JP4736222B2 - マグネシウム合金の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネシウム合金の製造方法に関し、特に、鋳造組織を細粒化できると同時に高温強度を向上できるマグネシウム合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マグネシウム合金の鋳造組織の細粒化は、合金の機械的性質を向上させる上で極めて重要である。
従来から、マグネシウム合金の鋳造組織細粒化の一般的な方法として、ヘキサクロロエタン(C2Cl6)をマグネシウム合金溶湯に添加する方法が知られている。しかし、この方法はヘキサクロロエタンが高温のマグネシウム合金溶湯と接触した際に、塩素化炭化水素(CHC)が発生して環境汚染源となるという問題がある。
【0003】
特開2000-104136号公報には、環境汚染物質を発生しないマグネシウム合金の細粒化方法として、BおよびMnをマグネシウム合金溶湯に添加する技術が提案されている。しかしこの方法では、マグネシウム合金溶湯中へのMnの添加がAl-Mn合金の形でしかできず、不要なAl成分の存在によってマグネシウム合金の延性が低下する等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境汚染物質を発生させず、マグネシウム合金の延性を良好に維持しつつ、鋳造組織を細粒化できると同時に高温強度を向上できるマグネシウム合金の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のマグネシウム合金の製造方法は、粉末粒子の表面にSiO2被膜を備えたSiC粉末を、0.1〜10mass%の添加量でマグネシウム合金溶湯に直接添加することを特徴とする。
SiC粉末を大気中で加熱することにより粉末粒径の1〜10%の厚さの前記SiO2被膜を形成することが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
粉末粒子の表面をSiO2で被覆したSiC粉末(以下「SiO2被覆SiC粉末」と略称する)をマグネシウム合金溶湯に添加することにより、マグネシウム合金の鋳造組織が細粒化すると同時に高温強度が向上する機構は以下のように考えられる。
【0007】
Mg合金溶湯にSiO2被覆SiC粉末を添加すると、まず粉末粒子表面のSiO2とMgが下記(1)の発熱反応をする。
その結果、粉末粒子表面が850℃以上の高温になるため、MgとSiCが下記(2)のように反応することが可能になり、Mg2Si金属間化合物と遊離Cとが生成する。ここで生成したMg2Si金属間化合物により高温強度が向上する。
【0008】
一方、遊離Cは、下記(3)のように、Mg合金中に一般的に含まれているAl、Mn等の炭化物形成元素と反応してAl4C3、Mn2C等の微細な金属炭化物粒子を形成する。これらの金属炭化物はMg合金溶湯中で安定であり、凝固殻として作用するためMg合金の鋳造組織が細粒化する。
【0009】
(1) 2Mg+SiO2→2MgO+Si (発熱反応)
(2) 2Mg+SiC→Mg2Si+C
(3) 3C+4Al(またはMn等)→Al4C3(またはMn2C等)
【0010】
本発明においては、SiO2被覆SiC粉末をMg合金溶湯に対して0.1〜10mass%の添加量で添加する。0.1mass%未満では細粒化効果が得られず、10mass%を超えるとMg合金溶湯の粘性が高くなり過ぎて鋳造が不可能になる。
【0011】
本発明の望ましい態様においては、SiO2被覆の厚さはSiC粒径の1〜10%である。1%未満では、MgとSiO2との反応による発熱量が少ないためMgとSiCとの反応が起き難く、10%を超えるとMgとSiO2とがテルミット反応を起こし易くなるため、Mg合金溶湯が爆発する危険がある。
【0012】
【実施例】
下記の手順および条件により、SiO2被覆SiC粉末をAZ91Dマグネシウム合金溶湯に直接添加した後に鋳造することにより、マグネシウム合金を製造した。
【0013】
〔SiO2被膜の形成〕
粉末粒径10μmのSiC粉末を大気中で加熱することにより、粉末粒子表面にSiO2被膜を形成した。まず加熱温度および加熱時間に対する被膜厚さの変化を調べた。図1および図2に、それぞれ加熱温度および加熱時間に対する被膜厚さの変化をグラフおよび表で示す。同様の予備実験を種々行い、それらの結果に基づいて、粒径の1〜10%の被膜厚さになる温度・時間の範囲を求めた。
【0014】
本実施例では、1500℃×1時間の加熱を行い、SiC粉末粒子の表面に厚さ411nmのSiO2被膜を形成した。この被膜厚さは、SiC粒径10000nm(=10μm)の4.1%である。
加熱前および加熱後の粉末についてX線回折を行った結果、加熱前にはSiCの回折ピークのみが認められたのに対して、加熱後にはSiCピークに加えてSiO2の回折ピークが明瞭に認められた。これにより、被膜組成がSiO2であることが確認された。
【0015】
〔マグネシウム合金溶湯への添加〕
SF6ガス雰囲気中にて、700℃に保持したAZ91Dマグネシウム合金溶湯に、上記にて準備したSiO2被覆SiC粉末を種々の添加量で添加し、攪拌して溶湯中に均一に分散させた後、金型(JIS4号舟型)中に鋳造した。
【0016】
〔結晶粒径の測定〕
上記鋳造されたマグネシウム合金の鋳造組織を顕微鏡観察して結晶粒径を求めた。図3に、典型的な観察例として、SiO2被覆SiC粉末を1mass%添加した場合の鋳造組織を示す。図4に、比較として、無添加の場合の鋳造組織を示す。図5に、SiO2被覆SiC粉末の添加量と結晶粒径との関係をグラフおよび表で示す。
【0017】
図5に示したように、SiO2被覆SiC粉末の添加量が0〜0.05mass%の範囲では結晶粒径が200〜180μmと粗大であるが、添加量が0.1mass%以上になると80〜50μmと顕著に細粒化する。同図には、添加量0.5mass%までの結果を示したが、添加量が更に多くなっても細粒化の程度は徐々に進行するが顕著に進行することはない。
【0018】
〔高温強度の測定〕
(1)高温硬さの測定
上記鋳造されたマグネシウム合金の150℃における高温硬さを測定した。図6にSiO2被覆SiC粉末の添加量と高温硬さとの関係をグラフおよび表で示す。
図6に示したように、150℃高温硬さはSiO2被覆SiC粉末の添加量の増加に伴い単調に増加する。特に、図示した添加量4mass%までの範囲では、マグネシウム合金マトリクス中の硬質分散相であるSiO2被覆SiC粉末の添加量に対して、硬さが概ね直線関係にあることが観察される。
【0019】
このようにSiO2被覆SiC粉末の添加によって高温硬さが増加するのは、基本的には前述のようにMg2Si金属間化合物が生成していることによる。図7に、SiO2被覆SiC粉末を1mass%添加したマグネシウム合金鋳造組織の顕微鏡写真を示す。同図中で、地の色と同等の灰色に見える塊状の粒子は、MgSi金属間化合物を核に形成されたと考えらるMg-Si-Al-O系4元化合物であり、Mg2Si金属間化合物と同様に高温強度の向上に寄与する。
【0020】
(2)高温軸力保持率の測定
SiO2被覆SiC粉末を1mass%添加したマグネシウム合金について、初期荷重64MPa、試験温度150℃にて、負荷開始からの経過時間に対して軸力保持率を測定した。比較として、無添加のマグネシウム合金についても同様に測定した。図8に測定結果をグラフおよび表で示す。
【0021】
図8に示したように、軸力保持率は時間経過に伴って低下し、無添加の比較例の場合には100時間経過した時点で軸力保持率が0になった。これに対して、本発明によりSiO2被覆SiC粉末を1mass%添加した場合には、100時間経過した時点では軸力保持率はまだ20%を維持しており、0にまで低下するのに経過時間300時間を要した。このようにSiO2被覆SiC粉末の添加により軸力保持特性が大幅に向上する。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、環境汚染物質を発生させず、マグネシウム合金の延性を良好に維持しつつ、鋳造組織を細粒化できると同時に高温強度を向上できるマグネシウム合金の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、SiC粉末の加熱温度と、粉末粒子表面に形成されたSiO2被膜の厚さとの関係を示すグラフおよび表である。
【図2】図2は、SiC粉末の加熱時間と、粉末粒子表面に形成されたSiO2被膜の厚さとの関係を示すグラフおよび表である。
【図3】図3は、本発明によりSiO2被覆SiC粉末を添加して製造したマグネシウム合金の鋳造組織を示す顕微鏡写真である。
【図4】図4は、比較例として無添加で製造したマグネシウム合金の鋳造組織を示す顕微鏡写真である。
【図5】図5は、SiO2被覆SiC粉末の添加量とマグネシウム合金の結晶粒径との関係を示すグラフおよび表である。
【図6】図6は、SiO2被覆SiC粉末の添加量と高温硬さとの関係を示すグラフおよび表である。
【図7】図7は、本発明によりSiO2被覆SiC粉末を添加して製造したマグネシウム合金の鋳造組織中の析出化合物を示す顕微鏡写真である。
【図8】図8は、本発明によりSiO2被覆SiC粉末を添加して製造したマグネシウム合金と、比較例として無添加で製造したマグネシウム合金とについて、高温での軸力保持率を時間経過に対して示すグラフおよび表である。
Claims (2)
- 粉末粒子の表面にSiO2被膜を備えたSiC粉末を、0.1〜10mass%の添加量でマグネシウム合金溶湯に直接添加することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
- SiC粉末を大気中で加熱することにより粉末粒径の1〜10%の厚さの前記SiO2被膜を形成することを特徴とする請求項1記載のマグネシウム合金の製造方法。
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JP2001111726A JP4736222B2 (ja) | 2001-04-10 | 2001-04-10 | マグネシウム合金の製造方法 |
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