JP4887789B2 - 圧電装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば弾性表面波フィルタや弾性表面波共振子などに用いられる圧電装置及びその製造方法に関し、より詳細には、圧電基板表面にc軸方向が圧電基板表面とほぼ平行となるように圧電薄膜が形成されている構造を備えた圧電装置及びその製造方法に関する。
従来、弾性表面波装置などにおいて様々な圧電材料が用いられている。特に、圧電基板表面にc軸方向が実質的に平行な方向に配向された圧電薄膜を形成した構造では、横波トランスデューサなどを構成することができる。そのため、c軸方向が基板表面にほぼ垂直な方向に配向されている一般的な圧電薄膜の場合とは異なる周波数特性の弾性表面波装置を提供することができる。
下記の特許文献1には、図8に略図的に示す電子部品101が開示されている。ここでは、R面サファイア基板102上に、部分的にアルミニウム電極103が形成される。しかる後、ZnO薄膜104がエピタキシャル成長される。アルミニウム電極103上の領域では、ZnO薄膜104のc軸は図示の矢印で示すように、基板表面と垂直に配向している。他方、R面サファイア基板102上に直接形成されている領域では、ZnO薄膜104のc軸は基板に平行とされている。
また、下記の非特許文献1には、(012)面LiTaO基板(32.98°回転YカットLiTaO基板)上にZnO薄膜をエピタキシャル成長により成膜した場合、ZnO薄膜のc軸方向が基板表面にほぼ平行な方向に配向されることが記載されている。
特開平8−26723号公報 第16回強誘電体応用会議講演予行集27−T−29,p93(1999)
上記のように、従来、R面サファイア基板上あるいは(012)面LiTaO基板上にZnO薄膜を形成することにより、c軸が基板表面にほぼ平行な方向に配向されたZnO薄膜を得ることができることが知られていた。しかしながら、これらの方法では、前記2種類の特定の基板材料のいずれかを用いなければならず、基板材料の選択の幅が狭かった。
本発明の目的は、前述した従来技術の現状に鑑み、上記基板以外の圧電基板材料を用いて、c軸が基板表面に実質的に平行な方向に配向されている圧電薄膜が形成されている圧電装置、並びにそのような圧電装置の製造方法を提供することにある。
本発明に係る圧電装置は、(010)面LiNbO基板、(0バー10)面LiNbO基板、(010)面LiTaO基板及び(0バー10)面LiTaO基板からなる群から選択された1種の圧電基板と、前記圧電基板上に形成されており、c軸方向が基板表面に実質的に平行な方向に配向されているZnOまたはAlNからなる圧電薄膜と、前記圧電薄膜に接するように形成された第1,第2の電極とを備えることを特徴とする、圧電装置である。なお、(0バー10)は、
Figure 0004887789
を示すものとする。
本発明に係る圧電装置のある特定の局面によれば、前記第1の電極が前記圧電薄膜の下面に、前記第2の電極が該圧電薄膜の上面に形成されており、前記第1の電極が前記圧電基板上において、そのc軸が圧電基板表面と実質的に平行となるように形成された導電性の結晶からなる。この場合には、第1の電極を構成している導電性の結晶のc軸が圧電基板表面と実質的に平行であるため、第1の電極上に形成された圧電薄膜においても、c軸方向が圧電基板表面に実質的に平行な方向に確実に配向される。従って、第1の電極を形成した後に、引き続いて上記圧電薄膜を形成することにより、c軸が圧電基板表面に実質的に平行に配向されている圧電薄膜を確実にかつ容易に形成することができる。
本発明に係る圧電装置の他の特定の局面では、前記第1,第2の電極間に交流電界を印加することにより前記圧電薄膜において励振された横波が用いられる、横波トランスデューサが構成されている。もっとも、本発明においては、横波トランスデューサ以外の弾性波装置や他の圧電装置を構成してもよく、その場合、第1,第2の電極の形成対応は特に限定されない。例えば、本発明に係る圧電装置のさらに他の特定の局面では、前記第1,第2の電極が、前記圧電薄膜の上面に形成されている。
本発明に係る圧電装置の他の特定の局面では、前記圧電薄膜が形成されている領域を第1の領域、該圧電薄膜を第1の圧電薄膜としたときに、第1の領域とは異なる第2の領域に形成されており、かつc軸方向が圧電基板表面に実質的に垂直な方向に配向している第2の圧電薄膜と、第2の圧電薄膜に接するように形成された第3,第4の電極とがさらに備えられている。この場合には、1つの圧電基板上において、c軸方向の配向方向が異なる第1,第2の圧電薄膜を用いた複数種の圧電素子を構成することができる。圧電装置の小型化、多機能化及び高密度化を果たすことができる。
本発明に係る圧電装置のさらに他の特定の局面では、前記第1の領域において、圧電基板表面が相対的に表面原子配列性が高められており、前記第2の領域において、圧電基板表面が相対的に表面原子配列性が低くされている。この場合には、第1の領域において、基板表面の表面原子配列性が相対的に高められているので、第1の領域において、第1の圧電薄膜を確実に形成することができる。また、第2の領域では、表面原子配列性が相対的に低められているので、前記第2の圧電薄膜を容易にかつ確実に形成することができる。
本発明に係る圧電装置の製造方法は、(010)面LiNbO基板、(0バー10)面LiNbO基板、(010)面LiTaO基板及び(0バー10)面LiTaO基板からなる群から選択した1種の圧電基板を用意する工程と、前記圧電基板表面の表面原子配列性を高める処理として、熱処理またはケミカルエッチング処理を施す工程と、前記熱処理またはケミカルエッチング処理を施した後に、前記圧電基板上にZnOまたはAlN膜からなり、c軸が前記圧電基板表面と実質的に平行である圧電薄膜を成膜する工程と、前記圧電薄膜に接するように第1の電極を形成する工程と、前記圧電薄膜に接するように第2の電極を形成する工程とを備えことを特徴とする。
本発明に係る圧電装置の製造方法のある特定の局面では、前記第1の電極を形成する工程が、金属がドープされた導電性の結晶材料を形成することにより行なわれ、前記第1の電極上に、前記圧電薄膜が形成される
本発明に係る圧電装置の製造方法の他の特定の局面では、前記第1の電極を形成する前に、前記圧電基板表面の表面原子配列性を高める処理として、前記熱処理またはケミカルエッチング処理を施す。この場合には、表面原子配列性が高められている部分において、第1の電極を上記導電性の結晶材料を成膜することにより形成した場合、第1の電極において、c軸を確実に圧電基板表面に実質的に平行とすることができる。
本発明に係る圧電装置の製造方法の別の特定の局面では、前記圧電薄膜が形成される領域を第1の領域とし、該圧電薄膜を第1の圧電薄膜としたときに、前記第1の領域とは異なる第2の領域において、第2の圧電薄膜を成膜する工程と、前記第2の圧電薄膜に接するように、第3の電極を形成する工程と、前記第2の圧電薄膜に接するように第4の電極を形成する工程とがさらに備えられる。この場合には、第1の領域とは異なる第2の領域において、他の圧電素子を構成することができる。従って、多機能かつ小型の圧電装置を提供することができる。
本発明に係る圧電装置の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記第3の電極を形成するに先立ち、前記圧電基板表面の第2の領域において相対的に表面原子配列性をめる処理として、イオンビームスパッタリングまたは逆スパッタリングを施す工程をさらに備え、前記圧電基板の第2の領域において、第2の圧電薄膜を形成するに先立ち、前記第3の電極が形成され、該第3の電極上に、前記第2の圧電薄膜が形成される。第2の領域において、表面原子配列性が相対的に低められているので、第3の電極及び第2の圧電薄膜において、c軸を容易にかつ確実に基板表面に実質的に垂直な方向に配向させることができる。
本発明に係る圧電装置の製造方法のさらに別の特定の局面では、前記第3の電極を形成する工程が、前記第1の電極を形成する工程と同時に同じ材料を用いて行なわれる。この場合には、第3の電極形成工程を、製造工程を増加させることなく、第1の電極形成工程と同時に行ない得るので、コストの低減及び生産性の向上を図ることができる。
本発明に係る圧電装置の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記第2の圧電薄膜を形成する工程が、前記第1の圧電薄膜を形成する工程と同じ工程で同じ材料を用いて同時に行なわれる。この場合には、第2の圧電薄膜を、第1の圧電薄膜と同じ材料で同時に形成し得るので、製造工程の簡略化及びコストの低減を果たすことができる。
本発明では、上記(010)面LiNbO基板、(0バー10)面LiNbO基板、(010)面LiTaO基板及び(0バー10)面LiTaO基板からなる群から選択された1種の圧電基板上に、ZnOまたはAlNからなる圧電薄膜が形成されているが、後述の実施形態の説明から明らかなように、上記特定の圧電単結晶基板上において、ZnOまたはAlNを成膜した場合、c軸が基板表面に実質的に、すなわち、ほぼ平行な方向に配向されている圧電薄膜を形成することができる。従って、従来用いられていなかった結晶性の圧電単結晶基板を用いて、c軸が基板表面にほぼ平行な方向に配置されているZnOまたはAlNからなる圧電薄膜を形成することができる。よって、従来用いることができなかった材料を用いて、横波トランスデューサなどの弾性波装置を含む様々な圧電装置を提供することができる。
また、本発明に係る圧電装置の製造方法では、(010)面LiNbO基板、(0バー10)面LiNbO基板、(010)面LiTaO基板及び(0バー10)面LiTaO基板からなる群から選択した1種の圧電基板を用意する工程と、前記圧電基板上にZnOまたはAlN膜からなる圧電薄膜を、成膜する工程とを備え、前記圧電薄膜を成膜する前に、前記圧電基板表面の表面原子配列性を高める処理として熱処理またはケミカルエッチング処理を施すので、前記各圧電基板を用意し、ZnOまたはAlNを成膜するだけで、c軸が圧電基板表面にほぼ平行となるように成膜された圧電薄膜を形成することができる。よって、例えば横波トランスデューサなどに好適に用いられ得る圧電装置を容易に提供することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電装置としての弾性表面波装置を示す斜視図である。弾性表面波装置1の製造方法を説明することにより、弾性表面波装置1の構造を明らかにする。
弾性表面波装置1は、圧電基板2を有する。本実施形態では、圧電基板2は、(010)面LiNbO基板からなる。本実施形態の弾性表面波装置1の製造に際しては、先ず、上記(010)面LiNbOからなる圧電基板2を、大気圧下及び大気中にて、熱処理を施す。熱処理により、圧電基板2の表面が平滑化され、表面原子の配列性が高められる。
次に、熱処理された圧電基板2をRFスパッタ装置に入れ、低抵抗のZnO薄膜からなる第1の電極3を圧電基板2上に形成する。第1の電極3は、低抵抗のZnO薄膜からなり、以下の条件でスパッタリングすることにより形成することができる。
ターゲット:Alがドープされた金属Zn、基板温度=200℃、ガス流量比Ar/(Ar+O)=33%、RFパワー=1.8kW。このようにして、膜厚0.1μmのZnO薄膜を形成すると、相対的に低い抵抗の導電性を有する結晶性のZnO薄膜からなる第1の電極3が形成される。この場合、低抵抗のZnO薄膜は、上記(010)面LiNbO基板からなる圧電基板2上に上記条件でスパッタリングにより成膜されているので、そのc軸が圧電基板2の表面とほぼ平行な方向に配向することとなる。すなわち、上記第1の電極3としての低抵抗のZnO薄膜は、(100)配向すなわち、c軸方向が圧電基板2の表面と実質的に平行な方向に配向することとなる。
しかる後、上記第1の下部電極3を形成した後に、弾性表面波を励振するための圧電薄膜4として相対的に高抵抗のZnO薄膜を成膜する。このZnO薄膜は、下記の条件でスパッタリングを行なうことにより形成されている。
ターゲット:金属Zn、基板温度=200℃、ガス流量比Ar/(Ar+O)=33%、RFパワー=1.8kW。このようにして、膜厚2.6μmの圧電薄膜4としてのZnO薄膜4を形成する。
そして成膜された圧電薄膜4は、(100)配向方向、すなわち、c軸方向が圧電基板2の表面とほぼ平行な方向に配向している。これを、図2のX線回折スペクトルを示すことにより明らかにする。
なお、図2に示すX線回折スペクトルは、前記圧電薄膜4を成膜した後に、X線回折スペクトルを測定した結果を示し、図2の矢印Aで示すピークが(100)ZnOであり、矢印Bで示すピークが(030)LiNbOを示し、矢印Cで示すピークが(200)ZnOであることを示す。従って、図2から明らかなように、(100)ZnO、すなわち、c軸方向が基板表面にほぼ平行な方向に配列されているZnO薄膜が形成されていることがわかる。
また、X線回折スペクトルの結果を極点図法で示した図である図3から明らかなように、c軸の方向がランダムではなく、一定方向に配列されていることがわかる。なお、図3は(101)ZnOに対する極点図である。
本実施形態では、上記圧電薄膜4を形成した後に、最後に、Alからなる電極、すなわち、第2の電極5が形成される。図1では、第2の電極5の形成位置が略図的に示されている。
本実施形態では、上記圧電薄膜4が、c軸が圧電基板2の表面と平行に配置されたZnO薄膜からなるため、第1,第2の電極3,5から交流電界を印加した場合、横波が励振され、従って、横波を用いた弾性波共振子が構成されることになる。
第1,第2の電極3,5から交流電圧を印加し、上記弾性波装置の共振特性を測定したところ、図4に示す結果が得られた。
図4から明らかなように、周波数差Δfごとにピークが現れており、MHz帯の共振子の得られることがわかる。
上記実施形態では、(010)面LiNbO基板を用いた例につき示したが、本発明においては、(010)面LiNbO基板だけでなく、(0バー10)面LiNbO基板、(010)面LiTaO基板または(0バー10)面LiTaO基板を用いた場合にも、上記と同様に、c軸が基板表面にほぼ平行に配向されているZnOからなる圧電薄膜を形成し得ることが、本願発明者により確かめられている。
また、ZnOに代えて、AlNからなる圧電薄膜を成膜した場合にも、同様に、上記結晶方位のLiNbO基板またはLiTaO基板上に形成した場合には、同様に、c軸方向が基板表面にほぼ平行な方向に配向されているAlN膜を形成し得ることが確かめられている。
上記実施形態では、第1の電極としての低抵抗のZnO薄膜3及び圧電薄膜4を形成するに先立ち、圧電基板2の表面が熱処理が行なわれていたが、熱処理以外にケミカルエッチングなどの処理を行なってもよく、それによって表面原子の配列性を高めてもよい。もっとも、前記結晶方位の圧電単結晶基板を圧電基板として用いる限り、上記のような処理を必ずしも施さずともよい。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る圧電装置としての弾性表面波装置を示す略図的斜視図である。
本実施形態の弾性表面波装置11の製造方法を説明することにより、弾性表面波装置11の構成を明らかにする。
まず、図6(a)に示すように、(010)面すなわち、YカットのLiNbO基板からなる圧電基板12を用意する。この圧電基板12を、第1の実施形態の場合と同様に大気圧下及び大気中にて、熱処理を施す。
次に、圧電基板12の上面に図6(a)に示すように、フォトレジスト層13を形成する。
図6(b)に示すように、フォトリソグラフィにより、フォトレジスト層13をパターニングし、開口部13aを形成する。開口部13a内の領域は、c軸方向が圧電基板12の表面にほぼ垂直な方向に配向するZnO膜を形成する部分に相当する。この開口部13aで囲まれた領域にて、イオンビームスパッタリングを行なうことにより、圧電基板12の表面を荒す。この粗面化処理、すなわち表面原子の配列性を低める処理は、例えばArイオンを加速電圧500eVでスパッタリングするイオンビームスパッタリングにより行ない得るが、逆スパッタリングなどの他の方法で行なわれてもよい。
しかる後、フォトレジスト層13を剥離する。そして、図6(c)に示すように、圧電基板12の表面に、第1の実施形態の場合と同様にして、相対的に低抵抗のZnO薄膜からなる第1の電極14と、第3の電極15とを形成する。なお、図5に示すように、圧電基板12上においては、第3の電極15と同様に、圧電基板12の表面に第3の電極16も形成されている。第3の電極16が形成される領域も、上記開口部13aと同様に粗面化処理が施されている。
次に、図6(d)に示すように、第1,第3の電極14,15が形成されている部分上に第1の実施形態の圧電薄膜4の形成工程と同様にして、相対的に高抵抗のZnOからなる圧電薄膜17,18をスパッタリングにより形成する。この場合、第1の電極14は、c軸方向が圧電基板12の基板表面と平行な方向に配向されているので、第1の電極14上に形成される圧電薄膜17においてもc軸すなわち、(100)方向が基板表面と実質的に平行な方向に配向されるように圧電薄膜17が成膜されることになる。
これに対して、表面が荒らされている圧電基板面に形成された第3の電極15では、低抵抗のZnO薄膜は、(001)配向、すなわち、c軸が圧電基板12の基板表面に実質的に垂直な方向に配向するように形成されている。従って、圧電薄膜18もまた、第3の電極15と同様にc軸が圧電基板12の基板表面と実質的に垂直な方向、すなわち、(001)配向の薄膜18が形成されることになる。
なお、図5に示した第3の電極16上にも圧電薄膜19が形成されるが、この圧電薄膜19も圧電薄膜18と同様に、c軸が圧電基板12の基板表面と実質的に垂直な方向に配向されることになる。
最後に、図6(e)に示すように、第2の電極20及び第4の電極21を形成する。この場合、同じ工程で、図5に示す第4の電極22も形成される。なお、第4の電極22は櫛歯状電極とされているが、第2の電極20及び第4の電極21も櫛歯状電極とされていてもよい。
上記第2の電極20及び第4の電極21,22は、Al等の適宜の金属により形成され得る。
このようにして弾性表面波装置11が得られる。弾性表面波装置11のX線回折スペクトルを図7に示す。
図7から明らかなように、矢印Dで示すように、(100)ZnO薄膜、すなわち、c軸が圧電基板12の基板表面とほぼ平行な方向に配向している圧電薄膜17が形成されていることがわかる。
また、矢印Eで示すように、(002)面ZnO、すなわち、c軸が圧電基板12の基板表面とほぼ垂直な方向に配向している圧電薄膜18,19が形成されていることがわかる。
また、矢印Fは、圧電基板による応答であり、矢印G及びHは、それぞれ、(200)面ZnO、矢印Hは、(004)ZnOであることを示す。
本実施形態の製造方法では、1枚の圧電基板12を用い、該圧電基板上に、c軸が基板表面とほぼ平行な方向に配向された圧電薄膜17と、c軸が圧電基板表面とほぼ垂直な方向に配向された圧電薄膜18,19とを、同じ材料を用いて同じ工程で形成することができる。これは、圧電基板の表面が粗された第2の領域では、表面の原子配列が乱れるため、低抵抗のZnO薄膜からなる第3の電極15を形成した場合、そのc軸が圧電基板表面と垂直な方向に配向することになると考えられる。
これに対して、圧電薄膜17が形成される第1の領域では、第1の実施形態の場合と同様に、下地の第1の電極14を形成している低抵抗のZnO圧電薄膜は、c軸が圧電基板表面とほぼ平行な方向に配向されているため、圧電薄膜17のc軸も圧電基板表面とほぼ平行な方向に配向されることによると考えられる。
上記のように、圧電基板表面に相対的に表面原子配列性が高い第1の領域と、相対的に表面原子配列性が低い第2の領域とを有するように加工することにより、圧電基板上に、c軸が圧電基板表面に実質的に平行な圧電薄膜と、c軸が圧電基板表面に実質的に垂直な圧電薄膜とを同じ工程でしかも同じ材料を用いて形成することができる。
なお、第1,第2の実施形態では、圧電基板上に、第1の電極として低抵抗のZnO薄膜を形成した後に、圧電薄膜4,17を形成したが、第1の電極を形成せず、ZnOまたはAlNからなる相対的に高抵抗の弾性波励振用の圧電薄膜を直接スパッタリング等により形成してもよい。その場合には、圧電基板として、前述した(010)面LiNbO基板、(0バー10)面LiNbO基板、(010)面LiTaO基板及び(0バー10)面LiTaO基板からなる群から選択した1種の圧電基板を用いる限り、ZnOまたはAlNからなる弾性波励振用圧電薄膜は、そのc軸方向が基板表面にほぼ平行な方向に配向されることになる。
圧電基板表面に直接弾性波励振用圧電薄膜が形成された場合、圧電薄膜の上面に第1,第2の電極が形成されていてもよい。
すなわち、本発明において、第1,第2の電極は、圧電薄膜に接し、圧電装置において該圧電薄膜に電界を与え得る限り、圧電薄膜の上下に形成される必要は必ずしもない。
上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、圧電薄膜4,17が形成されている部分では、上下の第1,第2の電極から交流電界が印可された場合横波が励振されるが、横波以外の他の弾性波を利用してもよい。
さらに、本発明は、横波などの弾性波を利用した弾性波共振子や弾性波フィルタに限らず、弾性波以外の圧電現象を利用した圧電装置に適用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る圧電装置の構成を説明するための略図的斜視図。 図1に示した圧電装置のX線回折スペクトルを示す図。 図2に示したX線回折スペクトルの結果を極点図法に従って表した図。 第1の実施形態に係る圧電装置の周波数特性を示す図。 第2の実施形態に係る圧電装置の略図的斜視図。 (a)〜(e)は、第2の実施形態の圧電装置の製造方法を説明するための略図的正面断面図。 第2の実施形態の圧電装置のX線回折スペクトルを示す図。 従来の電子部品の一例を説明するための略図的部分切欠正面断面図。
符号の説明
1…圧電装置としての弾性波装置
2…圧電基板
3…第1の電極
4…圧電薄膜
5…第2の電極
11…弾性波装置
12…圧電基板
13…フォトレジスト層
13a…開口部
14…第1の電極
15…第3の電極
16…第3の電極
17…圧電薄膜
18,19…圧電薄膜
20…第2の電極
21…第4の電極
22…第4の電極

Claims (13)

  1. (010)面LiNbO基板、(0バー10)面LiNbO基板、(010)面LiTaO基板及び(0バー10)面LiTaO基板からなる群から選択された1種の圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成されており、c軸方向が基板表面に実質的に平行な方向に配向されているZnOまたはAlNからなる圧電薄膜と、
    前記圧電薄膜に接するように形成された第1,第2の電極とを備えることを特徴とする、圧電装置。
  2. 前記第1の電極が前記圧電薄膜の下面に、前記第2の電極が該圧電薄膜の上面に形成されており、前記第1の電極が前記圧電基板上において、そのc軸が圧電基板表面と実質的に平行となるように形成された導電性の結晶からなる、請求項1に記載の圧電装置。
  3. 前記第1,第2の電極間に交流電界を印加することにより前記圧電薄膜において励振された横波が用いられる横波トランスデューサが構成されている、請求項1または2に記載の圧電装置。
  4. 前記第1,第2の電極が、前記圧電薄膜の上面に形成されている、請求項1に記載の圧電装置。
  5. 前記圧電薄膜が形成されている領域を第1の領域、該圧電薄膜を第1の圧電薄膜としたときに、第1の領域とは異なる第2の領域に形成されており、かつc軸方向が圧電基板表面に実質的に垂直な方向に配向されている第2の圧電薄膜と、第2の圧電薄膜に接するように形成された第3,第4の電極とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電装置。
  6. 前記第1の領域において、圧電基板表面が相対的に表面原子配列性が高められており、前記第2の領域において、圧電基板表面が相対的に表面原子配列性が低くされている、請求項5に記載の圧電装置。
  7. (010)面LiNbO基板、(0バー10)面LiNbO基板、(010)面LiTaO基板及び(0バー10)面LiTaO基板からなる群から選択した1種の圧電基板を用意する工程と、
    前記圧電基板表面の表面原子配列性を高める処理として、熱処理またはケミカルエッチング処理を施す工程と、
    前記熱処理またはケミカルエッチング処理を施した後に、前記圧電基板上にZnOまたはAlN膜からなり、c軸が前記圧電基板表面と実質的に平行である圧電薄膜を成膜する工程と、
    前記圧電薄膜に接するように第1の電極を形成する工程と、
    前記圧電薄膜に接するように第2の電極を形成する工程とを備え、圧電装置の製造方法。
  8. 前記第1の電極を形成する工程が、金属がドープされた導電性の結晶材料を、形成することにより行なわれ、前記第1の電極上に、前記圧電薄膜が形成される、請求項7に記載の圧電装置の製造方法。
  9. 前記第1の電極を形成する前に、前記圧電基板表面の表面原子配列性を高める処理として、前記熱処理またはケミカルエッチング処理を施す、請求項8に記載の圧電装置の製造方法。
  10. 前記圧電薄膜が形成される領域を第1の領域とし、該圧電薄膜を第1の圧電薄膜としたときに、前記第1の領域とは異なる第2の領域において、第2の圧電薄膜を成膜する工程と、
    前記第2の圧電薄膜に接するように、第3の電極を形成する工程と、
    前記第2の圧電薄膜に接するように第4の電極を形成する工程とをさらに備える、請求項7〜9のいずれか1項に記載の圧電装置の製造方法。
  11. 前記第3の電極を形成するに先立ち、前記圧電基板表面の第2の領域において相対的に表面原子配列性を低める処理として、イオンビームスパッタリングまたは逆スパッタリングを施す工程をさらに備え、前記圧電基板の第2の領域において、第2の圧電薄膜を形成するに先立ち、前記第3の電極が形成され、該第3の電極上に、前記第2の圧電薄膜が形成される、請求項10に記載の圧電装置の製造方法。
  12. 前記第3の電極を形成する工程が、前記第1の電極を形成する工程と同時に同じ材料を用いて行なわれる、請求項11に記載の圧電装置の製造方法。
  13. 前記第2の圧電薄膜を形成する工程が、前記第1の圧電薄膜を形成する工程と同じ工程で同じ材料を用いて同時に行なわれる、請求項10〜12のいずれか1項に記載の圧電装置の製造方法。
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