JP4881528B2 - その長さに沿って輝度が均一に見える光導波路照明装置 - Google Patents

Description

【０００１】
発明の分野
本発明は一般に、照明装置に関し、さらに詳細には、その長さに沿って輝度が実質的に均一であるように見える光導波路を提供するために光学品質光抽出構造物および拡散反射材料を有する光導波路照明装置に関する。
【０００２】
発明の背景
ガラスまたはポリマーなどの光学透過材料は、光を伝播するための光導波路として用いられる。光導波路は一般に、光源から光を受光するようになされた少なくとも１つの面および光導波路を通って伝播する光を反射するための光学的に滑らかな面を含む。光導波路の一般的な例としては、データ通信業界で伝統的に用いられていた光ファイバ、つい最近では照明目的のために用いられる光ファイバが挙げられる。たとえば、米国特許第５，４３２，８７６号（‘８７６号特許）は、光ファイバを用いたそのような照明装置を開示している。この装置では、光は、光ファイバの少なくとも１つの端部に入射されることができ、ファイバの長さに沿って１つまたは複数の所定の位置でファイバから射出することができる。光抽出構造物またはノッチが、光ファイバのコアに形成される。抽出構造物は、第１および第２の反射面を規定し、ファイバを通って軸方向に伝播する光の一部を半径方向に反射する。反射光は、内部全反射の原理に基づき、ファイバに沿って連続伝播するのに必要な臨界角より小さい角度で指向される。その結果、反射光は、ファイバから抽出される。ファイバが比較的鋭く曲げられるような先行技術に比べて、このシステムは、制御された方法でファイバから光を抽出する。
【０００３】
前述した光抽出構造物は、光学的に滑らかな面から形成されているため、反射光は、拡散反射ではなく内部全反射による。その結果、光は、ファイバに沿った抽出構造物の構成および配置によって決定されるパターンで光ファイバから放射される。一般に、比較的近い位置で見ると、個々の光抽出構造物からの光は、光の個別の線として現れる。すなわち、光ファイバは一般に、たとえば、蛍光の場合のように、その長さに沿った均一な照明を作成することはないように思える。たとえば、抽出構造物が互いから十分に隔てられている場合には、ファイバに沿って生成される照明パターンは、減じられた強度の範囲に関して交互に並ぶ光の一連の明るいストライプまたは線である。別の場合には、特に平たいパネル照明を設けるために用いられるプレーナ型光導波路において、光源の画像は、光導波路の下方に伝播されるため、結果として生じる照明パターンは光源の画像を含み、光導波路の面にわたって均一でない輝度レベルを形成する。
【０００４】
多くの用途では、その長さに沿って輝度が均一であるように見える光ファイバが望ましい。たとえば、そのような光ファイバは、ネオン照明の代わりに用いられることが可能であり、自己照明式の文字または字を形成するため、および建物の一部の輪郭を描くために用いられることが多い。
【０００５】
米国特許出願番号第０８／９５７５７３号は、クラッディングの内部に光抽出構造物として作用する凹凸のある領域または平らでない領域を利用する光ファイバ照明装置を開示している。凹凸のある領域は、拡散する方法で光を抽出する不規則な寸法に形成された突出物またはピットを含む。抽出された光は拡散されるため、光学的に滑らかな面から形成される抽出構造物によって抽出される光より、ファイバの長さに沿って輝度がより均一であるように見える。
【０００６】
残念なことに、凹凸のある領域は、光学品質ではなく、サイズおよび配向において不規則であるため、ファイバから半径方向に抽出される光の量を制御することは困難であり、この抽出技術によって高いレベルの輝度を実現することは一般に困難である。したがって、そのような凹凸のある領域は、光を拡散しやすくすると同時に、光学品質面から形成される光抽出構造物に比べて、光を抽出する際の効率がよくない。
【０００７】
減じられる輝度の問題を克服するために、前述の特許出願は、光ファイバの一部の周囲に配置された拡散反射シート材料を用いる。拡散反射シートは、反射光の大部分がファイバを通過するような角度で、ファイバを通じて光を反射するために用いられる。次に、別の方法で抽出され、見ている人から離れるように伝播されると推測される光を観測することができ、この光をファイバの観測可能な部分から抽出された光に輝度を加えることができる。その結果、本質的に、この光ファイバ照明装置は、主に抽出される光の見かけの量を増大させるために、拡散反射シートを用い、射出光を抽出するほか、拡散させるために、クラッディングの凹凸のある部分を用いる。
【０００８】
しかし、光を抽出する場合により効率的であるために、ファイバから光を抽出するために、クラッディングの凹凸のある部分ではなく、光学品質光抽出構造物を用いることが有利であると推測される。残念なことに、そのような抽出技術を用いる装置は一般に、その長さに沿って離散的で、輝度の均一でない領域を有するように見える。
【０００９】
したがって、本発明は、輝度を強化する比較的効率的な方法で光を抽出する照明装置を提供すると同時に、その長さに沿って一様または均一な照明を形成するという問題に関する。
【００１０】
発明の開示
本発明は、光抽出を実現するための光学品質抽出構造物と、抽出された光を拡散反射するための拡散反射層と、を用いることによってこの問題を克服する。したがって、最も効率的な素子が光を抽出するために用いられ、最も適切な要素である拡散反射層が光を拡散反射するために保持される。
【００１１】
本発明は、中を通って光を伝播するための光学的に滑らかな面を有する光導波路コアを有する光導波路を含む照明装置を提供する。コアの一部に沿って延在する発光領域は、光導波路コアの光学的に滑らかな面に沿って位置する少なくとも１つの光抽出構造物を含む。光抽出構造物は、光導波路コアの中に延在する光学的反射面を含み、光導波路コアを通って伝播するために光に必要な臨界角より小さい角度で光を反射するように指向される。拡散反射シート材料は、光導波路の少なくとも一部の周囲に配置される。拡散反射材料は、光が光学的に滑らかな面の発光領域を通って放射されるように、光抽出構造物によって導波路の中を戻るように反射される光の少なくとも一部を指向する。
【００１２】
本発明の一態様によれば、光導波路は光ファイバであってもよい。さらに、光導波路は、円形または非円形の断面形状を備えていてもよく、プレーナ型導波路であってもよい。
【００１３】
本発明のさらに別の態様によれば、拡散反射シート材料波ポリマーシート材料である。あるいは、拡散反射シート材料は、マイクロボイドシート材料、ポリテトラフルオロエチレンなどの微小孔性材料または熱誘発相分離によって形成される材料であってもよい。
【００１４】
別の態様によれば、照明装置は、複数の光抽出構造物を含む。抽出構造物は、光学的に滑らかな面に沿って互いに等間隔で離隔されてもよい。あるいは、複数の光抽出構造物は、光学的に滑らかな面に沿って互いに等しくない間隔で離隔されてもよい。
【００１５】
特に有利な一実施形態において、光導波路は、アクリレートまたはウレタン材料などの重合可能な材料から形成される。
【００１６】
詳細な説明
光導波路照射装置
図１は、既知の照明装置の一部の側面図を示している。照明装置は、光導波路コアを有する光導波路１３０と、コアを包囲するクラッディングと、から形成される。コアの屈折率は、クラッディングの屈折率より大きいため、光導波路を通って、または光導波路に沿ってまたは光導波路の下方に進行する光は、内部全反射に基づいて、最小の損失で光導波路の面で反射される。最も簡素な場合には、クラッディングは周囲空気であってもよいため、個別のクラッディング材料を必要としない。図１に示された照明装置は、クラッディング材料を用いていない。
【００１７】
光導波路１３０は、その中に形成される１つ以上の光抽出構造物１１８_１，１１８_２，１１８_３，．．．を含む周囲面１１６を有する。周囲面１１６は、光抽出構造物１１８_１，１１８_２，１１８_３，．．．を含む第１の面部分１３１と、第１の面部分１３１に全く正反対の位置に位置する第２の面部分１３２を含む。各抽出構造物は、少なくとも１つの光学的に滑らかな面１２０_１，１２０_２，１２０_３，．．．を含む。動作中、光線１４０は、光抽出構造物１１８によって占有されていない周囲面１１６の一部に衝突し、光導波路の臨界角より大きい角度で光導波路を戻るように反射されるため、光導波路に沿って伝播し続ける。それに反して、光線１４２は、光抽出構造物１１８_１の光学的に滑らかな面１２０_１に衝突する。光学的に滑らかな面１２０_１は、光導波路１３０に沿って伝播し続けるために必要な臨界角より小さい角度で光導波路１３０の中に光線１４２を反射する。それによって、光線１４２は、周囲面１１６の第２の面部分１３２によって伝播される。前述したように、図１に示された照明装置は、光を抽出するときの効率が比較的よいが、光は拡散されず、ファイバの長さに沿って均一に見えないと思われる。
【００１８】
図２は、本発明によって構築された照明装置２３０の実施形態を示している。拡散反射層２５０が第２の面部分２３２に沿って設けられている点を除けば、この装置は、図１に示された照明装置と類似である。言い換えれば、拡散反射層２５０は、図１に示されている光線４２の経路を遮断するように配置されている。その結果、光導波路から放射されるのではなく、光線４２は、今度は光導波路コア２６０の中に戻るように拡散反射される。図２に示されているように、今度は光線２４２が、光導波路２３０に沿って連続伝播するのに必要な臨界角より小さい角度で周囲面２１６の第１の面部分２３１に衝突するため、光は、第１の面部分２３１を通って伝播される。したがって、図１に示されている既知の照明用光導波路に比べて、光は今度は光抽出構造物２１８_１，２１８_２，２１８_３，．．．が位置する周囲面２１６の部分２３１を通って本発明の照明装置から放射される。
【００１９】
本発明の重要な１つの利点は、光が制御され、かつ効率的な方法で光導波路から抽出されるが、光導波路は、たとえば、抽出構造物を離隔することによって生じる不均質性を経験することなく、輝度において均一であるように見えることである。
【００２０】
拡散反射層２５０は、光導波路２３０のコアと直接接触していてもよい。しかし、直接接触の結果、一部の光が反射層２５０によって抽出されてもよい。あるいは、図３に示されているような本発明の好ましい実施形態において、拡散反射層２５０によって抽出される光を妨げるために、クラッディング２５５がコアと拡散反射層２５０との間に介在していてもよい。図２および図３において、類似の要素は、類似の参照符号によって示されている。
【００２１】
拡散反射層２５０は、粒子、周囲のマトリックス、たとえば延伸によって生成または拡大される空気充填ボイドの屈折率の差によって拡散反射されるマイクロボイドを有する粒子充填シートから形成されてもよい。さらに、たとえば、燒結ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）からシートの形で製作される微小孔性材料は、拡散反射材料として作用することもできる。別の特に適切な拡散反射シート材料としては、ＴＩＰＳ（熱誘発性相分離）シート材料と呼ぶこともある微小孔性ポリオレフィン材料が挙げられる。そのような材料の例は、米国特許第４，５３９，２５１号、第４，７２６，９８９号、第４，８６７，８８１号に記載されている。ＴＩＰＳシート材料は一般に、連結孔の網状組織を形成するために、通路によって相互接続される隣接セルを備えた複数のセルを有する熱可塑性ポリマー構造物を含む。このシート材料は、少なくとも１つの方向に指向される。熱可塑性ポリマー構造物は、実質的に均質であってもよく、または構造物の間隙率が傾斜を呈してもよい。セルは一般に、ファイバ、レースまたは半連続境界によって包含された空間を含む。
【００２２】
本発明の好ましい実施形態において、図２に示される光導波路２３０は、光ファイバから形成されるが、本発明は光ファイバに制限されるわけではなく、光導波路の任意の形に適用可能であると認識すべきである。さらに、光導波路の断面は、円形である必要はなく、任意の所望の形状であってもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、本発明はプレーナ型導波路の使用も考えられる。
【００２３】
本発明は、光導波路に沿って構成および分散される光学品質光抽出構造物を有する光導波路を包含する。さらに詳細には、光抽出構造物のサイズおよび間隔は均一である必要はない。たとえば、本発明のいくつかの実施形態において、光導波路の長手軸に沿ってますます遠い位置で光抽出構造物の密度を増大させることが有利である場合もある。光源の近隣で抽出することから、光ファイバにおいて光の最大量を利用することができるために、そのような配置は、長手軸に沿って放射される光の輝度において均一性を向上させることができる。光が既に抽出されているため、減少量の光がコアのさらに下方で利用可能である。光源からの距離が増大するにつれて、光抽出構造物の密度（すなわち、ファイバの単位表面積当たりの光抽出構造物の総表面積）を増大させることにより、最小量の光の抽出は光源の最も近い位置で行われ、最大量の光の抽出は光源から最も遠い位置で行われる。
【００２４】
反射体２４３は、光源から遠い光導波路２３０の端部に組込まれてもよい。光導波路を通る最初の通過時に、光抽出構造物２１８_１，２１８_２，２１８_３，．．．のうちの１つによって放射されない光は、光抽出構造物によって放射される別の機会を有するように反射されると推測される。このように、光導波路２３０の中に指向されるすべての光の最大部分は、照明目的のために用いられる。反射体２４３の代わりに、光源は、光導波路の両端に設けられてもよい。この場合には、両方の光源の強度が等しいと仮定すると、光抽出構造物の密度は、光導波路の中間で最大であり、光導波路の両端に向かって減少することが好ましい。
【００２５】
本発明の照明装置は、線状に延在する光導波路に限定されるわけではないことを留意すべきである。さらに詳細には、光導波路は、所与の用途に望ましい任意の形状であってもよい。たとえば、ネオン照明の代わりに照明装置が用いられる場合には、光導波路は、文字、数字または他の記号に少なくとも部分的に似ているように構成されてもよい。
【００２６】
光導波路照射装置の製作
本発明の照明装置は、任意の所望の技術によって製作されることができる。１つの方法では、光抽出構造物は、光導波路自体に直接微小機械加工される。別の方法では、成形工程が用いられ、２個構成金型などの従来の金型を用いる。あるいは、金型は、「Ｍｅｔｈｏｄ ａｎｄ Ａｐｐａｒａｔｕｓ ｆｏｒ Ｓｅａｍｌｅｓｓ Ｍｉｃｒｏｒｅｐｌｉｃａｔｉｏｎ Ｕｓｉｎｇ ａｎ Ｅｘｐａｎｄａｂｌｅ Ｍｏｌｄ（拡張可能金型を用いたシームレス微小複製のための方法および装置）」米国特許出願番号第０９／０２６，８３６号に開示されたタイプの拡張可能な金型であってもよい。簡単に言えば、拡張可能な金型は、所望の完成品（すなわち光導波路）の形状に対応する略中空部分を有する可撓性材料から形成される。中空部分は、少なくとも１つの開口部を通ってアクセス可能である。中空部分は、金型の中空部分の形状を硬化する硬化性材料で満たされる。一旦、硬化すれば、金型物品の除去を容易にするように金型の壁を膨張させるために、完成品は、金型の内部と外部との間の圧力差を加えることによって除去される。拡張可能な金型に関するさらなる詳細は、前述の特許出願に見出されると思われる。当該特許は、本願明細書に反復されているかのごとく、図面を含めて完全に参照によって、本願明細書に包含されるものとする。
【００２７】
用いられる金型のタイプに関係なく、完成品を形成する硬化性材料は、実質的に光学的に透明な材料の中で硬化され、金型に組込まれて金型に悪影響を及ぼす温度および／または圧力条件で硬化されることができる任意の材料であってもよい。硬化性材料は、熱、放射または他の既知の工程によって硬化可能であってもよい。適切な硬化材料は、重合可能な配合物または混合物を含む。アクリレートは、透明度特性に関して好ましい硬化材料の部類である。ウレタンもまた、一定の配合のみが望ましい透明度特性を有するが、硬化中、収縮が最小である傾向があるため、望ましい部類の硬化材料である。用いることができるさらに別の硬化材料は、シリコーンである。
【００２８】
別の技術もまた、本発明の照明装置の製作に用いることができる。たとえば、米国特許第５，６３１，９９４号は、抽出構造物を組込むオーバーレイが設けられる方法に関する。光学的に透明基板から形成されるオーバーレイは、成形工程などの従来の製作工程によって製作される。オーバーレイをファイバコアに接着することができるように、接着剤バッキングが施される。
【００２９】
拡散反射層は、直接接触および屈折率整合光学接着剤をはじめとする任意の種々の手段によって光導波路に形成されてもよい。あるいは、反射層は、塗料と類似の方法で光導波路の上に直接被覆されることができる。反射層は、光導波路コアまたは存在するのであればクラッディングに形成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 光抽出構造物の働きを示す既知の照明装置の概略断面図である。
【図２】 本発明によって構築された照明装置の概略断面図である。
【図３】 クラッディング材料を用いる本発明の別の実施形態の概略断面図である。

Claims (5)

1. 中を通って光を伝播するための光学的に滑らかな面を有する光ファイバコアと、前記光ファイバコアの一部に沿って延在する発光領域と、を有する光ファイバを具備する照明装置であって、前記発光領域は、
   前記光ファイバコアの前記光学的に滑らかな面に沿って位置する少なくとも１つの光抽出構造物であって、前記光ファイバコア内に延在する光学的反射面を含み、前記光ファイバコアを通って伝播するために光に必要な臨界角より小さい角度で光を反射するように指向する光抽出構造物と、
   前記光ファイバコアを包囲するクラッディングと、
   前記光導波路の少なくとも一部の周囲に配置され、光が前記光学的に滑らかな面の前記発光領域を通って放射されるように、前記光抽出構造物によって前記光ファイバコアを通って戻るように反射される光の少なくとも一部を指向するための拡散反射材料と、を含むことを特徴とする照明装置。
2. 前記光ファイバコアの前記光学的に滑らかな面に沿って分散される複数の光抽出構造物をさらに含むことを特徴とする、請求項１に記載の照明装置。
3. 前記複数の光抽出構造物は、前記光学的に滑らかな面に沿って互いに等しくない間隔で離隔されることを特徴とする、請求項２に記載の照明装置。
4. 前記拡散反射材料は、前記クラッディングの一部の周囲に配置されることを特徴とする、請求項１に記載の照明装置。
5. 前記光ファイバは、文字数字または記号に少なくとも部分的に似せるために、所定の形状の形に構成されることを特徴とする、請求項１に記載の照明装置。

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