人物の画像とともに表示させる。音声が「した」であるときには、運転者自身の視点で前方をみた情景を表示させる。音声が「こうほう」(後方)であるときには、後方を走る仮想車両から前方をみた情景を表示させる。
この表示制御部184は、足着きモード、歩行モード及び後退モードにおいてもマルチタスクとして同時並行的に実行され、画面14aの表示をリアルタイムで行う。
図11に示すように、走行モードにおけるコーナ制御(図10のステップS104)では、先ず、ステップS201において、走行速度Vが0であるか否かを確認する。走行速度Vが0であるときには停止中であることから、コーナ制御の処理を終了し、V>0であるときには走行中と判断してステップS202へ移る。
ステップS202において、走行速度Vとハンドル28の舵角θHから模擬的なバンク角θBを求める。バンク角θBを求め、種々の走行状況を作り出すことにより、臨場感のある模擬運転が可能となる。
ステップS203において、バンク角θBが所定閾値以上であるか否かを確認する。バンク角θBが閾値以上である場合にはコーナ制御を終了し、閾値未満である場合にはステップS204へ移る。
ステップS204において、ハンドル28の舵角θHを確認する。舵角θHが0であるときには直進中であることからコーナ制御の処理を終了する。舵角θHがプラス値であり左方向へ操舵中であるときにはステップS205へ移り、マイナス値であり右方向へ操舵中であるときにはステップS206へ移る。
ステップS205において、左のクランク36Lが下方を向いているか否かを確認する。具体的には、左近接センサ132Lがオンであるときにはクランク36Lが下方を向いていることから、左近接センサ132Lの信号を調べ、該信号がオンであるときにはステップS207へ移り、オフであるときにはコーナ制御の処理を終了する。
ステップS206において、右のクランク36Rが下方を向いているか否かを確認する。具体的には、右近接センサ132Rがオンであるときにはクランク36Rが下方を向いていることから、右近接センサ132Rの信号を調べ、該信号がオンであるときにはステップS207へ移り、オフであるときにはコーナ制御の処理を終了する。
ステップS207において、警告処理を行う。つまり、このステップS207は、コーナリング中でバンク角θBが所定角度以上である場合であって、しかもコーナ内側のクランク36L又は36Rが下方を向いているときであることから、模擬運転の状況が、クランク36Lの先端に設けられたペダル38L又はクランク36Rの先端に設けられたペダル38Rが路面と擦れることとなる。このような状況を警告として発することにより、運転者に対して不正確な運転をしないように自転車の基礎的な運転方法を習得させることができる。
この警告は、前記警告部188(図7参照)が表示制御部184及び音声ドライバ186と協動的に行い、スピーカ15からペダル38L及び38Rが路面と擦れる模擬音を発生させるとともに、前記表示制御部184において自転車及び自転車に搭乗した人物が揺動する画像を画面14aに表示させる(図12参照)。また、この画像では、特に、路面に擦っているペダル38L又は38Rを点滅表示、変色表示等により強調させてもよい。また、「警告」等の文字を画面14aに表示させて強調させてもよい。
このように視覚的及び聴覚的に運転者に対して警告することにより、該運転者はあたかも実際にペダル38L又は38Rを路面に擦ったように感じることができ、自転車の運転を習得する上で非常に効果的である。
また、運転者の好みに応じて、この警告の方法は選択的にしてもよく、例えば、電子的な警告音を発したり、音声で「ペダルが路面と擦れています。」と知らせるようにしてもよい。また、二輪車シミュレーション装置10をゲーム用として使用する場合には、このステップS207においてスコアの減点処理を行うとよい。この減点処理は各種の警告処理中において行ってもよい。
このステップS207の後、コーナ制御処理を終了する。なお、このコーナ制御では、コーナ内側のクランクの状態のみを検査対象としているが、反対側であってコーナ外方側となるクランクの状態を検査してもよい。つまり、自転車の高速コーナリング中には、コーナ外方側のペダルを押圧気味に踏み下げておくことがよいとされていることから、コーナ外方側のクランクが正しく下げられていることを確認して、加点処理等を行うようにしてもよい。
コーナ制御において、警告を発する警告部であるステップS207は、バンク角θBとは無関係に、クランクが下げられている方向と同方向にハンドル28が所定量以上操作されている場合に警告を発するようにしてもよい。また、走行速度Vと舵角θHに基づく所定のマップを検索することにより警告を発するようにしてもよい。
次に、足着きモードについて説明する。足着きモードとは、運転者に対して、一時停止箇所等で停止させるとともに足を路面に着かせて、安全確認等の動作を行わせるためのモードである。
図13に示すように、足着きモード(図8のステップS7)では、ステップS301及びステップS302において、前記ステップS101及びステップS102(図10参照)と同様のデータ入力処理及び音声入力処理を行う。
次いで、ステップS303において、走行速度Vが0であるか否かを確認する。走行速度Vが0でないときには、ステップS304において警告処理を行い、その後ステップS301へ戻る。つまり、走行速度Vが0となるまでステップS301〜S304を連続的に行いながら待機する。走行速度Vが0であるときには次のステップS305へ移る。
ステップS304における警告処理とは、例えば、「ブレーキをかけて停止して下さい。」等の指示を行う。また、模擬運転の状況が、交差点等における停止線をオーバしたと判断されたときには、より高レベルの警告として、大きい音量の警告や、より強調された表示の警告を行い、又は模擬運転を中断するようにしてもよい。
ステップS305において、前記ステップS1と同様に、光スイッチ16がオン(つまり、左スイッチ150L、右スイッチ150Rの少なくとも一方がオン)となったか否かを確認する。光スイッチ16がオンとなったときにはステップS307へ移り、オフであるときにはステップS308へ移る。
ステップS306において、表示制御部184により自転車の画像と該自転車のサドルに着座したまま路面に足を着いた人物の画像(図14参照)を画面14aに表示する。また、画面14aに「左右の安全確認をして下さい。」という指示を行う。
このステップS306では、例えば、確実に左右を確認させるために、運転者に「左」、「右」と発声させるようにしてもよい。この場合、音声を音声認識部190で認識し、一時停止箇所における左右の画像を画面14aに表示させ、これらの画像に接近する車両が表示されているときには、再発進を禁止するようにするとよい。
ステップS307において、足着きモードが解除されたか否かを確認し、非解除であるときにはステップS301へ戻り足着きモードの処理を続行し、解除されたときには足着きモードの処理を終了する。足着きモードは、例えば、模擬運転の状況上、信号が赤から青に変わったとき、又は、左右の安全確認が確実になされたときに解除される。
一方、ステップS308では、走行速度が0となっているが運転者が足を着いていない状態であり、足着き警告を行う。すなわち、自転車に限らずオートバイ等を含む二輪車を運転する際に、一時停止の標識のある箇所では足を着いて確実に停止することが安全教育上重要である。つまり、減速するだけ、又は一瞬停止して足を着かずに再発進するようなことは避けなければならない。従って、光スイッチ16の信号に基づいて足を着いてないと確認される場合には足着き警告を行う。
この足着き警告は、図15に示すように、前記表示制御部184において、自転車及び自転車に搭乗した人物が転倒(又は揺動)する画像を画面14aに表示させるとよい。「警告」、「完全に停止して足を着いて下さい。」等の指示を行うようにしてもよい。
また、このステップS308が実行される回数をカウントし、該回数が所定値以上となったときには、自転車が完全に倒れた画像を画面14aに表示するとともに、前記の高レベルの警告を行うようにしてもよい。
ステップS309において、前記ステップS307と同様に、足着きモードが解除されたか否かを確認し、解除されたときには足着きモードの処理を終了し、非解除であるときにはステップS305へ戻る。
次に、歩行モードについて説明する。歩行モードとは、歩行者専用路等で自転車を押し歩くためのモードであり、例えば、他の歩行者等の迷惑とならないような押し歩きを習得するためのモードである。
図16に示すように、歩行モード(図8のステップS9)では、ステップS401〜ステップS404において、前記ステップS301〜S304と同様の処理、つまりデータ入力処理、音声入力処理、走行速度の確認処理及び警告処理を行う。
ステップS403において走行速度Vが0であるときには、ステップS405において、運転者が歩行しているか否かを確認し、歩行を検知したときにはステップS406へ移り、それ以外のときにはステップS408へ移る。
この場合の歩行の検知は、図17に示すように、左スイッチ150Lと右スイッチ150Rの信号に基づいて行われ、左スイッチ150L及び右スイッチ150Rの両方が所定時間以上連続的にオフである期間T1は、乗車中と判断される。左スイッチ150L又は右スイッチ150Rの一方のみが所定時間以上オンである期間T2及び期間T4は、片足着地と判断される。左スイッチ150L及び右スイッチ150Rの両方が所定時間以上連続的にオンである期間T3は、両足着地と判断される。左スイッチ150L及び右スイッチ150Rが交互にオン・オフを繰り返し、且つ左スイッチ150Lと右スイッチ150Rが双方ともオンとなる時間tが存在する期間T5は押し歩き中と判断される。また、左スイッチ150L及び右スイッチ150Rが交互にオン・オフを繰り返し、且つ左スイッチ150Lと右スイッチ150Rが双方ともオンとなる時間がない期間T6は押し走り状態と判断される。
つまり、ステップS405においては、期間T5であるときにはステップS406へ移り、期間T1、T2、T3、T4及びT6であるときにはステップS408へ移る。
ステップS406においては、表示制御部184により降車した運転者が自転車を押し歩きしている画像を画面14aに表示する(図18参照)。このとき、舵角センサ50により検出される舵角θHに基づいて画面14a上の自転車の進行方向を変更させてもよい。また、押し歩きと押し走り区別を判断して前進速度を変更させてもよい。
ステップS407において、歩行モードが解除されたか否かを確認し、非解除であるときにはステップS401へ戻り歩行モードの処理を続行し、解除されたときには歩行モードの処理を終了する。歩行モードは、例えば、押し歩きをしている歩道又は横断歩道の終端部に達したときに解除される。
一方、ステップS408においては、運転者が押し歩きをしていない状態であり、歩行警告を行う。すなわち、歩道では自転車等の二輪車は押し歩くこととされており、押し歩きをしていないときには光スイッチ16の信号に基づいて所定の警告を行う。
この歩行警告としては、「警告」、「停止してから押し歩いて下さい。」、「歩いて下さい。」、「走らないで下さい。」等の指示を行う。また、このステップS408が実行される回数をカウントし、該回数が所定値以上となったときには、前記の高レベルの警告を行うようにしてもよい。
ステップS409において、前記ステップS407と同様に、歩行モードが解除されたか否かを確認し、解除されたときには歩行モードの処理を終了し、非解除であるときにはステップS405へ戻る。
次に、後退モードについて説明する。後退モードは、降車した運転者が自転車を押しながら後退するモードである。例えば、図19に示すように車道の左側を走行中に交差点で右折しようとするとき、矢印Aで示す経路のように、一度直進してから方向を変えて横断歩道300を押し歩くこととなるが、信号が赤であるときには一度歩道302へ待避するために後退することとなり、このとき後退モードとなる。
また、図20に示すように、自転車の前方の模擬障害物304に接近しすぎた場合には自転車は前進することができなく後退しなければならないため、このような場合においても後退モードとなる。これらの場合以外にも駐輪場への自転車の出し入れ時等の後退動作を模した後退モードを設定してもよい。
図21に示すように、後退モード(図8のステップS11)では、ステップS501〜ステップS504において、前記ステップS301〜S304と同様の処理、つまりデータ入力処理、音声入力処理、走行速度の確認処理及び警告処理を行う。
ステップS503において走行速度Vが0であるときには、ステップS505において前記ステップS1と同様に、光スイッチ16がオンとなったか否かを確認する。光スイッチ16がオンとなったときにはステップS506へ移り、オフであるときにはステップS503で待機する。
ステップS506において、後退スイッチ140がオンとなったか否かを確認する。後退スイッチ140がオンとなったときにはステップS507へ移り、オフであるときにはステップS506で待機する。つまり、降車して自転車を後退させるときには、左手でハンドル28の左部を握り、右手でサドル24を握りながら後退することが一般的である。(図19及び図20の人物の画像参照)サドル24を握らずにハンドル28だけを握ったまま後退させようとすると、ハンドル28はヘッドチューブ26の部分で回転してしまい、後退する方向が定まらないからである。従って、サドル24をレバー142とともに握ることにより自転車を後退させる正しい姿勢が得られ、このとき後退スイッチ140がオンとなることから、該後退スイッチ140の信号を検出することにより自転車を後退させる準備ができたことを認識可能となる。
また、後退スイッチ140は、サドル24の後方下部に設けられていることから、運転者がサドル24に着座して前記走行モード等における通常の模擬走行を行っている時には触れにくく後退スイッチが誤操作されるおそれがない。つまり、後退スイッチ140は運転者が降車したときのみ操作しやすい位置に配置されており、降車して行う後退動作がより現実的となる。
ステップS507において、前記ステップS405と略同様に、歩行の検知を行い、歩行を検知したときにはステップS508へ移り、それ以外のときにはステップS510へ移る。このとき、運転者は模擬自転車12の横に降車していることから、光スイッチ16のうち左スイッチ150Lと右スイッチ150Rの何れか一方の対象物検出範囲500(図6参照)に所定の時間間隔で足を付くこととなる。従って、例えば、運転者が模擬自転車12の左側に降車する場合を想定すると、図17のタイムチャートのうち左スイッチ150Lの信号のみに基づいて歩行状態を検出してもよく、期間T5及びT6を歩行状態と判定すればよい。
ステップS508においては、図19及び図20に示すように、表示制御部184により降車した運転者が自転車を押しながら後退している画像を画面14aに表示する。このとき、舵角センサ50により検出される舵角θHに基づいて画面14a上の自転車の後退方向を変更させてもよい。
ステップS509において、後退モードが解除されたか否かを確認し、非解除であるときにはステップS501へ戻り後退モードの処理を続行し、解除されたときには後退モードの処理を終了する。図19に示す例の場合、自転車が横断歩道300から歩道302まで完全に後退したときに後退モードが解除される。
このように、後退モードにおいては、運転者が模擬自転車12のグリップ検出部56を操作するとともに光スイッチ16の対象物検出範囲500(図6参照)に所定の時間間隔で足を付くという動作に基づいて、画面14aがこれに対応した画像が表示されることから、運転者はあたかも自転車を実際に後退させているように感じることができる。また、充分に後退した後には後退モードが解除されて任意の方向に進むことが可能となる。従って、模擬運転中に自転車が前方の模擬障害物に接近しすぎた場合であっても、模擬運転を終了させたり、又は模擬障害物を消去するという不自然な処理を行う必要がなく、現実的である。
次に、右スイッチ150Rを省略し、左スイッチ150Lのみを設けた場合の処理手順について説明する。右スイッチ150Rは、例えば図22に示すオン/オフ信号を副制御部58に供給する。
図23に示すように、先ず、ステップS601において、左スイッチ150Lの信号を入力する。
左スイッチ150Lの信号がオフであるときには、ステップS602において、足が床についていない状態であると判定し、ステップS603において対応する画面表示を行う。この場合は、図22における期間U2に相当する。
左スイッチ150Lの信号がオンであるときには、ステップS604において、オン状態が所定閾値以上であるか否かを判断する。
オン状態が所定閾値以上であるときには、ステップS605において、足を床につけている状態であると判定し、ステップS603において対応する画面表示を行う。この場合は、図22における期間U3に相当する。
オン状態が所定閾値未満であるときには、ステップS606において、押し歩きをしている状態であると判定する。この場合は、図22における期間U1に相当する。次いで、ステップS607において、入力時間t及び間隔u(図22参照)に応じて押し歩き速度を決定する。ステップS603において、決定した押し歩き速度に基づいて、運転者が二輪車を押し歩きする映像を表示する。
このように、1つの左スイッチ150Lに基づいて、足が床に着いていない状態(期間U2)、床に着けている状態(期間U3)及び押し歩きの状態(期間U1)を認識することが可能となる。
次に、二輪車シミュレーション装置10の変形例について説明する。
第1の変形例としては、図24に示すように、左スイッチ150Lのさらに左側に、該左スイッチ150Lと同様の付加スイッチ151を設けておくことにより、歩行モード及び後退モードで左スイッチ150Lの対象物検出範囲と付加スイッチ151の対象物検出範囲に交互に足を付いて模擬的な歩行を行うようにしてもよい。これにより、実際の押し歩きと同じ姿勢で歩行動作及び後退動作を行うことができ、一層臨場感が高まる。この場合、運転者は、左足で付加スイッチ151の対象物検出範囲に足を付き、右足で左スイッチ150Lの対処物検出範囲に足を付く。
この場合、左スイッチ150L,右スイッチ150R及び付加スイッチ151は、接地プレート29aの上面に設けている。
接地プレート29aは左右に延在する形状であることから、左スイッチ150L,右スイッチ150R及び付加スイッチ151を中央から左右にオフセットした位置に配置可能となり、運転者の右足及び左足を一層確実に検出することができる。さらに、左スイッチ150L,右スイッチ150R及び付加スイッチ151は地面に近い位置に配置されることになり、運転者の足が地面に付く瞬間を一層正確に検出することができる。
左スイッチ150Lと付加スイッチ151はフロントフォーク29Lを挟んで隣接した位置に設けてもよい。これにより付加スイッチ151を過度に左側に突出させることがなく、二輪車シミュレーション装置10の横幅を無駄に広げることがない。
第2の変形例としては、図25に示すように、投光部520及び受光部522が別体の光スイッチ524を用いる。投光部520は前記の左スイッチ150Lと同様にフロントフォーク29Lに設けられている。受光部522は、バックスタンド32のポスト32Lに設けられている。光スイッチ524は透過型であることから、運転者の足の色の影響を受けずに検出が可能となる。
ポスト32Lは、左斜め下方に広がる形状であることから、受光部522は模擬自転車12の中央より左にオフセットした位置に配置可能となり、投光部520に対して光軸を合わせやすく、しかも運転者の左足を一層確実に検出することができる。
仮想線で示すように受光部522は、枠体32aに設けてもよい。枠体32aは左右に延在する形状であることから、受光部522を中央から左にオフセットした位置に配置可能となり、運転者の左足を確実に検出することができる。さらに、受光部522は地面に近い位置に配置されることになり、運転者の足が地面に付く瞬間を一層正確に検出することができる。
投光部520を前記の左スイッチ150Lに置き換え、受光部522を反射板に置きかえてもよい。
第3の変形例としては、図26に示すように、左スイッチ150Lをアーム530を介して左側方に設け、その光軸を横方向に設定している。この構成によれば1つの左スイッチ150Lにより運転者の右足及び左足の双方を検出可能となる。アーム530は接地プレート29aに対して傾動可能とし、搬送及び収納時には折り畳んでおくとよい。
二輪車シミュレーション装置10で模擬運転上の対象となる二輪車は、オートバイ、三輪式自転車又はモータアシストサイクル等でもよく、シートに跨って運転する乗り物で、実質的に二輪車とみなせるものであればよい。
本発明に係る二輪車シミュレーション装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。