JP4869511B2 - 粉状体の供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、粉状体を所望の量秤量して供給することができる供給装置に関し、特に、ブレーキライニングやクラッチフェーシング等の摩擦部材の原料としての繊維を含んだ粉末状原料(ここでは「粉状体」ということにする)の供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキライニングやクラッチフェーシング等の摩擦部材の原料は、結合材、繊維材、充填材を混合したものである。結合材としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂が使用され、繊維材としては、アラミド繊維、アクリル繊維等の有機繊維、ロックウールやガラス繊維等の無機繊維、ステンレススチール繊維や銅繊維等の金属繊維が使用され、充填材としてはカシューダスト、タイヤゴム粉末等の有機粉粒体、銅合金、アルミニウム、亜鉛等の金属片や金属粉、或いは黒鉛粉、二硫化モリブデン、三硫化アンチモン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸ジルコニウム、バーミキュライト、マイカ、アルミナ等の無機粉粒体等が使用される。
【0003】
これらの原料は、1μm未満の微粒子から、数mmの粗粒子まであり、繊維は数十μmから数mmの短繊維までと、大きさや長さがまちまちのものが混合されている。また、これらの原料の比重も1.0〜9.0g/cmと極めて広範囲にわたっている。ブレーキライニングやクラッチフェーシングは、これらの混合された原料を一定量だけ秤量し、成型金型に投入して加圧・加熱して成型する。これらの作業は、一連の流れ作業なので、タクトタイムを短縮するため、粉状体の秤量作業には正確性とともに迅速性も要求される。
【0004】
このように性質の異なるものが混合している粉状体を、ほぼ、一定量ずつかつ、迅速に供給する装置として、従来は、スクリューコンベアが用いられていた。しかし、スクリューコンベアは、粉状体を垂直方向にかき混ぜるので、混合物の成分の一部が分離し偏析を起こし易かった。また、スクリューでかき混ぜることで、繊維がダマになったり、破断したりする可能性も大きかった。
【0005】
そこで、実開昭62−108335号に記載された繊維状粉体送り装置が提案された。これは、外周面に螺旋状の溝が形成された一対のローラをハウジング内に圧接するように配置したものである。各ローラは、周縁に一定の間隔で多数の凹部を有するゴム製の円板を、軸方向に多数重ね合わせ、かつ、隣接する凹部を軸まわりに順次ずらせて各円板の凹部により、一連の平行な螺旋溝を形成するようにしている。
【0006】
この送り装置では、螺旋溝のピッチが変わると、粉状体の供給量が増減するので、各ゴム製の円板のずらし量を変更することによって、螺旋溝のピッチを変更することができるようになっている。すなわち、螺旋溝がロールの軸線方向に対して平行に近くなるほど送り量が大となり、逆に螺旋溝がロールの軸線に対して直角に近くなるほど送り量が小となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、粉状体の組成に硬いものがかなりあるのに対し、ローラがゴム製であることから、螺旋溝が摩耗し易く、ローラの寿命が短い。また、積層されたゴムの円板の間に粉体や繊維が挟まり易く、粉体に塊を生じ、正確な秤量が困難になる。一対のローラに形成される螺旋溝の大きさ(溝の単位長さ当たりの容積)が同じなので、供給量の微調整がやりにくい。また、切替や定期保全作業において分解整備後に層状板を一定量ずつずらして組み立てて同一ピッチの螺旋溝を得る作業が難しく、保守作業がやりにくい。等の問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、摩耗に強くて寿命が長く、かつ、供給量の微調整が容易にできる粉状体の供給装置と、粉状体の供給方法とを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の紛状体の供給装置は、上部に入口、下部に出口が形成されたケーシングと、該ケーシング内の入口と出口との中間に、微小な隙間を介して隣接するとともに、中心軸を上下方向にずらして配置され、相互に反対方向に回転して供給された粉状体を相互に離反する方向に送る一対の一体型ローラを有し、各ローラの外周面にそれぞれ異なる大きさの凹状溝が平行に複数本形成され凹状溝の開口形状がローラの長さ方向の中央に頂点のあるV字型を成すように形成されているとともに、各ローラの凹状溝のV字の頂点同士が向き合うように配置され、上記一対のローラの径が相違するとともに、大径のローラの凹状溝の方が大きいことを特徴としている。
【0010】
記一対のローラがポリアセタール樹脂製である構成としたり、上記一対のローラの径が相違する構成としたり、上記一対のローラに形成された凹状溝の容積が、各ローラごとに相違する構成とすることができる。
【0011】
本発明の粉状体の供給方法は、粉状体をケーシングの入口から投入し、ケーシング内に相互に近接配置された一対のローラの各外周面に形成された大きさの異なる複数の平行な凹状溝により搬送してケーシングの出口から供給し、該供給に際して上記一対のローラの回転速度を調整し、かつ、各ローラを独立して回転制御することによって供給する粉状体の量を調整することを特徴としている。
【0012】
【作用】
入口から粉状体を投入すると、粉状体は、一対のローラに形成された凹状溝に入る。凹状溝のあるローラを回転すると、下方の出口側に達した凹状溝から粉状体が出口に向かって落下する。大きい凹状溝からは大きな量の粉状体が供給され、小さい凹状溝からは少量ずつ粉状体が供給される。そこで、両方のローラを同時に回転したり、大きな凹状溝のあるローラだけを回転することで、大まかな量の粉状体を供給し、小さな凹状溝のあるローラを回転させて供給量を調整しながら供給することができる。
【0013】
特に、小さな凹状溝のあるローラを小刻みに回転させると、供給量の微調整が可能となる。また、凹状溝の開口形状ローラの長さ方向の中央に頂点のあるV字型であれば、凹状溝はその一部ずつが下方の出口側に露出されるので、粉状体を小刻みに落下させ、供給量を調整し易くしている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面により説明する。図1は、本発明における粉状体の供給装置100の要部構成を示す断面図である。
【0015】
図1に示すように本発明の粉状体の供給装置100は、上方に入口102aを有し、下方に出口102bが形成されたケーシング102と、このケーシング102に形成された円弧状の凹部102c,102dに近接配置された一対のローラ104,106とからなる。入口102aは、一対のローラ104,106の幅と同じ大きな幅を有するが、出口102bは入口102aよりはかなり小さな幅となっている。入口102a側は、大量の粉状体が供給されるのに対し、出口102bからは、決められた量の紛状体しか通過しないからである。
【0016】
図2は、図1から一対のローラ104,106部分のみを取り出した状態を示す斜視図である。ローラ104はローラ106より直径が大きく、小さいローラ106の方が若干下方に配置されている。さらに、両ローラは接触しておらず、両ローラ104,106間には、微小な隙間がある。
【0017】
ローラ104と106には、共に、複数の凹状溝104a,106aが平行に形成されているが、大径のローラ104の凹状溝104aの方が大きい。すなわち、凹状溝104aの方が凹状溝106aよりも幅が広くて深く、溝の単位長さ当たりの容積が大きい。これは、ローラ104,106が1回転したとき排出する粉状体の量に差を設けるためである。一般的には、ローラ104の凹状溝104aの容積とローラ106の凹状溝106aの容積とに差を設ければよい。差を設ける方法としては、上記のように溝の単位長さ当たりの容積、すなわち、溝の幅や深さを変更する方法の他に、たとえば、ローラ径や溝の間隔を変更する方法等がある。
【0018】
溝の幅と深さの決定の仕方は、一度に送り出す粉状体の量により適当に決めればよい。ただし、溝の幅を狭くして、粉状体に含まれる繊維の長さ以下にすると、粉状体が溝に詰まって出にくくなることがあるので、繊維長より大きくすべきである。
【0019】
ローラ104と106とは、従来はゴム板を積層して形成していたが、本発明の実施例では、ポリアセタール樹脂で一体構成になっている。従来のゴム板の積層構造は、凹状溝を供給量に合わせて所望のピッチに変更できるようにするためであった。しかし、凹状溝の螺旋のピッチのみで供給量を調整するのは繊維のダマやローラ端部の粉状体の詰まり等を生じ易く望ましくない。実際には、最初に凹状溝の形状を設定すれば、後から変更する必要性は少なく、本発明のように一体型のローラとして凹状溝の形状を変更できないようにしても全く問題はない。
【0020】
逆に、本発明のように一体化することで、ローラの製造が容易になり、大幅なコストダウンを図ることができる。また、ローラの素材を自由に選択できるようになる。といった大きなメリットがある。
なお、ローラの素材に関しては、粉状体は、金属繊維や金属片などの硬い素材を含んでいるので、金属に近い固さを有するポリアセタール樹脂が適している。
【0021】
ローラ104と106とは、独立した駆動手段により別々に回転するように構成され、その回転方向は、図示の矢印に示すように相互に反対方向である。また、上述した凹状溝104aと106aとは、図示のようにローラ104と106の長手方向に沿ってV字型であるが、相互に逆向きのV字で、V字の頂点同士が向き合うように配置されている。
【0022】
ケーシング102の上方には、ホッパ110が設けられ、ここに粉状体が投入される。投入された粉状体は、入口102aからケーシング102内に入る。ケーシング102内に進入した粉状体は、ローラ104,106の凹状溝104a,106a内に入り込む。
【0023】
ローラ104,106が図示しない別々の駆動手段により矢印の方向に回転する。駆動手段としては、例えばパルスモータを使用し、各ローラ104,106の回転角を所望の角度だけ正確に回転制御することができる。また、ローラ104,106の回転方向がケーシング102内の空間にある粉状体を上方に持ち上げる方向であり、かつ、粉状体には金属片や各種繊維が含まれているので、これらがローラ104,106の間の微小な隙間を塞ぎ、この隙間から粉状体が下方に落下することを防止している。特に、ローラ104,106が上下にずれて配置されているので、入口102aから出口102b方向を見ても、ローラ104,106間の隙間が見えず、粉状体がこの隙間から落下しにくくなっている。また、ローラ104とローラ106とは接触していないので、接触圧による摩耗が起こらず、ローラの寿命が長くなる。
【0024】
ローラ104と106とが回転すると、凹状溝104a,106aに入っている粉状体は、ケーシング102の凹部102c,102dの部分で擦り切りされ、凹部102c,102dの内壁に沿ってケーシング102の出口102bへと送られる。このとき、凹状溝104a,106aがV字の両端から先に擦り切られ、V字の中央部分が後から擦り切られることになるので、粉状体は、ローラ104,106の両側から中央に向かって寄せられることになり、ローラ104,106の端部とケーシング102との隙間に粉状体が溜まるのを防止できる。
【0025】
凹部102c,102dの下端に達した凹状溝104a,106aからは、溝内に入っていた粉状体が重力で溝から出て下方に落下し、出口102bに達する。出口102bには、図示しない秤量装置があり、ここで、粉状体の重量を正確に調整し、金型内に投下し、プレス機で加圧と加熱をして摩擦材となる。
【0026】
出口102bに供給される粉状体の量を、正確に一定にするために、この実施例の供給装置100では以下のようにして供給している。
【0027】
まず、計量開始時には、両方のローラ104,106を同時にフル回転する。
ローラ104,106の回転により粉状体が秤量装置に供給され始めるが、計量値と目標値までの差が大きい間、たとえば、供給量の80%までは、フル回転を続ける。
【0028】
計量値と目標値との差が小さくなり、予め設定された値(上記80%)に達したら、両方のローラ104,106の回転を下げる。
差がさらに小さな設定値(例えば95%)に達したら、凹状溝104aを有する大きい径のローラ104を停止し、小さい径のローラ106のみで粉状体を送り出す。
【0029】
差がさらに小さい設定値(例えば99%)に達したら、小さい径のローラ106を低速で微小な角度ずつ小刻みに回転・停止を繰り返させ、小さい凹状溝106aから少量ずつ粉状体を送りだし、微調整して目標値に一致させる。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の粉状体の供給装置は、上部に入口、下部に出口が形成されたケーシングと、該ケーシング内の入口と出口との中間に配置された一対の一体型ローラと、各ローラの外周面にそれぞれ異なる大きさで複数本が平行に形成され凹状溝と、を有し、該一対のローラが微小な隙間を介して隣接しているとともに、一対のローラの中心軸が上下方向にずれている構成なので、ローラの寿命が長くなり、かつ、供給量の微調整が容易にできるようになった。
【0031】
上記複数の凹状溝が、ローラの長さ方向のほぼ中央に頂点のあるV字型をしている構成とすれば、ローラの回転によって粉状体をローラの片側に寄せ集めることがなくなる。
【0032】
上記一対のローラがポリアセタール樹脂製である構成とすれば、金属に近い素材のローラを射出成型等によって簡単に成型することができる。上記一対のローラの径が相違したり、一対のローラに形成された凹状溝の容積が、各ローラごとに相違する構成とすることで、粉状体の供給量を細かく制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における粉状体の供給装置の要部構成を示す断面図である。
【図2】図1から一対のローラ部分のみを取り出した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
102 ケーシング
102a 入口
102b 出口
104,106 ローラ
104a,106a 凹状溝
110 ホッパ

Claims (2)

  1. 上部に入口、下部に出口が形成されたケーシングと、該ケーシング内の入口と出口との中間に、微小な隙間を介して隣接するとともに、中心軸を上下方向にずらして配置され、相互に反対方向に回転して供給された粉状体を相互に離反する方向に送る一対の一体型ローラを有し、各ローラの外周面にそれぞれ異なる大きさの凹状溝が平行に複数本形成され凹状溝の開口形状がローラの長さ方向の中央に頂点のあるV字型を成すように形成されているとともに、各ローラの凹状溝のV字の頂点同士が向き合うように配置され、上記一対のローラの径が相違するとともに、大径のローラの凹状溝の方が大きいことを特徴とする粉状体の供給装置。
  2. 上記一対のローラがポリアセタール樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の粉状体の供給装置。
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