JP4877997B2 - 硬質合金焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
このような液相焼結を用いた焼結体の製造においては、焼結前のプレス成形体は焼結時に収縮することは不可避であり、焼結体の寸法を所定形状の寸法に如何に近づけることができるかが、仕上げ後加工を減少させることによるコストダウンを達成するために重要である。
また、製品毎に特性のバラ付きが少ない安定した品質の焼結体を得るためには、低融点バインダー中へ原料粉末を均一に分散させるために混練に長時間を要するが、長時間過ぎると低融点バインダー成分が変質してプレス成形時の流動性の変化を生じるという問題があった。
また、流動性を確保するために低融点バインダーの量を増加すると、低融点バインダーを分解除去する際に変形するおそれが生じるという問題があった。
そのため、さらなる寸法精度を向上させる製造方法の開発が課題とされている。
(3)さらに、本発明の硬質合金焼結体の製造方法は、前記の(1)又は(2)において、前記高融点バインダーとしてアタクチックポリプロピレンを用いることを特徴とする。
(4)そして、本発明の硬質合金焼結体の製造方法は、前記の(1)〜(3)において、前記硬質合金が複硼化物硬質合金であることを特徴とする。
さらに、液相焼結前の加熱保持による還元工程での還元条件を特定することで、より寸法精度の高い硬質合金焼結体を得ることができる。
次いで、高融点バインダーの分解温度以上に加熱して高融点バインダーを揮発除去する。その後、チャンバー内を減圧して真空状態の還元雰囲気にした後、原料粉末の表面に生成している酸化物が還元除去される硬質合金の液相が出現する温度未満の温度に加熱して均熱保持し原料粉末の表面の酸化物を還元除去する。そして、硬質合金の液相が出現する温度以上に加熱することにより、硬質合金焼結体を得る。
以下、本発明の硬質合金焼結体の製造に用いる素材について説明する。
焼結中に液相が生じる硬質合金であれば原料粉末は特に制限されるものではないが、複硼化物硬質合金を例にとると、以下の原料粉末が用いられる。硬質の複硼化物粒子として、FeB、MoB、WBなどの粉末を1種以上と、焼結合金の複硼化物の組成を調整するために、Mo、W、Fe、Crなどの粉末を1種以上と、Crとともに耐食性と耐酸化性を向上させるためにNi粉末と、を、目的とする焼結合金が得られるように混合して原料粉末とする。前記MoやWは、焼結合金の耐摩耗性の向上に寄与し、Crは耐食性と耐酸化性の向上にも寄与する。
上記の原料粉末をボールミルを用いて粉砕混合する際に、粉末表面を被覆して酸化を抑制するとともに、粉砕混合した微細粉末を造粒して成形加工を容易にするために、低融点バインダーを添加して有機溶剤中で粉砕混合する。
粉砕混合後の工程において、有機溶剤を除去乾燥して造粒し、高融点バインダーを添加して150℃前後の温度で加熱混合してコンパウンドを作成し、このコンパウンドをペレット化し、ペレットを射出成形して射出成形体とした後、非酸化雰囲気中で加熱して原料粉末の表面に残存した低融点バインダーおよび高融点バインダーを揮散除去するのであるが、本発明にあっては、前記非酸化雰囲気中での加熱工程において、昇温過程でまず低融点バインダーを気化させ除去して気道を形成させ、その後の昇温過程で高融点バインダーを気化して除去する際の通路とすることで、高融点バインダーの除去を容易にすることができる。
そのため、本発明に用いる低融点バインダーとしては、その分解温度(ガス化温度)が高融点バインダーのそれよりも低い温度を有する有機物を用いることが必要であり、しかも、造粒した後、高融点バインダーを添加して加熱混合してコンパウンドを作成する際においては分解ガス化しない有機物であることが必要とされる。
このような条件を考慮すると、低融点バインダーとしては、その融点が100℃未満のものであり、さらに好ましくは45〜90℃である。分解温度で示せば200〜300℃のものが好ましい。低融点バインダーとしては、パラフィンワックスが好適に挙げられる。なお、バインダーの融点の高低は分解温度(ガス化を開始する温度)と対応する。
低融点バインダーの添加割合としては、30〜60vol%とすることが好ましい。30vol%より少ないと、脱脂後に膨れやひびが入り、機械的特性や寸法精度が低下するという問題が生じ、60vol%より多いと射出成形後、試料取り出し時に変形しやすいという問題が生ずる。ここで、低融点バインダーの添加割合とは、全バインダー(低融点バインダー+高融点バインダー)に対する割合をいう。
射出成形においては、造粒した粒子に流動性を付与し成形後に金型からの離型性を向上させるため、造粒した粒子に高融点バインダーを添加して加熱混合してコンパウンドとし、コンパウンドをペレット化して射出成形する。
高融点バインダーとしては、低融点バインダーよりも高い分解温度を有していることが必要であり、コンパウンド作成の加熱工程では分解せず、かつ非酸化雰囲気中で加熱して高融点バインダーを揮散除去する際に射出成形体に膨れや割れが生じないよう、加熱による分解ガス化が緩やかに進行するものであることも必要とされる。
このような条件を考慮すると、高融点バインダーとしては、その融点が100℃以上のものであり、さらに好ましくは100〜180℃である。なお、明確な融点を持たない非晶性の樹脂は、流動する温度を100〜180℃とする。分解温度で示せば300〜400℃のものが好ましい。高融点バインダーとしては、ポリオレフインが好ましく、中でも、アタクチックポリプロピレンが好適に挙げられる。高融点バインダーの融点の高低も分解温度と対応する。なお、高融点バインダーのうち、非晶性のものは明確な分解温度が無いので、ガス化を始める温度とする。
高融点バインダーの添加割合としては、前記低融点バインダーの割合に関連し、40〜70vol%が好ましい。その理由は、前記低融点バインダーに関連し、高融点バインダーが70vol%より多い(即ち低融点バインダーが30vol%より少ない)と、脱脂後に膨れやひびが入り、機械的特性や寸法精度が低下するという問題が生じ、高融点バインダーが40vol%より少ない(即ち低融点バインダーが60vol%より多い)と、射出成形後試料取り出し時に変形しやすいという問題が生ずる。
また、射出成形体の強度を調整するために、これらの高融点バインダーを2種以上用いても良い。但し、粉末との親和性の高い樹脂であることが必要である。高融点バインダーを2種以上用いる場合は、必要な射出成形体の強度に応じて任意の混合割合で混合できる。
さらに両バインダーの割合(バインダー濃度という)は、30vol%〜70vol%とすることが好ましい。30vol%より少ないとコンパウンドの流動性が悪く、射出成形が困難となる。70%より多いと、脱脂時に膨れやひびが入り、機械的特性や寸法精度が低下する。
[造粒]
原料粉末に低融点バインダーを添加したものをアセトンなどの有機溶剤中に分散してボールミルなどの粉砕混合手段を用いて数十時間粉砕混合する。所定時間粉砕混合して所定の粒径に微粉化された原料粉末を窒素雰囲気中で乾燥し、スパルタンリューザーなどの造粒手段を用いて造粒する。
造粒した粒子にさらに高融点バインダーを添加し、撹拌混合機を用い、高融点バインダーの溶融温度以上でかつ分解温度未満の温度に加熱しながら数時間混練してコンパウンドとした後、冷却・固化し、固化したものを粉砕して射出成形用のペレットとする。
次に、高融点バインダーの溶融温度以上でかつ分解温度未満の温度に加熱した射出成形機を用い、ペレットを加熱溶融して所定の圧力を負荷し、低融点バインダーの溶融温度未満に加熱した金型に射出充填し、射出成形体とする。得られた射出成形体を焼結用のチャンバーに装填し、同一チャンバー内で下記に示す低融点バインダーの除去、高融点バインダーの除去、粒子表面酸化物の還元、液相焼結からなる一連の工程を実施する。
射出成形体を焼結用のチャンバーに装填し、チャンバー内を大気圧以下に減圧しつつ窒素ガスを流入させながら低融点バインダーの分解温度(ガス化温度)以上でかつ高融点バインダーの分解温度(ガス化温度)未満の温度に加熱し、数時間保持して造粒粒子の表面に付着したパラフィンワックスを除去する。なお、低融点バインダーとしてパラフィンワックスを用いた場合は、前記加熱温度は、200〜300℃とすることが望ましい。
パラフィンワックスを除去した後、引き続いてチャンバー内を大気圧以下に減圧しつつ窒素ガスを流入させながら高融点バインダーの分解温度(ガス化温度)以上に加熱し、数時間保持して造粒粒子の表面に残存付着した高融点バインダーを除去する。なお、高融点バインダーとしてアタクチックポリプロピレンを用いた場合は、前記加熱温度は300〜500℃とすることが望ましい。
上記のように、本発明においては、従来方法では行われていなかったペレット化の工程を加えるとともに、低融点バインダーよりも分解温度の高い高融点バインダーを使用することに特徴を有する。
射出成形した射出成形体中の金属粒子や合金粒子の原料粉末表面には、原料粉末の粉砕混合、造粒、コンパウンド作成及び射出成形等の各工程で、摩擦や外部加熱により酸化物が形成されている。この酸化物は還元雰囲気中における焼結工程で大半が還元されるが、本発明においては、この酸化物を還元するための特別の工程を設けている。すなわち、射出成形体中の金属粒子や合金粒子の焼結が生じる温度以下で一定時間保持して酸化物をさらに還元する工程を設けている。
具体的には、射出成形体中の高融点バインダーを除去した後、チャンバー内を、1×100Pa以下の真空状態とした後、射出成形体を、原料粉末の焼結が生じる温度以下まで昇温させた後、さらに数時間〜10時間未満保持する(還元のための加熱保持工程)。例えば、複硼化物硬質合金の焼結体の場合は950〜1150℃に保持する。
以上のようにして、射出成形体中の金属粒子や合金粒子の表面に生成している酸化物を還元した後、チャンバー内を、1×100Pa以下の真空状態に保持し、液相が生成する温度まで昇温し、数十分〜1時間未満保持して、硬質合金焼結体を完成させる。例えば、複硼化物硬質合金の焼結体の場合は1200〜1300℃の範囲に昇温する。
[原料粉末組成]
表1に示すように、以下の3種類の組成の原料粉末を準備した。
[原料粉末No.1:複硼化物硬質合金焼結体−Ni系]
組成(括弧内の数値は質量%を示す。以下の組成においても同様)
Mo(51)、B(5)、Cr(12.5)、V(5)、Ni(24.5)、Ta(0.5)、Mn(1.5)
[原料粉末No.2:複硼化物硬質合金焼結体−Fe系]
Mo(39)、B(4.7)、Cr(8.2)、Ni(2.85)、W(3.8)、Fe(41.45)
[原料粉末No.3:超硬]
WC(90)、Co(10)
表1に示す原料粉末No.1〜3のいずれかの粉末とバインダー(低融点バインダー、高融点バインダー)とを、表2に示すような配合割合(体積割合)で準備した。先ず、原料粉末と低融点バインダーとを、アセトンに分散させてボールミル中に封入して常温で20時間粉砕混合した。次いで窒素雰囲気中で乾燥し、スパルタンリューザーを用いて造粒した。この造粒粒子と高融点バインダーとしてアタクチックポリプロピレン又はポリプロピレン、あるいはアタクチックポリプロピレンとポリプロピレンの混合物、アタクチックポリプロピレンとポリエチレンの混合物を、撹拌混合機を用いて160℃に加熱しながらl時間混練してコンパウンドとした後、常温まで冷却し、粉砕して射出成形用ペレットとした。なお、低融点バインダーとしてパラフィンワックスは、融点55℃のものを用いた。
これらの25個の射出成形体を焼結用のチャンバーに装填し、チャンバー内を、1×103Paに減圧しつつ窒素ガスを流入させながら2℃/分の昇温速度で250℃まで昇温して2時間保持し、造粒粒子の表面に付着したパラフィンワックスを除去した。
引き続き、チャンバー内を1×103Paに減圧しつつ窒素ガスを流入させながら2℃/分の昇温速度で400℃まで昇温して2時間保持し、造粒粒子の表面に付着した高融点バインダーを除去した。
これらの25個の直方体の硬質合金焼結体の個々の最長辺を測定して平均値を求め、個々の測定値との逸脱を算出したところ、最大で100+1.55%、最小で100−1.40%であり、100±2.0%以内の優れた寸法精度が得られた。
なお、上記の寸法精度とは、同一の成形工程を経て作成した複数の同一形状の焼結体について、個々の焼結体の実寸(例えば焼結体が直方体である場合は、特定の一辺の長さ)を測定し、その平均値を100%とした場合の個々の焼結体の寸法の逸脱程度をいう。
表3〜表5に比較例を示す。比較例1は、実施例1と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダー、を用いているが、脱バインダー工程後の還元処理工程を省略した例である。
比較例2は、実施例1と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が72%と高い例である。
比較例3は、実施例1と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が25%と低いため、射出成形が不能であった例である。
比較例4は、実施例1と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が少ない例である。
比較例5は、実施例1と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が多い例である。
比較例6は、実施例1と同様の原料粉末、バインダーを用いているが、バインダーの添加の順番を逆にしたものである。
比較例7は、実施例1と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、粉末とバインダーとを全て同時に混錬したものである。
比較例8は、実施例2と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、脱バインダー工程後の還元処理工程を省略した例である。
比較例9は、実施例2と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が28%と低いため、射出成形が不能であった例である。
比較例10は、実施例2と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が75%と高い例である。
比較例11は、実施例2と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が少ない例である。
比較例12は、実施例2と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が多い例である。
比較例13は、実施例2と同様の原料粉末、バインダー、を用いているがバインダーの添加の順番を逆にしたものである。
比較例14は、実施例2と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、粉末とバインダーとを全て同時に混錬した例である。
比較例16は、実施例2と同様の原料粉末、低融点バインダーを用いているが、高融点バインダーを用いずにプレス成形したもので、脱バインダー工程後の還元処理工程を省略した例である。
比較例17は、実施例3と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、脱バインダー工程後の還元処理工程を省略した例である。
比較例18は、実施例3と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が72%と高い例である。
比較例19は、実施例3と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が25%と低いため、射出成形が不能であった例である。
比較例20は、実施例3と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が多い例である。
比較例21は、実施例3と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が少ない例である。
比較例22は、実施例3と同様の原料粉末、バインダーを用いているが、バインダーの添加の順番を逆にしたものである。
比較例23は、実施例3と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、粉末とバインダーとを全て同時に混錬した例である。
比較例24は、実施例4と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、脱バインダー工程後の還元処理工程を省略した例である。
比較例25は、実施例4と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が28%と低いため、射出成形が不能であった例である。
比較例26は、実施例4と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が74%と高い例である。
比較例27は、実施例4と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が少ない例である。
比較例28は、実施例4と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が多い例である。
比較例29は、実施例4と同様の原料粉末、バインダーを用いているが、バインダーの添加の順番を逆にしたものである。
比較例30は、実施例4と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、粉末とバインダーとを全て同時に混錬した例である。
比較例32は、実施例4と同様の原料粉末、低融点バインダーを用いているが、高融点バインダーを用いずにプレス成形したもので、脱バインダー工程後の還元処理工程を省略した例である。
比較例33は、実施例5と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、脱バインダー工程後の還元処理工程を省略した例である。
比較例34は、実施例5と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が72%と高い例である。
比較例35は、実施例5と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が25%と低いため、射出成形が不能であった例である。
比較例36は、実施例5と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が少ない例である
比較例37は、実施例5と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が多い例である。
比較例38は、実施例5と同様の原料粉末、バインダーを用いているが、バインダーの添加の順番を逆にしたものである。
比較例39は、実施例5と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、粉末とバインダーとを全て同時に混錬した例である。
比較例40は、実施例6と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、脱バインダー工程後の還元処理工程を省略した例である。
比較例41は、実施例6と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が27%と低いため、射出成形が不能であった例である。
比較例42は、実施例6と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、バインダー濃度が73%と高い例である。
比較例43は、実施例6と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が少ない例である
比較例44は、実施例6と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、低融点バインダーの割合が多い例である。
比較例45は、実施例6と同様の原料粉末、バインダーを用いているが、バインダーの添加の順番を逆にしたものである。
比較例46は、実施例6と同様の原料粉末、低融点バインダー、高融点バインダーを用いているが、粉末とバインダーとを全て同時に混錬した例である。
比較例47は、実施例6と同様の原料粉末、低融点バインダーを用いているが、高融点バインダーを用いずにプレス成形した例で、通常のプレス−焼結材である。
比較例48は、実施例6と同様の原料粉末、低融点バインダーを用いているが、高融点バインダーを用いずにプレス成形したもので、脱バインダー工程後の還元処理工程を省略した例である。
これに対し、比較例1〜48の焼結体は、硬度は通常のプレス成形して焼結した焼結体と同等以上の値を示すが、大部分の抗折力は通常のプレス成形して焼結した焼結体に比較して低い値を示す。また、寸法精度は100±2.0%以内におさまらず、本発明の実施例の硬質合金焼結体に比べて悪い。これらの評価結果を表6,表7に示す。
Claims (4)
- 液相焼結法による硬質合金焼結体の製造方法であって、原料粉末と低融点バインダーとを有機溶剤中で混合し、
乾燥、造粒した後、前記低融点バインダーよりも分解温度の高い高融点バインダーを添加してペレット化した後、該ペレットを射出成形して射出成形体を製造し、
該射出成形体を非酸化雰囲気中で前記低融点バインダーの分解温度以上で前記高融点バインダーの分解温度未満の温度に加熱して前記低融点バインダーを揮発除去し、
次に、前記高融点バインダーの分解温度以上に加熱して前記高融点バインダーを揮発除去し、
還元雰囲気中で前記硬質合金の液相が出現する温度未満の温度に加熱保持して前記原料粉末の表面の酸化物を還元した後、
前記硬質合金の液相が出現する温度以上に加熱して液相を出現させて焼結体を形成することを特徴とする硬質合金焼結体の製造方法。 - 前記低融点バインダーとしてパラフィンワックスを用いることを特徴とする請求項1に記載の硬質合金焼結体の製造方法。
- 前記高融点バインダーとしてアタクチックポリプロピレンを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬質合金焼結体の製造方法。
- 前記硬質合金が複硼化物硬質合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬質合金焼結体の製造方法。
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