JP4889170B2 - 曲げ加工方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、曲げ加工方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、曲げ加工装置としての例えばプレスブレーキを用いて公称板厚が例えば1mmのワークに対して曲げ加工が行われる際に、例えば所定角度が90°になるときのパンチの先端とダイのV溝底部との距離、つまり刃間距離D値が演算にて求められる。このD値を用いて実際の板厚が1mmのワークに対して曲げ加工にて試し曲げが行われて、曲げ角度が所定角度の90°となっているかどうかを試される。
【0003】
2枚目以降のワークに対しては上記の刃間距離D値にて曲げ加工が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の曲げ加工においては、試し曲げ加工にて所定角度の90°が得られた刃間距離D値を用いて2枚目以降のワークに対して曲げ加工が行われても実際には所定角度の90°にはならないという問題点があった。その原因としては、公称板厚といっても実際のワークの板厚には約±5%程度のバラツキがあるからである。
【0005】
そのために、所定角度の許容範囲から外れた製品に対しては手直しを行う必要が生じてくるので、生産効率が低下するという問題点があった。
【0006】
この発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、板厚にバラツキのあるワークに対して自動的にアゴ開き量が調整されて常時所定角度に曲げ加工を行い得る曲げ加工方法及びその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1によるこの発明の曲げ加工方法は、ワークの公称板厚、所定の曲げ角度を含む曲げ加工条件を入力し、この曲げ加工条件に基づいて公称板厚に対してバラツキとなる任意の板厚において所定の曲げ角度となる金型の実際の実刃間距離と、この任意の異なる板厚間における実刃間距離の差分と、その際の曲げ荷重とから、前記公称板厚における板厚のバラツキと曲げ角度との関係において板厚のバラツキの影響を受けることのない曲げ角度となる側板のアゴ開き定数を予め最適側板たわみ定数として算出し、この最適側板たわみ定数と曲げ加工中に検出した検出曲げ荷重とを基にして側板たわみ量を算出し、この算出した側板たわみ量とワークの公称板厚に対する実際の実刃間距離とから演算した値を最終指令刃間距離としてワークの曲げ加工を行うことを特徴とするものである。
【0008】
したがって、最適側板たわみ定数を用いて曲げ加工中のワークの実際の板厚に対応する側板たわみ量が自動的に算出され、この算出された側板たわみ量が実際の曲げ加工に反映される。つまり、上記の側板たわみ量により板厚のバラツキを補正するように実際の刃間距離が調整されるので、ワークは板厚のバラツキの影響をほとんど受けることなく所定の曲げ角度に曲げ加工される。
【0009】
請求項2によるこの発明の曲げ加工装置は、において、ワークの公称板厚、所定の曲げ角度を含む曲げ加工条件を入力する加工条件入力手段を設け、
この加工条件入力手段にて入力された公称板厚に対してバラツキとなる任意の板厚において所定の曲げ角度となる実際の実刃間距離と、この任意の異なる板厚間における実刃間距離の差分と、その際の曲げ荷重とから、前記公称板厚における板厚のバラツキと曲げ角度との関係において板厚のバラツキの影響を受けることのない曲げ角度となる側板のアゴ開き定数を最適側板たわみ定数として算出する最適側板たわみ定数算出手段を設け、
前記最適側板定数算出手段にて算出した最適側板たわみ定数と曲げ加工中に検出した検出曲げ荷重とから側板たわみ量を算出する側板たわみ量算出手段を設け、
この側板たわみ量算出手段にて算出した側板たわみ量と公称板厚において所定の曲げ角度となる実際の実刃間距離とから演算した値を最終指令刃間距離としてワークの曲げ加工を行うべく指令を与える曲げ加工指令部を設けてなることを特徴とするものである。
【0010】
したがって、請求項1記載の作用と同様であり、最適側板たわみ定数を用いて曲げ加工中のワークの実際の板厚に対応する側板たわみ量が自動的に算出され、この算出された側板たわみ量が実際の曲げ加工に反映される。つまり、上記の側板たわみ量により板厚のバラツキを補正するように実際の刃間距離が調整されるので、ワークは板厚のバラツキの影響をほとんど受けることなく所定の曲げ角度に曲げ加工される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図2および図3には、プレス機械としての一例の例えば油圧式のプレスブレーキ1の全体が示されている。このプレスブレーキ1では、左右に立設された側板3L、3Rを有し、この側板3L、3Rの上部前端面にはラムとしての上部テーブル5Uを上下移動自在に設けられていると共に、側板3L、3Rの下部前面には固定した下部テーブル5Lを備えている。
【0013】
上部テーブル5Uの下端部には、中間板7を介してパンチPが交換自在に設けられている。また、下部テーブル5Lの上端部には、ダイベース9を介してダイDが交換自在に設けられている。
【0014】
なお、上部テーブル5Uの高さ位置を測定するためのラム位置検出手段としてのリニアスケール11が設けられており、既知である中間板7およびパンチPの高さを用いてダイDとの間隔を求めることができる。
【0015】
左右の側板3L、3Rの上部前面には油圧シリンダ13L、13Rが各々設けられており、この油圧シリンダ13L、13Rのピストン15L、15Rに装着されているピストンロッド17L、17Rに前述の上部テーブル5Uが取り付けられている。
【0016】
上記の左右の油圧シリンダ13L、13Rに対しては、まったく同様の油圧回路が設けられているので、以下においては、右側の油圧シリンダ13Rについて説明することとする。
【0017】
ラムである上部テーブル5Uを上下移動させる油圧シリンダ13Rのシリンダヘッド側シリンダ室19は、配管21を介して双方向ポンプ23の一方の側に接続されている。また、配管21の途中には、油圧シリンダ13Rのシリンダヘッド側シリンダ室19の配管21の油圧を検出して曲げ荷重を検出するための圧力検出手段である油圧センサ25が取り付けられている。なお、プレスブレーキ1の油圧回路等を制御する制御装置27がプレスブレーキlに隣接して設けられている。
【0018】
また、上記の油圧センサ25より双方向ポンプ23側の配管21の途中には配管29が接続されており、チェック弁31を介してオイルタンク33に接続されている。なお、双方向ポンプ23は、サーボモータ35により作動する。また、シリンダヘッド側シリンダ室19は、配管37によりプレフィル弁39を介してオイルタンク33に接続されている。
【0019】
一方、油圧シリンダ13のロッド側シリンダ室41には、ロッド側のシリンダ側配管43が接続されており、このロッド側のシリンダ側配管43にはカウンタバランス弁45と速度切換え弁47が並列に設けられている。これらカウンタバランス弁45と速度切換え弁47は、双方向ポンプ側配管49により双方向ポンプ23の他方の側に接続されている。
【0020】
また、双方向ポンプ側配管49の途中には配管51が接続されており、この配管51はチェック弁53を介してオイルタンク33に接続されている。なお、曲げ荷重を検出するための圧力検出手段としては前述した油圧センサ25に換えて双方向ポンプ側配管49内の圧力を検出する油圧センサ(図示省略)が設けられても構わない。
【0021】
上記構成により、サーボモータ35の回転により双方向ポンプ23を正方向へ回転させ、オイルタンク33からチェック弁53、配管51を経て配管21を通ってシリンダヘッド側シリンダ室19に作動油を供給すると、ピストン15Rが下降して上部テーブル5UおよびパンチPが下降する。
【0022】
一方、サーボモータ35により双方向ポンプ23を逆方向に回転させると、作動油はオイルタンク33からチェック弁31、配管29を経て双方向ポンプ側配管49、速度切換え弁47のチェック弁およびシリンダ側配管43を通ってロッド側シリンダ室41に供給され、ピストンロッド17Rが上昇して上部テーブル5UおよびパンチPを上昇させる。
【0023】
なお、上部テーブル5Uの上下位置はリニアスケール11により検出される。また、ロッド側シリンダ室41の圧力が所定値よりも高くなると、パイロット信号55によりプレフィル弁39が開き、シリンダヘッド側シリンダ室19からプレフィル弁39を通って作動油が直接オイルタンク33に送られるようになっている。
【0024】
図1を参照するに、制御装置27には、中央処理装置としてのCPU57に、材質、抗張力、公称板厚、曲げ長さ、フランジ長さ、曲げ角度などのワーク条件や、金型のPR(パンチ先端R),PA(パンチ先端角度),VA(ダイ角度)、VR(ダイ肩R)、V(V幅)などの金型条件からなる曲げ加工条件を入力するためのキーボードやタッチパネルなどの加工条件入力手段59と、入力された曲げ加工条件のデータなどを画面で表示するCRTなどの表示手段61が接続されている。
【0025】
また、上記のCPU57には、上記の加工条件入力手段59により入力されたワーク条件や金型条件などの曲げ加工条件や、後述の各算出手段より算出した最適側板たわみ定数、公称板厚に対するバラツキとなる任意の板厚における金型の刃間距離などのデータベース、理論式などのデータを記憶するメモリ63が接続されている。
【0026】
さらに、上記のCPU57には、公称板厚に対してバラツキとなる任意の板厚において所定の曲げ角度となる刃間距離と、この任意の異なる板厚間における刃間距離の差分と、その際の曲げ荷重とから最適側板たわみ定数を算出する最適側板たわみ定数算出手段65と、この最適側板たわみ定数算出手段65にて算出した最適側板たわみ定数と曲げ加工中に検出した検出曲げ荷重とから側板たわみ量を算出する側板たわみ量算出手段67が接続されている。
【0027】
さらに、上記のCPU57には、上記の側板たわみ量算出手段67にて算出した側板たわみ量を公称板厚において所定の曲げ角度となる実際の実刃間距離D値から減算した値を最終指令刃間距離D値として算出する最終指令刃間距離算出手段としての例えば最終D値算出手段69と、この最終D値算出手段69にて算出した最終指令刃間距離D値にて曲げ加工を行うべく指令を与える曲げ加工指令部71が接続されている。
【0028】
上記構成により、バラツキのある板厚のワークWであっても、ワークWの公称板厚に対して所定の曲げ角度となる金型の刃間距離D値が、変更されなくとも板厚のバラツキに対応して確実に所定の曲げ角度にて曲げ加工を行うことができる。以下、例を挙げてその作用について説明する。なお、この実施の形態では、以下、「刃間距離」を単に「刃間」という。
【0029】
図4及び図5を参照するに、各種の曲げ加工条件下においては、ワークWの公称板厚に対するバラツキの任意の板厚に対して所定の曲げ角度となる最適な側板たわみ定数としての例えば最適アゴ開き定数FC’が存在する。この発明ではこの最適アゴ開き定数FC’に注目し、最適アゴ開き定数FC’を用いて曲げ加工中のワークWの実際の板厚に対応する側板たわみ量としての例えばアゴ開き量Gを自動的に算出して所定の曲げ角度θとなるように実際の実刃間距離(A−d)を調整するものである。したがって、各種の曲げ加工条件下における最適アゴ開き定数FC’を予め求めることがこの発明のポイントとなる。
【0030】
図4では、ダイDに位置決めされたワークWに対してパンチPを下降せしめて曲げ加工を行う状態が示されており、公称板厚tに対してはさみ角度θが90°となるようにしたときのダイDの上面からパンチPの先端までの距離dは、ワーク条件、金型条件から容易に計算される。ここで、プレスブレーキ1の側板3L、3Rはたわむので、公称板厚tの曲げ角度を90°にするためにはパンチPがアゴ開き量Gの分だけさらに下降される必要がある。アゴ開き定数をK、その際の油圧シリンダ13の油圧力をFとすると、アゴ開き量GはG=K×F/2で計算される。
【0031】
したがって、ダイDの上面から実際に下降されたパンチPの先端までの距離Dは、D=d+Gから計算されるので、公称板厚tにおいて曲げ角度90°となるNC指令刃間距離NCDは、NCD=A−Dで計算される。ただし、Aはダイ深さである。
【0032】
また、実際の板厚t’に対して上記のNC指令刃間距離NCDになるようにパンチPを下降せしめて曲げ加工が行われるときのはさみ角度θは、
θ=2sin-1{(V/2)/√〔(V2/4)+d2〕}−2sin-1{t’/√〔(V2/4)+d2〕}
の計算式で算出される。
【0033】
なお、VはV幅であり、D=A−NCDであるゆえに、d=D−Gとなる。ただし、G=K×F/2で、F=L×(t’/ t)2×PHである。
【0034】
以上の計算式から、アゴ開き定数Kを種々に変更して公称板厚tに対するバラツキの範囲内にある任意の板厚t’におけるはさみ角度θを計算することにより、各アゴ開き定数Kにおけるバラツキの板厚t’と曲げ角度との関係が得られる。
【0035】
例えば、図6を参照するに、金型角度が88°、V幅が6mm、材質がSPCC、公称板厚が1.00mm、曲げ長さが1000mm、曲げ荷重Pが11tonfであるとき、アゴ開き定数Kが0.006mm/tonfと、0.1mm/tonfと、0.2mm/tonfと、0.132mm/tonfとの各アゴ開き定数Kにおけるバラツキの板厚t’と曲げ角度との関係が図示されている。
【0036】
この曲げ加工条件下では図6に示されているようにアゴ開き定数Kが0.132mm/tonfであるときは、曲げ角度は板厚のバラツキの影響をほとんど受けないことが分かる。換言すれば、アゴ開き定数Kが0.132mm/tonfであれば板厚のバラツキを考える必要がないことになるので、最適アゴ開き定数FC’は0.132mm/tonfとなる。
【0037】
また、図7を参照するに、金型角度が88°、V幅が10mm、材質がSPCC、公称板厚が1.60mm、曲げ長さが2500mm、曲げ荷重Pが42.5tonfであるとき、アゴ開き定数Kが0.006mm/tonfと、0.1mm/tonfと、0.132mm/tonfと、0.054mm/tonfとの各アゴ開き定数Kにおけるバラツキの板厚t’と曲げ角度との関係が図示されている。
【0038】
この曲げ加工条件下では図7に示されているように最適アゴ開き定数FC’は0.054mm/tonfである。図6の曲げ加工条件下における最適アゴ開き定数FC’である0.132mm/tonfを用いると、板厚が厚くなると曲げ角度が甘く(大きく)なる。したがって、最適アゴ開き定数FC’はそれぞれの曲げ加工条件により変化している。
【0039】
また、図8を参照するに、金型角度が88°、V幅が6mm、材質がAL、公称板厚が1.00mm、曲げ長さが500mm、曲げ荷重Pが2.6tonfであるとき、アゴ開き定数Kが0.006mm/tonfと、0.563mm/tonfと、0.054mm/tonfと、0.132mm/tonfとの各アゴ開き定数Kにおけるバラツキの板厚t’と曲げ角度との関係が図示されている。
【0040】
この曲げ加工条件下では図8に示されているように最適アゴ開き定数FC’は0.563mm/tonfである。アゴ開き定数Kが非常に小さい時は曲げ荷重が小さいと曲げ角度のバラツキが大きくなる。つまり、曲げ荷重の小さい曲げ加工を行う時、板厚のバラツキや停止精度などの影響を受けやすいことが分かる。
【0041】
また、図9を参照するに、金型角度が88°、V幅が25mm、材質がSPCC、公称板厚が4.00mm、曲げ長さが1860mm、曲げ荷重Pが80.0tonfであるとき、アゴ開き定数Kが0.009mm/tonfと、0.003mm/tonfと、0.024mm/tonfと、0.07mm/tonfとの各アゴ開き定数Kにおけるバラツキの板厚t’と曲げ角度との関係が図示されている。
【0042】
この曲げ加工条件下では図9に示されているように最適アゴ開き定数FC’は0.07mm/tonfである。なお、この図では最大加圧能力が80.0tonfで曲げを行った場合でも、板厚が厚くなると曲げ角度はきつく(小さく)なっている。
【0043】
以下に、図5に示されているワークWのうちの材質がSPCCで公称板厚が1mmを例にとってより詳しく説明する。ただし、この場合に用いられるプレスブレーキ1のタイプが図5(もしくは図6)で用いられたプレスブレーキ1のタイプと異なるので、図10と図11に示されているように曲げ荷重と最適アゴ開き定数FC’の値が図5(もしくは図6)に示されているのと異なっている。すなわち、曲げ加工条件が同じであってもプレスブレーキ1のタイプが異なると、当然ながら曲げ荷重と最適アゴ開き定数FC’の値は異なってくる。
【0044】
まず最初のステップでは、曲げ加工が行われる前に先立って、加工条件入力手段59により曲げ加工条件が入力され、メモリ63に記憶される。すなわち、ワーク条件としては材質がSPCC、抗張力が32kgf/mm2、公称板厚が1mm、曲げ長さが1000mm、所定の曲げ角度が90°であり、金型条件としてはPAが88°、PRが0.6mm、VAが88°、VRが0.4mm、V幅が6mmである。
【0045】
次のステップでは、最適側板たわみ定数算出手段65により最適アゴ開き定数FC’が算出される。図10に示されているように公称板厚1.0mmに対して±5%ずつを1%刻みで板厚を振り分ける。つまり、この表では公称板厚1.0mmに対して0.950mm〜1.050mmが板厚のバラツキの範囲としている。
【0046】
振り分けられた各板厚で曲げ角度が90°となるための実刃間D1(実際の刃間距離)と、その際の曲げ荷重Pが算出される。実刃間D1と曲げ荷重Pはアルゴリズムにて計算される。なお、実刃間D1と曲げ荷重Pを計算するために必要なパラメータは上記のワーク条件と金型条件である。
【0047】
次に、公称板厚1.0mmで90°になる実刃間1.678292と各振り分けた板厚で90°になる実刃間D1との差分が計算される。例えば、板厚が0.950mmにおける実刃間差分は−0.057868(=1.620424−1.678292)となる。なお、このときの曲げ荷重Pは5.785976tonfと計算される。したがって、各振り分けた板厚毎の90°になる実刃間D1と曲げ荷重Pと実刃間差分の値は図10に示されている通りである。
【0048】
図10の表から曲げ荷重Pと実刃間差分との関係は、図11に示されているように近似的に2次式y=0.0699x−0.4609,R2=0.9995で表され、この2次式の傾き0.0699が「最適アゴ開き定数FC’」として計算される。この「最適アゴ開き定数FC’」は上述したように最適側板たわみ定数算出手段65により計算される。
【0049】
なお、この実施の形態では図10の表の各値は演算により算出されたものであるが、実験による測定値であっても構わない。測定値の場合はデータベースとしてメモリ63に予め記憶される。
【0050】
上記の最適アゴ開き定数FC’が用いられることにより、公称板厚で所定の曲げ角度90°になるNC指令刃間D値は、振り分けた板厚に対して同じNC指令刃間NCDとして使用しても得られる曲げ角度は90°になる。つまり、ワークWの板厚がばらついても同じNC指令刃間D値にすることにより曲げ角度90°になるので、板厚のバラツキを考慮する必要がなくなる。
【0051】
すなわち、図4を参照して説明すると、実際の曲げ加工時には曲げ荷重Pに応じて側板3L、3Rがたわむので、曲げ角度θになるための実刃間(A−d)はNC指令刃間NCDにアゴ開き量Gを加算した値となる。
【0052】
Figure 0004889170
で表される。ただし、アゴ開き量G=曲げ荷重P×アゴ開き定数Kである。
【0053】
上記の計算式に基づいて、図10にて各振り分けた板厚に対するアゴ開き量Gを計算し、この計算された各アゴ開き量Gと実刃間DとからNC指令刃間NCDを計算すると、図12に示される表のようになる。この表において、公称板厚1mmのときに所定の曲げ角度(目標角度)が90°となる指令刃間距離1.218399が最終指令刃間距離としての例えばNC指令刃間D値となる。
【0054】
したがって、NC指令刃間D値は、公称板厚1mmに対する所定曲げ角度90°とする実際の実刃間D1値(=1.678292)から、演算にて求めたD1値における曲げ荷重P(=6.579295)と最適アゴ開き定数FC’(=0.0699)を乗算して計算したアゴ開き量G(=0.459892721)を減算して求められる。
【0055】
上記のNC指令刃間D値(=1.218399)が2枚目以降のワークWの最終指令刃間距離として制御装置27へ入力されることとなる。
【0056】
図13を参照するに、上述した最適アゴ開き定数0.0699における公称板厚で90°になるNC指令刃間D値で各振り分けた板厚にて曲げ加工を行ったときの実際の仕上がり曲げ角度は、バラツキ幅が0.073°(=4.38’)となり、ほとんどばらつかないでほぼ目標角度となっている。
【0057】
なお、上述した図10,図12,図13の曲げ荷重Pは計算値としたが、実圧力から測定した実測の曲げ荷重を用いても構わない。
【0058】
以上ことから、プレスブレーキ1におけるアゴ開き定数Kを積極的にコントロールして適正アゴ開き定数FC’にすることにより、ワークWの曲げ角度はワークWの板厚のバラツキの影響をほとんど受けない。
【0059】
次に、アゴ開き定数Kをコントロールする方法について説明する。
【0060】
一つの方法は、図14に示されている検出板73の支点を動かしてアゴ開き定数Kをメカ的にコントロールすることである。プレスブレーキ1の側板3Lには側板たわみ量(アゴ開き量G)を検出するための検出板73が図14において逆向きU字状に取り付けられている。この例では検出板73の下部はプレスブレーキ1の下部テーブル5Lに固定されており、検出板73の上部は前方端側(図14において右端側)に支点となる連結シャフト75を介して側板3Lに連結されている。したがって、実際の曲げ加工時には曲げ荷重の大きさに応じて側板3Lがたわむときに検出板73が追従し、アゴ開き量Gが検出されるのである。
【0061】
上記の連結シャフト75の支点位置が前後方向に移動可能とされることにより、検出板73が側板3L、3Rの補正板としての機能も兼用される。つまり、連結シャフト75の支点位置が後方へ移動されるに連れて曲げモーメントが大きくなるのでアゴ開き量Gは減少することになる。したがって、連結シャフト75の支点位置を積極的に前後方向に移動することにより、アゴ開き定数Kを自在にコントロールすることができる。
【0062】
2つ目の方法は、図15に示されているように曲げ荷重Pをリアルタイムに計測して、その曲げ荷重Pに比例した目標値に変更することにより実質的なアゴ開き量Gをコントロールすることである。
【0063】
より詳しくは図15を参照するに、公称板厚に対して所定の曲げ角度を得るための金型のストローク量D(図4においてNC指令刃間NCDとなるD値)が予め制御装置27から指令として与えられる。このときの油圧シリンダ13L,13Rの加圧力、つまり曲げ荷重P(tonf)は油圧センサ25により検出される。この曲げ荷重P(tonf)と、制御装置27に与えられた最適アゴ開き定数FC’(mm/tonf)とからコントロール量ΔG’(=FC’×P)(mm)が制御装置27により自動的に算出される。実際のバラツキのある板厚に対するストローク量の目標値としては、金型のストローク量Dに上記の算出されたコントロール量ΔG’が加算されたもの(D+ΔG’)となる。
【0064】
したがって、上記の目標値(D+ΔG’)となるようにロッド側シリンダ室41に接続される速度切換え弁47に指令が与えられて油圧シリンダ13L,13Rの加圧力が常時最適アゴ開き定数FC’に基づくものとなるように自動的に調整される。
【0065】
例えば、曲げ加工条件が前述した図6に示されたように、材質がSPCC、公称板厚が1.00mm、V幅が6mm、曲げ長さが1000mm、曲げ荷重Pが11tonfであるとき、最適アゴ開き定数FC’は0.132mm/tonfであるので、目標値はD+ΔG’=D+0.132×Pとなる。ワークWは板厚のバラツキの影響をほとんど受けずに所定の曲げ角度で折り曲げられる。
【0066】
3つ目の方法としては、バラツキの大きい板厚のワークW、つまり曲げ角度のバラツキを少なくしたい曲げ加工条件のみに対応できるようなバネダイホルダ(低剛性ダイホルダ)を使用するものである。バネダイホルダのバネの強さを変更することにより、側板たわみによる影響をコントロールできるので、アゴ開き定数Kを積極的にコントロールできる。
【0067】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。
【0068】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態の説明から理解されるように、請求項1の発明によれば、最適側板たわみ定数を用いて曲げ加工中のワークの実際の板厚に対応する側板たわみ量を自動的に算出できるので、この算出した側板たわみ量を実際の曲げ加工に反映できる。つまり、上記の側板たわみ量により板厚のバラツキを補正するように実際の刃間距離を調整できるので、板厚のバラツキの影響をほとんど受けることなくすべてのワークに対して所定の曲げ角度の曲げ加工を行うことができる。
【0069】
請求項2の発明によれば、請求項1記載の効果と同様であり、最適側板たわみ定数を用いて曲げ加工中のワークの実際の板厚に対応する側板たわみ量を自動的に算出できるので、この算出した側板たわみ量を実際の曲げ加工に反映できる。つまり、上記の側板たわみ量により板厚のバラツキを補正するように実際の刃間距離を調整できるので、板厚のバラツキの影響をほとんど受けることなくすべてのワークに対して所定の曲げ角度の曲げ加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るプレスブレーキの制御装置のブロック図である。
【図2】この発明に係るプレスブレーキの正面図である。
【図3】図2の右側面図である。
【図4】この発明に係る概略的な曲げ加工状態図である。
【図5】1つの曲げ加工条件における最適アゴ開き定数を示すグラフである。
【図6】他の曲げ加工条件における最適アゴ開き定数を示すグラフである。
【図7】他の曲げ加工条件における最適アゴ開き定数を示すグラフである。
【図8】他の曲げ加工条件における最適アゴ開き定数を示すグラフである。
【図9】他の曲げ加工条件における最適アゴ開き定数を示すグラフである。
【図10】公称板厚に対するバラツキの板厚が所定の曲げ角度になる実刃間と曲げ荷重と実刃間差分を示す図表である。
【図11】図10の表に基づく曲げ荷重と刃間差分との関係を示すグラフである。
【図12】図11から求められるバラツキの板厚毎のアゴ開き量とNC指令刃間を示す図表である。
【図13】最適アゴ開き定数に基づき曲げ加工したときのバラツキの板厚毎の曲げ角度である。
【図14】この発明に係るアゴ開き定数Kをコントロールする方法を示す説明図である。
【図15】この発明に係るアゴ開き定数Kをコントロールする方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 プレスブレーキ
3L,3R 側板
5U 上部テーブル(ラム)
5L 下部テーブル
11 リニアスケール(ラム位置検出手段)
13L,13R 油圧シリンダ
19 シリンダヘッド側シリンダ室
23 双方向ポンプ
25 油圧センサ(圧力検出手段)
27 制御装置
41 ロッド側シリンダ室
43 シリンダ側配管
47 速度切換え弁
65 最適側板たわみ定数算出手段
67 側板たわみ量算出手段
69 最終D値算出手段(最終指令刃間距離算出手段)
71 曲げ加工指令部
73 検出板
75 連結シャフト

Claims (2)

  1. ワークの公称板厚、所定の曲げ角度を含む曲げ加工条件を入力し、この曲げ加工条件に基づいて公称板厚に対してバラツキとなる任意の板厚において所定の曲げ角度となる金型の実際の実刃間距離と、この任意の異なる板厚間における実刃間距離の差分と、その際の曲げ荷重とから、前記公称板厚における板厚のバラツキと曲げ角度との関係において板厚のバラツキの影響を受けることのない曲げ角度となる側板のアゴ開き定数を予め最適側板たわみ定数として算出し、この最適側板たわみ定数と曲げ加工中に検出した検出曲げ荷重とを基にして側板たわみ量を算出し、この算出した側板たわみ量とワークの公称板厚に対する実際の実刃間距離とから演算した値を最終指令刃間距離としてワークの曲げ加工を行うことを特徴とする曲げ加工方法。
  2. ワークの公称板厚、所定の曲げ角度を含む曲げ加工条件を入力する加工条件入力手段を設け、
    この加工条件入力手段にて入力された公称板厚に対してバラツキとなる任意の板厚において所定の曲げ角度となる実際の実刃間距離と、この任意の異なる板厚間における実刃間距離の差分と、その際の曲げ荷重とから、前記公称板厚における板厚のバラツキと曲げ角度との関係において板厚のバラツキの影響を受けることのない曲げ角度となる側板のアゴ開き定数を最適側板たわみ定数として算出する最適側板たわみ定数算出手段を設け、
    この最適側板定数算出手段にて算出した最適側板たわみ定数と曲げ加工中に検出した検出曲げ荷重とから側板たわみ量を算出する側板たわみ量算出手段を設け、
    この側板たわみ量算出手段にて算出した側板たわみ量と公称板厚において所定の曲げ角度となる実際の実刃間距離とから演算した値を最終指令刃間距離としてワークの曲げ加工を行うべく指令を与える曲げ加工指令部を設けてなることを特徴とする曲げ加工装置。
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