JP7037026B2 - 麻酔シリンジ本体用のキャップ及びアプリケータ - Google Patents

麻酔シリンジ本体用のキャップ及びアプリケータ Download PDF

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Description

本発明は、例えば歯科麻酔に使用されるアプリケータに使用して好適なものである。
近年、歯科治療の際に行われる麻酔としては、表面麻酔と局所麻酔(本麻酔)の2種類が一般的である(例えば特許文献1参照)。まず、表面麻酔によって粘膜や皮膚に麻酔薬剤を塗布又は噴霧して付着・浸透させ、その後、注射による局所麻酔が行われる。
国際公開 WO2011/1001676
しかしながら、局所麻酔のための注射には痛みと視覚的恐怖が伴うため、患者に精神的負担を与えてしまうという問題があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、患者の精神的
負担を緩和することができるアプリケータを提供するものである。
かかる課題を解決するため、本発明の麻酔シリンジ本体用のキャップは、
麻酔薬剤の入ったカートリッジをシリンジで押し出すことにより前記麻酔薬剤を押し出す麻酔シリンジ本体に対して取り付けられ、前記カートリッジ内に挿通される中空針と、
前記中空針が挿入されることにより前記中空針の先端に固定される固定部と、
前記中空針の先端に接続され、前記麻酔薬剤を広げる拡散空間と、
前記拡散空間から前記麻酔薬剤を排出する貫通孔が形成された複数のマイクロニードルとを有することを特徴とする。
また、本発明のアプリケータは、
麻酔薬剤の入ったカートリッジをシリンジで押し出すことにより前記麻酔薬剤を押し出す麻酔シリンジ本体に対して取り付けられ、前記カートリッジ内に挿通される中空針が挿入されることにより前記中空針の先端に固定される固定部と、
前記中空針の先端に接続され、前記麻酔薬剤を広げる拡散空間と、
前記拡散空間から前記麻酔薬剤を排出する貫通孔が形成された複数のマイクロニードルとを有することを特徴とする
本発明は、患者の精神的負担を緩和することができるアプリケータを実現できる。
第1の実施の形態におけるマイクロニードルパッチの構成を示す概略図である。 従来の麻酔用シリンジ本体の構成(1)を示す概略図である。 従来の麻酔用シリンジ本体の構成(2)を示す概略図である。 第2の実施の形態におけるマイクロニードルキャップの使用の説明に供する概略図である。 第2の実施の形態におけるマイクロニードルキャップの構成を示す概略図である。 第2の実施の形態におけるアプリケータの構成(1)を示す概略図である。 第2の実施の形態におけるアプリケータの構成(2)を示す概略図である。 第2の実施の形態におけるマイクロニードルキャップの変形例(1)を示す概略図である。 第2の実施の形態におけるマイクロニードルキャップの変形例(2)を示す概略図である。 第3の実施の形態におけるインジェクタの構成(1)を示す概略図である。 第3の実施の形態におけるインジェクタの構成(2)を示す概略図である。 第3の実施の形態におけるインジェクタの使用(1)の説明に供する概略図である。 第3の実施の形態におけるインジェクタの使用(2)の説明に供する概略図である。 第3の実施の形態におけるインジェクタの変形例を示す概略図である。
<第1の実施の形態>
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
本発明では、マイクロニードルを用いて麻酔を注入する際、生体吸収高分子を使用することが想定されている。生体吸収高分子の多くは水に溶解したり湿潤したりする特性をゆうしているため、長時間に亘って水性の麻酔薬剤と接触させることが困難である。そこで本発明では、使用する直前に麻酔薬剤と接触させてすぐに麻酔薬剤を麻酔対象箇所に注入する。
図1に示す1は、全体としてマイクロニードルシートを示している。このマイクロニードルパッチ1は、マイクロニードル3に麻酔薬剤を付着させ、麻酔をかけたい麻酔対象箇所に貼り付ける事が想定されている。
マイクロニードルパッチ1は、マイクロニードルアレイ2の表面側である表面2Aから突出する複数のマイクロニードル3が形成されている。なお、マイクロニードルパッチ1の大きさ及びマイクロニードル3の本数に制限はなく、患部の大きさに応じたサイズのマイクロニードルパッチ1が適宜選択されて使用されることが好ましい。
マイクロニードルアレイ2の裏側には、基材シートよりも大きいサイズの周縁シート5が貼り付けられている。周縁シート5は、マイクロニードルは形成されておらず、マイクロニードルパッチ1全体のサイズを大きくして取り扱いを容易にすると共に、麻酔の施術者が掴む場所を確保するために設けられている。
図1(B)及び(C)に示すように、マイクロニードルパッチ1の形状及びサイズに制限はなく、円形、半円、長方形、正方形など種々の形状が採用される。また、周縁シート5は、マイクロニードルアレイ2の全周囲に設けられる必要は無く、少なくとも一辺に設けられることが好ましい。周縁シート5がマイクロニードルアレイ2の周縁を形成しない箇所があることにより、周縁シート5のサイズや形状に拘わらず、施術者が麻酔をしたい箇所にマイクロニードル3の位置合わせをすることが容易になる。
マイクロニードルアレイ2の厚みとしては、特に制限はないが、10μm以上、300μm以下であることが好ましい。なお、周縁シート5をマイクロニードルアレイ2の周縁部として一体的に形成することも可能である。
マイクロニードル3としては、表面2Aから頂点までの針山高さが30~500μm程度であることが好ましい。30μmよりも小さいと、皮膚に対して十分な深度までマイクロニードル3の頂点が到達できず、500μm以上になると構造上の強度を十分に得ることが困難となるため、好ましくない。
また、図1ではマイクロニードル3に穴部や孔部は形成されていないが、マイクロニードル3に穴部や孔部(図示しない)を設けることにより、マイクロニードルアレイとしての表面積を大きくすることも可能である。穴部や孔部の半径としては、特に制限はないが、1μm以上、30μm以下であることが好ましい。半径が小さすぎると、穴部に皮膚辺を入り込ませることができず、半径が大きすぎると、マイクロニードル3として必要な物理的強度が保てなくなるため、好ましくない。
また、マイクロニードル3に孔部を形成する場合、麻酔薬剤との関係において毛細管現象を生じさせることにより、孔部に麻酔薬剤を充填させることができ、より多くの麻酔薬剤を麻酔対象箇所に塗布することが可能となる。また、ジェル状の麻酔薬剤を使用する場合には、孔部や穴部を大きめに形成することにより、より多くの麻酔薬剤を麻酔対象箇所に塗布することが可能となる。
マイクロニードルアレイ2及びマイクロニードル3の材料としては、人体に無害であり、整体に吸収される生体吸収材料が使用されることが好ましい。
生体吸収材料としては、1種類のみ含有しても良く、2種類以上混合しても良い。なお、この主成分の割合は、被加工物の全加工工程終了後の重量であり、微少突起の形成後の乾燥工程で意図して蒸発させる、いわゆる溶媒成分を含まない。すなわち、被加工物の加工終了後における割合である。
生体吸収高分子としては、既知の化合物(合成高分子及び天然高分子)を使用することができる。例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ-εカプロラクトン、ポリ-ρ-ジオキサン、ポリリンゴ酸などのエステル化合物、ポリ酸無水物などの酸無水物、ポリオルソエステルなどのオルソエステル化合物、ポリカーボネートなどのカーボネート化合物、ポリジアミノホスファゼンなどのホスファゼン化合物、合成ポリペプチドなどのペプチド化合物、ポリホスホエステルウレタンなどのリン酸エステル化合物、ポリシアノアクリレートなどの炭素-炭素化合物、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸、ポリリンゴ酸などのエステル化合物、ポリアミノ酸、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ペクチン酸、ガラクタン、デンプン、デキストラン、デキストリン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、セルロース化合物(エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ゼラチン、寒天、ケルトロール、レオザン、キサンタンガム、プルラン、アラビアゴムなどのグリコシド化合物(多糖類)、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、グルテン、血清アルブミンなどのペプチド化合物(ペプチド、タンパク質)、デオキシリボ核酸、リボ核酸などのリン酸エステル化合物(核酸)、ポリビニルアルコールなどのビニル化合物などが挙げられる。
マイクロニードルアレイ2及びマイクロニードル3の材料としては、同一のものを使用しても良く、別のものを使用しても良い。マイクロニードルアレイ2を削ったりなどしてマイクロニードル3を形成する場合には同一材料の物が使用され、マイクロニードルアレイ2の上にモールド成型などによってマイクロニードル3を形成する場合には、別材料又は同一材料が適宜選択される。
マイクロニードルパッチ1は、例えばマイクロニードルアレイ2に対する円偏向光渦レーザビームの照射や、モールド成型、エッチングやイオンミリングなどの各種方法が使用できる。マイクロニードル3が形成される。穴部や孔部を形成する場合には、マイクロニードル3の形成後に例えばレーザ照射やマイクロドリルによる微細孔加工などの手法によって穴部が形成される。
また、マイクロニードル3と穴部又は孔部とを同時に形成することもできる。例えば、穴部を有するマイクロニードルの転写パターンを有するモールド型を使用し、液状の高分子化合物を固化させることにより、マイクロニードルアレイ2を製造することができる。
また、穴部又は孔部をマイクロニードル3の頂点からオフセットさせて(ずらして)形成することにより、マイクロニードル3の高さを維持できると共に、マイクロニードル3における穴部又は孔部の先端から頂点までの領域が穴部又は孔部を保護する役割を果たすことが可能である。
さらに、図示しないが、マイクロニードル3の頂点からオフセットさせると共に、穴部又は孔部をオフセットした方向と反対方向に傾斜させても良い。これにより、傾斜分だけ穴部又は孔部内部の体積を増大させることができると共に、マイクロニードル3の表面から穴部又は孔部までの距離を極力大きくしてマイクロニードル3の物理的強度を保つことができる。
このようにして形成されたマイクロニードルパッチ1は、麻酔薬剤を付着させた状態でマイクロニードル3の頂点を麻酔対象箇所に刺すことにより使用される。
例えば、粘度の低い液状の麻酔薬剤であれば、小さな容器に封入された麻酔薬剤にマイクロニードルパッチ1の表面(マイクロニードル3が形成された側)を浸漬した後、指で周縁シート5をつかみ、マイクロニードルアレイ2を表面麻酔対象箇所に当接させ、マイクロニードルアレイ2全体を指で押し当てる。
また、粘度の高いジェル状の麻酔薬剤であれば、指でマイクロニードルアレイ2全体に麻酔薬剤を厚く載せた後、同様にして指で周縁シート5をつかみ、マイクロニードルアレイ2を表面麻酔対象箇所に当接させ、マイクロニードルアレイ2全体を指で押し当てる。
これにより、麻酔薬剤を歯茎内部に送り込むことができるため、麻酔の効果を迅速に発現させると共に、効果を高めることが可能となる。このため、これまで表面麻酔の効果がないような患者さんに表面麻酔を効果的にかけることができたり、その後に局所麻酔を行わなければならなかった施術を表面麻酔だけでできたりすることが可能となる。
また、患者からはマイクロニードル3が殆ど視認できず、針が細いため殆ど痛みも感じない。このため、患者の精神的、肉体的苦痛を著しく緩和することが可能となる。
なお、上述実施形態においては、マイクロニードルパッチ1を歯科麻酔に使用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば通常の皮膚内注射や筋肉注射などの前に、注射の痛みを緩和するために使用しても良い。この場合、周縁部に粘着剤を塗布することにより、麻酔対象箇所に固定することが可能となる。具体的には、周縁シート5の全面を粘着シートとし、マイクロニードルアレイ2を貼り付けることにより形成することができる。この場合、マイクロニードルアレイの周縁に満遍なく周縁部を設けることにより、マイクロニードルパッチを固定し易くできる。
また、上述実施形態においてはマイクロノードルアレイ2の周りに周縁部としての周縁シート5を有したが、周縁部は必ずしも必須ではない。また、マイクロニードルアレイ2の周縁にマイクロニードルを形成しないこと、すなわち中心部分にのみマイクロニードルを形成することにより周縁部を形成しても良い。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について、図2~図9を用いて説明する。第1の実施の形態とは、麻酔薬剤が局所麻酔専用の麻酔シリンジ本体を使用して行われる点が相違する。第1の実施の形態と対応する箇所に100を加算した符号を附し、同一箇所についての説明を省略する。
図2及び図3に、一般的に使用されている既知の麻酔シリンジ本体1000を示している。麻酔シリンジ本体1000は、ハンドル1001と、ハンドルに接続されたスライド式のシリンジ1002をシリンジケース1003の内部にスライド可能に収納する構成を有している。
シリンジケース1003には、麻酔薬剤の充填された使い捨てのカートリッジ1010が装填される。また、シリンジケース1003の先端には係止部1004が設けられており、使い捨てのキャップ1020が設置される。
キャップ1020は、キャップ本体部1021に中空針1022が挿通されている。中空針1022のうち、キャップ本体部1021の後側に突出する後針1022Bは、係止部1004を介してシリンジ1002の内部に挿通される。この結果、キャップ1020が装着された状態において、キャップ本体部1021からは前針1022Aが突出する状態となる。
施術者が麻酔対象箇所に前針1022Aを刺した状態でハンドル1001を押してシリンジ1002を先端側へ移動させると、カートリッジ1010内の麻酔薬剤が押し出され、中空針1022(前針1022A)の先端から麻酔対象箇所へ麻酔薬剤が注入される。
図4に示すように、本願発明人は、このキャップにマイクロニードルを適用することにより、従来の麻酔シリンジ本体にコンパチブルなマイクロニードルキャップ120を発明した。
図4に示すように、本発明のマイクロニードルキャップ120は、中空針122の挿通されたキャップ本体部121と、前針122Aを覆うアプリケータ保持部123と、アプリケータ保持部123の先端に保持されたアプリケータ130とを有している。
マイクロニードルキャップ120は、後針122Bを挿通した状態で根元側の固定部124を麻酔シリンジ本体1000の係止部1004に固定することにより麻酔シリンジ本体1000に固定される。
アプリケータ130は、中空針122及びシリンジ1002に対して約10~40度程度傾斜して設置されており、狭い口中空間において、アプリケータ130を歯茎部である麻酔対象箇所に当接し易く構成されている。また、アプリケータ本体135の周縁部はマイクロニードルアレイ102の表面102Aより突出しており、マイクロニードル103が深く刺さりすぎるのを防止することができる。
図5に示すように、アプリケータ130は、アプリケータ本体135の固定部(図示しない)がマイクロニードルアレイ102をしっかりと保持することにより、アプリケータ本体135の内面とマイクロニードルアレイ102の裏面132Bとで拡散空間136が形成されている。
マイクロニードルアレイ102の材料としてはは、特に限定されないが、例えばアルミニウムやステンレス合金などの金属、シリコン、カーボン、セラミック、カルシウム系鉱物を含む各種鉱物材料などの各種無機材料や、有機系の高分子化合物などを主成分として好適に使用することができる。マイクロニードルアレイ102及びマイクロニードル103の材料としては、人体に無害であり、生体に吸収される生体吸収材料が使用されることが特に好ましい。
生体吸収材料としては、第1の実施の形態で使用された生体吸収高分子材料の他に、カルシウムやカリウムなどの生体に無害な金属を原料とする金属材料及びセラミック材料などが好適に使用される。
本明細書において、高分子化合物とは、量平均分子量Mwが5000以上の有機化合物を意味する。主成分とは、高分子化合物が被加工物全体の50重量%以上であることを意味する。高分子化合物としては、Tg(ガラス転移点)が50℃以上、より好ましくは70℃以上であることが好ましい。Tgが低いと、常温での取り扱いがしづらくなるからである。
高分子化合物としては、1種類のみ含有しても良く、2種類以上混合しても良い。なお、この主成分の割合は、被加工物の全加工工程終了後の重量であり、微少突起の形成後の乾燥工程で意図して蒸発させる、いわゆる溶媒成分を含まない。すなわち、被加工物の加工終了後における割合である。
高分子化合物としては、既知の化合物(合成高分子及び天然高分子)を使用することができる。例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)や、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレンなど、種々のプラスチック材料の他、生体吸収高分子を使用することができる。
マイクロニードルアレイ102は、先端側となる表面102Aに複数のマイクロニードル103が形成されている。マイクロニードル103には、裏面102Bまで貫通する貫通孔104が形成されている。
また、アプリケータ本体135には、前針122Aが挿通されており、前針122Aの空洞と拡散空間136とが接続している。従って、拡散空間136は、前針122A及び貫通孔104を介して外側と接続されている以外は、密閉された密閉空間となる。
図7に示すように、施術者が麻酔対象箇所にマイクロニードル103を刺した状態でハンドル1001を押してシリンジ1002を先端側へ移動させると、カートリッジ1010内の麻酔薬剤が押し出され、中空針122(前針122A)の先端から拡散空間136へ麻酔対象箇所へ麻酔薬剤が注入される。そして麻酔薬剤は、中空針122から拡散空間136に麻薬薬剤が注入される圧力によって貫通孔104から排出され、麻酔対象箇所に注入される。
このように、マイクロニードルキャップ120は、従来の麻酔シリンジ本体に嵌合するため、施術者の使い勝手を大きく変えることなく、かつ患者に殆ど痛みを感じさせること無く麻酔を行うことができる。
なお、図8及び図9に示すように、アプリケータ130をキャップ本体部150に固着させることも可能である。この場合、中空針152は、その先端部152Aがキャップ本体部150の内部で折れ曲り、アプリケータ130の拡散空間136に接続される。
なお、上述実施形態では、歯科麻酔用のシリンジにマイクロニードルキャップを取り付けるようにしたが、本発明はこれに限らず、歯科麻酔以外の用途に使用することも可能である。例えば医療用途のシリンジにマイクロニードルキャップを取り付けることができる。また、中空針を取り替え可能な通常の注射器にマイクロニードルキャップ又はアプリケータを嵌めることにより、簡単にマイクロニードルによる注射施術が可能となる。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について、図10~図12を用いて説明する。第2の実施の形態とは、マイクロニードルアレイの裏側に設けられた拡散空間に麻酔薬剤を内包する麻酔カプセルを有する点が設けられている点が相違している。第2の実施の形態と対応する箇所に100を加算した符号を附し、同一箇所についての説明を省略する。
図10に示すように、インジェクタ230は、マイクロニードルアレイ202が固定具235に設置されると共に、該固定具235の裏側に麻酔薬剤を内包する麻酔カプセル241を覆うカバー部242が固着されている。すなわち、固定具235は、マイクロニードルアレイ202の裏側、すなわち固定具235の裏側面235Aと、カバー部242とで拡散空間236を形成している。
固定具235には、マイクロニードルアレイ202の貫通孔204と接続する貫通孔237が形成されており、拡散空間236と貫通孔237,204が連続的に接続している。カバー部242は、例えばゴムなどの可撓性のある膜状材質で形成されている。カバー部242の厚みに制限はないが、強度と可撓性との関係から好ましくは20~2mm程度である。
麻酔カプセル241は、薄い膜材料で麻酔薬剤を内包しており、比較的小さな衝撃で破裂するように形成されている。カバー部242の内側には、突起242Aが形成されている。
図11及び図12に示すように、施術者が麻酔対象箇所にマイクロニードル203を刺した状態でカバー部242を押すと、突起242Aによって麻酔カプセル241が破裂し、麻酔薬剤が拡散空間236内部に充満する。そして押された圧力によって拡散空間236内の麻酔薬剤は、貫通孔237,204を介して排出され、麻酔対象箇所に注入される。
このように、インジェクタ230では、麻酔薬剤をカプセル化し、施術直前に破裂させることにより、簡易な操作かつ短時間で麻酔薬剤を麻酔対象箇所に注入することができる。
なお、図14に示すように、固定具235は必須ではなく、マイクロニードルアレイ202に対してカバー部242を直接固着することも可能である。これにより、構成を簡易にすることができる。
なお、上述実施形態においては、インジェクタを歯科麻酔に使用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。全ての薬剤を注射に対するときの注射器の代替として使用可能であり、例えば、インシュリンなど、特に医者の手に掛からず患者自身で注射を打つ必要がある用途などに好適に使用される。
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
本発明の麻酔シリンジ本体用のキャップは、麻酔薬剤の入ったカートリッジ(カートリッジ1010)をシリンジ(シリンジ1002)で押し出すことにより前記麻酔薬剤を押し出す麻酔シリンジ本体(麻酔シリンジ本体1000)の先端に装着されるキャップ(マイクロニードルキャップ120)であって、
前記麻酔シリンジ本体に固定される固定部(固定部124)と、
前記カートリッジ内に挿通される中空針(中空針122)と、
前記中空針の先端に接続され、前記麻酔薬剤を広げる拡散空間(拡散空間136)と、
前記拡散空間から前記麻酔薬剤を排出する貫通孔(貫通孔104)が形成された複数のマイクロニードル(マイクロニードル103)とを有することを特徴とする。
これにより、すでに広く使用されている麻酔シリンジ本体に対してマイクロニードルの設置されたキャップを使用するだけで殆ど痛みの伴わないマイクロニードルを使った施術を行うことができる。また、既存の麻酔シリンジ本体を活用できると共に、施術者の使用感を近くすることができ、施術者に違和感なくマイクロニードルによる施術を行わせることができる。
また、麻酔シリンジ本体用のキャップにおいて前記拡散空間は、
前記マイクロニードルを有するマイクロニードルシート(マイクロニードルアレイ102)と、
前記マイクロニードルシートを保持し、前記中空針を固定するアプリケータ(アプリケータ130)とによって形成されていることを特徴とする。
これにより、アプリケータに対して平面からなるマイクロニードルシートをセットすればよく、簡易にアプリケータを作製することができる。
麻酔シリンジ本体用のキャップにおいて前記マイクロニードルシートは、
生体吸収材料で形成されており、シート基材と前記マイクロニードルとが一体的に形成されていることを特徴とする。
これにより、マイクロニードルの強度を担保することができる。
麻酔シリンジ本体用のキャップにおいて前記アプリケータは、
前記キャップの先端側から突出する中空針の先端に取り付けられていることを特徴とする。
これにより、麻酔用シリンジ本体といての使い勝手を殆ど変えることがないため、施術者にマイクロニードルへの変更に関する精神的負担を感じさせないで済む。
麻酔シリンジ本体用のキャップ前記アプリケータは、
前記キャップ本体に取り付けられていることを特徴とする。
これにより、
前記複数のマイクロニードルは、
前記中空針に対して傾斜して設置されている
本発明のインジェクタ(インジェクタ230)は、貫通孔が形成された複数のマイクロニードル(マイクロニードル203)を有するマイクロニードルアレイ(マイクロニードルアレイ202)と、
前記マイクロニードルアレイの裏側に配置され、注入液剤の入ったカプセル(麻酔カプセル241)と、
可撓性のあるシート状素材でなり、前記カプセルを覆って前記マイクロニードルアレイの裏側を密閉する密閉部(カバー部242)とを有することを特徴とする。
これにより、使用するときにカプセルを破壊して注入液剤を密閉部内に拡散することができるため、密閉部を押すだけの操作によって簡単に注入液剤を生体内に注入することができる。
インジェクタにおいて前記密閉部の内側には、
前記カプセルを破るための突起(突起242A)が設けられていることを特徴とする。
これにより、簡単にカプセルを破壊することができる。
本発明の表面麻酔薬剤の塗布方法において、複数のマイクロニードル(マイクロニードル3)が形成されたマイクロニードルシート(マイクロニードルアレイ2)の表面を表面麻酔薬剤に浸漬させた後、マイクロニードルシートの表面を麻酔をかけたい麻酔対象箇所に貼り付けることを特徴とする。
これにより、簡易な構成のマイクロニードルシートを用いて殆ど痛みのない麻酔施術が可能となる。
前記マイクロニードルシートには、
マイクロニードルの形成されていない周縁部が形成されていることを特徴とする。
これにより、施術者が周縁部を持つことができるため、施術者の指にマイクロニードルが刺さってしまうようなことがない。
表面麻酔薬剤の塗布方法において、前記マイクロニードルは、貫通孔又は穴部を有さないことを特徴とする。
これにより、マイクロニードルの製造を簡易にすることができる。
表面麻酔薬剤の塗布方法において、前記マイクロニードルは、
貫通孔又は穴部が形成されていることを特徴とする。
これにより、より多くの表面麻酔薬剤をマイクロニードルに付着させることができるため、表面麻酔薬剤の効果を増大させることができる。
表面麻酔薬剤の塗布方法において、前記貫通孔は、
前記表面麻酔薬剤を毛細管現象によって吸上げることを特徴とする。
これにより、より多くの表面麻酔薬剤をマイクロニードルに保持させて生体に注入することができるため、表面麻酔薬剤の効果を増大させることができる。
本発明は、例えば注射用途でのマイクロニードルに適用することができる。
1 :マイクロニードルパッチ
2,102,202:マイクロニードルアレイ
3,103,203:マイクロニードル
5 :周縁シート
120 :マイクロニードルキャップ
121 :キャップ本体部
122 :中空針
122A :前針
122B :後針
123 :アプリケータ保持部
124 :固定部
130 :アプリケータ
132B :裏面
135 :アプリケータ本体
136 :拡散空間
150 :キャップ本体部
152 :中空針
204 :貫通孔
230 :インジェクタ
235 :固定具
235A :裏側面
236 :拡散空間
237 :貫通孔
241 :麻酔カプセル
242 :カバー部
242A :突起
1000 :麻酔シリンジ本体
1001 :ハンドル
1002 :シリンジ
1003 :シリンジケース
1004 :係止部
1010 :カートリッジ
1020 :キャップ
1021 :キャップ本体部
1022 :中空針

Claims (2)

  1. 麻酔薬剤の入ったカートリッジをシリンジで押し出すことにより前記麻酔薬剤を押し出す麻酔シリンジ本体に対して取り付けられ、前記カートリッジ内に挿通される中空針と、
    前記中空針が挿入されることにより前記中空針の先端に固定される固定部と、
    前記中空針の先端に接続され、前記麻酔薬剤を広げる拡散空間と、
    前記拡散空間から前記麻酔薬剤を排出する貫通孔が形成された複数のマイクロニードルと
    を有することを特徴とする麻酔シリンジ本体用のキャップ
  2. 麻酔薬剤の入ったカートリッジをシリンジで押し出すことにより前記麻酔薬剤を押し出す麻酔シリンジ本体に対して取り付けられ、前記カートリッジ内に挿通される中空針
    が挿入されることにより前記中空針の先端に固定される固定部と、
    前記中空針の先端に接続され、前記麻酔薬剤を広げる拡散空間と、
    前記拡散空間から前記麻酔薬剤を排出する貫通孔が形成された複数のマイクロニードルと
    を有することを特徴とするアプリケータ。
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