以下では図面を参照しつつ本発明の実施形態について、
1.インクジェットプリンタの構成
2.位置決め用アダプタ、該位置決め用アダプタの取付部、および記録媒体搬送用トレイの構成
3.第1排紙従動ローラの光ディスクへの接触防止手段
4.記録媒体搬送用トレイの引っ掛かり防止手段
の順に説明する。
<1.インクジェットプリンタの構成>
以下、図1乃至図3を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と略称する)1の構成について概説する。ここで、図1はプリンタ1の外観斜視図、図2はプリンタ1の側断面概略図(図2は給紙装置5から第2排紙ローラ27までの紙経路)、図3はアダプタ50の側面図(第1排紙従動ローラ30からアダプタ50までの紙経路)である。
先ず、プリンタ1は、外観視において図1に示す様にプリンタ本体1aの前方側に用紙排出口1bを有し、該用紙排出口1bに排紙スタッカ4が、用紙スタック面4a(図14も参照)をやや傾斜面とした状態で取り付けられている。用紙排出口1bには、後に詳述する位置決め用アダプタ(以下「アダプタ」と略称する)50が着脱自在に取り付けられ、また、該アダプタ50には、記録媒体搬送用トレイ(以下「トレイ」と略称する)70が差し込まれる様になっていて、トレイ70が、アダプタ50によって支持され且つ給紙および排紙の際の桁方向位置が規制される様になっている。尚、トレイ70は、コンパクトディスクに代表される光ディスクをセットする為のものであり、トレイ70に光ディスクをセットすることにより、当該光ディスクのラベル面に直接印刷することができる様になっている。
次に、図2および図3を参照しつつプリンタ1における用紙給送経路(用紙搬送経路)について説明する。図2に示す様に、プリンタ1は装置後方(図2の左側)に給紙装置5を備え、該給紙装置5において傾斜姿勢でセットされた単票紙Pを、回動駆動される給紙ローラ13によって丸付き数字1で示す矢印(以下「矢印1」と言う)の方向に給送する第1の給送経路と、装置後方から給紙装置5の下を通り、インクジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」と略称する)21の下へ略水平(丸付き数字2で示す矢印(以下「矢印2」と言う)の方向)に給送する第2の給送経路と、装置前方(図2の右側)から記録ヘッド21の下へ略水平(丸付き数字3で示す矢印(以下「矢印3」と言う)の方向)に手差し給送する第3の給送経路とを備えている。ここで、第1の給送経路は可撓性を有する単票紙Pの給送用に、第2の給送経路は剛性の高く且つ厚手(非可撓性)の被記録材(例えば、ボード紙)の給送用に、第3の給送経路は、後に詳述するトレイ70の給送用に利用される様になっている。尚、給紙装置5は、装置後方側に図示しないロール紙ホルダが着脱可能となっていて、該ロール紙ホルダからロール紙を繰り出し、給紙装置5の下側を通って記録ヘッド21へ給送することもできる様に構成されている。
以下、各構成要素について概説する。給紙装置5は、傾斜姿勢で設けられる板状体からなるホッパ9を備えている。ホッパ9は、上部に設けられた揺動支点9aを中心に揺動可能(図2の時計方向および半時計方向)に設けられ、図示を省略するカム機構によって揺動することにより、下部が給紙ローラ13に圧接および離間する様になっていて、圧接することにより、ホッパ9上に堆積された単票紙Pの最上位のものが給紙ローラ13の回動と共に下流側へ給送される。給紙ローラ13は側面視略D形の形状をなし、図示しない駆動モータによって回動駆動され、外周にはゴム材が巻回されることによって当該給紙ローラ13に圧接した用紙Pをスリップすることなく給送する。また、下流側に設けられた搬送ローラ19による被記録材精密送り時には、搬送負荷(バックテンション)が生じない様に、図示する様に平坦面が用紙Pと対向する様に駆動制御される。
次に、給紙ローラ13の下流には被記録材を副走査方向に精密送りする搬送ローラ19が設けられている。搬送ローラ19は、図示しない駆動モータによって回動駆動される搬送駆動ローラ15と、該搬送駆動ローラ15に圧接して従動回動する搬送従動ローラ17とから構成されている。搬送駆動ローラ15は、主走査方向(図2の紙面表裏方向)に長い軸体からなり、外周面に耐摩耗性粒子(例えば、セラミック粒子)が接着材によって固着されてなる高摩擦層(図示せず)を有し、被記録材の裏面(印刷面と反対側の面)との間でスリップを発生させずに確実な精密送り動作を実行可能となっている。一方、搬送従動ローラ17は搬送駆動ローラ15の軸方向に複数個配置され(図7参照)、且つ、搬送従動ローラホルダ18の下流側(図2の右側)端部において自由回動可能に軸支されている。
搬送従動ローラホルダ18は回動支点18aを中心に図2の時計方向および半時計方向に回動可能に設けられ、且つ、図示しない付勢手段によって搬送従動ローラ17が搬送駆動ローラ15に圧接する方向(図2の時計方向)に回動付勢されている。また、搬送従動ローラホルダ18は、カム10(図15参照)の回動によって、搬送従動ローラ17が搬送駆動ローラ15から離間する方向(図2の反時計方向)に回動することができる様になっている。そして、回動することによって搬送従動ローラ17が搬送駆動ローラ15から離間し、離間することにより、矢印2および矢印3で示す方向に被記録材を手差し給送する際に、手差し給送経路を開放する様になっている。尚、前述したカム10(図15参照)は、ユーザによって操作可能な図示しない操作レバーによって回動する様構成されている。
次に、搬送駆動ローラ15の軸方向に複数配設された搬送従動ローラホルダ18のうち、最も0桁側(図2の紙面裏側)に位置するものには溝穴が設けられ、該溝穴を挿通して上から下に突出する様に紙検出レバー14が設けられている(図15も参照)。紙検出レバー14は、上部を回動中心として揺動可能となっていて、用紙Pの先端が通過すると上方に押し上げられ、用紙Pの後端が通過すると下方に復帰し、これによって図示しない紙検出器が紙検出レバーの揺動を検出し、図示しないプリンタ1の制御部へ検出信号を送信し、以て用紙Pの通過および被記録材のサイズ(長さ)を検出する様になっている。尚、搬送従動ローラホルダ18のより詳細な構成については後に説明する。
次に、搬送ローラ19の下流には記録ヘッド21および該記録ヘッド21に対向してプラテン25が設けられている。記録ヘッド21はキャリッジ23の下部に設けられ、キャリッジ23に搭載されたインクカートリッジ24からインクを供給され、プラテン25に押しつけられた被記録材にインク滴を吐出する。キャリッジ23は、プリンタ1の基体を構成する、装置左右に立設された図示しないサイドフレーム間に掛架された主キャリッジガイド軸22aおよび副キャリッジガイド軸22bとにガイドされながら、図示しないキャリッジモータの駆動力を受けて主走査方向(図2の紙面表裏方向)に往復動する様構成されている。
次に、記録ヘッド21の下流には第1排紙ローラ26が設けられ、該第1排紙ローラ26の下流には更に第2排紙ローラ27が設けられている。第1排紙ローラ26および第2排紙ローラ27は、それぞれ図示しない駆動モータによって回動駆動される第1排紙駆動ローラ28および第2排紙駆動ローラ29と、これら回動駆動されるローラに弾性的に接することによって従動回動する第1排紙従動ローラ30および第2排紙従動ローラ31によって構成されていて、これら2組のローラで印刷用紙を挟圧し、且つ、それぞれのローラが回動駆動されることによって下流側に排紙される。尚、第1排紙従動ローラ30は、印刷用紙と点接触する、外周に歯を有する歯付きローラからなり、第2排紙従動ローラ31は、印刷用紙と面接触するゴムローラからなっている。
ここで、第1排紙従動ローラ30と、第2排紙従動ローラ31とは、主走査方向に所定の間隔で複数個配設されていて(図11参照)、そしてこれらローラは、主走査方向に長い板状体からなる排紙フレーム下33に取り付けられている。排紙フレーム下33は、プリンタ1の左右に立設される図示しないサイドフレームに左右で固定され、更に後に詳述するレリースローラ(図11参照)により、下流側を揺動支点として上流側が上方に変位可能に構成されていて、揺動することにより、第1排紙従動ローラ30が第1排紙駆動ローラ28から離間する離間位置と、第1排紙駆動ローラ28に接する接触位置とをとることができる様になっている。そして第1排紙従動ローラ30が第1排紙駆動ローラ28から離間することにより、矢印2および3で示す方向に被記録材を手差し給送する際の当該給送経路を開放し、更に被記録材の印刷面に第1排紙従動ローラ30が接触しない様になっている。尚、プリンタ1はこの他にも第1排紙従動ローラ30が被記録材の印刷面に接触しない様にする接触防止手段を有しているが、これについては後に詳述する。
ここで、第1排紙従動ローラ30を、被記録材の印刷面に接触しない様にするのは以下の理由による。即ち、トレイ70によって搬送される光ディスクは、ラベル面(印刷面)の直下にデータ記憶領域があり、従って外周に歯を有する第1排紙従動ローラ30が前記ラベル面に圧接すると、前記データ記憶領域を希に破壊することがあるからである。
加えて、第2排紙従動ローラ31も、図示しないローラアップ機構によって第2排紙駆動ローラ29から離間可能となっていて、これにより、被記録材印刷面に第2排紙従動ローラ31が接触しない様にすることも可能となっている。これは、被記録材が前述した光ディスクである場合、吐出されたインク滴がラベル面に浸透しづらく、乾燥時間が掛かり、この様なラベル面に第2排紙従動ローラ31が接触すると、所謂インクの白ヌケや転着を招く虞があるからである。
次に、図3において、排紙フレーム下33の上方には排紙フレーム上35が設けられている。排紙フレーム上35は、排紙フレーム下33と同様にプリンタ1の左右に立設される図示しないサイドフレームに左右で固定され、そして左側に偏倚した位置には、アダプタ50を取り付ける為の取付部37が設けられている。取付部37は、左右に2つの嵌合穴右38および嵌合穴左39(図11参照)を有し、これら嵌合穴にアダプタ50先端部(図3の左側)に設けられた嵌合凸部右52および嵌合凸部左53(図10も参照)が嵌合することにより、アダプタ50が用紙排出口1bに取り付けられる様になっている。そして、前述の様にアダプタ50にはトレイ70が差し込まれ、該トレイ70が、アダプタ50上から給送され、そしてアダプタ50へ排出される。尚、取付部37の詳細な構成については後に説明する。
続いて、用紙排出口1bにはアダプタ50が着脱自在に取り付けられるが、プリンタ1の装置後方側から給紙された被記録材(図2の矢印1,2参照)は、アダプタ50と同様に用紙排出口1bに着脱自在に取り付けられる排紙スタッカ4に排出される。また、用紙排出口1bには、単票紙或いはロール紙を所定長さにカットする、図示しないオートカッターが着脱自在に取り付けられる様になっていて、該オートカッター装着時には、排紙スタッカ4を用紙排出口1bから取り外し、前記オートカッターに装着することができる様になっている。
以上が、プリンタ1の全体構成である。
<2.位置決め用アダプタ、取付部、および記録媒体搬送用トレイの構成>
次に、図4乃至図10を参照しながら、アダプタ50、取付部37、トレイ70の構成について詳述する。
先ず、アダプタ50およびトレイ70の構成について図4乃至図9を参照しつつ説明する。ここで、図4はアダプタ50およびトレイ70の平面図、図5はアダプタ50の正面図、図6はトレイ70裏面の平面図、図7は図4のx−x断面図、図8および図9は図4のy−y断面図である。また、図10はアダプタ50をプリンタ1から取り外し、且つ、トレイ70を差し込んだ状態を示す外観斜視図である。
図4において、トレイ70は板状体からなるトレイ本体70aの表面(上面)に、ディスク収納用凹部71が形成されてなる。ディスク収納用凹部71は、プリンタ1の用紙給送経路を利用した給送が非容易な被記録材、例えば、コンパクトディスクに代表される光ディスク等、方形をなす印刷用紙とは異なり桁方向の位置決めが困難な形状を有する被記録材や、そのサイズが小さい為にプリンタ1の給送経路に流すことのできないサイズを有する被記録材を収納する為の凹部であり、本実施形態においては、コンパクトディスク(以下「光ディスク」と言う)を収納する。トレイ本体70aは、本実施形態においては略B5サイズの板状体からなるので、これによってプリンタ1の用紙給送経路が利用でき、ディスク収納用凹部71にセットされた光ディスクのラベル面への印刷が可能となる。
次に、ディスク収納用凹部71の中央に形成された凸部72は、光ディスクの中央部に形成された穴部(図示せず)と嵌合し、セットされた光ディスクが容易に動かない様に保持する。また、ディスク収納用凹部71においてディスク外周に位置する場所であってプリンタ1前方側(図4の下側)に偏倚した場所には、ディスク取り出し用穴部73aおよび73bが形成されていて、該ディスク取り出し用穴部73aおよび73bに手指を入れることにより、セットした光ディスクを取り出すことができる様になっている。ここで、ディスク取り出し用穴部73aおよび73bは、図4に示す様に左右対称となる場所に形成されている。従ってこれにより、右手親指を左側のディスク取り出し用穴部73aに挿入してセットした光ディスクを取り出すことができるし、左手親指を右側のディスク取り出し用穴部73bに挿入してセットした光ディスクを取り出すこともでき、ユーザの利便性の向上が図られている。更に、トレイ本体70aの手前側(図4の下側)には、トレイ本体70aから上方に突出する把持部74が形成され(図1も参照)、これによってユーザの操作性、即ち、トレイ70のプリンタ1への差し込み或いは引き抜き作業性の向上が図られている。
続いて、トレイ本体70aには、副走査方向(図4の上下方向)に延びる長溝(図4において斜線で示す部分)が桁方向(図4の左右方向)に所定の間隔を置いて複数形成されている。また、この長溝は、図4および図6に示す様にトレイ本体70aの表面と裏面の双方に形成されている。これは、以下の理由による。即ち、本実施形態においてトレイ本体70aは低コスト化等の観点から樹脂成形によって一体的に形成されているが、ディスク収納用凹部71の深さを充分に確保する為には、一定の厚み(例えば、3mm)が必要となる。しかし、この様な厚みを有する板状体を樹脂成形する場合、成形時に反りや厚み寸法の不均一等の成形不良が発生するので、上述の様に長溝を形成することによって樹脂量を低減し、これによって成形時の反りや厚み寸法の不均一等の低減を図っている。
また、図4および図6に示す長溝は、以下の様な観点からも形成されている。即ち、トレイ本体70aは搬送駆動ローラ15および搬送従動ローラ17(図2参照)にニップされ、そして搬送駆動ローラ15が回動駆動されることによって搬送される。従って、トレイ本体70aの裏面は、搬送駆動ローラ15の回動による搬送力を得る為のローラ接触面となる。一方、トレイ本体70aの成形時の反り等を防止する為に、トレイ本体70aの裏面に無数のリブを形成すると、搬送駆動ローラ15との接触面積が減少し、紙送り精度が低下して印刷品質が低下する虞もある。しかし、本実施形態においてトレイ本体70aには、リブではなく副走査方向に延びる長溝を表面と裏面に双方に形成し、且つ、隣り合う2つの長溝の間が平坦面となる様に形成した(図7も参照)。従って、長溝を表面と裏面の双方に形成することによって樹脂量を確実に低減させつつ、且つ、隣り合う2つの長溝の間が平坦面をなす様にしたので、従って充分なローラ接触面積が得られ、以て反りや厚み寸法の不均一等の成形不良の発生を防止しつつ、搬送駆動ローラ15による確実な搬送を実現することが可能となっている。
尚、本実施形態においては長溝をトレイ本体70aの裏面に多く形成せずに、表面と裏面とでほぼ均等となる様に形成した(図7参照)。従って表面の平坦面の面積と裏面の平坦面の面積が図7に示す様に大凡等しくなっていて、搬送駆動ローラ15による確実な搬送力を得ることができる様になっている。
また、表面に形成される長溝については、以下の様な観点からその溝幅および配置間隔が設定されている。即ち、図7においては表面に圧接する搬送従動ローラ17を仮想線で示しているが、図示する様に搬送従動ローラ17が表面の平坦面から外れない様に長溝の溝幅および配置間隔を設定している。従って、搬送従動ローラ17による、トレイ本体70aの搬送駆動ローラ15への押圧力が減少せず、トレイ本体70aはしっかりと搬送駆動ローラ15に圧接し、以て搬送力の低下の防止が図られている。尚、本実施形態においては、図4および図6に示す様に桁方向に複数配置される長溝の幅および配置間隔が不均一となる様に形成しているが、均一となるように配置しても構わない。均一とする場合には、搬送従動ローラ17が平坦面から外れない様に長溝の幅および配置間隔を設定することが望ましい。また、本実施形態においては、図7に示す様に長溝の反対側が平坦面に、平坦面の反対側が長溝となる様に形成されているので、極端に肉厚が薄くなる部分がなく、これによって使用時或いは経時変化による反り等の防止が図られている。
次に、図4および図5において、アダプタ50はトレイ本体70aを下から支持する支持板51と、該支持板51の両側端側に設けられた、グリップ右55およびグリップ左56とから構成され、グリップ右55およびグリップ左56の内部が、トレイ70の両側端側を差し込む空洞部となっている。支持板51の上面には副走査方向に延びるリブ57が主走査方向に所定の間隔で複数形成され、これによってトレイ70が支持板51上で摺動(スライド)する際の摩擦抵抗力が軽減され、円滑な給排紙動作を実行することができる様になっている。
次に、トレイ70とアダプタ50は、トレイ70をアダプタ50に差し込んだ後に容易にトレイ70をアダプタ50から取り外し不可とする「脱落防止手段」を備えている。より詳しくは、当該脱落防止手段は、トレイ70がアダプタ50に差し込まれた後、トレイ70のアダプタ50に対する前後方向(図4の上下方向)のスライド範囲を規制することによってトレイ70の脱落を防止する。
即ち、トレイ本体70aの表面において、下流側(図4の下側)端部近傍に、上方に突出する「表側係合部」としての突起75が、トレイ本体70aの両側端側に形成されている。一方、アダプタ50には、突起75と係合可能な「第1の係合部」としてのストッパ部58がアダプタ50の上流側(図4の上側)であってアダプタ50の両側端側に設けられている(図8も参照)。従って、図8(A)に示す様にトレイ70を差し込み方向(図8の左方向)にスライドさせると、図8(B)に示す様にストッパ部58に突起75が当接し、これによってトレイ70はアダプタ50(プリンタ1)に対する差し込み方向のスライド限界位置が規定される。
一方、図6に示す様に、トレイ本体70aの裏面において、上流側(図6の上側)には、「裏側係合部」としての凹部76が、トレイ本体70aの両側端側に形成されている。凹部76は、トレイ本体70aの裏面において両側端側に形成された長溝81の上流側に凸部77が形成されることによってなされている。一方、アダプタ50側には、図4および図9に示す様に凹部76と係合可能な「第2の係合部」としての突起60が、弾性片59の先端部分に設けられ、トレイ本体70aの裏面に対して弾性的に接触することができる様になっている。また、突起60は、トレイ本体70aの裏面に形成された長溝81に嵌入する位置に配置されていて、長溝81に突起60が嵌入した状態で、トレイ70がアダプタ50に対してスライド動作する様になっている。
以下、突起60の機能について説明する。トレイ70が図9(A)に示す様にアダプタ50に差し込まれると、図9(B)に示す様に突起60が凹部76に嵌入する。ここで、突起60はトレイ70が差し込み方向(図9の左方向)に差し込まれると凸部77を容易に乗り越えられるような斜面60aを有しているので、トレイ70が更に差し込まれると、突起60は凸部77を乗り越えて長溝81に入る。次に、突起60が一旦長溝81に入った後に、トレイ70が引き抜き方向(図9の右方向)にスライドすると、凸部77は突起60が容易に乗り越えられる様な斜面77aを有しているので、突起60は凸部77を乗り越えて凹部60に入り込む。しかし、突起60と凹部76とは、突起60が凹部76に嵌入した状態においてトレイ70が引き抜き方向にスライドすると、凹部76の縁に引っ掛かる様な形状をなしているので(図9(B)参照)、これによってトレイ70の引き抜き方向(図9の右方向)へのスライド限界位置が規定される。
以上により、上述したトレイ70側に形成された突起75および凹部76と、アダプタ50側に設けられたストッパ部58と突起60とが、トレイ70のアダプタ50からの脱落を防止する脱落防止手段を構成する。以下、当該脱落防止手段の作用効果について説明する。
アダプタ50とトレイ70とは、脱落防止手段によっていわば一体化することになる。そしてこの様にトレイ70とアダプタ50とが一体化すると、ユーザはアダプタ50をプリンタ1に装着し、そしてその後にトレイ70をアダプタ50に差し込むといった2段階の作業が不要となる。つまり、アダプタ50をプリンタ1に取り付ければトレイ70が自動的にセットされることになるので、従ってトレイ70を用いて手差し給送する際の作業性が向上すると共に、プリンタ1から取り外してもアダプタ50とトレイ70とは一体化している為に保管性も向上し、以てユーザの利便性が向上する。
加えて、アダプタ50を取り付ける取付部37(図1参照)は、図1に示す様にプリンタ1の左側に偏倚した位置に設けられ、これによってトレイ70はプリンタ1において左側に偏倚した位置から給紙され、そして排紙される。一方、プリンタ1の右側(以下、適宜「0桁側」と言う)には図1を参照しながら説明した紙検出レバー14が配置されていて、トレイ70をアダプタ50を利用せずに手差し給送可能な場合には、トレイ70の先端が紙検出レバー14と当接する位置、即ち、0桁側の位置から差し込まれる場合もあり、この様な場合には紙検出レバー14を壊す虞もある。しかし、前述の様にアダプタ50とトレイ70とは一体化していて、トレイ70を差し込む際にはアダプタ50の取り付けが必要となり、これによってトレイ70の給送位置が一定の位置に定まることから、紙検出レバー14を壊す虞が無い。加えて、トレイ70を手差し給送する際に紙検出レバー14を上方に退避させる構成を採る必要がなく、プリンタ1のコストアップを抑えることができる。
更に、図4に戻ってトレイ70において0桁側の側端部には副走査方向に延びるガイド溝79が形成され、一方でアダプタ50側には、ガイド溝79と係合する、副走査方向に延びるガイドレール61(図5および図7も参照)が設けられている。そしてトレイ70がアダプタ50に差し込まれると、ガイドレール61がガイド溝79に入りこみ、当該入り込んだ状態でトレイ70がアダプタ50に対してスライド動作する。従ってこれにより、トレイ70は斜行することなく真っ直ぐに給紙および排紙され、且つ、給排紙の際の桁方向位置が一定の位置に確実に定まり、以て適切な印刷結果を得ることが可能となると共に、給紙の際の桁方向位置合わせを行う必要が無いので作業性が良い。尚、本実施形態においてはトレイ70側にガイド溝を設け、アダプタ50側にガイドレールを設けているが、トレイ50側にガイドレールを設け、アダプタ50側にガイド溝を設けても同様な作用効果を得ることができる。
ところで、図9において凹部76に突起60が入り込んだ状態においては、トレイ70は前述の様に差し込み方向(図9の左方向)へのスライド動作が可能であるが、突起60は弾性片59によって凹部76に弾性的に嵌入しているので、突起60が凹部76に嵌入した状態では、トレイ70は差し込みおよび引き抜きの双方向(図9の左右方向)へのスライド動作が一定の力で規制され、これにより、アダプタ50に対するトレイ70の位置が保持される状態となる。一方、図3および図10(A)に示す様にアダプタ50先端部には、アダプタ50に差し込まれたトレイ70と直交する平面をなす平坦面63が形成され、該平坦面63により、図10(B)に示す様にアダプタ50をプリンタ1から取り外した際に、トレイ70を直立した状態で、アダプタ50を載置面Fに安定して立たせることができる様になっている。従ってこの様にアダプタ50に対するトレイ70の位置が保持され、且つ、トレイ70を直立した状態に保持可能となることにより、アダプタ50およびトレイ70の保管スペースを節約でき、この点においても保管性を向上させることができる様になっている。
尚、以上説明した脱落防止手段は一例であり、トレイ70がアダプタ50に対してスライド可能であり、且つ、アダプタ50から脱落しない構成であれば、どの様なものであっても構わない。
次に、図11および図12を参照しつつ、アダプタ50を取り付ける取付部37の構成について詳説する。ここで、図11(A)は取付部37の平面図であり、図11(B)は取付部37の正面図である。また、図12はアダプタ50を取付部37に取り付ける作業を示す説明図である。
図11において、取付部37は、左右に2つの開口部、即ち、嵌合穴右38と、嵌合穴左39とを有している。嵌合穴右38および嵌合穴左39は、共に方形の開口形状をなし、且つ、プリンタ1の用紙排出口1bにおいて外部から視認可能な位置に、用紙排出方向に向けて開口する様に形成されている。一方、アダプタ50先端の両側には、図10(A)、図12(A)、図4等に示す様に嵌合凸部右52と嵌合凸部左53とが設けられている。従って、アダプタ50を取付部37に取り付ける際には、ユーザはアダプタ50の両側に設けられたグリップ右55およびグリップ左56を両手で持ち、そしてアダプタ50を取付部37に持っていき、そしてそのままその方向に嵌合凸部右52および嵌合凸部左53をそれぞれ嵌合穴右38および嵌合穴左39に差し込めば(図10(B))、アダプタ50を取付部37に取り付けることができる。
即ち、嵌合穴右38および嵌合穴左39が、図1に示す様に用紙排出口1bにおいて外部から視認可能な位置に、且つ、用紙排出方向に向けて開口する様に形成されているので、アダプタ50をプリンタ1に取り付けようとする際に、ユーザはアダプタ50先端を差し込む場所が視覚的に認識し易いと共に、アダプタ50を用紙排出口1bに持って行く方向と、アダプタ50の先端部に設けられた嵌合凸部右52および嵌合凸部左53を、嵌合穴右38および嵌合穴左39に差し込む方向とが同じであるので、取り付け(および取り外し)の際の作業性が向上する。
また、アダプタ50の両側端は手で持ちやすいグリップ形状をなすグリップ部右55およびグリップ部左56となっていることからも、アダプタ50の取り付け或いは取り外しの際の作業性が向上している。尚、取付部37、より詳しくは嵌合穴右38と嵌合穴左39の周辺部分と、嵌合凸部右52と嵌合凸部左53とを同一色にすれば、更に識別性が向上する。
ところで、本実施形態においては、嵌合凸部右52と嵌合凸部左53との幅寸法が略同じであり、且つ、嵌合穴左39の幅寸法が、嵌合穴右38の幅寸法よりもやや大なる様に形成されていて、これにより、嵌合凸部右52は嵌合穴右38に隙間無く嵌合し、一方で嵌合凸部左53は、嵌合穴左39に嵌合した際にクリアランスが生じる様になっている。これにより、部品の製造交差を吸収でき、アダプタ50或いは取付部37の製造交差を緩やかにすることによって部品の低コスト化を図ることができると共に、隙間無く嵌合する側によって桁方向位置を一定の位置に確実に定めることができる様になっている。
加えて、嵌合穴右38には、アダプタ50側の嵌合凸部右52が嵌合穴右38に嵌入したことを検出する検出端41および検出部42が設けられている。検出端41の一端側は検出部42において揺動可能に保持され、他端側は、嵌合穴右38内に突出する様になっていて、嵌合凸部右52が嵌合穴右38に嵌入すると、検出端41が揺動し(図11(A)において時計方向)、これによって検出部42がプリンタ1の制御部(図示せず)へ検出信号を送信する様になっている。従って、プリンタ1の制御部(図示せず)はアダプタ50がプリンタ1本体に取り付けられたことを認識することができ、これにより、アダプタ50が装着された状態においては装置後方(図2において左側)から装置前方(図2において右側)への用紙排出動作を行わない様にすることができ、用紙がアダプタ50に引っ掛かって紙ジャムとなるといった不具合を防止することが可能となっている。
尚、本実施形態においては、アダプタ50はトレイ70を適切に給送する為の専用の構成要素として構成されているが、トレイ70のみならず、印刷用紙(例えば、薄手の単票紙、或いは厚手のボード紙等)をアダプタ50上から給紙し、そしてアダプタ50上に排紙する様に構成することも可能である。この場合、アダプタ50は、前記印刷用紙を下方から支持する給紙トレイおよび排紙トレイの機能を果たすとともに、給紙の際の桁方向位置を規制する機能を果たすことになる。
<3.第1排紙従動ローラの光ディスクへの接触防止手段>
次に、前述した様にトレイ70にセットされる光ディスクの印刷面の直下にはデータ記憶領域があるので、プリンタ1は、外周に歯を有する第1排紙従動ローラ30が、トレイ70にセットされた光ディスク印刷面に接触しない様にする手段を有している。以下、図13および図14を参照しつつ、この様な第1排紙従動ローラ30の光ディスク印刷面への接触を防止する手段について説明する。ここで、図13は搬送従動ローラ17から第2排紙従動ローラ31に至る紙経路の側断面図であり、図14は排紙スタッカ4およびアダプタ50の側面図である。
先ず第1に、図13において、トレイ70が第2排紙駆動ローラ29と第2排紙従動ローラ31との間から上流側に向けて差し込まれると、トレイ本体70aの先端が、排紙フレーム下33に軸支されたレリースローラ34と当接する。レリースローラ34は、図11に示す様に排紙フレーム下33の80桁側(図11の左側)であって排紙フレーム下33の上流側(図13の左側)に軸支され、図13に示す様に、桁方向に複数個配置された第1排紙従動ローラ30よりもやや下方に突出する様に設けられている。一方、排紙フレーム下33は下流側(図13の右側)の図示しない揺動支点を中心に揺動可能に設けられていて、揺動することにより、第1排紙従動ローラ30が第1排紙駆動ローラ28に対して離間位置と圧接位置とをとることができる様になっている。従ってトレイ70が差し込まれると、トレイ本体70aはレリースローラ34を上方に押し退け、排紙フレーム下33を揺動させ、そして図13に示す様に第1排紙従動ローラ30が第1排紙駆動ローラ28から離間する様になっている。つまり、光ディスク(図13において符号Qで示す)をセットしたトレイ70が差し込まれると、ユーザが特別な操作を行うことなく第1排紙従動ローラ30が自動的に上方に退避する様構成されていて、これによって確実に第1排紙従動ローラ30が、トレイ70にセットされた光ディスク印刷面へ接触しない様になっている。
次に、第2に図13において、トレイ本体70aの先端から、光ディスクQの端部(トレイ本体70aに形成された凹部71の縁部(図4参照))までの距離(図13(A)において符号L1で示す距離)が、搬送従動ローラ17から第1排紙従動ローラ30までの距離(図13(A)において符号L2で示す距離)よりも大なる様にトレイ70が構成されている(換言すれば、搬送従動ローラ17と排紙従動ローラ30との距離L2が距離L1よりも小なる様に構成されている)。これは、以下の様な理由による。即ち、トレイ70を差し込んだ際に、前述の通り第1排紙従動ローラ30は第1排紙駆動ローラ28から離間して上方に退避する様構成されているが、トレイ70の先端がフリーな状態(図13(A)に示す状態)であると、トレイ70の手前側(図13の右側)が下方に変位した際に、トレイ70の先端が上方に浮き上がり、光ディスクQが第1排紙従動ローラ30に当接してしまう虞がある。
一方、トレイ70を手差し給送する際には、前述の通り、ユーザの操作によって搬送従動ローラ17が搬送駆動ローラ15から離間して上方に退避した状態にあるが、トレイ70先端が搬送従動ローラ17と搬送駆動ローラ15との間に入り込んだ後は、トレイ70先端はこれら2つのローラによって上下方向の変位が規制され、従ってトレイ70先端が上方に浮き上がることも無い。つまり、トレイ70先端が搬送従動ローラ17と搬送駆動ローラ15とに到達していない状態(図13(A)の状態)において、第1排紙従動ローラ30の下に光ディスクQが存在していなければ、トレイ70先端が上方に浮き上がっても、光ディスクQが第1排紙従動ローラ30に当接することは無い。この様な観点から、図13(A)に示す距離L1が、距離L2よりも大なる様に構成され、これにより、トレイ70先端が上方へ浮き上がって光ディスクQが第1排紙従動ローラ30に当接しない様になっている。
次に、第3に図14においてアダプタ50がプリンタ1に取り付けられた状態において、アダプタ50が、排紙スタッカ4によって下方から支持される様に構成されている。即ち、アダプタ50がプリンタ1に取り付けられた状態において、排紙スタッカ4のスタック面4aに、アダプタ50の下部が接触する様にアダプタ50(グリップ右55およびグリップ左56(図5参照))が形成されているので、これによってトレイ70の手前側(図14の右側)が下方に変位せず、従ってトレイ70の先端側が上方に浮き上がらず、より一層確実に光ディスクQの第1排紙従動ローラ30への接触を防止することができると共に、記録ヘッド21(図2参照)との距離も一定に保たれ、印刷品質の低下が防止できる。
<4.記録媒体搬送用トレイの引っ掛かり防止手段>
次に、図15および適宜その他の図面を参照しつつ、トレイ70の引っ掛かり防止手段について説明する。ここで、図15は搬送従動ローラホルダ18の側面図である。
図15に示す様に、搬送従動ローラ17を自由回動可能に軸支する搬送従動ローラホルダ18は回動軸18aを有し、更に図示しない付勢手段によって搬送従動ローラ17が搬送駆動ローラ15に圧接する方向に回動付勢されている。一方、回動中心18aの後部(図15では左側)上方には回動軸10aを中心に回動するカム10が配設されていて、該カム10が、回動することによって搬送従動ローラ18の上方に形成されたカム面18bおよびカム面18cを押し下げ、これによって搬送従動ローラホルダ18(搬送従動ローラ18’)を前記付勢手段に抗して回動させ、以て搬送従動ローラ17(搬送従動ローラ17’)を搬送駆動ローラ15から離間させる様になっている。尚、カム10は、図示しない操作レバーをユーザが操作することによって回動する様構成されている。
ここで、図15において仮想線で示すカム面18cは、図7において符号17’で示す搬送従動ローラを軸支する搬送従動ローラホルダ(図15において符号18’で示す)と、最も0桁側に設けられる、紙検出レバー14が貫通する搬送従動ローラホルダ(同様に図15において符号18’で示す)のカム面であり、図示する様に他の搬送従動ローラホルダ18のカム面18bよりも下方に設定されている。これにより、カム10が回動した際に、図15(B)に示す様に搬送従動ローラホルダ18’は他の搬送従動ローラホルダ18よりも回動角度が小さくなり、そして図15(B)において符号17’で示す搬送従動ローラは、他の搬送従動ローラ17よりも上方への退避量が僅かとなる。
以下、この様に構成した理由について説明する。まず、ディスク収納用凹部71(図4参照)に光ディスクをセットした際、当該光ディスクがトレイ本体70aから上方に突出する(段差が生じる)と、トレイ70をプリンタ1内部に差し込んだ際に紙経路上の構成要素、例えば、図2に示す給紙装置5の底部等に引っ掛かる虞があるので、ディスク収納用凹部71の深さは、図13に示す様に光ディスクをセットした際に光ディスクの印刷面とトレイ本体70aの表面とがほぼ面一となる様に設定されている(図13参照)。しかし、トレイ70は本実施形態においては樹脂材料を用いた一体成形によって形成しているので、僅かに可撓性を有すると共に、成形時に反り等が生じることもある。従って、これが原因となって結果的に光ディスクがトレイ本体70aから上方に突出し、段差が生じる虞がある。
そこで、図7に示す様に、ディスク収納用凹部71のほぼ中央、即ち、セットされる光ディスクのほぼ中央に位置する2つの搬送従動ローラ17’の離間位置を、図15(B)に示す様に他の搬送従動ローラ17よりもやや下方となる様に構成した。これにより、セットされた光ディスクが搬送従動ローラ17’により上方から押さえ付けられ、トレイ本体70aからの浮き上がりが矯正され、トレイ70を差し込む際の引っ掛かりが防止されて円滑な手差し給送が行える。尚、他の搬送従動ローラ17はトレイ本体70aに接触しない位置まで離間する様構成されているので、トレイ本体70aは搬送従動ローラ17に上方から押さえ付けられることがなく、以て負荷無く円滑に手差し給送が行える。
一方、図15において符号18’で示す搬送従動ローラホルダのうち、最も0桁側に位置するものについては、前述の通り紙検出レバー14を下方に突出させる為の溝穴が形成されていて、搬送従動ローラ18’が回動すると、該溝穴の縁部18dが紙検出レバー14と当接して紙検出レバー14を上方に押し上げる様な状態となっている。ここで、当該搬送従動ローラホルダ18’のカム面が、符号18cで示す様に他の搬送従動ローラホルダ18のカム面18bより下方に設定されているのは以下の理由による。即ち、紙検出レバー14は回動軸14aを中心に回動可能に設けられていて、上流側(図15の左側)から給送されてくる印刷用紙先端によって押し上げられることにより、当該印刷用紙先端の通過が検出される様になっている。しかし、搬送従動ローラ17を上方に退避させるべく、搬送従動ローラホルダ18を回動させた際に同時に紙検出レバー14が回動すると、誤って印刷用紙の通過を検出したり、或いは、印刷用紙の通過を検出するタイミングが通常とずれる虞がある。そこで、カム10によって押し下げられるカム面18cを他のカム面bより下方に設定し、搬送従動ローラホルダ18’の回動角度を小さくすることにより、紙検出レバー14を上方に押し上げない様に構成している。
以上説明した様に、本発明によれば、記録媒体搬送用トレイに副走査方向に延びる長溝を表面と裏面に双方に形成し、且つ、隣り合う2つの長溝の間が平坦面となる様に形成したので、反りや厚み寸法の不均一等の成形不良の発生を防止しつつ、搬送ローラによって確実な搬送力を得ることが可能となる。