JP4882472B2 - イルミネーション用発光装置 - Google Patents

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Description

本願発明は、発光装置に関し、特に、発光素子を有するイルミネーション用発光装置に関する。
発光素子を用いた発光装置は、小型で電力効率が良く鮮やかな色の発光をする。また、該発光素子は半導体素子であるため球切れなどの心配がない。さらに初期駆動特性が優れ、振動やオン・オフ点灯の繰り返しに強いという特徴を有する。このような優れた特性を有するため、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いる発光装置は、各種の光源として利用されている。また、発光素子を用いた発光装置として、発光素子に蛍光体を含有する樹脂を塗布するものが知られている。蛍光体が発光素子からの光の一部を吸収して波長変換することにより、発光素子からの光と蛍光体からの光との混色光を得ることができる。例えば、セリウムにより付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物系(以下、YAGという)蛍光体を含有するエポキシ樹脂を、窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層を備えた青色発光が可能な発光素子に塗布することによって、白色光を得ることが一般的に行われている。
また、従来の半導体発光装置として以下の構成を有するものがある。図7、図8は、発光素子70、80が基台の凹部内に配置されており、その発光素子の上部及び周辺は蛍光体74、84を含有する透明なシリコーン樹脂73、83で覆われている。発光素子は電力供給を受けて発光し、その光の一部を吸収し波長変換して発する蛍光と混合して混色光を得ている(特許文献1参照)。また、図9に示すように、基台の凹部内に配置された発光素子90が樹脂で封止され、さらにその樹脂の上部に蛍光体を含有する樹脂94が被覆されているもの(特許文献2参照)や、図10に示すように、封止樹脂103に含有される蛍光体104と発光素子100とが離れて配置されたもの(特許文献3参照)が挙げられる。いずれの発光装置も発光素子100からの光は全て蛍光体104を含有する樹脂103を透過することにより、発光素子100からの光の一部が蛍光体104で波長変換され、均一な混色光を得ている。
特開2002−314142号公報 実登3048368号公報 特開2000−49389号公報
しかし、従来の発光装置は、発光素子が蛍光体を含有する樹脂に覆われており、発光素子からの光と蛍光体により波長変換された光を均一に混色することを前提とした構造となっている。このため、混色後の光は単色としてしか観測することができず、イルミネーション用としては華やかさに欠け十分満足できるとは言えない。
特に、特許文献3に記載された従来の発明(図10)においては、蛍光体104を封止樹脂部材103内で沈降させることにより、封止樹脂部材103の先端へ移動させている。このため、実際にこの発光装置を製造する場合、蛍光体104を図10の位置に移動させるよう調整することは非常に困難である。つまり、蛍光体104は発光素子100付近にも残ってしまい、全体的にグラデーション状に蛍光体104が配置された状態で封止樹脂部材103が硬化されることになる。また、発光素子100付近に蛍光体104が残らないよう完全に移動させてしまっては、含有される殆どの蛍光体104が封止樹脂部材103の先端に偏りすぎるために均一な混色光を得ることができない。したがって、特許文献3に記載された発明は実際の製造工程上、蛍光体104がどうしても発光素子100付近にも残ってしまうことになる。このことは、均一な混色後の光を得ることが課題の1つでもある特許文献3に記載された発明ではそれほど問題にならない。しかし、華やかなイルミネーション用の発光装置としては十分満足できるものとは言えない。
そこで、本発明は、イルミネーションに適した華やかな発光を可能とする発光装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、前記課題は次の手段により解決される。
本発明は、基台と、前記基台に載置される発光素子と、前記発光素子を被覆する被覆部材と、前記被覆部材中に含まれ、前記発光素子からの光を波長変換する蛍光物質と、を有する発光装置であって、前記被覆部材は、前記発光素子を被覆する第1の層の上に、少なくとも第2の層および第3の層が積層されており、前記第2の層は前記基台から離れて配置されており、前記第2の層および前記第3の層には蛍光物質が含有されている発光装置に関する。これにより、少なくとも2色以上の光を観測することができ、イルミネーションに適した華やかな発光を可能とする発光装置を提供することができる。
前記被覆部材は、先端部からテーパー状に広がる砲弾型であることが好ましい。光を個別に外部へ放出し易くするためである。
前記第1の層は、前記蛍光物質が0.1重量%以下、若しくは、前記蛍光物質が含有されておらず、前記第3の層は、前記蛍光物質が80重量%以上であることが好ましい。発光素子からの光を蛍光物質に反射させ、外部へ放出させるためである。また、発光素子からの光が第1の層を透過して外部へ放出し易くするためである。
前記基台は底面と側面を持つ凹部を有し、前記発光素子は前記基台の凹部の底面に載置されており、前記第1の層は、前記基台の凹部の側面に沿って延びる直線と前記被覆部材の表面とが交わる点よりも下方にあり、前記第3の層は、前記基台の凹部の直上と前記被覆部材の表面とが交わる点よりも上方にあり、前記第2の層は、前記第1の層と前記第3の層との間にあることが好ましい。さらにイルミネーションに適した華やかな発光を可能にするためである。
前記被覆部材は第3の層から第1の層まで達する凹部を有することができる。これにより、発光装置に対して側方への光を凹部で反射または屈折させて、上方にも光を放出できる。
本発明は、基台と、前記基台に載置される発光素子と、前記発光素子を被覆する被覆部材と、前記被覆部材中に含まれ、前記発光素子からの光を波長変換する蛍光物質と、を有する発光装置であって、前記発光装置は、前記発光素子からの第1の光と、前記発光素子および蛍光物質からの光が混合された第2の光と、前記蛍光物質からの第3の光と、を有し、前記第1の光、前記第2の光及び前記第3の光は、前記発光装置の側方からそれぞれ個別に観測することができる発光装置に関する。これにより、イルミネーションに適した華やかな発光を可能とする発光装置を提供することができる。ただし、本明細書における各光、例えば第1乃至3の光は発光装置に電圧(電流)をかけることにより発光させたものを言う。
前記第1の光、前記第2の光及び前記第3の光は、前記発光装置の上方からそれぞれ個別に観測するものもできる。また、前記被覆部材の先端部から前記発光素子側に向かって、前記第3の光、前記第2の光、前記第1の光の順に観測するものもできる。これにより、発光装置の各方向に対してイルミネーションに適した華やかな発光を可能にする。
前記発光装置は、さらに、前記発光素子からの光が前記蛍光物質で反射される第4の光を有し、前記第4の光は、前記発光装置の側方から観測することができることが好ましい。第4の光は第2乃至3の光と見え方が異なり、発光装置の発光時の華やかさを向上させることができる。
前記第1の光が前記被覆部材を介して観測できるように、前記蛍光物質は前記発光素子から離れて配置されていることが好ましい。これにより、第1の光が被覆部材を透過している様子が観測することができ、発光装置の華やかさを向上させることができる。
本発明は、被覆部材と蛍光物質とを混合し、金型に注入する第1の工程と、前記蛍光物質を含有する前記被覆部材を半硬化する第2の工程と、前記被覆部材を前記金型に注入した後、発光素子が設けられた基台を前記金型に挿入する第3の工程と、前記被覆部材を硬化する第4の工程と、を有する。これにより、蛍光物質が発光素子付近に配置されることを防ぐことができ、イルミネーションに適した華やかな発光が可能な発光装置を容易に製造することができる。ただし、第2の工程の蛍光物質を含有する被覆部材を半硬化した状態で、第3の工程のように被覆部材を配置したときに界面が生じたとしても、本明細書における界面ではないものとする。本明細書における界面は、第2の工程で蛍光物質を含有する被覆部材を本硬化した状態で、第3の工程のように被覆部材を配置したときに生じるものをいう。
本発明によれば、イルミネーションに適した華やかな光を演出可能な発光装置を提供することができる。
以下に添付した図面を参照しつつ、本発明の実施するための最良の形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係る発光装置は、以下の構成を採る。図1は、第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略図である。図2は、第1の実施の形態に係る発光装置を発光させた際の光路を示す概略図である。図3は、第1の実施の形態に係る発光装置を発光させた際の照射面の像を示す概略図である。
(構成)
図1に示すように、第1の実施の形態に係る発光装置は、発光素子10と基台11と導電性部材12と被覆部材13と蛍光物質14とを備える、いわゆる砲弾型発光装置である。基台11は凹部を有しており、発光素子10は基台11の凹部に載置する。導電性部材12は発光素子10と基台11とを電気的に接続する。被覆部材13は、先端部からテーパー状に広がる砲弾型である。これにより、光を個別に外部へ放出し易くすることができる。被覆部材13の第1の層15は、発光素子10、基台11の一部及び導電性部材12を被覆し固定する。第1の層15は蛍光物質14の含有量が極めて少ない、若しくは、含有しない。第1の層15の上部には、被覆部材13の第2の層16が積層される。第2の層16は、基台11との間に第1の層15を有するよう基台11から離れて位置する。これにより、少なくとも発光素子10からの光の一部は、蛍光物質14により波長変換された光と混色することなく、そのまま外部へ放出することができる。さらに、発光素子10からの光を第1の層15を介して観測することができる。第2の層16は、蛍光物質14を含有する。第2の層16の上部には、被覆部材13の第3の層17が積層される。第3の層17は、第2の層16よりも蛍光物質14を多く含有する。また、第3の層17の厚さは、第2の層16よりも薄い。これは、第2の層16を通り外部へ放出される光が増えるためである。また、被覆部材13の第1乃至3の層の各境界には界面が無い。
(作用及び効果)
上記の構成より、図2に示すように、第1の実施の形態に係る発光装置は、第1の光200と第2の光202と第3の光204とを少なくとも有することができる。第1の光200は、発光素子20からの光が被覆部材23の第1の層25を通り外部へ放出される光であり、被覆部材23を介して観測することができる。第2の光202は、発光素子20からの光が第2の層26を通り、その一部が蛍光物質24により波長変換され外部へ放出される混色光である。第3の光204は、発光素子20からの光が第2の層26及び第3の層28を通り蛍光物質24により波長変換され外部へ放出される光である。このように、第1の光200、第2の光202、第3の光204は、第1の層25、第2の層26、第3の層27を透過しそれぞれ外部へ放出されるため、その層ごとに放出される第1の光200、第2の光202、第3の光204が発光装置の側方からそれぞれ個別に観測することが可能となる。図3に示すように、発光装置の上方からも第1の光300、第2の光302、第3の光304を個別に観測することができる。さらに、第1の光200、第2の光202、第3の光204は、被覆部材23の先端部から発光素子20に向かって、第3の光204、第2の光202、第1の光200の順に観測することができる。これに対し、従来の発光装置は、被覆部材の全体に蛍光体24がグラデーション状に配置されるため、外部へ放出される混色光全体がグラデーション状となる。このため、第1の実施の形態に係る発光装置は、従来の発光装置とは少なくとも光の見え方が異なる。
したがって、第1の実施の形態に係る半導体発光装置は、発光素子10からの光と蛍光物質24により波長変換された光とが混色されることなく個々に少なくとも2色以上の光が観測されることを可能にし、イルミネーションに適した華やかな光を得ることができる。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る発光装置は、以下の構成を採る。図4は、第2の実施の形態に係る発光装置および発光装置を発光させた際の光路を示す概略図である。
(構成)
第2の実施の形態に係る形態は、第1の層45および第3の層47に含有させた蛍光物質44の量以外は、第1の実施の形態とほぼ同様の構成を採る。ほぼ同様の構成を採る部分については説明を省略する部分もある。
第2の実施の形態に係る発光装置は、発光素子40と基台41と導電性部材42と被覆部材43と蛍光物質44とを備える、いわゆる砲弾型発光装置である。発光素子40は基台41に載置されており、発光素子40と基台41とは導電性部材42により電気的に接続されている。発光素子40、基台41の一部及び導電性部材42は、被覆部材43の第1の層45により覆われている。第1の層45に含有される蛍光物質44の量としては、被覆部材43に対して0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下であり、さらに好ましくは蛍光物質44を含有しない。第1の層45の上部には、被覆部材43の第2の層46が積層されている。第2の層46は第1の層45よりも蛍光物質44を多く含有する。第2の層46と第1の層45とに含有される蛍光物質44の量には1重量%以上、好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上の差がある。第2の層46は基台41との間に第1の層45を有することにより、基台41の凹部に載置される発光素子40と第2の層46とが離れて配置される。これにより、少なくとも発光素子40からの光の一部は、蛍光物質44により波長変換された光と混色することなく、そのまま外部へ放出することができる。さらに、発光素子10からの光を第1の層15を介して観測することができる。第2の層46の上部には、第2の層46よりもさらに蛍光物質44を多く含有する第3の層47が積層されている。第3の層47は蛍光物質を80重量%以上好ましくは90重量%以上であり、さらに好ましくは95重量%以上含有する。第3の層47と第2の層46とに含有される蛍光物質の量には1重量%以上、好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上の差がある。また、第3の層47の厚さは、第2の層46よりも薄いほうが第2の層46を通り外部へ放出される光が増えるため好ましい。また、被覆部材43の第1乃至3の層の各境界には界面が無い。
(作用及び効果)
上記の構成より、第2の実施の形態に係る発光装置は、第1の光400と第2の光402と第3の光404とを少なくとも有し、さらに、第4の光406を有することができる。第1の光400は、発光素子40からの光が被覆部材43の第1の層45を通り外部へ放出される光である。第2の光402は、発光素子40からの光が第2の層46を通り、その一部が蛍光物質44により波長変換され外部へ放出される混色光である。第3の光404は、発光素子40からの光が第2の層46及び第3の層47を通り、蛍光物質44により波長変換され外部へ放出される光である。第4の光406は、発光素子40からの光が第2の層46を通り、少なくとも第3の層47に含有される蛍光体物質44に反射され波長変換された反射光として第1の層45から外部に放出される光である。第4の光406は、少なくとも発光装置の側方から観測することができる。ただし、第4の光406は、上記の構成を有するとき(第2の実施の形態に係る発光装置)のみに観測される光ではなく、上記の構成を有することにより、さらに明確に観測することが可能となる光である。これにより、第2の実施の形態に係る発光装置は、「第1の実施の形態」に記載された効果をさらに向上させるだけではなく、反射光である第4の光406が外部へ放出される様子を、第1の層45から観測することができる。さらに、その第4の光406の中を透過している発光素子40からの光も同時に第1の層45を介して観測することができる。これに対し、蛍光物質が発光素子付近にも含有される従来の発明は、発光素子40からの光を外部から直接観測することは不可能であり、第1の層45で波長変換された光がそのまま外部に放出される。このため、第2の実施の形態に係る発光装置は、従来の発明とは少なくとも光の見え方が異なる。
したがって、第2の実施の形態に係る半導体発光装置は、発光素子40からの光と蛍光物質44により波長変換された光とが混色されることなく個々に少なくとも2色以上の光が観測されることを可能にし、さらにイルミネーションに適した華やかな光を得ることができる。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態に係る発光装置は、以下の構成を採る。図5は、第3の実施の形態に係る発光装置および発光装置を発光させた際の光路を示す概略図である。
(構成)
第3の実施の形態に係る発光装置は、第1の層55、第2の層56および第3の層57の配置を限定したこと以外は、第1及び2の実施の形態とほぼ同様の構成を採る。ほぼ同様の構成を採る部分については説明を省略する部分もある。
第3の実施の形態に係る発光装置は、発光素子50と基台51と導電性部材52と被覆部材53と蛍光物質54とを備える、いわゆる砲弾型発光装置である。基台51は、底面と側面とを持つ凹部を有する。発光素子50は、基台51の凹部の底面に載置する。被覆部材53の第1の層55は、発光素子50、基台51の一部および導電性部材52を被覆し固定する。第1の層55は、基台51の凹部の側面に沿って延びる直線と被覆部材53の表面とが交わる点よりも下方にある。第1の層55の上部には、被覆部材53の第2の層56が積層される。第2の層56は、蛍光物質54を含有する。第2の層56の上部には、被覆部材53の第3の層57が積層される。第3の層57は、基台51の凹部の直上と被覆部材53の表面が交わる点よりも上方にある。第3の層57は、第2の層56よりも蛍光物質54を多く含有している。
(作用及び効果)
上記の構成より、第3の実施の形態に係る発光装置は、第1及び2の実施の形態とほぼ同様に、第1の光500と第2の光502と第3の光504とを少なくとも有することができる。さらに、第3の実施の形態に係る発光装置は、基台51の凹部の側面で反射される光506が、第2の層56及び第3の層57を透過するよう効率よく集光できる。このため、第2の層56及び第3の層57から外部へ放出される光を強めることが可能である。
これによっても、第3の実施の形態に係る半導体発光装置は、発光素子50からの光と蛍光物質54により波長変換された光とが混色されることなく個々に少なくとも2色以上の光が観測されることを可能にし、さらにイルミネーションに適した華やかな光を得ることができる。
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態に係る発光装置は、以下の構成を採る。図6は、第4の実施の形態に係る発光装置および発光装置を発光させた際の光路を示す概略図である。
(構成)
第4の実施の形態に係る形態は、被覆部材63に凹部を有すること以外は、第1乃至3の実施の形態とほぼ同様の構成を採る。ほぼ同様の構成を採る部分については説明を省略する部分もある。
第4の実施の形態に係る発光装置は、発光素子60と基台61と導電性部材62と被覆部材63と蛍光物質64とを備える、いわゆる砲弾型発光装置である。被覆部材63の端部には凹部を有しており、その凹部は被覆部材63の第3の層67から第1の層65まで達している。被覆部材63の凹部は、発光素子60の直上にあるほうが好ましい。これにより、被覆部材63の凹部にあたる光を発光装置の外部へ均一に放出できる。被覆部材63の凹部の形状は、発光装置の少なくとも側方へ光を反射及び/又は屈折することができる形状が好ましく、特に好ましくは錘状である。
(作用及び効果)
上記の構成より、第4の実施の形態に係る発光装置は、第1乃至3の実施の形態とほぼ同様に第1乃至3の光を有することができる。さらに、第4の実施の形態に係る発光装置は、発光素子60からの光を被覆部材63の凹部により反射及び/又は屈折することができる。これにより、第1の層65から発光装置の上方へ放出される光602と、第2の層66から発光装置の上方へ放出される光604と、第3の層67から発光装置の上方へ放出される光606とを有し、さらに、第1の層65から発光装置の側方へ放出される光601と、第2の層66から発光装置の側方へ放出される光603と、第3の層67から発光装置の側方へ放出される光605とを有することができる。特に、発光装置の側方へ放出される光を強めることができる。
これによっても、第4の実施の形態に係る半導体発光装置は、発光素子60からの光と蛍光物質64により波長変換された光とが混色されることなく個々に少なくとも2色以上の光が観測されることを可能にし、さらにイルミネーションに適した華やかな光を得ることができる。
以下、上記した実施の形態における各構成について詳述する。
(発光素子)
発光素子は、基板上にGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものを用いることができる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層は、量子効果が生ずる薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造としても良い。発光素子は同一面側に電極を有するものを使用しているが、上下面に電極を有するものも使用することができる。また、ワイヤを用いずに、基台に発光素子をフェイスダウン実装することもできる。
発光素子は、1個に限られず複数個用いることができる。また、発光素子は紫外線から赤外光までの光を発するものを使用することができるが、可視光の光を発するものが好ましい。発光素子は、蛍光物質の吸収スペクトル、発光スペクトルや発光装置の発光色等によって適宜変更するが、発光ピーク波長が360nm乃至470nmにあることが好ましい。発光ピーク波長が300nm以下であると蛍光物質を保持する被覆部材が劣化してしまうからである。
(基台)
基台は凹部を有する。基台は、砲弾型の発光装置に用いるリードだけに限られず、樹脂やセラミックスを用いるパッケージにも応用することができる。リードは、電気伝導性性の良い部材を用いる。基台の凹部の底面には、発光素子を載置する。基台の凹部の側面は、発光素子からの光を反射して、上方に光を放射する。
(導電性部材)
導電性部材としては、発光素子の電極とのオーミック性、機械的接続性、電気伝導性および熱伝導性が良いものが求められる。熱伝導率としては50w/(m・k)以上が好ましく、より好ましくは、200w/(m・k)以上である。また、作業性などを考慮して導電性部材の直径は、好ましくは10μm以上、45μm以下である。このような導電性部材として、具体的には、金、銅、白金、アルミニウム等の金属およびそれらの合金を用いたワイヤが挙げられる。このような導電性部材は、ワイヤボンデイング装置によって、発光素子と内部端子との間に容易にボンデイング接続させることができる。
(蛍光物質)
蛍光物質は、発光素子からの光を吸収し異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に付活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。このうちCeで付活されるイットリウム・アルミニウム酸化物を用いて説明するが、これに限定されない。
(被覆部材)
被覆部材は、第1の層、第2の層、第3の層を少なくとも有している。第1の層の上部には第2の層が積層され、その第2の層の上部には第3の層が積層される。第1の層、第2の層、第3の層は、被覆部材に対してそれぞれ10分の1以上の厚みを有し、好ましくは6分の1以上の厚みを有する。被覆部材には、少なくとも1種類の蛍光物質を含有することができる。また、本明細書における第1の層、第2の層、第3の層には明確な境界は無く、含有する蛍光物質の密度によるものである。なお、界面によるものでは無い。第1の層は、被覆部材に対して蛍光物質を含有する量が0.1重量%以下、または蛍光物質を含有しない。第2の層の密度は、第1の層の密度よりも10倍以上高く、好ましくは20倍以上、さらに好ましくは40倍以上である。第3の層の密度は、第2の層の密度よりも2倍以上高く、好ましくは4倍以上、さらに好ましくは8倍以上である。
被覆部材を構成する具体的材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、アクリル樹脂、イミド樹脂及びユリア樹脂などを用いることができる。このうち、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂が好ましい。耐熱性、耐光性に優れているからである。被覆部材は、例えば、樹脂の粘度や揮発性、滴下条件等を調整することで、含有する蛍光物質の分布状態を調整することができる。また、所定の波長をカットする目的で有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させることもできる。
(発光装置の製造方法)
実施の形態に係る発光装置の製造方法について、第1の実施の形態に係る発光装置を用いて説明する。
第1の実施の形態に係る発光装置は、基台11と、基台に載置される発光素子10と、発光素子を被覆する被覆部材13と、被覆部材中に含まれ、発光素子からの光を波長変換する蛍光物質14と、を有する。
被覆部材13と蛍光物質14を混合し、金型に注入する(第1の工程)。金型は、先端部からテーパー状に広がる砲弾型のほうが好ましい。
蛍光物質14を含有する被覆部材13を半硬化する(第2の工程)。蛍光物質14は半硬化する際の熱により、被覆部材13の中で沈降する。これにより、被覆部材13は蛍光物質14を少なくとも2層に配置することができる。このときの沈降状態は、選択した熱硬化性樹脂に応じて硬化温度及び硬化時間を適宜調整することで選択することができる。また、第2の工程を繰り返すことにより、被覆部材13に配置される蛍光物質14の層を2層以上設けることもできる。
被覆部材13を金型に注入した後、発光素子10が設けられた基台11を金型に挿入する(第3の工程)。この被覆部材13は、蛍光物質14が含有されておらず、発光素子10及び基台11の一部を被覆する。このとき、発光素子10は、第2の工程で設けられた蛍光物質14を含有する被覆部材13から離れて配置する。
被覆部材13を硬化する(第4の工程)。
以上の工程を経ることにより発光装置を製造することができる。
(実施例1)
実施例1は、第1の実施の形態とほぼ同様の形態を採る。同様な構成を採る部分については説明を省略する部分もある。実施例1について、図1を用いて説明する。実施例1は、発光素子10と基台11と導電性部材12と被覆部材13と蛍光物質14とを備え、被覆部材13は先端部からテーパー状に広がる砲弾型である。
なお、発光素子10として窒化ガリウム系化合物半導体、被覆部材13としてエポキシ樹脂、蛍光物質14としてYAG系蛍光体を用いる。
基台(リードフレーム)11は凹部(カップ部)を有しており、発光素子10は基台11の凹部に載置する。導電性部材(ワイヤ)12は発光素子10と基台11とを電気的に接続する。被覆部材13の第1の層15は、発光素子10、基台11の一部及び導電性部材12を被覆し固定する。第1の層15は、蛍光物質14の含有量が0.01重量%以下である。第1の層15の上部には、被覆部材13の第2の層16が積層される。第2の層16は、基台11との間に第1の層15を有するよう基台11から離れて配置する。第2の層16は蛍光物質14の含有量が3重量%以上5重量%未満である。第2の層16の上部には被覆部材13の第3の層17が積層されており、第3の層17は第2の層16よりも多く蛍光物質14を含有する。第3の層17は蛍光物質14の含有量が95重量%以上である。また、第3の層17の厚さは、第2の層16よりも薄い。
以上のようにして作製した砲弾型発光装置は、イルミネーションに適した華やかな発光が可能である。
第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略図である。 第1の実施の形態に係る発光装置を発光させた際の光路を示す概略図である。 第1の実施の形態に係る発光装置を発光させた際の照射面の像を示す概略図である。 第2の実施の形態に係る発光装置および発光装置を発光させた際の光路を示す概略図である。 第3の実施の形態に係る発光装置および発光装置を発光させた際の光路を示す概略図である。 第4の実施の形態に係る発光装置および発光装置を発光させた際の光路を示す概略図である。 従来の発光装置を示す概略図である。 従来の発光装置を示す概略図である。 従来の発光装置を示す概略図である。 従来の発光装置を示す概略図である。
符号の説明
10、20、30、40、50、60、70,80,90、100 発光素子
11、21、31、41、51、61、71、81、91、101 基台
12、22、32、42、52、62、72、82、92、102 導電性部材
13、23、33、43、53、63、73、83、93、103 被覆部材
14、24、34、44、54、64、74、84、94、104 蛍光物質
15、25、35、45、55、65 第1の層
16、26、36、46、56、66 第2の層
17、27、37、47、57、67 第3の層
200、300、400、500、600 第1の光
202、302、402、502 第2の光
204、304、404、504 第3の光
406 第4の光
506 基台の凹部の側面で反射される光
601 第1の層から発光装置の側方へ放出される光
603 第2の層から発光装置の側方へ放出される光
605 第3の層から発光装置の側方へ放出される光
602 第1の層から発光装置の上方へ放出される光
603 第2の層から発光装置の上方へ放出される光
606 第3の層から発光装置の上方へ放出される光

Claims (4)

  1. 底面と側面を持つ凹部を有する基台と、
    前記基台の凹部の底面に載置される発光素子と、
    前記発光素子を被覆する第1の層と、前記第1の層の上部に積層された第2の層と、前記第2の層の上部に積層された第3の層と、を有する被覆部材と、
    前記被覆部材中に含まれ、前記発光素子からの光を波長変換する蛍光物質と、
    を有する発光装置であって、
    前記被覆部材は、前記第1の層が前記基台の凹部の側面に沿って延びる直線と前記被覆部材の表面とが交わる点よりも下方にあり、
    前記第3の層が前記基台の凹部の直上と前記被覆部材の表面とが交わる点よりも上方にあり、
    前記第2の層は前記基台から離れて配置されており、
    前記第1の層は、前記蛍光物質が0.1重量%以下、若しくは前記蛍光物質が含有されておらず、
    前記第2の層は、前記第1の層よりも前記蛍光物質が1重量%以上含有され、
    前記第3の層は、前記蛍光物質が80重量%以上含有されており、前記第3の層が含有する蛍光物質の密度は前記第2の層が含有する蛍光物質の密度よりも2倍以上高いことを特徴とする発光装置。
  2. 前記被覆部材は、先端部からテーパー状に広がる砲弾型であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記被覆部材は第3の層から第1の層まで達する凹部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
  4. 底面と側面を持つ凹部を有する基台と、
    前記基台の凹部の底面に載置される発光素子と、
    前記発光素子を被覆する第1の層と、前記第1の層の上部に積層された第2の層と、前記第2の層の上部に積層された第3の層と、を有する被覆部材と、
    前記被覆部材中に含まれ、前記発光素子からの光を波長変換する蛍光物質と、
    を有する発光装置であって、
    前記被覆部材は、前記第1の層が前記基台の凹部の側面に沿って延びる直線と前記被覆部材の表面とが交わる点よりも下方にあり、
    前記第3の層が前記基台の凹部の直上と前記被覆部材の表面とが交わる点よりも上方にあり、
    前記第2の層は前記基台から離れて配置されており、
    前記第1の層は、前記蛍光物質が0.1重量%以下、若しくは前記蛍光物質が含有されておらず、
    前記第2の層は、前記第1の層よりも前記蛍光物質が1重量%以上含有され、
    前記第3の層は、前記蛍光物質が80重量%以上含有されており、前記第3の層が含有する蛍光物質の密度は前記第2の層が含有する蛍光物質の密度よりも2倍以上高い発光装置の製造方法であって、
    被覆部材と蛍光物質とを混合し、金型に注入する第1の工程と、
    前記蛍光物質を含有する前記被覆部材を半硬化する第2の工程と、
    前記被覆部材を前記金型に注入した後、発光素子が設けられた基台を前記金型に挿入する第3の工程と、
    前記被覆部材を硬化する第4の工程と、を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
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