JP4882681B2 - 半導体レーザ、光ピックアップおよび光ディスク装置 - Google Patents

半導体レーザ、光ピックアップおよび光ディスク装置 Download PDF

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Description

この発明は、半導体レーザ、半導体レーザの製造方法、光ピックアップ、光ディスク装置、半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、窒化物系III−V族化合物半導体層上に電極を形成した後に合金化(アロイ)処理を行わない、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザならびにこれを光源に用いる光ピックアップおよび光ディスク装置に適用して好適なものである。
高密度光ディスク装置では、光源として発光波長が400nm帯のGaN系半導体レーザが用いられている。図14にこのような従来のGaN系半導体レーザの一例を示す(例えば、非特許文献1参照。)。図14に示すように、このGaN系半導体レーザにおいては、n型GaN基板101上に、n型AlGaNクラッド層102、n型GaN光導波層103、アンドープのGa1-x Inx N(量子井戸層)/Ga1-y Iny N(障壁層、x>y)多重量子井戸構造の活性層104、アンドープInGaN光導波層105、アンドープAlGaN光導波層106、p型AlGaN電子障壁層107、p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層108およびp型GaNコンタクト層109が順次積層されている。p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層108の上部およびp型GaNコンタクト層109には、一方向(共振器長方向)に直線状に延在してリッジストライプ110が形成されている。このリッジストライプ110の両側面およびその外側の部分のp型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層108上に延在してSiO2 膜111およびその上のアンドープSi膜112が形成されている。リッジストライプ110のp型GaNコンタクト層109にオーミックコンタクトしてp側電極113が形成されている。このp側電極113はアンドープSi膜112上に延在して形成され、また、一方の共振器端面から他方の共振器端面にわたって、すなわち共振器長方向の全長にわたって形成されている。一方、n型GaN基板101の裏面にn側電極114がオーミックコンタクトして形成されている。
従来、GaN系半導体レーザのp側電極としては、主としてNi系の電極またはPd、Pt系の電極(例えば、特許文献1、2、3参照。)が用いられている。このうちNi系の電極では、電極形成後にアロイ工程を行うとp側電極のコンタクト抵抗の低減を図ることができるが、Pd、Pt系の電極では、300℃以上の温度でアロイ工程を行うとp側電極のコンタクト抵抗が逆に増加する。このため、図14に示すGaN系半導体レーザのp側電極113としてPd、Pt系の電極を用いる場合には、電極形成後にアロイ工程を行わないようにしている。
高橋清(監修)、ワイドギャップ半導体光・電子デバイス、森北出版(2006)第209頁〜第212頁 特開平10−303504号公報 特開平10−41254号公報 特開2002−335048号公報
しかしながら、本発明者らの知見によれば、上述のようにp側電極113の形成後にアロイ工程を行わない場合には、p側電極113のp型GaNコンタクト層109に対する密着性が不十分であることから、レーザ構造が形成されたn型GaN基板101をこのn型GaN基板101側から劈開して共振器端面を形成する際にこの共振器端面付近のp側電極113が剥がれたり、剥がれかかった状態となることにより、通電時にこのp側電極113の部分で発熱が起き、GaN系半導体レーザの故障に繋がるという問題があった。特に、GaN系半導体レーザを高出力で使用する場合にはこの問題は深刻である。一例として、p側電極113が(Pd/Pt)/(Ti/Pt/Ni)=(50nm/100nm)/(10nm/100nm/100nm)の5層の金属膜の積層金属膜からなる場合の共振器端面付近のp側電極113およびリッジストライプ110の部分の断面透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図15に示す。図15に示すように、劈開により形成された共振器端面付近において、p側電極113(図15中では単に電極と示す)に劈開時に引っ張られた形跡が観測されるとともに、p側電極113とp型GaNコンタクト層109との間に10nm程度の厚さの隙間が観測される。また、この図15に示す構造のGaN系半導体レーザにおいて高出力を得るために電流を増加させると、図16に示すように、共振器端面付近のp側電極113がほとんど剥がれて破壊する現象が見られた。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、リッジストライプ、より一般的には窒化物系III−V族化合物半導体層上に電極を形成した後にアロイ工程を行わない場合に、電極が共振器端面を形成するための劈開時などに剥がれたり、剥がれかかったりするのを有効に防止することができ、この電極に起因する故障を防止することができる、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザおよびその製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、この半導体レーザを光源に用いた光ピックアップおよび光ディスク装置を提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、窒化物系III−V族化合物半導体層上に電極を形成した後にアロイ工程を行わない場合に、電極が劈開時などに剥がれたり、剥がれかかったりするのを有効に防止することができ、この電極に起因する故障を防止することができる、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザ、発光ダイオード、電子走行素子などを含む半導体装置およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、この発明を案出するに至った。その概要を説明すると次のとおりである。
レーザ構造が形成されたn型GaN基板101を劈開して共振器端面を形成する際に、この共振器端面付近のp側電極113が剥がれたり、剥がれかかった状態となるのを防止するためには、(1)p側電極113の形成後にアロイ工程を導入してp型GaNコンタクト層109とp側電極113との密着性を向上させること、(2)劈開時の応力を低減すること、(3)劈開時の応力をp側電極113とp型GaNコンタクト層109との界面に伝えないようにすること、などの対策が考えられる。(1)では、p型GaNコンタクト層109とp側電極113とのアロイ化(合金化)を行うことによって一般的には密着性を向上させることができるが、すでに述べたようにp側電極113のコンタクト抵抗が悪化するという弊害がある。また、(2)、(3)では、劈開時には硬いGaN系半導体結晶を割ることになるので、ある程度の応力を発生させる必要があり応力低減には限界がある一方、n型GaN基板101の厚さを小さくすることで応力を低減することは可能であるが、こうするとn型GaN基板101が割れやすくなり、歩留まりが著しく低下する。従って、アロイを行わない(ノンアロイ)条件で、劈開時の応力をp側電極113とp型GaNコンタクト層109との界面に伝えず、かつ、p側電極113のコンタクト抵抗の低減を実現する特有の電極構造が必要となる。
本発明者らは、この点を考慮して鋭意検討を行った結果、窒化物系III−V族化合物半導体層上にアロイ工程を伴わずに形成する電極としてn層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜を用い、この金属積層膜の合計の厚さを300nm以上にすることに加えて、この金属積層膜に対し以下のように定義される等価平均剛性率を55GPa以下に設定することにより、劈開後の共振器端面付近のp側電極113がp型GaNコンタクト層109から剥がれたり、剥がれかかったりしないようにすることができることを見出した。
この対策は、リッジストライプ110上にp側電極113を形成する場合だけでなく、窒化物系III−V族化合物半導体層上にアロイ工程を伴わずに電極を形成する半導体レーザであれば同様に有効であり、より一般的には、半導体レーザだけでなく、発光ダイオードやFETなどの電子走行素子を含む各種の半導体装置において窒化物系III−V族化合物半導体層上にアロイ工程を伴わずに電極を形成する場合に有効である。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
レーザ構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層上に電極がそれらの界面で合金化することなく設けられている半導体レーザにおいて、
上記電極の少なくとも一部分が、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜からなり、
上記金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、上記金属積層膜の下からi番目の金属膜の剛性率および厚さをそれぞれGi およびti とし、上記金属積層膜の等価平均剛性率を
Figure 0004882681
と定義したとき、Ge ≦55GPaである
ことを特徴とするものである。
第2の発明は、
基板上にレーザ構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
上記窒化物系III−V族化合物半導体層上に、合金化処理を伴うことなく電極を形成し、この際、この電極の少なくとも一部分を、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜であって、上記金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、上記金属積層膜の下からi番目の金属膜の剛性率および厚さをそれぞれGi およびti とし、上記金属積層膜の等価平均剛性率を
Figure 0004882681
と定義したとき、Ge ≦55GPaであるものにより形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体レーザの製造方法である。
第3の発明は、
光源に半導体レーザを用いた光ピックアップにおいて、
上記半導体レーザとして、
レーザ構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層上に電極がそれらの界面で合金化することなく設けられている半導体レーザにおいて、
上記電極の少なくとも一部分が、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜からなり、
上記金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、上記金属積層膜の下からi番目の金属膜の剛性率および厚さをそれぞれGi およびti とし、上記金属積層膜の等価平均剛性率を
Figure 0004882681
と定義したとき、Ge ≦55GPaであるものを用いた
ことを特徴とするものである。
第4の発明は、
光源に半導体レーザを用いた光ディスク装置において、
上記半導体レーザとして、
レーザ構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層上に電極がそれらの界面で合金化することなく設けられている半導体レーザにおいて、
上記電極の少なくとも一部分が、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜からなり、
上記金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、上記金属積層膜の下からi番目の金属膜の剛性率および厚さをそれぞれGi およびti とし、上記金属積層膜の等価平均剛性率を
Figure 0004882681
と定義したとき、Ge ≦55GPaであるものを用いた
ことを特徴とするものである。
上記の半導体レーザにおいては、典型的には、窒化物系III−V族化合物半導体層の上部にリッジストライプを有し、少なくともこのリッジストライプ上に電極が設けられるが、これに限定されるものではない。この窒化物系III−V族化合物半導体層の、電極が直接接触する上部は通常コンタクト層であるが、これに限定されるものではない。このコンタクト層はp型であってもn型であってもよい。
好適には、電極を構成する金属積層膜の合計の厚さが500nm以上であり、かつ、Ge ≦50GPaであるが、これに限定されるものではない。
電極を構成する金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、Ge ≦55GPaであり、合金化処理を伴わずに窒化物系III−V族化合物半導体層上に形成してオーミックコンタクトさせることができるものである限り、この金属積層膜に含まれる金属膜の層数n、各金属膜の構成金属の種類および厚さは、基本的には自由に選ぶことができる。いくつかの金属のヤング率および剛性率を挙げると下記のとおりであり、ヤング率と剛性率との関係を図示すると図17に示すとおりである。また、参考のために、これらの金属の線膨張係数を図18に示す。
ヤング率(×1010Pa) 剛性率(×1010Pa)
Pd 11.3 5.11
Pt 16.8 6.1
Au 7.8 2.7
Ti 11.57 4.38
Ni 21.9 8.39
Al 7.03 2.61
Ag 8.27 3.03
Sn 4.99 1.84
GaN(参考) 15
電極を構成する金属積層膜は、典型的には、Pd、PtおよびNiからなる群より選ばれた少なくとも1種類あるいは2種類の金属を含み、典型的には、この金属積層膜を構成するn層の金属膜が互いに混ざり合っていない。また、この金属積層膜に含まれるn層の金属膜は、互いに異なる金属からなるものであってもよいし、互いに同一の金属からなる金属膜を2層以上含むものであってもよい。この金属積層膜の最下層の金属膜は、アロイ工程を行わずに下地の窒化物系III−V族化合物半導体層と密着してオーミックコンタクトすることができる金属からなり、典型的にはPdまたはPtからなるが、これに限定されるものではない。
電極は、典型的には、一方の共振器端面から他方の共振器端面にわたって、すなわち共振器長方向の全長にわたって設けられるが、共振器長方向に、上記の諸条件を満たさない金属多層膜により構成される部分を含んでもよい。また、電極は、共振器長方向と垂直方向にも、上記の諸条件を満たさない金属多層膜により構成される部分を含んでもよい。具体的には、例えば、電極が、合計の厚さが300nmより薄い金属多層膜により構成される部分を含んだり、Ge >55GPaの金属多層膜により構成される部分を含んだりしてもよい。共振器端面を形成するための劈開時の電極の剥がれを有効に防止する観点から、好適には、電極のうちの共振器端面から共振器長方向に少なくとも100μm以内の部分が上記の諸条件を満たす金属積層膜からなるが、これに限定されるものではない。
レーザ構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層は、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた従来公知の半導体レーザと同様な構成のものであってよく、一般的には、n側クラッド層、n側光導波層、活性層、p側光導波層、電子障壁層、p側クラッド層、コンタクト層などを含むが、これに限定されるものではない。窒化物系III−V族化合物半導体は、最も一般的には、AlX y Ga1-x-y-z Inz Asu 1-u-v v (ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦u≦1、0≦v≦1、0≦x+y+z<1、0≦u+v<1)からなり、より具体的には、AlX y Ga1-x-y-z Inz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦x+y+z<1)からなり、典型的には、AlX Ga1-x-z Inz N(ただし、0≦x≦1、0≦z≦1)からなり、具体例を挙げると、GaN、InN、AlN、AlGaN、InGaN、AlGaInNなどからなる。この窒化物系III−V族化合物半導体層は、一般的には、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)、ハイドライド気相エピタキシャル成長あるいはハライド気相エピタキシャル成長(HVPE)、分子線エピタキシー(MBE)などの各種のエピタキシャル成長法により基板上にエピタキシャル成長させる。この基板は、導電性基板、特に導電性半導体基板であっても、サファイア基板などの絶縁性基板であってもよい。導電性半導体基板としては、例えば、窒化物系III−V族化合物半導体基板、最も典型的にはGaN基板を用いることができる。
ところで、図14に示す従来のGaN系半導体レーザにおいては、内部損失の低減、すなわち、しきい値電流およびスロープ効率の改善を行うために、活性層104の井戸層とp型AlGaN電子障壁層107との間の距離を100nm程度離すようにしており、これによって内部損失を30cm-1から12cm-1まで低減することに成功している。これに伴い、しきい値電流は38mAから30mAへ低減し、スロープ効率は1W/Aから1.4W/Aまで向上している。しかしながら、この従来のGaN系半導体レーザには、製造工程のばらつきにより、寿命が短くなってしまうという課題がある。そこで、この従来のGaN系半導体レーザのうち寿命が短いものの劣化解析を行ったところ、p型GaNコンタクト層109およびp型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層108の上部をドライエッチングすることによりリッジストライプ110を形成した際に、このリッジストライプ110の両側の脇の部分のp型AlGaN電子障壁層107やその下のアンドープAlGaN光導波層106などにドライエッチングによるダメージが入って欠陥が形成され(図19に、ダメージが入った領域を点描を付した領域で示す)、動作時にp側電極113とn側電極114との間に電流を流したときにこのリッジストライプ110の両側の脇の部分に流れる電流がp型AlGaN電子障壁層107やその下のアンドープAlGaN光導波層106などの欠陥を増殖させ、GaN系半導体レーザの劣化が促進されることを見出した。このドライエッチングによるダメージの量は、ドライエッチング工程におけるエッチングのばらつきによるダメージの入り方の違いや、レーザ構造を形成する層の結晶成長の工程における結晶品質のばらつきなどにより変動し、制御が極めて難しい。そして、独自に得た上記の知見に基づき、リッジストライプ110の深さを変えてGaN系半導体レーザの劣化を調べた結果、リッジストライプ110を深く形成するほど劣化が少なくなる傾向にあり、p型AlGaN電子障壁層107を完全に突き抜け、しかもリッジストライプ110の両側の部分の底面がp型AlGaN電子障壁層107の下面から10nm以上の深さになるようにすると、劣化が激減することを見出した。そこで、半導体レーザの劣化を防止するためには、第1〜第4の発明における窒化物系III−V族化合物半導体層として、n側クラッド層と、このn側クラッド層上のn側光導波層と、このn側光導波層上の活性層と、この活性層上のp側光導波層と、このp側光導波層上の電子障壁層と、この電子障壁層上のp側クラッド層とを含むものを用いる場合に、p側光導波層の上部、電子障壁層およびp側クラッド層にリッジストライプを形成し、電子障壁層とリッジストライプの両側の部分の底面との間の距離を10nm以上にするのが好ましい。この場合、p側電極は、典型的には、p側クラッド層上に設けられるp型コンタクト層上に形成される。半導体レーザの劣化をより確実に防止する観点より、電子障壁層とリッジストライプの両側の部分の底面との間の距離は20nm以上とするのが好ましい。一方、リッジストライプの形成時にこのリッジストライプの両側の部分の底面に入るダメージによる活性層の劣化を防止する観点より、リッジストライプの両側の部分の底面と活性層との間の距離は100nm以上とするのが好ましい。また、半導体レーザの内部損失を低減し、しきい値電流を低減し、スロープ効率を向上させる観点より、電子障壁層と活性層との間の距離は110nm以上とするのが好ましく、一方、電子障壁層と活性層との間の距離が300nmを超えると内部量子効率が低下するため300nm以下とするのが好ましい。p側光導波層は、好適な一例では、InおよびGaを含むアンドープまたはn型(好適にはライトドープのもの)の窒化物系III−V族化合物半導体層(例えば、アンドープまたはn型のInGaN層)とその上のAlおよびGaを含むアンドープまたはn型(好適にはライトドープのもの)の窒化物系III−V族化合物半導体層(例えば、アンドープまたはn型のAlGaN層)とからなるが、一般的には、アンドープまたはn型のAlGaN層、GaN層、InGaN層、AlGaInN層などのうちの一層または二層以上を組み合わせたものにより構成される。電子障壁層は、一般的にはAlおよびGaを含むp型の窒化物系III−V族化合物半導体層であり、好適にはAlx Ga1-x N層(0.15≦x<1)である。
一方、高密度光ディスク装置の光源として用いられるGaN系半導体レーザにおいては戻り光雑音を低減する必要があり、この方策の1つとして、セルフパルセーション動作を起こさせる手法がある。このようなセルフパルセーション動作を実現するために、可飽和吸収層を光導波層やクラッド層に設け、この可飽和吸収層にドーピングを行う方法が提案されている(例えば、特開平9−191160号公報参照。)。しかし、本方式に対しては、温度に対するセルフパルセーション動作の不安定性が課題として指摘されている(例えば、特開2003−31898号公報参照。)。さらに、可飽和吸収層の厚さ、光閉じ込め係数、活性層と可飽和吸収層との距離などの選定や、活性層と可飽和吸収層との間へのワイドギャップ半導体の挿入によりセルフパルセーション動作を可能とすることが提案されている(例えば、特開2003−31898号公報および特開2003−218458号公報参照。)。しかしながら、これらの条件を用いても、セルフパルセーション動作する半導体レーザを安定に得ることはできない。例えば、可飽和吸収層とp型AlGaN層との間にp型GaN層を導入しただけでセルフパルセーション動作をしなくなったことが報告されており(例えば、Appl. Phys. Lett. 83, 1098(2003)参照。)、p型AlGaN層と可飽和吸収層との界面におけるキャリアの再結合の促進とピエゾ効果によるキャリアのトンネルとが可飽和吸収層のキャリア寿命時間を実効的に短くし、セルフパルセーション動作に寄与していると結論づけている。いずれにしても、このような不安定性は、セルフパルセーション動作をするGaN系半導体レーザの量産を行う際に大きな課題となる。そこで、この課題を解決すべく鋭意検討を行った。その概要を説明すると次のとおりである。すなわち、Appl. Phys. Lett. 83, 1098(2003)において、セルフパルセーション動作が不安定になっている理由は、可飽和吸収層のキャリア寿命時間の低減が不十分であることによる。従って、上記の課題を解決するためには、可飽和吸収層におけるキャリア寿命時間を実効的に短くすることが必要である。キャリア寿命時間を短くするには、キャリア再結合過程を増やすことが重要であるが、本発明者は、このためにドライエッチングによるダメージを可飽和吸収層に積極的に導入することが最も有効かつ簡便であると考え、実験的に最適条件を見出した。具体的には、活性層とクラッド層との間に可飽和吸収層を設ける半導体レーザにおいて、横モード制御のために、クラッド層側からドライエッチングを行うことによりリッジストライプを形成する場合、このリッジストライプの両側の部分の底面から活性層の上面までの距離を105nm以上、かつ、リッジストライプの両側の部分の底面から可飽和吸収層の上面までの距離を100nm以下とすることにより、平均故障寿命(mean time to failure,MTTF)が最大となり、安定なセルフパルセーション動作が可能で長寿命の半導体レーザを実現することができることを見出した。そこで、安定なセルフパルセーション動作が可能で長寿命の半導体レーザを得るためには、第1〜第4の発明における窒化物系III−V族化合物半導体層として、第1の導電型側の第1のクラッド層と、この第1のクラッド層上の活性層と、この活性層上の可飽和吸収層と、この可飽和吸収層上の第2の導電型側の第2のクラッド層とを含むものを用い、少なくとも第2のクラッド層にリッジストライプを形成する場合、典型的には、第2のクラッド層に互いに平行にかつ互いに所定間隔離れて一対の溝を形成してその間にリッジストライプを形成する場合に、リッジストライプの両側の部分の底面から、あるいは、第2のクラッド層に互いに平行にかつ互いに所定間隔離れて一対の溝を形成してその間にリッジストライプを形成する場合にはこれらの溝の底面から活性層の上面までの距離を105nm以上、かつ、リッジストライプの両側の部分の底面から、あるいは、これらの溝の底面から可飽和吸収層の上面までの距離を100nm以下とするのが好ましい。ここで、リッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面から活性層の上面までの距離およびリッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面から可飽和吸収層の上面までの距離は、リッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面の一点を原点として活性層に向かう方向を正方向とする座標系を取った場合の距離である。リッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面から可飽和吸収層の上面までの距離は100nm以下であるが、この距離は正または0の場合(0nm以上100nm以下)だけでなく、負の場合もある。この距離が負の場合には、リッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面が可飽和吸収層の上面と下面との間に位置している場合(下面上に位置している場合を含むものとする)と、リッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面が可飽和吸収層の下面よりも深く、活性層の上面よりも浅い所に位置している場合とがある。
典型的には、リッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面および/または側面の近傍の可飽和吸収層に損傷が生じている。この損傷の発生原因は問わないが、この損傷は、典型的には、このリッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝を少なくとも第2のクラッド層をドライエッチングすることにより形成した場合に発生するエッチングダメージである。リッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面から可飽和吸収層の上面までの距離が100nm以下0nm以上の場合には、もっぱらリッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面の近傍の可飽和吸収層に損傷が生じており、リッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面から可飽和吸収層の上面までの距離が0nmよりも小さい場合、言い換えるとリッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面が可飽和吸収層の上面と下面との間に位置している場合、または、リッジストライプの両側の部分の底面あるいは溝の底面が可飽和吸収層の下面よりも深く、活性層の上面よりも浅い所に位置している場合には、リッジストライプの両側の部分の底面および側面下部の近傍またはリッジストライプの側面の近傍、あるいは、溝の底面および側面下部の近傍または溝の側面の近傍の可飽和吸収層に損傷が生じている。可飽和吸収層には必要に応じて不純物がドーピング(一般的には高濃度ドーピング)され、非発光再結合中心が形成される。
第1のクラッド層、活性層、可飽和吸収層および第2のクラッド層における隣接する層同士は直接接触していてもよいし、それらの間に他の何らかの機能を有する層が1層または2層以上介在していてもよい。例えば、第1のクラッド層と活性層との間に第1導電型側の光導波層が設けられ、第2のクラッド層と活性層との間に第2導電型側の光導波層が設けられていてもよい。また、キャリア寿命時間を短くするには、キャリア再結合過程を増やすことに加えて、光吸収で発生するキャリア以外のキャリアの活性層への注入を抑制することが重要であるが、このためには、活性層と第2のクラッド層との間に、第1のクラッド層側から活性層に注入されるキャリアが活性層を超えて第2のクラッド層側に移動するのを防止するための障壁層が設けられてもよい。この障壁層は、具体的には、例えば、活性層と可飽和吸収層との間に十分な障壁高さが得られる組成のアンドープ層およびp型層の2層を少なくとも含むように設けられる。この場合、アンドープ層は活性層側に、p型層は可飽和吸収層側に設けられる。これらのアンドープ層およびp型層は、例えば、AlGaNやAlGaInNなどのAl組成やIn組成などを変えることで容易に得ることができる。アンドープ層のバンドギャップエネルギーをEg1、p型層のバンドギャップエネルギーをEg2とすると、好適にはEg1<Eg2とする。
好適には、リッジストライプの側面、溝の内部および溝の外側の部分の層上に絶縁膜が形成される。この絶縁膜は、電気絶縁性を有しあるいは十分に高抵抗の物質からなるものであれば、基本的にはどのような物質からなるものであってもよいが、半導体レーザの静電容量低減の観点からは、誘電率が低いものが好ましい。また、この絶縁膜は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよい。この絶縁膜を二層構造とする場合、上層が発振波長の光に対する吸収係数が高いもの、例えばレーザ光の波長が青紫色の波長帯のときにはアンドープのSi膜が好ましく、下層は例えばSiO2 膜などである。
第2の導電型側の電極は、典型的には、第2のクラッド層上に設けられるコンタクト層上に形成される。導電性半導体基板の裏面に第1の導電型側の電極を形成し、第2のクラッド層上に設けられるコンタクト層上に第2の導電型側の電極を溝の外側にまで広がった状態で形成する場合、好適には、リッジストライプの側面、溝の内部および溝の外側の部分のコンタクト層上に形成される絶縁膜のうち、溝の外側の部分のコンタクト層上の部分の厚さを十分に大きくする。このようにすることにより、溝の外側の部分における第1の導電型側の電極と第2の導電型側の電極との間隔をリッジストライプや溝の部分における間隔に比べて大きくすることができるので、これらの電極間の静電容量の低減を図ることができ、半導体レーザの高周波特性の向上を図ることができるとともに、静電リークや静電破壊を防止することができる。
光ディスク装置には、再生(読み出し)専用のもの、記録(書き込み)専用のもの、再生および記録が可能なもののいずれも含まれ、再生および/または記録の方式も特に問わない。光ピックアップはこのような光ディスク装置に用いて好適なものである。
第5の発明は、
窒化物系III−V族化合物半導体層上に電極がそれらの界面で合金化することなく設けられている半導体装置において、
上記電極の少なくとも一部分が、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜からなり、
上記金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、上記金属積層膜の下からi番目の金属膜の剛性率および厚さをそれぞれGi およびti とし、上記金属積層膜の等価平均剛性率を
Figure 0004882681
と定義したとき、Ge ≦55GPaである
ことを特徴とするものである。
第6の発明は、
基板上に窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
上記窒化物系III−V族化合物半導体層上に、合金化処理を伴うことなく電極を形成し、この際、この電極の少なくとも一部分を、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜であって、上記金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、上記金属積層膜の下からi番目の金属膜の剛性率および厚さをそれぞれGi およびti とし、上記金属積層膜の等価平均剛性率を
Figure 0004882681
と定義したとき、Ge ≦55GPaであるものにより形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
第5および第6の発明において、半導体装置には、半導体レーザや発光ダイオードなどの半導体発光素子のほか、FETなどの電子走行素子などの各種のものが含まれ、窒化物系III−V族化合物半導体層の構成はこれらの素子に応じて適宜設計される。
第5および第6の発明においては、上記以外のことは、その性質に反しない限り、第1〜第4の発明に関連して説明したことが成立する。
上述のように構成された第1〜第6の発明においては、窒化物系III−V族化合物半導体層上に、合金化処理を伴うことなく電極を形成する場合に、この電極の少なくとも一部分を、n層の金属膜が積層された金属積層膜であって、この金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、Ge ≦55GPaであるものにより形成することにより、劈開時などにこの金属積層膜に対し窒化物系III−V族化合物半導体層から剥がれる方向の力が加わった場合でも、この際に発生する応力が電極と窒化物系III−V族化合物半導体層との界面に伝わりにくくなる。
この発明によれば、窒化物系III−V族化合物半導体層上に電極を形成した後にアロイ工程を行わない場合に、電極が共振器端面を形成するための劈開時などに剥がれたり、剥がれかかったりするのを有効に防止することができ、この電極に起因する故障を防止することができる、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザを得ることができる。そして、この半導体レーザを光源に用いることにより、高性能の光ディスク装置を実現することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1はこの発明の第1の実施形態によるGaN系半導体レーザを示す。
図1に示すように、このGaN系半導体レーザにおいては、n型GaN基板1上に、n型AlGaNクラッド層2、n型GaN光導波層3、アンドープのGa1-x Inx N(量子井戸層)/Ga1-y Iny N(障壁層、x>y)多重量子井戸構造の活性層4、アンドープInGaN光導波層5、アンドープAlGaN光導波層6、p型AlGaN電子障壁層7、p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8およびp型GaNコンタクト層9が順次積層されている。n型AlGaNクラッド層2およびn型GaN光導波層3には、n型不純物として例えばSiがドーピングされている。また、p型AlGaN電子障壁層7、p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8を構成するp型GaN層およびp型GaNコンタクト層9には、p型不純物として例えばMgがドーピングされている。p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8の上部およびp型GaNコンタクト層9には、一方向(共振器長方向)に直線状に延在してリッジストライプ10が形成されている。このリッジストライプ10の両側面およびその外側の部分のp型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8上に延在してSiO2 膜11およびその上のアンドープSi膜12が形成されている。リッジストライプ10のp型GaNコンタクト層9にオーミックコンタクトしてp側電極13が形成されている。このp側電極13はアンドープSi膜12上に延在して形成され、また、一方の共振器端面から他方の共振器端面にわたっ、すなわち共振器長方向の全長にわたって形成されている。一方、n型GaN基板1の裏面にn側電極14がオーミックコンタクトして形成されている。
このGaN系半導体レーザにおいては、p側電極13のうちの共振器端面から共振器長方向に少なくとも100μm以内の部分、好適にはこのp側電極13の全体が、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜からなり、この金属積層膜の合計の厚さが300nm以上でかつGe ≦55GPaとなるように構成されている。こうすることで、共振器端面を形成するための劈開時にp側電極13がp型GaNコンタクト層9から剥がれるのを有効に防止することができる。
次に、このGaN系半導体レーザの製造方法について説明する。
まず、n型GaN基板1上に、例えば有機金属化学気相成長(MOCVD)法により、n型AlGaNクラッド層2、n型GaN光導波層3、活性層4、アンドープInGaN光導波層5、アンドープAlGaN光導波層6、p型AlGaN電子障壁層7、p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8およびp型GaNコンタクト層9を順次エピタキシャル成長させる。ここで、Inを含まない層であるn型AlGaNクラッド層2、n型GaN光導波層3、アンドープAlGaN光導波層6、p型AlGaN電子障壁層7、p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8およびp型GaNコンタクト層9の成長温度は例えば1000℃程度とし、Inを含む層であるGa1-x Inx N/Ga1-y Iny N多重量子井戸構造の活性層4およびアンドープInGaN光導波層5の成長温度は例えば700〜800℃、例えば730℃とするが、これに限定されるものではない。
これらのGaN系半導体層の成長原料は、例えば、Gaの原料としてはトリエチルガリウム((C2 5 3 Ga、TEG)またはトリメチルガリウム((CH3 3 Ga、TMG)、Alの原料としてはトリメチルアルミニウム((CH3 3 Al、TMA)、Inの原料としてはトリエチルインジウム((C2 5 3 In、TEI)またはトリメチルインジウム((CH3 3 In、TMI)を、Nの原料としてはアンモニア(NH3 )を用いる。ドーパントについては、n型ドーパントとしては例えばシラン(SiH4 )を、p型ドーパントとしては例えばビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム((CH3 5 4 2 Mg)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム((C2 5 5 4 2 Mg)あるいはビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム((C5 5 2 Mg)を用いるが、これに限定されるものではない。また、上記のGaN系半導体層の成長時のキャリアガス雰囲気としては、例えば、H2 ガスが用いられるが、これに限定されるものではない。
次に、例えばSiO2 膜のような絶縁膜(図示せず)を全面に形成した後、この絶縁膜をエッチングにより所定形状にパターニングする。次に、この絶縁膜をエッチングマスクとして用いて例えば反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチングによりp型GaNコンタクト層9およびp型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8の上部をエッチングすることによりリッジストライプ10を形成する。次に、このエッチングマスクとして用いた絶縁膜をエッチング除去した後、全面にSiO2 膜11およびアンドープSi膜12を順次形成した後、リッジストライプ10上の部分にあるこれらの膜を選択的にエッチング除去し、リッジストライプ10の上面を露出させる。次に、アンドープSi膜12上にリフトオフ法などによりp側電極13を形成する。次に、必要に応じて、n型GaN基板1をその裏面から研磨することにより、所定の厚さに薄膜化する。次に、n型GaN基板1の裏面にリフトオフ法などによりn側電極14を形成する。
この後、レーザ構造が形成されたn型GaN基板1を劈開によりバー状に加工して一対の共振器端面を形成し、必要に応じて端面コーティングを施し、さらにこのバーをチップ化する。この共振器端面を形成するための劈開時には、p側電極13のうちの共振器端面から共振器長方向に少なくとも100μm以内の部分が、上述のように合計の厚さが300nm以上でかつGe ≦55GPaの金属積層膜により構成されていることにより、p側電極13が剥がれるのを有効に防止することができる。
以上により、図1に示すGaN系半導体レーザが製造される。
レーザ構造を形成するGaN系半導体層の厚さや組成などの具体例を挙げると、次のとおりである。n型AlGaNクラッド層2の厚さは1.3μm、Al組成は0.07である。n型GaN光導波層3の厚さは0.1μmである。活性層4の量子井戸層を構成するGa1-x Inx N層の厚さは3nm、In組成xは0.08、障壁層を構成するGa1-y Iny N層の厚さは7nm、In組成yは0.02であり、井戸数は3である。アンドープInGaN光導波層5の厚さは40nm、In組成は0.02である。アンドープAlGaN光導波層6の厚さは60nm、Al組成は0.02である。p型AlGaN電子障壁層7の厚さは20nm、Al組成は0.20である。p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8の厚さは0.5μm、このp型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8のアンドープAlGaN層のAl組成は0.10である。p型GaNコンタクト層9の厚さは0.1μmである。リッジストライプ10の幅は例えば1.5〜2μmである。n型GaN基板1の厚さは85μmである。
〈実施例〉
p側電極13を(Pd/Pt)/(Ti/Pt/Au/Pt)=(50nm/100nm)/(10nm/100nm/200nm/100nm)の6層の金属膜の金属多層膜により形成した。この金属多層膜の合計の厚さは50+100+10+100+200+100=560nm、この金属多層膜の等価平均剛性率は
e =(5.11×1010×50×10-9+6.1×1010×100×10-9+4.38×1010×10×10-9+6.1×1010×100×10-9+2.7×1010×200×10-9+6.1×1010×100×10-9)/(50×10-9+100×10-9+10×10-9+100×10-9+200×10-9+100×10-9
=26693/(560×10-9
=4.766×1010Pa
=47.66GPa
であり、金属多層膜の合計の厚さが300nm以上でかつGe ≦55GPaの条件を満たす。
このようにp側電極13が(Pd/Pt)/(Ti/Pt/Au/Pt)=(50nm/100nm)/(10nm/100nm/200nm/100nm)の6層の金属膜の金属多層膜からなる場合の共振器端面付近のp側電極13およびリッジストライプ10の部分の断面TEM写真を図2に示す。図2に示すように、劈開により形成された共振器端面付近のp側電極13(図2中では単に電極と示す)とp型GaNコンタクト層9(図2中では単に半導体と示す)との間には隙間が観測されない。また、この図2に示す構造のGaN系半導体レーザにおいて高出力を得るために電流を増加させた場合の共振器端面付近のp側電極13の様子を観測したところ、p側電極13の剥がれは観測されず、p側電極13の破壊は何ら観測されなかった。
〈比較例〉
p側電極13を(Pd/Pt)/(Ti/Pt/Ni)=(50nm/100nm)/(10nm/100nm/100nm)の5層の金属膜からなる従来の金属多層膜により形成した。この金属多層膜の合計の厚さは50+100+10+100+100=360nm、この金属多層膜の等価平均剛性率は
e =(5.11×1010×50×10-9+6.1×1010×100×10-9+4.38×1010×10×10-9+6.1×1010×100×10-9+8.39×1010×100×10-9)/(50×10-9+100×10-9+10×10-9+100×10-9+100×10-9
=23583/(360×10-9
=6.55×1010Pa
=65.5GPa
であり、金属多層膜の合計の厚さが300nm以上でかつGe ≦55GPaの条件を満たさない。
このようにp側電極13が(Pd/Pt)/(Ti/Pt/Ni)=(50nm/100nm)/(10nm/100nm/100nm)の5層の金属膜の金属多層膜からなる場合の共振器端面付近のp側電極13およびリッジストライプ10の部分の断面TEM写真は図15に示すとおりであり、すでに述べたように、劈開により形成された共振器端面付近のp側電極13に劈開時に引っ張られた形跡が観測されるとともに、p側電極13とp型GaNコンタクト層9との間に10nm程度の厚さの隙間が観測された。また、図16に示すように、この構造のGaN系半導体レーザにおいて高出力を得るために電流を増加させた場合の共振器端面付近のp側電極13の様子を観測したところ、共振器端面付近のp側電極13はほとんど剥がれ、破壊された。
以上のように、この第1の実施形態によれば、p側電極13のうちの共振器端面から共振器長方向に少なくとも100μm以内の部分が、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜からなり、この金属積層膜の合計の厚さが300nm以上でかつGe ≦55GPaとなるように構成されているので、共振器端面を形成するための劈開時にp側電極13がp型GaNコンタクト層9から剥がれたり、剥がれかかったりするのを有効に防止することができる。そして、高出力、例えば100mW以上の出力を出すためにGaN系半導体レーザに流す電流を増加させても、p側電極13がp型GaNコンタクト層9から剥がれたり、剥がれかかったりするのを防止することができ、p側電極13の破壊を防止することができる。このため、p側電極13の破壊に起因するGaN系半導体レーザの故障を防止することができ、信頼性の向上を図ることができる。
次に、この発明の第2の実施形態によるGaN系半導体レーザについて説明する。図3はこのGaN系半導体レーザを示す。
図3に示すように、このGaN系半導体レーザは、アンドープAlGaN光導波層6の上部、p型AlGaN電子障壁層7、p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8およびp型GaNコンタクト層9にリッジストライプ10が形成されていることを除いて、第1の実施形態によるGaN系半導体レーザと同様な構成を有する。
このGaN系半導体レーザにおいては、p型AlGaN電子障壁層7とリッジストライプ10の両側の部分の底面との間の距離をd1 としたとき、d1 ≧10nmとなるようにリッジストライプ10の深さが設定されている。この場合、p型AlGaN電子障壁層7はリッジストライプ10の中に完全に含まれている。また、リッジストライプ10の両側の部分の底面と活性層5に含まれる量子井戸層のうちのp型AlGaN電子障壁層7に最も近いものとの間の距離をd2 、p型AlGaN電子障壁層7と活性層5に含まれる量子井戸層のうちのp型AlGaN電子障壁層7に最も近いものとの間の距離をd3 としたとき、d2 ≧100nmかつ300nm≧d3 ≧110nmとなるように、リッジストライプ10の深さならびにアンドープInGaN光導波層5およびアンドープAlGaN光導波層6の厚さが設定されている。
このGaN系半導体レーザの製造方法は、RIEなどのドライエッチングによりp型GaNコンタクト層9、p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8、p型AlGaN電子障壁層7およびアンドープAlGaN光導波層6の上部をエッチングすることによりリッジストライプ10を形成することを除いて、第1の実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法と同様である。
ここで、半導体レーザの電流劣化率の式Iop=A×tn (Iopは動作電流、Aは定数、tは時間)でn値を定義する。図4は、リッジストライプ10の深さを種々に変えてGaN系半導体レーザを製造し、p型AlGaN電子障壁層7の下面の一点を原点として活性層4から離れる方向を正方向とする座標系を取った場合の、p型AlGaN電子障壁層7の下面からリッジストライプ10の両側の部分の底面までの距離d1 とn値との相関を示す。ただし、d1 は、GaN系半導体レーザを共振器長方向と垂直な面に沿って劈開し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察(断面SEM観察)することにより測定したものであり、レーザ構造を形成する層の厚さあるいはリッジストライプ10をドライエッチングにより形成する際のエッチングのばらつきがあるため、10nm程度の誤差がある。図4より、d≦−10nmでn値はほぼ0となり、d≦−20nmではより確実にn値をほぼ0とすることができ、電流劣化がほとんど生じないGaN系半導体レーザが得られることが分かる。
図5は、d1 =−30nmとした五つのGaN系半導体レーザ(試料a、b、c、d、e)に対して75℃、17mW、CW(連続発振)条件において長期寿命試験を行った結果を示す。初期のIopの値は試料a、b、c、d、eに対しそれぞれ41.69mA、43.95mA、44.62mA、42.86mA、42.68mAである。図5より、これらのGaN系半導体レーザでは1000時間経過後でもIopは初期値を維持しており、1000時間も電流劣化が生じていないことが分かる。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、次のような利点を得ることができる。すなわち、リッジストライプ10をp型AlGaN電子障壁層7を完全に突き抜けるように形成し、p型AlGaN電子障壁層7とリッジストライプ10の両側の部分の底面との間の距離をd1 としたとき、d1 ≧10nmとなるようにリッジストライプ10の深さを設定していることにより、リッジストライプ10の形成時のドライエッチングによるエッチングなどのばらつきによらず、GaN系半導体レーザの電流劣化を抑えることができ、長寿命で信頼性の高いGaN系半導体レーザを得ることができる。また、リッジストライプ10の両側の部分の底面と活性層5に含まれる井戸層のうちのp型AlGaN電子障壁層7に最も近いものとの間の距離d2 をd2 ≧100nmとしていることにより、低しきい値電流および高スロープ効率特性を得ることができる。
次に、この発明の第3の実施形態によるGaN系半導体レーザについて説明する。このGaN系半導体レーザはセルフパルセーション型GaN系半導体レーザである。図6はこのGaN系半導体レーザを示す。
図6に示すように、このGaN系半導体レーザにおいては、p型AlGaN電子障壁層7とp型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8との間に、p型GaN層の間にp型InGaN層を挟んだ構造の可飽和吸収層15が設けられている。p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8およびp型GaNコンタクト層9に形成されたリッジストライプ10の両側には溝16、17が形成されている。これらの溝16、17の外側の部分のp型GaNコンタクト層9上に例えばSiO2 膜のような絶縁膜18が形成されている。また、リッジストライプ10の両側面、溝16、17およびその外側の部分の絶縁膜18上に延在してSiO2 膜11およびその上のアンドープSi膜12が形成されている。リッジストライプ10のp型GaNコンタクト層9にオーミックコンタクトしてp側電極13が形成されている。このp側電極13は溝16、17の外側の部分のアンドープSi膜12上に延在して形成されている。
このGaN系半導体レーザの上記以外の構成は、第1の実施形態によるGaN系半導体レーザと同様である。
溝16、17の底面の一点を原点として活性層4に向かう方向を正方向とする座標系を取った場合の溝16、17の底面から活性層4の上面までの距離をt1 、溝16、17の底面から可飽和吸収層15の上面までの距離をt2 としたとき、t1 ≧105nmかつ0≦t2 ≦100nmとなるように溝16、17の深さが設定されている。その理由については後述する。一般的にはt1 <0.6μmであり、典型的にはt1 <200nmである。溝16、17の幅は一般的には250μm以下、より一般的には100μm以下、典型的には20μm以下である。
レーザ構造を形成するGaN系半導体層の厚さや組成などの具体例は第1の実施形態と同様であるが、例えば、p型AlGaN電子障壁層7の厚さは10nm、Al組成は0.20であり、可飽和吸収層15は、厚さが3nmのp型GaN層により厚さが2nmのp型In0.02Ga0.98層を挟んだ構造を有する。p型AlGaN電子障壁層7にはMgが例えば1×1019cm-3以上ドーピングされている。可飽和吸収層15を構成するp型層にはMgが例えば5×1018cm-3以上1×1020cm-3以下ドーピングされている。
このGaN系半導体レーザを製造するには、第1の実施形態と同様にしてp型GaNコンタクト層9の成長まで終了した後、例えばSiO2 膜のような絶縁膜18を全面に形成し、この絶縁膜18をエッチングにより所定形状にパターニングする。次に、この絶縁膜18をエッチングマスクとして用いて例えばRIEなどのドライエッチングによりp型GaNコンタクト層9およびp型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層8をエッチングすることにより溝16、17を形成し、これによってリッジストライプ10を形成する。次に、このエッチングマスクとして用いた絶縁膜18を残したまま全面に例えばSiO2 膜11およびアンドープSi膜12を順次形成した後、リッジストライプ10上の部分にあるこれらの膜を選択的にエッチング除去し、リッジストライプ10の上面を露出させる。次に、リッジストライプ10およびアンドープSi膜12上にp側電極13を形成する。次に、必要に応じて、n型GaN基板1をその裏面から研磨することにより、所定の厚さに薄膜化する。
この後、第1の実施形態と同様にして劈開以降の工程を進め、目的とするGaN系半導体レーザを製造する。
このGaN系半導体レーザにおいては、可飽和吸収層15のキャリア寿命時間を短くするために、溝16、17を形成するために行うドライエッチングにより、Mgがドーピングされたp型InGaN層を含む可飽和吸収層15にエッチングダメージを積極的に導入している。この場合、可飽和吸収層15に確実にエッチングダメージを導入するために、上記のように0≦t2 ≦100nmとしている。このようにエッチングダメージが導入された可飽和吸収層15では、より多くの中間準位が形成され、この中間順位を介した非発光再結合過程が増加し、非発光再結合寿命時間が短くなる。一般にキャリア寿命時間τs は、発光再結合寿命時間τr と非発光再結合寿命時間τnrとを用いて次式のように表すことができる。
1/τs =1/τr +1/τnr
この式から、非発光再結合寿命時間τnrが短くなると、キャリア寿命時間τs も短くなることが分かる。
図7に、距離t1 とGaN系半導体レーザのMTTF(平均素子寿命時間)との関係を測定した結果を示す。ただし、このGaN系半導体レーザにおけるレーザ構造を形成するGaN系半導体層の厚さや組成などは上記の具体例と同一である。図7から、t1 ≦100nmではMTTFが短くなることが分かる。これは、t1 ≦100nmのGaN系半導体レーザでは、溝16、17を形成するためのドライエッチング時に活性層4にエッチングダメージが導入され、その結果、寿命が急速に悪化していることに起因する。従って、溝16、17の底面、すなわちドライエッチング加工面から可飽和吸収層15の上面までの距離t2 をt2 ≦100nm以下にすることで、可飽和吸収層15のキャリア寿命時間を短くし、t1 ≧105nm以上にすることでGaN系半導体レーザのMTTFを十分に確保することが可能となる。
また、このGaN系半導体レーザにおいては、n型AlGaNクラッド層2側から活性層4に注入され、活性層4から漏れ出る電子を抑制するために、可飽和吸収層15と活性層4との間に、例えば厚さが60nm、Al組成が0.02のアンドープAlGaN光導波層6と例えば厚さが10nm、Al組成が0.20のp型AlGaN電子障壁層7との2層が設けられている。ここで、アンドープAlGaN光導波層6は、アンドープであることにより活性層4付近のエネルギーバンドをフラット化させ、Al組成が低くても活性層4から漏れ出る電子から見たキャリア障壁エネルギーを実効的に大きくしており、活性層4から漏れ出る電子をブロックする役割を果たす。さらに、p型AlGaN電子障壁層7は、アンドープAlGaN光導波層6を超えてきた電子をブロックする役割を果たす。このように、電子ブロック層がアンドープAlGaN光導波層6とp型AlGaN電子障壁層7との2段に形成されていることにより、活性層4からのキャリアオーバーフローを有効に抑えることが可能となり、このオーバーフローにより可飽和吸収層15へ注入される電子を大幅に減らすことができる。このため、実効的に可飽和吸収層15のキャリア寿命時間を短くする効果を得ることができる。このような構成を有するGaN系半導体レーザは、信頼性が高く、安定したセルフパルセーション動作をすることが可能である。
図8および図9に、このGaN系半導体レーザのスペクトル特性およびコヒーレント特性の測定結果を示す。ただし、測定に用いたGaN系半導体レーザにおけるレーザ構造を形成するGaN系半導体層の厚さや組成などは上記の具体例と同一であり、t1 =145nm、t2 =13nmである。また、コヒーレント特性の測定は光出力を15mWにして行った。γ=20%である。図8から明らかなように、セルフパルセーションレーザに特有の多モード発振が確認される。また、図9に示すように、同じくセルフパルセーションレーザに特有の可干渉性低下(γ特性)が確認される。
図10および図11に、比較例によるGaN系半導体レーザのスペクトル特性およびコヒーレント特性の測定結果を示す。この比較例によるGaN系半導体レーザにおけるレーザ構造を形成するGaN系半導体層の厚さや組成などは上記の具体例と同一であるが、t1 =145nm、t2 =102nmであり、t1 はt1 ≧105nmの条件を満たしているものの、t2 は0≦t2 ≦100nmの条件を満たしていない。コヒーレント特性の測定は光出力を15mWにして行った。図10から明らかなように、多モード発振が確認されることからセルフパルセーション動作はしているが、図11から明らかなように、可干渉性低下(γ特性)は不十分であった。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、次のような利点を得ることができる。すなわち、安定なセルフパルセーション動作が可能で信頼性が高く長寿命のGaN系半導体レーザを容易に実現することができる。また、溝16、17の外側の部分のp型GaNコンタクト層9上には絶縁膜18、SiO2 膜11およびアンドープSi膜12が形成されているため、これらの絶縁膜18、SiO2 膜11およびアンドープSi膜12の合計の厚さだけ、溝16、17の外側の部分におけるp側電極13とn側電極14との間隔をリッジストライプ10や溝16、17の部分における間隔に比べて大きくすることができる。このため、p側電極13とn側電極14との間の静電容量の低減を図ることができ、GaN系半導体レーザの高周波特性の向上を図ることができるとともに、静電リークや静電破壊を防止することができる。
次に、この発明の第4の実施形態によるGaN系半導体レーザについて説明する。
図12に示すように、このGaN系半導体レーザは、溝16、17の底面が可飽和吸収層15の上面と下面との間に位置していることを除いて、第3の実施形態によるGaN系半導体レーザと同様な構成を有する。この場合、溝16、17の底面および側面下部の近傍の可飽和吸収層15にエッチングダメージが生じている。
この第4の実施形態によれば、第1および第3の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第5の実施形態によるGaN系半導体レーザについて説明する。
図13に示すように、このGaN系半導体レーザは、溝16、17の底面が可飽和吸収層15の下面より下側に位置していることを除いて、第3の実施形態によるGaN系半導体レーザと同様な構成を有する。この場合、溝16、17の側面近傍の可飽和吸収層15にエッチングダメージが生じている。
この第5の実施形態によれば、第1および第3の実施形態と同様な利点を得ることができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、基板、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、構造、基板、プロセスなどを用いてもよい。
また、必要に応じて、上述の第1〜第5の実施形態のうちの二以上を組み合わせてもよい。
なお、溝16、17の底面から可飽和吸収層15の上面までの距離t2 をt2 >105nmに選び、これらの溝16、17にイオン注入を行うことによりこれらの溝16、17の底面の下方の可飽和吸収層15に例えばドライエッチングによるエッチングダメージと同程度の損傷を生じさせることによっても、可飽和吸収層15のキャリア寿命時間の低減を十分に図ることが可能である。
この発明の第1の実施形態によるGaN系半導体レーザを示す断面図である。 この発明の第1の実施形態によるGaN系半導体レーザの実施例の断面TEM写真を示す図面代用写真である。 この発明の第2の実施形態によるGaN系半導体レーザを示す断面図である。 この発明の第2の実施形態によるGaN系半導体レーザにおいてd1 とn値との相関を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態によるGaN系半導体レーザの長期寿命試験の結果を示す略線図である。 この発明の第3の実施形態によるGaN系半導体レーザを示す断面図である。 この発明の第3の実施形態によるGaN系半導体レーザにおける溝の底面から活性層の上面までの距離t1 とMTTFとの関係の測定結果を示す略線図である。 この発明の第3の実施形態によるGaN系半導体レーザのスペクトル特性の測定結果を示す略線図である。 この発明の第3の実施形態によるGaN系半導体レーザのコヒーレント特性の測定結果を示す略線図である。 比較例によるGaN系半導体レーザのスペクトル特性の測定結果を示す略線図である。 比較例によるGaN系半導体レーザのコヒーレント特性の測定結果を示す略線図である。 この発明の第4の実施形態によるGaN系半導体レーザを示す断面図である。 この発明の第5の実施形態によるGaN系半導体レーザを示す断面図である。 従来のGaN系半導体レーザを示す断面図である。 従来のGaN系半導体レーザの断面TEM写真を示す図面代用写真である。 従来のGaN系半導体レーザのSEM写真を示す図面代用写真である。 種々の金属のヤング率と剛性率との関係を示す略線図である。 種々の金属の線膨張係数を示す略線図である。 従来のGaN系半導体レーザを示す断面図である。
符号の説明
1…n型GaN基板、2…n型AlGaNクラッド層、3…n型GaN光導波層、4…活性層、5…アンドープInGaN光導波層、6…アンドープAlGaN光導波層、7…p型AlGaN電子障壁層、8…p型GaN/アンドープAlGaN超格子クラッド層、9…p型GaNコンタクト層、10…リッジストライプ、11…SiO2 膜、12…アンドープSi膜、13…p側電極、14…n側電極、15…可飽和吸収層、16、17…溝、18…絶縁膜

Claims (9)

  1. レーザ構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を有し、
    上記窒化物系III−V族化合物半導体層は、
    n側クラッド層と、
    上記n側クラッド層上のn側光導波層と、
    上記n側光導波層上の活性層と、
    上記活性層上のp側光導波層と、
    上記p側光導波層上の電子障壁層と、
    上記電子障壁層上のp側クラッド層と、
    上記p側クラッド層上のp型コンタクト層とを有し、
    上記p側光導波層の上部、上記電子障壁層、上記p側クラッド層および上記p型コンタクト層にリッジストライプが形成されてこのリッジストライプの中に上記電子障壁層が完全に含まれており、
    上記電子障壁層と上記リッジストライプの両側の部分の底面との間の距離が10nm以上であり、
    上記p型コンタクト層上にp側電極がそれらの界面で合金化することなく設けられ、
    上記p側電極の少なくとも一部分が、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜からなり、
    上記金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、上記金属積層膜の下からi番目の金属膜の剛性率および厚さをそれぞれGi およびti とし、上記金属積層膜の等価平均剛性率を
    Figure 0004882681
    と定義したとき、Ge ≦55GPaである半導体レーザ。
  2. 上記金属積層膜の合計の厚さが500nm以上であり、かつ、G e ≦50GPaである請求項1記載の半導体レーザ。
  3. 上記金属積層膜がPd、PtおよびNiからなる群より選ばれた少なくとも1種類の金属を含む請求項1または2記載の半導体レーザ。
  4. 上記金属積層膜を構成する上記n層の金属膜が互いに混ざり合っていない請求項1〜3のいずれか一項記載の半導体レーザ。
  5. 上記金属積層膜がPd、PtおよびNiからなる群より選ばれた少なくとも2種類の金属を含む請求項1または2記載の半導体レーザ。
  6. 上記金属積層膜を構成する上記n層の金属膜が互いに混ざり合っていない請求項5記載の半導体レーザ。
  7. 上記p側電極のうちの共振器端面から共振器長方向に少なくとも100μm以内の部分が上記金属積層膜からなる請求項1〜6のいずれか一項記載の半導体レーザ。
  8. 光源に半導体レーザを用い、
    上記半導体レーザとして、
    レーザ構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を有し、
    上記窒化物系III−V族化合物半導体層は、
    n側クラッド層と、
    上記n側クラッド層上のn側光導波層と、
    上記n側光導波層上の活性層と、
    上記活性層上のp側光導波層と、
    上記p側光導波層上の電子障壁層と、
    上記電子障壁層上のp側クラッド層と、
    上記p側クラッド層上のp型コンタクト層とを有し、
    上記p側光導波層の上部、上記電子障壁層、上記p側クラッド層および上記p型コンタクト層にリッジストライプが形成されてこのリッジストライプの中に上記電子障壁層が完全に含まれており、
    上記電子障壁層と上記リッジストライプの両側の部分の底面との間の距離が10nm以上であり、
    上記p型コンタクト層上にp側電極がそれらの界面で合金化することなく設けられ、
    上記p側電極の少なくとも一部分が、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜からなり、
    上記金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、上記金属積層膜の下からi番目の金属膜の剛性率および厚さをそれぞれG i およびt i とし、上記金属積層膜の等価平均剛性率を
    Figure 0004882681
    と定義したとき、G e ≦55GPaである半導体レーザを用いた光ピックアップ。
  9. 光源に半導体レーザを用い、
    上記半導体レーザとして、
    レーザ構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を有し、
    上記窒化物系III−V族化合物半導体層は、
    n側クラッド層と、
    上記n側クラッド層上のn側光導波層と、
    上記n側光導波層上の活性層と、
    上記活性層上のp側光導波層と、
    上記p側光導波層上の電子障壁層と、
    上記電子障壁層上のp側クラッド層と、
    上記p側クラッド層上のp型コンタクト層とを有し、
    上記p側光導波層の上部、上記電子障壁層、上記p側クラッド層および上記p型コンタクト層にリッジストライプが形成されてこのリッジストライプの中に上記電子障壁層が完全に含まれており、
    上記電子障壁層と上記リッジストライプの両側の部分の底面との間の距離が10nm以上であり、
    上記p型コンタクト層上にp側電極がそれらの界面で合金化することなく設けられ、
    上記p側電極の少なくとも一部分が、n層(nは2以上の整数)の金属膜を含む金属積層膜からなり、
    上記金属積層膜の合計の厚さが300nm以上であり、かつ、上記金属積層膜の下からi番目の金属膜の剛性率および厚さをそれぞれG i およびt i とし、上記金属積層膜の等価平均剛性率を
    Figure 0004882681
    と定義したとき、G e ≦55GPaである半導体レーザを用いた光ディスク装置。
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