JP4888228B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents

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Description

本発明は、伸縮変形可能なサブタンクを備えるインクジェットプリンタに関するものである。
例えば特許文献1に記載されているインクジェットプリンタでは、メインタンクから記録ヘッドに至るインク経路の途中に伸縮変形可能なサブタンクを設け、このサブタンクでインクを一旦貯留し、メインタンク内のインク残量によって変動するインク供給圧を平滑化している。
特開2004−358918号公報
ところで、サブタンクに空気が溜まり、この空気が記録ヘッドに供給されると、インク吐出不良が発生してしまう。そこで、発明者は、サブタンクを縮小変形させることにより、サブタンク内の空気をメインタンク側に排出するインクジェットプリンタを検討した。
しかし、特許文献1に記載の発明のインクジェットプリンタでは、記録ヘッド側に連通する第1インク流路口がサブタンクに上方側に設けられ、かつ、メインタンク側に連通する第2インク流路口が下方側に設けられているので、サブタンク内の空気をメインタンク側に排出すべくサブタンクを縮小変形させると、サブタンク内の上方側に溜まっている空気が記録ヘッド側に供給され、サブタンク内の下方側に溜まっているインクのみがメインタンク側に供給されてしまい、却って、インク吐出不良が発生し易くなってしまう。
本発明は、上記点に鑑み、サブタンク内の空気を確実にメインタンク側に排出可能とすることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、往復移動しながら被記録媒体に向けてインクを噴射する記録ヘッドと、記録ヘッドに供給されるインクが蓄えられるメインタンクと、上下方向に伸縮変形可能なインクタンク部を有し、記録ヘッド側に連通する第1インク流路口、及びメインタンク側に連通する第2インク流路口が共に下方側に設けられたサブタンクと、一端側がサブタンク内側から第2インク流路口に接続され、他端側がサブタンク内で開口することにより、第2インク流路口とサブタンク内とを連通させる連通管とを備え、連通管は、その他端側に設けられた開口部がサブタンクの縮小変形と連動して上方側から下方側に変位するように構成されていることを特徴とする。
これにより、請求項1に記載の発明では、第2インク流路口とサブタンク内とは、サブタンクの縮小変形と連動して上方側から下方側に変位する開口部を介して連通した構成となる。一方、サブタンク内の空気は、サブタンクの変形状態によらず、必ず、サブタンク内の上方側に存在する。
したがって、請求項1に記載の発明では、サブタンクの変形状態によらず、開口部をサブタンク内の空気層領域で開口させることができるので、サブタンク内の空気を確実にメインタンク側に排出することが可能となる。
なお、請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載の発明のごとく、連通管がサブタンクの伸縮変形に応じて変形することにより、開口部がサブタンクの伸縮変形と連動して上下変位するように構成することが望ましい。
また、請求項3に記載の発明では、連通管は、サブタンクの伸縮変形に応じて弾性変形することを特徴とする。
これにより、請求項3に記載の発明では、連通管の弾性力(復元力)を利用してサブタンクの変形を復元することができる。
請求項4に記載の発明では、サブタンクが最も縮小変位したときに、開口部が、上下方向から見て、インクタンク部の上端面の中央部に位置することを特徴とする。
これにより、請求項4に記載の発明では、サブタンクの変形が復元する際に、サブタンクが傾いてしまうことを抑制しながら、その復元を補助することができる
請求項5に記載の発明では、サブタンクの縮小変形の進行に応じて、開口部が中央部に近づくように連通管の変形を誘導する変形誘導手段を備えることを特徴とする。
これにより、請求項5に記載の発明では、サブタンクが最も縮小変位したときに、開口部が、上下方向から見て、インクタンク部の上端面の中央部に位置するように連通管を変形させることが可能となる。
本実施形態は、本発明に係るインクジェットプリンタをステーション供給方式のインクジェットプリンタに適用したものである。以下、本発明の実施形態に係るステーション供給方式のインクジェットプリンタを図面と共に説明する。
1.図面の説明
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタの画像形成部を上方側から見た模式図であり、図2(a)は変形抑制リング121Eの正面図であり、図2(b)、図2(c)は変形抑制リング121Eをサブタンク121に装着した状態を示す図であり、図2(d)は図2(b)のA部拡大図である。なお、図2(b)はサブタンク121が伸張した状態(通常状態)を示し、図2(c)はサブタンク121が圧縮された状態を示している。
また、図3(a)及び図3(c)はサブタンク121の断面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A断面図であり、図4(a)、図5(a)、図6はインクの補充供給作動を示す作動説明図であり、図4(b)、図5(b)はインクの補充供給作動時におけるジョイントバルブの作動を示す作動説明図である。
2.本実施形態に係るインクジェットプリンタの概要
インクジェットプリンタは、周知のごとく、微小なインク滴を記録用紙等の被記録媒体(以下、用紙という。)に向けて噴射することにより用紙に画像を形成していくものである。そして、カラー画像を形成するに場合には、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック等の色を重ね合わせることにより様々な色彩の画像を形成する。
また、ステーション供給方式とは、後述するサブタンク121にインクを供給するときには、後述するメインタンクユニット130側とサブタンク121側とを接続し、一方、画像形成時等のサブタンク121にインクを補充供給していないときには、メインタンクユニット130側とサブタンク121側とを離間させた状態とする方式である。
そして、本実施形態では、サブタンク121内の残留インク量が所定量以下となったときに、メインタンクユニット130側とサブタンク121側とを接続させてサブタンク121にインクを補充供給し、一方、サブタンク121内の残留インク量が所定量より多いときには、メインタンクユニット130側とサブタンク121側とを離間させた状態とする。
2.記録ヘッドユニット
図1中、記録ヘッドユニット(キャリッジ)100は、用紙にインク滴を噴射する記録ヘッド110、及び記録ヘッド110にインクを供給するサブタンクユニット120等を有して構成されたもので、この記録ヘッドユニット100は、画像形成時に、用紙の搬送方向と直交する方向であって用紙の記録面と平行な方向(図1の左右方向)、つまり主走査方向に走査(往復移動)される。
なお、記録ヘッド110のうち搬送されてくる用紙と対向する面には、インクを噴射するためのノズル(図示せず。)が色毎に複数個設けられているとともに、これらのノズルは、色毎に用紙の搬送方向と平行な方向に列状に並んでいる。
サブタンクユニット120は、主走査方向に直列に並んだ複数個のサブタンク121C、121M、121Y、121Bk、及び各サブタンク121C、121M、121Y、121Bkを押圧する押圧レバー122C、122M、122Y、122Bk等を有して構成されている。
因みに、サブタンク121Cにはシアン(C)インクが充填され、サブタンク121Mにはマゼンタ(M)インクが充填され、サブタンク121Yにはイエロー(Y)インクが充填され、サブタンク121Bkにはブラック(Bk)インクが充填されている。
なお、以下、サブタンク121C、121M、121Y、121Bkは、充填されているインクが異なるのみで、その他同一であるので、以下これらのサブタンクを総称するときは、サブタンク121と記す。また、押圧レバー122C、122M、122Y、122Bkは、押圧するサブタンク121が異なるのみであるので、以下、これらの押圧レバーを総称するときは、押圧レバー122と記す。
また、押圧レバー122は、図4(a)に示すように、一端側122Aがサブタンク121の上端部に回転可能に連結され、他端122Bが記録ヘッドユニット100の外縁部より外側まで延びる押圧手段であり、この押圧レバー122の長手方向一端側122Aと他端側122Bとの間には、押圧レバー122を揺動可能に支持する支持部122Cが設けられている。なお、支持部122Cは、記録ヘッドユニット100の本体部に固定されている。
3.サブタンク
サブタンク121は、主走査方向及び用紙の搬送方向と直交する方向(本実施形態では、上下方向)に弾性的に伸縮変形可能に構成されている。具体的には、サブタンク121は、図2(b)や図3(a)等に示すように、伸縮変形可能な蛇腹部(ベローズ部)121A、蛇腹部121Aの伸縮方向上端側を閉塞する天板部121B、及び蛇腹部121Aの伸縮方向下端側を閉塞する底板部121D等から構成されている。
なお、サブタンク121の伸縮方向は、厳密に上下方向に一致している必要はなく、伸縮方向が上下方向に対して45度程度ずれていてもよい。
そして、サブタンク121は、図1に示すように、蛇腹部121Aの伸縮方向と直行する断面形状が、角部が滑らかな円弧状となった矩形状に形成されている。なお、本実施形態では、用紙の搬送方向がサブタンク121の長辺と一致し、走査方向がサブタンク121の短辺方向と一致するような長方形状となっているとともに、複数個のサブタンク121は、主走査方向に直列に並んで配置されている。
また、蛇腹部121Aは、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、又はエラストマー系等の靱性に優れた材料にて蛇腹状に成形したインクタンク部であり、この蛇腹部121Aの外周面側には、図2(b)に示すように、サブタンク121(蛇腹部121A)が、その伸縮変形方向と交差する方向(本実施形態では、主走査方向及び副走査方向)に変形することを抑制する変形抑制部材を成す変形抑制リング121Eが装着されている。
変形抑制リング121Eは、図2(a)に示すように、蛇腹部121Aの断面形状に沿うような略矩形環状のものであり、この変形抑制リング121Eは、図2(d)に示すように、蛇腹部121Aの外周面に接触する当接部121F、及び当接部121Fを挟んで蛇腹部121Aと反対側に位置して当接部121Fを補強する補強部121Gを有して構成されている。
なお、本実施形態では、当接部121Fと補強部121Gとは、POM(ポリアセタール)等の機械的強度に優れた樹脂材にて一体成形されている。
また、変形抑制リング121Eは、図2(b)に示すように、当接部121Fが蛇腹部121Aの谷部に嵌り込んだ状態で、蛇腹部121Aの伸縮方向において、蛇腹部121Aを等分(本実施形態では、2等分)する位置に装着されている。
ここで、伸縮方向において、蛇腹部121Aを等分する位置とは、厳密に蛇腹部121Aを等分する位置のみに限定されるものではなく、その位置は、谷部の数や谷部の大きさによって厳密に等分する位置からずれる場合もある。つまり、等分する位置とは、当業者がノギス等の計測器を用いること無く、目視で等分する位置と認められる程度の位置をいう。
また、当接部121Fのうち蛇腹部121Aに面する部位は、図2(d)に示すように、伸縮方向と平行な方向の寸法hが蛇腹部121Aに近づくほど小さくなるようにテーパ状(三角状)に形成されているとともに、そのテーパ角θは、蛇腹部121Aが最も圧縮された場合における谷部の角度Θと同等又はそれより小さくとなるように設定されている。
また、天板部121B及び底板部121Dは、押圧レバー122にて天板部121Bが押圧されたときに、天板部121B及び底板部121Dが撓み変形してしまうことがないように、蛇腹部121Aに比べて大きな曲げ剛性を有する材質又は形状にて構成となっている。
そして、底板部121Dには、図3(a)に示すように、記録ヘッド110側に連通する第1インク流路口121H、及びメインタンクユニット130側に連通する第2インク流路口121Jが設けられており、この第2インク流路口121Jとサブタンク121内上方側(天板部121B側)の空間とは、連通管121Lにて連通されている。
つまり、連通管121Lは、その一端側がサブタンク121内側から第2インク流路口121Jに接続され、他端側の開口部121Nがサブタンク121内上方側で開口した構成となっている。なお、図3では、紙面の都合上、変形抑制リング121Eが省略されている。
また、連通管121Lは、エラストマー等の弾性変形可能な材質にて構成された円管状のものであり、その上端側は、サブタンク121(蛇腹部121A)が最も伸張した状態においても、天板部121Bに直接又は間接的に接触した状態で湾曲している。
このため、天板部121Bが押圧レバー122により押圧され、サブタンク121が縮小変形していくと、連通管121Lがサブタンク121の縮小変形に応じて変形するので、開口部121Nは、サブタンク121の縮小変形と連動して上方側から下方側に変位する。
逆に、押圧レバー122による押圧力が解除されると、サブタンク121自身の復元力及び連通管121Lの復元力により、開口部121Nは、サブタンク121の伸張変形と連動して下方側から上方側に変位する。つまり、本実施形態では、開口部121Nは、サブタンク121の変形状態によらず、常に、サブタンク121内の上方側空間にて開口することとなる。
また、天板部121Bには、図3(a)及び図3(b)に示すように、サブタンク121の縮小変形の進行に応じて、開口部121Nが天板部121Bの中央部に近づくように連通管121Lの変形を誘導する変形誘導手段を成す2本の変形誘導リブ121Pが設けられている。
そして、変形誘導リブ121Pは、図3(a)に示すように、天板部121Bのうち連通管121Lと第2インク流路口121Jとの接続部に対応する部位側から天板部121Bの中央部側に延びる一対の壁状部材であり、連通管121Lの開口部121Nは、図3(b)に示すように、一対の変形誘導リブ121Pと天板部121Bとに形成された略コの字状の溝部121Qに摺動可能に配設されている。
ここで、天板部121Bの中央部とは、天板部121Bのうち、蛇腹部121Aが天板部121Bに作用させる伸縮方向の力によるモーメント及びサブタンク121内の圧力が天板部121Bに作用させるモーメント等、天板部121Bに作用するモーメントが釣り合う位置をいう。
なお、本実施形態では、蛇腹部121Aは天板部121Bにほぼ均等に力を作用させると見なすことができ、内圧による力はパスカルの原理により天板部121B全体に均等に作用するので、本実施形態では、天板部121Bの中央部は、天板部121Bの図心(面積モーメントが釣り合う位置)と一致する。
4.メインタンクユニット
メインタンクユニット130は、図4(a)に示すように、各サブタンク121に補充供給するためのインクが充填されている複数個のインクカートリッジ131、及びこれらのインクカートリッジ131が着脱可能に組み付けられたカートリッジケーシング132等から構成されている。
そして、インクカートリッジ131は、その幅寸法が他の方向に比べて小さい扁平立方体形状に形成されているとともに、幅方向が水平方向と略一致するように水平方向に並んだ状態でカートリッジケーシング132に装着されている。
5.ステーション型インク供給機構
5.1.ステーション型インク供給機構の概略構造
ステーション型インク供給機構(以下、インク供給機構と記す。)140は、図4(a)に示すように、サブタンク側ジョイントバルブ150、メインタンク側ジョイントバルブ160、押圧レバー122の他端側122Bを押圧するプッシュロッド170、及びメインタンク側ジョイントバルブ160及びプッシュロッド170を作動させるスライドカム180等を有して構成されている。
なお、サブタンク側ジョイントバルブ150、メインタンク側ジョイントバルブ160、プッシュロッド170及びスライドカム180等は、サブタンク121毎にそれぞれ設けられており、それらは全て同一構造であるので、以下、ブラックインクが充填されているサブタンク121用のインク供給機構140を例に説明する。
サブタンク側ジョイントバルブ150は、記録ヘッドユニット100の本体部に固定されてサブタンク121に連通する接続用バルブである。そして、図4(b)に示すように、略円筒状のバルブハウジング151のメインタンク側ジョイントバルブ160側には、弁口152(図5(b)参照)が形成されたバルブキャップ153が液密に組み付けられており、弁口152は、バルブハウジング151の内側に変位可能に配設された弁体154により閉塞されている。
なお、本実施形態に係るバルブキャップ153は、エラストマー等の弾性材料にて構成されているとともに、そのメインタンク側ジョイントバルブ160側には、弁口152の周囲を囲むようにメインタンク側ジョイントバルブ160側に突出した環状の突起部153Aが設けられている。
コイルバネ155は、弁口152を閉じる向きに弁体154を内側から押圧する弾性手段であり、このコイルバネ155は、バルブハウジング151内の圧力によって弁体154を閉じる向き押圧する押圧力F1とコイルバネ155による弁体154の押圧力F2との和(=F1+F2)が、大気圧が弁体154を開く向きに押圧する押圧力F3と略等しくなるか、又は僅かに大きくなるように、初期加重及びバネ定数が設定されている。
そして、本実施形態では、サブタンク側ジョイントバルブ150とサブタンク121とは、サブタンク121の上方側で連通し、サブタンク121と記録ヘッド110とは、サブタンク121の下方側に連通している。
また、メインタンク側ジョイントバルブ160は、インクをサブタンク121に補充供給する際に、サブタンク側ジョイントバルブ150と接続されてサブタンク121とインクカートリッジ131とを連通させるものである。なお、メインタンク側ジョイントバルブ160は、図4(a)に示すように、配管やチューブ166等のインク供給管を介してインクカートリッジ131に連通している。
そして、図4(b)に示すように、略円筒状のバルブハウジング161のバルブキャップ153側には、弁口162が設けられており、この弁口162は、バルブハウジング161の内側に変位可能に配設された弁体163により閉塞される。
コイルバネ164は、弁口162を閉じる向きの押圧力を弁体163に作用させる弾性手段である。プッシュロッド165は、サブタンク側ジョイントバルブ150側に突出してサブタンク側ジョイントバルブ150の弁体154を押圧して弁口152を開口させるためのものであり、このプッシュロッド165は、弁体163に一体化されて弁体163と一体的に変位する。
スライドカム180は、プッシュロッド170及びメインタンク側ジョイントバルブ160(バルブハウジング161)の長手方向端部に接触して、これら170、180をその長手方向(本実施形態では、上下方向)に移動させるカム面181が形成されたものである。
そして、本実施形態では、プッシュロッド170及びメインタンク側ジョイントバルブ160を上方側に移動させる場合には、後述する排紙ローラ190から駆動力を得てスライドカム180を図4(a)の左側に移動させる。
一方、プッシュロッド170及びメインタンク側ジョイントバルブ160を下方側に移動させる場合には、排紙ローラ190からの駆動力の伝達を遮断してリターン用バネ182の弾性力にてスライドカム180を図4(a)の右側に移動させる。
また、各サブタンク121用のスライドカム180は、ベース板183にて一体化されており、ベース板183のうち排紙ローラ190側には、図1に示すように、ラックギヤ183Aが設けられている。
そして、排紙ローラ190の長手方向端部に設けられたギヤ190Aからラックギヤ183A(ベース板183)に駆動力を伝達するピニオンギヤ184は、ラックギヤ183Aと噛み合う位置とラックギヤ183Aからずれてラックギヤ183Aと噛み合わない位置との間を移動可能に配設されており、このピニオンギヤ184は、図示しない電磁ソレノイド等のアクチュエータにてその位置が切り換えられる。
なお、排紙ローラ190は、画像形成が終了した用紙を排出口(図示せず。)側に搬送するための搬送手段であり、用紙は、左右一対のフレーム191間を搬送されて排出される。
5.2.インク供給機構の概略作動
インク供給機構140は、サブタンク121内のインク残量が所定量以下となったときにサブタンク側ジョイントバルブ150とメインタンク側ジョイントバルブ160とを接続し、インクをサブタンク121に補充供給するステーション供給手段である。
なお、本実施形態では、記録ヘッド110から噴射されたインクの噴射回数(パージ処理用の噴射回数も含む。)が、前回サブタンク121にインクを補充供給した時から計時して所定回数に到達したときにサブタンク121内のインク残量が所定量以下となったものと推定している。
そして、インクジェットプリンタの作動を制御する制御装置(図示せず。)は、サブタンク121内のインク残量が所定量以下となったと判定すると、ピニオンギヤ184をラックギヤ183Aと噛み合う位置に移動させるとともに、排紙ローラ190を回転させる。
これにより、スライドカム180が、図5(a)に示すように、紙面左側に移動するため、スライドカム180に押圧されてプッシュロッド170及びメインタンク側ジョイントバルブ160が上方側に移動する。
このため、図5(b)に示すように、メインタンク側ジョイントバルブ160が上方に移動して、メインタンク側ジョイントバルブ160のプッシュロッド165がサブタンク側ジョイントバルブ150の弁体154を押し上げるので、弁口152が開く。
これと同時に、メインタンク側ジョイントバルブ160の弁体163は、プッシュロッド165を介して弁口162を開く向きの押圧力を受けるため、弁体163が下方側に変位して弁口162が開き、サブタンク121とインクカートリッジ131とが連通した状態となる。
一方、プッシュロッド170の先端側が押圧レバー122の他端側122Bを上方側に押し上げるので、図5(a)に示すように、押圧レバー122の一端側122Aが下方側に下がってサブタンク121が押し潰されるように圧縮変形する。このため、サブタンク121に残留しているインクは、一旦、インクカートリッジ131に戻る。
なお、メインタンク側ジョイントバルブ160とサブタンク側ジョイントバルブ150とが接続される前にサブタンク121が圧縮されると、メインタンク側ジョイントバルブ160とサブタンク側ジョイントバルブ150とが接続される時に、接続部でインクが漏れる可能性が高いので、本実施形態では、サブタンク側ジョイントバルブ150とメインタンク側ジョイントバルブ160との接続が完了した後に、サブタンク121の圧縮が開始されるようにカム面181の形状及びスライドカム180の作動方向が設定されている。
また、サブタンク121を圧縮する際の圧縮圧力が過度に大きいと、記録ヘッド110の噴射口に形成されているメニスカスが破壊されるおそれがあるので、カム面181の形状及びスライドカム180の作動速度は、メニスカスが破壊されない程度の圧力(例えば、4kPa以下)でサブタンク121を圧縮するように設定されている。
そして、制御装置は、ピニオンギヤ184をラックギヤ183Aと噛み合う位置に移動させて排紙ローラ190を回転させた時から所定時間が経過したとき、又は排紙ローラ190の総回転量が所定総回転量に到達したときに、サブタンク121の圧縮が完了したものと見なして、ピニオンギヤ184をラックギヤ183Aと噛み合わない位置まで移動させるとともに排紙ローラ190の回転を停止させる。
これにより、図6に示すように、スライドカム180は紙面右側に移動し始めてプッシュロッド170が下方側に変位するとともに、サブタンク121が自身の復元力により膨張拡大していくため、インクカートリッジ131内のインクがサブタンク121に吸引されて補充供給される。
そして、スライドカム180が更に紙面右側に移動すると、図4に示すように、プッシュロッド170が押圧レバー122から離隔するとともに、サブタンク側ジョイントバルブ150とメインタンク側ジョイントバルブ160との接続状態が解除されて、サブタンク側ジョイントバルブ150及びメインタンク側ジョイントバルブ160が閉じる。
なお、プッシュロッド170と押圧レバー122とが接触している状態でサブタンク側ジョイントバルブ150とメインタンク側ジョイントバルブ160との接続状態が解除されると、接続部からインクが漏れ出るおそれが高いので、本実施形態では、プッシュロッド170が押圧レバー122から離隔した後に、サブタンク側ジョイントバルブ150とメインタンク側ジョイントバルブ160との接続状態が解除されるようにカム面181の形状及びスライドカム180の作動方向が設定されている。
ところで、画像形成時においては、図4に示すように、サブタンク側ジョイントバルブ150とメインタンク側ジョイントバルブ160との接続状態が解除されて、サブタンク側ジョイントバルブ150及びメインタンク側ジョイントバルブ160が閉じているが、サブタンク121内のインクが消費されると、サブタンク121が縮小するように弾性変形するので、サブタンク121内の圧力が低下し、この低下したサブタンク121内の圧力(負圧)により記録ヘッド110に形成されたメニスカスが維持される。
このとき、サブタンク121内のインクが多量に消費されてサブタンク121内の圧力が過度に低下すると、大気圧とサブタンク121内圧力との圧力差が過度に大きくなってメニスカスが破壊されてしまうおそれがある。
しかし、本実施形態では、コイルバネ155は、バルブハウジング151内の圧力によって弁体154を閉じる向き押圧する押圧力F1とコイルバネ155による押圧力F2との和(=F1+F2)が、大気圧が弁体154を開く向きに押圧する押圧力F3と略等しくなるか、又は僅かに大きくなるように、初期加重及びバネ定数が設定されているので、サブタンク121内の圧力が過度に低下すると、サブタンク側ジョイントバルブ150が開き、サブタンク121内の圧力が上昇する。
そして、大気圧とサブタンク121内圧力との圧力差がコイルバネ155の押圧力に相当する圧力差まで小さくなると、サブタンク側ジョイントバルブ150が閉じて、サブタンク121内の圧力がメニスカスを維持するために適正な圧力に維持される。
つまり、本実施形態では、大気圧とサブタンク121内圧力との圧力差がコイルバネ155の押圧力に相当する圧力差に維持されるように、サブタンク側ジョイントバルブ150が機械的に自動開閉制御される。
6.本実施形態に係るインクジェットプリンタの特徴
空気や塵埃等のインク以外の異物が記録ヘッド110に混入すると、インク吐出不良が発生してしまう。そこで、本実施形態に係るインクジェットプリンタでは、定期的に又は利用者により指令されたときに、サブタンク121を圧縮するように縮小変形させることにより、インクと共に記録ヘッド110内の異物を記録ヘッド110外に排出する正圧パージ機能を有している。
しかし、記録ヘッド110内の異物を確実に排出するには、比較的大きなインク圧力(例えば、約50kPa以上)を発生させる必要があるが、インク圧力が大きくなり、サブタンク121内の圧力が上昇してサブタンク121が外側に膨らむように変形してしまうと、インク圧力が低下してしまい十分な正圧パージを行うことができない。
これに対しては、剛性の高い材料又は形状でサブタンク121を構成すれば解決することができるものの、この解決手段では、サブタンク121自体が変形し難い構成となり、サブタンク121を伸縮変形させる際に大きな力を必要とするので、妥当な解決手段とは言い難い。
しかし、本実施形態では、蛇腹部121Aの外周面側に、サブタンク121が、その伸縮変形方向と交差する方向に変形することを抑制する変形抑制リング121Eが設けられているので、サブタンク121の伸縮変形を阻害することなく、サブタンク121が外側に膨らむように変形してしまうことを抑制できる。
ところで、蛇腹部121Aが外側に膨らむように変形する際には、谷部が先に変形し易く、かつ、谷部が膨らむように変形すると、インク圧力が大きく低下するので、効果的に正圧パージできない。しかし、本実施形態のごとく変形抑制リング121Eを蛇腹部121Aの谷部に配設すれば、効果的にサブタンク121の変形及びインク圧力の低下を抑制できるので、効果的に正圧パージをすることができる。
また、当接部121Fは、伸縮方向と平行な方向の寸法hが蛇腹部121Aに近づくほど小さくなるようなテーパ状に構成されているので、変形抑制リング121Eが蛇腹部121Aの縮小変形を阻害してしまうことを抑制できる。
ところで仮に、記録ヘッド110側に連通する第1インク流路口121Hがサブタンク121に上方側に設けられ、かつ、メインタンクユニット130側に連通する第2インク流路口121Jが下方側に設けられていると、サブタンク121内の空気をメインタンクユニット130側に排出させるべく、サブタンク121を縮小変形させると、サブタンク121内の上方側に溜まっている空気が記録ヘッド110側に供給され、サブタンク121内の下方側に溜まっているインクのみがメインタンクユニット130側に供給されてしまい、却って、インク吐出不良が発生し易くなってしまう。
なお、サブタンク121内の空気をメインタンクユニット130側に排出させるためにサブタンク121を縮小変形させる作動モード(以下、空気抜きモードという。)は、正圧パージと同様に、定期的に又は利用者により指令されたときに実行される。
これに対して、本実施形態では、第2インク流路口121Jとサブタンク121内とは、前述したように、サブタンク121の縮小変形と連動して上方側から下方側に変位する開口部121Nを介して連通した構成となる。一方、サブタンク121内の空気は、サブタンク121の変形状態によらず、必ず、サブタンク121内の上方側に存在する。
したがって、本実施形態では、サブタンク121の変形状態によらず、開口部121Nをサブタンク121内の空気層領域で開口させることができるので、サブタンク121内の空気を確実にメインタンクユニット130側に排出することが可能となる。
また、本実施形態では、連通管121Lは、サブタンク121の伸縮変形に応じて弾性変形するので、連通管121Lの弾性力(復元力)を利用してサブタンク121の変形を復元させることができ、サブタンク121を確実に伸張させることができる。
また、本実施形態では、サブタンク121の縮小変形の進行に応じて、開口部121Nが天板部121Bの中央部に近づくように連通管121Lの変形を誘導する変形誘導リブ121Pを備えているので、サブタンク121が最も縮小変位したときに、開口部121Nが、天板部121Bの中央部に位置するように連通管121Lを変形させることが可能となる。
そして、サブタンク121が最も縮小変位したときに、開口部121Nが天板部121Bの中央部に位置すると、サブタンク121の変形が復元する際に、サブタンク121が傾いてしまうことを抑制しながら、その復元を補助することが可能となる。
ところで、本実施形態では、第1インク流路口121H及び第2インク流路口121Jは共に底板部121Dに設けられているが、仮に、第1インク流路口121H及び第2インク流路口121Jを共に天板部121Bに設けると、第1インク流路口121H及び第2インク流路口121Jに接続された可撓性を有するインクチューブの存在等により、押圧レバー122にてサブタンク121(天板部121B)を押圧する際に、サブタンク121が傾いてサブタンク121を上下方向に均一に変形させることが難しくなる。
そして、サブタンク121が上下方向に均一に縮小変形しないと、押圧レバー122の作動量に対する実際の縮小変形量が小さくなり、圧縮効率が低下するので、正圧パージ時、空気抜きモード時やインクをメインタンクユニット130側に戻す際の作動効率が低下してしまう。
これに対して、本実施形態では、第1インク流路口121H及び第2インク流路口121Jが共に、押圧レバー122による押圧力が直接的に作用しない底板部121Dに設けられているので、サブタンク121を上下方向に均一に縮小変形させることが可能となり、正圧パージ時やインクをメインタンクユニット130側に戻す際の作動効率が低下してしまうことを未然に抑制できる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、第1インク流路口121Hと第2インク流路口121Jとは、互いに対向する位置に設けられていたが(図3(a)参照)、本発明はこれに限定されるものではない。
また、上述の実施形態では、蛇腹部121Aが上下方向に伸縮可能であったが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、上述の実施形態では、連通管121Lは弾性変形可能なものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば連通管121Lをテレスコープ状とすることによりその軸方向に伸縮変位可能とする、又は連通管121Lを揺動可能に底板部121Dに組み付けて天板部121Bの上下変位に連動して上下に揺動する構成とする、又は連通管121Lを弾性が殆ど無い可撓性を有するもので構成して開口部121Nを天板部121Bに連結する等としてもよい。
また、上述の実施形態では、変形誘導リブ121Pにより、開口部121Nが中央部に近づくように連通管121Lの変形を誘導する変形誘導手段を構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、連通管121Lを底板部121Dに対して傾いた状態で第2インク流路口121Jに接続する、又は天板部121Bに連通管121Lの初期変形方向を案内する傾斜面を設ける等してもよい。
また、上述の実施形態では、変形抑制リング121Eが蛇腹部121Aを2等分する位置に配設されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばn等分するように、n−1個の変形抑制リング121Eを蛇腹部121Aに装着する、又は等分しない位置に装着する、又は等変形抑制リング121Eを廃止する等してもよい。
また、上述の実施形態では、サブタンク121が略矩形断面形状を有するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば円形断面形状を有するものであってもよい。
また、上述の実施形態では、当接部121Fが谷部に嵌り込むように変形抑制リング121Eが装着されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、山部の頂点を覆うように変形抑制リング121Eを装着してもよい。
また、上述の実施形態では、当接部121Fがテーパ状に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当接部121Fを球面状としてもよい。
また、上述の形態では、変形抑制リング121Eを環状(O字状)としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばU字状又はC字状としてもよい。
また、上述の実施形態では、ステーション供給方式のインクジェットプリンタに本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るインクジェットプリンタの画像形成部を上方側から見た模式図である。 (a)は変形抑制リング121Eの正面図であり、(b)及び(c)は変形抑制リング121Eをサブタンク121に装着した状態を示す図であり、(d)は図2(b)のA部拡大図である。 (a)及び(c)はサブタンク121の断面図であり、(b)は図3(a)のA−A断面図である。 (a)はインクの補充供給作動を示す作動説明図であり、(b)はインクの補充供給作動時におけるジョイントバルブの作動を示す作動説明図である。 (a)はインクの補充供給作動を示す作動説明図であり、(b)はインクの補充供給作動時におけるジョイントバルブの作動を示す作動説明図である。 インクの補充供給作動を示す作動説明図である。
符号の説明
100…記録ヘッドユニット、110…記録ヘッド、120…サブタンクユニット、
121…サブタンク、121A…蛇腹部、121B…天板部、121D…底板部、
121E…変形抑制リング、121F…当接部、121G…補強部、
121H…第1インク流路口、121J…第2インク流路口、121L…連通管、
121N…開口部、121P…変形誘導リブ、121Q…溝部、
122…押圧レバー、130…メインタンクユニット、
131…インクカートリッジ、132…カートリッジケーシング、
140…インク供給機構、150…サブタンク側ジョイントバルブ、
151…バルブハウジング、152…弁口、153…バルブキャップ、
153A…突起部、154…弁体、155…コイルバネ、
160…メインタンク側ジョイントバルブ、161…バルブハウジング、
162…弁口、163…弁体、164…コイルバネ、165…プッシュロッド、
170…プッシュロッド、180…スライドカム、181…カム面、
182…リターン用バネ、183…ベース板、183A…ラックギヤ、
184…ピニオンギヤ、190…排紙ローラ、190A…ギヤ。

Claims (5)

  1. 往復移動しながら被記録媒体に向けてインクを噴射する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドに供給されるインクが蓄えられるメインタンクと、
    上下方向に伸縮変形可能なインクタンク部を有し、前記記録ヘッド側に連通する第1インク流路口、及び前記メインタンク側に連通する第2インク流路口が共に下方側に設けられたサブタンクと、
    一端側が前記サブタンク内側から前記第2インク流路口に接続され、他端側が前記サブタンク内で開口することにより、前記第2インク流路口と前記サブタンク内とを連通させる連通管とを備え、
    前記連通管は、その他端側に設けられた開口部が前記サブタンクの縮小変形と連動して上方側から下方側に変位するように構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 前記連通管が前記サブタンクの伸縮変形に応じて変形することにより、前記開口部が前記サブタンクの伸縮変形と連動して上下変位することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  3. 前記連通管は、前記サブタンクの伸縮変形に応じて弾性変形することを特徴とする請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記サブタンクが最も縮小変位したときに、前記開口部が、上下方向から見て、前記インクタンクの上端面の中央部に位置することを特徴とする請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
  5. 前記サブタンクの縮小変形の進行に応じて、前記開口部が前記中央部に近づくように前記連通管の変形を誘導する変形誘導手段を備えることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
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