JP4871317B2 - 管内ライニングの判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属製の管の内面にエポキシ樹脂製のライニング層が施工されているか否かを判定する管内ライニングの判定方法に関する。
例えば、地中に埋設された金属製のガス管において、そのガス管の内面に樹脂製のライニング層を施工する必要が生じた場合、すでにエポキシ樹脂製のライニング層が施工されているか否かを判定する必要がある。
しかしながら、従来、金属製の管の内面にエポキシ樹脂製のライニング層が施工されているか否かを非破壊により簡易、かつ、確実に判定するための有効な方法がなかった。
本発明は、このような実情に着目したもので、その目的は、金属製の管の内面にエポキシ樹脂製のライニング層が施工されているか否かを非破壊により簡易、かつ、確実に判定することのできる管内ライニングの判定方法を提供することにある。
本発明の第1の特徴構成は、金属製の管の内面にエポキシ樹脂製のライニング層が施工されているか否かを判定する管内ライニングの判定方法であって、前記管に衝撃を付与して管に振動を発生させ、その管に発生した振動を周波数分析し、振動周波数のうちの前記ライニング層の存在により振動減衰が認められる15kHz〜20kHzの周波数領域におけるスペクトル強度に基づいて、そのスペクトル強度が設定された閾値より大きい場合はライニング層無しとし、設定された閾値より小さい場合はライニング層有りとして、エポキシ樹脂製の前記ライニング層の有無を判定するところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、金属製の管に衝撃を付与して管に振動を発生させ、その管に発生した振動の挙動に基づいてエポキシ樹脂製のライニング層の有無を判定するので、エポキシ樹脂製のライニング層が存在することに起因する振動減衰効果を有効に利用して、エポキシ樹脂製のライニング層の有無を簡易、かつ、確実に判定することができる。
すなわち、後の実験データからも明らかなように、金属製の管の内面にエポキシ樹脂製のライニング層が施工されていると、管に発生した振動は、そのエポキシ樹脂製ライニング層の存在に起因する振動減衰効果により、エポキシ樹脂製ライニング層が施工されていない未処理の管と異なる挙動を示す。
したがって、金属製の管に衝撃を付与して管に振動を発生させ、その管に発生した振動の挙動に基づいてエポキシ樹脂製のライニング層の有無を判定することにより、エポキシ樹脂製ライニング層の有無を非破壊により簡易、かつ、確実に判定することができる。
特に、その管の振動の挙動に関し、管に発生した振動を周波数分析し、振動周波数のうちの前記ライニング層の存在により振動減衰が認められる15kHz〜20kHzの周波数領域におけるスペクトル強度に基づいて、そのスペクトル強度が設定された閾値より大きい場合はライニング層無しとし、設定された閾値より小さい場合はライニング層有りとして、エポキシ樹脂製の前記ライニング層の有無を判定するので、特定の15kHz〜20kHzの周波数領域におけるスペクトル強度を測定して設定された閾値と比較することにより、エポキシ樹脂製ライニング層の有無をより確実に判定することができる。
本発明による管内ライニングの判定方法につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の管内ライニングの判定方法は、鋼管などの金属製の管の内面にエポキシ樹脂製のライニング層が施工されているか否かを判定するもので、例えば、判定対象となる管が地中に埋設されたガス管であれば、ガス管周囲の土壌を排除して、図1に示すように、ガス管Pを露呈させて、ガス管Pの下方に架台1を設置するとともに、Uボルトなどからなる拘束治具2を使用して、ガス管Pの一部を架台1に拘束する。
ガス管Pの拘束部分の外周部に振動子3を取り付けて、その振動子3をFFTアナライザ4に接続し、かつ、そのFFTアナライザ4にエポキシ樹脂製のライニング層Lの有無を判定する判定器5を接続して、ガス管Pの拘束部分に衝撃を付与する。
ガス管Pへの衝撃の付与は、図2に示すように、ほぼ「く」の字状に湾曲されて、その湾曲部に開口6aを有する案内管6とその案内管6内を自由落下する鋼球7からなる衝撃付与機構8を使用する。
そして、案内管6の開口6aが、ガス管Pの拘束部分の側面に接触するように配置し、その状態で、鋼球7を案内管6内で自由落下させる。すると、鋼球7がガス管Pの側面に当接し、ガス管Pに衝撃を付与してガス管Pに振動を発生させ、そのガス管Pに発生した振動をFFTアナライザ4が周波数分析し、その分析した振動の挙動に基づいて判定器5がライニング層Lの有無を判定するのである。
すなわち、本発明者らが金属製の管を対象として各種の実験を重ねたところ、エポキシ樹脂製のライニング層が内面に施されていない未処理の管と、エポキシ樹脂製のライニング層が内面に施されている管との間には、管に発生した振動の挙動に差異があることを知見するに至った。
例えば、図3の(a)〜(c)に示す実験データは、80Aの鋼管からなるガス管において、また、図4の(a)〜(c)に示す実験データは、50Aの鋼管からなるガス管において、エポキシ樹脂製のライニング層が施されていない管((a)「未処理」と表示)、シリコーンを含むエポキシ樹脂製のライニング層を施した管((b)「白」と表示)、および、エポキシ樹脂製のライニング層を施した管((c)「グレー」と表示)のそれぞれについて、衝撃により振動を発生させて、その振動をFFTアナライザにより周波数分析し、振動周波数の分布を調べたデータであり、縦軸はスペクトル強度、横軸は振動周波数である。
これらの実験データから、シリコーンを含むエポキシ樹脂製のライニング層を施した白の管は、未処理の管に比べて、周波数のほぼ全領域にわたってスペクトル強度が著しく減衰していることが理解できる。これはシリコーンを含むエポキシ樹脂製ライニング層の存在による減衰効果が、周波数のほぼ全領域にわたって顕著なことに起因するものと考えられる。
また、エポキシ樹脂製のライニング層を施したグレーの管は、未処理の管の波形に多少似ているものの、エポキシ樹脂製ライニング層の存在により振動減衰が認められる周波数領域、具体的には、15kHz〜20kHzの領域において、そのスペクトル強度が著しく減衰していることが理解できる。これはエポキシ樹脂製ライニング層の存在による減衰効果が、特定の周波数領域において顕著なことに起因するものと考えられる。
したがって、図1および図2に示す装置を使用し、金属製のガス管Pに衝撃を付与して振動を発生させ、そのガス管Pに発生した振動の挙動、つまり、エポキシ樹脂製のライニング層の存在により振動減衰が認められる特定周波数領域におけるスペクトル強度の減衰に基づいてエポキシ樹脂製のライニング層Lの有無を判定することが可能となる。
具体的には、判定器5として、特定の周波数領域、例えば、15kHz〜20kHzの高周波のみが通過する帯域フィルタを使用し、帯域フィルタを通過した当該高周波領域のスペクトル強度に基づいてエポキシ樹脂製ライニング層Lの有無を判定することも、また、スペクトル強度に閾値を設け、その閾値よりスペクトル強度が高いか低いかを判定器5に表示させてエポキシ樹脂製ライニング層Lの有無を判定することもできる。ここで、エポキシ樹脂製ライニング層の有無の判定は、上記のような閾値を設けた場合、その設定された閾値と比較して、スペクトル強度が閾値より大きい場合はライニング層L無しと判定し、小さい場合はライニング層L有りと判定することになる。
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、80Aと50Aの鋼管に関するデータだけを示したが、例えば、判定対象となる管がそれ以外の管径であれば、その管径に応じた補正を加えるか、または、判定対象の管径に関するデータを予め入手して対応することができる。発明者らの検討によれば、管径が小径のもの程、高い減衰が見られる領域は高周波側に位置しており、管径に応じた判定に使用する周波数領域と閾値を予め設定しておくことが好ましい。
(2)先の実施形態では、ガス管Pの一部を拘束治具2により拘束した例を示したが、ガス管Pに生じる振動の挙動は、拘束の有無に関係なくほぼ同じであることが実験により確認されたので、拘束治具2による拘束は必ずしも必要ではない。
また、金属製の管の一例として鋼管からなるガス管Pを例示したが、判定の対象となる管は、特にガス管に限るものではなく、各種の液体や気体が通流する金属製の種々の管に適用可能である。
管内ライニングの判定方法の実施形態を示す一部切欠き側面図 管内ライニングの判定方法の実施形態を示す縦断正面図 80Aの鋼管による実験データ 50Aの鋼管による実験データ
3 振動子
4 FFTアナライザ
5 判定器
6 案内管
7 鋼球
8 衝撃付与機構
P ガス管
エポキシ樹脂製のライニング層

Claims (1)

  1. 金属製の管の内面にエポキシ樹脂製のライニング層が施工されているか否かを判定する管内ライニングの判定方法であって、
    前記管に衝撃を付与して管に振動を発生させ、その管に発生した振動を周波数分析し、振動周波数のうちの前記ライニング層の存在により振動減衰が認められる15kHz〜20kHzの周波数領域におけるスペクトル強度に基づいて、そのスペクトル強度が設定された閾値より大きい場合はライニング層無しとし、設定された閾値より小さい場合はライニング層有りとして、エポキシ樹脂製の前記ライニング層の有無を判定する管内ライニングの判定方法。
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