JP4890921B2 - 構造物変位制限装置及び該装置を用いた構造体 - Google Patents

構造物変位制限装置及び該装置を用いた構造体 Download PDF

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Description

本発明は、軽量構造物である戸建家屋等の上部構造物と、基礎である下部構造物との間に免震装置を配した構造体において、地震、強風等による上部構造物の変位を制限する構造物変位制限装置及び該装置を用いた構造体に関する。
一般的に、大型ビルやマンション等の重量構造物に用いられる積層ゴム支承による免震は、その構造物の重量と、積層ゴム支承の水平剛性とで免震周期が決定されるため、積層ゴム支承に使用される弾性材料を柔らかくすることで構造物の固有周期を長周期化し、地震等による揺れから構造物を保護しようとするものである。
積層ゴム支承に求められる弾性材料は、固有周期を伸ばすために柔らかさが重要ではあるが、水平変形した場合の変形性能や、鉛直方向の荷重支持能力も併せ持つ必要があり、材料特性として、伸び、引張強度、圧縮永久歪等についても所定の特性を保有する必要がある。
そのため、弾性材料の開発が進められているものの、各物性を満足させた上での柔らかい弾性材料の開発には限界があり、現状では、積層ゴム支承が支持する構造物にある程度の重量がなければ、構造物の固有周期を充分長くし、地震の揺れから構造物を保護することはできていない。
一方、一般住宅等の軽量構造物の免震においては、構造物の固有周期を長くするために現状で得られる、前記の柔らかい弾性材料を用いた積層ゴム支承を使用しても、構造物の重量が軽くて効果的でないため、積層ゴム支承に使用される弾性材料の高さ方向の厚みをさらに大きくして、水平剛性を小さくして対応している。
しかし、積層ゴム支承に使用される弾性材料の高さ方向の厚みを大きくすると、積層ゴム支承の高さ方向に比べ、平面寸法が小さくなり、すなわち、高さ方向に長い積層ゴム支承となり、水平変形が大きい状態では鉛直荷重に耐えられなくなり、座屈変形して復元しなくなる虞がある。
そこで、一般住宅等の軽量構造物の免震においては、構造物の重量の影響が小さい免震装置、例えば、平坦な滑り材を配した滑り免震装置や、振子型の滑り免震装置や、ころ部材を配した転がり免震装置が使用される場合がある。
このように、免震効果を充分得るためには、免震装置の水平剛性を小さくすることが重要であるが、反面、このことは上部構造物が水平方向に移動し易いということになる。そのため、一般住宅等の軽量構造物の免震においては、強風や地震での過大な外力が作用した場合、予期しない水平変形が生じる虞がある。
そこで、上記のような問題を解決するため、例えば、特許文献1及び特許文献3には、地盤と構造物との間に過大な水平変形が生じると、変位制限装置であるワイヤー又はチェーンが軸方向(長手方向)に引っ張られ、変位を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2は、上部工側に両端部を定着した略コ型の上部材と、下部工側に両端部を定着した略々コ型の下部材とを組み合わせ、過大な水平変形が生じた場合に、上部材と下部材が当接することで変位を抑制する技術を提案している。
さらに、特許文献4は、構造物と地盤の間に、水平2方向にケーブルを張設し、それらの端部を地盤側に固定し、ケーブルの中間部に構造物側にケーブル固定部を設け、ケーブル固定部は、水平2方向のうち一方は滑り移動が可能で、他方には反力が作用し、構造物と地盤との間に水平変位が生じた場合には、ケーブル固定部と他方のケーブルとの間でケーブルが舷のように 撓ることにより反力を生じ、変位を抑制する技術を提案している。
特開平11−71936号公報 特開2000−54506号公報 特開2003−227245号公報 特開2006−016888号公報
しかし、上記の特許文献1に記載の構造物の免震装置においては、地盤と構造物との間に過大な水平変形が生じると、変位制限装置であるワイヤー又はチェーンが軸方向(長手方向)に引っ張られ、その後ワイヤー又はチェーンが伸びきる際に、衝撃的な引張力が構造物へ伝わらないように、緩衝部材としてゴムブッシュ又は円筒ブッシュがワイヤー又はチェーンの定着部に配されているが、限られたスペースに緩衝部材を配置せざるを得ないため、緩衝部材の緩衝能力に限界があり、構造物への不要な振動伝達という点において不十分であるという問題があった。
また、特許文献2に記載の免震構造物の浮き上がり防止装置においては、上部工側に定着された部材と、下部工側に定着された部材との間に設定する隙間の量が、浮き上がり防止の作用効果を生じさせる重要な管理項目となるが、当該隙間の大きさは施工誤差の影響を受け易く、さらには積層ゴム支承との組み合わせにおいて、積層ゴム支承のクリープによる高さ変化により、初期設定隙間が経年的に拡大したり、積層ゴム支承の水平変形時の沈み込み量により、設計で想定された浮き上がり量では作動せず、さらに大きな浮き上がり状態に至った際に作動することとなり、設計で期待したような効果が得られない虞があった。
さらに、特許文献3に記載の構造変位制限装置では、地盤と構造物との間に過大な水平変形が生じると、変位制限装置であるワイヤーが該ワイヤーの軸方向(長手方向)に引っ張られ、その後ワイヤーが伸びきり、引張力が構造物へ直接伝達される虞があり、構造物への不要な振動伝達という点において不十分になるという問題があった。
また、特許文献4に記載の免震構造システムでは、構造物と地盤との間に、水平2方向にケーブルを張設し、それら端部を地盤側に固定し、ケーブルの中間部にケーブル固定部を構造物側に設け、該ケーブル固定部は水平2方向のうち一方は滑り移動が可能であるが、他方には反力が作用するようになっているため、構造物と地盤との間で生じるすべての変位において反力が構造物に作用することになり、単に構造物変位制限装置としての役割でなく、構造物の免震性能(固有周期、減衰率、許容変位等)に直接影響を与える装置となるため、その採用には設計面で充分注意を払う必要がある。
そこで、本発明は、前記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであり、軽量構造物に免震装置を設置した場合でも、強風時や地震時に過大な水平変形を生じることを安定的に防止し得て、水平変位を抑制する際に、急激な反力の増加を伴うこともなく、抑制部材の当接等による衝撃を好適に抑え、所定の範囲を超える水平変位にて変位制限作用を生じることができる構造物変位制限装置及び該装置を用いた構造体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、構造物変位制限装置であって、上部構造物から突出するように、該上部構造物に固定された一対の第1の固定部材と、両端が前記第1の固定部材に固定されて設された第1のワイヤーと、下部構造物から突出するように、該下部構造物に固定された一対の第2の固定部材と、両端が前記第2の固定部材に固定されて設された第2のワイヤーと、前記第1及び第2のワイヤーの交差する部分で、前記第1及び第2のワイヤーが互いに直交するように、各々のワイヤーが別々に挿通する挿通孔が穿設された浮遊ブロックとを備えることを特徴とする。
そして、本発明によれば、上部構造物と下部構造物との間の相対変位が所定の範囲においては、浮遊ブロックはすべての方向においてワイヤーとの間で摺勤しながら移動するのみであり、所定の範囲を超える水平変位にて変位制限作用を生じさせることができ、構造物の免震性能(固有周期、減衰率、許容変位等)に直接影響を与えることがない。
上部構造物と下部構造物との間の相対変位が所定の範囲を超えると、浮遊ブロックが上部構造物側又は/及び地盤側に固定されている第1の固定部材又は/及び第2の固定部材と当接し、ワイヤーが弦のように変形しながら反力が増加するため、ばね効果によって強風時や地震時による過大な衝撃をやわらげることができる。その結果、前記浮遊ブロックと前記第1の固定部材又は/及び第2の固定部材の当接時の衝撃を好適に抑えることができるため、構造物に対して衝撃的な力が作用しない状態で変位制限を行うことができる。
上述のように、本発明によれば、下部構造物と上部構造物との間に生じる水平変位量の任意の水平変位量から変位を制限することができ、任意の水平変位量は、上部構造物の免震性能面、免震装置の変形限界量、免震構造物と周囲の距離等を総合的に判断して定めるとよい。
また、本発明によれば、浮遊ブロックに設けられたワイヤーの挿通孔とワイヤーとの間の摩擦力によって減衰作用を付与することも可能であり、本構造物変位制限装置が作用しない程度の水平変形領域において、浮遊ブロックがワイヤー上を摺動する際に摩擦減衰を構造物に付与できるため、免震性能に対して有効に機能する。
さらに、本発明にかかる構造物変位制限装置は、ワイヤーを使用するため、施工誤差を吸収し易く、安易な施工でも所定の効果が期待でき、施工時又は使用後においても、固定部材にワイヤー張力調整機構を設けることで、所望の反力とその撓み具合をも調整できるという利点があり、また、メンテナンス時においても、ワイヤーに伸びや弛みが生じていても容易に元の状態に復元できる。さらに、構造物の浮き上がりに対する変位にも追従し、浮き上がりを抑制する効果がある。
前記構造物変位制限装置において、前記第1又は第2のワイヤーを、鋼線又は強化繊維からなるロープ、例えば、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維とすることができ、前記第1又は第2のワイヤーを、各々鉛直方向に複数本並設してもよい。
また、前記構造物変位制限装置において、前記浮遊ブロックを、金属、繊維強化樹脂(FRP)又は所定の剛性を有する樹脂で形成することができ、前記浮遊ブロックを、相対向する溝部を有する一対の板状部材を複数組備え、該一対の板状部材が組み立てられた状態で、前記相対向する溝部が前記第1又は第2のワイヤーの挿通孔を形成するように構成することもできる。
さらに、前記構造物変位制限装置において、前記第1又は第2の固定部材の前記浮遊ブロックと当接する部分に、緩衝用部材を設けることができる。これによって、浮遊ブロックが第1又は第2の固定部材に当接した際の衝撃をさらに低減することができる。
また、前記構造物変位制限装置において、前記浮遊ブロックと、前記第1又は第2のワイヤーとの間に、該浮遊ブロックが、前記第1又は第2のワイヤーに沿って該ワイヤーの端部に向かって移動するにつれて、該浮遊ブロックと該ワイヤーとの間の摩擦力を増加させる摩擦減衰構造を備えることができる。例えば、ワイヤー径を、構造物側及び地盤側に設けられた各々の定着部近くになるにつれて太くすることで、浮遊ブロック内に設けられたワイヤー通過孔との摩擦力を変化させ、付与する摩擦減衰を一定ではなく、構造物と地盤との水平変位が大きくなるにつれて、大きな摩擦減衰を得ることも可能である。
前記構造物変位制限装置において、前記浮遊ブロックと、前記第1又は第2のワイヤーの端部との間に、該浮遊ブロックが、前記第1又は第2のワイヤーに沿って該ワイヤーの端部に向かって移動する際に、該浮遊ブロックの前記第1又は第2のワイヤーの端部への移動を規制する変位量調整部材を、ワイヤーに挿通した状態で固定しないようにして備えることができる。
この構造物変位制限装置は、ワイヤーの長さを変更することで、どのような構造物にも適用可能であるが、同一寸法の構造物変位制限装置であっても、上述のように、変位量調整部材をワイヤーへ配しておけば、想定される上部構造物と下部構造物の相対変形量に容易に対応することができ、また、前記第1又は第2の固定部材に配される緩衝用部材に代えて用いることもできる。
また、本発明は、構造体であって、前記構造物変位制限装置と、上部構造物及び下部構造物と、該上部構造物を該下部構造物に対して水平方向に可動とするように、前記上部構造物と前記下部構造物との間に配置された免震装置とを備えることを特徴とする。この構造体によれば、前記構造物変位制限装置を備えるため、強風時や地震時に過大な水平変形を生じることを安定的に防止し、水平変位を抑制する際に、急激な反力の増加を伴うこともなく、抑制部材の当接等による衝撃を好適に抑え、所定の範囲を超える水平変位にて変位制限作用を生じることも可能となる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1乃至図3は、本発明にかかる構造物変位制限装置及び該装置を用いた構造体の一実施の形態を示し、この構造物変位制限装置1は、下部構造物としてのコンクリート製の基礎11と、基礎11に対して免震装置12を介して水平方向Hに移動可能な上部構造物としての戸建住宅13との間に、戸建住宅13の基礎11に対する相対的な水平方向Hの所定量以上の変位を制限するために備えられる。
この構造物変位制限装置1は、基礎11に突出するように固定された一対の下部固定部材2、3と、戸建住宅13の下部の架台15に突出するように固定された一対の上部固定部材4、5と、両端が各々下部固定部材2、3に固定されて設されたワイヤー6と、両端が上部固定部材4、5に各々固定されて設されたワイヤー7と、両ワイヤー6、7の交差する部分で、両ワイヤー6、7が互いに直交するように各々のワイヤー6、7が別々に挿通する球状の浮遊ブロック8とで構成される。
免震装置12は、戸建住宅13を基礎11上で水平方向Hに可動に支持するため、戸建住宅13のコンクリート製の架台15の下に複数配置され、上方に向かって凹状の摺動面16を有するとともに、基礎11に固定された下沓17と、下方に向かって凹状の摺動面18を有するとともに、架台15に固定された上沓19と、下沓17と上沓19との間に介在する摺動体20とを備えた振り子型の滑り免震装置であって、基礎11に対する架台15の水平方向Hの相対的な移動を、図4に示すように摺動体20の摺動面16及び18に対する摺動によって許容するように構成される。
構造物変位制限装置1の下部固定部材2、3は、鋼板等からなり、取付部2a、3aを介して基礎11に固定される。また、上部固定部材4、5も、鋼板等からなり、取付部4a、5aを介して架台15に固定される。
ワイヤー6、7は、鋼線、高分子ポリエチレンロープ又はアラミド繊維からなり、ワイヤー6の両端は下部固定部材2、3に、ワイヤー7の両端は上部固定部材4、5に固定される。
浮遊ブロック8は、全体が球状に形成され、金属又は所定の剛性を有する樹脂からなり、各々のワイヤー6、7が別々に挿通することのできる挿通孔8a、8bが穿設される。
図3に示すように、以上の構造物変位制限装置1と、上部構造物である戸建住宅13及び下部構造物である基礎11と、戸建住宅13を基礎11に対して水平方向Hに可動とする免震装置12とを備えた構造体31では、地震により基礎11が水平方向Hに振動すると、免震装置12の摺動体20が摺動面16及び18に対して摺動する結果、戸建住宅13への基礎11の地震動の伝達が抑制され、戸建住宅13は地震動に対して免震される。
次に、図3に示す状態で、過大な強風又は地震により、戸建住宅13が基礎11に対して設計に用いた地震による振動よりも大きく水平方向Hに変位した場合の動作について説明する。
まず、図1を中心に参照しながら、上部構造物13がY方向に移動する場合について、説明する。
強風や地震での過大な外力が作用した結果、上部構造物13がY方向に移動すると、上部固定部材4、5、ワイヤー7及び浮遊ブロック8もY方向に移動し、浮遊ブロック8が下部固定部材2に当接し、上部構造物13の移動が妨げられる。さらに上部構造物13がY方向に移動すると、ワイヤー7が弦のように撓るように変形し、ばね効果により衝撃がやわらげられ、浮遊ブロック8が下部固定部材2に当接したときの緩衝作用効果が生じる。
次に、上部構造物13がX方向に移動する場合について、図2を参照しながら説明する。
地震等による過大な外力が作用した結果、上部構造物13がX方向に移動すると、上部固定部材4、5及びワイヤー7もX方向に移動し、浮遊ブロック8は、ワイヤー6がその内部を挿通するとともにワイヤー6が移動しないため、その位置に留まる。その結果、上部固定部材4が浮遊ブロック8に当接し、上部構造物13の移動が妨げられる。さらに上部構造物13がX方向に移動すると、ワイヤー6が弦のように撓ることにより、ばね効果により衝撃がやわらげられ、上部固定部材4が浮遊ブロック8に当接したときの緩衝作用効果が生じる。
このように、構造物変位制限装置1によれば、戸建住宅13の基礎11に対する相対的な水平方向Hの所定量以上の変位を抑制することができるため、戸建住宅13のような軽量構造物に免震装置12を用いた場合であっても、強風による戸建住宅13の水平方向Hの過大な変位を防止できる上に、ワイヤー6、7が弦のように撓るように変形し、ばね効果により衝撃がやわらげられ、浮遊ブロック8と、下部固定部材2、3又は/及び上部固定部材4、5とが当接したときの緩衝作用効果が生じる結果、信頼性の高い変位制限機能を発揮することができる。
尚、上記実施の形態では、上部構造物13がY方向に移動する場合と、X方向に移動する場合とを別個に説明したが、Y方向とX方向の移動は同時であってもよく、これによって全方向にわたって上部構造物13の移動を抑制することができる。
また、上記実施の形態では、1個の構造物変位制限装置1を架台15及び基礎11の間に介装したが、複数個の構造物変位制限装置1を介装し、戸建住宅13の水平方向Hの種々の方向の過大な変位に対して分担して機能させてもよい。
図5は、本発明にかかる構造物変位制限装置の一実施例を示し、この構造物変位制限装置41は、下部構造物としての図示しないコンクリート製の基礎に突出するように固定された一対の下部固定部材42、43と、上部構造物としての図示しない戸建住宅に突出するように固定された一対の上部固定部材44、45と、両端が各々下部固定部材42、43に固定されて設されたワイヤー46と、両端が上部固定部材44、45に各々固定されて設されたワイヤー47と、両ワイヤー46、47の交差する部分で、両ワイヤー46、47が互いに直交するように各々のワイヤー46、47が別々に挿通する挿通孔48a、48bを有する浮遊ブロック48とで構成される。
下部固定部材42、43及び上部固定部材44、45は、L字状に形成された鋼板からなり、穿設された穴部42a〜45aを挿通するボルト等によって基礎又は戸建住宅に固定される。
ワイヤー46、47は、鋼線からなり、ワイヤー46の両端は下部固定部材42、43に、ワイヤー47の両端は上部固定部材44、45に固定される。
浮遊ブロック48は、全体が立方体状に形成され、図6に示すように、3枚の鋼板51、52、53からなり、これらの鋼板51、52、53が積層された状態で、挿通孔51b、52c、53bを挿通するボルト54とナット55とで締結され、浮遊ブロック48全体が形成される。鋼板51、52、53には、断面が半円状の溝部51a、52a、52b、53aが各々形成され、鋼板51、52、53が組み合わせられた状態で、溝部51aと溝部52aとでワイヤーの挿通孔を、溝部52bと溝部53aとでワイヤーの挿通孔を形成し、図5に示した各々のワイヤー46、47が別々に挿通することができる。
次に、上記構成を有する構造物変位制限装置41の動作について、図5を参照しながら説明する。
強風や地震による過大な外力が作用した結果、基礎がX方向に移動すると、図5(b)に示すように、下部固定部材42、43、ワイヤー46及び浮遊ブロック48もX方向に移動し、浮遊ブロック48が上部固定部材44に当接して、基礎の移動を妨げる。さらに基礎がX方向に移動すると、ワイヤー46が弦のように撓るように変形し、ばね効果により衝撃がやわらげられ、浮遊ブロック48が上部固定部材44に当接したときの緩衝作用効果が生じる。
尚、基礎がX方向に垂直な方向Yに移動した場合の動作については、図示を省略するが、図5(a)において、下部固定部材42、43及びワイヤー46がY方向に移動し、浮遊ブロック48はワイヤー47によって支持されているため移動せず、下部固定部材43が浮遊ブロック48に当接して、基礎の移動を妨げる。さらに基礎がY方向に移動すると、ワイヤー47が弦のように撓るように変形し、ばね効果により衝撃がやわらげられ、下部固定部材43が浮遊ブロック48に当接したときの緩衝作用効果が生じる。
次に、本発明にかかる構造物変位制限装置の第2の実施例について、図7を参照しながら説明する。尚、本実施例では、構造物変位制限装置の全体の構成は図5に示したものと同様であるが、浮遊ブロック48に代えて、図7に示した浮遊ブロック58を用いる点が異なる。
この浮遊ブロック58は、全体が縦長の直方体状に形成され、上下に配置された2枚の鋼板61、64と、両鋼板61、64の間に介装され、2つ割りの中央ブロック62、63とで構成され、これらの鋼板61、64、及び中央ブロック62、63が組み合わされた状態で、挿通孔61a、62a(又は63d)、64aを挿通するボルト67とナット68、及び中央ブロック63の挿通孔63aと中央ブロック62に穿設された図示しない装通穴を挿通するボルト65とナット66とで締結され、浮遊ブロック58全体が形成される。
鋼板61、64、及び中央ブロック62、63には、断面が半円状の溝部61b、62b、62c、63b、63c、63e、63f、64bが各々形成され、鋼板61、64、及び中央ブロック62、63が組み合わせられた状態で、例えば、溝部61b、63bとでワイヤーの挿通孔を形成し、鋼板61と中央ブロック62及び中央ブロック63との間に形成された挿通孔と、鋼板64と中央ブロック62及び中央ブロック63との間に形成された挿通孔に同方向に2本ワイヤーが挿通する。また、中央ブロック62、63の間に形成された2つの挿通孔に同方向に2本ワイヤーが挿通する。
上述のように、本実施の形態では、浮遊ブロック58を、上下に同方向に2本ワイヤーが挿通し、中央部を同方向に2本ワイヤーが挿通することとなり、ワイヤーによるばね効果を大きくしたい場合等に、より容易に対応することができる。
次に、本発明にかかる構造物変位制限装置の第3の実施例について、図8を参照しながら説明する。尚、本実施例においても、構造物変位制限装置の全体の構成は図5に示したものと同様であるが、浮遊ブロック48に代えて、図8に示した浮遊ブロック68を用いる点が異なる。
この浮遊ブロック68は、5枚の鋼板71〜75からなり、これらの鋼板71〜75が積層された状態で、挿通孔71a〜75aを挿通するボルト76とナット77とで締結され、浮遊ブロック68全体が形成される。鋼板71〜75には、断面が半円状の溝部71b、72b、72c、73b、73c、74b、74c、75bが各々形成され、鋼板71〜75が組み合わせられた状態で、4つの挿通孔が形成され、隣接するワイヤー同士が異なる方向に2本ずつ設されるように構成される。
上述のように、本実施の形態では、隣接するワイヤー同士が異なる方向に2本ずつ設されることとなり、ワイヤーによるばね効果を大きくしたい場合には、浮遊ブロックに用いる鋼板の数を適宜増加させることでワイヤー本数を変更できることから、容易に対応することが可能となる。
尚、図5に示した構成に加え、下部固定部材2、3及び上部固定部材4、5の浮遊ブロック8と当接する部分に、ゴム等の緩衝用部材を設け、さらに効率よく浮遊ブロック8との当接の際の衝撃を吸収するように構成することもできる。
また、ワイヤー6、7を端部に向かうにつれて除々に大径になるように構成し、浮遊ブロック8がワイヤー6、7の端部に向かって移動するにつれて、浮遊ブロック8とワイヤー6、7との間の摩擦力を増加させるようにして、摩擦減衰効果を得ることができるように構成することもできる。
さらに、浮遊ブロック8と、ワイヤー6、7の端部との間に変位量調整部材をワイヤーに配し、浮遊ブロック8のワイヤー6、7の端部への移動を妨げ、予め想定した上部構造物と下部構造物の相対変形量に容易に対応することもできる。
本発明にかかる構造物変位制限装置の一実施の形態の構成及び動作を示す概略図である。 図1の構造物変位制限装置の動作説明図である。 本発明にかかる構造物変位制限装置を用いた構造体の一実施の形態の全体構成を示す断面図である。 図3の構造体の動作説明図である。 本発明にかかる構造物変位制限装置の一実施例を示す斜視図であって、(a)は初期状態を、(b)は地震等の過大な外力が付加された状態を示す。 図5の構造物変位制限装置の浮遊ブロックを示す分解斜視図である。 図5の構造物変位制限装置の浮遊ブロックの他の構成例を示す分解斜視図である。 図5の構造物変位制限装置の浮遊ブロックの他の構成例を示す分解斜視図である。
符号の説明
1 構造物変位制限装置
2 下部固定部材
2a 取付部
3 下部固定部材
3a 取付部
4 上部固定部材
4a 取付部
5 上部固定部材
5a 取付部
6 ワイヤー
7 ワイヤー
8 浮遊ブロック
8a 挿通孔
8b 挿通孔
11 基礎
12 免震装置
13 戸建住宅
15 架台
16 摺動面
17 下沓
18 摺動面
19 上沓
20 摺動体
31 構造体
41 構造物変位制限装置
42 下部固定部材
42a 穴部
43 下部固定部材
43a 穴部
44 上部固定部材
44a 穴部
45 上部固定部材
45a 穴部
46 ワイヤー
47 ワイヤー
48 浮遊ブロック
48a 挿通孔
48b 挿通孔
51 鋼板
51a 溝部
51b 挿通孔
52 鋼板
52a 溝部
52b 溝部
52c 挿通孔
53 鋼板
53a 溝部
53b 挿通孔
54 ボルト
55 ナット
58 浮遊ブロック
61 鋼板
61a挿通孔
61b溝部
62 中央ブロック
62a 挿通孔
62b 溝部
62c 溝部
63 中央ブロック
63a 挿通孔
63b 溝部
63c 溝部
63d 挿通孔
63e 溝部
63f 溝部
64 鋼板
64a 挿通孔
64b 溝部
65 ボルト
66 ナット
67 ボルト
68 ナット
71 鋼板
71a 挿通孔
71b 溝部
72 鋼板
72a 挿通孔
72b 溝部
72c 溝部
73 鋼板
73a 挿通孔
73b 溝部
73c 溝部
74 鋼板
74a 挿通孔
74b 溝部
74c 溝部
75 鋼板
75a 挿通孔
75b 溝部
76 ボルト
77 ナット

Claims (9)

  1. 上部構造物から突出するように、該上部構造物に固定された一対の第1の固定部材と、
    両端が前記第1の固定部材に固定されて設された第1のワイヤーと、
    下部構造物から突出するように、該下部構造物に固定された一対の第2の固定部材と、
    両端が前記第2の固定部材に固定されて設された第2のワイヤーと、
    前記第1及び第2のワイヤーの交差する部分で、前記第1及び第2のワイヤーが互いに直交するように、各々のワイヤーが別々に挿通する挿通孔が穿設された浮遊ブロックとを備えることを特徴とする構造物変位制限装置。
  2. 前記第1又は第2のワイヤーは、鋼線又は強化繊維からなるロープであることを特徴とする請求項1に記載の構造物変位制限装置。
  3. 前記第1又は第2のワイヤーは、各々鉛直方向に複数本並設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物変位制限装置。
  4. 前記浮遊ブロックは、金属、繊維強化樹脂又は所定の剛性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の構造物変位制限装置。
  5. 前記浮遊ブロックは、相対向する溝部を有する一対の板状部材を複数組備え、該一対の板状部材が組み立てられた状態で、前記相対向する溝部が前記第1又は第2のワイヤーの挿通孔を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の構造物変位制限装置。
  6. 前記第1又は第2の固定部材の前記浮遊ブロックと当接する部分に、緩衝用部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の構造物変位制限装置。
  7. 前記浮遊ブロックと、前記第1又は第2のワイヤーとの間に、該浮遊ブロックが、前記第1又は第2のワイヤーに沿って該ワイヤーの端部に向かって移動するにつれて、該浮遊ブロックと該ワイヤーとの間の摩擦力を増加させる摩擦減衰構造を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の構造物変位制限装置。
  8. 前記浮遊ブロックと、前記第1又は第2のワイヤーの端部との間に、該浮遊ブロックが、前記第1又は第2のワイヤーに沿って該ワイヤーの端部に向かって移動する際に、該浮遊ブロックの前記第1又は第2のワイヤーの端部への移動を規制する変位量調整部材を備えることを特徴する請求項1乃至7のいずれかに記載の構造物変位制限装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の構造物変位制限装置と、上部構造物及び下部構造物と、該上部構造物を該下部構造物に対して水平方向に可動とするように前記上部構造物と前記下部構造物との間に配置された免震装置とを備えることを特徴とする構造体。
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