JP4875603B2 - 滑り止めチェーン用のテンション装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ハウジングとアクチュエータとを有する滑り止めチェーン用のテンション装置であって、アクチュエータが、ハウジング開口部を通してハウジングに引き込み可能な引張りロープのための少なくとも1つのロック位置を有し、前記引張りロープが、ハウジング内において、巻き付け方向にプレストレスが与えられかつその巻き付け方向の軸線を中心に回転可能に支持された巻取ローラに連結されているテンション装置に関する。
装着後に、引張り方向に対する引張りロープの望ましくない逆回転を回避するために、テンション装置が、滑り止めチェーン、特にスノーチェーンに使用される。引張りロープは、ほとんどの場合、引張りケーブルであるが、例えば引張りチェーンとして形成することもできる。
オーストリア特許第408 635 B号明細書は、3つの位置を有するアクチュエータを有するテンション装置を開示している。互いに回転不能に連結された2つのラチェット車には、戻り止めがそれぞれ割り当てられており、かつラチェット車は、互いに反対のロック方向を有する。アクチュエータは2つの戻り止めに作用し、この場合、第1の停止位置において、一方の戻り止めは、それに割り当てられたラチェット車に係合し、一方、第2の停止位置において、他方の戻り止めは、それに割り当てられたラチェット車に係合し、この結果、移動は、引張り方向に向かって許可され、反対方向に向かって阻止されている。第3の位置、すなわち、それらの間で調整可能な許可位置においては、戻り止めの係合が行われず、ロックが解除されている。
オーストリア実用新案第006 475 U1号明細書は、ラチェット車と、それに割り当てられた、アクチュエータで操作可能な戻り止めとを有するテンション装置を開示しており、この場合、アクチュエータは、ハウジングに対して移動可能であり、かつ3つの位置を有し、すなわち、引張りロープまたはラチェット車が完全にロックされているロック位置の他に、ラチェット車が引張りロープの巻き付け方向に回転可能である保持位置と、ロックが完全に解除されている許可位置とを有する。したがって、この装置は、一方向に1回の、他方向に1回の交互のロックを行うことができない。
独国特許第10 2004 037 332 B3号明細書は、2つの引張りロープが設けられている滑り止めチェーン用のテンション装置を開示している。ロック機構およびこれと対称な制動機構は、車輪の外面に作用し、かつ一方向または他方向への車輪の回転を阻止するが、引き込み速度の効果的でない低減を生じさせる。
このテンション装置では、引張りロープは、ばね力によって引き込まれる。この場合、特に、ロープの長さがより長く引き込まれた場合に、引き込み速度の増大が生じる危険性があり、このことにより、ユーザが負傷する危険性が生じる(例えば(ロープ端部による)指の裂傷または打撲等)。
本発明の課題は、上記欠点を克服すること、および引張りロープの静かな引き込みを提供するテンション装置を提供することである。さらに、引張りロープの移動が、それぞれ、一方向で許容されており、他方向で阻止されている2つのロック位置を提供することを目的とする。
上記課題は、減衰装置を使用する冒頭に述べた種類のテンション装置であって、減衰装置が、巻取ローラによって駆動するように連結された歯車要素を有し、この歯車要素が、巻取ローラの惰性回転を少なくとも巻き付け方向に制動する制動手段に回転不能に連結されているテンション装置によって解決される。回転不能の連結には、制動手段が歯車要素と一体である特例が含まれる。有利には、制動手段は、回転速度によって過度に増大しおよび/または特定の閾値を超えた回転速度に用いる制動効果を有するように設計されている。
本発明の好ましい実施形態では、制動手段は油圧式回転ダンパとして形成されている。代替実施形態では、制動手段は、歯車要素に連結された偏心要素として形成されており、この偏心要素は、回転運動時に遠心力の作用の故に弾性変形によって外側に変位され、この場合、偏心要素は、十分に変位すると、制動手段の周囲領域に固定配置された対向面に摩擦接触する。特に、上記代替実施形態によって、問題のないおよびメンテナンスし易い本発明を実現することが可能になる。
歯車要素と巻取ローラとの特に簡単かつ効果的な駆動連結において、歯車要素は、巻取ローラの冠歯車、好ましくは内側リングギアと協働する歯車であることができる。
操作の不具合をさらに防止するものとして、アクチュエータは、引張りロープのための少なくとも2つのロック位置を有することができ、この場合、第1のロック位置において、引張りロープが引張り方向に移動することを阻止でき、第2のロック位置において、引張り方向と反対方向の移動を阻止でき、ここで、巻取ローラには、割り当てられた戻り止めを有するリングギアが設けられており、戻り止めが、アクチュエータによって、ロック位置に対応する2つの端部位置の間で移動可能である。この場合、各端部位置の戻り止めが、同一のリングギアのそれぞれ少なくとも1つの傾斜面に係合し、ここで、少なくとも1つの傾斜面が、リングギアの少なくとも1つの歯面を支持し(すなわち支持面として作用し)、リングギアの移動がこの歯面方向で阻止され、ここで、異なる端部位置に割り当てられた傾斜面のそれぞれが、異なる配向の歯面と(すなわち巻き付け方向に向かって)協働するとさらに有利である。特にコンパクトな構造では、戻り止めが、それに対向する歯面の方向へのリングギアの移動を阻止する。作動信頼性を向上させるために、アクチュエータが、戻り止めに回転不能に連結されたレバーとして形成されているとさらに有利である。
このさらなる解決方法によって、互いに反対方向に配向された2つのロックが、簡単であるが効率的に実現される。従来の装置とは対照的に、本発明では、異なる位置に配置された2つの傾斜面によって同一のリングギアに作用し、したがって、構成要素の数を著しく低減する個々のラチェット要素の使用が可能になる。
両方のロック方向が互いに対称であり、したがって、戻り止めの傾斜面が互いに左右対称であり、かつリングギアが、互いに左右対称の歯面を有すると、テンション装置の構造がさらに簡単になる。
有利には、歯面が、割り当てられた傾斜面に載置された場合に歯車の運動の自己ロックが歯面の配向方向に生じるように、歯面の急傾斜が選択されている。
添付図面に示されている限定しない実施形態を参照して、本発明、それらの利点および有利な形態について以下に詳細に説明する。
図1によれば、本発明によるテンション装置1は、例えばアイレットまたは孔の形態の保持装置3によって(図示せず)、ピンおよび/またはフックに掛けることが可能なチェーン/ケーブルにピンおよび/またはフックを固定できるハウジング2(2つのハウジングシェル2a、2bからなる)(図4を参照)を有する。滑り止めチェーンまたはスノーチェーンを張るために使用できる引張りケーブル4はテンション装置1の内部に巻かれており、必要に応じて、ハウジングの開口部から上部に形成されたレバー5により、本発明に関連するアクチュエータの部分を固定でき、この所望の方向において、引張りケーブルが解放されており、一方、それと同時に、設定方向とは反対方向の移動が阻止されている。図1には、例えば、引張りケーブル4を引き込むことができ、一方、ケーブルの引き出しが阻止されているその位置が示されている。
内部構造は、図2と図3と図4の分解図とから理解される。引張りケーブル4を巻き付けるために、回転不能に連結されたリングギア12を有するケーブルローラ11が設けられており、このために、ばね14を有するケーブルローラ11には、巻き付け方向にプレストレスが与えられている。
引張りケーブル4をある方向にロックし、かつ対応する反対方向に解放するために、ケーブルローラ11は、それに回転不能に連結されたリングギア12を有する。本発明によれば、リングギア12の両方の歯面は、ケーブルの移動を選択的に阻止するために利用される。このために、歯は、図示されている実施形態のように対称であることができ、このことにより、構造がさらに簡単になる。リングギアに並んで配置されたラチェット15は、それぞれがロック位置に対応しかつレバー5によって調整可能である2つの端部位置(図2または図3)を有する。各端部位置において、ラチェットのそれぞれは、リングギアに係合し、かつラチェットの外側の対応する傾斜面16、17を介して、ある種類の歯面(すなわち、図2では、反時計方向に向けられた歯面、図3では、時計方向に向けられた歯面)と協働する。ラチェット15によって、ケーブルローラが移動可能である方向が画定され、一方、ラチェットが反対方向にロックする。既述したように、ラチェット15の操作は、それと一体であるかまたはそれに回転不能に連結されたアクチュエータのレバー5を介して行われる。
引張りケーブルを許容方向に移動させた場合、リングギア12は、各々の歯の位置において、ラチェット15の係合する傾斜面を若干持ち上げ、この係合する傾斜面は、歯頭部を越えた場合に、以下に説明する保持要素18のばね力によって次の歯の空間に直ちに跳ね戻る。リングギアが傾斜面でラチェットの対向面を支持し、このようにして移動を阻止するので、反対方向への傾斜面の移動が自動的にロックして阻止されている。
ラチェット15をそれぞれの端部位置にロックするために、それと同時に、リングギアを許容方向に移動させるのに必要な隙間を保証するために、弾性保持要素18が使用される。例えば、シェル部2b内においてジョイントで弾性的に支持されておりかつ回転歯車の反対側のラチェットの追加の調整突起19と協働する舌部18が、保持要素として設けられている。ラチェットが一方の端部位置から他方の端部位置に移動された場合に、調整突起19は端部位置に達すると舌部18に隣接するように導かれ、ここで、この舌部は調整突起19の上方に当接し、このようにして、この調整突起をそれぞれの端部位置に固定する。
さらに図4を参照すると、本発明によれば、ケーブルローラ11の第2のリングギア(「制動リングギア」)13と協働する歯車31を歯車要素として有する制動歯車30が、減衰装置として設けられている。好ましくは、制動リングギア13は内側リングギアとして形成されており、かつ制動歯車30は、その軸線がケーブルローラの周囲内でこのケーブルローラに対して偏心して存在するように支持されている。したがって、ケーブルローラ11の回転は、全体的に、制動歯車30の回転に変換される。シェル部2b内の切欠き20は制動歯車30の軸受として使用される。図4(4a)の詳細図によれば、切欠きの外壁の部分21は滑らか(円筒状外面)であり、一方、外壁の第2の部分22は、ある構造、好ましくは縦溝を有する。
図5と図6には、図4に対して裏返された状態の制動歯車30が示されている。歯車31は、ベースディスク32にわたって同軸に配置されており、かつこのベースディスクと一体であるかまたはこれに回転不能に連結されている。ベースディスクの下面には偏心制動要素33が回転不能に固定されている(上面および下面という用語は、図4による状態に基づいている)。ベースディスク32は、制動歯車30の軸受としての滑らかな部分21と協働する。偏心輪33は、幅狭領域を介してベースディスクに連結されている発端部34にあり、かつ発端部34だけでなくベースディスク32にも連結されている重量部35が構成される。
図7の平面図から理解できるように、重量部35は、好ましくは、C字形状に偏心して形成されており、このC字形状は、ベースディスク32の半径内に完全に延在し、したがって、図示されている停止状態において要素33は外壁22に接触せず、この場合、C字形状の一方の端部は発端部に固定されており、かつ他方の自由端は厚くなっている。自由端はその外面で、構造、好ましくは、回転軸線に沿って延在する溝に当接する。この構造は外壁22の構造に対応し、この外壁22の構造は偏心輪33の対向面として使用され、すなわち、重量部35が十分に変位すると、その構造は外壁22の構造に到達して接触し、この結果、摩擦が生じることにより、制動歯車30の回転運動が減衰されるか、さらには防止される。
要素33の材料は弾性であるので、回転軸線に対して、ベースディスク32の下部の重量部35の一定の可動性が得られる。さらに、発端部と重量部との間の連結箇所は、重量部のより優れた可動性のためにノッチ36を有し、このようにして、ジョイント特性を有することができる。
制動歯車30の回転運動時、重量部35は、遠心運動で外側にずれ、かつ回転速度が十分に大きかった場合には、対向側の外壁22のその溝に接触している限り外側に曲げられる。次に、摩擦によって、速度が増大すると著しく増大する制動効果が得られる。回転運動が小さくなった場合、重量部35の変位は弾性的に減少するので、再び、自由移動が許容されている。
このようにして、最初に、一定の速度からローラの回転に合わせる制動効果が得られる。この速度は、連結箇所のノッチ36を適切に選択することによって構造的に選択することができる。両方向における移動時に、制動効果が得られ、この結果、引張りケーブル4の高速引き出しおよび高速引き込みの両方が抑制される。
制動リングギア13の下部領域は、制動歯車30のベースディスク32の上面に当接し、この結果、制動歯車30がその軸受から外側に移動することが防止される。さらに、制動歯車のリングギアに当接できるばね14によって、制動歯車30の持ち上げが防止される。
本発明の第2の実施形態では、遠心力によって作動する制動歯車の代わりに、油圧作動式の減衰手段が使用される。この種類のダンパ40は図8、図9aおよび図9bに示されている。ダンパ40の本体42は、液体が充填された空隙を囲み、移動可能な部分45は、一方では、この空隙内に突出し、他方では、好ましくは一体的に歯車41を有し、さらに、この歯車は、ケーブルローラ11の制動リングギア13によって駆動される。ダンパ本体42は、例えばクランプ43のような固定要素によってハウジング2bに固定されている。ケーブルローラの回転時、ダンパ40の移動可能な部分が移動されてずらされる。この場合、液体が粘性であることによって速度が増大すると非直線的に増大する制動効果が生じ、この結果、ケーブルがゆっくりと移動した場合には抵抗をほとんど感じなくなるが、速すぎる移動は迅速に抑制されて減速される。
図1は、第1のロック位置にある本発明によるテンション装置の側面図である。 図2は、開かれたテンション装置の図面である。 図3は、第2のロック位置にある開かれたテンション装置の図面である。 図4は、テンション装置の分解図である。(4a)は、制動歯車を収容するために設けられた切欠きを有する下部ハウジングシェルの詳細断面図である。 図5は、第1の実施形態の制動歯車の下面斜視図である。 図6は、第1の実施形態の制動歯車の下面斜視図である。 図7は、図5と図6の制動歯車の平面図である。 図8は、第2の実施形態の制動歯車の斜視平面図である。 図9aは、図8の制動歯車の側面図である。 図9bは、図8の制動歯車の平面図である。

Claims (8)

  1. ハウジング(2a、2b)とアクチュエータ(5)とを有する滑り止めチェーン用のテンション装置(1)であって、
    前記アクチュエータは、ハウジング開口部を通して前記ハウジングに引き込み可能な引張りロープ(4)のための少なくとも1つのロック位置を有し、
    前記引張りロープは、前記ハウジング内において、巻き付け方向にプレストレスが与えられかつ前記巻き付け方向の軸線を中心に回転可能に支持された巻取ローラ(11)に連結されているテンション装置(1)において、
    少なくとも巻き付け方向の前記巻取ローラ(11)の惰性回転を制動する制動手段(35、45)に回転不能に連結されている、前記巻取ローラ(11)に駆動されるように連結された歯車要素(31、41)を有する減衰装置(30、40)を備え
    前記制動手段(35、45)は、回転速度に応じて比例するよりも大きく増大する制動効果、または、特定の閾値を超えた回転速度に対して生じる制動効果を有する
    ことを特徴とするテンション装置。
  2. 前記制動手段(45)は、油圧式回転ダンパとして形成されている
    ことを特徴とする請求項に記載のテンション装置。
  3. 前記制動手段(35)は、前記歯車要素に連結された偏心要素として形成されており、
    前記偏心要素は、回転運動時に遠心力の作用の故に弾性変形によって外側に変位され、前記偏心要素は、十分に変位すると、前記制動手段の周囲領域に固定配置された対向面(22)に摩擦接触する
    ことを特徴とする請求項に記載のテンション装置。
  4. 前記歯車要素(31、41)は、前記巻取ローラ(11)の冠歯車(13)、好ましくは内側リングギアと協働する歯車である
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のテンション装置。
  5. 前記アクチュエータ(5)は、前記引張りロープ(4)のための少なくとも2つのロック位置を有し、
    第1のロック位置において、前記引張りロープが引張り方向に移動することを阻止でき、
    第2のロック位置において、前記引張り方向と反対方向の移動を阻止でき、
    前記巻取ローラには戻り止め(15)と協働するリングギア(12)が設けられており、
    前記戻り止めが、前記アクチュエータ(5)によって、前記ロック位置に対応する2つの端部位置の間で移動可能である
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載のテンション装置。
  6. それぞれ少なくとも1つの傾斜面(16、17)を有する各端部位置の前記戻り止めが前記リングギア(12)に係合し、前記少なくとも1つの傾斜面が、前記リングギアの少なくとも1つの歯面を支持し、前記歯面の方向における前記リングギア(12)の移動を阻止し、異なる端部位置に割り当てられた傾斜面のそれぞれが、異なる配向の歯面と協働する
    ことを特徴とする請求項に記載のテンション装置。
  7. 前記戻り止め(15)の前記傾斜面が互いに左右対称であり、
    かつ前記リングギア(12)が、互いに左右対称の歯面を有する
    ことを特徴とする請求項に記載のテンション装置。
  8. 前記歯面は、割り当てられた傾斜面に当接した場合に自己ロックが生じるように、前記歯面傾斜が形成されている
    ことを特徴とする請求項またはに記載のテンション装置。
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