JP4872946B2 - 電磁スプール弁 - Google Patents

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Description

本発明は、スプールの軸方向一端側に油圧室を形成し、この油圧室の油圧を電磁ソレノイドの動作に応じて増減することでスプールを軸方向に変位させる電磁スプール弁に関する。
従来から、電磁スプール弁100には、図6に示すように、スプール101の軸方向一端側に油圧室102を形成し、油圧室102の油圧を介してスプール101を変位させるものがあり、例えば、自動変速機(図示せず)の油圧回路における油圧の調圧に利用されている。
この電磁スプール弁100は、略円筒状のスリーブ103と、スリーブ103に摺動自在に支持されるスプール101とを備え、油圧室102の油圧を電磁ソレノイド104の動作に応じて増減することで、スプール101を軸方向に変位させる。
ここで、油圧室102の軸方向一端側は、スリーブ103に固定されて収容されるシール部材106により区画され、軸方向他端側がスプール101により区画されている。すなわち、油圧室102は、スプール101の軸方向への変位により拡縮自在となるように形成されている。なお、シール部材106は、スプール101の軸方向一端側への変位量を規制する機能を有し、スプール101の軸方向一端側への変位量は、スプール101の一端がシール部材106の他端に当接することにより規制される。
油圧室102への作動油の流入口107はスリーブ103に設けられ、流入口107の油圧室102に対する開度は、スプール101の一端がシール部材106の他端に近づくとともに縮小する。なお、流入口107には、作動油の流量を規制する第1のオリフィス108が設けられている。
また、油圧室102からの作動油の流出口109は、シール部材106に設けられ、電磁ソレノイド104の動作に応じて開閉される。すなわち、電磁ソレノイド104は、ソレノイドコイル110への通電により、軸方向他端側に付勢されて変位するシャフト111を有し、シャフト111の他端に流出口109の開度を操作する弁体112が設けられている。
以上の構成により、ソレノイドコイル110に通電が行われていない状態では、シャフト111が油圧室102の油圧により付勢されて軸方向一端側に変位し、流出口109の開度が拡大する。これにより、油圧室102からの作動油の流出が促されて油圧室102の油圧が低下するので、スプール101は、復元バネ114に付勢されて自身の一端がシール部材106の他端に当接するまで軸方向一端側に変位する。また、シャフト111は、スプール101の一端がシール部材106の他端に当接しているときの油圧室102の油圧に応じた位置まで変位する。
そして、ソレノイドコイル110に通電が行われると、シャフト111が軸方向他端側に変位し、流出口109の開度が縮小する。これにより、油圧室102の油圧が上昇するので、スプール101は、シール部材106から離脱して軸方向他端側に変位を開始する。そして、スプール101は、軸方向に作用する力が釣り合う位置まで軸方向他端側に変位して停止する。
ところで、この電磁スプール弁100では、ソレノイドコイル110への通電開始に伴うスプール101の動作応答性、つまり、スプール101をシール部材106に当接した状態から所望の位置に変位させることに対する応答性の確保が問題視されている。そして、この通電開始時のスプール101の動作は、通電開始時の油圧室102の油圧の上昇速度に左右され、この油圧の上昇速度が大きいほど応答性が高くなる。
そこで、シール部材106の他端に溝116を設け、スプール101の一端がシール部材106の他端に当接しているときに、溝116を、流入口107と油圧室102とを連通する第2のオリフィス117として機能させる技術が考えられている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、スプール101がシール部材106に当接している状態でも、油圧室102には、第2のオリフィス117を経由する一定流量の作動油の流入が維持されている。このため、通電開始により流出口109の開度縮小が始まると、迅速に油圧室102の油圧が上昇できるので、通電開始時の応答性が高い。
しかし、通電開始時の応答性の向上に対する要求は極めて高く、特に、低温時のように作動油の粘性が大きいときの応答性に関しては、さらなる改善が期待されている。なお、第2のオリフィス117の孔径を拡大して作動油の流量を大きくすることでも、通電開始時の応答性を向上することが可能であるが、作動油の流量増加は油圧ポンプ(図示せず)の負荷を増加させ、結果的に燃費の悪化につながる。このため、第2のオリフィス117の孔径拡大によらない別途の対策が求められている。
特開2002−357281号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、スプールの軸方向一端側に油圧室を形成し、油圧室の油圧を電磁ソレノイドへの通電により上昇させてスプールを軸方向他端側に変位させる電磁スプール弁において、通電開始時のスプールの動作応答性を向上することにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の電磁スプール弁は、略円筒状のスリーブと、スリーブに摺動自在に支持されるスプールとを備え、スプールの軸方向一端側に油圧室を形成し、油圧室の油圧を電磁ソレノイドの動作に応じて増減することで、スプールを軸方向に変位させるものである。
また、油圧室の軸方向一端側は、スリーブに固定されて収容されるシール部材により区画され、油圧室は、スリーブに設けられる流入口、およびシール部材に設けられて電磁ソレノイドの動作に応じて開閉される流出口を介して作動油が流出入することで油圧が増減され、流入口には、作動油の流量を規制する第1のオリフィスが設けられている。
また、スプールは、流出口の開度が拡大して油圧室の油圧が低下することで軸方向一端側に変位し、流出口の開度が縮小して油圧室の油圧が上昇することで軸方向他端側に変位し、スプールの軸方向一端側への変位量は、スプールの一端がシール部材の他端に当接することにより規制され、流入口の開度は、スプールの一端がシール部材の他端に近づくとともに縮小する。
さらに、スプールの一端およびシール部材の他端の少なくとも一方には、溝が設けられ、溝は、スプールの一端がシール部材の他端に当接しているときに、流入口と油圧室とを連通する第2のオリフィスを形成する。そして、第1のオリフィスと第2のオリフィスとは、直線的に連通している。
これにより、第1、第2のオリフィスは、迷路状に配されることなく1本の直線で貫通できるようになるので、油圧室への作動油の流入に対する抵抗が小さくなる。このため、油圧室への作動油の流入が速くなり、油圧室の油圧の上昇速度が大きくなるので、通電開始時のスプールの動作応答性が向上する。
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載の電磁スプール弁によれば、第2のオリフィスは、第1のオリフィスよりも径小であり、第1のオリフィスの流路軸と第2のオリフィスの流路軸とは平行である。そして、第1のオリフィスの流路軸に垂直な第1のオリフィスの断面、および第2のオリフィスの流路軸に垂直な第2のオリフィスの断面を想定し、第1のオリフィスの断面に第2のオリフィスの断面を投影すると、第2のオリフィスの断面は、第1のオリフィスの断面に含まれる。
これにより、第1のオリフィスを通過した作動油は、第1のオリフィスの断面よりも外側への広がりが抑制されて第2のオリフィスに流入する。このため、第1、第2のオリフィスにおける油圧室への作動油の流入に対する抵抗がさらに小さくなる。
最良の形態の電磁スプール弁は、略円筒状のスリーブと、スリーブに摺動自在に支持されるスプールとを備え、スプールの軸方向一端側に油圧室を形成し、油圧室の油圧を電磁ソレノイドの動作に応じて増減することで、スプールを軸方向に変位させるものである。
また、油圧室の軸方向一端側は、スリーブに固定されて収容されるシール部材により区画され、油圧室は、スリーブに設けられる流入口、およびシール部材に設けられて電磁ソレノイドの動作に応じて開閉される流出口を介して作動油が流出入することで油圧が増減され、流入口には、作動油の流量を規制する第1のオリフィスが設けられている。
また、スプールは、流出口の開度が拡大して油圧室の油圧が低下することで軸方向一端側に変位し、流出口の開度が縮小して油圧室の油圧が上昇することで軸方向他端側に変位し、スプールの軸方向一端側への変位量は、スプールの一端がシール部材の他端に当接することにより規制され、流入口の開度は、スプールの一端がシール部材の他端に近づくとともに縮小する。
さらに、スプールの一端およびシール部材の他端の少なくとも一方には、溝が設けられ、溝は、スプールの一端がシール部材の他端に当接しているときに、流入口と油圧室とを連通する第2のオリフィスを形成する。そして、第1のオリフィスと第2のオリフィスとは、直線的に連通している。
また、第2のオリフィスは、第1のオリフィスよりも径小であり、第1のオリフィスの流路軸と第2のオリフィスの流路軸とは平行である。そして、第1のオリフィスの流路軸に垂直な第1のオリフィスの断面、および第2のオリフィスの流路軸に垂直な第2のオリフィスの断面を想定し、第1のオリフィスの断面に第2のオリフィスの断面を投影すると、第2のオリフィスの断面は、第1のオリフィスの断面に含まれる。
〔実施例1の構成〕
実施例1の電磁スプール弁1の構成を、図1を用いて説明する。
電磁スプール弁1は、略円筒状のスリーブ2と、スリーブ2に摺動自在に支持されるスプール3とを備え、スプール3の軸方向一端側に油圧室4を形成し、油圧室4の油圧を電磁ソレノイド5の動作に応じて増減することでスプール3を軸方向に変位させるものであり、例えば、自動変速機(図示せず)の油圧回路における油圧の調圧に利用されている。
すなわち、電磁スプール弁1の内、スリーブ2とスプール3とにより構成される軸方向他端側の部分は、入力された油圧をスプール3の位置に応じて調圧して出力する調圧弁部6であり、電磁ソレノイド5および油圧室4を含む軸方向一端側の部分は、調圧弁部6を動作させる駆動部7である。
そこで、最初に調圧弁部6における調圧機能について説明する。
まず、スリーブ2には、油圧ポンプ(図示せず)の吐出側に連通して調圧前の油圧が入力される入力ポート10、調圧後の油圧が出力される出力ポート11、調圧弁部6内の余剰の作動油をオイルパン(図示せず)等の低圧側に排出するための排出ポート12が、軸方向他端側から一端側に向かって順次に設けられている。
また、スプール3には、スリーブ2の内周に摺接する径大の2つの大径ランド部14、15が設けられている。2つの大径ランド部14、15の内、軸方向他端側の大径ランド部14は入力ポート10を開閉するものであり、軸方向一端側の大径ランド部15は排出ポート12を開閉するものである。そして、大径ランド部14、15間には、常時、調圧後の作動油が流動して出力ポート11に連通する分配室16が形成されている。
つまり、後記するように、油圧室4の油圧に応じてスプール3が所望の位置に変位すると、分配室16は、入力ポート10に対してスプール3の位置に応じた開度で連通する。これにより、入力ポート10に流入した作動油は、油圧が調圧されて分配室16に流入し、調圧された作動油が出力ポート11から流出する。
さらに、スプール3には、大径ランド部14、15の軸方向他端側に大径ランド部14、15よりも小径の小径ランド部18が設けられてスリーブ2の内周に摺接する。そして、小径ランド部18は、スリーブ2の内周と大径ランド部14の他端との間に、スプール3に対して調圧後の油圧をフィードバックさせて作用させるためのF/B室19を形成する。
ここで、F/B室19は、大径ランド部14を貫通するF/Bポート20により分配室16に連通しており、F/Bポート20を介して分配室16から調圧後の油圧の供給を受ける。そして、F/B室19の油圧は、大径ランド部14と小径ランド部18との径差に基づく付勢力をスプール3に対して軸方向一端側に及ぼす。つまり、調圧後の油圧は、F/B室19に供給されてスプール3に対して軸方向一端側に作用することで、スプール3の位置に対してフィードバックされている。
すなわち、調圧後の油圧が過大である場合、F/B室19の油圧による付勢力が大きいので、スプール3は軸方向一端側に微小変位する。この結果、入力ポート10の分配室16に対する開度が縮小するので、調圧後の油圧が低下する。また、調圧後の油圧が過小である場合、F/B室19の油圧による付勢力が小さいので、スプール3は軸方向他端側に微小変位する。この結果、入力ポート10の分配室16に対する開度が拡大するので、調圧後の油圧が上昇する。
このように、調圧弁部6では、調圧後の油圧による軸方向の付勢力をスプール3に作用させることで、調圧後の油圧をスプール3の位置に対してフィードバックし、スプール3の位置を微修正して安定させる。これにより、調圧弁部6は、調圧後の油圧、つまり出力する油圧を安定させている。
なお、F/Bポート20には、オリフィス21が設けられている。このオリフィス21は、分配室16からF/B室19への油圧の供給を緩やかするものであり、スプール3の位置の安定に寄与している。また、小径ランド部18の軸方向他端側には、復元バネ23がセットされており、復元バネ23は、スプール3を軸方向一端側に付勢している。
次に、駆動部7について説明する。
駆動部7は、油圧室4の油圧を電磁ソレノイド5の動作に応じて増減することで、スプール3を軸方向に変位させて調圧弁部6を動作させるものである。
まず、油圧室4の軸方向一端側は、スリーブ2に固定されて収容されるシール部材25により区画され、軸方向他端側がスプール3の大径ランド部15により区画されている。すなわち、油圧室4は、スプール3の軸方向への変位により拡縮自在となるように形成されている。なお、シール部材25は、スプール3の軸方向一端側への変位量を規制する機能を有し、スプール3の軸方向一端側への変位量は、スプール3の一端(大径ランド部15の一端)がシール部材25の他端に当接することにより規制される。
油圧室4への作動油の流入口は、スリーブ2において排出ポート12よりも軸方向一端側に設けられた流入ポート27である。流入ポート27は、油圧ポンプの吐出側に連通している。また、流入ポート27の油圧室4に対する開度は、大径ランド部15の一端がシール部材25の他端に近づくとともに縮小する。なお、流入ポート27には、油圧室4への作動油の流入流量を規制する第1のオリフィス28が設けられている。
油圧室4からの作動油の流出口は、シール部材25に設けられた流出ポート29であり、流出ポート29は、電磁ソレノイド5の動作に応じて開閉される。ここで、シール部材25の内周面は、軸方向一端側に向かいテーパ状に縮径して油圧室4を形成するテーパ面30を含んでおり、テーパ面30の一端に流出ポート29が接続するように設けられている。また、テーパ面30の軸方向他端側は大径のままシール部材25の他端に開口し、シール部材25の他端は環状をなしている。そして、シール部材25の他端は、大径ランド部15の一端と環状に当接する。
また、シール部材25の軸方向一端側には、流出ポート29から流出した作動油が流入する流出室32が形成され、流出室32に流入した作動油は、スリーブ2において流入ポート27よりも軸方向一端側に設けられた第2排出ポート33により低圧側に排出される。そして、流出ポート29の流出室32に対する開度は、電磁ソレノイド5のシャフト34の他端に設けられた弁体35により操作される。
なお、流出室32の軸方向一端側は、電磁ソレノイド5の内部を封鎖するダイヤフラム37の軸方向他端側の前面に配された防圧遮蔽板38により区画されている。この防圧遮蔽板38は、流出室32の油圧が直接的にダイヤフラム37に作用するのを防止するものである。また、ダイヤフラム37は、外周部がスリーブ2とステータコア39とに挟持され、内周部がシャフト34の外周に設けられた溝に嵌め合わされて、スリーブ2内から作動油等が電磁ソレノイド5の内部に浸入するのを防止している。
電磁ソレノイド5は、通電を受けるソレノイドコイル41、ソレノイドコイル41の内周側および軸方向他端側に配されて磁気回路をなすステータコア39、ステータコア39の内周側に摺動自在に配され、ソレノイドコイル41への通電により励磁されて軸方向他端側に変位するムービングコア42、ムービングコア42に圧入されてムービングコア42とともに変位するシャフト34、ソレノイドコイル41の外周側および軸方向一端側に配されて磁気回路をなすヨーク43、電源(図示せず)からの電力の入力端をなすコネクタ端子44等を有する。
また、シャフト34の他端には、上記のように、流出ポート29の流出室32に対する開度を操作する弁体35が設けられている。
このような構成により、ソレノイドコイル41に通電が行われていない状態では、シャフト34が油圧室4の油圧により付勢されて軸方向一端側に変位し、流出ポート29の流出室32に対する開度が拡大する。これにより、油圧室4からの作動油の流出が促されて油圧室4の油圧が低下するので、スプール3は、復元バネ23に付勢されて大径ランド部15の一端がシール部材25の他端に当接するまで軸方向一端側に変位する。また、シャフト34は、大径ランド部15の一端がシール部材25の他端に当接しているときの油圧室4の油圧に応じた位置まで変位する。
そして、ソレノイドコイル41に通電が行われると、ムービングコア42とともにシャフト34が軸方向他端側に変位し、流出ポート29の流出室32に対する開度が縮小する。これにより、油圧室4の油圧が上昇するので、大径ランド部15がシール部材25から離脱し、スプール3は軸方向他端側に変位を開始する。そして、スプール3は、軸方向に作用する力、つまり、油圧室4の油圧による付勢力、復元バネ23による付勢力、およびF/B室19の油圧による付勢力が釣り合う位置まで軸方向他端側に変位して停止する。
ここで、油圧室4の油圧は流出ポート29の開度に応じて定まり、流出ポート29の開度はシャフト34の変位量、つまりソレノイドコイル41への通電量に応じて定まるから、スプール3が停止する位置は、結果的にソレノイドコイル41への通電量に応じて定まる。
なお、シャフト34の軸方向一端側には、シャフト34の軸方向一端側への変位を規制するアジャスタ46がヨーク43に螺合されて配されている。また、アジャスタ46とシャフト34との間には、シャフト34に対して軸方向他端側に付勢力を及ぼすコイルバネ47が装着され、このコイルバネ47により、シャフト34は緩やかに変位することができる。
〔実施例1の特徴〕
実施例1の電磁スプール弁1によれば、シール部材25の他端には、図2、図3に示すように、1本の溝49が設けられている。そして、この溝49は、大径ランド部15の一端がシール部材25の他端に当接しているときに、流入ポート27と油圧室4とを連通する第2のオリフィス50を形成する。そして、第1のオリフィス28と第2のオリフィス50とは、直線的に連通している。
また、第2のオリフィス50は、第1のオリフィス28よりも径小であり、第1のオリフィス28の流路軸(第1の流路軸52とする)と第2のオリフィス50の流路軸(第2の流路軸53とする)とは同軸上にある。そして、第1の流路軸52に垂直な第1のオリフィス28の断面54、および第2の流路軸53に垂直な第2のオリフィス50の断面55を想定し、断面54に断面55を投影すると断面55は断面54に含まれる。
〔実施例1の効果〕
実施例1の電磁スプール弁1は、シール部材25の他端に溝49が設けられ、溝49は、大径ランド部15の一端がシール部材25の他端に当接しているときに、流入ポート27と油圧室4とを連通する第2のオリフィス50を形成する。そして、第1のオリフィス28と第2のオリフィス50とは直線的に連通している。
これにより、第1、第2のオリフィス28、50は、迷路状に配されることなく1本の直線で貫通できるようになるので、油圧室4への作動油の流入に対する抵抗が小さくなる。このため、油圧室4への作動油の流入が速くなるので、通電開始による油圧室4の油圧の上昇に関して、油圧の上昇速度が大きくなる。この結果、通電開始時のスプール3の動作応答性が向上する。
また、第1の流路軸52に垂直な第1のオリフィス28の断面54、および第2の流路軸53に垂直な第2のオリフィス50の断面55を想定し、断面54に断面55を投影すると断面55は断面54に含まれる。
これにより、第1のオリフィス28を通過した作動油は、断面54よりも外側への広がりが抑制されて第2のオリフィス50に流入する。このため、第1、第2のオリフィス28、50における油圧室4への作動油の流入に対する抵抗がさらに小さくなる。
〔変形例〕
実施例1の第1、第2のオリフィス28、50は、第1、第2の流路軸52、53が同軸上にあるように設けられていたが、図4、図5に示す設定範囲57、58で第1、第2の流路軸52、53が互いに平行となるように第2のオリフィス50の設定位置を変更してもよい。つまり、第2のオリフィス50の設定位置は、第1のオリフィス28と1本の直線で貫通できる範囲であれば変更可能である。
また、実施例1の溝49は、シール部材25の他端に1本のみ設けられていたが、スプール3の一端に溝49を設けてもよく、溝49の本数を複数にしてもよい。
さらに、実施例1の電磁スプール弁1は、自動変速機の油圧回路における油圧の調圧に利用されていたが、自動変速機以外の油圧回路における油圧の調圧に電磁スプール弁1を利用することもできる。
電磁スプール弁の構成を示す断面図である(実施例1)。 電磁スプール弁の要部を示す部分拡大断面図である(実施例1)。 (a)は図2のA−A断面図であり、(b)は図2のB−B断面図である(実施例1)。 第2のオリフィスの設定範囲を示す部分拡大断面図である(変形例)。 第2のオリフィスの設定範囲を示す図4のC−C断面図である(変形例)。 (a)は電磁スプール弁の構成を示す断面図であり、(b)は電磁スプール弁の要部を示す部分拡大断面図である(従来例)。
符号の説明
1 電磁スプール弁
2 スリーブ
3 スプール
4 油圧室
5 電磁ソレノイド
25 シール部材
27 流入ポート(流入口)
28 第1のオリフィス
29 流出ポート(流出口)
49 溝
50 第2のオリフィス
52 第1の流路軸(第1のオリフィスの流路軸)
53 第2の流路軸(第2のオリフィスの流路軸)
54 断面(第1のオリフィスの断面)
55 断面(第2のオリフィスの断面)

Claims (2)

  1. 略円筒状のスリーブと、このスリーブに摺動自在に支持されるスプールとを備え、このスプールの軸方向一端側に油圧室を形成し、この油圧室の油圧を電磁ソレノイドの動作に応じて増減することで、前記スプールを軸方向に変位させる電磁スプール弁において、
    前記油圧室の軸方向一端側は、前記スリーブに固定されて収容されるシール部材により区画され、
    前記油圧室は、前記スリーブに設けられる流入口、および前記シール部材に設けられて前記電磁ソレノイドの動作に応じて開閉される流出口を介して作動油が流出入することで油圧が増減され、
    前記流入口には、作動油の流量を規制する第1のオリフィスが設けられ、
    前記スプールは、前記流出口の開度が拡大して前記油圧室の油圧が低下することで軸方向一端側に変位し、前記流出口の開度が縮小して前記油圧室の油圧が上昇することで軸方向他端側に変位し、
    前記スプールの軸方向一端側への変位量は、前記スプールの一端が前記シール部材の他端に当接することにより規制され、前記流入口の開度は、前記スプールの一端が前記シール部材の他端に近づくとともに縮小し、
    前記スプールの一端および前記シール部材の他端の少なくとも一方には、溝が設けられ、
    この溝は、前記スプールの一端が前記シール部材の他端に当接しているときに、前記流入口と前記油圧室とを連通する第2のオリフィスを形成し、
    前記第1のオリフィスと前記第2のオリフィスとは、直線的に連通していることを特徴とする電磁スプール弁。
  2. 請求項1に記載の電磁スプール弁において、
    前記第2のオリフィスは、前記第1のオリフィスよりも径小であり、
    前記第1のオリフィスの流路軸と前記第2のオリフィスの流路軸とは平行であり、
    前記第1のオリフィスの流路軸に垂直な前記第1のオリフィスの断面、および前記第2のオリフィスの流路軸に垂直な前記第2のオリフィスの断面を想定し、
    前記第1のオリフィスの断面に前記第2のオリフィスの断面を投影すると、前記第2のオリフィスの断面は、前記第1のオリフィスの断面に含まれることを特徴とする電磁スプール弁。
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