JP4873903B2 - 熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルム成形方向の熱収縮率と寸法変化が小さく、耐熱性に優れ、プリント配線基板などのエレクトロニクス用部材等として好適に使用できる熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法に関する。
熱可塑性樹脂の中でも、ポリエーテルイミド樹脂やポリアリールケトン樹脂に代表されるガラス転移温度(Tg)や融点(Tm)が高い熱可塑性樹脂は、耐熱性、難燃性、耐薬品性などに優れているため、航空機部品、電気・電子部品を中心に多く採用されている。なかでも、ポリアリールケトン樹脂は、原料価格が非常に高価な上、樹脂自体のガラス転移温度が約140〜170℃程度と比較的低いことから、耐熱性等の改良検討が種々行われてきた。その中でも良好な相溶性を示す系として、ポリエーテルイミド樹脂とのブレンドが注目されてきた。
このようなブレンドとして、結晶性ポリアリールケトン樹脂と非晶性ポリエーテルイミド樹脂との混合組成物が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、これらの組成物が回路板基材に有用であることも開示されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、上記混合組成物を用いたプリント配線基板及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、これらの樹脂混合組成物のみでは、該組成物からなるフィルムを回路基板用として使用する場合、銅やアルミニウムなどの金属に比べて線膨張係数が大きく、したがって上記金属材料と貼り合せる際に、温度変化に応じて反りが生じるなどの問題があるので、寸法安定性向上のために充填材が添加されている。しかし、この樹脂混合組成物においても該組成物のフィルムを使用して積層回路基板を製造する工程で、アースや厚さの調整のために両面粗化銅箔を全面(以下、「ベタ」という。)に挟み込む場合があり、この層を形成する際、一括積層の前に、上記フィルム2枚の間に両面粗化銅箔を挟み込み、190℃前後の温度で10分程度の短時間プレスを行い、3層積層体とすることがある。この3層積層体に、波打ちや凸凹(以下、「ボコつき」という。)が生じ、他の層と重ねる際にずれが生じて、位置合わせ作業に手間がかかるという問題があり、ボコつきが発生しにくいフィルムとその成形技術が待たれていた。
特開昭59−187054号公報 特表昭61−500023号公報 特開昭59−115353号公報 特開2000−38464号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、フィルム成形方向の熱収縮率(以下、「MD収縮率」ということもある。)と寸法変化が小さく、耐熱性に優れ、エレクトロニクス用部材等として好適な熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性ポリイミド樹脂とポリアリールケトン樹脂との樹脂混合物に、充填材を組み合わせてなる樹脂組成物からなり、特定の条件におけるMD収縮率が特定範囲にある熱可塑性樹脂フィルムにより、上記課題が解決されることを見出した。
さらに、フィルム厚さ(t)を押出機のダイス先端の開口度(T)で割って得られる値(t/T)が特定範囲にあり、且つ、特定の冷却条件を選択することにより、MD収縮率を制御することができることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下の熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法を提供するものである。
1. (A)熱可塑性ポリイミド樹脂と(B)ポリアリールケトン樹脂との合計量100質量部に対して、(C)充填材5〜50質量部を含む樹脂組成物からなり、200℃にて20分間加熱した際のフィルム成形方向の熱収縮率が0.01〜6.5%であることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
2. (A)成分と(B)成分の混合質量比が、(A)/(B)=95/5〜5/95である上記1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
3. (A)成分の熱可塑性ポリイミド樹脂が、ポリエーテルイミド樹脂を主成分とするものであり、(B)成分のポリアリールケトン樹脂が、結晶性ポリエーテルエーテルケトン樹脂を主成分とするものである上記1又は2に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
4. (C)成分の充填材が無機系のものである上記1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
5. (C)成分の充填材が板状である上記4に項記載の熱可塑性樹脂フィルム。
6. (C)成分の充填材の平均粒子径が0.01〜50μmの範囲にある上記1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
7. (C)成分の充填材がマイカである上記5又は6に項記載の熱可塑性樹脂フィルム。
8. 押出機により溶融押出しされたフィルムを冷却体に接触させて冷却する押出しキャスト法において、フィルムが冷却された後、温度25℃±5℃、相対湿度50%±10%の雰囲気下で測定されるフィルム厚さ(t:単位mm)を押出機のダイス先端の開口度(T:単位mm)で割って得られる値(t/T)が0.1〜0.5の範囲にあり、フィルムが押出機のダイス先端から押し出された後0〜10秒の間に、フィルムの一方の面を、表面温度が50〜175℃の範囲にある冷却体(1)に接触させ、フィルムの他の面を表面温度が50〜175℃の範囲にある冷却体(2)に接触させることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
本発明によれば、MD収縮率と寸法変化が小さく、耐熱性に優れ、プリント配線基板などのエレクトロニクス用部材等として好適に使用できる熱可塑性樹脂フィルム及びその製造法を提供することができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、(A)熱可塑性ポリイミド樹脂と(B)ポリアリールケトン樹脂との合計量100質量部に対して、(C)充填材5〜50質量部を含む樹脂組成物からなり、200℃にて20分間加熱した際のフィルム成形方向の熱収縮率が0.01〜6.5%である熱可塑性樹脂フィルムである。
本発明に係る樹脂組成物における(A)成分の熱可塑性ポリイミド樹脂は、その構造単位に芳香核結合及びイミド結合を含む熱可塑性樹脂であり、特に制限されるものでない。具体的には、下記構造式(1)
Figure 0004873903
で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド[ゼネラルエレクトリック社製の商品名「Ultem1000」(ガラス転移温度:216℃)、「Ultem1010」(ガラス転移温度:216℃)]、下記構造式(2)
Figure 0004873903
で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド[ゼネラルエレクトリック社製の商品名「UltemCRS5001」(ガラス転移温度:226℃)]が挙げられ、そのほかの具体例として、ゼネラルエレクトリック社製の商品名「Ultem XH6050」(ガラス転移温度:247℃)、三井化学株式会社製の商品名「オーラム250AM」(ガラス転移温度:258℃)などが挙げられる。
これらのうちで、好ましくは非晶性のものであり、さらに好ましくは、上記構造式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミドである。
ポリエーテルイミド樹脂の製造方法は特に限定されるものではないが、通常、上記構造式(1)で表される繰り返し単位を有する非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、4,4’−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物とm−フェニレンジアミンとの重縮合物として、また上記構造式(2)で表される繰り返し単位を有する非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、4,4’−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重縮合物として公知の方法によって合成される。
また、本発明で用いるポリエーテルイミド樹脂は、本発明の主旨を超えない範囲でアミド基、エステル基、スルホニル基など共重合可能な他の単量体単位を含むものであってもかまわない。なお、ポリエーテルイミド樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分のポリアリールケトン樹脂は、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合及びケトン結合を含む熱可塑性樹脂であり、その代表例としては、ポリエーテルケトン(ガラス転移温度:157℃、結晶融解ピーク温度(融点):373℃)、ポリエーテルエーテルケトン(ガラス転移温度:143℃、結晶融解ピーク温度:334℃)、ポリエーテルケトンケトン(ガラス転移温度:153℃、結晶融解ピーク温度:370℃)等があり、また、本発明の主旨を超えない範囲でビフェニル構造、スルホニル基や共重合可能な他の単量体単位を含むものであってもかまわない。本発明においては、下記構造式(3)
Figure 0004873903
で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンが好適に使用される。この繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンは、VICTREX社製の商品名「PEEK151G」[ガラス転移温度:143℃、結晶融解ピーク温度:334℃]、「PEEK381G」[ガラス転移温度:143℃、結晶融解ピーク温度:334℃]、「PEEK450G」[ガラス転移温度:143℃、結晶融解ピーク温度:334℃]などとして市販されている。なお、ポリアリールケトン樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の熱可塑性樹脂フィルムをプリント配線基板などのエレクトロニクス用基板の基材として適用する場合には、(B)成分のポリアリールケトン樹脂として結晶性を有するものが好ましく、さらに、結晶融解ピーク温度が260℃以上であるものが好ましい。
上記樹脂組成物において、(A)成分の熱可塑性ポリイミド樹脂と(B)成分のポリアリールケトン樹脂(B)の混合質量比は、通常(A)/(B)=95/5〜5/95程度である。本発明の熱可塑性樹脂フィルムをプリント配線基板などのエレクトロニクス用基板の基材として適用する場合には、(A)成分と(B)成分との混合質量比は、(A)/(B)=70/30〜30/70であることが好ましい。
(A)成分が95質量比以下で、(B)成分が5質量比以上であると、(B)成分のポリアリールケトン樹脂が持つ、優れた耐熱性や低い吸水特性を充分に発揮させることができる。また、(A)成分が5質量比以上で、(B)成分が95質量比以下であると、本発明の熱可塑性樹脂フィルムにおいて、金属との接着性や、フィルム同士の熱融着などの加工性が良好である。
また、(B)成分として結晶性のポリアリールケトン樹脂を使用する場合、(A)成分が95質量比以下で、(B)成分が5質量比以上であると、フィルムを構成する樹脂組成物としての結晶性自体が高く、また結晶化速度も速く、はんだ耐熱性も良好である。また、同様の場合、(A)成分が5質量比以上で、(B)成分が95質量比以下であると、結晶性のポリアリールケトン樹脂の結晶化に伴う体積収縮(寸法変化)が大きくなることがないので、回路基板としての信頼性が得られる。これらのことから、(B)成分として結晶性のポリアリールケトン樹脂を含有する本発明の熱可塑性樹脂フィルムをエレクトロニクス用基板の基材として用いる場合には、(A)成分と(B)成分との混合質量比は、(A)/(B)=65/35〜35/65とすることが好ましい。
本発明に係る樹脂組成物を構成する(C)成分の充填材としては、公知のものを使用することができ、例えば、クレー、ガラス、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、窒化珪素などの無機充填材、ガラス繊維やアラミド繊維、炭素繊維などの繊維、無機鱗片状(板状)粉体、例えば、合成マイカ、天然マイカ、ベーマイト、タルク、セリサイト、イライト、カオリナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、スメクタイト、板状アルミナ、鱗片状チタン酸塩(例えば、鱗片状チタン酸マグネシウムカリウム、鱗片状チタン酸リチウムカリウム等)などが挙げられる。これらのなかで、合成マイカ、天然マイカ、タルク、セリサイト、イライト、カオリナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、スメクタイトなどの無機鱗片状(板状)粉体が好ましく、合成マイカ、天然マイカがより好ましい。これらの充填材は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
充填材の形状としては、板状が好ましく、平均粒径は0.01〜50μm程度、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは1〜10μm、平均アスペクト比(粒径/厚み)は20程度以上、好ましくは50以上の無機充填材が好適に用いられる。
(C)成分の充填材は、表面処処理剤により表面処理が施されていてもよい。なお、表面処理される前の充填材と処理された後の充填材の形状は、同じものとして取り扱う。表面処理剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシラン、アクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有するシラン化合物などのシランカップリング剤、珪素原子に炭素数1〜30の範囲の直鎖、分岐又は環状の炭化水素基が1又は2個結合したアルコキシシラン、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコネートカップリング剤などが挙げられる。
表面処理剤の使用量は、通常、(C)成分の充填材100質量部に対して0.1〜8質量部程度、好ましくは0.5〜3質量部の範囲である。この使用量を0.1質量部以上とすることにより、充分な表面処理の効果が得られるため、樹脂組成物の機械的強度が充分となる。また、表面処理剤の使用量が8質量部を超えても表面処理の効果が向上するものでもないので、8質量部までで充分である。
表面処理の方法としては、既知の種々の方法が適用できる。例えば、表面処理剤を溶解した溶液中で、充填材と表面処理剤を接触させた後に溶媒を除去する湿式法、表面処理剤を溶解した溶液と充填材とを噴霧、撹拌等の方法により接触させて、充填材表面に表面処理剤をまぶした後、溶媒を除去する半湿式法、樹脂と充填材及び表面処理剤又は少量の溶媒に溶解させた表面処理剤を混合撹拌するインテグラルブレンド法などが挙げられる。これらの表面処理方法のうち、充填材表面に効率よく表面処理剤を付着させるという観点から、湿式法、半湿式法が好ましい。
溶媒中の表面処理剤の濃度は、0.1〜80質量%程度とすることができる。溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ヘキサン等の除去しやすいものが好ましい。この溶媒は、少量の水や加水分解を促進する少量の酸成分を含むものであってもよい。
上記表面処理方法により、充填材と、溶媒で希釈した又は希釈しない表面処理剤を接触混合した後、数時間から数日間空気中に放置し、空気中の水分と接触させて加水分解を起こさせるとともに、使用した溶媒を蒸発除去することが推奨される。
この蒸発除去の処理は、アルコキシシリル基の加水分解反応や生成したヒドロキシルシリル基を充填材表面のヒドロキシル基と脱水縮合反応させ、かつ、発生したアルコールや使用した溶媒除去のため、常圧下ないし減圧下に、通常、温度80〜150℃程度、好ましくは100〜130℃で行なう。処理時間は通常4〜200時間程度であり、好ましくは24〜100時間である。
本発明に係る樹脂組成物に使用する(C)成分の充填材の量は、上述した(A)成分の熱可塑性ポリイミド樹脂と(B)成分のポリアリールケトン樹脂との合計量100質量部に対して5〜50質量部の範囲である。混合する充填材の量が50質量部以下であると、フィルムの可とう性、端裂抵抗値(JIS C2151−1990の端裂抵抗試験準拠)が良好であり、光沢度も著しく低下しない。一方、5質量部以上であると、線膨張係数の低減効果が充分なものとなるため、寸法安定性を向上させる効果が高くなる。このことから好適な充填材の混合量は、(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して10〜40質量部であり、さらにフィルムの寸法安定性と可とう性あるいは端裂抵抗値とのバランスを重視する場合には、20〜35質量部の範囲で制御することが好ましい。
本発明に係る樹脂組成物には、その性質を損なわない程度に、(A)成分、(B)成分以外の樹脂や、(C)成分の充填材以外の各種添加剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜配合してもよい。また、(C)成分の充填材を含めた各種添加剤の混合方法は、公知の方法を用いることができる。混合の組合せの例として、
(I)(A)成分、(B)成分と(C)成分の3成分を同時に混合・分散させる方法、

(II)(A)成分と(B)成分をあらかじめ混合し、この混合物に(C)成分を混合・分散させる方法、
(III)(A)成分又は(B)成分に、(C)成分をあらかじめ混合分散させて、(A)成分と(C)成分の混合物又は(B)成分と(C)成分の混合物を調製し、次いで(A)成分と(C)成分の混合物に(B)成分を混合するか、あるいは(B)成分と(C)成分の混合物に(A)成分を混合する方法、
(IV)(A)成分及び(B)成分それぞれに(C)成分を混合分散させた混合物を調製し、これらの混合物を混合する方法[この場合、(A)成分に対する(C)成分の比率と(B)に対する(C)成分の比率は同じでも異なっていてもよい。]、
(V)複数種の(A)成分及び/又は複数種の(B)成分を使用する場合、これらのう
ちの少なくとも1種に、高濃度に(C)成分を混合分散させた混合物と、配合すべき他の(A)成分及び/又は(B)成分を混合するか、あるいは上記混合物と、配合すべき他の(A)成分及び/又は(B)成分に低濃度に(C)成分を混合分散させた混合物を混合分散させる方法
などが挙げられる。
混合・分散の方法としては、例えば、(A)成分と(B)成分と(C)成分と所望により用いられる各種添加剤をそれぞれ別々に単軸溶融混練機や二軸溶融混練機に供給して混合することもでき、複数の供給部を有する溶融混練機を用いて各成分を逐次的に溶融混練機に供給することもできる。また、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー、タンブラーなどの混合機を利用してそれらを予備混合した後、溶融混練機に供給して(A)成分や(B)成分のガラス転移温度ないしは融点以上、具体的には300℃〜430℃の温度で溶融混練することもできる。また、目的により、水性媒体や有機溶媒に分散せしめて湿式法により混合することも可能である。さらに、(C)成分の充填材や各種添加剤を、(A)成分及び/又は(B)成分をベース樹脂として高濃度(代表的な含有量としては10〜60質量%程度)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合し、ニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法などが挙げられる。上記混合方法の中では、マスターバッチを作製し、混合する方法が分散性や作業性の点から好ましい。
混合された樹脂組成物は、成分の溶融混合分散に続いて直接フィルム状に成形してもよく、また、一旦ストランドないしはシート状に押し出され、カッティングされてペレット、顆粒、粉体等の成形加工に適した形態で得られる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの成形方法としては、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法等の公知の方法が挙げられる。例えば押出し部先端の断面形状が長方形や長方形類似形状のダイス、具体的にはTダイ、Iダイなどフィルム押出し用のダイスより押し出されたフィルム状の樹脂組成物を冷却体に接触させて冷却する押出キャスト法、カレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、フィルムの製膜性、表面光沢の制御、安定生産性等の面から、TダイやIダイなどフィルム押出し用のダイスと冷却体を用いる押出キャスト法が好ましい。冷却体としては、表面の材質が金属やゴム、繊維、耐熱性を有する樹脂(例えば、ポリイミド)などよりなり、形態としてはロールやベルト、シームレスベルトなどが挙げられる。これらのうちで、冷却装置が単純で取り扱いという理由から、冷却体としてロールを用いることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムを押出しキャスト法により製造する際のロールの組合せの一例を図1に示す。不図示の押出機より、溶融した樹脂と充填材の混合物が、導管1を経てTダイ2に送り込まれ、Tダイ2の先端でフィルム状に押し出され、冷却用の金属ロール3(冷却体(1))とゴムロ−ル4(冷却体(2))の間に挟まれて冷却されると同時に表面光沢や厚さ等の形状を整えられて、フィルム5が形成され、不図示の巻き取り機に送られる。ゴムロール4は、金属ロール3の反対側に設置されたゴムロール冷却用金属ロール6に接触することにより冷却される。フィルム5は、必要に応じて、金属ロール3と不図示の巻き取り機の間に設けた他のロールや、冷却エアーにより冷却される。
押出キャスト法における成形温度は、樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ねガラス転移温度ないしは融点以上、具体的には430℃以下、好ましくは340〜430℃、さらに好ましくは350〜390℃である。また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、通常10〜800μm程度、好ましくは20〜200μmである。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、200℃にて20分間加熱した際のMD収縮率が0.01〜6.5%であることを要し、好ましくは0.1〜5.5%、より好ましくは0.2〜4.5%の範囲である。MD収縮率が6.5%以下であると、フィルムのボコつきが少なく、また、ボコつきを避けるには、0.01%以上であればよい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの、フィルム成形方向に対して直角な方向の収縮率(以下、「TD収縮率」ということもある。)は、通常0〜3%程度、好ましくは0.1〜1.2%、より好ましくは0.2〜1%の範囲である。TD収縮率が3%以下であるとボコつきの発生が少ない。
本発明におけるMD収縮率の測定は以下のように行われる。すなわち、枚葉状又は巻物状のフィルムより、一辺の長さが12cmの正方形のフィルムを切り出し、その各辺端部より内側2cmの位置に、その各辺に平行な直線を仮定し、さらにその直線で囲まれる正方形を仮定して、その4個の頂点に目印を描き、室温(23±5℃)にて、フィルム成形方向に隣り合う2点間の距離(L)をマイクロメートル(μm)の単位まで測定する。次いで、200℃の通風オーブンに入れ、そのまま200℃にて20分間熱処理した後にオーブンより取り出し、取り出してから3分以内に室温まで冷却し、続いて室温にて60〜180分間放置した後、隣り合う2点間の距離(M)を測定する。MD収縮率は、このようにして得られた(L)及び(M)を用い、熱処理前後の寸法差(L−M)に100を乗じ、熱処理前の寸法(L)で割って得られる値、すなわち、MD収縮率=[(L−M)×100]/Lにより算出されるものである。フィルム成形方向2箇所につき測定値が得られ、その平均値をMD収縮率(単位:%)とする。
TD収縮率(単位:%)は、200℃にて20分間行う熱処理の前後にフィルムの成形方向と直角な方向に隣り合う2点の距離を測定する以外は、上記MD収縮率の測定と同様の方法により測定し、同様の計算式により算出することができる。
また、上記の200℃のオーブンにて行う熱可塑性樹脂フィルムの熱処理操作は、熱可塑性樹脂フィルムの熱風による飛散やカールを防ぐため、各辺に接した内側に厚さ約1mmのスペーサー(各辺に平行な方向に長さ10cm、各辺に直角な方向に幅5mm、厚さ約1mm)を有し、このスペーサーにより間隔が約1mmに保たれた2枚のアルミニウム板(縦17cm、横17cm、厚さ1mm)の間に挟んで200℃の通風オーブンに入れ、200℃にて20分間熱処理した後にオーブンより取り出し、そのまま他の室温のアルミニウム板(厚さ1mm)2枚の間に約10秒間挟んで冷却し、次いですぐに2枚の室温の冷却用アルミニウム板を別の室温の冷却用アルミニウム板2枚に取り替えてさらに10〜20秒間冷却し、この操作を5〜6回繰り返して2分以内に室温まで冷却し、スペーサーを有する2枚のアルミウム板の間よりフィルムを取り出す。引き続いて室温にて60〜180分間放置した後、隣り合う2点の距離(M)を測定する。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造において、MD収縮率を0.01〜6.5%の範囲とするための手段として、フィルム厚さ(t:単位mm)を押出機のダイス先端の開口度(以下、「ダイスの開口度」という。T:単位mm)で割って得られる値(t/T)が0.1〜0.5の範囲にあり、且つ、ダイスから押出されたフィルム状の溶融樹脂の片面を冷却体(1)に接触させ、同時にあるいは引き続いて、フィルム状の溶融樹脂のもう一方の面を冷却体(2)に接触させて冷却することが好ましい。t/Tが0.1〜0.5の範囲にあると、MD収縮率を0.01〜6.5%の範囲とすることができる。
熱可塑性樹脂フィルムのMD収縮率を0.01〜6.5%の範囲とするために、フィルムが押出機のダイス先端から押し出された後、このフィルムの2面が上記冷却体(1)及び上記冷却体(2)に接触するまでの時間(「冷却前時間」と略記する。)は、通常0〜3秒、好ましくは0.05〜1秒である。0〜3秒の範囲であれば、本発明の熱可塑性樹脂フィルムのプレス積層の接着性が良好となる。冷却前時間は、ダイスを離れたフィルムが冷却体(1)に接触するまでの距離(「冷却前距離」と略記する。)を成形速度(フィルム引取速度)で割って得られる商として求められる。
冷却体(1)と冷却体(2)の表面温度は、通常50〜175℃程度、好ましくは50〜170℃、より好ましくは80〜165℃の範囲である。この表面温度が50℃以上であると、冷却体表面に空気中の水分が凍って付着することを避けることができ、また、175℃以下であると、本発明の熱可塑性樹脂フィルムのプレス積層の接着や粗化銅箔などの表面粗化金属箔との接着が良好である。冷却体の表面温度は、冷却体上面に熱電対や温度指示体を接触させる接触法、赤外線温度計など光や電磁波を用いる非接触法などで測定することができる。
ダイスから押し出されたフィルムが上記冷却体(1)に接触した後、上記冷却体(2)に接触するまでの時間は、0〜3秒、好ましくは0〜1秒の範囲である。この範囲であればフィルムの冷却体(2)に接触した面の平坦性悪化を避けることができる。冷却体(2)に接触するまでの時間が0秒とは、冷却体(1)への接触と同時であることを意味する。
上記冷却体(1)及び冷却体(2)の形態として、冷却装置の構造が単純で取り扱いやすいという理由から、ロールが好ましい。
冷却体(1)の外層材質としては、アルミニウム、銅、チタン及びそれらの合金;鉄、ステンレス鋼、クロム合金ステンレス鋼、クロムメッキや硬質クロムメッキされた鉄やステンレス鋼;セラミック熔射された金属;金属層の上に押出されるフィルムの高温条件に適するゴム層などが挙げられる。ここで、ゴム層の素材の具体例としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、具体的にはパーフロロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレンテトラフルオロコポリマーなどが挙げられ、ゴム層の硬度は、JIS K6253−1997に規定される、スプリング式タイプAデュローメータを用いて測定される硬度が、通常A25〜A90の範囲、好ましくはA40〜A90の範囲である。
冷却体(1)の外層材質としては、これらのうちで、ステンレス鋼、クロム合金ステンレス鋼及びこれらの表面にクロムメッキ又は硬質クロムメッキが施されたものが好ましい。
冷却体(1)の温度調節や冷却の方式として、オイル、水、蒸気などの熱媒体による方式やこれらの熱媒体を循環させる方式、電気抵抗ヒート式、誘電発熱ジャケットロール式などが挙げられる。また、冷却体(1)がゴムロールである場合は、さらに、金属ロール、金属ベルト又はゴムロールを接触させて冷却体(1)の表面を冷却する方法を採用することができる。
冷却体(1)の表面温度の好適範囲が実現されるように、ロールの温度制御機構や、オイル、水などの循環冷媒等熱媒体の温度が選択される。
上記冷却体(2)の外層材質は、上記の冷却体(1)に示された材質より選ばれるものと同様の材質でよい。冷却体(2)の材質として好ましくは、金属ロールの芯の外側にシリコーンゴムやフッ素ゴム層を設けたゴムロールである。冷却体(2)にゴムロールを使用する場合、ロール外層のゴムの硬度は、JIS K6253−1997に規定されるスプリング式タイプAデュローメータを用いて測定される硬度が、通常A25〜A90の範囲であり、好ましくはA40〜A90の範囲である。
冷却体(2)の温度調節や冷却の方式として、オイル、水、蒸気などの熱媒体により冷却する方式やこれらの冷媒を循環させる方式、電気抵抗ヒート式、誘電発熱ジャケットロール式などが挙げられる。また、冷却体(2)がゴムロールである場合は、冷却体(2)の表面に、金属ロール、金属ベルト又はゴムロールを接触させて冷却体(2)の表面を冷却する方法を採用することができる。また、ロール内部の冷却と、表面の冷却とを組み合わせることも推奨される。
冷却体(2)表面温度の好適範囲温度が実現されるように、冷却体の温度制御機構や、熱媒体の温度が選択される。
さらに、冷却体に接触して得られた光沢を低下させないという目的のために、フィルムが冷却体(1)と冷却体(2)に接触した後、0〜10秒、好ましくは、0.1〜5秒の範囲内に、フィルム表面温度(「冷却到達温度」と略記する。)が5〜165℃、好ましくは30〜160℃の範囲に冷却されることが好ましい。フィルム表面温度が5℃以上であると、フィルム表面に空気中の水分が凍って付着することを避けることができる。フィルム表面温度が165℃以下であれば、プレスによる積層の際に、フィルム同士の接着や本発明の熱可塑性樹脂フィルムと表面が粗化された金属箔との接着に支障が生じにくい。また、冷却されるまでの時間が0〜10秒の範囲であれば、本発明の熱可塑性樹脂フィルム同士のプレス接着が良好となる。
冷却されるまでの時間は、フィルムが冷却体(1)と冷却体(2)に接触した後、少なくともそのどちらか一方が、他の冷却体に接触したり、熱媒体により冷却されたりする時間であり、冷却される距離(冷却距離)を成形速度により割った商として求められるものである。フィルムの表面温度は、成形中に、フィルム表面に熱電対や温度指示体を接触させる接触法、赤外線温度計など光や電磁波を用いる非接触法などで測定することができる。
上記と同様に冷却体に接触して得られた光沢を低下させないという目的のために、フィルムが冷却体(1)及び(2)に接触した後そのまま接触を続けてもよく、引き続いて他の冷却体に接触する、気体状や液体状の熱媒体(例えば、空気、窒素、水など)で冷却するなどの冷却過程を経てもよい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの成形速度は、フィルム表面温度が上記の範囲を満足するように選択され、通常0.5〜400m/分程度、好ましくは、2〜20m/分である。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの表面にはコロナ処理等を適宜施してもかまわない。また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に接着層を介して、あるいは接着層を介することなく、例えば銅箔やアルミ箔などの金属体を加熱、加圧により熱融着させて金属積層体とすることもでき、さらに、エッチング処理、メッキ処理、印刷などにより、フィルム表面に導電性回路を形成し、さらに積層することも可能である。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムを用いると、例えば配線基板の一括積層の工程において、両面粗化銅箔を2枚のフィルムに挟んで事前のプレス積層を行う場合に、得られる3層積層体のボコつきが少ない。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの用途としては、配線基板、リジッドフレックス基板、ビルドアップ多層基板、一括多層基板、金属ベース基板などのエレクトロニクス用基板の基材、フレキシブルプリント基板の保護板、熱遮蔽板、サーモフォーミングや真空成形によるトレー、各種電子機器の筐体、自動車エンジンルーム内部品や隔壁などが挙げられる。また、銅、銀、金、鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ニッケルなど、またはこれらの合金類の箔、板、線などの金属体と貼り合わせたもの、あるいは、エッチングやメッキにより回路や図柄を付着させたものも挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々の測定及び評価は次のようにして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向(フィルム成形方向)をMD方向、その直交方向をTD方向と呼ぶ。
(1)フィルム厚さ
温度23℃±2℃、相対湿度50%±10%において測定した。
(2)MD収縮率とTD収縮率
各実施例と比較例のフィルムにおけるMD収縮率の測定は以下のように行った。すなわち、巻物状のフィルムより、一辺の長さが12cmの正方形のフィルムを切り出し、その各辺端部より内側2cmの位置に、その各辺に平行な直線を仮定し、さらにその直線で囲まれる正方形を仮定して、その4個の頂点に目印を描き、恒温恒湿雰囲気下(温度23℃±2℃、相対湿度50%±10%)にて、フィルム成形方向に隣り合う2点間の距離(L)をマイクロメートル(μm)の単位まで測定した。
次いで、測定済みの熱可塑性樹脂フィルムを、熱可塑性樹脂フィルムの熱風による飛散やカールを防ぐため、各辺に接した内側に厚さ約1mmのスペーサー(辺に平行な方向に長さ10cm、辺に直角な方向に幅5mm、厚さ約1mm)を有し、このスペーサーにより間隔が約1mmに保たれた2枚のアルミニウム板(縦17cm、横17cm、厚さ1mm)の間に挟んで200℃の通風オーブンに入れ、200℃にて20分間熱処理した後にオーブンより取り出し、そのまま他の室温のアルミニウム板(厚さ1mm)2枚の間に約10秒間挟んで冷却し、次いですぐに2枚の室温の冷却用アルミニウム板を別の室温の冷却用アルミニウム板2枚に取り替えてさらに10〜20秒間冷却した。この操作を6回繰り返して2分以内に室温まで冷却し、スペーサーを有する2枚のアルミウム板の間よりフィルムを取り出した。引き続いて上記恒温恒湿雰囲気下にて60〜180分間放置した後、隣り合う2点間の距離(M)を測定した。
MD収縮率(単位:%)は、このようにして得られた(L)及び(M)を用い、熱処理前後の寸法差(L−M)に100を乗じ、熱処理前の寸法(L)で割って得られる値、すなわち、MD収縮率=[(L−M)×100]/L、により算出した。フィルム成形方向2箇所について測定し、その平均値をMD収縮率とした。
TD収縮率(単位:%)は、200℃にて20分間行う熱処理の前後にフィルムの成形方向と直角な方向に隣り合う2点の距離を測定する以外は、上記MD収縮率の測定と同様の方法により測定し、同様の計算式により算出した。
(3)ボコつき
各実施例と比較例のフィルムをそれぞれ縦20cm、横20cmの正方形に2枚切り出し、それぞれを20ワットの蛍光灯より約40cm下に置き、フィルム平面より約30度の角度で、フィルム面の蛍光灯直下より約30cm離れた位置よりを目視にて検査し、ワイピングクロスにより異物を拭き取った後、その2枚の間に、一辺が20cmの正方形に切り出した厚さ18μmの両面粗化銅箔を挟み、外側2枚のフィルムのさらに外側(上下)にそれぞれ厚さ50μmのポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、商品名「ユーピレックス50S」、厚さ50μm、一辺が22cmの正方形)を敷き、さらにその両側(上下)に厚さ1mmのステンレス板とクッション紙を敷き、高性能高温真空プレス成形機(北川精機株式会社製、成型プレス、型式:VH1−1747)を使用し、最高温度190℃、最高温度圧力保持時間10分、プレス圧力10.1MPaにて成形し、熱可塑性樹脂フィルム/両面粗化銅箔/フィルムよりなる3層の積層体を得た。
この3層積層体を20ワットの蛍光灯より約40cm下に置き、3層積層体平面より約30cm離れた位置で約30〜45度の角度で表面のボコつきの状態を目視にて検査した。ボコつきの判定基準として、ボコ付きが発生していないものを1、かすかなボコ付きが一部にあり約30度の角度で充分注意して見れば識別できるものを2、45度の角度で充分注意すれば識別できるものを3、ボコ付きが全面に発生しており容易に識別できるものを4とした。
(4)はんだ耐熱性
各実施例と比較例のフィルムをそれぞれ縦10cm、横10cmの正方形に切り取り、20ワットの蛍光灯より約40cm下にフィルムを置き、フィルム平面より約30度の角度でフィルム面蛍光灯直下より約30cm離れた位置よりを目視にて検査し、ワイピングクロスにより異物を拭き取った後、4枚重ね、厚さ50μmのポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、商品名「ユーピレックス50S」、厚さ50μm)2枚の間に挟み、さらにその両側を厚さ1mmのステンレス板とクッション紙にはさみ、高性能高温真空プレス成形機(北川精機株会社製、成型プレス、型式:VH1−1747)を使用し、最高温度260℃、最高温度圧力保持時間30分、プレス圧力2.1MPaにて成形し、積層体を得た。このものを5cm×5cmのサイズの試験片に切り出し、JIS C6481における常態のはんだ耐熱性測定方法に準拠し、260℃のはんだ浴に、試験片をとはんだ浴とが接触するように20秒間浮かべ、室温まで冷却した後、膨れやはがれ等の有無を目視によって観察し、耐熱性の良否を判定した。
(実施例1)
表1に示すように、ポリエーテルイミド樹脂[ゼネラルエレクトリック社製、Ultem−1000、Tg:216℃](以下、PEI−1と略記する)2kg(20質量%)、ポリエーテルイミド樹脂[ゼネラルエレクトリック社製、Ultem−1010、Tg:216℃](以下、PEI−2と略記する)0.5kg(5質量%)、ポリエーテルイミド樹脂[ゼネラルエレクトリック社製、Ultem−CRS5001、Tg:226℃](以下、PEI−3と略記する)3.5kg(35質量%)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[ビクトレックス社製、PEEK450G、Tg:143℃、Tm:334℃](以下、PEEK−1と略記する)3.5kg(35質量%)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[ビクトレックス社製、PEEK381G、Tg:143℃、Tm:334℃](以下、PEEK−2と略記する)0.5kg(5質量%)、及び合成マイカ(平均粒径:6μm、アスペクト比:25)2.5kg(樹脂成分合計10kgを100質量部とし、これに対して25質量部)とからなる混合組成物を、二軸押出機を用いて設定温度380℃で混練し、ストランド状に押出し、カッティングしてペレットとした。
このものを、180℃で12時間熱風乾燥した後、幅300mmのTダイを接続した口径40mmの単軸押出機を使用し、380℃にてフィルム状に押出し、成形速度5.7m/分で引き取り、130℃の循環オイルにて温度調節された、直径200mmの硬質クロムメッキされ、表面粗さパラメータの算術平均粗さ(Ra)が0.06μmの金属ロール(冷却体(1))の表面に接触させ、引き続いてそのままロール回転方向に150度接触を続け(巻き角度150度、冷却体(1)上での冷却距離262mm、冷却体(1)上での冷却時間2.75秒)、ロールを離れた後もう一本の硬質クロムメッキされた直径200mmの金属ロール(巻き角度90度)2本を経て巻き取り、厚さ約90μmの非晶状態のフィルムを得た。フィルムが冷却体(1)に接触した位置で、その反対側から直径80mm、Raが1.2μm、硬度がA90のシリコーンゴムロール(冷却体(2))をフィルムに押しつけて冷却した。冷却体(2)は、さらに、冷却体(1)の反対側に設置された約40℃の水で冷却される硬質クロムメッキロールを押しつけられて冷却された。
表面温度測定用の熱電対型温度計を用いて表面温度を測定したところ、冷却体(1)の表面温度は146℃、冷却体(2)の表面温度は124℃、冷却体(1)を離れる時点でのフィルムの表面温度(冷却到達温度)は154℃であった。フィルム押し出しの前に、Tダイの開口度を0.35mmに調整した。
得られたフィルムについて、厚さ、MD収縮率、TD収縮率、3層積層体のボコつき及びはんだ耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
表1に示すように、実施例1において、PEI−1を4.6kg(46質量%)、PEI−2を1kg(10質量%)、PEEK−1を3.8kg(38質量%)、PEEK−2を0.6kg(6質量%)とし、Tダイの開口度を0.4mmとし、成形速度を6.3m/分に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ80μmの非晶状態のフィルムを得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例3)
表1に示すように、樹脂組成物の配合と成形条件を変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、非晶状態のフィルムを得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(比較例1)
表1に示すように、成形条件を変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、非晶状態のフィルムを得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(比較例2)
表1に示すように、成形条件を変更した以外は実施例2と同様の操作を行い、非晶状態のフィルムを得た。実施例2と同様の評価を行った結果を表1に示す。
Figure 0004873903
表1より、本発明の範囲のMD収縮率を示す実施例1〜実施例3のフィルムは、ボコ付きの発生が皆無であるのに対し、比較例1と比較例2はボコ付きが顕著であり、本発明の効果が明らかである。
また、本発明の範囲のt/Tの範囲にあるダイスを使用し、本発明の範囲の冷却条件を採用して成形されたフィルムは、MD収縮率が小さく、ボコ付きの発生が皆無で、本発明の効果が明らかである。
本発明の樹脂組成物及び成形体は、MD収縮率が小さく、ボコ付きの発生が少なく、耐熱性、ハンダ耐熱性、融着積層性、寸法安定性等に優れることから、その用途としては、プリント配線基板、リジッドフレックス基板、ビルドアップ多層基板、一括多層基板、金属ベース基板などのエレクトロニクス用基板の基材、フレキシブルプリント基板の保護板、熱遮蔽板、サーモフォーミングや真空成形によるトレー、各種電子機器の筐体、自動車エンジンルーム内部品や隔壁、航空宇宙機器の保護板、高温にさらされるエネルギー発生器機の部品などが挙げられる。また、銅やアルミニウムなどの金属箔と積層、接着することにより電磁波遮蔽板などの用途も挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムを押出しキャスト法により製造する際のロールの組合せの一例を示す概略図である。
符号の説明
1:導管
2:Tダイ
3:金属ロール
4:ゴムロール
5:フィルム
6:ゴムロール冷却用金属ロール


Claims (8)

  1. (A)熱可塑性ポリイミド樹脂と(B)ポリアリールケトン樹脂との合計量100質量部に対して、(C)充填材5〜50質量部を含む樹脂組成物からなり、200℃にて20分間加熱した際のフィルム成形方向の熱収縮率が0.01〜6.5%であることを特徴とする非晶状態の熱可塑性樹脂フィルム。
  2. (A)成分と(B)成分の混合質量比が、(A)/(B)=95/5〜5/95である請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  3. (A)成分の熱可塑性ポリイミド樹脂が、ポリエーテルイミド樹脂を主成分とするものであり、(B)成分のポリアリールケトン樹脂が、結晶性ポリエーテルエーテルケトン樹脂を主成分とするものである請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  4. (C)成分の充填材が無機系のものである請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  5. (C)成分の充填材が板状である請求項4に項記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  6. (C)成分の充填材の平均粒子径が0.01〜50μmの範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  7. (C)成分の充填材がマイカである請求項5又は6に項記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  8. 押出機により溶融押出しされたフィルムを冷却体に接触させて冷却する押出しキャスト法において、フィルムが冷却された後、温度25℃±5℃、相対湿度50%±10%の雰囲気下で測定されるフィルム厚さ(t:単位mm)を押出機のダイス先端の開口度(T:単位mm)で割って得られる値(t/T)が0.1〜0.5の範囲にあり、フィルムが押出機のダイス先端から押し出された後0〜10秒の間に、フィルムの一方の面を、表面温度が50〜175℃の範囲にある冷却体(1)に接触させ、フィルムの他の面を表面温度が50〜175℃の範囲にある冷却体(2)に接触させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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