(第1の実施形態)
図15は本発明の第1の実施形態に係わるインクタンクの形態を示した側面図であり、インクタンク1にはLED101が実装された基板100が搭載されている。LED101が発する光は導光部20内を導光され、傾斜部28にて反射されて図のインクタンクの右方へ光を照射する光路111を形成する。
図16は、上述したインクタンク1を装着して記録を行うインクジェットプリンタ200の外観を示す図であり、図17は、図16に示す本体カバー201を開放した状態を示す斜視図である。
図16に示すように、本実施形態のプリンタ200では、その主要部分は記録ヘッドおよびインクタンクを搭載したキャリッジが走査のための移動をして記録を行う機構などにより構成される。本実施形態のプリンタ200は、そのようなプリンタの主要部分が、本体カバー201およびその他のケース部分によって覆われているプリンタ本体と、その前後にそれぞれ設けられる排紙トレイ203と、自動給紙装置(ASF)202とを備えたものである。また、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部213が設けられている。
本体カバー201を開放した状態では、図17に示すように、ユーザは、記録ヘッドユニット105およびインクタンク1K、1C、1M、1Yを搭載したキャリッジ205が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。(以下では、インクタンク1K、1C、1M、1Yを同一の符号「1」で示す場合もある)。実際は、本体カバー201を開けると、キャリッジ205が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザは、このタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
本実施形態のプリンタは、記録ヘッドユニット105に各色のインクに対応したチップ形態の記録ヘッド(不図示)が設けられている。これら各色の記録ヘッドがキャリッジ205の移動によって用紙などの記録媒体に対して走査を行い、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。すなわち、キャリッジ205は、その移動方向に延在するガイド軸207と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の移動をすることができる。そして、K、C、M、Yのインクに対応したそれぞれの記録ヘッドでは、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路から送られる吐出データに基づいてインク吐出が行われる。また、紙送りローラや排紙ローラなどの紙送り機構が設けられ、自動給紙装置202から給紙された記録媒体(不図示)を排紙トレイ203まで搬送することができる。また、キャリッジ205には、インクタンクホルダを一体に備えた記録ヘッドユニット105が着脱自在に装着され、一方、この記録ヘッドユニット105に対してそれぞれのインクタンク1が着脱自在に装着される。
記録動作では、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口に対応した幅の領域に記録を行う。それとともに、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行ってゆく。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの吐出回復ユニットが設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出などの回復処理を行う。
各インクタンク1のタンクホルダ部を備えた記録ヘッドユニット105には、前述したように、各インクタンクに対応してコネクタが設けられており、それぞれのコネクタは装着されるインクタンク1に設けられている基板のパッドと接触する。これにより、それぞれのLED101について点灯ないし点滅の制御が可能となる。
具体的には、上記のタンク交換位置では、それぞれのインクタンク1についてインク残量が少なくなったとき、その該当するインクタンク1のLED101を点灯もしくは点滅させる。この構成では、ユーザはプリンタ200の上方よりインクタンク1を見ることにより、LED101から導光部20を導光された光を認識することが出来る。
また、キャリッジの移動範囲において、上述の回復ユニットが設けられた位置と反対側の端部付近には、受光素子を有した受光部210が設けられている。これにより、キャリッジ205の移動に伴ってそれぞれのインクタンク1のLED101がこの受光部210を通過する際にLED101を発光させ、その光を受光することができる。さらに、LED101の光を受光したときのキャリッジ205の位置に基づいてキャリッジ205におけるそれぞれのインクタンク1の位置を検出することができる。ここで、ブラックインクタンク1K、シアンインクタンク1C、マゼンタインクタンク1Mは受光部210と対向した位置に移動可能である。しかしキャリッジ205と受光部210、プリンタ200の外装の位置関係によりイエローインクタンク1Yは受光部210と対向した位置へ移動できない。
さらに、LEDの点灯などの制御の他の例として、上記タンク交換位置で、インクタンク1が正しく装着されたときにそのタンクのLED101を点灯させる制御を行う。これらの制御は、記録ヘッドのインク吐出などの制御と同様、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路からそれぞれのインクタンクに対して制御データ(制御信号)が送られることによって実行される。
図18は、フレキシブルケーブル206における、インクタンク1と制御回路300との信号接続のための信号配線の構成を、各インクタンクの基板100との関係で示す図である。
図18に示すように、インクタンク1に対する信号配線は、4本の信号線からなり、また、4つのインクタンク1に共通の信号配線(所謂バス接続)である。すなわち、それぞれのインクタンク1に対する信号配線は、電源信号線「VDD」およびアース信号線「GND」と、信号線「DATA」およびそのクロック信号線「CLK」の4本の信号線から構成される。電源信号線「VDD」はインクタンクにおけるLED101の発光およびその駆動などを行うICパッケージ102内の機能素子の動作などの電力供給にかかる。信号線「DATA」は、後述されるように、制御回路300から、LED101の点灯、点滅などの処理に関する制御信号(制御データ)などを送る。本実施例においては4本の信号線による説明を行うが、本発明はこれに限定されるものでなく例えばアース信号を別構成で達成することにより「GND」線を省略することも可能である。また「CLK」と「DATA」の信号線を共有して一本で構成することも可能である。この構成では、インクタンク毎に信号線「DATA」を配する必要がなく、フレキシブルケーブル206内の信号配線を減らすことが出来る。本実施形態を離れ、例えば8色のインクタンクを搭載するプリンタにおいてインクタンク毎に信号線「DATA」を配した場合、電源信号線「VDD」、アース信号線「GND」、クロック信号線「CLK」と合計した11本の配線が必要となる。その際にはフレキシブルケーブル206の配線が複雑化し、コストアップの原因となる。そのため上述したバス接続は、複数色のインクタンクを搭載するプリンタにおいてコスト的に有利な構成である。
また、制御回路300は本プリンタに関するデータ処理および動作制御を実行する。そのために、不図示であるが、制御回路300はCPU、動作制御を行うためのプログラムを格納するROM、ワークエリアとしてのRAMを備えている。
図20は本発明の実施形態を含む処理の流れを示したフローチャートである。ステップ301でプリンタは搭載されるべきインクタンクが全種類搭載されていることを確認する。各インクタンクに対してそれぞれ消灯コマンドを送信しインクタンクからの応答を確認するなどの方法でこれを実現できる。ステップ301の処理の結果をステップ302で評価する。装着されるべき全種類のインクタンクが装着されていることを確認できなかった場合はステップ304に進み、プリンタはインクタンクなしエラーを発生させオペレータにこれを通知してインクタンクの装着を促し、処理を終了する。全種類のインクタンクが装着されている場合はステップ303に進み、タンク位置検知を実行し、処理を終了する。以下ではステップ303における位置検知手順について詳細に説明する。
図1から図4は本発明の第1の実施形態に係わる位置検知手順を示した模式図であり、図1(a)から図4(c)まで順に動作が行われる。キャリッジ205はガイド軸207に沿って往復移動可能である。キャリッジ205は左からブラックポジション(K)、シアンポジション(C)、マゼンタポジション(M)、イエローポジション(Y)の4つのポジションを有する。それぞれのポジションにはブラックインクタンク1K(K)、シアンインクタンク1C(C)、マゼンタインクタンク1M(M)、イエローインクタンク1Y(Y)が搭載される。また、プリンタ本体(不図示)には受光部210が固定されている。受光部210はフォトトランジスタからなるセンサであり、受光光量に応じて光電流が変化する。本実施例においては、図19で示す回路により光電流の変化を、基準電位をVDD=3300mV、負荷抵抗150kΩの出力電位として電圧の変化として検出している。すなわち受光光量を電圧で表している。尚、図1から図4はキャリッジの所定のポジションに、正しい色のインクタンクが搭載されている状態である。これらの発光素子の発光や、受光量に応じた光電流の検出、キャリッジ205の移動、後述するインクタンクの位置の判定などは、制御回路300内のROMに格納されたプログラムに従って制御される。
また、イエローポジション(Y)だけが、受光部210と対向する位置へ移動できない場合について、以下に説明する。
図1では、先ずブラックインクタンク1KのLED101を点灯させる。図1(a)は受光部210とブラックインクタンク1Kが対向した位置であり、そのとき受光部210が受光する受光光量は563mVである。次に、図1(b)はキャリッジ205がガイド軸207に沿って左側にインクタンク1個分ポジションが移動した状態であり、受光部210はシアンインクタンク1Cと対向した位置となる。このとき、ブラックインクタンク1KのLEDが点灯しているため、その光が受光部210に到達する光量は、先の受光部210とブラックインクタンク1Kが対向した位置にあるときよりも少なく38mVとなる。次に、図1(c)はさらに左側にインクタンク1個分移動した状態であり、受光部210はマゼンタインクタンク1Mと対向した位置となる。このとき、受光部210の受光光量は更に少なく3mVとなる。
図2から図4は、上記の動作を、シアンインクタンク1Cを点灯した状態、マゼンタインクタンク1Mを点灯した状態、イエローインクタンク1Yを点灯した状態で順次行っていった場合を示す模式図である。
発光しているインクタンクと受光部に対向するインクタンクのポジションでの光量を表にすると図中の表となる。インクタンクに搭載されるLEDはその製造上のバラツキから、同一回路で同一電流を流した場合でも、複数のLED間の発光光量にバラツキが生じる。そのため、各インクタンクに設けられたLEDにそれぞれバラツキが生じる場合がある。また、インクタンクの導光部も製造上のバラツキなどで導光特性にバラツキが生じ、導光した光量が低下したりする場合がある。さらにインクタンクの交換頻度の違いにより、インクタンクにインクミストなどの汚れが付着し、光量低下を引き起こすこともある。そのため、各インクタンクの光量は結果としてバラツキが生じる場合がある。表中において、例えばブラックインクタンク1Kを発光させた状態で、ブラックインクタンク1Kと受光部210が対向した位置にあるときの光量は563mVであった。それに対してシアンインクタンク1Cを発光させた状態で、シアンインクタンク1Cと受光部210が対向した位置にあるときの光量は62mVであり、約9倍の光量差が生じている。本実施例でこのようなインクタンクを例として用いているのは前記した理由によるものである。
また、発光しているインクタンクと受光部210が対向していない場合でもほとんどの場合に受光光量は0とならない。発光しているインクタンクからの漏れ光が拡散し、他のインクタンクに反射するなどして受光部210に到達することによる。この漏れ光量は受光部にガイドを設け指向性を高めたり、インクタンクの形状や色を工夫することで低減させることができる。この例では受光部210が発光しているインクタンクに対向するポジションでの光量が、隣接ポジションに対向するポジションでの光量のおよそ15倍となる系を例として用いている。
次に、インクタンクの位置を判定する方法について説明する。図中の表に相当するデータは、プリンタ内のメモリに記録されており、そのデータをもとに位置の判定を行う。ここでは先ず、ブラックインクタンク1Kの位置を判定する。ブラックインクタンク1Kを発光させたときに、受光部210が受光する光量が最大となるポジションを探すと、ブラックポジションが563mVで最大であり、ブラックポジションにブラックインクタンク1Kが装着されていることが判定できる。このように、発光しているインクタンクの色と最大光量となるキャリッジのポジションの色が一致することによって、インクタンクが正しい位置に装着されていることが判定できる。同様に、シアンインクタンク1Cについて最大値を探すことによって、シアンインクタンク1Cがシアンポジションに装着されていることが判定できる。
上の手順によって受光部210に対向する位置へ移動できないイエローポジションとそれに隣接するマゼンタポジション以外のポジションに装着されるべきインクタンクの装着状態が判定できた。それらが全て正しく装着されていることが判定された場合は、残るマゼンタインクタンク1M、イエローインクタンク1Yの位置を判定する手順に進む。まずマゼンタインクタンク1Mについて受光光量が最大となるポジションを探すと、マゼンタポジションが323mVで最大である。次に、受光部210がマゼンタポジションに対向する位置について受光光量が最大となるインクタンクを探すと、マゼンタインクタンク1Mを発光させたときの受光光量が最大となることがわかる。このことからマゼンタインクタンク1Mはマゼンタポジションに装着されており、したがって残るイエローポジションにはイエローインクタンク1Yが装着されていることがわかり、全インクタンクが正しい位置に装着されていることが判定できる。
次に、誤ったポジションに装着されたインクタンクを判定する場合について説明する。図5から図8は、図1から図4で説明した位置検出手順において、イエローインクタンク1Yとマゼンタインクタンク1Mをお互い逆に装着した場合の位置検知手順を示した模式図である。すなわちイエローインクタンク1Yをマゼンタポジションに、マゼンタインクタンク1Mをイエローポジションに装着されている。図5(a)から図8(c)まで順に動作が行われるものとする。
図5では、先ずブラックインクタンク1KのLED101を点灯させる。図5(a)は受光部210とブラックインクタンク1Kが対向した位置であり、そのとき受光部210が受光する受光光量は563mVである。次に、図5(b)はキャリッジ205がガイド軸207に沿って左側にインクタンク1個分ポジションが移動した状態であり、受光部210はシアンインクタンク1Cと対向した位置となる。このとき、インクタンク1KのLEDが点灯しているため、その光が受光部210に到達する光量は、先の受光部210とブラックインクタンク1Kが対向した位置にあるときよりも少なく38mVとなる。次に、図5(c)はさらに左側にインクタンク1個分移動した状態であり、受光部210はマゼンタインクタンク1Mと対向した位置となる。このとき、受光部210の受光光量は更に少なく3mVとなる。
図6では、シアンインクタンク1CのLED101を点灯させる。図6(a)は受光部210とマゼンタポジションに装着されたイエローインクタンク1Yと対向した位置であり、そのとき受光部210が受光する受光光量は4mVである。次に、図6(b)は右側にインクタンク1個分移動した状態であり、受光部210はシアンインクタンク1Cと対向した位置となる。このとき、受光部210の受光光量は62mVとなる。最後に図6(c)は受光部210がブラックインクタンク1Kと対向した位置となり、このときの受光部210の受光光量は5mVとなる。
図7では、マゼンタインクタンク1MのLED101を点灯させる。図7(a)は受光部210とブラックインクタンク1Kと対向した位置であり、そのとき受光部210が受光する受光光量は1mVである。次に、図7(b)はキャリッジ205がガイド軸207に沿って左側にインクタンク1個分ポジションが移動した状態であり、受光部210はシアンインクタンク1Cと対向した位置となる。その光が受光部210の光量は1mVとなる。次に、図7(c)はさらに左側にインクタンク1個分移動した状態であり、受光部210はマゼンタポジションに装着されたイエローインクタンク1Yと対向した位置となる。このとき、受光部210の受光光量は22mVとなる。
図8も同様の手順で行い、光量データを取得する。次にインクタンクの位置を判定する手順に移る。
ブラックインクタンク1Kの位置を確認する。ブラックインクタンク1Kを発光させたときに、受光部210が受光する光量が最大となるポジションを探すと、ブラックポジションが563mVで最大であった。このことからブラックポジションにブラックインクタンク1Kが装着されていることが判定できる。同様に、シアンインクタンク1Cを発光させたときに受光部210が受光する光量が最大となるポジションはシアンポジションの62mVであり、シアンインクタンク1Cがシアンポジションに正しく装着されていることを判定できる。
上の手順によって受光部210に対向する位置へ移動できないイエローポジションとそれに隣接するマゼンタポジション以外のポジションに装着されるべきインクタンクが全て正しく装着されていることが判定された。続いて、残るマゼンタインクタンク1M、イエローインクタンク1Yの位置を判定する手順に進む。まずマゼンタインクタンク1Mについて受光光量が最大となるポジションを探すと、マゼンタポジションが22mVで最大である。次に受光部210がマゼンタポジションに対向する位置について受光光量が最大となるインクタンクを探すと、イエローインクタンク1Yを発光させたときの受光光量が最大となることがわかる。このことからマゼンタインクタンク1Mはマゼンタポジションに装着されていないことが判定できる。つまりマゼンタポジションにはイエローインクタンク1Yが、イエローポジションにはマゼンタインクタンク1Mが装着されていることがわかる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態におけるインクタンク及びプリンタを用いて、第2の実施形態の位置検出手順を図9から図14を用いて説明する。
また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にイエローポジション(Y)だけが、受光部210と対向する位置へ移動できない場合について説明する。
図9から図11はインクタンクが正しいポジションに装着されている場合の位置検知手順を示した模式図であり、図9(a)から図11(c)まで順に動作が行われる。また、図12から図14はイエローインクタンク1Yとマゼンタインクタンク1Mをお互い逆に装着した場合の位置検知手順を示した模式図である。すなわちイエローインクタンク1Yはマゼンタポジションに、マゼンタインクタンク1Mはイエローポジションに装着されている。こちらも同様に図12(a)から図14(c)まで順に動作が行われる。
図9はブラックポジションに対向する位置に受光部210となるようにキャリッジが移動した状態である。図9(a)はブラックインクタンク1KのLEDが点灯した状態であり受光部210が受光する光量は563mVである。図9(b)はブラックインクタンク1Kが消灯し、シアンインクタンク1CのLEDが点灯した状態である。このとき、受光部210が受光する光量は5mVである。次に図10は図の左側にインクタンク1個分ポジションが移動した状態であり、すなわちシアンポジションに対向する位置に受光部210となる状態である。図10(a)は、図9(b)においてシアンインクタンク1CのLEDを点灯させた状態のまま、キャリッジが移動した状態であるため、シアンインクタンク1CのLEDが点灯した状態である。このとき、受光部210が受光する光量は62mVである。次にキャリッジはそのままで図10(b)はシアンインクタンク1Cが消灯し、ブラックインクタンク1Kが点灯した状態であり、このとき、受光部210が受光する光量は38mVである。図10(c)はブラックインクタンク1Kが消灯し、マゼンタインクタンク1Mが点灯した状態であり、このとき、受光部210が受光する光量は22mVである。図11は前記動作と同様に、キャリッジを左側にインクタンク1個分ポジションを移動させ、その隣接するインクタンクを交互に点灯させる。結果として、正しいポジションに装着されたインクタンクの正面にある受光部が受ける光量と、そのポジションを挟んだ両脇(最外のポジションは片側のみ)のポジションに移動したインクタンクのLEDの受光光量をデータとしてプリンタ内のメモリに記録する。そして、そのデータをもとにインクタンクの装着された位置の判定を行う。上記の手順により得られた図中の表から、例えば、シアンインクタンクを例としその装着位置を判定する。受光部210がシアンポジションに対向するときにシアンインクタンクを発光させたときの光量は、62mVであり、受光部210がブラックポジションに対向するときにシアンタンクを発光させたときの光量は5mV、受光部210がマゼンタポジションに対向するときにシアンタンクを発光させたときの光量は4mVであった。これらを比較するとシアンポジションの光量が最大となるため、正しく装着されていることがわかる。
このように、ブラックインクタンク1K、シアンインクタンク1Cが正しいポジションに装着されている場合、そのポジションを挟んだ両脇(最外のポジションは片側のみ)の光量と、中心のポジションの光量を比較すると、中心のポジションの光量が最大となる。このことからそれらのタンクが正しい位置に装着されていることが確定できる。
イエローインクタンク1Yとマゼンタインクタンク1Mについては正しいポジションに装着された場合の正面、脇のポジションのすべてでの光量が取得できない。これらを除くインクタンクが全て正しい位置に装着されていると判定された場合、これらのインクタンクの位置を判定する手順に進む。まずマゼンタインクタンク1Mについて装着位置を判定する。図中の表から、受光部210がシアンポジションに対向するときにマゼンタインクタンクを発光させたときの光量は、22mVであり、受光部210とマゼンタポジションが対向する位置にマゼンタインクタンク1Mが移動したときの光量は323mVであり、マゼンタポジションの光量が最大となっている。この値を、受光部210がマゼンダポジションと対向するときにイエローインクタンク1Yを発光させたときの光量44mVと比較すると、マゼンタインクタンク1Mを発光させたときの受光光量が大きいことがわかる。このことからマゼンタインクタンク1Mはマゼンタポジションに装着されており、したがって残るイエローポジションにはイエローインクタンク1Yが装着されていることがわかり、全インクタンクが正しい位置に装着されていることが判定できる。
次にイエローインクタンク1Yとマゼンタインクタンク1Mをお互い逆に装着、すなわちイエローインクタンク1Yをマゼンタポジションに、マゼンタインクタンク1Mをイエローポジションに装着した場合の位置検知手順を説明する。
図12はブラックポジションに対向する位置に受光部210となるようにキャリッジが移動した状態である。図12(a)はブラックインクタンク1KのLEDが点灯した状態であり受光部210が受光する光量は563mVである。図12(b)はブラックインクタンク1Kが消灯し、シアンインクタンク1CのLEDが点灯した状態である。このとき、受光部210が受光する光量は5mVである。次に図13は図の左側にインクタンク1個分ポジションが移動した状態であり、すなわちシアンポジションに対向する位置に受光部210となる状態である。図13(a)は、図12(b)においてシアンインクタンク1CのLEDを点灯させた状態のまま、キャリッジが移動した状態であるため、シアンインクタンク1CのLEDが点灯した状態である。このとき、受光部210が受光する光量は62mVである。図13(b)はシアンインクタンク1Cが消灯し、ブラックインクタンク1Kが点灯した状態であり、図13(c)はブラックインクタンク1Kが消灯し、マゼンタインクタンク1Mが点灯した状態である。しかし、マゼンタインクタンク1Mはイエローポジションに誤って装着されているため、本来マゼンタポジションに装着された場合の受光電圧22mVに対して低い値である1mVが受光部210で受光される。
図14は前記動作と同様に、キャリッジを左側にインクタンク1個分ポジションを移動させ、その本体正しい位置に装着された場合に隣接するはずのインクタンクを交互に点灯させる。結果として、上記の手順によれば、ブラックインクタンク、シアンインクタンクについては同様に正しい位置に装着されていることがわかる。次にマゼンタインクタンクについて装着位置を判定する。図中の表において、受光部210がマゼンダポジションに対向するときにマゼンタインクタンク1Mを発光させたときの光量は、22mVであり、受光部210がマゼンダポジションに対向するときにイエローインクタンク1Yを発光させたときの光量663mVであった。本来、マゼンタインクタンクを発光させたときの光量がより大きくなるはずがそうではないため、誤装着されていることがわかる。このように一方のタンクポジションに対向する位置でそれぞれを発光させたときの光量を比較し、そのタンクポジションに本来装着されるインクタンクを発光させたときの光量がより大きくならない場合に誤装着を確認できる。したがって、イエローインクタンク1Yとマゼンタインクタンク1Mのように正しいポジションに装着された場合の正面、脇のポジションでの光量が取得できないタンクについても、それらが正しい位置に装着されていないことが確定できる。
本実施例では、キャリッジの1方向の移動のみで全てのタンクの位置検出が終了し、インクタンク交換時のプリンタ使用開始までの時間を短縮できるというメリットがある。
以上、説明した第1の実施形態および第2の実施形態において、4色のインクタンクを搭載するプリンタにおける位置検出方法を説明したが、インクタンクの色数は4色に限定するものではない。5色以上搭載されるプリンタにおいても、上記の位置検出方法は適応される。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の位置検出手順を図21から図26を用いて説明する。説明のために、第1の実施形態におけるインクタンク及びプリンタにおいて、記録ヘッドユニット105に搭載されるインクタンクとして1K、1C、1M、1Yに印字品位向上のためグレーインクタンク1Gが追加された系を用いる。
本実施形態では、両端のポジション、つまりブラックポジションとグレーポジションが、受光部210と対向する位置へ移動しない場合について説明する。
図21から図23はインクタンクが正しいポジションに装着されている場合の位置検知手順を示した模式図であり、図21(a)から図23(d)まで順に動作が行われる。また、図24から図26はグレーインクタンク1Gとブラックインクタンク1Kをお互い逆に装着、すなわちグレーインクタンク1Gをブラックポジションに、ブラックインクタンク1Kをグレーポジションに装着した場合の位置検知手順を示した模式図である。こちらも同様に図24(a)から図26(d)まで順に動作が行われる。
図21はシアンポジションに対向する位置に受光部210となるようにキャリッジが移動した状態である。図21(a)はシアンインクタンク1CのLEDが点灯した状態であり受光部210が受光する光量は124mVである。図21(b)はシアンインクタンク1Cが消灯し、ブラックインクタンク1KのLEDが点灯した状態である。このとき、受光部210が受光する光量は38mVである。次に図21(c)はブラックインクタンク1Cが消灯し、マゼンタインクタンク1Mが点灯した状態であり、このとき、受光部210が受光する光量は22mVである。図21(d)はマゼンタインクタンク1Mが消灯し、グレーインクタンク1Gが点灯した状態であり、このとき、受光部210が受光する光量は1mVである。図22は前記動作と同様に、キャリッジを左側にインクタンク1個分ポジションを移動させ、各インクタンクを順次点灯させる。結果として、正しいポジションに装着されたインクタンクの正面にある受光部が受ける光量と、そのポジションを挟んだ両脇(最外のポジションは片側のみ)のポジションに移動したインクタンクのLEDの受光光量をデータとしてプリンタ内のメモリに記録する。両端に装着されるインクタンクについては、装着されるべきポジションの隣接ポジションと、反対ポジションに隣接したポジションに移動したインクタンクのLEDの受光光量をデータとしてプリンタ内のメモリに記録する。
次に、そのデータをもとにインクタンクの装着された位置の判定を行う。ここでは上記の手順により得られた図中の表中の値により検証する。例えば受光部210がマゼンダポジションに対向するときにマゼンタインクタンクを発光させたときの光量は、323mVであり、受光部210がシアンポジションに対向するときにマゼンタタンクを発光させたときの光量は22mV、受光部210がイエローポジションに対向するときにマゼンタタンクを発光させたときの光量は20mVであった。これらを比較するとマゼンタポジションの光量が最大となるため、マゼンタインクタンクは正しく装着されていることがわかる。
シアンインクタンク1Cとイエローインクタンク1Yについては正しいポジションに装着された場合の脇のポジションでの光量が取得できない。マゼンタインクタンク1Mが正しい位置に装着されていると判定された場合、これらのインクタンクの位置を判定する手順に進む。まずシアンインクタンク1Cについて判定する。図中の表から、シアンインクタンクを発光させたときのシアンポジションの光量は、124mVであり、マゼンタポジションにシアンインクタンク1Cが移動したときの光量は8mVであることがわかる。つまり、シアンポジションでの光量がより大きくなっている。また、両端に装着されるべきブラックインクタンク1Bを発光させたときに受光部210がシアンポジションで受光する光量は38mV、グレーインクタンク1Gを発光させたときに受光部210がシアンポジションで受光する光量は1mVである。これらと比較した場合にも、シアンインクタンク1Cを発光させたときのシアンポジションでの受光光量がより大きいことがわかる。このことからシアンインクタンク1Cはシアンポジションに装着されていることがわかる。同様にしてイエロータンク1Yがイエローポジションに装着されていることがわかる。
シアンインクタンク1C、マゼンタインクタンク1M、イエローインクタンク1Yが正しい位置に装着されていると判定された場合は、残るブラックインクタンク1K、グレーインクタンク1Gの位置を判定する手順に進む。図中の表から、受光部210がシアンポジションに対向するときにブラックインクタンク1Kを発光させたときの光量は38mVであり、グレーインクタンクを発光させたときの同ポジションでの光量1mVより大きいことがわかる。また、受光部210がイエローポジションに対向するときにグレーインクタンク1Gを発光させたときの光量が25mVであり、ブラックインクタンクを発光させたときの同ポジションでの光量3mVより大きい。これらのことからブラックインクタンク1K、グレーインクタンク1Gがいずれも正しい位置に装着されていることがわかり、全インクタンクが正しい位置に装着されていることが判定できる。
発光部が受光部と対向する位置で発光したときの光量より、対向する位置と隣接する位置で発光した時に受光部で受光される光量が必ず小さく、隣接する位置よりさらに離れた位置で発光した時に受光部で受光される光量はさらに小さくなることは言うまでもない。
このような系を実現するためには、次のような方法がある。1.タンクに装着されたLEDを選別し発光光量を均一化する。2.タンクLEDのランク情報やタンク使用履歴情報からPWM制御等の方法でLEDの発光輝度を調整する。3.受光側の負荷抵抗を自動調整可能な構成とし、タンクLEDのランク情報やタンク使用履歴情報に応じて調整する。もちろんこれらの方法のうち複数を組み合わせ、あるいは別の手段によって受光光量を規格化することでも同様の系を実現できる。
次にブラックインクタンク1Kとグレーインクタンク1Gをお互い逆に装着、すなわちブラックインクタンク1Kをグレーポジションに、グレーインクタンク1Gをブラックポジションに装着した場合の位置検知手順を説明する。
図24はシアンポジションに対向する位置に受光部210となるようにキャリッジが移動した状態である。図24(a)はシアンインクタンク1CのLEDが点灯した状態であり受光部210が受光する光量は124mVである。図24(b)はシアンインクタンク1Cが消灯し、ブラックインクタンク1KのLEDが点灯した状態である。このとき、受光部210が受光する光量は3mVである。図24(c)はブラックインクタンク1Kが消灯し、マゼンタインクタンク1MのLEDが点灯した状態である。このとき、受光部210が受光する光量は22mVである。図24(d)はマゼンタインクタンク1Mが消灯し、グレーインクタンク1GのLEDが点灯した状態である。このとき、受光部210が受光する光量は25mVである。次に図25は図の左側にインクタンク1個分ポジションが移動した状態であり、すなわちマゼンタポジションに対向する位置に受光部210となる状態である。図25(a)はマゼンタインクタンク1MのLEDが点灯した状態である。このとき、受光部210が受光する光量は323mVである。図25(b)はマゼンタインクタンク1Mが消灯し、シアンインクタンク1Cが点灯した状態であり、図13(c)はシアンインクタンク1Cが消灯し、イエローインクタンク1Yが点灯した状態である。
図26は前記動作と同様に、キャリッジを左側にインクタンク1個分ポジションを移動させ、目的のインクタンクを交互に点灯させる。結果として、上記の手順によれば、シアンインクタンク、マゼンタインクタンク、イエローインクタンクについては同様に正しい位置に装着されていることがわかる。次にブラックインクタンク、グレーインクタンクについて確認する。図中の表において、ブラックインクタンク1Kを発光させたときのシアンポジションの光量は、3mVであり、グレーインクタンク1Gを発光させたときのシアンポジションの光量は25mVである。本来、ブラックインクタンクを発光させたときの光量がより大きくなるはずだがそうではないことから、これらのタンクが誤装着されていることがわかる。
以上述べたように、正しいポジションに装着された場合の正面ポジションでの光量が取得できないインクタンクについても一方のタンクポジションに隣接する位置でそれぞれを発光させたときの光量を比較することで、正しい位置に装着されていないことが確定できる。
本実施例では、キャリッジの1方向の移動のみで全てのタンクの位置検出が終了し、また第1、第2の実施形態と比較してさらにキャリッジの移動回数低減が図れるため、インクタンク交換時のプリンタ使用開始までの時間を短縮できるというメリットがある。
以上、説明した第3の実施形態において、5色のインクタンクを搭載するプリンタにおける位置検出方法を説明したが、インクタンクの色数は5色に限定するものではなく、4色または6色以上搭載されるプリンタにおいても、上記の位置検出方法は適応される。
以上の構成によれば、一部のインクタンクが受光部と対向した位置に移動できない場合、あるいは単に移動せずにインクタンクの位置検出を行う場合でもインクタンクが正しい位置に搭載されていることを認識できる。
また、LEDの発光時間がキャリッジの移動時間より短い場合において、インクタンクの位置検出する時間を短縮することができる。
(第4の実施形態)
図17における自動給送装置202から給紙された記録媒体を排紙トレイ203に排紙するための開口部がある。この開口部からの外光がインクタンクの発光部から発光される光を受光する受光部へ影響を与えることがある。
そのような場合には、全インクタンクが消灯状態であるときの各インクタンクと対向する位置での受光光量をプリンタ本体のRAMなどのメモリ(不図示)に記憶する。
さらに各インクタンクが点灯状態にあるときの受光光量もRAM等に記憶し、メモリに記憶された点灯状態での受光光量から消灯状態からの受光光量を減算することで外光の影響を防ぐことが可能である。
この消灯状態での受光光量の検出は、上記実施形態において各インクタンクが受光部と対向しており、かつ全てのタンクが消灯したタイミングを選んで受光光量を記憶するようにして実行できる。そのように実行した場合は消灯状態での受光光量の検出のためだけにタンクの移動を行なうことがないため、動作時間に大きな影響を与えない。
しかしもちろんこの検出動作を、上記実施形態の一連の動作の前後にまとめて実施するようにしても同様の効果を得ることができることは言うまでもない。