JP4881343B2 - 車両用車速センサの故障対応装置及び方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、2以上の車速センサを設け、いずれか1つの車速センサからの信号が急減速を示した後、所定時間内に他の車速センサからの信号が急減速を示さない場合には、上記1つの車速センサを異常(故障)と判断する技術が提案されている。この技術によれば、車速センサを、例えば車輪速センサのように、車輪と所定の関係で回転する部材から回転を検出しこれを車速として出力するもの(車輪速系の車速センサ)に構成した場合に、車速センサが正常であるにもかかわらず異常(故障)であると誤判定することを防止することができる。
一方、1つの車速センサに実際に異常が発生して信号が出力されなくなった場合には、この車速センサについては急滅速が検知されるが、他の車速センサについては急減速が検知されないため、異常が発生したと判断される。
しかしながら、上述のように、車速センサが故障していると判定してもこれがノイズや一時的な接触不良等に起因したものの場合もあり、このような場合に、故障コードがメモリに書き込まれると、車両の点検時に、この故障コードが検出され車速センサが故障していると認識し、センサの交換等の処理を行なってしまうことになり、不要な部品交換をしてしまうことになる。
そこで、車速センサが故障していると判断した時点、つまり、フェールセーフ制御を開始する時点で、故障コードをメモリに書き込み、その後、上述のように、車速センサが故障しているかの確認処理をして、この結果、もしも故障ではないと判断したら、この時点で、つまり、フェールセーフ制御を解除し、通常制御に復帰する時点で、メモリに書き込まれた故障コードをクリアすることが考えられる。
本発明の車両用車速センサの故障コード記録方法は、車両に備えられた第1車速センサの故障を、前記第1車速センサの検出値と前記車両に備えられた第2車速センサの検出値とから判定して、故障コード記録メモリに故障コードを書き込んで記録させる、車両用車速センサの故障対応方法であって、前記第1車速センサが前記車両の急減速を示す検出値を出力したときに、該出力時点に対して一定の時間範囲内において、前記第2車速センサも前記車両の急減速を示す検出値を出力したら前記第1車速センサは正常であり、前記第2車速センサは前記車両の急減速を示す検出値を出力しなければ前記第1車速センサは故障していると判定する故障判定ステップと、前記故障判定ステップにより前記故障が判定されると、前記車両の走行関連機器に対する制御に関し、前記第1車速センサ及び/又は前記第2車速センサの検出信号に基づいて行なう通常制御からフェールセーフ制御に切り替えるフェールセーフ制御切替ステップと、前記フェールセーフ制御中に、車速が低下して、前記第2車速センサの検出値が所定の速度領域内の値になったときに、前記第1車速センサの検出値も前記所定の速度領域内の値になった 前記フェールセーフ制御中に、車速が低下して、前記第2車速センサの検出値が所定の速度領域内の値になったときに、前記第1車速センサの検出値も前記所定の速度領域内の値になったか否かを判定する故障判定確認ステップと、前記第1車速センサの故障に対応した故障コードを故障コードメモリに書き込み記録する故障コード記録ステップと、前記故障判定確認手段により前記第1車速センサの検出値が前記所定の速度領域内の値にあると判定されたら、前記フェールセーフ制御を解除し前記通常制御に復帰させる復帰ステップとを備え、前記故障コード記録ステップでは、前記故障判定確認ステップにより、前記第1車速センサの検出値が前記所定の速度領域内の値にないと判定された時点で、前記第1車速センサの故障に対応した故障コードを故障コードメモリに書き込み記録すると共に、当該書き込み以降は前記通常制御への復帰に関わらず前記故障コードを保持し続けるように構成されていることを特徴としている。
さらに、こうして故障が判定されたフェールセーフ制御中に、車速が低下して、第2車速センサの検出値が所定の速度領域内の値になったときに、第1車速センサの検出値も所定の速度領域内の値になったら、フェールセーフ制御を解除し通常制御に復帰させるので、不要なフェールセーフ制御の継続を回避して、通常制御により車両の走行を良好に制御することが可能になる。
図1〜図4は本発明の一実施形態を説明するもので、図1はその車両の車速センサに関連する部分の構成を示す模式図、図2はその故障検出及び故障コード記録を説明するフローチャート、図3,図4はその故障コード記録を説明するタイムチャートである。
<車速センサに関連する駆動系の構成>
図1に示すように、車両(自動車)には、エンジン1と、エンジン1の出力軸(図示略)に連結され該出力軸の回転を変速する自動変速機2と、自動変速機2の出力軸(図示略)に連結されたプロペラシャフト3及びデファレンシャル4を介して左右の駆動軸5L,5Rに出力回転を伝達し、駆動軸5L,5Rにそれぞれ結合された駆動輪6L,6Rを回転駆動する。ここでは、後輪が駆動輪6L,6Rとなっており、前輪7L,7Rは非駆動輪(従動輪)となっている。
また、駆動輪6L,6Rには、各車輪速を検出する車輪速センサ9L,9Rが設けられ、非駆動輪7L,7Rには、各車輪速を検出する車輪速センサ10L,10Rが設けられており、これらの車輪速センサ9L,9R,10L,10Rは、アンチロックブレーキシステム(ABS)による制動力制御のために用いられるほか、第2車速センサ(車両側車速センサ)として車速センサ8の代替にも用いられる。なお、図1では、車輪速センサ9L,9Rが駆動軸5L,5Rの回転速度から車速を検出する構成となっているがこれに限定されるものではない。
自動変速機2の変速制御等を実施するために、自動変速機用コントロールユニット(ATCU、以下、コントローラという)11が備えられる。コントローラ11には、主要な機能として変速制御手段12が備えられる。変速制御手段12は、通常、車速センサ8により検出された車速情報と、スロットル開度情報或いはアクセル開度情報等のエンジンの負荷状態を示す情報(エンジン負荷情報)とに基づいて、図示しない変速マップにしたがって、シフトアップ或いはシフトダウンを行いながら自動変速機2の変速段を切り替える制御を行なう。
これらの車速センサの故障対応にかかる各手段について説明する。
変速制御手段12は、故障判定確認手段14により第1車速センサ8の故障は第1車速センサ8及び第2車速センサ9L,9R,10L,10Rの両方が前記の所定の速度領域内の値になったときには、フェールセーフ制御を解除し通常制御に復帰させる。また、これ以外の場合には、フェールセーフ制御を続行する。
本発明の一実施形態にかかる車両用車速センサの故障対応装置は上述のように構成されているので、図2に示すように、故障対応の処理を行なうことができる。
第1車速センサ(車速センサ1)8の減速度が設定値を超えたら、第2車速センサ(車速センサ2)9L,9R,10L,10Rが検出した減速度(車速値の単位時間当たりの減少量)を前記設定値(20km/50msec)と比較して、この減速度が設定値を超えたか否かを判定する(ステップS20)。
ここで、故障判定フラグFは、第2車速センサ9L,9R,10L,10Rが所定の速度領域内に入っても第1車速センサ8が所定の速度領域内に入らない場合に1とされ、そうでなければ0とされる。
そして、故障判定フラグFを0にリセットして(ステップS72)、今回の故障対応制御を終了する。
また、図示しないが、かかる故障対応制御は車両の停止によって終了する。
そして、この場合、自動変速機に対し、通常制御(通常の変速段切り替え制御)に代えてフェールセーフ制御(変速段切り替えの禁止)を実施するので、故障のおそれがある車速センサ8に基づいた不適切な制御を回避することができる。
一方、第2車速センサ9L,9R,10L,10Rの検出値が所定の速度領域内に入ってその後所定の速度領域外に出るまでに第1車速センサ8の検出値が所定の速度領域内の値にならなかったと判定したら、この時点で、第1車速センサ8の故障に対応した故障コードを故障コードメモリ20に書き込み、その後のフェールセーフ制御の解除に関わりなく書き込まれた前記故障コードを保持するので、第1車速センサ8に対し一度でも故障であると確認判定した場合には、故障コードメモリ20にこの旨が記録されることになり、その後のメンテナンスに有効に利用することができる。
また、シンプルなロジックで不要な故障コードの記録を回避しながら必要な故障コードの記録を実施することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
また、上記の実施の形態では、故障判定対象の第1車速センサとして、変速機の出力軸回転から車速を検出するものを例示し、故障判定に用いる第2車速センサとして、車輪速センサを例示しているが、第1,第2車速センサについてもこれらに限定されるものではない。
2 自動変速機
3 プロペラシャフト
4 デファレンシャル
5L,5R 駆動軸
6L,6R 駆動輪
7L,7R 非駆動輪(従動輪)第1車速センサ(AT側車速センサ)8
9L,9R,10L,10R 車輪速センサ(第2車速センサ、車両側車速センサ)
11 自動変速機用コントロールユニット(ATCU、コントローラ)
12 変速制御手段
13 故障判定手段
14 故障判定確認手段
15 故障コード記録手段
16 復帰手段
20 故障コードメモリ
Claims (3)
- 車両に備えられた第1車速センサ及び第2車速センサと、
前記第1車速センサが前記車両の急減速を示す検出値を出力したときに、該出力時点に対して一定の時間範囲内において、前記第2車速センサも前記車両の急減速を示す検出値を出力したら前記第1車速センサは正常であり、前記第2車速センサは前記車両の急減速を示す検出値を出力しなければ前記第1車速センサは故障していると判定する故障判定手段と、
前記故障判定手段により前記故障が判定されなければ、前記第1車速センサ及び/又は前記第2車速センサの検出信号に基づいて、前記車両の走行関連機器に対して通常制御を実施し、前記故障判定手段により前記故障が判定されると、前記走行関連機器に対し前記通常制御に代えてフェールセーフ制御を実施する制御手段と、
前記故障判定手段により前記故障が判定されると、前記フェールセーフ制御中に、車速が低下して、前記第2車速センサの検出値が所定の速度領域内の値になったときに、前記第1車速センサの検出値も前記所定の速度領域内の値になったか否かを判定する故障判定確認手段と、
前記第1車速センサの故障に対応した故障コードを故障コードメモリに書き込み記録する故障コード記録手段と、
前記故障判定確認手段により前記第1車速センサの検出値が前記所定の速度領域内の値にあると判定されたら、前記フェールセーフ制御を解除し前記通常制御に復帰させる復帰手段とを備え、
前記故障コード記録手段は、前記故障判定確認手段により、前記第1車速センサの検出値が前記所定の速度領域内の値にないと判定された時点で、前記第1車速センサの故障に対応した故障コードを故障コードメモリに書き込み記録すると共に、当該書き込み以降は前記復帰手段の作動状況に関わらず前記故障コードを保持し続けるように構成されている
ことを特徴とする、車両用車速センサの故障対応装置。 - 前記第1車速センサは前記車両に搭載された自動変速機の出力軸の回転速度から検出する変速機出力回転センサであって、
前記第2車速センサは車両の車輪の回転速度から検出する車輪速センサである
ことを特徴とする、請求項1記載の車両用車速センサの故障対応装置。 - 車両に備えられた第1車速センサの故障を、前記第1車速センサの検出値と前記車両に備えられた第2車速センサの検出値とから判定して、故障コード記録メモリに故障コードを書き込んで記録させる、車両用車速センサの故障対応方法であって、
前記第1車速センサが前記車両の急減速を示す検出値を出力したときに、該出力時点に対して一定の時間範囲内において、前記第2車速センサも前記車両の急減速を示す検出値を出力したら前記第1車速センサは正常であり、前記第2車速センサは前記車両の急減速を示す検出値を出力しなければ前記第1車速センサは故障していると判定する故障判定ステップと、
前記故障判定ステップにより前記故障が判定されると、前記車両の走行関連機器に対する制御に関し、前記第1車速センサ及び/又は前記第2車速センサの検出信号に基づいて行なう通常制御からフェールセーフ制御に切り替えるフェールセーフ制御切替ステップと、
前記フェールセーフ制御中に、車速が低下して、前記第2車速センサの検出値が所定の速度領域内の値になったときに、前記第1車速センサの検出値も前記所定の速度領域内の値になったか否かを判定する故障判定確認ステップと、
前記第1車速センサの故障に対応した故障コードを故障コードメモリに書き込み記録する故障コード記録ステップと、
前記故障判定確認手段により前記第1車速センサの検出値が前記所定の速度領域内の値にあると判定されたら、前記フェールセーフ制御を解除し前記通常制御に復帰させる復帰ステップとを備え、
前記故障コード記録ステップでは、前記故障判定確認ステップにより、前記第1車速センサの検出値が前記所定の速度領域内の値にないと判定された時点で、前記第1車速センサの故障に対応した故障コードを故障コードメモリに書き込み記録すると共に、
当該書き込み以降は前記通常制御への復帰に関わらず前記故障コードを保持し続けるように構成されている
ことを特徴とする、車両用車速センサの故障対応方法。
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