JP4883853B2 - 月経困難症抑制組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、月経困難症抑制組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
月経に伴う愁訴(月経随伴症)として月経困難症と月経前症候群が挙げられる。月経随伴症は、症状により分類すると、その態様により、身体的症状、精神的症状および社会的症状の3つに大別されるが、月経困難症と月経前症候群では症状発現時期と症状消失時期が全く異なり、両者は明確に異なる症状であると理解されている。
【0003】
月経困難症とは、月経開始と同時に、あるいは月経開始の直前から生じる、月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状であり、「下腹部痛」、「腰痛」を中心に「腹部膨満感」、「嘔気」、「頭痛」、「疲労・脱力感」、「食欲不振」、「いらいら」、および「下痢」などの身体的症状が主にみられる。
【0004】
一方、月経前症候群は、月経開始の3〜10日前から始まる病的症状であり、月経開始と共に消失するものと定義されている。症状は極めて多様であるが、主として「怒りやすい」、「心配」、「無気力」、「憂鬱」、「易疲労」、「集中力の低下」などの精神的症状や、「仕事を休む」、「他人への依存」、「性の忌避・拒絶」などの社会的症状がみられる。
【0005】
月経前症候群(月経前)と月経困難症(月経中)の症状には一部類似するものも存在するが、前者においては精神的な症状が、後者においては身体的な症状が特徴的に認められ、その主たる症状の点からも月経困難症と月経前症候群とは異なる。月経前症候群に対しては、通常、利尿剤、塩化アンモニウム、ビタミンB6 、トランキライザー等の薬物が使用され、月経困難症に対しては、「下腹部痛」、「腰痛」などの身体的症状が主たる症状であることから、消炎、鎮痛、解熱の3つの作用を有する非ステロイド系抗炎症薬が用いられる。現在のところ、薬剤としては、月経困難症には一般にジクロフェナクナトリウムが、中でも月経痛にはアスピリン末などが処方されている。また、月経痛には一般に市販の解熱鎮痛剤が使用される。しかし、これらの薬剤は月経困難症あるいは月経痛に対して保険適用のあるものは少なく、薬剤に対する副作用などの不安感、体質における薬との相性などの問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、月経随伴症の中でも効果的に月経困難症を抑制することができる、安全かつ簡便に使用可能な月経困難症抑制組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、緑茶に多く含まれているアミノ酸の一種、テアニンが上記課題の解決に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
〔1〕 テアニンを含有することを特徴とする月経困難症の症状抑制剤、ならびに
〔2〕 下腹部痛、腰痛および腹部膨満感からなる群より選ばれる少なくとも1種を抑制するための前記〔1〕記載の月経困難症の症状抑制剤、
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の月経困難症抑制組成物(以下、組成物という)はテアニンを含有することを1つの特徴とするものである。当該組成物によれば、効果的に月経困難症を抑制することができる。また、月経困難症の症状の中でも、特に下腹部痛、腰痛および腹部膨満感からなる群より選ばれる少なくとも1種の抑制に有効であり、本発明の好適な態様として、それらの症状を抑制するための組成物を提供する。従って、たとえば、月経困難症を訴える個体は、体調が改善され、ひいては日常生活の改善を感ずることができる。また、当該組成物は、従来の薬物に見られるような副作用の発生の心配がなく、安全かつ簡便に使用することができ、日常的な使用も可能である。
【0010】
テアニンの月経困難症抑制作用は、本発明において初めて見出されたものであって、公知のテアニンの有するいずれの作用からも予測され得ないものである。すなわち、本発明は、テアニンが意外にも月経困難症(特に身体的症状)の抑制に対し優れた効果を有することを見出したことによるものであり、本発明の組成物の所望の効果の発現は、かかる組成物に含有されるテアニンの月経困難症抑制作用に基づくものである。
【0011】
なお、本明細書において「月経困難症抑制」とは、月経困難症の症状の発現を抑えおよび/または相殺し、緩和、軽減、改善等することをいい、広義には月経困難症の予防、治療を含む。また、「月経困難症」は機能性月経困難症(原発月経困難症)と器質性月経困難症(続発月経困難症)とに分類されるが、本明細書において「月経困難症」とは両方の型の月経困難症を含み、その他一般に月経困難症と判断されるあらゆる症状をいう。
【0012】
本発明に用いられるテアニンとは、グルタミン酸の誘導体(γ−グルタミルエチルアミド)であり、天然には茶葉に多く含まれるアミノ酸成分である。
【0013】
なお、本発明に用いるテアニンの月経困難症抑制作用の発現は、たとえば、後述の試験例1(月経困難症抑制試験1)に従って評価することができる。すなわち、テアニンを摂取した場合とテアニンを摂取していない場合とを比較して、月経困難症の軽減効果等を確認することにより、テアニンの月経困難症抑制作用の発現を評価することができる。
【0014】
当該テアニンは茶の旨味の主成分であって、呈味を用途とする食品添加物として使用されている。本発明に用いられるテアニンの製造法としては、茶葉から抽出する方法、有機合成による方法〔Chem.Pharm.Bull.,19(7)1301−1307(1971)〕、グルタミンとエチルアミンの混合物にグルタミナーゼを作用させてテアニンを得る方法(特表平7−55154号公報)、エチルアミンを含有する培地で茶の培養細胞群を培養し、培養細胞群中のテアニン蓄積量を増加させつつ培養細胞群の増殖促進を図る方法(特開平5−123166号公報)、また、特表平7−55154号公報、特開平5−123166号公報におけるエチルアミンをエチルアミン塩酸塩などのエチルアミン誘導体に置き換えてテアニンを得る方法等があり、いずれの方法でも良い。なお、ここでいう茶葉には、緑茶葉、ウーロン茶葉、紅茶葉等が挙げられる。
【0015】
テアニンは、L−体、D−体、DL−体いずれも使用可能であるが、中でもL−体は、食品添加物にも認められており、経済的にも利用しやすいため、本発明においては、L−体が好ましい。
【0016】
また、本発明に用いるテアニンの形態としては、精製品、粗精製品、抽出エキス等、いずれの形態でも良く、市販品〔サンテアニン(登録商標)、太陽化学(株)製〕を用いてもよい。
【0017】
本発明の組成物におけるテアニンの含有量は特に限定されるものではなく、所望により適宜調整すればよい。たとえば、組成物中における好適なテアニン含有量は、本発明の所望の効果の発現の観点から、好ましくは0.00025〜100重量%、より好ましくは0.005〜100重量%、さらに好ましくは0.05〜100重量%である。
【0018】
本発明の組成物には、さらに各種ミネラルを含有させてもよい。当該ミネラルとしては、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、セレン、カルシウム、カリウム、マンガン、クロム、ヨウ素、モリブデン、ニッケル、バナジウム等、生体の恒常性の維持、調節のために必須の金属類またはこれらの金属塩類を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上混合して用いることができる。また、本発明の組成物におけるミネラルの含有量としては、たとえば、0.0001〜99.9重量%が好ましく、0.01〜99.9重量%がより好ましい。
【0019】
また、生薬、ハーブ、アミノ酸、ビタミン、その他食品に許容される素材・原料を共に含有させてもよい。それらは単独でもしくは2種以上混合して用いることができる。
【0020】
生薬としては特に限定されるものではないが、たとえば、女性のホルモンバランスの調節に有効な、カノコソウ、当帰、芍薬、牡丹、高麗人参などが好適である。その形態としては特に限定はなく、抽出物、乾燥品等いずれでもよい。
【0021】
前記ハーブとしては特に限定されるものではなく、たとえば、アニス、キャロットシード、クローブ、コリアンダー、サイプレス、シナモン、ジュニパー、ジンジャー、スイートオレンジ、パインニードル、バジル、パチュリ、ビターオレンジ、フェンネル、ブラックペッパー、ベイ、ペパーミント、ベルガモット、マンダリン、ミルラ、レモングラス、ローズマリー、グレープフルーツ、シダーウッド、シトロネラ、セージ、タイム、ティートゥリー、バイオレットリーフ、バニラ、ヒソップ、ユーカリ、ライム、レモン、イランイラン、カルダモン、クラリセージ、ジャスミン、ゼラニウム、カモミール、ブルガリアローズ、ローズ、オリバナム、ラベンダー、カミツレ、ゼラニウム、サンダルウッドネロリ、バーベナ、プチグレン、ベチバー、マージョラム、メリッサ、ローズウッド、オトギリソウ、セイントジョーンズワート、カワカワ等が挙げられる。中でも、鎮静効果、リラックス効果を有するペパーミント、ベルガモット、イランイラン、ゼラニウム、カモミール、ラベンダー、セイントジョーンズワート、カワカワが好ましい。その形態としては、たとえば、抽出エキス、精油、ハーブティー等が挙げられ、特に限定されるものではない。
【0022】
アミノ酸も特に限定されるものではない。たとえば、グルタミン、グルタミン酸、イノシン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、スレオニン、セリン、γ−アミノ酪酸、タウリン、チオタウリン、ヒポタウリン等が挙げられる。アミノ酸は、L−体、D−体、DL−体いずれも使用可能であり、それらの塩であってもよい。
【0023】
ビタミンとしては、たとえば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、ニコチン酸、リポ酸、パントテン酸、ビオチン、ユビキノン、プロスタグランジン等が挙げられ、これらのビタミンの誘導体も含まれるが、これらのみに限定されるものではない。
【0024】
その他食品に許容される素材・原料としては、たとえば、アロエ、ローヤルゼリー、メラトニン、プラセンタ、プロポリス、イソフラボン、大豆レシチン、卵黄レシチン、卵黄油、コンドロイチン、カカオマス、コラーゲン、酢、クロレラ、スピルリナ、イチョウ葉、緑茶、杜仲茶、黄妃茶、ウーロン茶、桑の葉、甜茶、バナバ茶、不飽和脂肪酸、オリゴ糖等の糖類、ビフィズス菌、紅麹等の菌類、アガリクス茸、姫マツタケ、霊芝、マイタケ等のキノコ類、ブルーベリー、プルーン、ブドウ、オリーブ、うめ、柑橘類等の果実類、落花生、アーモンド、ゴマ、胡椒等の種実類、ピーマン、唐辛子、ネギ、カボチャ、ウリ、人参、ゴボウ、モロヘイヤ、ニンニク、シソ、ワサビ、トマト、らっきょ、葉菜、芋、豆等の野菜類、ワカメ等の海草類、魚介類、獣鳥鯨肉類、穀類等、あるいはそれらの抽出物、乾燥品、粗精製品、精製品、加工品、醸造品等が挙げられる。
【0025】
また、本発明の組成物としては、日常の使用に適するという観点から、食品組成物または医薬組成物が好ましい。
【0026】
本発明における食品組成物としては、テアニンを含有してなる食品のみならず、テアニンを含有してなる食品添加物も含まれる。
【0027】
本発明に包含される前記食品としては、乾燥食品、サプリメント等の固形食品、また、清涼飲料やミネラルウォーター、嗜好飲料、アルコール飲料等の液状食品を挙げることができる。その製品形態も特に限定されるものではなく、たとえば、溶液、懸濁物、粉末、固形物等の形態が挙げられ、経口摂取可能である形態が好適である。
【0028】
固形食品としては特に限定されるものではないが、詳しくは、たとえば、調味料、練り製品、大豆加工品、ムース、ゼリー、ヨーグルト、冷菓、飴、チョコレート、ガム、クラッカー、ビスケット、クッキー、ケーキ、パン、粉末スープ、粉末コーヒー、粉末ココア等が挙げられる。また、液状食品としては特に限定されるものではないが、詳しくは、たとえば、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ハーブティー等の茶類、濃縮果汁、果実ミックスジュース、果実・野菜ミックスジュース、果汁入り飲料等のジュース、ミネラルウォーター、炭酸飲料、清涼飲料、牛乳、乳飲料、日本酒、ビール、ワイン、カクテル、焼酎、ウイスキー等が挙げられる。
【0029】
また、本発明の医薬組成物としては、テアニンを含有してなるものであれば特に限定されるものではない。たとえば、その形態としては、溶液、懸濁物、粉末、固体成型物等のいずれでもよく、その剤型としては、錠剤、カプセル、粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤等が挙げられる。また、他の医薬品とも併用することができる。
【0030】
本発明の組成物の製法は特に限定されるものではなく、たとえば、テアニンと他の原材料を粉体混合する製法、溶媒中にテアニンと他の原材料を溶かし混合溶液とする製法、またその混合溶液を凍結乾燥する製法、噴霧乾燥する製法等、一般的な食品または医薬品の製法を適用することができる。本発明の組成物を製造する際に用いることができるテアニン以外の成分は、テアニンによる所望の効果の発現が阻害されないかぎり、適宜所望の用途に合わせて選択することができる。
【0031】
たとえば、既存の食品に対し、製造後の本発明の食品組成物におけるテアニンの含有量が、好ましくは、前記組成物中における好適なテアニンの含有量範囲内となるように、テアニンを常法により配合することにより本発明の食品組成物を製造することができる。また、テアニンを、たとえば、公知の経口投与に適した有機または無機の担体、賦形剤、結合剤、安定剤等と、食品組成物の製造の場合と同様、好ましくは前記好適なテアニンの含有量範囲内となるように、テアニンを常法により配合することにより医薬組成物を製造することができる。従って、 本発明はまた、その一態様として、月経困難症抑制用の食品組成物または医薬組成物の製造のためのテアニンの使用を提供する。
【0032】
さらに本発明の一態様として、テアニンを個体に投与する月経困難症の抑制方法を提供する。かかる方法によれば、副作用の発生の心配なく安全に、しかも効果的に当該個体の月経困難症を抑制することができる。なお、「個体」とは、たとえば、哺乳動物が挙げられ、具体的には、ヒト、ウマ、イヌ等を挙げることができるが、中でも本方法はヒトに対し好適に用いられる。
【0033】
本態様において、本発明の所望の効果を得るためのテアニンの有効投与量としては一般には、たとえば、ヒトの場合、成人1日当たり0.2〜200mg/kg体重が好ましく、0.5〜50mg/kg体重がより好ましい。ただし、各個体においては、個体差(症状の種類や程度、年齢等)があるため、本発明におけるテアニンの投与量はかかる範囲のみに限定されるものではない。本発明の所望の効果が得られるよう、個別具体的に投与量を適宜調節すればよい。
【0034】
テアニンの投与は、テアニンそのものを用いて、または、本発明の組成物、好ましくは食品組成物または医薬組成物を用いて行えばよい。また、投与方法、投与回数、投与期間等も特に限定されるものではなく、前記個体、好ましくは、ヒトに対し、たとえば、1回でまたは複数回に分けて、好ましくは経口投与により、テアニンを前記有効投与量範囲で投与すればよい。テアニンもしくは本発明の組成物を、日常的に投与することにより予防効果を得ることも可能である。
【0035】
本発明に用いられるテアニンの安全性は高く、たとえば、マウスを用いた急性毒性試験において5g/kg体重での経口投与で死亡例はなく、一般状態および体重等にも異常は認められない。また、前記するように、特にL−テアニンは呈味を用途とする食品添加物としても使用され、食品衛生法上、その添加量に制限はない。しかも、従来の薬物と異なり、テアニンによる副作用は全く認められないので、本発明の組成物によれば、安全かつ効果的に月経困難症の抑制を図ることができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例および試験例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は当該実施例および試験例のみに限定されるものではない。
【0037】
製造例1 酵素法によるテアニンの製造
グルタミン21.9gおよび塩酸エチルアミン28.5gを0.05M ホウ酸緩衝液(pH9.5)0.5L中、0.3U グルタミナーゼ〔天野製薬(株)製〕にて30℃、22時間反応させた。次いで、反応液をDowex 50×8およびDowex 1×2〔共に室町化学工業(株)製〕を用いるカラムクロマトグラフィーにかけ、これをエタノール処理することにより、反応液から目的物質を単離した。
【0038】
当該物質のL−テアニンとの確認は、この単離物質をアミノ酸アナライザーおよびペーパークロマトグラフィーにかけ、標準物質と同じ挙動を示すことを確認することにより行った。塩酸またはグルタミナーゼで加水分解処理を行うと、1:1(モル比)の割合でグルタミン酸とエチルアミンを生じた。このように、単離物質がグルタミナーゼによって加水分解されたことから、エチルアミンがグルタミン酸のγ位に結合していたことが示される。また、加水分解で生じたグルタミン酸がL−体であることも、グルタミン酸デヒドロゲナーゼにより確認した。以上より、8.5gのL−テアニンが得られた。
【0039】
製造例2 テアニンの茶葉からの抽出
茶(Camellia sinensis)葉10kgを熱水で抽出後、カチオン交換樹脂〔室町化学工業(株)製 Dowex HCR W−2〕に通し、1N NaOHにより溶出した。溶出画分を活性炭〔二村化学工業(株)製 太閤活性炭 SG〕に通し、15%エタノールによる溶出画分をRO膜 〔日東電工(株)製 NTR 729 HF〕を用いて濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、更に再結晶を行い、L−テアニン24.8gを製造した。
【0040】
なお、以下における各組成物の製造にはL−テアニン〔商品名:サンテアニン、太陽化学(株)製〕を用いた。
【0041】
実施例1 テアニン配合錠剤の製造
本発明の組成物の1 例として、次に示す原料を混合後打錠し、テアニン配合錠剤を製造した。
【0042】
すなわち、上記配合に従って各原料を混合し、造粒後に、1粒0.75gとなるように打錠した。
【0043】
比較例1 対照錠剤の製造
次に示す原料を混合後打錠して、対照錠剤を製造した。
【0044】
すなわち、上記配合に従って各原料を混合し、造粒後に、1粒0.75gとなるように打錠した。
【0045】
実施例2 テアニン配合キャンディーの製造
本発明の組成物の1例として、次に示す原料を用いてテアニン配合キャンディーを製造した。
【0046】
グラニュ糖を水20kgに溶解しながら110℃まで加熱し、L−テアニンを溶解した残りの水10kgと水飴を加えて、145℃まで温度を上げた。火を止め、50%酒石酸を添加して混合した。75〜80℃まで冷却し、成形ローラーで成形し、テアニン配合キャンディーを製造した。なお、キャンディー中のL−テアニンの含量を測定した結果、含量は1個1.2gで89.6mg/gであった。
【0047】
実施例3 テアニン配合ブルーベリー飲料の製造
本発明の組成物の1例として、次に示す原料を用いてテアニン配合ブルーベリー飲料を製造した。
【0048】
果糖ブドウ糖、ブルーベリー濃縮果汁、1/5 透明レモン果汁、クエン酸NaおよびL−テアニンを水に加え、攪拌して溶解した。50%クエン酸Na(結晶)を用いpH3.1に調製し、95℃まで昇温後、香料を加え、1缶当たりに100mLづつ充填して冷却し、テアニン配合ブルーベリー飲料を製造した。なお、該ブルーベリー飲料中のL−テアニンの含量を測定した結果、含量は98.3mg/100mLであった。
【0049】
実施例4 テアニン配合グレープフルーツ飲料の製造
本発明の組成物の1例として、次に示す原料を用いてテアニン配合グレープフルーツ飲料を製造した。
【0050】
果糖ブドウ糖液、L−テアニン、ピロリン酸第二鉄、プラセンタエキスおよびグレープフルーツ果汁100%を水に加え、攪拌して溶解した。クエン酸Naを用いpH3.1に調製し、95℃まで昇温後、香料を加え、1缶当たりに100mLづつ充填して冷却し、テアニン配合グレープフルーツ飲料を製造した。なお、該グレープフルーツ飲料中のL−テアニンの含量を測定した結果、含量は96.4mg/100mLであった。
【0051】
試験例1 月経困難症抑制試験1
女性70名を対象にアンケートを行い月経困難症の症状を訴えている20名を選定し、さらにその中より月経が安定しており薬の服用がない7名(平均年齢:21.6歳、平均体重:49kg)を対象にして月経困難症抑制試験を行った。
月経困難症の指標として用いた愁訴項目は、下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、いらいら、下痢および憂鬱とした。被験者はPMSメモリー(社団法人 日本家族計画協会発行)により日付、月経周期、経血量、基礎体重、基礎体温、症状およびその程度、出来事などを記録した。試験はダブルブラインドによるクロスオーバー法により実施した。試験期間は3月経周期とし、1月経周期目は予備調査としてブランク区、2および3月経周期目は試験区として実施例1で製造したテアニン配合錠剤または比較例1で製造した対照錠剤を摂取させた。錠剤は午前10時と午後4時に被験者1人当たりそれぞれ1錠ずつ1日に2回毎日摂取させた。試験中は、毎日、身体的症状、精神的症状、社会的症状に分け被験者に細かく記録させた。なお、各症状は、その程度を以下の評価基準に従って点数付けし、スコア−化して記録させた。
【0052】
(評価基準)
1点:少しあるが日常生活に影響なし
2点:日常生活に影響する程度にある
3点:はげしい
【0053】
試験終了後、PMSメモリーを回収して調査を行い、月経期間中について解析した。
【0054】
ブランク区での前記各愁訴項目について愁訴する被験者の人数を図1のグラフに示す。下腹部痛、腰痛および腹部膨満感の愁訴を持つ被験者が多いことが分かる。
【0055】
比較例1の対照錠剤および実施例1のテアニン配合錠剤を摂取した各場合での月経期間中における各症状のスコアーを各被験者において合計した。各被験者の数値をStudent paired t-test により検定を行った結果を図2に示す。テアニン配合錠剤を摂取した場合、対照錠剤を摂取した場合に比較し、スコアーが有意(p<0.05)に減少していることが確認され、月経困難症の症状が軽減された。
【0056】
試験例2 月経困難症抑制試験2
月経困難症の症状を訴えている女性12名(平均年齢:23.5歳、平均体重:51kg)を対象に、実施例2で製造したテアニン配合キャンディー、実施例3で製造したテアニン配合ブルーベリー飲料および実施例4で製造したテアニン配合グレープフルーツ飲料を用いて月経困難症抑制試験を行った。被験者はキャンディーは食後に1粒(合計3粒/日)、飲料は食後に1本(合計3本/日)摂取した。月経困難症の軽減効果は、(1)月経困難症の症状が軽減されたか否か、および(2)日常生活が改善されたか否かについて、その程度により4段階の選択肢からなるアンケートにより評価した。
【0057】
(アンケ−ト集計結果)
前記(1)に基づく月経困難症の症状の軽減効果の結果を図3に示す。実施例2で製造したテアニン配合キャンディーを摂取した場合には12人中11人に効果が認められ、実施例3で製造したテアニン配合ブルーベリー飲料および実施例4で製造したテアニン配合グレープフルーツ飲料を摂取した場合には全員で効果が認められた。
【0058】
前記(2)に基づく日常生活の改善効果の結果を図4に示す。実施例2で製造したテアニン配合キャンディーを摂取した場合には12人中8人に効果が認められ、実施例3で製造したテアニン配合ブルーベリー飲料を摂取した場合には12人中11人に、また実施例4で製造したテアニン配合グレープフルーツ飲料を摂取した場合には12人中9人に効果が認められた。
【0059】
以上より、テアニンを配合した本発明の組成物を摂取することにより月経困難症の抑制効果が得られることが分かる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、安全かつ簡便に使用可能な月経困難症抑制組成物が提供され、効果的に月経困難症を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、月経困難症抑制試験1におけるブランク区での、各愁訴項目について愁訴する被験者の人数を示すグラフである。
【図2】図2は、月経困難症抑制試験1においてテアニン配合錠剤と対照錠剤を各々摂取した場合の、月経期間中における月経困難症の症状のスコアーの比較を示すグラフである。
【図3】図3は、月経困難症抑制試験2においてテアニン配合食品および飲料を摂取した場合の月経困難症の症状の軽減効果を示す円グラフである。なお、グラフにおける数字は被験者の人数を示す。
【図4】図4は、月経困難症抑制試験2においてテアニン配合食品および飲料を摂取した場合の日常生活の改善効果を示す円グラフである。なお、グラフにおける数字は被験者の人数を示す。
Claims (2)
- テアニンを含有することを特徴とする月経困難症の症状抑制剤。
- 下腹部痛、腰痛および腹部膨満感からなる群より選ばれる少なくとも1種を抑制するための請求項1記載の月経困難症の症状抑制剤。
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