JP4884762B2 - 熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体用洗浄剤 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体の洗浄に特化した洗浄剤に関するものである。
温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を有する熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体が知られており、特開昭55−154198号公報、特開平3−2089号公報、特開平5−124360号公報、特開平6−255247号公報などが知られている。これらの記録媒体は、一時的な画像表示が行なえ、不要となったときにはその画像の消去ができるので、シート状物などに加工して繰り返し使用できる記録媒体として用いられている。
通常これらの記録媒体は、熱可逆性発色組成物層の上面に保護層を設けた構成をしている。この保護層は、水溶性高分子や疎水性高分子化合物の水性エマルジョンを主体として形成された被膜や、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を主体として形成した被膜等を用いられている。
ところで、これらの記録媒体は繰り返し使用できることが特徴である一方、繰り返し使用しているうちに、前記保護層に汚れが付着する欠点があった。汚れが付着すると鮮明な記録ができなるし、特に汚れがひどくなるとサーマルヘッドなどの画像付与機器に悪影響を及ぼし、故障の原因となることがあった。
そこで、特開平07−112584の如き洗浄装置を通過させ、洗浄剤を用いて汚れを除去するのであるが、油性溶剤系の洗浄剤を用いると前記保護層を侵してしまい、前記記録媒体を使用不可能にする欠点があった。また、特開平4−80271号公報に記載があるような界面活性剤を配合した水性系洗浄剤を用いた場合でも、僅かなクラックから洗浄剤が浸入してしまうとひび割れ状に変色することがあり、前記記録媒体の寿命を著しく短縮してしまう欠点があった。
特開平4−80271号公報
そこで、本発明は保護層でオーバーコートされた熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体を侵すことのない専用の洗浄剤を提供することを目的としている。
前記課題を解決する為に、金属イオン封鎖剤、防腐剤、プロピレングリコール、水のみからなることを特徴とする熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体用洗浄剤を提供する。
本発明の洗浄液は、熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体の保護層を侵すことがなく、また、前記保護層に入った微細な亀裂から本発明の洗浄剤が浸入しても、熱可逆性発色組成物自体を侵すことがない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の洗浄剤は、金属イオン封鎖剤、防腐剤、プロピレングリコール、水のみを必須構成要件とし、界面活性剤、乳化剤、高分子脂肪酸、他の有機溶剤などを配合していない。
本発明洗浄剤に用いられる金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩、縮合リン酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、ニトリロ三酢酸塩、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン−N,N′,N″−トリアセテート、ジエチレントリアミンペンタ酢酸塩、トリエチレンテトラミン六酢酸塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシンなどを例示することができる。特に、エチレンジアミン四酢酸塩が好ましい。
これらの金属イオン封鎖剤は、1又は2以上を選択して使用でき、インキ全量に対して0.01〜20重量%程度を使用することができる。
本発明洗浄剤に用いられる防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンナトリウム塩、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンアルキルアミン塩、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾール−4‘−N−ドデシルベンゾールスルフォン酸などの防腐剤などを例示することができる。
これらの防腐剤は、1又は2以上混合して用いることができ、インキ全量に対して0.01〜20重量%程度を使用することができる。
他に本発明洗浄剤にはプロピレングリコールが用いられる。
プロピレングリコールは、表面張力を下げ、汚れとの親和力を向上させるために用いられ、インキ全量に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%程度を使用することができる。
また、本発明洗浄剤に用いられる溶剤は、水である。
水は特に限定されないが、不純物を除いたものが好ましく、蒸留水、ろ過水、純水が好ましく用いられ、インキ全量に対して30〜99.5重量%、好ましくは90〜99重量%程度を使用することができる。
本発明の洗浄剤は、通常無色透明であるが、他の溶剤と判別しやすくするために僅かに食用色素などを配合してもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 1.0重量%
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンナトリウム塩 0.5重量%
プロピレングリコール 1.0重量%
水 97.5重量%
以上の物質を混合し、保護層でオーバーコートされた熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体用の洗浄液を得た。
(実施例2)
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 1.0重量%
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンアルキルアミン 0.5重量%
プロピレングリコール 0.5重量%
水 98.0重量%
以上の物質を混合し、保護層でオーバーコートされた熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体用の洗浄液を得た。
(比較例1)
モノエタノールアミン 15.0重量%
メタケイ酸ナトリウム 3.0重量%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 5.0重量%
エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム 2.0重量%
第2級アルカンスルホネート 1.7重量%
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンアルキルアミン 0.5重量%
水 73.3重量%
以上の物質を混合して、特開平4−80271号の実施例3の洗浄液を得た。
(消去性試験)
特開平07−112584の如き洗浄装置に、本実施例及び比較例の洗浄液を水槽に入れ、保護層でオーバーコートされた熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体を100回通過させたときの記録媒体の様子を観察した。
<評価> ○:変化なし。 ×:ひび割れ状に黒ずんだ。
以下、試験結果を表にする。
(表1)
┌──────┬─────┐
│ |消去性試験|
├──────┼─────┤
| 実施例1 | ○ |
├──────┼─────┤
| 実施例2 | ○ |
├──────┼─────┤
| 比較例1 | × |
└──────┴─────┘

Claims (1)

  1. 金属イオン封鎖剤、防腐剤、プロピレングリコール、水のみからなることを特徴とする熱可逆性発色組成物を用いた記録媒体用洗浄剤。
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