JP4874664B2 - ヒートパイプ - Google Patents
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ヒートパイプとしては、コンテナ内面に溝が形成され、熱媒体が溝内を毛細管作用によって凝縮部から蒸発部に移動するようにされたものがある。
特許文献1および特許文献2には、扁平な形状のパイプ状のコンテナを用いたヒートパイプが開示されている。これらは、内面に溝が形成されたパイプ状のコンテナを径方向に押しつぶして扁平な形状とすることにより作製できる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、薄型化および平坦化が可能であり、しかも熱媒体流路の設計の自由度が高いヒートパイプを提供することを目的とする。
前記凸部は、前記溝状凹部の長さ方向に沿う1または複数の列をなすよう配列され、前記蒸発部から凝縮部に向けて単位長さあたりの熱流体通路の体積が大きくなるように形成されていてよい。
また、第1基材に形成された溝状凹部が熱媒体流通路をなす構成であるので、溝状凹部の形状にほとんど制限がなく、任意の形状の熱媒体流通路を形成することができる。従って、熱交換システムとしての設計の自由度の点で優れている。
ここに示すヒートパイプは、平板状の第1基材1と、第1基材1の一方の表面1aに重ね合わされた平板状の第2基材2とからなる積層体3を備えている。
第1基材1および第2基材2は、銅、銅合金、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属からなる。また、金属とプラスチックとの複合材料を用いてもよい。
第1基材1の表面1aには、蒸発部4から凝縮部5にわたって、熱媒体が流れる熱媒体流通路6をなす第1溝状凹部7が形成されている。
第1溝状凹部7の平面視形状は、用途に応じて定めることができ、例えば直線状、蛇行状、L字状、S字状などとすることができる。図示例では、第1溝状凹部7は直線状とされている。
第1溝状凹部7の断面形状は、特に限定されず、多角形状(矩形状、V字状など)、半円状、円弧状などとすることができる。図示例では第1溝状凹部7は断面略矩形状とされている。
凸部8の断面形状は特に限定されず、多角形状(矩形状、逆V字状など)、半円状、円弧状などとすることができる。図示例では凸部8は断面略矩形状とされている。
凸部8の平面視形状は、例えば直線状、蛇行状、L字状、S字状などとすることができる。図示例では、凸部8は、第1溝状凹部7に沿って連続的に延びる直線状とされている。
凸部8の数は、1でもよいが、第1溝状凹部7の幅方向に間隔をおいて複数形成すると、熱媒体流通路6の表面積を大きくすることができる。
凸部8の形成によって、熱媒体流通路6の表面積を大きくできるため、熱交換効率を高めることができる。
第1溝状凹部7の少なくとも一部には、熱媒体が保持されている。熱媒体としては、水、アセトン、メタノールなどが使用でき、用途に応じて選択することができる。
なお、図示例では第1基材1に1つの第1溝状凹部7が形成されているが、これに限らず、複数の第1溝状凹部を第1基材に形成することもできる。
第1溝状凹部7および凸部8を形成するには、エッチング法、アディティブ法(めっき法)などを採用することができる。また、これらを組み合わせた方法も可能である。
以下、エッチング法の一例を説明する。
図3に示すように、銅などの金属からなる平板状の基材11を用意し、その表面にエッチングマスク12(レジスト)を形成する。エッチングマスク12は、第1溝状凹部7以外の部分、および凸部8に相当する部分に形成する。
次いで、図4に示すように、基材11を、塩化銅水溶液、塩化鉄水溶液などのエッチング液に接触させることによって、エッチングマスク12がない部分に溝を形成する。これによって、底面7aに凸部13を有する第1溝状凹部7が形成される。
基材11をエッチング液に接触させるには、基材11をエッチング液に浸漬するか、エッチング液を噴霧する方法をとることができる。
エッチングマスクをこの図に示す構成とするには、この方法に限らず、いったんすべてのエッチングマスクを除去した後、第1溝状凹部7以外の部分に新たにエッチングマスクを形成する方法も可能である。
この製造方法では、エッチング法の採用によって、ファインピッチ化および高アスペクト化が可能となる。
熱媒体流通路6に熱媒体を封入するには、第1基材1または第2基材2に形成した注入経路を通して、熱媒体を真空下で熱媒体流通路6に注入した後、注入経路を塞ぐ方法をとることができる。
レジスト層がない部分に、めっき法(例えば電解めっき法)により金属膜を形成することによって、前記基材上に、第1溝状凹部7以外の部分と、凸部8を形成し、図1に示す第1基材1を得る。
この製造方法では、アディティブ法の採用によって、さらなるファインピッチ化および高アスペクト化が可能となる。
この凸部の上に、前記アディティブ法により金属膜を形成することによって、図1に示す第1基材1を得る。
この方法では、エッチング法により凸部を形成し、その上にアディティブ法によりレジスト層を形成するので、レジスト層の形成が容易となる。
このほか、基材上に凹凸を形成する技術としては、切削、レーザ加工、モールド加工、放電加工などがある。
また、上記ヒートパイプは、第1基材1に形成された第1溝状凹部7が熱媒体流通路6をなす構成であるので、第1溝状凹部7の形状にほとんど制限がなく、任意の形状の熱媒体流通路6を形成することができる。従って、熱交換システムとしての設計の自由度の点で優れている。
また、容易な操作で第1溝状凹部7を形成できるため、製造工程を簡略化し、製造コスト低減が可能となる。
さらに、上記ヒートパイプは、板状の第1基材1と板状の第2基材2が積層された積層体3からなるので、十分な強度をもつことから、大型化も可能である。
第2溝状凹部17の断面形状は、多角形状(矩形状、V字状など)、半円状、円弧状などとすることができる。図示例では、第2溝状凹部17は断面略矩形状とされ、その幅および深さは第1溝状凹部7とほぼ等しくされている。
凸部18の高さは、第2溝状凹部17の深さより小さいと、熱媒体の流通がスムーズになるため好ましい。
凸部18の断面形状は特に限定されず、多角形状(矩形状、逆V字状など)、半円状、円弧状などとすることができる。図示例では凸部18は断面略矩形状とされている。
凸部18の数は、1でもよいが、第2溝状凹部17の幅方向に間隔をおいて複数形成すると、熱媒体流通路6の表面積を大きくすることができるため好ましい。
図8は、粗面化処理が施された溝状凹部の例を模式的に表すものであって、この図に示す第1溝状凹部7は、粗面化処理によって表面に微細な凹凸が形成されている。
粗面化処理は、例えば黒化処理として知られている方法を用いることで可能となる。黒化処理は、例えば、酸化剤、アルカリ、pH緩衝剤を含む処理液で第1溝状凹部7の表面を処理する方法をとることができる。処理液の具体例としては、酸化剤(NaClO2)52g/L、アルカリ(NaOH)15g/L、pH緩衝剤(Na3PO4/12H2O)8g/Lを含む水溶液を挙げることができる。形成される微細凸部(針状結晶)の高さは、例えばサブミクロン(10−7m)〜ミクロン(10−6m)である。
第1溝状凹部7の表面を粗面化することによって、その表面積を大きくし、熱交換効率を高めることができる。
なお、粗面化処理は、第1および第2溝状凹部の両方に施すこともできる。また、第1および第2溝状凹部のいずれか一方に粗面化処理を施すこともできる。
このヒートパイプは、凸部28が、蒸発部4から凝縮部5に向けて、漸次幅が減少するように形成されており、凝縮部5側の端部28aは、蒸発部4側の端部28bに比べて幅が小さくなっている。
凸部28の高さは、蒸発部4から凝縮部5に向けて漸次低くなっていてもよいし、ほぼ一定とすることもできる。
このヒートパイプでは、凸部28が、蒸発部4から凝縮部5に向けて漸次幅が減少するように形成されているため、第1溝状凹部7の単位長さあたりの熱媒体流通路6の体積は、蒸発部4から凝縮部5に向けて大きくなる。
熱媒体流通路6が、蒸発部4から凝縮部5に向けて広くなっているので、凝縮部5において多量の熱媒体が流通可能となり、熱媒体が凝縮する際の熱交換効率が向上する。また、蒸発部4では、熱媒体流通路6の表面積が比較的大きいため、熱媒体が蒸発する際の熱交換効率が高められる。
図10は、このヒートパイプを示す平面図であり、図11は、図10におけるA−A断面矢視図であり、図12は、図10におけるB−B断面矢視図である。
このヒートパイプは、凸部38が、蒸発部4から凝縮部5に向けて、漸次高さが減少するように形成されており、蒸発部4側の端部38aは、凝縮部5側の端部38bに比べて低くなっている。凸部38の幅は、ほぼ一定とすることができる。
このヒートパイプでは、凸部38が、蒸発部4から凝縮部5に向けて漸次高さが減少するように形成されているため、第1溝状凹部7の単位長さあたりの熱媒体流通路6の体積は、蒸発部4から凝縮部5に向けて大きくなる。
従って、凝縮部5において熱媒体が凝縮する際の熱交換効率が向上する。また、蒸発部4において熱媒体が蒸発する際の熱交換効率が高められる。
図13に示すヒートパイプでは、凸部48は複数の島状とされ、第1溝状凹部7の長さ方向に沿って配列されている。凸部48は、1列でも良いが、幅方向に間隔をおいて複数列をなすように形成するのが好ましい。図示例では、第1溝状凹部7の長さ方向に隣り合う凸部48、48の間隔は、ほぼ一定とされている。
図14に示すヒートパイプでは、凝縮部5において隣り合う凸部48の間隔は、蒸発部4において隣り合う凸部48の間隔に比べて大きくされている。このため、第1溝状凹部7の単位長さあたりの熱媒体流通路6の体積は、蒸発部4から凝縮部5に向けて大きくなっている。
従って、凝縮部5において熱媒体が凝縮する際の熱交換効率が向上する。また、蒸発部4において熱媒体が蒸発する際の熱交換効率が高められる。
なお、溝状凹部内に形成する凸部の数および高さは図示例に限定されない。
Claims (2)
- 内部に熱媒体が保持されたヒートパイプであって、
板状の第1の基材と、該第1の基材の一方の面に重ねあわされた板状の第2の基材とからなる積層体を備え、
該積層体の一部が、入熱により前記熱媒体が蒸発する蒸発部とされ、他の少なくとも一部が、放熱により前記熱媒体が凝縮する凝縮部とされ、
少なくとも前記第1の基材の前記一方の面には、前記蒸発部から凝縮部にわたって、熱媒体流通路をなす溝状凹部が形成され、該溝状凹部内の少なくとも一部に、前記熱媒体が保持され、
前記溝状凹部の内面には、複数の島状の凸部が形成され、
前記凝縮部における隣り合う前記凸部の間隔は、前記蒸発部における隣り合う前記凸部の間隔よりも大きいことを特徴とするヒートパイプ。 - 前記凸部は、前記溝状凹部の長さ方向に沿う1または複数の列をなすよう配列され、前記蒸発部から凝縮部に向けて単位長さあたりの熱流体通路の体積が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のヒートパイプ。
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