JP4880265B2 - インクジェット用インク、その製造方法、インクカートリッジ、インクジェット装置および画像形成方法 - Google Patents

インクジェット用インク、その製造方法、インクカートリッジ、インクジェット装置および画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、普通紙での印字特性に優れ、保存安定性も良好なインクジェット用インク、その製造方法、インクカートリッジ、インクジェット装置および画像形成方法に関するものである。
インクジェット記録方式は他の記録方式に比べてプロセスが簡単であるためフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られる利点がある。インクジェット用インクとしては各種の水溶性染料を水、または水と有機溶剤との混合液に溶解させた染料系インクが使用されているが、染料系インクは色調の鮮明性は優れているものの耐光性、耐水性に劣り、普通紙でのにじみも大きい欠点があった。一方カーボンブラックや各種の有機顔料を分散させた顔料系インクは染料系インクと比較して耐光性や耐水性に優れ、普通紙でのにじみも少なく好適である。
しかし顔料系インクは染料系インクと比べて顔料の凝集・増粘による吐出不良が生じやすい傾向がある。顔料系インクの原料となる顔料分散体としては大きく分けてカプセル型、自己分散型、高分子分散型、界面活性剤分散型の4種類がある。特許文献1(特開2001−247800号公報)に開示されるようなカプセル型分散体では製造工程上有機溶剤が不可欠であり環境に悪影響があるばかりではなく製造コストも高くなる傾向がある。また特許文献2(特許第3405817号公報)に開示されるような自己分散型分散体は酸化剤やジアゾカップリング剤のような化学薬品を用いる必要があるためやはり環境に悪影響があるばかりでなく、カラーの有機顔料では顔料に導入した親水基による顔料の溶け出し(染料化)が起こりやすく、インクの耐水性に劣る傾向がある。一方特許文献3(特許第2714240号公報)に開示されるような高分子分散型では分散に長時間を要するためやはり製造コストも高くなる傾向があり、顔料の微粒子化も困難である。
界面活性剤分散型では顔料と分散剤を混合後、分散を行うだけで分散体を得ることができ、かつ短時間で微粒子化できるため製造コストを安くすることができるが、他の方式の分散体と比較してインクの保存安定性が劣る傾向がある。特に近年、普通紙での高速印字対応、定着性向上のためにインク中の顔料や樹脂エマルジョン等の固形分濃度を上げた高濃度インクが開発されているが、このようなインクではインク中に分散されている固形分(顔料、樹脂エマルジョン)間の距離が短くなるため従来の顔料インクよりさらに保存安定性が劣る傾向がある。
界面活性剤分散型の分散体を使用し、保存安定性を向上させる方法として、特許文献4(特許第3625595号公報)や特許文献5(特許第3390153号公報)、特許文献6(特開2003−96342号公報)に記載されているように界面活性剤と高分子分散剤あるいはエマルジョン粒子を併用する方法があるが、確かに保存安定性は向上できるがこれらの分散体をもってしても普通紙高速印字における速乾性を確保するために高浸透性の界面活性剤を添加すると保存安定性が劣る傾向にある。また画像濃度や彩度等の画像品位も更なる向上が求められている。
また、特許文献7(特開2004−169008号公報)には顔料、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤、ポリウレタン系樹脂からなるインクジェット記録用インクが開示されているが、やはり高浸透性の界面活性剤を添加した上での保存安定性は不十分であった。
特開2001−247800号公報 特許第3405817号公報 特許第2714240号公報 特許第3625595号公報 特許第3390153号公報 特開2003−96342号公報 特開2004−169008号公報
本発明の目的は、製造コストに優れた界面活性剤分散型の分散体を使用し、普通紙での印字特性に優れ、高濃度高浸透インクにおいても保存安定性が良好なインクジェット用インク、その製造方法、インクカートリッジ、インクジェット装置および画像形成方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、とくに平均粒径10nm未満のウレタン樹脂エマルジョンAと平均粒径10nm以上200nm以下のウレタン樹脂エマルジョンBとを併用することにより、高濃度高浸透インクにおいても保存安定性と普通紙高画質を高度に両立できることを初めて見出し、本発明に至った。
本発明は、以下のとおりである。
1)少なくとも顔料、前記顔料を分散するノニオン系またはアニオン系界面活性剤、平均粒径10nm未満のウレタン樹脂エマルジョンAおよび平均粒径10nm以上200nm以下のウレタン樹脂エマルジョンBを含有することを特徴とするインクジェット用インク。
2)前記ウレタン樹脂エマルジョンAがエーテル系であることを特徴とする前記1)に記載のインクジェット用インク。
3)前記ウレタン樹脂エマルジョンBがエーテル系またはエステル系であることを特徴とする前記1)または2)に記載のインクジェット用インク。
4)前記ウレタン樹脂エマルジョンAまたはBの少なくとも一方が、カルボキシル基を含有する自己乳化型であることを特徴とする前記1)〜3)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
5)前記ウレタン樹脂エマルジョンAの含有量よりも、前記ウレタン樹脂エマルジョンBの含有量の方が多いことを特徴とする前記1)〜4)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
6)前記ウレタン樹脂エマルジョンAの含有量よりも、前記ノニオン系またはアニオン系界面活性剤の含有量の方が多いことを特徴とする前記1)〜5)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
7)前記顔料に対する前記ウレタン樹脂エマルジョンAの含有量(固形分)が3質量%以上20質量%以下であることを特徴とする前記1)〜6)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
8)インク中の固形分濃度の総量が6質量%以上25質量%以下であることを特徴とする前記1)〜7)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
9)前記顔料を分散するノニオン系またはアニオン系界面活性剤以外の、他のノニオン系またはアニオン系界面活性剤をさらに含有することを特徴とする前記1)〜8)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
10)前記ウレタン樹脂エマルジョンAおよびB以外の、他の樹脂エマルジョンCを1種以上含有することを特徴とする前記1)〜9)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
11)前記樹脂エマルジョンCが、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂およびアクリルシリコン樹脂から選択された1種以上であることを特徴とする前記10)に記載のインクジェット用インク。
12)顔料とこれを分散するノニオン系またはアニオン系界面活性剤とを混合して顔料分散体を調製し、前記顔料分散体と平均粒径10nm未満のウレタン樹脂エマルジョンAとを混合した後、平均粒径10nm以上200nm以下のウレタン樹脂エマルジョンBおよび必要に応じて他の材料を加え混合することを特徴とする前記1)〜11)のいずれかに記載のインクジェット用インクを製造する方法。
13)前記1)〜11)のいずれかに記載のインクジェット用インクを収容したインクカートリッジ。
14)インクジェット用インクを吐出するヘッドと、該ヘッドに前記インクジェット用インクを供給する前記13)に記載のインクカートリッジと、を備えるインクジェット装置。
15)前記14)に記載のインクジェット装置を用いて印字することを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、普通紙での印字特性に優れ、高濃度高浸透インクにおいても保存安定性が良好なインクジェット用インク、その製造方法、インクカートリッジ、インクジェット装置および画像形成方法を提供することができる。
本発明のインクジェット用インクは、少なくとも顔料、前記顔料を分散するノニオン系またはアニオン系界面活性剤、平均粒径10nm未満のウレタン樹脂エマルジョンAおよび平均粒径10nm以上200nm以下のウレタン樹脂エマルジョンBを含有することを特徴としている。
平均粒径10nm未満のウレタン樹脂エマルジョンAを用いることで高濃度高浸透インクにおいてもインク保存時の顔料の凝集、増粘を抑えることができる。また平均粒径10nm以上200nm以下のウレタン樹脂エマルジョンBは従来技術で開示されているスチレン−アクリル系樹脂エマルジョンおよびアクリル−シリコン系樹脂エマルジョンと比べてインクの凝集、増粘を生じにくく、普通紙に印字した際の画質も確保することができる。従って樹脂エマルジョンAとBを併用することで高濃度高浸透インクにおいても保存安定性と普通紙高画質を高度に両立することができるのである。さらに樹脂エマルジョンAとBを併用することで擦過性および耐マーカー性も満足することができる。
本発明で用いられる顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料等が挙げられ、無機顔料としてカーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。
より具体的には、ブラック顔料として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、若しくは酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を挙げることができる。
イエロー顔料としてはC.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、20、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、75、81、83(ジスアゾイエローHR)、86、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185等が挙げられる。
マゼンタ顔料としてはC.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、9、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:1(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B (Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、97、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、175、176、178、179、180、184、185、190、192、193、202、209、215、216、217、219、220、223、226、227、228、238、240、254、255、272等が挙げられる。
シアン顔料としてはC.I.ピグメントブルー1、2、3、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、22、56、60、63、64、バットブルー4、バットブルー60等が挙げられる。
また中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用としてはC.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントバイオレット3、19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントグリーン7、36等が挙げられる。
上記の顔料のうち、ブラック顔料としては特にカーボンブラックが好ましく、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、1次粒子が15nmから40nm、BET吸着法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH2〜9を有するものが使用され、特にpH6以下の酸性カーボンブラックが高濃度で好ましい。カラー顔料としては特にピグメントイエロー13、17、55、74、93、97、98、110、128、139、147、150、151、154、155、180、185、ピグメントレッド122、202、209、ピグメントブルー15:3、15:4が好ましい。
顔料の平均粒径は特に限定しないが10nm以上150nm以下が好ましく、20nm以上100nm以下がより好ましく、30nm以上80nm以下がさらに好ましい。顔料の平均粒径が150nmを超えると印写画像の彩度が低下するのみならずインク保存時の増粘凝集や印写時のノズルの詰まりが生じやすくなる。また顔料の粒径が10nm未満では耐光性が低下するのみならず保存安定性も悪化する傾向がある。
本発明における顔料の平均粒径は、日機装社製マイクロトラックUPA-150を用い、測定サンプル中の顔料濃度(質量濃度)が0.01%になるように純水で希釈したサンプルを用い、粒子屈折率1.51、粒子密度1.4g/cm3、溶媒パラメーターは純水のパラメーターを用い、23℃で測定した 50% 平均粒径(D50)のことである。
インク中の顔料濃度は2質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上12質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上10質量%以下がより好ましい。顔料濃度が2質量%未満では着色力が不十分であるため画像の鮮やかさに劣る傾向があり、顔料濃度が15質量%を超えるとインクの保存安定性が低下するのみならず画像がくすむ傾向がある。本発明のインクでは従来のインクジェット用インクと異なり、顔料濃度が5質量%以上と高くても保存安定性を確保することが可能である。
顔料を分散するのに用いるノニオン系またはアニオン系の活性剤系分散剤としては顔料種別あるいはインク処方に応じて適宜選択できるが、ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンαナフチルエーテル、ポリオキシエチレンβナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。また、上記の界面活性剤のポリオキシエチレンの一部をポリオキシプロピレンに置き換えた界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の芳香環を有する化合物をホルマリン等で縮合させた界面活性剤も使用できる。
ノニオン系界面活性剤のHLBは12以上19.5以下のものが好ましく、13以上19以下のものがより好ましい。HLBが12未満であると界面活性剤の水性媒体のような分散媒へのなじみが悪いため分散安定性が悪化する傾向があり、HLBが19.5を超えると界面活性剤が顔料に吸着しにくくなるためやはり分散安定性が悪化する傾向がある。
アニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテルカルボン酸酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルカルボン酸酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラニンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α―オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アシル化ペプチド、石鹸等が挙げられるが、これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルの硫酸塩もしくはリン酸塩が特に好ましい。
ノニオン系またはアニオン系界面活性剤の添加量は、顔料に対し10質量%以上50質量%以下が好ましい。界面活性剤系分散剤の添加量が顔料の10質量%未満では顔料分散体およびインクの保存安定性が低下したり、分散に極端に時間がかかってしまい、50質量%を超えるとインクの粘度が高くなりすぎてしまうため吐出安定性が低下する傾向がある。
ウレタン樹脂エマルジョンAの粒径は10nm未満が好ましく、8nm以下がさらに好ましい。ウレタン樹脂エマルジョンAの粒径が10nm以上であるとインクの保存安定性が低下する傾向がある。またウレタン樹脂エマルジョンBの粒径は10nm以上200nm以下が好ましく、15nm以上150nm以下がさらに好ましい。ウレタン樹脂エマルジョンBの粒径が10nm未満であると普通紙での画像濃度が低下する傾向があり、200nmを超えると吐出安定性が低下する傾向がある。
本発明における樹脂エマルジョンの平均粒径は、日機装社製マイクロトラックUPA-150を用い、測定サンプル中の樹脂濃度が0.1質量%になるように純水で希釈したサンプルを用い、粒子屈折率1.51、粒子密度1.4g/cm3、溶媒パラメーターは純水のパラメーターを用い、23℃で測定した 50% 平均粒径(D50)のことである。
インクからウレタン樹脂エマルジョンAおよびBを単離する方法としては公知の濾過技術を用いることができ、限外濾過や精密膜濾過、クロスフロー濾過等の手法で分離することができる。また遠心分離法およびクロマト法も適用できる場合がある。
本発明におけるウレタン樹脂エマルジョンは、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール等を重合させて得られる。
ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、これらジイソシアネートの変性物(カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン含有変成物など)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、ポリカプロラクトンジオール、ポリオメガ−ヒドロキシカプロン酸ポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、プロパンジオール−(1,3)、ブタンジオール−(1,4)および/またはヘキサンジオール−(1,6)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールのようなジオールとホスゲン、ジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートまたはエチレンもしくはプロピレンカーボネートのような環状カーボネートとの反応から得られる生成物のような、それ自体、公知であるものが含まれる。上述のポリエステルまたはポリラクトンとホスゲン、ジアリールカーボネートまたは環状カーボネートとから得られるポリエステルカーボネートもまた好適である。
上記のウレタン樹脂のうち、ウレタン樹脂エマルジョンAはエーテル系が特に好ましく、ウレタン樹脂エマルジョンBはエーテル系またはエステル系が特に好ましい。ウレタン樹脂エマルジョンAがエーテル系以外では十分な保存安定性が確保できないため高温保存時にインクの凝集、増粘が起こりやすく、ウレタン樹脂エマルジョンBがエーテル系またはエステル系以外では高温保存時にインクの凝集、増粘や粘度低下が生じやすい傾向がある。
ウレタン樹脂エマルジョンAおよび/またはBとしては、スルホニル基、カルボキシル基、ポリエチレンオキサイドのような親水基を有する自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、カルボキシル基を有する自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョンが特に好ましい。ウレタン樹脂エマルジョンに親水基を導入することにより更なる保存安定性の向上を図ることができる。ウレタン樹脂エマルジョンに親水基を導入する方法としては合成の際にジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等のモノマーを添加、共重合する方法が挙げられる。
カルボキシル基またはスルホニル基を有する自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョンを使用する場合、インク中においてウレタン樹脂の水性媒体への分散性を高めるために塩基性化合物を含有していても良い。このような塩基性化合物としては、その配合により上記ウレタン樹脂を後述する水性媒体に分散することができるものであれば特に限定されず、一般に使用されている塩基性化合物を使用できる。例えば、ブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、コリン等を挙げることができる。また塩基としてトリスヒドロキシルメチルアミノメタン、グッドバッファー等の緩衝剤を用いてもよい。塩基性化合物の添加量は使用するウレタン樹脂の物性や使用量、インクとして適したpHに応じて適宜設定され、単独または2種以上を混合して用いても良い。
ウレタン樹脂エマルジョンAまたはBの製造方法としては、イソシアネート基と反応しない低沸点溶剤(アセトン等)中でイソシアネート末端プレポリマーを合成し、ジアミン、ポリオールなどで親水基を導入後、水で希釈し相転換させ、溶剤は留去させてウレタンディスパージョンを得る溶液法、親水基を導入したイソシアネート基末端プレポリマーを最初に合成し、水中に分散後、アミンで鎖延長を行うプレポリマー法、その他ホットメルト法、ウレタンプレポリマーを乳化剤水溶液中で媒体である水を鎖延長剤として使用する方法、疎水性ポリオールと芳香族ポリイソシアネートから得られる遊離イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの芳香環をスルホン化する工程を経る方法、ブロックイソシアネートを使用する方法等、色々と知られているが、特に限定されるものではない。
特にウレタン系樹脂をプレポリマー法によって合成してもよく、その際、低分子量のポリヒドロキシ化合物を使用してもよい。低分子量のポリヒドロキシ化合物としては、上記の原料として挙げたグリコール、アルキレンオキシド低モル付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、そのアルキレンオキシド低モル付加物などが挙げられる。
水系ウレタン樹脂の場合、有機溶剤相で作成したウレタンプレポリマーを転相・乳化し水相でさらに鎖延長させる方法が一般的に知られている。この際の鎖伸長剤としてジアミン等のポリアミン類が一般的である。具体的には、ウレタンプレポリマーは、ジメチロールアルカン酸に由来する酸基を中和した後または中和しながら水延長またはジ若しくはトリアミン延長する。アミン延長の際に鎖伸長剤として使用するポリアミン類としては、通常ジアミンまたはトリアミンが挙げられる。また、その具体例としてはヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン等が挙げられる。
上記のウレタン樹脂エマルジョンAまたはBの粒径をコントロールする方法としては、カルボキシル基含有モノマーやポリオールの比率を変える方法や重合時の攪拌強度や温度をコントロールする方法が挙げられる。
インク中のウレタン樹脂エマルジョンの含有量としては、ウレタン樹脂エマルジョンAの含有量よりウレタン樹脂エマルジョンBの含有量の方が多いことが好ましい。なお、本発明における含有量とはインク中の固形分濃度のことである。ウレタン樹脂エマルジョンAの含有量よりウレタン樹脂エマルジョンBの含有量の方が少ないと普通紙での画像濃度および保存安定性が低下する傾向がある。
ウレタン樹脂エマルジョンAとBの含有量の比としては前者:後者として、1:1以上1:20以下が好ましく、1:1.5以上1:10以下がさらに好ましい。含有量の比が1:20を超えるとインクの吐出安定性が低下する傾向がある。
また、インク中に含有されるウレタン樹脂エマルジョンAの含有量よりノニオン系またはアニオン系界面活性剤の含有量の方が多いことが好ましい。ウレタン樹脂エマルジョンAの含有量よりノニオン系またはアニオン系の界面活性剤系分散剤の含有量の方が少ないとインクの粘度が高くなりすぎるため吐出安定性が劣る傾向がある。
上記ノニオン系またはアニオン系界面活性剤の添加量は、インク中、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。0.05質量%未満では十分な浸透性が得られないため2色重ね部での境界にじみが発生し、10質量%を超えると化合物自体が低温で析出することがあり信頼性が悪くなる。
顔料に対するウレタン樹脂エマルジョンAの含有量は、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。顔料に対するウレタン樹脂エマルジョンAの含有量が3質量%未満だと十分な保存安定性を確保することが困難であり、20質量%を超えるとやはりインクの粘度が高くなりすぎるため吐出安定性が劣る傾向がある。
インク中の固形分濃度の総量は6質量%以上25質量%以下が好ましく、7質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、8質量%以上15質量%以下がより好ましい。固形分濃度の総量が6質量%未満では印写画像のにじみが大きくなる傾向があり、25質量%を超えると保存安定性が劣化する傾向がある。
本発明における固形分濃度の総量とはインク中に含まれる水や水溶性有機溶剤等の混合物に溶けない成分の総量であり、顔料や樹脂エマルジョン等が含まれる。インク中の固形分濃度の総量を割り出す方法はインクを遠心分離機にかけて固形分を沈降または浮遊させて分離し、質量を計測する方法、またはインクに凝集剤を添加して固形分を凝集させ、インクから分離して質量を計測する方法、等が挙げられる。
本発明のインクジェット用インクには紙への浸透性を向上させ、インクに速乾性を付与するために、前記顔料を分散するノニオン系またはアニオン系界面活性剤以外の、他のノニオン系またはアニオン系界面活性剤をさらに含有させることが可能である。これら高浸透性の界面活性剤をインクに添加すると保存安定性の低下を招く傾向があるが、本発明のインクジェット用インクではこのような界面活性剤を添加しても保存安定性を確保することが可能である。
ノニオン系またはアニオン系の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、特に疎水基が複数存在するノニオン性界面活性剤、あるいは疎水基が分岐しているノニオン性界面活性剤はインクの保存安定性を阻害しやすい傾向があるが、本発明のインクはこれらの界面活性剤と組み合わせても保存安定性を確保することができる。
本発明においては、前記ウレタン樹脂エマルジョンAおよびB以外の、他の樹脂エマルジョンCを1種以上含有することが可能である。樹脂エマルジョンCとしてはアクリル酸(またはメタクリル酸)あるいはその誘導体(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸、またはメタアクリル酸メチル等)の重合体若しくは共重合体であるアクリル酸系ポリマー、スチレン−アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、あるいはスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、若しくはアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等のゴム系ポリマー、でんぷん、変性でんぷん、ゼラチン、カゼイン、若しくは大豆蛋白などの天然高分子化合物、あるいはカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、若しくはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等のセルロース変性ポリマー、あるいはポリビニルアルコール(PVA)、変性PVA、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリアセタール樹脂、グアーガム、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体等を挙げることができる。これらのうち、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂が定着性、画質、保存安定性の観点から特に好ましい。
インクのpHとしては5以上12以下が好ましく、6以上11以下がより好ましく、7以上10以下がさらに好ましい。pHが5未満、あるいは12を超えるとインクの保存時に凝集・増粘が生じやすくなる傾向がある。なお、本発明におけるpHは東亜電波社製pHメーター HM-50V で25℃の条件で測定した値である。
pHの調整方法としては、上記ウレタン樹脂エマルジョンのカルボキシル基あるいはスルホニル基の中和で例示されているアルカリの他、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、炭酸等の酸、尿素等を添加することにより可能である。
本発明のインクは水を分散媒として使用することができる。なお、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するため、また、各化合物の溶解安定性を向上するため等の目的で下記の水溶性有機溶剤を使用することができる。
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチルー1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール、上記多価アルコールと上記アルコールを脱水縮合して得られるモノエーテル誘導体およびジエーテル誘導体、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールフェニルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチルー2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ―ブチロラクトン類である。これらの溶剤は、水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
これらの中で特に好ましいものはジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1、2、4−ブタントリオール、ペトリオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、2−メチルー1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、N−メチル−2−ピロリドン,N−ヒドロキシエチルピロリドン、2−ピロリドン、1、3ジメチルイミダゾリジノンであり、これらを用いることにより本化合物の高い溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
水溶性有機溶剤の添加量としては、質量基準で、10%以上50%以下が好ましい。水溶性有機溶剤が10%未満だと乾燥後の粘度が高くなり、50%を越えるとインクの粘度が高くなるばかりでなく、印字した際に文字品質が低下する傾向にある。
また、本発明のインクに添加する界面活性剤以外で表面張力を調整する目的で添加される浸透剤としてはジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキルおよびアリールエーテル類、2−エチル−1,3ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等のジオール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類が挙げられるが、特に好ましいのは多価アルコールアルキルエーテルとしてジエチレングリコールモノブチルエーテル、炭素数6以上のジオールとして2−エチル−1,3ヘキサンジオールおよび2,2,4−トリメチル1,3ペンタンジオールである。ジオール類は水不溶性色材の凝集が発生しにくいということで好適である。添加量はその種類や所望の物性にもよるが0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下の範囲で添加される。0.1質量%未満では浸透性が不充分であり20質量%以上では粒子化特性に悪影響を及ぼす。またこれらの添加によりインクジェットヘッド部材や記録器具への濡れ性も改善され、充填性が向上し気泡による記録不良が発生しにくくなる。
本発明のインクジェット用インクには、上記の材料のほかに従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、イソチアゾリン等が本発明に使用できる。
その他キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリト−ル、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等がある。
その他、目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤、消泡剤、pH緩衝剤等を添加することも可能である。
また必要に応じ染料の併用も可能である。好ましい染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で耐水、耐光性が優れたものが用いられる。
本発明のインクの製造方法としては、最初に水、顔料、これを分散する前記ノニオン系またはアニオン系界面活性剤、必要に応じて水溶性有機溶剤を混合して顔料分散体を調製する。この調製は、攪拌羽根やホモジナイザー、ビーズレス分散機でプレミックス後、サンドミル、ボールミル、ダイノーミル、ロールミル、ナノマイザー、ホモジナイザー等の公知の分散機を用いて分散することにより行われる。その後、得られた顔料分散体とウレタン樹脂エマルジョンAを混合し、さらにその後、ウレタン樹脂エマルジョンBおよび必要に応じて他の材料を加え混合する方法が望ましい。顔料分散体とウレタン樹脂エマルジョンAの混合前に、ウレタン樹脂エマルジョンBおよび他の材料を混合すると凝集、増粘することがある。また、顔料分散体あるいはインクをフィルター、遠心分離装置等で粗大粒子を濾過することで、インクの吐出安定性を確保することができる。
本発明のインクを収容するインクカートリッジとしては、カートリッジに充填してキャリッジの上に搭載するタイプ、あるいは袋形状でキャリッジとは離れた場所に設置し、ヘッドにパイプ等でインクを供給するタイプのいずれも使用可能である。
上記のインクを印字する方法としては連続噴射型あるいはオンデマンド型が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、静電方式等、いずれの方法でも使用できる。例えば図1に示されるようなインクジェット装置に適用することができる。
図1に図示するように、このインクジェット装置(50)は、紙送りモータ(51)によって用紙(52)を搬送する機構と、キャリッジモータ(53)によってキャリッジ(54)をプラテン(55)と対向しながら往復動させる機構と、キャリッジ(54)に搭載された印刷ヘッド(56)を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御する機構と、ヘッドにインクを供給するためのカラーインクカートリッジ(63)および黒インクカートリッジ(65)と、カートリッジを保持するための仕切り板(64)と、これらの紙送りモータ(51)、キャリッジモータ(53)、印刷ヘッド(56)および操作パネル(57)との信号のやり取りを司る制御回路(58)とから構成されている。
記録媒体である用紙(52)を搬送する機構は、紙送りモータ(51)の回転をプラテン(55)のみならず、図示しない用紙搬送ローラに伝達するギヤトレインを備える。また、キャリッジ(54)を往復動させる機構は、プラテン(55)の軸と並行に架設されキャリッジ(54)を摺動可能に保持する摺動軸(59)と、キャリッジモータ(53)との間に無端状の駆動ベルト(60)を張設するプーリ(61)と、キャリッジ(54)の原点位置を検出する位置検出センサ(62)等から構成されている。
なお、制御系については、図示しないが、インクジェット装置内に設けられた制御回路は、例えば、周知のCPU 、プログラムなどを記憶したP−ROM 、RAM 、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)などを中心とする算術論理演算回路として構成されており、この他、外部のモータ等とのインタフエースを専用に行なうI/F専用回路、このI/F専用回路に接続され印刷ヘッド(56)を駆動するヘッド駆動回路、同じく紙送りモータ(51)およびキャリッジモータ(53)を駆動するモータ駆動回路等を備える。前記のような方法およびインクジェット装置により印字された画像形成物は、画像濃度および彩度などに優れている。
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。なお、部とあるのは質量部を意味する。
顔料分散体の製造方法
下記表1の顔料、界面活性剤、水をプレミックス後、アシザワ・ファインテック社製ダイノーミルで0.3μmジルコニアビーズを用い2時間分散後、ビーズと液体を分離し、顔料分散液A〜C(顔料濃度15質量%、界面活性剤濃度3.75質量%)を得た。
Figure 0004880265
上記A〜Cの顔料分散体を用い、表2に記載される実施例1〜6、比較例1〜4の処方のうち、顔料分散体と樹脂エマルジョン1を調合、攪拌後、残りの材料を調合、攪拌後に0.8μmフィルターで濾過してインクを得た。さらに真空脱気後、リコー社製IPSiO G707用インクパックに充填してインクカートリッジを得た。
Figure 0004880265
Figure 0004880265
Figure 0004880265
上記実施例1〜6、比較例1〜4のインクを密封状態で50℃、7日間保存し、保存前後の粘度の変化率を計算した。また実施例1〜6、比較例1〜4のインク充填したインクカートリッジを IPSiO G707 にセットし、普通紙高画質モードで普通紙 Type6200(リコー社製)にベタ画像を印写し、画像の光学濃度(OD)を X-Rite 938 で測定した。結果を下記表5に記す。
Figure 0004880265
Figure 0004880265
以上のように実施例1〜6では画像濃度が高く、保存安定性もカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンを用いた実施例3で粘度低下が見られるものの、他のインクでは安定であった。一方比較例1〜4では画像濃度と保存安定性の両立ができなかった。
本発明によれば、普通紙での印字特性に優れ、高濃度高浸透インクにおいても保存安定性が良好なインクジェット用インク、その製造方法、インクカートリッジ、インクジェット装置、画像形成方法および画像形成物を提供することができる。
本発明に使用可能なインクジェット装置を説明するための図である。
符号の説明
50 インクジェット装置
51 紙送りモータ
52 用紙
53 キャリッジモータ
54 キャリッジ
56 印刷ヘッド
58 制御回路

Claims (15)

  1. 少なくとも顔料、前記顔料を分散するノニオン系またはアニオン系界面活性剤、平均粒径10nm未満のウレタン樹脂エマルジョンAおよび平均粒径10nm以上200nm以下のウレタン樹脂エマルジョンBを含有することを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記ウレタン樹脂エマルジョンAがエーテル系であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記ウレタン樹脂エマルジョンBがエーテル系またはエステル系であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記ウレタン樹脂エマルジョンAまたはBの少なくとも一方が、カルボキシル基を含有する自己乳化型であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  5. 前記ウレタン樹脂エマルジョンAの含有量よりも、前記ウレタン樹脂エマルジョンBの含有量の方が多いことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  6. 前記ウレタン樹脂エマルジョンAの含有量よりも、前記ノニオン系またはアニオン系界面活性剤の含有量の方が多いことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  7. 前記顔料に対する前記ウレタン樹脂エマルジョンAの含有量が3質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  8. インク中の固形分濃度の総量が6質量%以上25質量%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  9. 前記顔料を分散するノニオン系またはアニオン系界面活性剤以外の、他のノニオン系またはアニオン系界面活性剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  10. 前記ウレタン樹脂エマルジョンAおよびB以外の、他の樹脂エマルジョンCを1種以上含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  11. 前記樹脂エマルジョンCが、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂およびアクリルシリコン樹脂から選択された1種以上であることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット用インク。
  12. 顔料とこれを分散するノニオン系またはアニオン系界面活性剤とを混合して顔料分散体を調製し、前記顔料分散体と平均粒径10nm未満のウレタン樹脂エマルジョンAとを混合した後、平均粒径10nm以上200nm以下のウレタン樹脂エマルジョンBおよび必要に応じて他の材料を加え混合することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット用インクを製造する方法。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット用インクを収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
  14. インクジェット用インクを吐出するヘッドと、該ヘッドに前記インクジェット用インクを供給する請求項13に記載のインクカートリッジと、を備えることを特徴とするインクジェット装置。
  15. 請求項14に記載のインクジェット装置を用いて印字することを特徴とする画像形成方法。
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