JP4888095B2 - 再成形可能かつ優れた形状回復能を有する形状記憶樹脂の高強度化 - Google Patents

再成形可能かつ優れた形状回復能を有する形状記憶樹脂の高強度化 Download PDF

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本発明は、再成形可能かつ形状回復能に優れた形状記憶性樹脂の高強度化に関するものである。
形状記憶性を示す材料として従来から合金材料と樹脂材料があり、形状記憶性合金はパイプ継手や歯列矯正など、形状記憶性樹脂は熱収縮チューブ、ラミネート材、締め付けピン、ギブス等の医療用器具材などに利用されている。形状記憶性樹脂は形状記憶合金と比べて、複雑な形状に加工できる、形状回復率が大きい、軽量である、自由に着色できる、低コストである等のメリットが挙げられ、一層の用途拡大が注目されている。
形状記憶性樹脂は、樹脂に所定の温度をかけて変形したのち、室温まで冷却することで所望の形に固定することが出来、さらに再度加熱することで、本来の形状に復元する性質を有する。形状記憶性樹脂は、物理的あるいは化学的結合部位(架橋点)から成る固定相と、ある温度以上(可逆相内部でのTgまたは融点)で流動的になる非架橋部分から成る可逆相から構成されていることを特徴とする。
形状記憶性樹脂のメカニズムをさらに詳細に説明するが、以下の1から3のステップによって、形状記憶の付与、成形品の変形および記憶形状の回復を実現する。又、図2に、概念図を示す。
1.成形加工
形状記憶性樹脂を所定の方法(加熱、溶融、固化)で成形加工すると、固定相と可逆相(硬)から成る初期状態(原形)(同図(a)及び部分拡大図(b))が記憶される。
2.成形品の変形
成形品を任意の形状に変形させるには、固定相は溶融させずに可逆相のみを溶融させる温度、つまり可逆相内部のTgや融点以上に加熱し可逆相(軟)に移行させ(同図(c))、この状態で外力を加えることによって変形できる(同図(d))。変形された成型品をTgや融点以下に冷却すると、可逆相も完全に固化して変形した状態で固定化される(同図(e))。
3.記憶形状の回復
任意形状に変形された成形品の形状は、一時的に強制固定されている可逆相によりその変形状態が保たれている。従って加熱により可逆相のみが溶融する温度に達すると、樹脂はゴム状特性を示して安定状態となり、元の形状を回復する(同図(c))。さらにTgや融点以下に冷却することにより、同図(b)の初期状態の成形体に戻る。
ここで、固定相は架橋の種類によって熱硬化型と熱可塑型に分類され、それぞれに長所と短所を持つことが知られている。
熱硬化型形状記憶性樹脂の固定相は、共有結合による架橋構造から成る。熱硬化型の長所としては、樹脂の流動を防ぐ効果が高く、優れた形状回復力や寸法安定性を有し、回復速度が速い。一方、共有結合架橋のため、再成形が不可能、すなわちリサイクルできないという短所を持つ。
一方、熱可塑型形状記憶性樹脂の固定相は、結晶部、ポリマーのガラス状領域、ポリマー同士の絡まり合い、金属架橋等から成る。これらの固定相は加熱により融解するため、再成形可能、つまりリサイクルできるという長所を持つ。しかしながら、熱可塑型の固定相の結合力は共有結合架橋である熱硬化型に比べて弱いため、熱硬化型より形状回復力に劣るといった短所を持つ。非特許文献1には、従来の形状記憶樹脂について詳細に述べられている。
本発明者は、熱硬化型と熱可塑型の長所を併せ持つ新材料として、架橋部位に共有結合性の熱可逆性反応を導入した形状記憶性樹脂を開発した(特許文献1)。熱可逆性反応とは、結合が所定の温度で開裂し、冷却時に再結合する反応をいう。このような熱可逆性反応については、非特許文献2に紹介されている。樹脂を熱可逆性反応で架橋することで、熱可逆性架橋部位が固定相、樹脂が可逆相となり、形状記憶性が得られる。さらに、実用温度域では共有結合架橋しているため熱硬化型として機能し、成形、再成形時には加熱により結合が開裂して熱可塑型として機能するため、優れた形状回復力を有し、かつ成形性、リサイクル性に優れるという長所を持ち合わせた形状記憶性樹脂となる。また、冷却時に再結合し熱硬化型に戻るため、成形前と同等の形状記憶性樹脂が得られ、繰り返し変形による形状回復率の低下も起こらない。また、主鎖に生分解性樹脂を用いれば、更に環境負荷を低減させることができる。
唐牛正夫、「形状記憶ポリマーの材料開発」シーエムシー、第30〜43頁、1989年刊 Engleら、J.Macromol.Sci.Re.Macromol.Chem.Phys.、第C33巻、第3号、第239〜257頁、1993年刊 WO2005/056642
しかし、上記特許文献1に記載した形状記憶性樹脂、特に実施例に記載のポリ乳酸をベースとし、ディールスアルダー型で架橋した樹脂では、生分解性を有し環境負荷低減に非常に有効な材料であるが、用途によっては強度の点でさらに改良の余地があり、より高強度の形状記憶樹脂の開発が望まれていた。
本発明は再成形可能かつ形状回復能に優れた形状記憶樹脂の高強度化および高強度成形体の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、熱可逆反応すなわちディールスアルダー型の架橋部位に架橋構造の歪みを緩和可能な鎖状構造を導入した形状記憶性樹脂組成物を第一の要旨とする。また、本発明は、上記形状記憶性樹脂組成物の架橋体からなる形状記憶製品を第二の要旨とする。
すなわち、本発明は、固定相と、所定の温度以上で流動的となる非架橋成分からなる可逆相から構成される形状記憶性樹脂であって、固定相が冷却により共有結合し、加熱により開裂するディールス−アルダー型の熱可逆性反応により架橋が制御される架橋部位からなり、架橋部位に熱可逆性反応に関与する官能基に隣接して架橋構造の歪みを緩和可能な6原子以上の鎖状構造が導入されたされており、かつ樹脂の架橋密度が0.003以上の範囲にあることを特徴とする形状記憶性樹脂に関する。
本発明の形状記憶性樹脂は、優れた形状記憶性と再成形性を有し、さらに架橋歪みを緩和し得る鎖状構造を熱可逆性反応に関与する官能基に隣接して導入したことにより強度の向上が達成されているため、高強度を必要とする材料、例えば電子機器用部材等の成形体として有用である。
次に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の形状記憶性樹脂は、架橋部位に熱可逆反応を導入し3次元架橋した樹脂(熱可逆架橋樹脂)である。3次元架橋樹脂の強度を上げるには、一般的に架橋密度を上げる手法が知られている。ところが、特許文献1の実施例で製造したディールスアルダー型で架橋した熱可逆架橋樹脂の強度を検証したところ、架橋密度を上げても十分な強度の向上が図れなかった。
鋭意検討した結果、強度が向上しない原因として、ディールスアルダー型で用いた官能基が嵩高いため、架橋時に立体障害により歪が発生すると考えた。そこで、この歪を緩和するため、架橋部位に所定の鎖長の鎖状構造を導入したところ、熱可逆架橋樹脂の強度が飛躍的に向上することを見出した。
架橋部位はディールス−アルダー[4+2]環化反応を利用する。共役ジエンを第1官能基Z1,ジエノフィルを第2官能基Z2として導入することにより、熱可逆反応で架橋した形状記憶性樹脂を得る。共役ジエンとしては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シクロペンタジエン環、1,3−ブタジエン、チオフェエン−1−オキサイド環、チオフェエン−1,1−ジオキサイド環、シクロペンタ−2,4−ジエノン環、2Hピラン環、シクロヘキサ−1,3−ジエン環、2Hピラン1−オキサイド環、1,2−ジヒドロピリジン環、2Hチオピラン−1,1−ジオキサイド環、シクロヘキサ−2,4−ジエノン環、ピラン−2−オン環およびこれらの置換体などを官能基として用いる。ジエノフィルとしては、共役ジエンと付加的に反応して環式化合物を与える不飽和化合物を用いる。例えば、マレイミド基、ビニル基、アセチレン基、アリル基、ジアゾ基、ニトロ基およびこれらの置換体などを官能基として用いる。また、上記共役ジエンもジエノフィルとして作用する場合がある。
これらの中でも、例えば、シクロペンタジエンを架橋反応に用いることができ、Tdは150℃以上250℃以下である。ジシクロペンタジエンは共役ジエン及びジエノフィルの両作用を有する。シクロペンタジエンカルボン酸の2量体であるジシクロペンタジエンジカルボン酸は、市販のシクロペンタジエニルナトリウムから容易に得ることができる(参考:E.Rukcensteinら、J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.、第38巻、第818〜825頁、2000年刊)。このジシクロペンタジエンジカルボン酸は、ヒドロキシル基を有する前駆体、ヒドロキシル基で修飾された前駆体などに、エステル化反応によりヒドロキシル基の存在している部位に架橋部位として導入される。
また、例えば、ジエノフィルとしてマレイミド基、ジエンとしてフリル基を用いれば、Tdが80℃又は140℃の熱可逆反応となる。マレイミド基及びフリル基は、例えば、それぞれ3−マレイミドプロピオン酸および3−フリルプロピオン酸を用い、ヒドロキシル基を有する前駆体、ヒドロキシル基で修飾された前駆体などに、エステル化反応によりヒドロキシル基の存在している部位に容易に熱可逆架橋性官能基を導入できる。
熱可逆架橋性官能基の導入に利用する上記のエステル化反応については、酸およびアルカリ等の他にカルボジイミド類などの触媒を用いることも可能である。また、カルボキシル基を塩化チオニル又はアリルクロライド等を用いて酸塩化物に誘導した後、ヒドロキシル基と反応する事によりエステル化することも可能である。酸塩化物を用いれば、アミノ基とも容易に反応するためアミノ酸類およびその誘導体のアミノ基側にも導入できる。
ジエノフィルであるマレイミド誘導体は、一分子中に少なくとも2個以上のアミノ基を有するポリアミンから合成することができる。例えば、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)アミン等の脂肪族ジアミン、PAMAM、ポリアリルアミン、ポリリジン、ポリビニルアミン等の脂肪族ポリアミン、O,O’−ビス(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコール、O,O’−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。天然由来のアミノ化合物は環境問題の点から樹脂原料として好ましい。
これらの官能基、例えば、シクロペンタジエニル基同士のディールス−アルダー型反応は、以下の一般反応式(I)で示す様に、熱可逆性の架橋構造を形成する。
又、実施例で使用しているフリル基とマレイミド基とのディールス−アルダー型反応も、以下の一般反応式(I’)に示すように、熱可逆性の架橋構造を形成する。
ディールス−アルダー型は疎水性であるため加水分解しやすい樹脂にも適用でき、水分等による反応基の失活も起こらないため、様々な樹脂に適用できる。エステル結合を多く有する植物由来樹脂にも好適に使用できる。
本発明の形状記憶性樹脂のメカニズムを詳細に説明するが、以下の1から4のステップによって、形状記憶の付与、成形品の変形および記憶形状の回復、再成形を実現する。又、図1に、概念図を示す。
1.成形加工
本発明の形状記憶性樹脂を熱可逆的架橋部の開裂温度(Td)以上の温度で溶融して所定形状に成形加工すると、固定相(熱可逆的架橋部位)と可逆相(樹脂部:硬)から成る初期状態(原形)(同図(a))が記憶される。本発明の形状記憶性樹脂は、成形時に熱可塑性となるため、成形性に優れたものとなる。
2.成形品の変形
成形品を任意の形状に変形させるには、固定相の熱可逆的架橋部位を開裂させずに可逆相のみを軟化させる温度、つまり樹脂のTg以上Td未満に加熱し可逆相(軟)に移行させ(同図(b))、この状態で外力を加えることによって変形できる(同図(c))。変形された成型品をTg未満に冷却すると、可逆相も完全に固化して変形した状態で固定化される(同図(d))。
3.記憶形状の回復
任意形状に変形された成形品の形状は、一時的に強制固定されている可逆相によりその変形状態が保たれている。従って加熱により可逆相のみが軟化する温度(Tg以上Td未満)に達すると、樹脂はゴム状特性を示して安定状態となり、元の形状を回復する(同図(b))。このとき、固定相の熱可逆的架橋部位は共有結合性の架橋であるため、優れた回復力を達成することが可能である。さらにTg未満に冷却することにより、同図(a)の初期状態の成形体に戻る。
4.再成形
再成形させるには、熱可逆的架橋部位のTd以上に加熱して架橋を開裂させ、樹脂を溶融状態とし、前記1と同様の手法により所望の形状に再成形する。同図(e)では熱可逆的架橋部位の開裂により、樹脂部と架橋剤部とになる例を示しているが、架橋剤を用いずに樹脂部同士を直接架橋させることもできる。
本発明では、冷却により共有結合し、加熱により開裂する熱可逆性反応により架橋が制御される形状記憶樹脂であって、架橋部位の熱可逆架橋性官能基に隣接して架橋構造の歪みを緩和可能な鎖状構造を導入したことが特徴である。架橋構造を形成する2つの官能基の何れにも隣接して鎖状構造を導入しなければならない。
特に本発明では、形状記憶性樹脂が、熱可逆的架橋部位の開裂により樹脂部と架橋剤部とになり、前記架橋剤部に架橋構造の歪みを緩和する鎖状構造が導入されていることが好ましい。そのような架橋剤部としては、下記一般式(1)で表される架橋剤を前駆体として構成されることが好ましい。
(式中、Xは、鎖状構造であり、分岐しても構わない。ただし、芳香族、環状化合物、二重結合を含まない。
Zは熱可逆性反応により架橋可能な官能基を示す。
Yは、mが2以上となるような結合基を示す。
mは2以上の整数を示す。)
架橋剤前駆体(1)は熱可逆性反応により架橋可能な官能基Zを2つ以上有する化合物である。2つのZ間にある鎖状構造の連鎖数(Yの経路中の鎖状構造と2個のX)をnとすると、6≦nが望ましい。さらに好ましくは12≦nが望ましい。nが5以下では、熱可逆性反応で発生する歪が緩和されない場合があるため、十分な強度が得られない。Zが3つ以上ある場合は、いずれか2つのZ間にある原子数で最も小さい値をnとする。Xの条件を満たすのであれば、樹脂も架橋構造の歪みを緩和する鎖状構造と成りうる。
架橋剤前駆体に含まれる熱可逆性反応により架橋可能な官能基Zは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。本発明の熱可逆架橋樹脂は、前駆体の官能基Zと熱可逆性反応により架橋可能な官能基(Z’)を少なくとも有する樹脂の少なくとも1種と、架橋剤前駆体の少なくとも1種との混合物であり、好ましくは架橋剤前駆体中の官能基Zと樹脂の官能基Z’とが同モル比となるように調整された混合物である。
また、形状記憶性及び強度の観点から、架橋構造としては、3次元架橋構造が好ましい。3次元架橋構造の架橋密度は、樹脂材料の官能基の数、各部材の混合比などを所定の値とすることで、所望の値とされる。3次元架橋構造の架橋密度は樹脂物100g当たりに含まれる3次元構造の架橋点のモル数で表される。すなわち原料1分子中の(官能基数−2)をその分子の架橋点モル数とした。十分な形状記憶性を実現するために架橋密度は0.003以上必要である。0.01以上がより好ましい。一方、架橋密度は1以下が好ましく、0.3以下が特に好ましい。架橋密度が0.003未満であると架橋構造を緩和し得る鎖状構造を導入しても、樹脂自体の強度が十分得られないためである。また、1より大きいとTg以上で十分なゴム的性質を示さなくなり、変形できなくなるため、形状記憶性樹脂として機能しなくなる場合がある。鎖状構造を構成する原子数(置換基は含まない)は、架橋密度の上記下限値を満足する範囲内で設定する。
樹脂については、導入する熱可逆反応の開裂温度(Td)以下、電子機器用部材等成形体の使用時に耐えうる温度以上の範囲でガラス転移温度(Tg)を有する樹脂を選択する。使用する部材によって耐熱温度は異なるが、樹脂のTgは40℃以上200℃以下が好ましい。Tgが40℃未満では室温の剛性が低く、形態安定性が悪くなり、また200℃より高い場合、成形性、加工性とも悪く、かつ多量のエネルギーが必要となるため、生産性および経済性の点から不利となる。また、樹脂のTgは40℃以上100℃以下が好ましく、さらには樹脂のTgは40℃以上80℃以下が好ましい。ユーザーが製品を形状記憶する際に、実用的な加熱手段としてドライヤーやお湯等が考えられ、加熱可能な温度範囲は100℃以下である。従って、Tgが100℃以上であると加熱方法が限定されるため、実用性に劣る。また、体に直に装着あるいは触れる製品である場合、やけどを防ぐ意味で80℃以下が好ましい。また、樹脂のTgがTd以上であると、樹脂が軟化する前に架橋が開裂するため形状記憶性に優れた形状記憶を達成することが出来ない。導入する熱可逆反応のTdより10℃以上低いTgを有する樹脂が好ましい。
架橋部位に用いる熱可逆反応の結合の開裂温度(Td)は、50℃以上300℃以下の範囲とする。実用温度域では固定相および可逆相は硬化状態でなければ、高強度は得られない。従って、Tdが50℃未満であると、電子機器等の高強度を要求される製品への適用は困難である。またTdが300℃を超えると、樹脂の熱分解や、作業上に問題が生じるため適切ではない。
次に、Tdは樹脂のTg+10℃以上とする。形状記憶時にはTg以上の温度で加熱し可逆相を軟化させて樹脂を変形させるが、この温度で固定相が架橋していなければ、樹脂の流動性を防止することができないため、形状を記憶できない。変形可能な温度範囲を広くするために、TdはTg+20℃以上が望ましい。さらに好ましくは、TdはTg+30℃以上が望ましい。
さらに、形状の変形時および回復時の温度は、Tg以上Td未満の範囲とする。Tg未満では樹脂の分子運動が起こらないため、形状記憶および回復することができない。また、Td以上では熱可逆反応の結合開裂が起こるため、樹脂の流動性を防止することができず、予め与えていた記憶が失われるためである。
そして、再成形時の温度はTd以上の範囲とする。好ましくは、Td以上、樹脂の熱分解開始温度未満が望ましい。Td以上で熱可逆反応の結合開裂が起こり、樹脂の成形性が向上するためである。
以上をまとめると、以下の式になる。
40℃≦Tg≦200℃ (1)
50℃≦Td≦300℃ (2)
Tg+10℃≦Td (3)
Tg≦Tt<Td≦Tf<Tdec (4)
(上記(4)式において、Ttは変形温度、Tfは成形、再成形温度、Tdecは樹脂の分解温度を示す。)
前記熱可逆性反応は、1種の反応形式を含んでいれば優れた形状記憶性及びリサイクル性を実現することができるが、2種以上の反応形式を含んでいても良い。2種以上の反応形式を含み、それぞれのTdが異なる場合、最も高い温度のTdをTd1,最も低い温度のTdをTd2とすると、上記(3)及び(4)式は、以下の通りとなる。
Tg+10℃≦Td2 (3’)
Tg≦Tt<Td2<Td1≦Tf<Tdec (4’)
又、隣接する2つのTd間(Tda、Tdb)に10℃以上の温度差がある場合、すなわち、
Tda+10℃≦Tdb (5)
であれば、上記Ttでの形状記憶に加えて、別の形状を記憶することも可能である。別の形状記憶を行う際の変形温度をTt1とすると、以下の関係が成立する。
Tt<Tda≦Tt1<Tdb (6)
(鎖状構造の導入)
熱可逆反応を行う官能基に隣接して導入する鎖状構造は、その鎖状構造の主鎖に炭素原子又はシリコン原子を主として含むものであり、他の原子として酸素原子や窒素原子を含んでいてもよい。例えば、メチレン鎖、アルキルエーテル鎖、シリコーン鎖、アルキルエステル鎖などである。鎖状構造は、架橋歪みを緩和し得る範囲で分岐していても置換基を有していても構わない。ただし、本発明の架橋歪みを緩和可能な鎖状構造には芳香族、環状化合物、炭素間の不飽和結合を含まない。鎖状構造中に芳香族、環状化合物、炭素間の不飽和結合を含むと、剛直な鎖状構造となり、歪みが緩和できないためである。
このような鎖状構造を熱可逆性官能基に隣接して導入するには、鎖状構造を有し2官能以上の反応性官能基を持つ化合物より、既知の反応を用いてZ(加熱により開裂し、冷却により共有結合する熱可逆性官能基)を導入することができる。例えば、ディールス−アルダー結合で用いるマレイミド基の場合、アミノ基からマレイミド化が可能である。従って、芳香族や環状構造を持たない脂肪族ジアミン化合物やジアミノシリコーン等を出発原料にして、2官能化合物が合成できる。
また、カルボキシル基や水酸基等のZ以外の官能基を有するZ誘導体でも鎖状構造を導入可能である。例えば、鎖状構造を有するジイソシアネートと水酸基を持つZ誘導体の反応により、鎖状構造を有する2官能化合物が合成できる。また、アミノカルボン酸から得られるマレイミドカルボン酸と多官能化合物を反応させることで、多官能マレイミド化合物が合成できる。例えば、前記架橋剤前駆体(1)を製造するには、カルボキシル基や水酸基等のZ以外の官能基を有するY中間体と、官能基Zに隣接して鎖状構造を有するZ中間体とを用いて、Yに対して官能基Zに隣接して鎖状構造が導入された前駆体(1)を製造することが可能である。Y中間体はZ中間体と反応可能な官能基を2つ以上有する化合物であれば構造は限定されない。例えば、Y中間体としては、2官能以上の鎖状化合物、芳香族化合物、環状化合物、不飽和化合物、無機物などが挙げられる。樹脂でも鎖状構造を持つならば、Zの歪を緩和することができる。
(樹脂へのZ’官能基の導入)
熱可逆架橋性官能基Z’は、樹脂材料の分子鎖末端に導入してもよいし、分子鎖中に導入してもよい。また、導入の方法としては、付加反応、縮合反応、共重合反応などを用いることができる。
例えば、分子鎖中に官能基Z’を導入する方法としては、ポリスチレンのカルボン酸化、ニトロ化等様々な官能基の導入方法が知られている。また、ポリスチレンのハロゲン化も知られており、アミン基への変換等、ハロゲン基の様々な化学反応を利用して、必要な官能基を導入することも可能である(参考:高分子の合成・反応(3)p.13〜 共立出版株式会社)。
主鎖に官能基Z’を有する樹脂も利用可能である。たとえば、ポリビニルアルコール等、水酸基を有するポリマーはエステル化、エーテル化等、官能基Z’の導入方法が知られている。また、ポリメタクリル酸等のカルボン酸基を有する樹脂は、エステル化等の様々なカルボキシル基の化学反応が可能である。また、これらの樹脂と官能基Z’を持たない樹脂を共重合することも有効である。
分子鎖末端に官能基Z’を導入する方法としては、たとえば、重合時に末端封止剤を用いて、官能基を導入することができる。たとえば、スチレンなどのリビングポリマーの末端は反応性の高いカルボアニオンであるため、炭酸ガス、エチレンオキシド、保護基で保護した官能基を有するハロゲン化アルキル誘導体などとほぼ定量的に反応し、樹脂鎖末端にカルボン酸基、水酸基、アミノ基、ビニルエーテル基などを導入することが可能である。また、官能基を有する重合開始剤を用いて、樹脂鎖末端に官能基Z’を導入することも可能である。
また、ポリカーボネートやポリ乳酸等のポリエステル系樹脂には、エステル化反応による官能基Z’の導入が有効である。酸やアルカリの他にカルボジイミド類などの試薬を用いてエステル化反応をすることができる。また、カルボキシル基を塩化チオニルやアリルクロライドなどを用いて酸塩化物に誘導した後、ヒドロキシル基と反応する事によりエステル化することも可能である。また、ジカルボン酸およびジオールを原料として合成されているポリエステル類については、使用する原料のジオール/ジカルボン酸のモル比率を1より多くすることにより、分子鎖の末端基をすべてヒドロキシル基にすることが可能である。
また、ポリオールを開始剤としたラクチドの開環反応およびエステル交換反応により、末端をヒドロキシル基にすることが可能である。即ち、2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物を用いて、ラクチドの開環反応やポリエステル樹脂のエステル交換反応をすることにより、末端がヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂が得られる。
ヒドロキシル基を持つ化合物として、3つ以上ヒドロキシル基をもつ化合物を用いれば、3次元架橋構造の架橋点を形成する事が出来るので特に望ましい。例えば、ポリ乳酸のエステル結合をペンタエリスリトールでエステル交換することにより、分子鎖の末端にヒドロキシル基が合計で4つ存在するポリエステルが得られる。
2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどの3価アルコール、ペンタエリスリトール、メチルグリコシド、ジグリセリンなどの4価アルコール、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのポリペンタエリスリトール、テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノールなどのシクロアルカンポリオール、ポリビニルアルコールが挙げられる。また、アドニトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ズルシトールなどの糖アルコール、グルコース、マンノースグルコース、マンノース、フラクトース、ソルボース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、セルロースなどの糖類が挙げられる。多価フェノールとしてはピロガロール,ハイドロキノン,フロログルシンなどの単環多価フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンなどのビスフェノール類、フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック)などが挙げられる。
なお、末端部にカルボン酸を有する樹脂や未反応のヒドロキシル基を有する化合物は容易に精製除去可能である。
カルボキシル基が必要な場合は、ヒドロキシル基に対し、2官能以上カルボン酸を有する化合物を上述のエステル化反応により結合させれば、カルボキシル基に変性する事が可能である。特に酸無水物を用いれば、容易にカルボキシル基を有する前駆体を調製する事が可能である。酸無水物としては、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸やこれらの誘導体を利用することが可能である。
(架橋部位の化学構造)
架橋部位は、加熱により開裂し、冷却により共有結合する2つの官能基(第1官能基Z1および第2官能基Z2)より構成される。前記した架橋剤の官能基Zと樹脂官能基Z’の組合せも同様に、官能基Zが第1官能基Z1(或いは第2官能基Z2)、樹脂官能基Z’が第2官能基Z2(或いは第1官能基Z1)に相当する。溶融加工温度より低温で固化している際には、第1官能基Z1および第2官能基Z2は共有結合により架橋を形成しており、溶融加工温度などの所定の温度以上では、第1官能基Z1および第2官能基Z2に開裂する。架橋部位の結合反応および開裂反応は温度変化により可逆的に進行する。なお、第1官能基Z1および第2官能基Z2は、異なる官能基でも良いし同じ官能基でも良い。同一の2つの官能基が対称的に結合して架橋を形成する場合、同一の官能基を第1官能基Z1および第2官能基Z2として使用できる。
(樹脂)
上記架橋物の樹脂としては、Tgが40℃≦Tg≦200℃の範囲にある樹脂を用いることができる。先述したXの条件を満たすのであれば、樹脂も架橋構造の歪みを緩和する鎖状構造と成りうる。鎖状構造を持たない樹脂は、官能基に隣接して鎖状構造を導入することで歪を緩和できる。具体的には例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、6−ナイロン、6,6−ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、トリニトロセルロース、ポリ乳酸などを用いることが出来る。これらは単独でもしくは2種類以上用いることが出来る。また、トリアセチルセルロース、トリニトロセルロース、ポリ乳酸等、生分解性樹脂を用いることで、生分解性を有する架橋物が得られる。環境問題の点から石油由来樹脂よりも、ポリ乳酸のような植物由来樹脂の方が好ましい。
また、単独でのTgが40℃未満の樹脂であっても、高いTgを有する樹脂との共重合やブレンドによりTgの調節が可能である。またTgの高い樹脂であっても可塑剤の添加によりTgの調節が可能である。
また、樹脂の架橋構造によりTgの調節が可能である。例えば、樹脂前駆体の分子量を下げたり、樹脂前駆体の官能基の数を増やしたりすることで、架橋密度が上がり樹脂のTgを上げることができる。樹脂前駆体の分子量を上げたり、樹脂前駆体の官能基の数を減らしたりすることにより、架橋密度が下がり樹脂のTgを下げることができる。
以上の方法で架橋物のTgを40℃以上200℃以下に調節することが可能である。実用面から、Tgが40℃以上100℃以下、さらには80℃以下であることが好ましい。
上記樹脂前駆体の数平均分子量(以下分子量と略す)は100〜1,000,000の範囲で用いる。好ましくは、1,000〜100,000で、さらに好ましくは2,000〜50,000である。樹脂前駆体の分子量が100未満であると、樹脂の機械的特性や加工性が劣る場合がある。また、1,000,000を超えると、架橋密度が低くなるため、形状記憶性に劣る場合がある。
また、本発明の形状記憶性樹脂を得るに際して、所望の特性を損なわない範囲で、無機フィラー、有機フィラー、補強材、着色剤、安定剤(ラジカル捕捉剤、酸化防止剤など)、抗菌剤、防かび材、難燃剤などを、必要に応じて併用できる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、タルク、砂、粘土、鉱滓などを使用できる。有機フィラーとしては、ポリアミド繊維や植物繊維などの有機繊維を使用できる。補強材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、ポリアリレート繊維、針状無機物、繊維状フッ素樹脂などを使用できる。抗菌剤としては、銀イオン、銅イオン、これらを含有するゼオライトなどを使用できる。難燃剤としては、シリコーン系難燃剤、臭素系難燃剤、燐系難燃剤、無機系難燃剤などを使用できる。
以上の様な樹脂および樹脂組成物は、射出成形法、フィルム成形法、ブロー成形法、発泡成形法などの一般的な熱可塑性樹脂の成形方法により、電化製品の筐体などの電気・電子機器用途等様々な成形体に加工できる。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を用いた。また、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラム法により測定し、標準ポリスチレンを用いて換算した。フラン修飾率は樹脂1モルあたりのフリル基のモル数を示す。得られた形状記憶樹脂について、以下の方法で性能を評価した。
曲げ強度:インストロン社製万能材料試験機(5567型)を用いて、3点曲げ試験により曲げ強度(最大曲げ応力)を測定した。
ガラス転移温度(Tg)、開裂温度(Td):セイコーインスツルメント社製DSC測定装置(商品名:DSC6000)を用いて、昇温速度10℃/分で測定を行い、ガラス転移温度(Tg)を決定した。
形状回復性:2cm×5cm×1.8mmのフィルムを作成し、このフィルムをTg+20℃で加熱し、フィルムの中央を90°に折り曲げて5秒間変形後、常温まで冷却した。この時のフィルムの回復性を角度(A1)で評価した。0°≦A1≦10°を○、10°<A1≦20°を△、20°<A1≦90°を×とした。
再成形性:上記フィルムを200℃で溶融し、半径1.8cmの円状に再成形した。再成形できたフィルムに対して、上記と同様に回復性(A2)について評価した。
形状記憶性樹脂として主にポリ乳酸を主構成要素とする実施例を以下に示す。ポリ乳酸は生分解性を有し、植物由来材料であるため、環境問題の面から好ましい材料である。ポリ乳酸に優れた形状記憶性とリサイクル性を付与するため、以下の材料設計を行った。まず、ポリ乳酸に可逆架橋部位として、ディールス−アルダー型であるフラン−マレイミド結合を導入し、3次元架橋した。フラン−マレイミド結合の開裂温度は文献(非特許文献2)において80℃あるいは140℃と記載されているが、下記の実施例で示すように、開裂温度は約150℃であり、ポリ乳酸ベースの樹脂に対し好適な架橋部位となる。この際、樹脂のTgが40℃以上100℃以下となるように調整した。次に曲げ強度試験により、曲げ強度を測定した。最後に、架橋樹脂の形状記憶性とリサイクル性について検証した。
[実施例1]
市販のポリ乳酸(「ラクティ」(商品名)、島津製作所製)1990gとソルビトール177gを200℃で15時間溶融混合しエステル交換反応を行った。これをクロロホルム2Lに溶解し、過剰のメタノールに注ぎ再沈殿することで、末端ヒドロキシポリ乳酸[R1]を得た。
次に、2−フルフリルアルコール100gと、無水コハク酸112gおよびピリジン2mLをクロロホルム1Lに溶解し、10時間還流した。これを水洗した後、溶媒を留去することで、フラン誘導体[F1]を合成した。クロロホルム400mLに、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド(WSC)72.0g、ピリジン30.7g、[F1]74.2g、[R1]132gを添加し、43時間還流した。これを水洗し硫酸マグネシウムで乾燥後、クロロホルム200mLに溶解し、過剰のメタノールに注ぎ再沈殿した。さらにシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル)で精製することで、フラン修飾ポリ乳酸[R2]を得た(分子量7422、フラン修飾率f=6)。
ヘキサメチレンジアミン29.3gをDMF300mLに溶解し75℃まで加熱後、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物92.2gを1時間かけて滴下し2時間撹拌した。この溶液に、無水酢酸130mL、トリエチルアミン9.2mL、酢酸ニッケル0.924gを添加し、20時間撹拌した。これを室温まで冷却後、氷水1Lに注ぎ10分間撹拌した。沈殿物を吸引ろ過後、1Lの水に添加し1時間撹拌した。ろ過した沈殿物を酢酸エチルに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製後、さらに窒素下トルエンで24時間還流した。アセトンで再結晶することによりヘキサメチレンジマレイミド[R3](収率19%)を得た。
上記合成した[R2]を8.60g、[R3]を1.01g量りとり、160℃3分溶融混合し、100℃で1時間、75℃で20時間架橋することで、ポリ乳酸のディールス−アルダー架橋物[R4]を得た。曲げ強度は82.1MPaであった。Tgは62℃、Tdは147℃であった。架橋密度は0.0414であった。
[実施例2]
ドデカメチレンジアミン24.8gをDMF100mLに溶解し75℃まで加熱後、exo-3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物45.2gを1時間かけて滴下し2時間撹拌した。無水酢酸62.4mL、トリエチルアミン15.7mL、酢酸ニッケル0.567gを添加し、20時間撹拌した。これを室温まで冷却後、氷水600mLに注ぎ10分間撹拌した。沈殿物を吸引ろ過後、600mLの水に添加し1時間撹拌した。ろ過した沈殿物を酢酸エチルに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製後、さらに窒素下トルエンで24時間還流した。アセトンで再結晶することによりドデカメチレンジマレイミド[R5](収率7.5%)を得た。
上記合成した[R2]を12.4g、[R5]を1.78g量りとり、160℃3分溶融混合し、100℃で1時間、75℃で20時間架橋することで、ポリ乳酸のディールスアルダー架橋物[R6]を得た。曲げ強度は100MPaであった。Tgは56℃、Tdは151℃であった。架橋密度は0.0352であった。
[実施例3]
β−アラニン33.6g、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物138g、THF400mLを窒素下24時間還流した。溶液を室温まで冷却後、固形物をろ過することでマレアミドカルボン酸化合物[R7](収率95%)を得た。次に、[R7]160g、無水酢酸200mL、トリエチルアミン14.2mL、酢酸ニッケル1.42g、DMF600mLを測り取り、75℃で20時間撹拌した。これを室温まで冷却後、氷水2Lに注ぎ10分間撹拌した。沈殿物を吸引ろ過後、2Lの水に添加し1時間撹拌した。ろ過した沈殿物を酢酸エチルに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製後、さらに窒素下トルエンで24時間還流した。クロロホルムで再結晶することによりマレイミドカルボン酸[R8](収率8.2%)を得た。
[R8]10.3g、3官能エポキシ化合物(1,2,3−トリス(グリシジルオキシ)プロパン、商品名「EX−1310」、ナガセケムテックス製)10.0g、ピリジン0.0423mL、DMF10mLを測り取り、80℃で3時間撹拌した。反応溶液を水100mLに注ぎクロロホルムで抽出後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することで、3官能マレイミド[R9](収率35%)を得た。
上記合成した[R2]を9.12g、[R9]を1.91g量りとり、160℃3分溶融混合し、100℃で1時間、75℃で20時間架橋することで、ポリ乳酸のディールスアルダー架橋物[R10]を得た。曲げ強度は90.5MPaであった。Tgは58℃、Tdは150℃であった。架橋密度は0.0586であった。
[実施例4]
O,O’−ビス(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコール(分子量792) 20.0gをDMF200mLに溶解し75℃まで加熱後、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物9.22gを1時間かけて滴下し2時間撹拌した。無水酢酸120mL、トリエチルアミン6mL、酢酸ニッケル0.600gを添加し、20時間撹拌した。これを室温まで冷却後、氷水400mLに注ぎ10分間撹拌した。沈殿物を吸引ろ過後、400mLの水に添加し1時間撹拌した。ろ過した沈殿物を酢酸エチルに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製後、さらに窒素下トルエンで24時間還流した。アセトンで再結晶することによりO,O’−ビス(3−マレイミドプロピル)ポリエチレングリコール[R11](収率20%)を得た。
上記合成した[R2]を7.22g、[R11]を2.78g量りとり、160℃3分溶融混合し、100℃で1時間、75℃で20時間架橋することで、ポリ乳酸のディールスアルダー架橋物[R12]を得た。曲げ強度は85.1MPaであった。Tgは51℃、Tdは148℃であった。架橋密度は0.0327であった。
[実施例5]
O,O’−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ポリジメチルシロキサン(分子量3656) 15.0gをDMF150mLに溶解し75℃まで加熱後、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物1.70gを1時間かけて滴下し2時間撹拌した。無水酢酸100mL、トリエチルアミン5mL、酢酸ニッケル0.500gを添加し、40時間撹拌した。これを室温まで冷却後、氷水250mLに注ぎ10分間撹拌した。沈殿物を吸引ろ過後、200mLの水に添加し1時間撹拌した。ろ過した沈殿物を酢酸エチルに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製後、さらに窒素下トルエンで24時間還流した。アセトンで再結晶することによりO,O’−ビス(3−プロピルマレイミドジメチルシリル)ポリジメチルシロキサン[R13](収率15%)を得た。
上記合成した[R2]を3.93g、[R13]を6.07g量りとり、160℃3分溶融混合し、100℃で1時間、75℃で20時間架橋することで、ポリ乳酸のディールスアルダー架橋物[R14]を得た。曲げ強度は80.4MPaであった。Tgは48℃、Tdは147℃であった。架橋密度は0.0170であった。
[実施例6]
K−ナフタレン2.92gのテトラヒドロフラン(THF)溶液を重合開始剤として、高真空下、−78℃でスチレン20.0gのTHF溶液を添加後、30分放置した。さらに、この溶液に停止剤の4−ブロモ−1,1,1−トリメトキシブタン(アルドリッチ製)のTHF溶液を滴下し、さらに−78℃で12時間、30℃で1時間放置した。メタノールにより再沈殿を行い、末端トリメトキシポリスチレン[R15]を得た。
このポリスチレン[R15]16.0gをTHFに溶解し、LiOH1.22gを加え30℃で20時間反応した後、0.1N塩酸で中和することで、末端カルボン酸ポリスチレン[R16]を得た。
次に、[R16]12.0gにクロロホルム100mL、WSC1.01g、ピリジン0.41g、2−フルフリルアルコール1.06gを添加し、10時間還流した。これ塩酸水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を用いて精製し、溶媒を留去することで、フラン変性ポリスチレン[R17]を得た(分子量2622、フラン修飾率f=2)。
上記合成した[R17]を10.0g、実施例3で製造した[R9]を1.54g量りとり、170℃3分溶融混合し、100℃で1時間、75℃で20時間架橋することで、ポリスチレンのディールスアルダー架橋物[R18]を得た。曲げ強度は88.9MPaであった。Tgは66℃、Tdは145℃であった。架橋密度は0.0138であった。
[実施例7]
[R8]33.2gをクロロホルム460mLに溶解し0℃に冷却した後、二塩化オキサリル63.6gを滴下した。窒素下室温で5時間撹拌した後、溶媒および過剰の2塩化オキサリルを減圧留去することで、マレイミドカルボン酸クロライド[R19]を合成した。[R19]を少量のクロロホルムに希釈後、[R1]71.4g、ピリジン15.9mL、クロロホルム300mLの溶液中に滴下した。窒素下室温で30分間撹拌した後、反応溶液をメタノールと水の混合溶媒(メタノール1L、水300mL)に注ぎ、析出した固体をろ過することでマレイミド修飾ポリ乳酸[R20]を得た。(分子量8324、マレイミド修飾率f=6)。
フルフリルアルコール40.0gとジラウレートジブチルスズ0.2mLをジオキサン150mLに溶解した後、リジントリイソシアネート24.2gを滴下した。60℃で6時間反応後、溶媒を減圧留去し、クロロホルム200mLに溶解した。水200mLで3回洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を酢酸エチルで再結晶することにより、フランリンカー[R21]を得た。
マレイミド修飾ポリ乳酸[R20]10.0gとフランリンカー[R21]1.35を180℃で溶融混合し圧縮成形後、75℃20時間加熱することで、ポリ乳酸のディールスアルダー架橋物[R22]を得た。曲げ強度は135MPaであった。Tgは68℃、Tdは146℃であった。架橋密度は0.0508であった。
[実施例8]
フルフリルアルコール21.5gとジラウレートジブチルスズ0.1mLをジオキサン100mLに溶解した後、リジンジイソシアネート15.5gを滴下した。60℃で5時間反応後、溶媒を減圧留去し、クロロホルム150mLに溶解した。水150mLで3回洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を酢酸エチルで再結晶することにより、フランリンカー[R23]を得た。
マレイミド修飾ポリ乳酸[R20]10.0gとフランリンカー[R23]1.47gを180℃で溶融混合し圧縮成形後、100℃1時間、75℃20時間加熱することで、ポリ乳酸のディールスアルダー架橋物[R24]を得た。曲げ強度は110MPaであった。Tgは63℃、Tdは147℃であった。架橋密度は0.0335であった。
[比較例1]
DMF100mLに溶解したトリス(2−アミノエチル)アミン25mLを75℃に加熱後、DMF250mLに溶解したexo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物100gを1時間かけて滴下し、2時間撹拌した。さらに無水酢酸200mL、トリエチルアミン10mL、酢酸ニッケル1gを添加し、3時間撹拌した。撹拌後、水1Lを加え、溶媒を60℃で減圧加熱後、クロロホルムに溶解し、水洗した。クロロホルムを減圧留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製した。さらに窒素下トルエンで24時間還流後、再結晶により3官能マレイミド[R25](収率52%)を得た。
上記合成した[R2]を10.1g、[R25]を1.09g量りとり、160℃3分溶融混合し、100℃で1時間、75℃で20時間架橋することで、ポリ乳酸のディールスアルダー架橋物[R26]を得た。曲げ強度は61.7MPaであった。Tgは66℃、Tdは148℃であった。架橋密度は0.0616であった。
[比較例2]
下記構造のジフェニルメタンビスマレイミド[R27]1.27gと上記合成した[R2]8.73gを量りとり、160℃3分溶融混合し、100℃で1時間、75℃で20時間架橋することで、ポリ乳酸のディールスアルダー架橋物[R28]を得た。曲げ強度は52.3MPaであった。Tgは65℃、Tdは147℃であった。架橋密度は0.0377であった。
[比較例3]
ポリ乳酸1000gとL−乳酸3.86gを200℃、3時間溶融混合しエステル交換反応をした。クロロホルムに溶解後、メタノールに注ぎ再沈殿し、低分子量ポリ乳酸[R29]を得た。次に、[R29]100gをクロロホルム500mLに溶解後、無水コハク酸10gおよびピリジン1mLを添加し、10時間還流した。これを水洗した後、溶媒を留去することで、末端カルボキシル基ポリ乳酸[R30]を合成した。
クロロホルム1Lに、WSC1.62g、ピリジン0.669g、フルフリルアルコール0.829g、[R30]100gを添加し、24時間還流した。これを水洗し硫酸マグネシウムで乾燥後、クロロホルム200mLに溶解し、過剰のメタノールに注ぎ再沈殿した。さらにシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル)で精製することで、フラン変性ポリ乳酸[R31]を得た(分子量26000、フラン修飾率f=2)。
上記合成した[R31]を9.61g、[R9]を0.39g量りとり、160℃3分溶融混合し、100℃で1時間、75℃で20時間架橋することで、ポリ乳酸のディールスアルダー架橋物[R32]を得た。曲げ強度は78.6MPaであった。Tgは61℃、Tdは152℃であった。架橋密度は0.00202であった。

樹脂:
a)フラン修飾ポリ乳酸(分子量7422、f=6)。
b)フラン修飾ポリスチレン(分子量2622、f=2)。
c)マレイミド修飾ポリ乳酸(分子量8324、f=6)。
d)フラン修飾ポリ乳酸(分子量26000、f=2)。
表1より、6連鎖以上の鎖状構造を導入した実施例1〜8は、形状回復性、再成形性を損なうことなく高い曲げ強度を示した。一方、鎖状構造が6連鎖未満である比較例1や、官能基に隣接して環状構造が導入された比較例2は、実施例に比べて強度が低下した。このことから、熱可逆性架橋樹脂の強度を向上するには、特定範囲の鎖長を有する鎖状構造を官能基に隣接して導入することによる架橋部位の歪の緩和が有効であることが明らかになった。比較例3では、鎖状構造の導入により架橋歪みは緩和されるが、鎖状構造が長すぎるために架橋密度が低くなり、形状記憶性が低下した。このことから、鎖状構造の導入と共に架橋密度を制御することが有効であることが明らかとなった。以上より、優れた形状回復性かつ再成形性を損なうことなく、高強度の形状記憶性樹脂が得られた。中でも、実施例1〜5および7〜8の形状記憶樹脂は生分解性に優れるポリ乳酸系の樹脂を基本単位としており、環境調和性に優れる。
このように優れた形状記憶性を備えた本発明品は、電子機器用部材等様々な成形体に使用することが出来る。例えば電子機器(パソコンや携帯電話等)の外装材、ねじ、締め付けピン、スイッチ、センサー、情報記録装置、OA機器等のローラー、ベルト等の部品、ソケット、パレット等の梱包材、冷暖房空調機の開閉弁、熱収縮チューブ等に使用することができる。他にも、バンパー、ハンドル、バックミラー等の自動車用部材、ギブス、おもちゃ、めがねフレーム、歯科矯正用ワイヤー、床ずれ防止寝具等の家庭用部材等として、各種分野に応用することが出来る。
本発明の形状記憶性樹脂における形状記憶と再成形の原理を説明する概念図である。 従来の形状記憶性樹脂における形状記憶の原理を説明する概念図である。

Claims (8)

  1. 樹脂部架橋剤部との3次元架橋構造により構成される形状記憶性樹脂材料であって、樹脂部と架橋剤部との架橋部位が冷却により共有結合し、加熱により開裂するディールス−アルダー型の熱可逆性反応により架橋が制御され、前記熱可逆性反応に関与する官能基を樹脂部と架橋剤部のそれぞれに有し、前記熱可逆性反応に関与する官能基のそれぞれに隣接して架橋構造の歪みを緩和可能な6連鎖以上の鎖状構造が導入されており、
    前記形状記憶性樹脂材料のガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下の範囲にあり、前記熱可逆性反応の開裂温度(Td)が50℃以上300℃以下、Tg+10℃≦Tdの範囲にあり、形状記憶時、形状回復時の変形温度が、Tg以上Td未満であり、
    前記架橋剤部が下記一般式(1)で表される架橋剤を前駆体として形成されたものであり、
    (式中、Xは、鎖状構造であり、分岐しても構わない。ただし、芳香族、環状化合物、二重結合を含まない。
    Zはディールス−アルダー型熱可逆性反応を示すマレイミド基もしくはフラン基である。
    Yは、mが2以上となるような結合基を示す。
    mは2以上の整数を示す。
    2つのZ間にあるYの経路中の鎖状構造と2個のXからなる鎖状構造の連鎖数が連鎖以上101連鎖以下である。)
    かつ樹脂の3次元架橋構造の架橋密度が0.003以上の範囲にあることを特徴とする形状記憶性樹脂材料
  2. 前記樹脂材料は、Td以上、樹脂の分解温度未満の温度にて再成形可能である請求項1に記載の形状記憶性樹脂材料
  3. 前記鎖状構造は、C−C結合の連鎖で、一部の炭素原子をO又はNに置き換えても良い鎖状構造又はシリコーン鎖を含む鎖状構造である請求項1または2に記載の形状記憶性樹脂材料
  4. 前記樹脂部を構成する樹脂は、生分解性を有することを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の形状記憶性樹脂材料
  5. 前記樹脂を構成する樹脂は、ポリ乳酸系樹脂である求項に記載の形状記憶樹脂材料
  6. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の形状記憶性樹脂材料をTd以上、樹脂材料の分解温度未満の温度にて記憶すべき所定の形状に成形し、次に、得られた成形体に、Tg以上、Td未満の温度で変形を与え、Tg未満の温度に冷却して変形形状を固定することにより得られた形状記憶樹脂成形体。
  7. 請求項に記載の形状記憶樹脂成形体を、Tg以上、Td未満の温度に加熱することにより、記憶させた元の所定形状に回復させることを特徴とする形状記憶樹脂成形体の使用方法。
  8. 請求項に記載の形状記憶樹脂成形体を、Td以上、樹脂の分解温度未満の温度にて溶融して再成形することを特徴とする形状記憶樹脂成形体の再生方法。
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