以下、図1〜図4を用いて、本発明の第1の実施形態によるDC−DCコンバータの構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態によるDC−DCコンバータの基本構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるDC−DCコンバータの基本構成を示すブロック図である。
DC−DCコンバータ100は、トランスTRの1次巻き線TR1に接続されたV1側主回路110と、トランスTRの2次巻き線TR2に接続されたV2側主回路120と、トランスTRの2次巻き線TR3に接続されたV3側降圧回路130と、制御回路140,150と、通信インターフェース(I/F)160とを備えている。
V1側主回路110は、第1の直流電圧端子V1+/−を介して、直流電源Bat1が接続されている。直流電源Bat1の電圧V1は、例えば、300Vである。V2側主回路120は、第2の直流電圧端子V2+/−に接続されている。電圧V2は、例えば、12Vである。V3側降圧回路130は、第3の直流電圧端子V3+/−に接続されている。電圧V2は、例えば、42Vである。
制御回路140は、制御信号CS1,CS2を出力し、V1側主回路110及びV2側主回路120に備えられたスイッチング手段を制御して、V1側からV2側へ電力変換させる。なお、V2側主回路120の中にスイッチング手段が含まれていない場合、制御信号CS2は不要となる。制御回路150は、制御信号CS3を出力し、V3側降圧回路130に備えられたスイッチング手段を制御して、V3電圧を制御する。通信I/F160は、上位コントローラ200からの指令を受け取り、制御回路140,150に、それぞれ、V2電圧に対する電圧指令値VI2,V3電圧に対する電圧指令値VI3として出力する。
なお、V1側主回路110と、V2側主回路120と、V3側降圧回路130と、制御回路140,150の詳細構成は、図2を用いて後述する。
次に、DC−DCコンバータ100の動作について説明する。
直流電圧V1から直流電圧V2への電力変換は、直流電圧V1をV1側主回路110で交流電圧に変換し、その交流電圧をトランスTRでV2側へ伝え、伝えられた交流電圧をV2側主回路120で整流し行われる。この時、V1側主回路110とV2側主回路120内のスイッチング手段は、制御回路140で発生した制御信号CS1,CS2を用いて制御される。制御回路140は、V2電圧信号を帰還し、電圧指令値VI2に基づいてV1側主回路110やV2側主回路120内のスイッチング手段を制御してV2出力電圧を調整する。具体的には、トランスTRの1次巻き線TR1と、2次巻き線TR2の巻き数比と、1次巻き線TR1に電圧を印加する際のDuty(時比率)の調整により、V2端子への出力電圧V2を調整する。
ここで、Dutyは、トランスの巻き線に発生する電圧を観測し、その1サイクル周期に対して巻き線の両端に電圧が発生する時間の比率として定義する。この時の巻き線には、正/負の電圧が発生する場合があるが、これは正電圧で発生した時間と負電圧で発生した時間の合計で計算するものとする。すなわち、Duty=(t1+t2)/T1とする。ここで、t1=巻き線に正電圧が発生した時間、t2=巻き線に負電圧が発生した時間、T1=巻き線に発生する電圧の1サイクルの時間である。
V3電圧の調整は、トランスTRの1次巻き線TR1と2次巻き線TR3の巻き数比とV3側降圧回路130によって行われる。具体的には、2次巻き線TR3の両端に巻き数比倍された電圧が発生し、その時間(t1+t2)に対して、更に時間を短くする方向に降圧回路内のスイッチをオン、オフ制御することでV3側出力電圧を調整する。具体的な調整方法については、図4を用いて後述する。
本実施形態のDC−DCコンバータ100をハイブリッド自動車などに適用し、V1電圧端子を数百V程度の高電圧2次電池に接続し、V2電圧端子を14V程度の低電圧出力、V3電圧端子を42V程度の中間電圧出力と想定した場合、電圧V1は、2次電池の充電状態や劣化により大きく変化することが考えられる。また、電圧V2や電圧V3の指令値も上位コントローラ200からの指示で動作中に変化する場合がある。この様なシステムでは、V2出力電圧を調整するためにDutyが時間と共に大きく変化するが、Duty最小時においてもV3電圧を発生し、必要な負荷電流を供給する必要がある。このため、Duty最小時にも、V3電圧が指令値以下に低下しない様、トランス1次巻き線TR1と2次巻き線TR3の巻き数比を設定しておく必要がある。こうすることで、電圧V2,電圧V3共に負荷電流が大きい場合にも、V1側から必要な電力を供給することができる。
本実施形態の特徴とする点は、V2電圧は、トランスの一次側のV1側主回路110により制御することで、調整可能とした点と、さらに、V3電圧は、V3側降圧回路130により降圧制御して調整可能とした点にある。このように構成することで、電圧V1に対して、異なる電圧V2,V3を独立に調整可能にできるとともに、V2,V3電圧に対して大電流を得ることができる。その理由については、図3及び図4を用いて後述する。
なお、以上の説明では、上位コントローラ200からの指示で、電圧V2,V3を設定しているが、この調整電圧値V2,V3は製品出荷時に固定値に設定しておくことも可能である。または、DC−DCコンバータ100が、自ら入出力電圧を監視することで、あらかじめDC−DCコンバータ100内にプログラミングされた動作に従って調整電圧値を変更することも可能である。
また、上述の例では、出力電圧が任意の設定値に一致するように制御しているが、出力電流が設定値に一致するように制御することも可能である。この場合は、V2或いはV3端子に電流センサを新たに設け、そのセンサからの信号と指令値VI2,VI3のいずれか又は両方が出力電流指令値となり、出力電流が設定値に一致するようにフィードバック制御が行われる。
また、上述の例では、V2,V3電圧端子には電池が接続されていないものとしているが、2次電池等の直流電源を接続することも可能である。また、図示していないが、V1,V2,V3端子には負荷が接続されている。
また、上述の例ではトランスTRの2次巻き線をTR2,TR3と2種類備えた例を示したが、更に2次巻き線を追加して出力数を増やすことも可能である。
また、上述の例では、巻き線TR1,TR2,TR3の巻き数比を色々と調整することで、多様な出力電圧を発生させることができる。例えば、V1≧V3≧V2の電圧関係や、V1≧V2≧V3、V2≧V3≧V1、V3≧V2≧V1など6通りの電圧関係を実現することができる。
以上説明した本実施形態によれば、複数出力電圧を独立して調整可能であるとともに、出力電力を多く取り出すことのできるものとなる。
また、多出力のDC−DCコンバータを単独のDC−DCコンバータを並列に接続するよりも少ない回路部品で構成することができ、小型,低コスト化を実現することができる。
次に、図2〜図4を用いて、本実施形態によるDC−DCコンバータの具体的回路構成及び動作について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態によるDC−DCコンバータの構成を示す回路図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。図3及び図4は、本発明の第1の実施形態によるDC−DCコンバータの動作を説明するタイミングチャートである。
次に、V1側主回路110の構成について説明する。V1側主回路110において、V1側直流電源Bat1には、平滑コンデンサC1と、直列接続したスイッチング素子SW11,SW12と、別の直列接続したスイッチング素子SW13,SW14が接続されている。スイッチング素子SW11,…,SW14には、それぞれ、フリーホイルダイオードD11,D12,D13,D14が並列に接続されている。なお、スイッチング素子SW11,…,SW14としてMOSFETを用いる場合には、フリーホイルダイオードD11,D12,D13,D14は、MOSFETのボディーダイオードを利用できる。
V1端子からV2端子への電力変換は、スイッチング素子SW11,…,SW14をスイッチさせることで直流電圧を交流電圧に変換し、補助リアクトルAL1を介してトランスTRの1次巻き線TR1に交流電圧を発生する。補助リアクトルAL1は、トランスTRの1次巻き線TR1に流れる電流の極性が反転する際に、電流の傾きを調整する役割を果たすものである。ここで、補助リアクトルAL1は、トランスTRの漏れインダクタンスで代替することも可能であり、その場合は、補助リアクトルAL1を削除することができる。
次に、V2側主回路120の構成について説明する。V2側主回路120としては、カレントダブラ同期整流回路を用いた例を示している。カレントダブラ同期整流回路は、例えば、特開2003−199339号公報等により知られている。V2側の直流電源Bat2には、平滑コンデンサC2と、直列接続したリアクトルL21とスイッチング素子SW22と、また、直列接続したリアクトルL22とスイッチング素子SW21とが並列に接続されている。スイッチング素子SW21,SW22には、それぞれフリーホイルダイオードD21,D22が並列に接続されており、スイッチング素子SW21,SW22がMOSFETの場合、ボディーダイオードを利用することができる。
V1端子からV2端子への電力変換動作時には、このカレントダブラ回路で構成されたV2側主回路120は、トランスTRの2次巻き線TR2に発生した交流電圧を、ダイオードD21,D22により整流し、その後、リアクトルL21、L22とコンデンサC2で平滑して直流電圧V2を得る。この時、スイッチング素子SW21,SW22を、ダイオードD21,D22にアノードからカソード側に順方向電流が流れている期間にオンさせる、いわゆる同期整流をさせてもよいものである。
次に、V3側降圧回路130の構成について説明する。V3側降圧回路130は、トランスTRの2次巻き線TR3に発生した交流電圧を整流用ダイオードD31,D32により整流する。整流した電圧は、スイッチング手段SW31,フリーホイルダイオードD34,リアクトルL3で構成された降圧回路(降圧チョッパ)により降圧され、コンデンサC3で平滑し、V3端子に出力される。スイッチング手段SW31がMOSFETの場合は、ボディーダイオードD33が並列に接続されるが、この回路構成の場合は無くても特に問題とはならない。
なお、以上の例では、スイッチング素子にMOSFETを用いているが、IGBT等のスイッチング素子を使うこともできる。
制御回路140は、V1端子からV2端子へ電力変換する場合のV1側主回路110とV2側主回路120を制御する。制御回路140は、誤差増幅器141と、パルス生成回路142と、ドライバ143,145と、絶縁回路144を備えている。誤差増幅器141は、V2+/−端子から得たV2電圧と上位コントローラからのV2電圧指令値VI2の差を求め、パルス生成回路142に差信号を送る。パルス生成回路142は、誤差増幅器141からの信号を受け、誤差を小さくするように主回路110,120内のスイッチング手段を制御するためのパルスを生成する。生成したパルスは、ドライバ回路143,144を介して制御信号CS1,CS2として、V1側主回路110,V2側主回路120を制御する。絶縁回路144は、V1側主回路110を制御するためのドライバ回路143とV2側主回路120を制御するためのドライバ回路144を電気的に絶縁している。ここでは、誤差増幅器141やパルス生成回路142などは、V2側主回路120と接地電位を共有しているものとして、絶縁回路144を配置している。
制御回路150は、V3側降圧回路130を制御する。制御回路150は、誤差増幅器151と、パルス生成回路152と、ドライバ153を備えている。誤差増幅器151は、V3+/−端子から得たV3電圧と上位コントローラからのV3電圧指令値VI3の差を求め、パルス生成回路152に信号を送る。パルス生成回路152は、誤差増幅器151からの信号を受け、誤差を小さくするようにV3側降圧回路130内のスイッチング手段を制御するためのパルスを生成する。生成したパルスは、ドライバ回路153を介して制御信号VI3としてV3側降圧回路130を制御する。
なお、図1では、V2,V3端子に直流電源を接続しない例を示したが、図2の例のように直流電源を接続してもよいものである。
次に、図3を用いて、DC−DCコンバータ100の制御動作について説明する。図3において、A,B,C,Dは、スイッチング素子SW11,SW12,SW13,SW14の制御信号CS1に対応している。E,Fは、スイッチング素子SW21,SW22の制御信号CS2に対応している。Gは、スイッチング素子SW31の制御信号CS3に対応している。
最初に、V1側主回路110の動作について説明する。図3のA,Bに示すように、スイッチング素子SW11,SW12のゲート信号は、波形の切り替わり時にスイッチング素子SW11,SW12が同時にオンしないように、同時に“L”になる期間を設けている。C,Dに示すように、スイッチング素子SW13,SW14のゲート信号は、波形の切り替わり時にスイッチング素子SW13,SW14が同時にオンしないように、同時に“L”になる期間を設けている。但し、AとCは、位相をずらして制御している。
ここで、Aに示すスイッチング素子SW11ゲート信号と、Dに示すスイッチング素子SW14ゲート信号が共にオン期間,及び、Bに示すスイッチング素子SW12ゲート信号と、Cに示すスイッチング素子SW13ゲート信号が共にオン期間に、トランスTRの1次巻き線TR1に電圧が発生し、トランスTRを介してV1端子側からV2端子側に電力が送られる。この1次巻き線に電圧が発生するパルス幅t1,t2、すなわちAとCに示す制御信号の位相差を調整することで、V2端子電圧が調整される。また、このAとCに示す制御信号の位相差は、V1端子電圧やV2電圧指令値が変わるとそれに応じて変化する。
次に、V2側主回路120の動作について説明する。V2端子側のスイッチング素子SW21,SW22は、図3のE,Fに示す制御信号により同期整流を行い、トランスTRの2次巻き線TR2に発生した交流電圧を整流している。
つぎに、V3側降圧回路130の動作について説明する。V3側降圧回路130は、スイッチング手段SW31を、図3の制御信号Gで制御することで、トランスTRの2次巻き線TR3に発生したトランス電圧の発生期間t1,t2を更に、パルスの発生期間t3,t4の様に狭くするように制御させることで降圧動作させている。これにより、V3端子電圧を調整している。
ここで、期間t1,t2,t3,t4の関係は、t1≧t3,t2≧t4となる。この様な条件で、V3端子側V3側降圧回路130を動作させることで、V3端子からも大きな電流を出力することが可能となる。すなわち、V3電圧を発生するために、降圧回路を用いることで、大電流を得ることができる。仮に、トランスTRに発生した電圧パルス幅t1,t2よりも制御信号Gのパルス幅t3,t4が広い場合は、結局、電力を有効に変換する期間がトランス電圧のパルス幅t1,t2に制限されるため、t1,t2以外の期間では出力される電流も制限を受け大きな電流を出力することができない。
次に、図4を用いて、トランス電圧と制御信号Gの関係について説明する。図4(A)は、V2電圧指令値が、調整範囲の最大電圧に設定された場合を示している。V1入力電圧やV2設定電圧は動作時に変化するが、このケースは、V2出力電圧を最大にするためにトランスに発生している電圧の発生期間も最大(t1max+t2max)となっている。
この時、制御信号Gは、V3電圧の指令値に応じてパルス幅がt3minからt3maxまで変化することが考えられるが、t1max≧t3maxの範囲で常に動作するように制御している。これは、t1max<t3maxの条件で制御信号Gを発生しても、図3で説明したのと同様に、V3端子から大きな出力電流が得られないためである。同様に、t2max≧t4maxの範囲で動作させている。
図4(B)は、V2電圧指令値が調整範囲の最小電圧に設定された場合を示している。V1入力電圧やV2設定電圧は動作時に変化するが、このケースは、V2出力電圧を最小にするためにトランスに発生している電圧の発生期間も最小(t1min+t2min)となっている場合である。
この時も、制御信号Gは、V3電圧の指令値に応じてパルス幅がt3minからt3maxまで変化することが考えられるが、t1min≧t3maxの範囲で常に動作するように制御している。これは、図4(A)のケースと同様の理由による。また、同様に、t2min≧t4maxの範囲で動作させている。
この様に、図4(A)の場合には、t1max≧t3max,t2max≧t4maxの条件で動作し、図4(B)の場合には、t1min≧t3max,t2min≧t4maxの条件で動作させられるように、V1入力電圧範囲,V2,V3設定電圧範囲を考慮してトランスTRの巻き線TR1,TR2,TR3の巻き数比をあらかじめ設定しておく必要がある。例えば、V1=300V,V2=14V,V3=42Vとするとき、V1側主回路110のスイッチング素子のゲート信号の最大デューティを20%(t1max=0.2T)とすると、V1側主回路110の出力は60Vとなる。すなわち、トランスTRの一次巻線には、60Vの電圧が印加される。トランスTRの巻き線TR1,TR2,TR3の巻数比を、5:1:4とすると、2次巻線TR2には12Vが出力し、V2側主回路120で整流して、12VのV2電圧を得ることができる。また、2次巻線TR3には、48Vが出力するが、これを、V3側降圧回路130で42Vに降圧することで、42VのV3電圧を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数出力電圧の内、V2電圧は制御回路140によってV1側主回路110で調整可能であり、また、V3電圧は、制御回路150によってV3側降圧回路130で調整可能である。さらに、V3電圧は、降圧回路130によって得るようにしているので、出力電力を大きくするころができる。
次に、図5〜図7を用いて、本発明の第2の実施形態によるDC−DCコンバータの構成及び動作について説明する。
最初に、図5を用いて、本実施形態によるDC−DCコンバータの基本構成について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態によるDC−DCコンバータの基本構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
図1〜図4に示した実施形態は、高電圧のV1電圧から、低電圧のV2,V3電圧を得るものであったのに対して、本実施形態では、高電圧のV1電圧から、低電圧のV2,V3電圧を得るとともに、低電圧のV2電圧から高電圧のV1電圧を得られる双方向のDC−DCコンバータである。
V2電圧からV1電圧への電力変換時に、V3端子にも電力を供給するか否かは、V3側降圧回路130を動作させるかどうかで選択できる。また、V1側主回路110とV2側主回路120は双方向動作可能な回路構成である。
本実施形態では、DC−DCコンバータ100Aは、図1に示した構成に加えて、制御回路170と、セレクタSL1,SL2とを備えている。
制御回路170は、V2側主回路120やV1側主回路110を制御し、V2端子のV2電圧からV1端子のV1電圧に電力変換する。セレクタSL1は、制御回路170と制御回路140からの信号CS1,CS4のいずれか一方を選択し、制御信号CS−Bとして、V1側主回路110に供給する。セレクタSL2は、制御回路170と制御回路140からの信号CS2,CS5のいずれか一方を選択し、制御信号CS−Aとして、V2側主回路120に供給する。
通信I/F160は、上位コントローラ200からの指示に応じて、セレクタSL1,SL2の入力を切り替えるためのセレクタ切り替え信号C−SLと、上位コントローラ200からのV1電圧に対する電圧指令値VI1を出力する。
次に、本実施形態のDC−DCコンバータ100Aの動作について説明する。V1端子からV2端子への電力変換は、制御回路140からの制御信号CS1,CS2がセレクタSL1,SL2により選択され、信号CS−A,CS−Bとして、V1側主回路110とV2側主回路120に供給され行われる。この時、V1側主回路110は、内蔵したスイッチング手段をスイッチングさせることで、直流電圧Bat1を交流電圧に変換し、巻き線TR1の両端に交流電圧を発生させる。巻き線TR1に発生した交流電圧は、トランスの巻き数比(TR2/TR1)倍され、巻き線TR2の両端にも発生する。巻き線TR2に発生した交流電圧は、V2側主回路120で整流され、V2端子に出力される。この時、制御回路140は、V2+/−端子からV2電圧を検出し、指令値VI2に一致するように制御信号CS1,CS2を発生する。
一方、V2端子からV1端子への電力変換は、制御回路170からの制御信号CS4,CS5がセレクタSL1,SL2により選択され、信号CS−A,CS−Bとして、V1側主回路110とV2側主回路120に供給され行われる。この時、V2側主回路120は内蔵したスイッチング手段をスイッチングさせることで、直流電圧Bat2を交流電圧に変換し、巻き線TR2の両端に交流電圧を発生させる。巻き線TR2に発生した交流電圧は、トランスの巻き数比(TR1/TR2)倍され、巻き線TR1の両端にも発生する。巻き線TR1に発生した交流電圧は、V1側主回路110で整流され、V1端子に出力される。この時、制御回路170は、V1+/−端子からV1電圧を検出し指令値VI1に一致するように制御信号CS4,CS5を発生する。
ここで、これらV1端子からV2端子への電力変換時や、V2端子からV1端子への電力変換時において、制御回路150とV3側降圧回路130を、図1の実施例と同様に動作させることで、V3端子から電力を出力することができる。また、仮に、V3端子からの電力供給が不要な場合には、V3側降圧回路130を動作させないようにする。
以上の例では、V1端子からV2端子へ電力変換できると共に、V2電圧を上位コントローラからの指令値に調整することができる。また、V2端子からV1端子への電力変換も可能となり、その場合はV1電圧を上位コントローラからの指令値に調整することができる。これらの場合、V3側降圧回路130を動作させることでV3端子にも電力を供給し電圧調整することができる。V3端子への電力供給が不要な場合は、V3側降圧回路130を動作させないことで実現することができる。すなわち、V2端子から電力を供給する場合、V1端子からだけではなく、必要が有ればV3端子からも電力を出力することができる。
なお、以上の例では、出力電圧がある基準電圧値に一致するように制御する例を示したが、出力電流がある基準電流値に一致するように制御することも可能である。この場合は、V1やV2、V3電圧端子に流れる電流を検知する電流センサを新たに設け、そのセンサからの信号と、指令値VI1,VI2,VI3のいずれか又は複数が出力電流指令値となり、出力電流が指令値に一致するようにフィードバック制御が行われる。また、本実施例では、上位コントローラからの指令値によりV1,V2,V3電圧を調整する例を示したが、あらかじめDC−DCコンバータ100A内で設定された固定電圧値にフィードバック制御することも可能である。
次に、図6及び図7を用いて、本実施形態によるDC−DCコンバータの具体的回路構成及び動作について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態によるDC−DCコンバータの構成を示す回路図である。なお、図2,図5と同一符号は、同一部分を示している。図7は、本発明の第2の実施形態によるDC−DCコンバータの動作を説明するタイミングチャートである。
図6では、V2電圧からV1電圧に変換する場合について主として説明するため、図5に示した制御回路140,セレクタSL1,SL2の図示は省略している。なお、V1電圧からV2,V3電圧に変換する場合は、図2にて説明したものと同様である。
V1側主回路110,V2側主回路120,V3側降圧回路130の構成は、図2と同一である。図2と異なるところは、制御回路170によりV1側主回路110とV2側主回路120を制御しているところである。制御回路170はV1+/−端子からV1端子電圧を検出し、目標電圧に一致するように主回路120,110を動作させる。
V2端子からV1端子への電力変換は、V2側主回路120内のスイッチング素子SW21,SW22を交互にオンさせることで、V2端子の直流電圧を交流電圧に変換し、トランスTRの巻き線TR2に交流電圧を発生させる。この発生した交流電圧は、トランスTRの巻き数比(TR1/TR2)倍されて、巻き線TR1の両端に電圧が発生する。発生した電圧は、V1側主回路110により直流電圧に整流され、V1端子電圧を発生する。V1端子電圧の調整は、V2側主回路120内のスイッチング素子SW21,SW22のオン,オフ期間を制御することで行える。
V1側主回路110は、トランスTRの巻き線TR1に発生した交流電圧をダイオードD11,D12,D13,D14により整流し、直流電圧に変換する。この時、スイッチング素子SW11,SW12,SW13,SW14を、ダイオードD11,D12,D13,D14にアノードからカソード側に順方向電流が流れている期間にオンさせる、いわゆる同期整流させることも可能である。
このV2端子からV1端子へ電力変換している期間は、トランスを共有している巻き線TR3にも電圧が発生する。ここで、V3側降圧回路130に内蔵したスイッチング手段SW31をスイッチングさせれば、V3端子からも電力を出力することができる。なお、スイッチング手段SW31をオフしたままの場合は、V3端子から電力を出力することはできない。この様に、V3側降圧回路130を動作させるか否かでV3端子からの電力出力の有無を制御することができる。V3端子への電力出力を行うか否かは、本DC−DCコンバータが搭載されるシステムやアプリケーションによって決定される。
制御回路170は、V2端子からV1端子へ電力変換する場合のV1側主回路110とV2側主回路120を制御する。制御回路170は、絶縁回路171と、誤差増幅器172と、パルス生成回路173と、ドライバ174,175と、を備えている。絶縁回路171は、V1+/−端子電圧を電気的に絶縁しながら誤差増幅器172へ伝えている。誤差増幅器172は、絶縁回路171を介して得たV1端子電圧と上位コントローラからのV1電圧指令値VI1の差を求め、パルス生成回路173へ信号を送る。パルス生成回路173は、誤差増幅器172からの信号を受け、誤差を小さくするようにV1側主回路110,V2側主回路120内のスイッチング手段を制御するためのパルスを生成する。生成したパルスは、ドライバ回路174,175を介して制御信号CS4,CS5としてV1側主回路110,V2側主回路120を制御する。この時、誤差増幅器172やパルス生成回路173などは、V2側主回路120と接地電位を共有しているものとして、絶縁回路171を配置している。
次に、図7を用いて、DC−DCコンバータ100Aの制御動作について説明する。図7において、A,B,C,Dは、スイッチング素子SW11,SW12,SW13,SW14の制御信号CS4に対応している。E,Fは、スイッチング素子SW21,SW22の制御信号CS5に対応している。Gは、スイッチング素子SW31の制御信号CS3に対応している。
この例では、制御信号A〜Dはオフさせて、ダイオードD11,D12,D13,D14によりトランスTRの巻き線TR1に発生した交流電圧を整流している。一方、V2側スイッチング素子SW21,SW22を制御するための制御信号E、Fは、交互にスイッチングさせることでトランスTRの巻き線TR2に交流電圧を発生させる。具体的には、制御信号E或いはFが“L”期間にトランスの巻き線TR2に電圧を発生させ、V1側へ電力を送っている。この時、V3端子からも電力を取り出すためには、制御信号Gを図6のように動作させる。
トランス電圧と制御信号Gの関係は、図3で示したのと同じ理由でt11≧t13、t12≧t14となるように制御する。
なお、以上の説明では、V2端子からV1端子への電力変換動作について説明したが、図2で示したように、V1端子からV2端子への電力変換動作と組み合わせることで、V1,V2端子間を双方向に電力変換することが可能である。このとき、V3端子への電力変換可否も選択することが可能である。図2や図5で示したV1側主回路110やV2側主回路120は、双方向に電力変換可能な回路構成であるため双方向動作が可能となる。
本例では、スイッチング素子にMOSFETを用いた例を示したが、IGBT等のスイッチング素子を使うことも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数出力電圧の内、V2電圧は制御回路140によってV1側主回路110で調整可能であり、また、V3電圧は、制御回路150によってV3側降圧回路130で調整可能である。さらに、V3電圧は、降圧回路130によって得るようにしているので、出力電力を大きくすることができる。また、低電圧のV2電圧を、高電圧のV1電圧に変換することもできるため、双方向のDC−DCコンバータとすることができる。
次に、図8を用いて、本発明の第3の実施形態によるDC−DCコンバータの構成及び動作について説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態によるDC−DCコンバータの構成を示すブロック図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
DC−DCコンバータ100Bの基本構成は、図2と同様であるが、トランスTR’は、図2に示した2次巻き線TR3がないタイプである。そして、V1電圧が300Vとするとき、V2電圧を42Vとし、V3電圧を14Vとするため、トランスTRの巻き線TR1,TR2’の巻数比を、5:4とする。トランスの一次巻線TR1に60Vが入力するとき、トランスの2次巻線TR2’には48Vが得られる。また、V3側降圧回路130Bは、42Vを整流し、降圧して14VのV3電圧を得るため、V3側降圧回路130Bの構成が、図2におけるV3側降圧回路130の構成と一部相違している。その他の構成は、図2と同様である。
V3側降圧回路130は、図2の構成に対して、整流ダイオードD31,D32がトランスTRの2次巻き線TR2’に接続され、このダイオードD31,D32によりトランスTRの2次巻き線TR2の両端に発生した電圧を整流し、スイッチング手段SW31へ供給している。スイッチング手段SW31のゲート信号のデューティを制御することで、42Vから14Vに降圧できる。
なお、図6と同様に、制御回路170とセレクタSL1,SL2を備えることで、双方向のDC−DCコンバータを構成することも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数出力電圧の内、V2電圧は制御回路140によってV1側主回路110で調整可能であり、また、V3電圧は、制御回路150によってV3側降圧回路130で調整可能である。さらに、V3電圧は、降圧回路130によって得るようにしているので、出力電力を大きくするころができる。また、低電圧のV2電圧を、高電圧のV1電圧に変換することもできるため、双方向のDC−DCコンバータとすることができる。
さらに、1つの2次巻き線を共有し、複数の出力電圧を得ることができる。このような構成により、2次巻き線を削減でき、トランスの大きさを小さくできる。
次に、図9及び図10を用いて、本発明の第4の実施形態によるDC−DCコンバータの構成及び動作について説明する。
図9は、本発明の第4の実施形態によるDC−DCコンバータの構成を示すブロック図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。図10は、本発明の第4の実施形態によるDC−DCコンバータの動作を説明するタイミングチャートである。
DC−DCコンバータ100Cの基本構成は、図2と同様であるが、V3側降圧回路130Cは、図2に示したV3側降圧回路130に対して、さらに、スイッチング手段SW31と並列に、スイッチング手段SW32を備え、スイッチング手段SW32と並列にフリーホイルダイオードD35を備えている。
本例では、トランスTRの2次巻き線TR3に発生した交流電圧を整流用ダイオードD31,D32により整流する。整流した電圧は並列接続されたスイッチング手段SW31,SW32,フリーホイルダイオードD34,リアクトルL3で構成された降圧回路(降圧チョッパ)により降圧され、平滑コンデンサC3で平滑され、V3端子に出力される。スイッチング手段SW31,SW32は、制御回路150Cからのゲート信号G1、G2により制御される。スイッチング手段SW31,SW32がMOSFETの場合は、ボディーダイオードD33,D35が並列に接続されるが、この回路構成の場合は、ダイオードD33,D35は無くてもよいものである。
次に、図10に示すように、V3側降圧回路130Cは、トランスTRに発生した電圧のパルス幅(t1,t2)を更に狭くする方向に制御する。このため、スイッチング手段SW31,SW32を制御信号G1,G2で制御し降圧動作させることでV3電圧を出力している。このとき、パルス幅t1,t2,t3,t4の関係は、t1≧t3、t2≧t4となる様に制御する。この様な条件でV3側降圧回路130Cを動作させることで、降圧動作させると共にV3端子からの大きな電流出力を可能としている。
ここで、スイッチング手段SW31,SW32を制御するゲート信号G1,G2の周波数は、トランス電圧と同じ周波数となっている。これは、スイッチング手段SW31,SW32を並列接続したことによる。図2に示したように、一つのスイッチング手段SW31で制御する場合は、図3に示したように、トランス電圧の2倍の周波数でスイッチングする必要があるが、それに比べて制御信号G1,G2の制御を低周波化でき、DC−DCコンバータの高周波化に対応しやすいものである。
さらに、スイッチング手段を2並列でなく、4並列とすることで、スイッチング手段のスイッチング周波数は、トランス電圧の1/2の周波数とすることができる。
なお、図6と同様に、制御回路170とセレクタSL1,SL2を備えることで、双方向のDC−DCコンバータを構成することも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数出力電圧の内、V2電圧は制御回路140によってV1側主回路110で調整可能であり、また、V3電圧は、制御回路150によってV3側降圧回路130で調整可能である。さらに、V3電圧は、降圧回路130によって得るようにしているので、出力電力を大きくするころができる。また、低電圧のV2電圧を、高電圧のV1電圧に変換することもできるため、双方向のDC−DCコンバータとすることができる。
また、V3側降圧回路を制御する制御信号を低周波化でき、DC−DCコンバータの高周波化に対応しやすいものである。
次に、図11を用いて、本発明の第5の実施形態によるDC−DCコンバータの構成及び動作について説明する。
図11は、本発明の第5の実施形態によるDC−DCコンバータの構成を示すブロック図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
DC−DCコンバータ100Dの基本構成は、図2と同様であるが、V3側降圧回路130Dは、双方向動作できる構成となっている。すなわち、V3端子が出力端子となる場合以外に、V3端子を入力とし、V1端子やV2端子から出力することができる。
そのため、V3側降圧回路130Dは、スイッチング手段SW31に加えて、スイッチング手段SW33,SW34,SW35を備えている。また、スイッチング手段SW33,SW34,SW35と並列に、それぞれ、ダイオードD34,D35,D36を備えている。スイッチング手段SW33,SW34,SW35を制御することで、2次巻き線TR3からV3端子への降圧動作や、V3端子から2次巻き線TR3への昇圧動作を行っている。
本回路で、2次巻き線TR3からV3端子に降圧動作させる場合は、制御回路150Dは、制御信号G3,G4,G5をオフとして、スイッチング手段SW33,SW34,SW35はオフ動作させておき、ダイオードD34,D35,D36のみの動作とする。この様に、制御信号G3,G4,G5を制御することで、降圧動作は図2に示したV3側主回路130と同じ動作となる。この時の制御信号G1も、図3の制御信号Gと同様の信号波形となる。
V3側降圧回路130Dを昇圧動作させる場合は、リアクトルL3とスイッチング手段SW35で構成した昇圧チョッパを動作(すなわち、制御回路150Dは、制御信号G5をスイッチング動作)させることで発生した高電圧をスイッチング手段SW33,SW34を交互にオン/オフ制御し、トランスTRの2次巻き線TR3に交流電圧を発生させる。この時、スイッチング手段SW31は常にオン状態とする。このように動作させることでV3端子を入力電圧として、トランスTRの2次巻き線TR3に交流電圧を発生させることができる。この発生した交流電圧は、V1側主回路110及びV2側主回路120でそれぞれ整流動作させることで、V1端子とV2端子から電力を出力することができる。
なお、図6と同様に、制御回路170とセレクタSL1,SL2を備えることで、双方向のDC−DCコンバータを構成することも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数出力電圧の内、V2電圧は制御回路140によってV1側主回路110で調整可能であり、また、V3電圧は、制御回路150DによってV3側降圧回路130Dで調整可能である。さらに、V3電圧は、降圧回路130Dによって得るようにしているので、出力電力を大きくすることができる。また、低電圧のV2電圧を、高電圧のV1電圧に変換することもできるため、双方向のDC−DCコンバータとすることができる。
また、V3端子を入力として、V1端子やV2端子から電力を出力することができる。
次に、図12を用いて、本発明の第6の実施形態によるDC−DCコンバータの構成及び動作について説明する。
図12は、本発明の第6の実施形態によるDC−DCコンバータの構成を示すブロック図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
DC−DCコンバータ100Eの基本構成は、図2と同様であるが、図11と同様に、V3側降圧回路130Eは、双方向動作できる構成となっている。すなわち、V3端子が出力端子となる場合以外に、V3端子を入力とし、V1端子やV2端子から出力することができる。
そのため、V3側降圧回路130Eは、リアクトルL31と、スイッチング手段SW36,SW37,SW38,SW39を備えている。また、スイッチング手段SW36,SW37,SW38,SW39と並列に、それぞれ、ダイオードD37,D38,D39,D39Aを備えている。スイッチング手段SW36,SW37,SW38,SW39を制御することで、2次巻き線TR3からV3端子への降圧動作や、V3端子から2次巻き線TR3への昇圧動作を行っている。
本回路で、2次巻き線TR3からV3端子に降圧動作させる場合は、制御回路150Dは、制御信号G6,G7,G8,G9をオフとして、スイッチング手段SW36,SW37,SW38,SW39はオフ動作させておき、ダイオードD37,D38,D39,D39Aのみの動作とする。この様に、制御信号G6,G7,G8,G9を制御することで、降圧動作は図2に示したV3側主回路130と同じ動作となる。
V3側降圧回路130Eを昇圧動作させる場合は、リアクトルL3,L31とスイッチング手段SW37,SW36で構成した昇圧チョッパを動作(すなわち、制御回路150Eは、制御信号G8,G9をスイッチング動作)させることで発生した高電圧をスイッチング手段SW36,SW37を交互にオン/オフ制御し、トランスTRの2次巻き線TR3に交流電圧を発生させる。この時、スイッチング手段SW38,SW39は常にオン状態とする。このように動作させることでV3端子を入力電圧として、トランスTRの2次巻き線TR3に交流電圧を発生させることができる。この発生した交流電圧は、V1側主回路110及びV2側主回路120でそれぞれ整流動作させることで、V1端子とV2端子から電力を出力することができる。
なお、図6と同様に、制御回路170とセレクタSL1,SL2を備えることで、双方向のDC−DCコンバータを構成することも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数出力電圧の内、V2電圧は制御回路140によってV1側主回路110で調整可能であり、また、V3電圧は、制御回路150EによってV3側降圧回路130で調整可能である。さらに、V3電圧は、降圧回路130Eによって得るようにしているので、出力電力を大きくするころができる。また、低電圧のV2電圧を、高電圧のV1電圧に変換することもできるため、双方向のDC−DCコンバータとすることができる。
また、V3端子を入力として、V1端子やV2端子から電力を出力することができる。
次に、図13を用いて、本発明の第7の実施形態によるDC−DCコンバータの構成及び動作について説明する。
図13は、本発明の第7の実施形態によるDC−DCコンバータの構成を示すブロック図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
DC−DCコンバータ100Fの基本構成は、図2と同様であるが、V2端子を出力専用とし、V2側主回路120Fは、スイッチング手段を内蔵しない構成となっている。
本例は、V2側主回路120Fをセンタタップ方式のダイオード整流としており、ダイオードD24,D25と、フリーホイルダイオードD23と、リアクトルL23とを備えている。2次巻き線TR2に発生した交流電圧は、ダイオードD24,D25で整流される。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数出力電圧の内、V3電圧は、制御回路150によってV3側降圧回路130で調整可能である。さらに、V3電圧は、降圧回路130によって得るようにしているので、出力電力を大きくするころができる。
また、V2端子が出力専用となるが、スイッチング手段を用いていないため制御が不要で部品点数も少なくなるため、V2側主回路120を小型化できる。
次に、図14を用いて、本発明の第8の実施形態によるDC−DCコンバータの構成及び動作について説明する。
図14は、本発明の第8の実施形態によるDC−DCコンバータの構成を示すブロック図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
DC−DCコンバータ100Gの基本構成は、図2と同様であるが、V2側主回路120Gは、双方向動作可能なセンタタップ方式としたものである。V2側主回路120Gは、スイッチング手段SW23,SW24と、ダイオードD26,D27と、リアクトルL23を備えている。2次巻き線TR2に発生した交流電圧は、ダイオードD26,D27で整流され、リアクトルL23とコンデンサC2で平滑して、V2出力電圧を得る。ダイオードD26,D27が順方向に電流を流す期間に、スイッチング手段SW23,SW24をオンさせる,いわゆる同期整流を行うことも可能である。V2端子を入力とした場合は、スイッチング手段SW23,SW24を交互にオンさせることで、2次巻き線TR2に交流電圧を発生し、V1端子やV3端子から出力電圧を得ることができる。なお、図示は省略したが、図6と同様に、制御回路170とセレクタSL1,SL2を備えることで、双方向のDC−DCコンバータを構成している。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数出力電圧の内、V2電圧は制御回路140によってV1側主回路110で調整可能であり、また、V3電圧は、制御回路150によってV3側降圧回路130で調整可能である。さらに、V3電圧は、降圧回路130によって得るようにしているので、出力電力を大きくするころができる。また、低電圧のV2電圧を、高電圧のV1電圧に変換することもできるため、双方向のDC−DCコンバータとすることができる。
次に、図15を用いて、本発明の各実施形態によるDC−DCコンバータを搭載した車載用ハイブリッドシステムの構成について説明する。
図15は、本発明の各実施形態によるDC−DCコンバータを搭載した車載用ハイブリッドシステムの構成を示すシステムブロック図である。なお、図1,図2と同一符号は、同一部分を示している。
エンジン210と、モータ/ジェネレータ215とは、機械的に結合されている。モータ/ジェネレータ215は、回生時にはエンジン210によって駆動されてジェネレータとして動作し、力行時にはモータとして動作する。
インバータ/コンバータ220は、力行時は、インバータとして高電圧直流電源Bat1の電力により、モータを回転させ、回生時はコンバータとしてジェネレータで発電した交流電圧を直流に変換し、高電圧直流電源Bat1を充電する。
DC−DCコンバータ100は、電源Bat1,Bat2,Bat3の間に配置され、電力変換を行う。第1の電子機器230は、直流電源Bat1で動作する車載電子機器であり、第2の電子機器235は、直流電源Bat3で動作する車載電子機器である。バッテリーコントローラ240,245,250は、直流電源Bat1,Bat2,Bat3のそれぞれの電源管理を行っている。エンジンコントロールユニット(ECU)200は、エンジン210やモータ/ジェネレータ215を制御するとともに、DC−DCコンバータ100を制御する上位システムとして機能し、直流電源Bat1,Bat2,Bat3の間の電力変換数方向を切り替えたり、目標指令電圧などの設定情報をDC−DCコンバータ100に送ると共に、DC−DCコンバータ100からは動作状態などの情報を受け取っている。バッテリーコントローラ240,245,250やECU200は、ネットワークNWを介して通信しており、お互いに情報の授受を行っている。
本例では、DC−DCコンバータ100は、ECU200と個別に通信を行っているものとしてるが、例えば、DC−DCコンバータ100も直接ネットワーク110に接続しECU200やバッテリーコントローラ240,245,250と通信を行うようにしてもよいものである。
DC−DCコンバータ100は、直流電源Bat1から直流電源Bat2,直流電源Bat3に接続された車載電子機器へ電力を供給する機能を有すると共に、直流電源Bat1劣化時にエンジンを始動させるための緊急用として直流電源Bat2から直流電源Bat1へ電力を供給する機能を有している。
本発明は、ハイブリッド自動車などに搭載される高電圧2次電池から車載電装品駆動用の14V出力や電動パワーステアリング用などに使用される42V出力を供給するのに好適である。この他、車載用途に限らず、3種類以上の電圧を必要とするシステムにおいて、それらの電圧間で電力変換を行う場合に広く適用することができる。さらに、これらの用途に限らず異なる直流電圧間の電力変換に適用することができる。
なお、各種直流電源は、2次電池以外にキャパシタなどで構成することもできる。
以上、本実施形態によれば、車載システムにおいて多出力のDC−DCコンバータを少ない回路規模で実現することができる。