JP4872314B2 - 粒子強化アルミニウム合金複合材及びその製造方法 - Google Patents

粒子強化アルミニウム合金複合材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機械的強度、耐磨耗性、高温特性に優れた粒子強化アルミニウム合金複合材及びその製造方法に関する。
粒子分散強化アルミニウム合金複合材料は、溶融アルミニウム合金への強化粒子を直接撹拌混合する撹拌法(混合法)や、強化粒子の粒子プリフォームへ溶融したアルミニウム合金を圧力に加えて含浸させる圧力鋳造法(含浸法)や、金属酸化物の粉末を溶融したアルミニウム合金中に添加して酸化アルミニウム(アルミナ)粒子をin−situ(インサイチュー)生成する反応法(in−situ法)等によって製造される。
この粒子分散強化アルミニウム合金複合材においては、溶融合金に数μm(ミクロン)以下の微細粒子・粉末を添加すると、合金複合材の機械的強度が向上することが知られており、粒子分散アルミニウム合金複合材料の機械的特性をさらに向上するには、粒径の細かい粒子の複合が望まれ、特にナノオーダーの粒子のアルミニウム合金への複合技術の開発が望まれている。
しかしながら、従来技術における製造方法においては、それぞれ以下のような問題があり、溶融金属に数μm以下の粒径ミクロンオーダーやナノオーダーの微細粒子・粉末をアルミニウム合金へ複合させることは、次のような問題があるため非常に困難である。
つまり、混合法では、溶融アルミニウム合金と強化粒子との濡れ性が良くないため、粒径数μm以下の粒子を溶融合金への分散は非常に難しいという問題がある。また、圧力鋳造法で、粒子プリフォームを用いて、粒子分散アルミニウム複合材料を作製する場合は、予め粒子プリフォームを作製する必要があるが、粒径5μm以下の粒子を用いる場合には、プリフォームの作製が非常に困難となるという問題がある。更に、反応法では、混合法と同様に、粒径10μm以下の金属酸化物粒子を用いると、この混合が非常に難しくなるという問題がある。
そして、この混合法では濡れ性改善のために、次のような幾つかの方法が提案され、
その一つとして、溶融金属合金と粒子の混合物を、粒子が実質的に劣化を起こさない温度範囲で保持し、濡れ性を確保しつつ分散させる混合をした後に、アルゴンガス等のガスを導入したり、真空にしたりすると共に、回転分散インペラーの回転により粒子と溶融金属の相互間を剪断して、溶解金属の粒子への濡れを阻害する溶解金属中のガス量を減少しつつ混合を行い、得られた混合物で鋳造する鋳造強化複合材料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
なお、この混合法では、焼損したマグネシウムを補填するために、マグネシウムを添加しているが、スピネルを生成させるためではない。
また、混合法でスピネルの生成を抑制するための製造方法として、酸化アルミニウム強化粒子とアルミニウム合金とからなる複合材料を製造する方法において、ストロンチウムを添加し、マグネシウムのスピネル形成を減少若しくは完全に抑制し、粘度を比較的低い状態に維持して適切な混合を行うと共に、アルミナ粒子の最小の大きさを添加しない場合よりも小さくする鋳造複合材料が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、混合法で、マグネシウム含有量が0.5%〜3%程度の鋳造複合材料を製造する場合に、マグネシウム含有量が4%以上のアルミニウムを主成分とするマトリックス合金を溶融し、これに不溶の不連続な酸化アルミニウム粒子等を混合することにより、スピネル保護層の形成によりスピネル反応を抑制しながら粒子の濡れ性を確保しつつ混合物を作成し、その後に、アルミニウムを添加して希釈してマグネシウム含有量を減少させることにより、スピネル保護層でスピネル反応を抑制して、このスピネル反応によるマグネシウムの損失を抑制しながら複合材料を形成し、これを均一分散になるように混合した後、固体形に鋳造する、希釈法を併用した混合法を用いた鋳造複合材料の製造法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
この製造方法では、アルミナ粒子の表面にスピネル相が生成されるのを抑制するため、高濃度のマグネシウムを添加し、その後、希釈の行程をへてアルミナ粒子分散複合材料を得ている。スピネル相はアルミナ粒子表面(表面から10nm〜100nm)で生成し、スピネルとアルミナの割合は3:97である。一般的に、スピネルの生成はなるべく抑制するため、スピネル粒子の量は5%以下になり、非常に少ない。
また、酸化アルミニウム粒子又はスピネル粒子などのセラミック粒子に、添加酸素及び窒素のない状態で粒子表面にマグネシウムを付着させる混合法により、セラミック粒子の少なくとも一部に、マグネシウム層、即ち、連続非多孔質層の反応生成物である化合物を被覆することにより、湿潤した界面を形成し、これにより、相間での機械的負荷の移動を良好にし、変形との間、マトリックス/粒子界面におけるキャビティーション(空洞化)破壊などの内部破壊形態の可能性を最小限にする複合材料を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
このマグネシウム相は単にセラミック粒子の表面に湿潤した界面を形成するためのものであり、これ自体で強化粒子を形成するものではない。また、スピネル粒子も最初から混合するものであり、in−situ法により生成される粒子ではない。つまり、アルミナ粒子とスピネル粒子は添加されたもので、その場で化学反応により生成された粒子ではない。
上記の混合法における濡れ性改善では、セラミック粒子の表面の濡れ性を改善するためにセラミック粒子の表面にマグネシウム相やスピネル相を湿潤した界面として利用する。これらの混合法では、酸化アルミニウムのような酸化物粒子と反応して生成したスピネル相は、薄膜又は粒子の形状を示すが、その量は数%以下であり、また、酸化アルミニウム表面との結合力が強く、酸化アルミニウム粒子から殆ど剥離しない。通常、複合材中に生成したスピネル相の体積は、アルミナ粒子の体積の1%にも満たない。
また、上記の濡れ性改善を図るための混合法では、生成するアルミニウム−マグネシウムスピネルを強化粒子の一部として使用する考えは全くなく、逆にスピネルの生成を抑制する努力がなされている。
そして、現状では、粒径が数μm以下の強化粒子を溶融アルミニウム合金に分散する混合法の技術はまだ確立されておらず、粒径がミクロンオーダーやナノオーダーの微細粒子・粉末をアルミニウム合金へ複合させるまでには至っていない。
また、粒子強化アルミニウム合金複合材の母材に、Al−Si−Mg系合金のようなマグネシウム含有合金を使用する場合には、溶融金属中のマグネシウムが酸化アルミニウム等の酸化物との反応で消耗されてしまうため、マグネシウム元素による複合材の機械的強度の向上への効果が減少し、却って、複合材料の機械的特性を劣化させるという問題がある。
そのため、従来技術では、強化材として酸化物をマグネシウム含有のアルミニウム合金に複合させるとき、この酸化物とマグネシウムとの反応を防ぐため、酸化物の表面を窒化物等でコーティングしたりしている。
一方、本発明者は、in−situ法により、溶融合金中の酸化アルミニウム粒子とマグネシウムを反応して、アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を積極的に生成させて、その生成量を多くすると、生成するアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子は微小である上、強化粒子としての機能を持つこと、また、アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の生成の際に、溶融合金中の酸化アルミニウム粒子を破砕して、微細化することを知見として得た。
また、溶融金属中のマグネシウムが酸化アルミニウム等の酸化物との反応で消耗する以上のマグネシウムを添加することにより、母材(マトリクッス)中のマグネシウム含有量を維持できるので、マグネシウム含有合金としての特性を劣化させることなく、複合材を製造できるとの知見も得た。
なお、上記の知見に関連するものとして、金属酸化物粒子と、溶融金属/金属酸化物の混合物が固化するにつれて形成される金属間析出物(金属間相、金属間粒子、固体金属間相粒子)とで微粒子を供給する鋳造金属マトリックス複合材料が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
この方法では、酸化アルミニウムやアルミニウム−マグネシウムスピネルなどの金属酸化物粒子(粒径約5μm〜約40μm)が約5容量%〜約25容量%で、マグネシウム約0.3重量%〜約2.5重量%とされており、金属間粒子が生成する前の強化粒子が金属酸化粒子だけの状態、即ち、強化粒子の容積分率が低く流動性の大きい状態の間に鋳型内を移動させて、固化する時に結晶化して生成される金属間粒子(約3容量%〜約20容量%)で強化粒子の容積分率を約10容量%〜約40容量%まで増加することができるとされている。
この金属間粒子(金属間結晶化粒子)に関しては、Fe(Mn)Al6 ,FeAl3 ,NiAl3 のある種の例,並びにこれら種々の化学量論的化合物が包含されるとしている。
この方法における強化材微粒子のアルミナ粒子とアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子は添加されたもので、Fe(Mn)Al6 ,FeAl3 ,NiAl3 等の金属間粒子のような、その場で化学反応により生成された粒子ではない。また、マトリックス合金中のマグネシウムは、アルミニウム酸化物強化材の濡れ性を形成するために使用されており、スピネル粒子生成の目的はなく、約0.6〜約2.2重量%が好適とされている。一方、鉄約0.8〜約2.5重量%、マンガン約1.0〜約2.5重量%が金属間粒子生成のために用いられる。
特表平1−501489号公報 特表平7−500148号公報 特表平7−503994号公報 特表2002−522636号公報 特表2001−512183号公報
本発明は、上記の知見を得て、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、硬度や引張強度、耐磨耗性等の機械的特性や、高温特性等が改善された、高強度軽量化材料として自動車産業等で使用できる粒子強化アルミニウム合金複合材及びその製造方法を提供することにある。
上記のような目的を達成するための粒子強化アルミニウム合金複合材は、アルミニウム合金母材に酸化アルミニウム粒子と、該酸化アルミニウム粒子から分離して独立したアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子とを、強化粒子として分散させた粒子強化アルミニウム合金複合材において、前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を、溶融したアルミニウム合金に添加したマグネシウム又は溶融前にアルミニウム合金に含有されていたマグネシウムと、前記酸化アルミニウム粒子とを反応させて生成する際に、前記マグネシウムと前記酸化アルミニウム粒子を添加した溶融アルミニウム合金を撹拌する時の温度及び時間、前記マグネシウムの添加量、前記酸化アルミニウム粒子の添加量及び粒径を制御して、前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を、前記強化粒子の総量の10体積%以上100体積%以下にしたことを特徴とする。
この構成によれば、従来技術では、微細な強化粒子を分散させた粒子強化アルミニウム合金複合材を作るのに、多く又は複雑な工程を必要としていたが、この酸化アルミニウム粒子とアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の組み合わせは、in−situ(インサイチュー)法により、比較的容易に製造でき、しかも、強化粒子の粒子径をミクロンオーダーやナノオーダーに小さくしたものも製造容易となる。
従って、この構成の粒子強化アルミニウム合金複合材では、粒径がミクロンオーダーやナノオーダーの強化粒子を含む粒子強化アルミニウム合金複合材とすることが容易であり、一方、この粒子強化金属複合材料においては、理論的には強化粒子が細かければ細かい程、強化粒子を含ませる効果が向上するので、硬度や引張強度等の機械的特性が向上させることが容易にできるようになる。
粒子強化アルミニウム合金複合材におけるアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子は、溶融合金中のマグネシウムと酸化アルミニウム粒子とのin−situ反応により容易に生成させることができ、生成するこのスピネル粒子は微小粒径の粒子となる。また、このスピネル粒子の生成過程で、酸化アルミニウムを破砕して微細化する。そのため、粒子強化アルミニウム合金複合材における強化粒子を微細なものとすることができる。
この構成によれば、アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子は、酸化アルミニウム粒子に比較して、著しく微細な粒子径となるので、粒子強化アルミニウム合金複合材において、この微細なスピネル粒子が強化粒子の総量の10体積%以上100体積%以下なることは、非常に微細な、言い換えれば、ミクロンオーダーやナノオーダーの粒径を持つ強化粒子が分散されていることになるので、硬度や引張強度等の機械的特性が向上した粒子強化アルミニウム合金複合材となる。
また、上記の粒子強化アルミニウム合金複合材において、前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の平均粒径が、2.5μmφ以下であることを特徴とする。
なお、平均粒径の下限は、理論的には数nm以上であるが、その大きさを特定することは困難である。
この平均粒子を2.5μmとする構成により、強化粒子が微細となるので、粒子強化アルミニウム合金複合材の硬さや引張強度等の機械的特性が向上する。
そして、上記の粒子強化アルミニウム合金母材を製造する粒子強化アルミニウム合金複合材の製造方法は、アルミニウム合金母材を溶融し、該溶融合金母材に、酸化アルミニウム粒子、又は、酸化アルミニウム粒子とマグネシウムを添加して撹拌する溶融混合工程と、前記酸化アルミニウム粒子と前記溶融合金中のマグネシウムとを反応させて、アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を生成させて、該アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の一部又は全部を、前記酸化アルミニウム粒子から分離独立させて、強化粒子として、前記アルミニウム合金母材に分散させるスピネル粒子生成及び分散工程とを含む粒子強化アルミニウム合金複合材の製造方法において、前記溶融混合工程における、前記マグネシウムと前記酸化アルミニウム粒子を添加した溶融合金母材を撹拌する時の温度及び時間、前記マグネシウムの添加量、前記酸化アルミニウム粒子の添加量及び粒径を制御して、前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を、前記強化粒子の総量の10体積%以上100体積%以下にすることを特徴とする。
この製造方法により、上記の粒子強化アルミニウム合金複合材を効率良く製造することができる。
この製造方法では、溶融混合工程においては、先に酸化アルミニウム粒子のみを添加して酸化アルミニウム粒子強化アルミニウム合金複合材料を作製してから、再度この複合材料を溶融し、マグネシウムを添加してもよい。また、マグネシウムは、アルミニウム合金母材にマグネシウム含有アルミニウム合金を用いることにより、溶融合金母材に含ませても良い。
そして、この製造方法では、酸化アルミニウム粒子の粒径を小さくするほど、スピネル粒子生成及び分散工程における撹拌時間を長くするほど、また、マグネシウムの添加量を多くするほど、酸化アルミニウムとマグネシウムの反応が進行し、多くのアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子が生成できるので、これらの撹拌時間、酸化アルミニウム粒子の粒径、マグネシウムの添加量等を調整することにより、酸化アルミニウム粒子とスピネル粒子の割合を調整できる。
この製造方法では、スピネル粒子生成及び分散工程において、酸化アルミニウム粒子と、溶融合金母材中のマグネシウムとのin−situ(インサイチュー)反応によりその場で生成したスピネル粒子は、ナノサイズからミクロンサイズになり、しかも、その反応は、酸化アルミニウムの破裂を引き起こすので、酸化アルミニウム粒子も添加された酸化アルミニウム粒子より、更に粒径が細かくなる。
これにより、従来の混合法(撹拌法)では粒径2μm以下の強化粒子を複合することが困難であったが、本発明の製造方法により、酸化アルミニウム−マグネシウムスピネルの粒径はサブミクロン(平均粒径が0.1μm〜1μm)であるので、細かい粒子を含ませることが可能となる。
なお、酸化アルミニウム粒子とスピネル粒子の特性はほぼ同じであるが、in−situ法によりスピネル粒子が生成する際に酸化アルミニウム粒子が破砕されることと、酸化アルミニウム粒子より微細なスピネル粒子が生成するため、強化粒子を微細化でき、複合材料の性能を向上させることができる。
この製造方法により、酸化アルミニウム粒子の表面から生成したスピネル粒子の量を、強化粒子の総量の10体積%以上にすると、スピネル粒子が酸化アルミニウム粒子の表面から剥離し易くなるので、生成したスピネル粒子が酸化アルミニウム粒子から分離して独立する量を多くすることができ、また、この分離独立したスピネル粒子の粒径は細かいので、粒子強化アルミニウム合金複合材の機械的特性を向上できる。
言い換えれば、スピネル粒子の割合が大きいということは、酸化アルミニウム粒子とマグネシウムとの反応が盛んであったということであるので、強化粒子の微細化が進んでいると判断できる。従って、この構成の強化粒子が微細となるので、粒子強化アルミニウム合金複合材の硬さ(Hv)や引張強度等の機械的特性が向上する。
なお、生成されるスピネル粒子の量は、溶融合金母材へのマグネシウムの添加量、酸化アルミニウム粒子の添加量、酸化アルミニウム粒子の粒径、溶融金属の温度、撹拌時間等を制御することにより制御できるので、スピネル粒子と酸化アルミニウム粒子の割合を調整できる。従って、実験的に、これらのパラメータの相互関係をデータ化しておくことにより、容易に、任意の割合でスピネル粒子と酸化アルミニウム粒子をアルミニウム合金中に分散することができる。実験結果ではあるが、例えば粒径2μmの微細な酸化アルミニウム粒子を用いて、十分なマグネシウムを確保した場合は、アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を100体積%にすることもできる。
上記の粒子強化アルミニウム合金複合材の製造方法において、添加する前記酸化アルミニウム粒子の平均粒径を10μm以下とすると、スピネル粒子生成及び分散工程における、酸化アルミニウム粒子とマグネシウムとのin−situ反応をより促進できるので、スピネル粒子の生成を促進でき、製造時間を短縮できる。
上記の粒子強化アルミニウム合金複合材の製造方法において、前記スピネル粒子生成及び分散工程において、前記酸化アルミニウム粒子とマグネシウムを添加した溶融合金母材を撹拌する時の温度を、700℃〜900℃の高温として前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を生成及び分散させた後、580℃〜650℃の半凝固温度で撹拌して前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の前記酸化アルミニウム粒子からの分離独立を促進させる。
この製造方法では、高温度域における撹拌は、スピネル粒子の生成量に関係するが、30min(分)〜180min程度であり、この撹拌により、アルミナ粒子とマグネシウムを反応させてアルミナ粒子の表面にスピネル粒子を生成させる。また、撹拌により、アルミナ粒子の表面で生成したスピネル粒子を、アルミナ粒子の表面から剥離させ、強化粒子となるスピネル粒子を生成する。この高温域では、マグネシウムとアルミナ粒子を反応させて、スピネル粒子を多量に生成させるため、酸化アルミニウム粒子の表面との結合力が弱くなり、剥離し易くなる。
また、半凝固温度域における撹拌は、アルミナ粒子の表面で生成したスピネル粒子を、アルミナ粒子の表面から効率的に剥離させるために行うものである。この半凝固温度における溶融金属の撹拌では、摩擦力を増大して機械的にスピネル粒子の剥離を促進できるので、多くのスピネル粒子を生成できる。なお、この半凝固温度における保温の温度はなるべく低温側がよく、撹拌時間が長ければ長い程,スピネルの粒子化と分散化が進むのでよいが、30min程度で十分である。
なお、生成したスピネル粒子の体積がアルミナ粒子の40%以上になると、高温域における撹拌だけでもスピネル粒子の剥離を十分に進行できるので、この半凝固温度域における撹拌は不要になる。
次に、従来技術の撹拌法と本発明の製造方法との相違について説明する。
従来技術の撹拌法(混合法)によって、生じるスピネル相(粒子あるいは膜)は酸化アルミニウム粒子の表面に生成し、スピネル相の生成量が少ない場合、表面での結合力が強く、酸化アルミニウム粒子からの剥離は生じない。
この従来技術の撹拌法には750℃程度の高温で撹拌する高温撹拌法と、半凝固状態で撹拌し、その後750℃程度に昇温して鋳込む半凝固撹拌法があるが、この高温撹拌法ではマグネシウムと酸化アルミニウム粒子とが反応するが、粘度が低いため、スピネル粒子の剥離が生じない。また、in−situ法と異なりスピネル粒子の生成を十分に進ませるために必要な、マグネシウムの添加量や温度や時間を持ちいないため、スピネル粒子を強化粒子として分散させるまでに至らない。
また、従来技術の半凝固撹拌法では、撹拌時の温度が低く、マグネシウムと酸化アルミニウム粒子の反応が殆ど進まないため、スピネル粒子の生成がなく、従ってスピネル粒子の剥離もない。
一方、本発明の製造方法によれば、スピネル粒子生成及び分散工程において、700℃〜900℃、例えば、750℃の高温域で、マグネシウム、酸化アルミニウム粒子を反応させて、スピネル粒子を多量に生成させるため、酸化アルミニウム粒子の表面との結合力が弱くなり、スピネル粒子は剥離し易くなっている。また、高温でマグネシウム、酸化アルミニウム粒子を添加し反応させた後、更に、580℃〜650℃、例えば、610℃の半凝固温度域で撹拌すると、摩擦力の増大で機械的にスピネル粒子の酸化アルミニウム粒子の表面からの剥離を促進できる。
本発明に係る粒子強化アルミニウム合金複合材及びその製造方法によれば 強化粒子として、粒径がミクロンオーダーやナノオーダーのアルミナ粒子とスピネル粒子により、又はスピネル粒子のみが合金母材中に分散されて、微細な強化粒子により強化されているため、硬度や引張強度、耐磨耗性等の機械的特性や、高温特性等が改善された、高強度軽量化材料として自動車産業等で使用できる合金複合材を提供できる。
以下、本発明に係る実施の形態の粒子強化アルミニウム合金複合材及びその製造方法について、説明する。
本発明に掛かる粒子強化アルミニウム合金複合材の製造方法では、アルミニウム合金を溶融し、この溶融合金母材に酸化アルミニウム粒子(以下アルミナ粒子という)とマグネシウムを添加する溶融混合工程と、酸化アルミニウムとマグネシウムをin−situ(インサイチュー)反応で反応させて酸化アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子(以下スピネル粒子という)を生成させて、このスピネル粒子の一部又は全部を、酸化アルミニウム粒子から分離独立させて、強化粒子としてアルミニウム合金母材に分散させるスピネル粒子生成及び分散工程と、金型に鋳込む鋳込工程を経て粒子強化アルミニウム合金複合材が製造される。
この溶融混合工程では、アルミニウム又はアルミニウム合金を溶融し、この溶融アルミニウム合金を約750℃程度に保温しながら、アルミナ粒子を撹拌法で添加すると同時に、このアルミナ粒子と反応させるために、金属マグネシウムを添加する。
このアルミナ粒子とマグネシウムは同時に添加してもよいが、分けて添加してもよい。また、添加されるマグネシウムは金属マグネシウムでもよいが、マグネシウムを多く含むアルミニウム−マグネシウム合金(Al−Mg合金)を用いて、マグネシウムを溶融合金母材に含ませても良い。
このアルミニウム合金母材としては、例えば、AC4Cアルミニウム合金(アルミニウム合金鋳物4種A:Al−Si−Mg系合金)を使用することができる。
次のスピネル粒子生成及び分散工程では、溶融合金を、700℃〜900℃の高温域に維持して撹拌しながらアルミナ粒子とマグネシウムを反応させた後、580℃〜650℃の半凝固温度域に溶融アルミニウム合金を冷却し、この半凝固温度域で保温しながら撹拌する。
この高温度域における撹拌は、スピネル粒子の生成量に関係するが、30min(分)〜180min程度であり、この撹拌により、アルミナ粒子とマグネシウムを反応させてアルミナ粒子の表面にスピネル粒子を生成させる。また、撹拌により、アルミナ粒子の表面で生成したスピネル粒子を、アルミナ粒子の表面から剥離させ、強化粒子となるスピネル粒子を生成する。この高温域で、マグネシウムとアルミナ粒子を反応させて、スピネル粒子を多量に生成させるため、酸化アルミニウム粒子の表面との結合力が弱くなり、剥離し易くなる。
また、半凝固温度域における撹拌は、アルミナ粒子の表面で生成したスピネル粒子を、アルミナ粒子の表面から効率的に剥離させるために行うものである。 但し、生成したスピネル粒子の体積がアルミナ粒子の40%以上になると、高温域における撹拌だけでもスピネル粒子の剥離を十分に進行できるので、この半凝固温度域における撹拌は不要になる。
この半凝固温度における溶融金属の撹拌では、摩擦力を増大して機械的にスピネル粒子の剥離を促進できるので、多くのスピネル粒子を生成できる。なお、この半凝固温度における保温の温度はなるべく低温側がよく、撹拌時間が長ければ長い程,スピネルの粒子化と分散化が進むのでよいが、30min程度で十分である。
AC4Cアルミニウム合金を用いた場合には、マグネシウムと酸化アルミニウム粒子を約750℃で反応させた後、さらに、590℃〜620℃の半凝固温度域で撹拌し、スピネル粒子を酸化アルミニウム粒子から剥離させ分散させる。
この高温域における撹拌と半凝固温度域における撹拌により、アルミナ粒子とマグネシウムとのin−situ(インサイチュー)反応により、その場で酸化アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子(以下スピネル粒子という)を生成させる。このin−situ生成では、粒子間の酸化アルミニウム+マグネシウムの反応では無く、一旦マグネシウムが溶融金属中に溶解した後に酸化アルミニウムと合金中のマグネシウムが反応を起こし、スピネルが生成する。
このアルミナ粒子とマグネシウムとの反応でナノサイズからミクロンサイズのスピネル粒子が生成する。また、この反応はアルミナ粒子の破砕を引き起し、添加されたアルミナ粒子よりも更に粒径の細かいアルミナ粒子が生成することになる。
基本的にはスピネル粒子の生成量は、アルミナ粒子の粒径と、アルミナ粒子の添加量と、マグネシウムの添加量に依存する。そして、添加されるアルミナ粒子を細くすることにより、マグネシウムとの反応を促進でき、よりスピネル粒子を生成し易くすることができる。例えば、実験結果ではあるが、粒径2μmの微細な酸化アルミニウム粒子を用いて、十分な量のマグネシウムを確保した場合は、アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を100体積%にすることもできる。
従って、マグネシウムの添加量、アルミナ粒子の添加量、添加されるアルミナ粒子の粒径、溶融金属の温度、撹拌時間等を制御すれば、生成されるスピネル粒子の量が制御でき、スピネル粒子とアルミナ粒子の割合を制御できる。
そして、これらのパラメータを制御することにより、その場で生成されたスピネル粒子とアルミナ粒子の体積割合を10%:90%〜100%:0%の範囲に調整できる。即ち、スピネル粒子の強化粒子の割合を10体積%〜100体積%とすることができる。なお、100体積%とは、酸化アルミニウム粒子全部がスピネル粒子に変化していることを示す。
そして、アルミナ粒子の表面から生成したスピネル粒子の体積が強化粒子の総量の10%以上に達すると、スピネル粒子はアルミナ粒子の表面から剥離し易くなるため、スピネル粒子を、強化粒子の総量の10体積%以上にすると、アルミナ粒子の表面から剥離した微細なスピネル粒子が強化粒子として合金母材中に分散していることになるため、微細なアルミニウム粒子とスピネル粒子を分散したアルミニウム合金複合材が得られることになる。従って、スピネル粒子を強化粒子の総量の10体積%以上にすることが好ましい。
このスピネル粒子が生成し終わった状態の溶融金属を、所定の金型に入れて鋳込むことにより、所定の形状をした粒子強化アルミニウム合金複合材が作製される。
この製造方法によれば、粒径がナノサイズからミクロンサイズのアルミナ粒子とスピネル粒子が強化粒子として分散したアルミニウム合金複合材、又は、スピネル粒子が100%で分散したアルミニウム合金複合材を得ることができる。
そして、粒子強化金属複合材料においては、理論的には強化粒子が細かければ細かい程、強化粒子を含ませる効果が向上するので、得られたアルミニウム合金複合材は、硬度、引張強度等の機械的特性が向上する。
また、従来技術の混合法(撹拌法)では粒径2μm以下の粒子を複合することが困難であったが、上記の製造方法で生成したスピネル粒子の粒径は平均粒径が0.1μm〜1μmというサブミクロンの粒子であるので、非常に細かい粒子を含ませたアルミニウム合金複合材を製造することが可能となる。
なお、酸化アルミニウム粒子とスピネル粒子の特性はほぼ同じであるが、in−situ法によりスピネル粒子が生成する際に酸化アルミニウム粒子が破砕されることと、酸化アルミニウム粒子より微細なスピネル粒子を生成させて、微細な強化粒子を分散させることができるため、合金複合材料の性能を向上させることができる。
次に、この製造方法で、添加されるマグネシウムの役割について説明する。
一つ目は、マグネシウムとアルミナ粒子との反応で、粒径サブミクロン以下のスピネル粒子を生成させる役割を果たす。この反応はアルミナ粒子の破砕を引き起こすことができるので、強化粒子の微細化を実現できる。この粒子の微細化作用により、粒径ナノサイズからミクロンサイズまでの強化粒子が分散したアルミウム合金複合材料が得られるので、得られた複合材料の機械的特性を向上することができる。
二つ目は、強化粒子の量の調整の役割を果たす。マグネシウムの添加量、添加されるアルミナ粒子の粒径、溶融金属の温度、撹拌時間を制御することにより、生成されるスピネル粒子の量を制御できるので、マグネシウムの添加量の調整により、スピネル粒子とアルミナ粒子の割合を容易に調整できる。しかも、アルミナ粒子が全てマグネシウムと反応してスピネル粒子にすることもできるので、単一スピネル粒子が分散したアルミニウム合金複合材料の作製も可能となる。
三つ目は、溶融金属中のマグネシウム濃度を、アルミニウム合金が含有している所定のマグネシウム濃度に回復させて、アルミニウム合金自体が含有しているマグネシウムによる向上した機械的特性の維持を図る役割である。
スピネル粒子を生成するときには、アルミナ粒子とマグネシウムの反応により、溶融金属中のマグネシウムの濃度が低下するので、マグネシウムを適当に添加しないでいると、作製されたアルミニウム合金複合材の中のアルミニウム合金中のマグネシウム濃度が低下し、マグネシウム含有による機械的特性の向上の効果がなくなり、複合材料の強度の低下を招く。
これを防止するために、適切な量のマグネシウムを添加すると、溶融金属中のマグネシウム濃度を所定の濃度に回復させることができるので、最終的に作製されたアルミニウム合金複合材の中のアルミニウム合金中のマグネシウム含有による機械的特性の効果を維持できる。
第1の実施例として、750℃で熔解したAC4Cアルミニウム合金(アルミニウム合金鋳物4種A:Al−Si−Mg系合金)に、平均粒径10μmの酸化アルミニウム粒子を添加量5体積%で添加し、撹拌した後、更に、その溶融合金に0.4wt%の金属マグネシウムを添加し撹拌し、その後、金型に鋳込んで、粒子強化アルミニウム複合材料を得た。
この組織を走査電子顕微鏡で観察した結果、強化粒子は均一にアルミニウム合金中に分布し、酸化アルミニウム粒子とアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の体積割合は9:1、即ち、このスピネル粒子の割合は強化粒子の10体積%であった。また、酸化アルミニウムの平均粒径は7μmで、スピネル粒子の平均粒径は1μmで、酸化アルミニウム粒子とスピネル粒子の2種類の粒子の平均粒径は6.5μmであった。この様子を図3の電子顕微鏡写真で示す。写真中の大きい粒子は、酸化アルミニウム粒子(Al2 3 )であり、小さい粒子はスピネル粒子(MgAl2 4 )である。
JIS規格のT6処理でこの複合材料を熱処理した後、硬さと引張強度を測定し、この複合材料のビッカース硬さ(Hv)は140で、引張強度は332MPaとの結果を得た。
第2の実施例として、750℃で熔解したAC4Cアルミニウム合金に、平均粒径5μmの酸化アルミニウム粒子を添加量5体積%で添加し、撹拌した後、更に、その溶融合金に1wt%の金属マグネシウムを添加し撹拌し、その後、金型に鋳込んで、粒子強化アルミニウム複合材料を得た。
組織を走査電子顕微鏡で観察した結果、強化粒子は均一にアルミニウム合金中に分布し、酸化アルミニウム粒子とアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の体積割合は6:4、即ち、このスピネル粒子の割合は強化粒子の40体積%であった。また、酸化アルミニウム粒子の平均粒径は3.5μmで、スピネル粒子の平均粒径は0.7μmで、酸化アルミニウム粒子とスピネル粒子の2種類の粒子の平均粒径は2.5μmであった。
JIS規格のT6処理でこの複合材料を熱処理した後、硬さと引張強度を測定し、この複合材料のビッカース硬さ(Hv)は146で、引張強度は337MPaとの結果を得た。
第3の実施例として、750℃で熔解したAC4Cアルミニウム合金に、平均粒径2μmの酸化アルミニウム粒子を添加量5体積%で添加し、撹拌した後、更に、その溶融合金に1.5wt%の金属マグネシウムを添加し撹拌し、その後、金型に鋳込んで、粒子強化アルミニウム複合材料を得た。
組織を走査電子顕微鏡で観察した結果、強化粒子は均一にアルミニウム合金中に分布し、酸化アルミニウム粒子はなくなり、全ての強化粒子はアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子となった。即ち、このスピネル粒子の割合は強化粒子の100体積%であった。また、このスピネル粒子の平均粒径は0.5μmであった。この様子を図4の電子顕微鏡写真で示す。写真中の粒子は、スピネル粒子である。
JIS規格のT6処理でこの複合材料を熱処理した後、硬さと引張強度を測定し、この複合材のビッカース硬さ(Hv)は153で、引張強度は345MPaとの結果を得た。
これらの第1から第3の実施例における酸化アルミニウム粒子とスピネル粒子の平均径と複合材料の引張強度との関係を図1に示す。また、酸化アルミニウム粒子(アルミナ粒子)の粒径とスピネル流離の生成割合の関係を図2に示す。
比較例として、750℃で熔解したAC4Cアルミニウム合金に、平均粒径10μmの酸化アルミニウム粒子を添加量5体積%で添加し、撹拌した後、金型に鋳込んで、粒子強化アルミニウム複合材料を得た。
この比較例の場合は、マグネシウムを添加していないので、酸化アルミニウムからスピネルを生成させるためのマグネシウムが合金に含有されている量しかなく少ないため、酸化アルミニウム粒子の反応は殆どなく、粒径も変化しない。なお、ちなみに、AC4Cアルミニウム合金のマグネシウムは0.3〜0.6重量%程度である。
組織を走査電子顕微鏡で観察した結果、酸化アルミニウム粒子が均一にアルミニウム合金中に分布し、その平均粒径10μmであった。この様子を図5の電子顕微鏡写真で示す。写真中の粒子は、酸化アルミニウム粒子である。また、スピネル粒子の生成量は0.5%以下で、その粒径はサブミクロンであり、電子顕微鏡写真からは分離独立したスピネル粒子は殆ど観察されない。
JIS規格のT6処理でこの複合材料を熱処理した後、硬さと引張強度を測定し、この複合材料のビッカース硬さ(Hv)は98で、引張強度は282MPaとの結果を得た。
第1〜第3の実施例における酸化アルミニウム粒子とスピネル粒子の平均粒径と複合材料の引張強度との関係を示す図である。 第1〜第3の実施例におけるアルミナ粒子(酸化アルミニウム粒子)の粒径とスピネル粒子の生成割合の関係を示す図である。 第1の実施例の粒子分散状態を示す図である。 第3の実施例の粒子分散状態を示す図である。 比較例の粒子分散状態を示す図である。

Claims (5)

  1. アルミニウム合金母材に酸化アルミニウム粒子と、該酸化アルミニウム粒子から分離して独立したアルミニウム−マグネシウムスピネル粒子とを、強化粒子として分散させた粒子強化アルミニウム合金複合材において、
    前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を、溶融したアルミニウム合金に添加したマグネシウム又は溶融前にアルミニウム合金に含有されていたマグネシウムと、前記酸化アルミニウム粒子とを反応させて生成する際に、
    前記マグネシウムと前記酸化アルミニウム粒子を添加した溶融アルミニウム合金を撹拌する時の温度及び時間、前記マグネシウムの添加量、前記酸化アルミニウム粒子の添加量及び粒径を制御して、前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を、前記強化粒子の総量の10体積%以上100体積%以下にしたことを特徴とする粒子強化アルミニウム合金複合材。
  2. 前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の平均粒径が、2.5μmφ以下であることを特徴とする請求項1に記載の粒子強化アルミニウム合金複合材。
  3. アルミニウム合金母材を溶融し、該溶融合金母材に、酸化アルミニウム粒子、又は、酸化アルミニウム粒子とマグネシウムを添加して撹拌する溶融混合工程と、
    前記酸化アルミニウム粒子と前記溶融合金中のマグネシウムとを反応させて、アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を生成させて、該アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の一部又は全部を、前記酸化アルミニウム粒子から分離独立させて、強化粒子として、前記アルミニウム合金母材に分散させるスピネル粒子生成及び分散工程とを含む粒子強化アルミニウム合金複合材の製造方法において、
    前記溶融混合工程における、前記マグネシウムと前記酸化アルミニウム粒子を添加した溶融合金母材を撹拌する時の温度及び時間、前記マグネシウムの添加量、前記酸化アルミニウム粒子の添加量及び粒径を制御して、前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を、前記強化粒子の総量の10体積%以上100体積%以下にすることを特徴とする粒子強化アルミニウム合金複合材の製造方法。
  4. 添加する前記酸化アルミニウム粒子の平均粒径を10μm以下とすることを特徴とする請求項3に記載の粒子強化アルミニウム合金複合材の製造方法。
  5. 前記スピネル粒子生成及び分散工程において、前記酸化アルミニウム粒子とマグネシウムを添加した溶融合金母材を撹拌する時の温度を、700℃〜900℃の高温として前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子を生成及び分散させた後、580℃〜650℃の半凝固温度で撹拌して前記アルミニウム−マグネシウムスピネル粒子の前記酸化アルミニウム粒子からの分離独立を促進させることを特徴とする請求項3又は4に記載の粒子強化アルミニウム合金複合材の製造方法。
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