JP4885816B2 - 機能性膜の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は高アスペクト比構造を有する機能性膜の製造方法および装置に関し、特に、皮膚表面または皮膚角質層において、簡便に、かつ効率的に薬品などを注入するマイクロニードルシートと称される機能性膜の製造方法および装置に関する。
従来、生体表面、即ち皮膚や粘膜などより、薬品などを投与する方法としては、主に液状物質または粉状物質を付着させる方法が殆どであった。しかしながら、これらの物質の付着領域は、皮膚の表面に限られていたため、発汗や異物の接触などによって、付着している薬品などが除去される場合があり、適量を投与することは困難であった。また、薬品を皮膚の奥深くに浸透させるためには、このような薬品の拡散による浸透を利用した方法では、浸透深さを確実に制御することは困難であるため、充分な薬効を得ることは困難であった。
そのため、高アスペクト比構造を有する機能性膜を用い、その先端を皮膚内に挿入することにより、薬品を注入する方法が行われている。このような、高アスペクト比構造を有する機能性膜を形成する方法として、射出成型や材料の延伸などが提案されてきた。例えば、下記の特許文献1には、鋳型を作製してその中に素材を注入し、射出成形により、ニードル構造を形成する方法が記載されている。また、特許文献2には、低温溶融するポリエチレングリコールを用いてナノインプリントする経皮性薬剤配送装置が記載されている。
しかしながら、マイクロニードルシートとして使用するためには、薬剤を混入させる必要があるが、これらの方法では、材料を溶融させるために高温を必要とし、薬剤の効能が著しく劣化してしまうという問題があった。さらにスループットもしくは形状の安定形成が難しいといった製造上の問題もあった。
また、特許文献1に記載の方法は、アレイ状の凹金型に対して微細形状の凹部先端まで素材を注入することが難しく、欠陥不良が生じるという問題があった。例えば、凹金先端に空気が溜まり、素材の注入時に溜まった空気の気泡などによる注入欠陥が生じていた。また、微細形状である先端部まで均一に中空にならず、溶解液を充填させるのが困難であり、生産性が劣るという問題があった。これにより、形成された凸部アレイの凸部先端がシャープに形成されないという問題がある。特許文献2に記載されている装置は、材料としてポリエチレングリコールを用いているため、Tgが低く、製品の安定性に問題があった。
この問題を回避するために、材料に樹脂ポリマーを溶解させた溶液を用い、高アスペクト比構造が反転した高アスペクト比孔を表面に有する型上に溶液を塗布し、前記塗布された溶液を乾燥させ、剥離して高アスペクト比構造を得るプロセスが考えられる。しかし、塗布工程のみで、型表面の高アスペクト比孔に溶液を充填しようとすると、孔内の脱木ができず、溶解液が孔内に入り込めないという問題があった。そのため、加圧による高アスペクト比孔への溶液充填、もしくは、減圧により孔内空気を脱気する工程を加える必要があった。
加圧により溶液を充填する工程を有する方法として、下記の特許文献3には、ピストンシリンダ内で注入成分を加圧媒体成分により押し出し、混合室を経て型内に注入し液状の物質を充填する方法が記載されている。特許文献4は、圧力容器内で、加圧用流体(20MPa)により型を弾性変形させ、原料粉末(固体)を金型内の空隙内に充填する方法が記載されている。特許文献5には、加圧流体を用いた孔への溶液充填法として、ナノプリント法において、型を基材に直接、または基板上に形成した材料層に接触させ、プレスする方式が記載されている。この方法では、型および/または基板は充分に柔軟であり、加圧流体の下で広範囲にわたる微小パターンの成形が可能となっている。
特開2006−051361号公報 特開2007−037885号公報 特開平7−016852号公報 特開平11−320588号公報 特表2004−504718号公報
特許文献3に記載されている方法は、注入口を介して注入型に達するものであり、注入型内を密閉し、圧力を調節することにより、成形が行われるため、薄膜の成形に適用することが困難であった。溶液からフィルム状の製品を形成するためには、成形型の表面を開放しておくことが好ましい。特許文献4に記載の方法は、型を弾性変形させるため、型の耐久性を低下させるという問題あった。また、特許文献5に記載の方法は、転写に基板を必要とし、基板と型の位置合わせ困難であるという問題があった。また、溶液充填の場合は材料の粘性が低いため、加圧中に液が型内部に流出してしまい、加圧力を材料に伝えることができないという問題があった。さらに、プレス方式においては、圧力分布により型内で構造の形状精度にバラツキが生じるという問題もあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、型の凹部アレイが形成された面にポリマー樹脂の溶解液を塗布し、耐圧容器内で加圧流体により溶解液を型内に充填することで、高性能な高アスペクト比構造を有する機能性膜を生産性良く製造できる製造方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、高アスペクト比構造の微細な凸部アレイが形成された機能性膜を製造する方法において、表面に前記高アスペクト比構造が反転した微細な凹部アレイが形成された型を提供する型提供工程と、前記型に、機能性膜を形成するためのポリマー樹脂の溶解液を塗布するポリマー樹脂塗布工程と、前記塗布したポリマー樹脂の溶解液を加圧流体で加圧することによって、前記型上の前記凹部アレイに充填する充填工程と前記充填したポリマー樹脂の溶解液を乾燥・固化し、ポリマー樹脂の固化物を形成する乾燥工程と、前記型から前記形成した固化物を剥離する剥離工程と、を備えたことを特徴とする機能性膜の製造方法を提供する。
請求項1によれば、型の凹部アレイへの、ポリマー樹脂の溶解液の充填を、加圧流体を用いて行っている。したがって、従来のプレス方式の充填と比較し、大面積で均一に、高スループットで機能性膜を製造することが可能となる。
請求項2は請求項1において、前記充填工程は、耐圧容器内で前記ポリマー樹脂の溶解液を、前記加圧流体により、0.01MPa以上5MPa以下の圧力を5秒以上5000秒以下で加圧することを特徴とする。
請求項2によれば、充填工程において、耐圧容器を用いることにより、ポリマー樹脂の溶解液を加圧流体で直接加圧することが可能となる。また、請求項2は加圧流体による圧力と加圧時間の加圧条件を規定したものであり、上記範囲とすることにより、型の厚み精度に寄らず、大面積にわたって均一に、微小な高アスペクト比構造を成型することが可能となる。圧力、時間が上記範囲以下であると、加圧が充分でなく、凹部アレイにポリマー樹脂の溶解液を注入するのが困難である。また、上記範囲を超えると、圧力が溶解液に等しくかからないため、均一な膜厚のフィルムを製造することが困難になる。また、加圧時間が上記範囲より長いと、その間に溶液の蒸発・温度の低下により、溶解液の粘度が低下するため好ましくない。
請求項3は請求項1または2において、前記ポリマー樹脂の溶解液の粘度が5Pa・s以下であることを特徴とする。
請求項3によれば、ポリマー樹脂の溶解液の粘度が、5Pa・s以下であるため、充分な流動性を有し、型の凹部アレイ内に安定して溶解液を充填させることが可能である。
請求項4は請求項1から3のいずれかにおいて、前記ポリマー樹脂は、生体適合材料であることを特徴とする。
請求項5は請求項4において、前記生体適合材料が単糖類、多糖類、蛋白質、多価アルコール、または生分解性ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする。
請求項4または5によれば、前記ポリマー樹脂を生体適合材料とし、特に、単糖類、多糖類、蛋白質、多価アルコール、または生分解性ポリマーを含むことにより、経皮吸収性マイクロニードルを含む医薬品または医療機器として使用できる、高アスペクト比構造シートを製造することが可能となる。なお、本発明において生体適合性材料とは、体内で生体に悪影響を及ぼさず、生体に馴染むもしくは代謝によって速やかに体外に排出される性質をもつ材料のことをいう。また、生分解性ポリマーとしては、ポリ乳酸に代表される脂肪族ポリエステル、またはポリビニルアルコール、ポリエステルカーボネートなどを挙げることができる。
請求項6は請求項2から5いずれかにおいて、前記充填工程において、前記耐圧容器内を前記溶解液の溶媒の蒸気で飽和させておくことを特徴とする。
請求項6によれば、耐圧容器内を溶解液の溶媒の蒸気で飽和させているため、容器内での溶解液の乾燥を防止することができ、溶解液の粘度の変化を防止することができる。
請求項7は請求項1から6いずれかにおいて、前記充填工程において、前記ポリマー樹脂の溶解液の温度が20℃以上100℃以下であることを特徴とする。
請求項7によれば、ポリマー樹脂の溶解液の温度を上記範囲とすることにより、溶解液の粘度変化を防止することができ、安定して樹脂の注入を行うことができる。
本発明の請求項8は前記目的を達成するために、高アスペクト比構造の微細な凸部アレイが形成された機能性膜の製造装置において、表面に前記高アスペクト比が反転した微細な凹部アレイが形成された型に、機能性膜を形成するためのポリマー樹脂の溶解液を塗布するポリマー樹脂塗布手段と、加圧流体の加圧によってポリマー樹脂の溶解液を、前記型上の前記凹部アレイに充填する充填手段と、前記ポリマー樹脂の溶解液を乾燥・固化し、ポリマー樹脂の固化物を形成する乾燥手段と、前記型から前記固化物を剥離する剥離手段と、を備えたことを特徴とする機能性膜の製造装置を提供する。
請求項8によれば、ポリマー樹脂の溶解液を加圧流体により型の凹部アレイに充填しているため、従来のプレス方式よりも大面積で均一に、高スループットで機能性膜を製造することが可能である。
請求項9は請求項8において、前記型は、前記型の側面周囲を囲む型枠を備え、該型と該型枠の段差が50μm以上10mm以下であることを特徴とする。
請求項9によれば、型と型枠とで、上記範囲の段差を設けることにより、機能性膜を所望の膜厚に形成する際に、充填工程において、ポリマー樹脂の溶解液が型の外に流れることを防止することができる。なお、段差は、必要に応じて型の側面周囲のみでなく、型の内部にも格子状に設けることが可能である。
請求項10は請求項8または9において、前記型が気体透過性素材であることを特徴とする。
請求項10によれば、型の素材として、基体透過性の素材を用いているため、ポリマー樹脂の溶解液を型に充填する際に、型の凹部内の空気を型側からも放出することができるので、機能性膜の凸部先端の気泡の混入を防止することができる。
請求項11は請求項8から10において、前記充填手段は、耐圧容器と該耐圧容器内に加圧流体を供給する流体供給装置とで構成され、前記耐圧容器は供給された加圧流体の供給口と、耐圧容器内の加圧流体を排出する排出口と、前記型を出し入れすることが可能な開口部と、前記開口部を密閉可能にシールすることが可能な蓋と、ポリマー樹脂の溶解液を加熱するための加熱手段と、を備える耐圧容器を備えることを特徴とする。
請求項11によれば、耐圧容器を用いて、この耐圧容器内に流体を供給し、耐圧容器内の圧力を加圧にすることによりポリマー樹脂の溶解液の充填を行っている。したがって、耐圧容器内の圧力を自由にコントロールすることが可能であり、また、加温・加湿も可能となるため、充填工程を最適な条件で実施することが可能となる。また、耐圧容器には、型を出し入れすることが可能な開口部を備えるため、型の設置を容易に行うことができる。なお、耐圧容器内は、耐圧容器内の底部にポリマー樹脂の溶解液の溶媒を張っておこくことが好ましい。これにより、耐圧容器内を溶解液の溶媒で飽和させることができ、溶解液の乾燥を防止し、粘度の変化を防ぐことができる。
請求項12は請求項11において、前記耐圧容器内は、前記型と前記型枠を合わせた高さを有する複数の段に分けられ、かつ、それぞれの前記段同士で通気が可能であることを特徴とする
請求項12によれば、複数の型を耐圧容器内の段の上に設置し、かつ、それぞれの段同士で通気が可能となっているため、設置した複数の型を同じ圧力で充填することができ、同時に、複数の型にポリマー樹脂の溶解液の充填を行うことができ、スループットを向上させることができる。
本発明によれば、加圧流体を用いて加圧を行っているため、型の厚み精度に寄らず大面積にわたって均一に、高アスペクト比構造の微細な凸部を形成することが可能となる。また、加圧流体により圧力をかけることにより、従来のプレス方式では、一面ずつ加圧する必要があったが、本発明においては、複数の型を同時に処理することが可能である。また、型への加圧力もプレス方式と比較して少なくて済み、型の変形もないため、型の劣化が少なく使用回数を増やすことができ、生産効率を上げることができる。また、熱による薬剤の劣化を防止することができ、高品質なマイクロニードルシートを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態における高アスペクト比構造を有する機能性膜の一例としてマイクロニードルシートの製造方法について説明する。なお、以下、マイクロニードルシートについて記載するが、マイクロニードルシート以外の高アスペクト比構造を有する機能性膜についても本発明を適用することができる。
図1に本発明の製造方法および製造装置により製造されるマイクロニードルシートの角錐状の斜視図(a)および断面図(b)を示す。
マイクロニードルシートに形成される微小針(微細な凸部)22の形状は、微小針22を皮膚表面に数100μmの深さで刺すために、(1)先端が充分に尖っていて、皮膚内に入る針の径も充分に細い(長さ/径のアスペクト比が高い)こと、(2)充分な強度がある(針が折れ曲がったりしない)こと、が必要である。
そのため、(1)の用件を満たすためには、細くて尖った形状が必要であるが、これは(2)に相反し、細すぎると先端や根元で折れ曲がってしまい、太すぎると刺さらないため、図1(a)に示すように、微小針22の稜線22Aは、微小針内側に湾曲した形状とすることが好ましい。このような形状とすることにより、先端を充分に尖らせる一方で、根元を広げることにより、折れにくくすることができる。また、角錐状の微小針の稜線22A、22Aが該稜線同士の間の角錐面22Cよりも張り出していることが好ましい。
微小針22の形状は底面の一辺Xが0.1μm以上1000μm以下の範囲であり、高さが0.3μm以上3000μm以下であることが好ましい。より好ましくは、一辺Xが10μm以上400μm以下の範囲であり、高さが30μm以上1200μm以下である。
そして、稜線22Aの湾曲の最大深さZは、稜線の始点と終点を結ぶ線分の長さをLとしたとき、0.04×L以上0.2×L以下であることが好ましい。また、微小針の鋭利性を示す微小針先端22Bの曲率半径Rが20μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下である。
なお図1は、四角錐状の微小針22について示しているが、図2に示す円錐状や他の角錐状の微小針も同様の大きさであることが好ましい。なお、円錐状の場合においては、底面の直径Xが0.1μm以上1000μm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは50μm以上300μm以下の範囲である。また、円錐面の湾曲の最大深さZ’は、円錐面の母線の始点と終点とを結ぶ線分の長さをL’としてとき、0.04×L’以上0.2×L’以下であることが好ましい。
上記のように、マイクロニードルアレイは微小な凸部アレイであり、皮膚表面に刺さりやすくするため、凸部22先端を充分に尖らせ、凸部22先端の曲率半径Rを10μm以下とすることが好ましい。曲率半径Rが10μm以下の先端を有する凸部22を形成するためには、型に形成される凸アレイの反転型である凹アレイの凹部先端までポリマー樹脂の溶解液を注入して精密に転写できるかが重要なポイントになってくる。
次に、マイクロニードルシートの製造方法について説明する。図3に型の製造方法の工程図、図4に、型枠を設けた型の正面図および斜視図を示す。図5はポリマー樹脂塗布工程・充填工程の工程図である。図6にポリマー樹脂の溶解液の充填工程に用いられる耐圧容器の正面図、図7は耐圧容器の別の態様を示す正面図である。図8はマイクロニードルシートの剥離工程の工程図を示す。
最初に原版作製を行う。具体的には、図3(a)に示すように、マイクロニードルシートの製造のための型を作製するための原版を作製するものである。
この原版11の作製方法は2種類あり、1番目の方法は、Si基板上にフォトレジストを塗布した後、露光、現像を行い、RIE(リアクティブイオンエッチング)等によるエッチングを行うことにより、原版11の表面に円錐の形状部(凸部)12のアレイを作製する。尚、RIE等のエッチングを行う際には、Si基板を回転させながら斜め方向からのエッチングを行うことにより、円錐の形状を形成することが可能である。
2番目の方法は、Ni等の金属基板に、ダイヤモンドバイト等の切削工具を用いた加工により、原版11の表面に四角錘などの形状部12のアレイを形成する方法がある。
次に、型の作製を行う。具体的には、図3(b)に示すように、原版11より型13を作製する。通常の型13の作製には、Ni電鋳などによる方法が用いられるが、原版11は、先端が鋭角な円錐形又は角錐形の形状を有しているため、型13に形状が正確に転写され剥離することができるように、安価に製造することが可能な4つの方法が考えられる。
1番目の方法は、原版11にPDMS(ポリジメチルシロキサン、例えば、ダウコーニング社製のシルガード184)に硬化剤を添加したシリコーン樹脂を流し込み、100℃で加熱処理し硬化した後に、原版11より剥離する方法である。2番目の方法は、紫外線を照射することにより硬化するUV硬化樹脂を原版11に流し込み、窒素雰囲気中で紫外線を照射した後に、原版11より剥離する方法である。3番目の方法は、ポリスチレンやPMMA(ポリメチルメタクリレート)等のプラスチック樹脂を有機溶剤に溶解させたものを剥離剤の塗布された原版11に流し込み、乾燥させることにより有機溶剤を揮発させて硬化させた後に、原版11より剥離する方法である。4番目の方法は、Ni電鋳により反転品を作成する方法である。
このようにして作製された型13を図3(c)に示す。尚、上記3つのいずれの方法においても型13は、何度でも容易に作製することが可能である。次に、図3(c)で製造された型13に型枠14を設置する。
型枠14を設置した図を図4に示す。図4(a)は、型13の周囲に型枠を設けた図であり、図4(b)は、複数の型13をつなぎ合わせ、型の内部にも型枠14を設けた図である。型枠14を設けることにより、機能性膜を所望の膜厚に形成する際、ポリマー樹脂の溶解液(以下、「ポリマー溶解液」ともいう)が型13の外に流れることを防止することができる。
このとき、型13と型枠14との段差が50μm以上10mm以下とすることが好ましい。また、図4の型は、型13と型枠14を分離できる構成であるが、一体型で構成することも可能である。分離型で構成した場合は、充填工程後の乾燥工程、剥離工程において、型枠14を外すことが可能である。
図4(b)は、複数の型13を基板17上に、および、複数の型13同士を、接着剤を用いてつなぎ合わせる。そして、型13の側面周囲。および内部に型枠14’を設置する。この型は、図7で示される複数の段を備える耐圧容器を用いる場合において、複数の型にポリマー溶解液を同時に充填することができ、好ましく用いることができる。
型に用いる材料としては、弾性のある素材、金属製の素材を用いることができるが、弾性のある素材であることが好ましく、気体透過性の高い素材であることが更に好ましい。気体透過性の代表である酸素透過性は、1×10−12(mL/s・m・Pa)より大きいことが好ましく、1×10−10(mL/s・m・Pa)より大きいことがさらに好ましい。気体透過性を上記範囲とすることにより、型13の凹部に存在する空気を型側から追い出すことができるので、欠陥の少ないマイクロアレイニードルを製造することができる。このような材料として、具体的には、シリコーン樹脂(例えば、シルガード184、1310ST)、UV硬化樹脂、プラスチック樹脂(例えば、ポリスチレン、PMMA(ポリメチルメタクリレート))を溶融、または溶剤に溶解させたものなどを挙げることができる。これらの中でもシリコーンゴム系の素材は繰り返し加圧による転写に耐久性があり、且つ、素材との剥離性がよいため、好適に用いることができる。また、金属製の素材としては、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Ir、Tr、Fe、Co、MgO、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、α−酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム、ステンレス(スタバックス材)などやその合金を挙げることができる。型枠14の材質としては、型13の材質と同様の材質のものを用いることができる。
次に、上記で製造した型に、ポリマー樹脂の溶解液の塗布を行う。図5はポリマー樹脂塗布工程、充填工程の工程図を説明する図であり、型13の断面図である。ポリマー樹脂塗布工程は、具体的には、図5(a)に示すように、作製した型13の微小針に対応した凹凸パターンの形成された面に、ポリマー樹脂を溶解したポリマー溶解液16を塗布する。溶解液を塗布する方法としては、特に限定されず行うことができるが、ディスペンサーによる滴下による塗布方法が好ましく用いられ、バー塗布やスピン塗布、スプレーなどによる塗布方法も用いることができる。
本発明に用いることのできるポリマー樹脂の溶解液について説明する。
ポリマー溶解液に用いられる樹脂ポリマーの素材としては、生体適合性のある樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、グルコース、マルトース、プルランなどの糖類、ゼラチンなどのタンパク質、ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸共重合体などの生分解性ポリマーを使用することが好ましい。これらの中でもゼラチン系の素材は多くの基材と密着性をもち、ゲル化する材料としても強固なゲル強度を持つため、後述する剥離工程において、基材と密着させることができ、型から基材を用いて機能性膜を剥離することができるので、好適に利用することができる。濃度は材料によっても異なるが、溶解液中に樹脂ポリマーが10〜30%含まれる濃度とすることが好ましい。また、溶解に用いる溶媒は、温水以外であっても揮発性を有するものであればよく、メチルエチルケトン(MEK)、アルコールなどを用いることができる。そして、ポリマー樹脂の溶解液中には、用途に応じて体内に供給するための薬剤を共に溶解させることが可能である。
ポリマー樹脂の溶解液の粘度は、5Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2Pa・s以下とすることが好ましい。ポリマー樹脂の溶解液の粘度を上記範囲とすることにより、型の凹部に容易に溶解液を注入することが容易となる。
ポリマー溶解液の調整方法としては、水溶性の高分子(ゼラチンなど)を用いる場合は、水溶性粉体を水に溶解し、溶解後に薬品を添加することで製造することができる。水に溶解しにくい場合、加温して溶解してもよい。温度は高分子材料の種類により、適宜選択可能であるが、約60℃の温度で加温することが好ましい。また、熱で溶融する高分子(マルトースなど)を用いる場合は、原料と薬品を熱して溶融することで、製造することができる。加熱温度としては、原料が溶融する温度で行うことが好ましく、具体的には、約150℃である。
次に、図5(b)に示すように、ポリマー溶解液16を塗布した後、加圧流体によりポリマー溶解液16を型13側に加圧し、型13の凹部15先端までポリマー溶解液16を充填する。この充填工程は、図6に示す耐圧容器を用いて行うことが好ましい。
充填工程は、まず、図6に示す耐圧容器30内にポリマー樹脂の溶解液が塗布された型を設置する。そして、耐圧容器30内に加圧流体を導入することで、耐圧容器30内を加圧し、ポリマー溶解液16の型凹部15への充填が可能となる。
耐圧容器30は、耐圧容器本体31と蓋32から構成されている。耐圧容器30の材質は、一般的なSUS、ガラス、もしくはアクリルなどの樹脂製でも良い。容器の少なくとも一端から型13を出し入れすることが可能な開口部33を有する機構となっている。この型13を出し入れする開口部33は例えば、o−リングをはさむ等の方式により、蓋32で十分に密閉され、一定の圧力を一定時間保持できる機密性を備えている。また、容器の一端から流体を供給する注入口34と、容器開閉時に大気圧に戻すためにコック36が備えられた流体排出口35が設けられている。さらに、耐圧容器30内の圧力を精密に制御するために容器の一端に加圧計Pが取り付けられている。
また、注入口34は加圧流体が、型13内のポリマー溶解液16の液面に直接あたることがないような機構とし、必要に応じて邪魔板などを設けることも可能である。さらに、耐圧容器30には、ポリマー溶解液を所望の温度とするための、加温手段を設けることが好ましい。加温手段としては、図6に示すような加温ジャケット37のように耐圧容器本体31全体を加温する手段が好ましい。また、容器内にヒーター付のステージ40を設けてその上にポリマー溶解液を入れた型を設置することで、型のみを加温するシステムとすることも可能である。
耐圧容器内の加圧は、図6に示す、コンプレッサー38により、流体注入口34から流体を供給し、このとき、流体排出口35のコック36を閉じて流体を耐圧容器30内に充填させることにより、耐圧容器30内を加圧させる。加圧のために用いられる流体は、気体であっても液体であってもよい。加圧流体が気体の場合は、空気が一般的であるが、ポリマー溶解液16の溶媒に溶解しにくい気体、たとえばポリマー溶解液16の溶媒が水の場合は窒素などの気体が好ましく用いられる。液体を加圧流体として用いる場合は、ポリマー溶解液と同じ液体、または、樹脂ポリマーの溶解液と相溶性のない液体を用いることが好ましい。
また、加圧流体は必要に応じて加温することも可能である。加圧流体を加温することにより、ポリマー溶解液を加温し、溶解液の粘度を維持し、型凹部への充填を容易に行うことができる。
耐圧容器30内は、ポリマー溶解液の溶媒の蒸気で飽和させておくことが好ましい。飽和させておくことにより、ポリマー溶解液16の溶媒が蒸発することにより、ポリマー溶解液16の粘度が高くなり、流動性維持できなくなり、型13の凹部15の先端まで、ポリマー溶解液16が行かなくなることを防止することができる。また、耐圧容器30内を溶媒の蒸気で飽和させるため、耐圧容器30の底に溶媒39をはっておくことが好ましい。
充填工程におけるポリマー溶解液の温度は20℃以上100℃以下とすることが好ましく、より好ましくは30℃以上80℃以下、さらに好ましくは40℃以上60℃以下である。上記範囲の温度とすることにより、溶解液の粘度を低い状態で維持することができ、型凹部への充填を容易に行うことができる。
また、耐圧容器内の圧力は0.01MPa以上5MPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.05MPa以上1MPa以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1MPa以上0.5MPa以下であることが好ましい。また、加圧時間は5秒以上5000秒以下であることが好ましく、より好ましくは10秒以上1000秒以下、さらに好ましくは30秒以上300秒以下であることが好ましい。
また、図7に耐圧容器の別の態様を示す。図7に示す耐圧容器50は、耐圧容器50内を複数の仕切り板51で仕切り複数の段を形成し、ポリマー溶解液が塗布された型13を耐圧容器50内に同時に複数設置し、1回の加圧で複数の型13に同時に充填することが可能となる。この場合、加圧流体により、すべての型が加圧され、ポリマー溶解液が充填されるように、それぞれの段の通気性を良くする必要がある。そのため、仕切り板51にパンチングなどの加工を施すことが好ましい。
なお、上記は、ポリマー溶解液16を型13上に塗布した後に、耐圧容器30、50内に設置し、加圧する方法について説明したが、本発明においては、型13を耐圧容器30、50内に設置し、ポリマー樹脂塗布工程、充填工程を耐圧容器30、50内で行ってもよい。

続いて、ポリマー溶解液の乾燥工程を行う。具体的には、塗布されたポリマー溶解液に温風を吹付けることにより乾燥を行う。
乾燥方法としては、まず、10〜15℃の冷風を吹きつけ、表面をゲル化させた後、10〜20m/sの温風を吹き付ける。この温風は、除湿した温風が好ましく、例えば、40℃、相対湿度15%以下、より好ましくは10%以下であることが好ましい。
また、塗布されたポリマー溶解液16をゲル化させることにより、形状を縮小させ、型13からの剥離性を高めることができる。この場合は、低温度の冷風を流すことによりポリマー溶解液をゲル化させることができる。この時、完全にゲル化させるために、10〜15℃の冷風を上記の場合よりも長時間吹付け、この後、上記と同様に温風を吹き付ける。次に、乾燥させるために、高温の温風を流す際には、温風の温度が高すぎると、樹脂ポリマーを溶解した溶液におけるゲル化が戻ってしまったり、薬品によっては加熱により分解等により、効能が変化したりするため、吹きつける温風の温度には注意する必要がある。このように塗布されたポリマー溶解液を乾燥、あるいは、ポリマー溶解液をゲル化させた後乾燥させることにより、図8(a)に示すように固化し、樹脂ポリマー19となる。樹脂ポリマーが固化することにより、ポリマー溶解液を塗布した際の状態よりも縮小し、特に、ゲル化を行う場合は、顕著に縮小する。これにより、型13から樹脂ポリマー19の剥離が容易となる。また、この乾燥工程において、樹脂ポリマー19の水分量が低くなりすぎると剥離しにくくなるため、弾力性を維持している状態の水分量を残存させておくことが好ましい。具体的には、樹脂ポリマー19を構成する材料にも依存するが、10〜20%の水分量となったところで、乾燥を停止するか、若しくは、25℃、相対湿度40%程度の風を吹付けることが好ましい。
次に剥離工程を行う。具体的には、図8(b)に示すように、先のポリマー溶液乾燥工程において、型枠14内で乾燥し固化した樹脂ポリマー19の上に、粘着性の粘着層が形成されているシート状の基材であるPETシート20を付着させた後、端部よりPETシート20をめくるように剥離を行う。このようにして、図8(c)に示すようにマイクロニードルシート(樹脂ポリマー19)を製造することができる。また、樹脂ポリマー19に吸盤を設置し、エアーで吸引する方法を挙げることができる。
硬化した樹脂ポリマー19の凝集体を型13から剥離する剥離工程は、重要な工程である。通常、本実施の形態のように、アスペクト比の高い微小針の構造のものを型13から剥離する場合では、接触面積が大きいことから、強い応力がかかり、微小針が破壊され、型13から剥離されることなく型13の凹部15内に残存し、作製されるマイクロニードルシートは致命的な欠陥を有するものとなってしまう。この点を踏まえ、本実施の形態においては、型13を構成する材料を、剥離が非常にしやすい材料により構成することが好ましい。また、型13を構成する材料を弾性が高く柔らかい材料とすることにより、剥離する際における微小針にかかる応力を緩和することができる。
尚、樹脂ポリマー19の表面の微小針に残存している水分を蒸発させるために、剥離後に、再度乾燥した風を吹付ける場合もある。具体的には、梱包する直前において、樹脂ポリマー19内の水分量を10%以下、望ましくは5%以下とした後に梱包することが望ましい。
また、型は複数回利用することが可能であるから、剥離工程後の型を用いて、ポリマー溶液塗布工程、ポリマー溶液乾燥工程を繰り返すことにより、複数のマイクロニードルシートを短時間に複数作製することができる。尚、型は永久的に使用することができるものではないため、使用することができなくなった場合は、型作製工程を行うことにより作製可能である。
以下に、実施例により本発明の実質的な効果を説明する。
[実施例1]
≪型の作成≫
一辺40mmの平滑なCu板の一辺10mmの中央部に、ダイヤモンドバイトによる切削加工にて、底辺長160μm、高さ400μmの四角錐形状を、ピッチ460μmで三次元配列させて形成し、原盤を作成した。この原盤から、シリコーンゴム(信越シリコーン型取り用RTVゴム)にて反転した転写品を作製し、一辺10mmの中央部に四角錐孔を含む40mmの平面部外を切り落とし、厚みを5mmとしたものを型として用いた。
≪ポリマー溶解液の作成≫
ゼラチン(新田ゼラチン732)を水で溶解し、20%の水溶液に調液した。40℃で攪拌し、同温度で保温した。その時の粘度は300mPa・sであった。
≪型へのポリマー溶解液の塗布≫
一辺40mm、厚み3mmのシリコンシート(シンエツシリコンシートBAグレード)の一辺30mmの中心部をくりぬいた枠を、型のパターン部を中心として囲むように接着し、該枠内にポリマー溶解液をディスペンサーで3mL滴下した。
≪耐圧容器≫
内径150mm、高さ150mm、肉厚10mmのアクリルパイプに、パイプと同素材で、肉厚1mmの底板を溶接し、上部の開口部には、o−リング用の溝をきざんだ底板と同素材のフランジを取り付けた。フランジにボルト止めできる蓋を取り付け、蓋には2箇所の貫通孔を設け、片方にはコンプレッサーから空気を注入するための配管と、圧力計を取り付け、もう一方には内部の空気を排出するための弁を設置した。アクリルパイプの底部には、φ100mmで高さ50mmの足がついたステージを設置し、耐圧容器全体を加熱ジャケットで覆った。
≪ポリマー溶解液の型凹部内への充填工程≫
表面にポリマー樹脂の溶解液を塗布した型を耐圧容器内のステージ上に静かに設置し、フランジと蓋の間にo−リングをはさみ、ボルトで密封した。加熱ジャケットを用いず、室温(24℃)にて、コンプレッサーから耐圧容器内に空気を注入し、耐圧容器内圧力0.5MPaで30秒維持した。
≪乾燥工程≫
耐圧容器から型を取り出し、35℃に保持したオーブンで12時間乾燥を行った。
≪剥離工程≫
型から型枠を外し、粘着テープを乾燥した樹脂ポリマーに貼り付けて引き上げ、型から樹脂ポリマーを剥離した。
型と接していた面の樹脂ポリマーには、四角錐形状の三次元配列構造が形成されていた。
[実施例2]
実施例1において、ポリマー溶解液を型の凹部内に充填する工程を、耐圧容器内の底部に高さ40mmまで温水を張り、表面にポリマー樹脂の溶解液を塗布した型を耐圧容器内のステージ上に静かに設置し、フランジと蓋の間にo−リングをはさみ、ボルトで密封した。その後、加熱ジャケットを稼動し、耐圧容器内が40℃になったら、コンプレッサーから耐圧容器内に空気を注入し、耐圧容器内圧力0.5MPaで300秒維持した以外は実施例1と同様の方法により製造した。
[実施例3]
型を、実施例1と同様に加工した一辺40mmのシリコーンゴムの中央部の一辺10mmの部分に、四角錐孔を含むシリコーンゴムの転写品4枚を一辺80mm、厚み1mmのガラス板上に隙間無く並べ、シリコーンゴム同士、シリコーンゴムとガラスを接着剤で接着したものを用いた以外は実施例2と同様の方法により製造した。
[実施例4]
実施例1において、ポリマー樹脂の溶解液を型の凹部内に充填する工程を、加圧ジャケットを稼動し、耐圧容器内が40℃になったら、コンプレッサーから耐圧容器内に空気を注入し、耐圧容器内圧力0.5MPaで300秒維持した以外は実施例1と同様の方法により製造した。
[実施例5]
実施例1において、ポリマー樹脂の溶解液を型の凹部内に充填する工程を、耐圧容器内の底部に高さ40mmまで温水を張り、耐圧容器内圧力0.5MPaで300秒維持した以外は実施例1と同様の方法により製造した。
[比較例1]
実施例1において、ポリマー樹脂の溶解液を型の凹部内に充填する工程を、耐圧容器を用いず、型の枠部分をプレス装置で0.5MPaで30秒間加圧した。
[比較例2]
実施例1において、ポリマー溶解液にゼラチン(新田ゼラチン732)を水で溶解し、40%の水溶液に調整したものを使用した。40℃で攪拌し、同温度で保温した時の粘度は約10Pa・sであった。
[比較例3]
実施例3において、ポリマー樹脂の溶解液を型の凹部内に充填する工程を、耐圧容器を用いず、型の枠部分をプレス装置で0.5MPaで300秒間加圧した。
<評価>
結果を表1に示す。なお、表中の評価は以下の基準により行った。
(1)高アスペクト比構造の成型性
◎:全ての高アスペクト比構造の高さが350μm以上
○:80%以上の高アスペクト比構造の高さが350μm以上
△:50%以上の高アスペクト比構造の高さが350μm以上
×:50%以下の高アスペクト比構造の高さが350μm未満
(2)大面積転写安定性(4面つなぎ合わせ型限定(実施例2、比較例2))
◎:4面で全ての高アスペクト比構造の高さが350μm以上
○:3面で全ての高アスペクト比構造の高さが350μm以上、かつ、1面で80%以上の高アスペクト比構造の高さが350μm以上
△:3面で100%の高アスペクト比構造の高さが350μm以上、かつ、1面で80%以上の高アスペクト比構造の高さが350μm未満
×:0〜2面で100%の高アスペクト比構造の高さが350μm以上
(3)繰り返し耐久性
◎:充填工程を50回以上繰り返しても型が破壊しなかった
○:充填工程を30〜49回繰り返すと型が破壊した
△:充填工程を10〜29回繰り返すと型が破壊した
×:充填工程を10回繰り返す前に型が破壊した
Figure 0004885816
表1より、本発明の加圧流体を用いた充填工程を有する実施例1、2は、良好な孔アスペクト比構造を有する機能性膜を形成することができた。また、加圧流体により加圧しているため、型の劣化がなく、繰り返し耐久性も良好であった。
型の枠をプレスした比較例1、2は繰り返し耐久性が悪く、粘度の高い比較例3、耐圧容器内に温水を張らなかった比較例4、加温しなかった実施例5においては、ポリマー樹脂の溶解液の粘度が高く、高アスペクト比構造の成型が行えなかった。
マイクロニードルシートの角錐状の微小針の斜視図(a)および断面図(b)である。 マイクロニードルシートの円錐状の微小針の斜視図(a)および断面図(b)である。 型の製造方法の工程図である。 型枠を設けた型の正面図および斜視図である。 ポリマー樹脂塗布工程・充填工程の工程図である。 耐圧容器の正面図である。 耐圧容器の別の態様を示す正面図である。 マイクロニードルシートの剥離工程の工程図である。
符号の説明
11…原版、12…円錐または角錐の形状部、13…型、14…型枠、15…凹部、16…ポリマー溶解液、17…基板、19…樹脂ポリマー、20…PETシート、22…凸部(微小針)、30、50…耐圧容器、31…耐圧容器本体、32…蓋、33…開口部、34…注入口、35…排出口、36…コック、37…加温ジャケット、38…コンプレッサー、39…ポリマー溶解液の溶媒、40…ステージ、51…仕切り板

Claims (12)

  1. 高アスペクト比構造の微細な凸部アレイが形成された機能性膜を製造する方法において、
    表面に前記高アスペクト比構造が反転した微細な凹部アレイが形成された型を提供する型提供工程と、
    前記型に、機能性膜を形成するためのポリマー樹脂の溶解液を塗布するポリマー樹脂塗布工程と、
    前記塗布したポリマー樹脂の溶解液を加圧流体で加圧することによって、前記型上の前記凹部アレイに充填する充填工程と
    前記充填したポリマー樹脂の溶解液を乾燥・固化し、ポリマー樹脂の固化物を形成する乾燥工程と、
    前記型から前記形成した固化物を剥離する剥離工程と、を備えたことを特徴とする機能製膜の製造方法。
  2. 前記充填工程は、耐圧容器内で前記ポリマー樹脂の溶解液を、前記加圧流体により、0.01MPa以上5MPa以下の圧力を5秒以上5000秒以下で加圧することを特徴とする請求項1記載の機能性膜の製造方法。
  3. 前記ポリマー樹脂の溶解液の粘度が5Pa・s以下であることを特徴とする請求項1または2記載の機能性膜の製造方法。
  4. 前記ポリマー樹脂は、生体適合材料であることを特徴とする請求項1から3いずれか記載の機能性膜の製造方法。
  5. 前記生体適合材料が単糖類、多糖類、蛋白質、多価アルコール、または生分解性ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項4記載の機能性膜の製造方法。
  6. 前記充填工程において、前記耐圧容器内を前記溶解液の溶媒の蒸気で飽和させておくことを特徴とする請求項2から5いずれか記載の機能性膜の製造方法。
  7. 前記充填工程において、前記ポリマー樹脂の溶解液の温度が20℃以上100℃以下であることを特徴とする請求項1から6いずれか記載の機能性膜の製造方法。
  8. 高アスペクト比構造の微細な凸部アレイが形成された機能性膜の製造装置において、
    表面に前記高アスペクト比が反転した微細な凹部アレイが形成された型に、機能性膜を形成するためのポリマー樹脂の溶解液を塗布するポリマー樹脂塗布手段と、
    加圧流体の加圧によってポリマー樹脂の溶解液を、前記型上の前記凹部アレイに充填する充填手段と、
    前記ポリマー樹脂の溶解液を乾燥・固化し、ポリマー樹脂の固化物を形成する乾燥手段と、
    前記型から前記固化物を剥離する剥離手段と、を備えたことを特徴とする機能性膜の製造装置。
  9. 前記型は、前記型の側面周囲を囲む型枠を備え、該型と該型枠の段差が50μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項8記載の機能性膜の製造装置。
  10. 前記型が気体透過性素材であることを特徴とする請求項8または9記載の機能性膜の製造装置。
  11. 前記充填手段は、耐圧容器と該耐圧容器内に加圧流体を供給する流体供給装置とで構成され、前記耐圧容器は
    供給された加圧流体の供給口と、
    耐圧容器内の加圧流体を排出する排出口と、
    前記型を出し入れすることが可能な開口部と、
    前記開口部を密閉可能にシールすることが可能な蓋と、
    ポリマー樹脂の溶解液を加熱するための加熱手段と、を備えることを特徴とする請求項8から10いずれかに記載の機能性膜の製造装置。
  12. 前記耐圧容器内は、前記型と前記型枠を合わせた高さ以上の高さを有する複数の段に分けられ、かつ、それぞれの前記段同士で通気が可能であることを特徴とする請求項11記載の機能性膜の製造装置。
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