次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
本発明のキャリアは、芯材と、芯材を被覆する被覆層とを有し、必要に応じて、その他の層をさらに有してもよい。このとき、被覆層は、結着樹脂、第1の粒子及び第2の粒子を含有し、必要に応じて、その他の成分をさらに含有してもよい。
本発明において、第1の粒子の体積平均粒径D1と、結着樹脂の平均厚さhは、式
1<D1/h<10
を満たし、式
1<D1/h<5
を満たすことが好ましい。第1の粒子が上記の式を満たすと、被覆層において、結着樹脂に比べて第1の粒子の方が凸となる。このため、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌時に、トナーとキャリア又はキャリア同士の摩擦接触による、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和することができ、帯電発生箇所である結着樹脂の膜削れを抑制することが可能となる。また、キャリアの表面に結着樹脂に比べて凸となる第1の粒子が存在するため、キャリア同士の摩擦接触により、キャリアの表面に付着したトナーのスペント成分を効率よく掻き落とすクリーニング効果が生じて、トナースペントを抑制することができる。さらに、キャリアの表面が凹凸形状となっているので、トナーとキャリア又はキャリア同士の接触面積が小さく、流動性が良好な現像剤が得られる。また、キャリアの表面の凹凸形状により、トナーとの接触時に、トナーをしっかりと保持することができるので、表面に凹凸形状の無いキャリアのように、トナーが滑ることによって現像剤中に取り込めないという不具合が少ない。このため、補給されたトナーの現像剤中への取り込み及び帯電の立ち上げを効率的に行うことができる。
D1/hが1以下であると、第1の粒子が結着樹脂中に埋もれるため、上記の効果が著しく低下し、10以上であると、第1の粒子と結着樹脂の接触面積が少ないため、充分な拘束力が得られず、第1の粒子が容易に脱離する。なお、第1の粒子の体積平均粒径D1は、0.05〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmがさらに好ましい。また、結着樹脂の平均厚さhは、0.04〜2μmであることが好ましく、0.04〜1μmがさらに好ましい。
本発明において、結着樹脂の厚さとしては、図1に示すように、芯材の表面3と第1又は第2の粒子2の間に存在する結着樹脂1の厚さhaと、第1又は第2の粒子2間に存在する結着樹脂1の厚さhbと、第1又は第2の粒子2と結着樹脂1の表面の間に存在する結着樹脂1の厚さhcと、芯材の表面3と結着樹脂1の表面の間に存在する結着樹脂1の厚さhdがある。このとき、結着樹脂1の厚さの方向は、芯材の表面3に対して、垂直である。なお、結着樹脂の平均厚さhとは、このような結着樹脂の厚さの平均値を意味する。
結着樹脂の平均厚さhは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察して結着樹脂の厚さを測定することにより得られる。具体的には、キャリアの表面に沿って、0.2μm間隔で、結着樹脂の厚さを少なくとも50個測定し、平均する。即ち、結着樹脂の平均厚さhは、結着樹脂の厚さの測定値の合計を、測定値数で除することにより得られる。なお、測定値数は、ha、hb、hc及びhdをそれぞれ1個とする。例えば、図1の測定点Aでは、hb及びhcが存在するので、測定値数は、2個となる。また、結着樹脂の厚さの測定は、測定値数が50個以上となった測定点で終了する。このため、最後に測定した測定点における測定値数が測定点Aのように、2個以上である場合には、測定値数が50個を超える場合がある。
本発明において、被覆層の平均厚さTは、0.1〜3.0μmであることが好ましく、0.1〜2.0μmがさらに好ましい。被覆層の平均厚さTが0.1μm未満であると、被覆層が薄すぎるため、ランニング経時において、芯材が剥き出しになりやすく、キャリアの耐久性が低下することがある。また、被覆層の平均厚さTが3.0μmを超えると、被覆層が厚すぎるため、キャリアの磁化が下がりやすくなり、キャリア付着が生じることがある。
被覆層の厚さは、図1に示すように、芯材の表面3から被覆層の表面までの長さである。このとき、被覆層の厚さの方向は、芯材の表面3に対して、垂直である。なお、第1又は第2の粒子2が芯材の表面3から被覆層の表面まで存在する場合は、被覆層の厚さは、第1又は第2の粒子2の粒径である。
被覆層の平均厚さTは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察し、被覆層の厚さを、キャリアの表面に沿って、0.2μm間隔で50点測定し、平均することにより得られる。
本発明において、第1の粒子は、体積固有抵抗が1.0×1012Ω・cm以上であることが好ましく、1.0×1012〜1.0×1016Ω・cmがさらに好ましい。体積固有抵抗が1.0×1012Ω・cm未満であると、第1の粒子が芯材の表面から被覆層の表面まで存在することが起こりうるので、ベタ部でのキャリア付着が生じる。
ここで、第1の粒子の体積固有抵抗は、例えば、以下のようにして測定することができる。内径1インチ(2.54cm)の円筒状の塩化ビニル管の中に試料を入れ、その上下を電極で挟む。これら電極間に、プレス機により、15kg/cm2の圧力を1分間加える。この加圧状態で、LCRメータによる測定を行い、抵抗r[Ω]を得る。得られた抵抗rから、式
体積固有抵抗[Ω・cm]=π(2.54/2)2/H×r
を用いて計算して、体積固有抵抗を求めることができる。ただし、Hは、試料の厚さ[cm]を表す。
第1の粒子としては、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子等が挙げられる。中でも、アルミナ粒子は、キャリアの被覆層に用いられる結着樹脂との相性が良く、分散性、接着性の面で優れ、硬度が非常に高いため、好ましい。その結果、現像機内でのストレスに対して、磨耗、割れが生じ難く、長期に亘って、被覆層を保護する効果、スペント物を掻き取る効果を発揮できる。なお、アルミナ粒子は、粒径が5μm以下であることが好ましく、疎水化処理等の表面処理の有無に係らず、用いることができる。また、シリカ粒子としては、トナー用に用いられているもの等を用いることができ、疎水化処理等の表面処理の有無に係らず、用いることができる。
本発明において、被覆層中の第1粒子の含有量は、10〜80重量%であることが好ましく、20〜60重量%がさらに好ましい。第1粒子の含有量が10重量%未満であると、キャリアの表面における結着樹脂の占める割合に比べ、第1の粒子の占める割合が少ないため、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さくなり、十分な耐久性が得られないことがある。一方、第1粒子の含有量が80重量%を超えると、キャリアの表面における結着樹脂の占める割合に比べ、第1の粒子の占める割合が多いため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できないことがある。さらに、結着樹脂の量に比べて、第1の粒子の量が多いので、結着樹脂による第1の粒子の保持能力が不十分となり、第1の粒子が脱離しやすくなり、帯電量、抵抗等の変動量が増えて、十分な耐久性が得られないことがある。
本発明において、第2の粒子の体積平均粒径D2と、結着樹脂の平均厚さhは、式
0.001<D2/h<1
を満たし、式
0.01<D2/h<0.5
を満たすことが好ましい。また、第2の粒子は、体積固有抵抗が1.0×1012Ω・cm以下であり、1.0×1010Ω・cm以下が好ましく、1.0×108Ω・cm以下がさらに好ましい。なお、第2の粒子の体積固有抵抗は、第1の粒子と同様にして測定することができる。
第2の粒子の体積平均粒径D2が、結着樹脂の平均厚さhよりも小さく、体積固有抵抗が1.0×1012Ω・cm以下であることにより、抵抗の低い第2の粒子が芯材の表面から被覆層の表面まで存在することなく、被覆層中に存在することができる。その結果、キャリアの抵抗の大幅な低下を生じさせずに、被覆層の帯電特性を平均的に下げることができ、局所的な低抵抗個所のない被覆層を形成することができる。
D2/hが1以上であると、第2の粒子の体積平均粒径D2が結着樹脂の平均厚さhよりも大きいため、抵抗の低い第2の粒子が芯材の表面から被覆層の表面まで存在することになり、被覆層中に局所的に抵抗の低い個所が生じ、ベタ画像部でのキャリア付着が生じる。また、D2/hが0.001以下であると、被覆層における結着樹脂の平均厚さhに対する第2の粒子の体積平均粒径D2が小さすぎるため、帯電制御機能を発揮しにくくなる。さらに、帯電制御効果を発揮させるために、第2の粒子を多量に添加すると、結着樹脂に対する第2の粒子の割合が大きくなりすぎ、第2の粒子の保持能力が不十分となることがある。なお、第2の粒子の体積平均粒径D2は、0.005〜1μmであることが好ましく、0.01〜0.2μmがさらに好ましい。
第2の粒子としては、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化スズ粒子、表面処理された酸化チタン粒子、表面処理された酸化亜鉛粒子及び表面処理された酸化スズ粒子が挙げられ、二種以上併用してもよい。これらの粒子は、帯電制御効果を十分に発揮できると共に、被覆層に用いられる結着樹脂との相性がよく、分散性、接着性の面でも優れている。また、上記以外の粒子でも、例えば、導電性処理、疎水化処理等の表面処理を施した粒子で、D2/hと体積固有抵抗が上記の範囲であれば、上記と同様の理由で良好な効果を発揮することができる。
本発明において、被覆層中の第2の粒子の含有量は、2〜50重量%であることが好ましく、2〜30重量%がさらに好ましい。基本的には、第2の粒子の含有量が多い程、帯電制御効果が大きくなるが、50重量%を超えると、被覆層における第2の粒子の分散状態が悪化し、第2の粒子の凝集が増えて、実質的に大粒径の粒子と同様の効果を発揮し、キャリア抵抗の低下が生じ、ベタ画像部でのキャリア付着が生じることがある。一方、第2の粒子の含有量が2重量%未満であると、第2の粒子の含有量が少ないため、帯電制御効果を十分に発揮することができなくなることがある。
本発明において、結着樹脂としては、アクリル樹脂とアミノ樹脂を反応させることにより得られる樹脂及びシリコーン樹脂のいずれかであることが好ましい。
アクリル樹脂とアミノ樹脂を反応させることにより得られる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させることにより得られる樹脂が好ましい。
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ガラス転移温度Tgは、20〜100℃であることが好ましく、25〜80℃がさらに好ましい。これにより、アクリル樹脂は、適度な弾性を有し、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌における、トナーとキャリア又はキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への衝撃を伴う接触の際に、衝撃を吸収することができ、被覆層の破損を抑制することが可能となる。ガラス転移温度Tgが20℃未満であると、常温においても結着樹脂がブロッキングするため、保存性が低下し、実用上使用できないことがある。一方、ガラス転移温度Tgが100℃を超えると、結着樹脂が硬く、脆性が高くなり過ぎて衝撃を吸収することができず、その脆さから結着樹脂が削れると共に、粒子を保持することができず、脱離しやすくなることがある。
また、アミノ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グアナミン、メラミンを用いることで、帯電量付与能力を著しく向上させることができる。
シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、KR271、KR255、KR152(以上、信越化学工業社製)、SR2400、SR2406、SR2410(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)等が挙げられる。変性シリコーン樹脂としては、KR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)(以上、信越化学工業社製)、SR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)等が挙げられる。
なお、シリコーン樹脂は、単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量を調整する成分等を同時に用いることも可能である。
結着樹脂としては、必要に応じて、上記以外の樹脂を使用することができ、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンと弗化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体のターポリマー等のフルオロターポリマー等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
被覆層は、例えば、第1の粒子、第2の粒子、結着樹脂等を溶剤に溶解又は分散させて塗布液を調製した後、公知の塗布方法により塗布液を芯材の表面に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等が挙げられる。溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート等が挙げられる。焼付方法としては、特に制限はなく、外部加熱方式及び内部加熱方式のいずれであってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロ波を用いる方法等が挙げられる。
本発明において、芯材は、重量平均粒径Dwが22〜32μmであり、個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比Dw/Dpが式
1.00<Dw/Dp<1.20
を満たし、粒径が20μmより小さい粒子の含有率が0〜7重量%であり、粒径が36μmより小さい粒子の含有率が80〜100重量%であり、粒径が44μmより小さい粒子の含有率が90〜100重量%である。
具体的には、芯材の重量平均粒径Dwは、22〜32μmであり、23〜30μmが好ましい。重量平均粒径Dwが22μmより小さい場合には、キャリア付着が生じやすくなる。一方、重量平均粒径Dwが32μmより大きい場合には、キャリア付着が起こりにくくなるものの、潜像に対してトナーが忠実に現像されにくくなり、高精細な画像が得られなくなる。なお、キャリア付着は、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する現象を意味し、印加される電界が強い程、キャリア付着が発生しやすくなる。なお、画像部は、トナーが現像されることにより電界が弱められるため、地肌部に比べ、キャリア付着が起こりにくい。また、キャリア付着は、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となる等の不都合を生じるので、好ましくない。
さらに、芯材は、粒径が20μmより小さい粒子の含有率が7重量%以下であり、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がさらに好ましい。粒径が20μmより小さい粒子の含有率が7重量%を超えると、磁気ブラシの至るところに磁化の低い粒子が存在することになるので、キャリア付着が急激に悪化する。また、芯材は、粒径が36μmより小さい粒子の含有率が80重量%以上であり、90重量%以上が好ましい。さらに、芯材は、粒径が44μmより小さい粒子の含有率が90重量%以上であり、98重量%以上が好ましい。このように粒径分布がシャープな芯材は、磁化のばらつきが小さく、キャリア付着を大幅に改善することができる。
本発明において、重量平均粒径Dwは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものである。この場合の重量平均粒径Dwは、式
Dw={Σ(nD4)}/{Σ(nD3)}
D:各チャネルに存在する粒子の代表粒径[μm]
n:各チャネルに存在する粒子の総数
で表される。なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を等分に分割するための長さを示すものであり、本発明の場合には、2μmである。また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒径の下限値が採用されている。
また、個数平均粒径Dpは、個数基準で測定された粒子の粒径分布に基づいて算出されたものである。この場合の個数平均粒径Dpは、式
Dp={Σ(nD)}/(Σn)
で表される。なお、Dw及びDpは、マイクロトラック粒度分析計モデルHRA9320−X100(Honewell社製)を用いて測定することができる。その測定条件は、以下の通りである。
[1]粒径範囲:8〜100μm
[2]チャネル長さ(チャネル幅):2μm
[3]チャネル数:46
[4]屈折率:2.42
本発明において、キャリアの磁気束縛力に関係する芯材の磁化は、1000エルステッド(Oe)の磁場を印加した場合に、70〜150emu/gであることが好ましい。これにより、キャリア付着を改善することができる。なお、磁化の測定方法を以下に示す。B−HトレーサーBHU−60(理研電子社製)を使用し、円筒のセルに芯材1.0gを詰めて装置にセットする。磁場を徐々に大きくして3000エルステッドまで変化させ、次に、徐々に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくして3000エルステッドとする。さらに、磁場を徐々に小さくして零にした後、最初と同じ方向に磁場を印加する。このようにして、BHカーブを図示して、1000エルステッドの磁化を算出する。
1000エルステッドの磁場を印加した場合に磁化が70〜150emu/gとなる芯材としては、特に限定されないが、例えば、鉄系、マグネタイト系、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライト、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト等が挙げられる。なお、フェライトとは、一般式
(MO)x(NO)y(Fe2O3)z
で表わされる焼結体である。M及びNとしては、それぞれNi、Cu、Zn、Li2、Mg、Mn、Sr、Ca等が挙げられ、2価の金属酸化物と3価の鉄酸化物との完全混合物から構成されている。なお、x、y及びzは、モル組成比である。
なお、本発明のキャリアは、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電潜像の現像に用いることができる。
本発明の現像剤は、本発明のキャリアと、トナーを含有する。現像剤中のトナーの含有量は、キャリアに対して、1〜12重量%であることが好ましい。
本発明の現像剤は、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に用いることができ、後述する本発明の現像剤入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に用いることができる。
トナーは、結着樹脂及び着色剤を含有し、必要に応じて、離型剤、帯電制御剤、無機粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸等の成分をさらに含有してもよい。
トナーに用いられる結着樹脂は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−スチレン)、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単独重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合隊、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸ブチル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
着色剤は、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。なお、トナー中の着色剤の含有量は、1〜15重量%であることが好ましく、3〜10重量%がさらに好ましい。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。樹脂は、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸ブチル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
離型剤は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワックス類等が挙げられる。ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン等が挙げられる。ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらのカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックス等が挙げられる。
離型剤の融点は、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃であることが好ましく、50〜120℃がさらに好ましく、60〜90℃が特に好ましい。融点が40℃未満であると、離型剤が耐熱保存性に悪影響を及ぼすことがあり、160℃を超えると、低温定着時にコールドオフセットを起こしやすくなることがある。
離型剤の溶融粘度は、離型剤の融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsであることが好ましく、10〜100cpsがさらに好ましい。溶融粘度が5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性を向上させる効果が得られなくなることがある。
トナー中の離型剤の含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜40重量%であることが好ましく、3〜30重量%がさらに好ましい。離型剤の含有量が40重量%を超えると、トナーの流動性が低下することがある。
帯電制御剤としては、特に制限はなく、感光体に帯電される電荷の正負に応じて正又は負の帯電制御剤を適宜選択して用いることができる。
負の帯電制御剤としては、例えば、電子供与性の官能基を持つ樹脂又は化合物、アゾ染料、有機酸の金属錯体等を用いることができる。具体的には、ボントロンS−31、S−32、S−34、S−36、S−37、S−39、S−40、S−44、E−81、E−82、E−84、E−86、E−88、A、1−A、2−A、3−A(以上、オリエント化学工業社製)、カヤチャージN−1、N−2、カヤセットブラックT−2、004(以上、日本化薬社製)、アイゼンスピロンブラックT−37、T−77、T−95、TRH、TNS−2(以上、保土谷化学工業社製)、FCA−1001−N、FCA−1001−NB、FCA−1001−NZ(以上、藤倉化成社製)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
正の帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料等の塩基性化合物、4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物、高級脂肪酸の金属塩等を用いることができる。具体的には、ボントロンN−01、N−02、N−03、N−04、N−05、N−07、N−09、N−10、N−11、N−13、P−51、P−52、AFP−B(以上、オリエント化学工業社製)、TP−302、TP−415、TP−4040(以上、保土谷化学工業社製)、コピーブルーPR、コピーチャージPX−VP−435、NX−VP−434(以上、ヘキスト社製)、FCA201、201−B−1、201−B−2、201−B−3、201−PB、201−PZ、301(以上、藤倉化成社製)、PLZ1001、2001、6001、7001(以上、四国化成工業社製)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
帯電制御剤の添加量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂に対して、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.2〜5重量%がさらに好ましい。添加量が10重量%を超えると、トナーの帯電性が大きすぎて、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性が低下したり、画像濃度が低下したりすることがある。また、添加量が0.1重量%未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー像に影響を及ぼすことがある。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、炭酸カルシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、リン酸カルシウム粒子等が挙げられ、シリコーンオイル、ヘキサメチルジシラザン等で疎水化処理されたシリカ粒子や、特定の表面処理を施した酸化チタン粒子が好ましい。
シリカ粒子としては、例えば、アエロジル130、200V、200CF、300、300CF、380、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84、RX200、RY200、R972、R974、R976、R805、R811、R812、T805、R202、VT222、RX170、RXC、RA200、RA200H、RA200HS、RM50、RY200、REA200(以上、日本アエロジル社製)、HDK(H20、H2000、H3004、H2000/4、H2050EP、H2015EP、H3050EP、KHD50)、HVK2150(以上、ワッカーケミカル社製)、カボジルL−90、LM−130、LM−150、M−5、PTG、MS−55、H−5、HS−5、EH−5、LM−150D、M−7D、MS−75D、TS−720、TS−610、TS−530(以上、キャボット社製)等を用いることができる。
無機粒子は、トナーの母体粒子に対して、0.1〜5.0重量%外添することが好ましく、0.8〜3.2重量%がさらに好ましい。
トナーの製造方法は、目的に応じて適宜選択することができ、粉砕法、水系媒体中で油相を乳化、懸濁又は凝集させてトナー母体粒子を形成する懸濁重合法、乳化重合法、ポリマー懸濁法等が挙げられる。
粉砕法は、例えば、トナーの材料を溶融混練したものを、粉砕、分級等することにより、トナーの母体粒子を得る方法である。
溶融混練では、トナーの材料を混合した混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、例えば、一軸、二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。具体的には、KTK型二軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型押出機(東芝機械社製)、二軸押出機(ケイシーケイ社製)、PCM型二軸押出機(池貝鉄工所社製)、コニーダー(ブス社製)等を用いることができる。なお、溶融混練は、結着樹脂の分子鎖を切断しないような条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、軟化点より高すぎると分子鎖の切断が激しくなることがあり、低すぎると分散が進まないことがある。
粉砕では、溶融混練で得られた混練物を粉砕する。具体的には、混練物を粗粉砕した後に、微粉砕することが好ましい。この際、ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕する方式、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕する方式、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式を用いることが好ましい。
分級では、粉砕で得られた粉砕物を分級して所定の粒径に調整する。具体的には、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
さらに、粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力等により気流中で分級することにより、所定の粒径のトナーの母体粒子が得られる。
また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナーの母体粒子に上記の無機粒子を添加混合してもよい。無機粒子の混合には、一般の粉体の混合機が用いられるが、ジャケット等を装備して、内部温度を調節できることが好ましい。なお、無機粒子に与える負荷の履歴を変えるためには、混合の途中又は漸次無機粒子を添加すればよい。また、混合機の回転数、転動速度、時間、温度等を変化させてもよい。また、初めに強い負荷を与えた後に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。最後に、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去し、トナーが得られる。
トナーの色は、目的に応じて適宜選択することができるが、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーの一種以上とすることができ、各色のトナーは、着色剤の種類を適宜選択することにより得られるが、カラートナーが好ましい。
本発明の現像剤入り容器は、本発明の現像剤が容器中に収容されている。容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、容器本体とキャップを有するもの等が挙げられる。容器本体は、大きさ、形状、構造、材質等について、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。容器本体の形状としては、円筒状等が挙げられ、構造としては、内周面にスパイラル状の凹凸が形成されていることが好ましい。このような容器は、回転させることにより、内容物である現像剤を排出口側に移行させることが可能である。このとき、スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有していることが特に好ましい。容器本体の材質としては、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂が挙げられる。
本発明の現像剤入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述する本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けて現像剤の補給に使用することができる。
ここで、図2に、本発明の現像剤入り容器を搭載した現像装置の一例を示す。図2に示す現像装置は、画像形成装置内に装着することができ、現像装置501に補給される本発明の現像剤を充填した現像剤入り容器502は、現像剤送流手段503及び接続部材504により現像装置501に接続されている。なお、現像装置501は、攪拌スクリュー505、攪拌スクリュー506、現像ローラ507、現像ハウジング508及びドクターブレード509を有する。
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、本発明の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段を少なくとも有し、必要に応じて、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等をさらに有してもよい。
現像手段は、本発明の現像剤入り容器と、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体を少なくとも有することが好ましく、現像剤担持体に担持させる現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材等をさらに有していてもよい。
図3に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。図3に示すプロセスカートリッジは、感光体101を内蔵し、帯電装置102、現像装置104、クリーニング装置105及び転写装置106を有する。なお、図2において、103は、露光装置による露光を表す。感光体101としては、後述する画像形成装置と同様のものを用いることができる。また、帯電装置102としては、任意の帯電部材が用いられる。さらに、露光装置としては、高解像度で書き込みを行うことができる光源が用いられる。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置、ファクシミリ、プリンターに着脱自在に備えさせることができ、後述する本発明の画像形成装置に着脱自在に備えさせることが好ましい。具体的には、感光体、現像装置、クリーニング装置等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを画像形成装置本体に着脱自在に構成してもよい。また、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置及びクリーニング装置の少なくとも一つを感光体と共に一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、画像形成装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、画像形成装置本体のレール等の案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段を少なくとも有し、必要に応じて、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等をさらに有してもよい。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも有し、必要に応じて、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等をさらに有してもよい。なお、本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置を用いて実施することができ、静電潜像形成工程は、静電潜像形成手段により行うことができ、現像工程は、現像手段により行うことができ、転写工程は、転写手段により行うことができ、定着工程は、定着手段により行うことができ、これら以外の工程についても同様である。
静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
静電潜像担持体としては、材質、形状、構造、大きさ等について、特に制限はなく、公知の感光体の中から適宜選択することができる。感光体としては、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体等が挙げられ、ドラム状の感光体が好ましい。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
静電潜像の形成は、例えば、感光体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。静電潜像形成手段は、例えば、感光体の表面を一様に帯電させる帯電装置と、感光体の表面を像様に露光する露光装置を少なくとも備える。
帯電は、例えば、帯電装置を用いて感光体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。帯電装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電装置、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電装置等が挙げられる。
露光は、例えば、露光装置を用いて感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。露光装置としては、帯電装置により帯電された感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光装置が挙げられる。なお、本発明においては、感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
現像工程は、静電潜像を、本発明の現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。可視像の形成は、例えば、静電潜像を本発明の現像剤を用いて現像することにより行うことができ、現像手段により行うことができる。現像手段は、例えば、本発明の現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の現像剤を収容し、静電潜像に現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像装置を少なくとも有するものが挙げられ、本発明の現像剤入り容器をさらに有することが好ましい。
現像装置は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像装置であってもよいし、多色用現像装置であってもよく、例えば、現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラを有するもの等が挙げられる。現像装置内では、例えば、トナーとキャリアが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、感光体の近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって感光体の表面に移動する。その結果、静電潜像が現像剤により現像されて感光体の表面に現像剤による可視像が形成される。
転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、可視像を記録媒体上に二次転写することが好ましい。このとき、現像剤として、二色以上、好ましくは、フルカラーの現像剤を用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する一次転写工程と、複合転写像を記録媒体上に転写する二次転写工程を有することがさらに好ましい。
転写は、例えば、転写(帯電)装置を用いて、感光体上の可視像を帯電することにより行うことができ、転写手段により行うことができる。転写手段は、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する一次転写手段と、複合転写像を記録媒体上に転写する二次転写手段を有することが好ましい。なお、中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が挙げられる。
転写手段(一次転写手段及び二次転写手段)は、感光体上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる転写(帯電)装置を少なくとも有することが好ましい。なお、転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。転写(帯電)装置としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、等が挙げられる。
なお、記録媒体としては、通常、普通紙が用いられるが、現像後の可視像を転写可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
定着工程は、定着手段を用いて、記録媒体に転写された可視像を定着させる工程であり、各色の現像剤を記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤を積層した状態で一度に同時に行ってもよい。定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧装置が好適である。加熱加圧装置としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ等が挙げられる。なお、加熱加圧装置における加熱温度は、通常、80〜200℃である。なお、本発明においては、目的に応じて、定着手段として、加熱加圧装置と共に又は加熱加圧装置に代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
除電工程は、感光体に除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により行うことができる。除電手段としては、特に制限はなく、感光体に除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電装置の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が挙げられる。
クリーニング工程は、感光体上に残留する現像剤を除去する工程であり、クリーニング手段により行うことができる。クリーニング手段としては、特に制限はなく、感光体上に残留するトナーを除去することができればよく、公知のクリーニング装置の中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が挙げられる。
リサイクル工程は、クリーニング工程で除去したトナーを現像手段でリサイクルする工程であり、リサイクル手段により行うことができる。リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送装置等が挙げられる。
制御工程は、各工程を制御する工程であり、制御手段により行うことができる。制御手段としては、各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
図4に、本発明の画像形成装置の一例を示す。図4に示す画像形成装置は、静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下、感光体10という)と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置30と、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有するクリーニング手段としてのクリーニング装置60と、除電手段としての除電ランプ70を備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、記録媒体としての転写紙95に現像像(トナー像)を転写するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加可能な転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50の接触部と、中間転写体50と転写紙95の接触部の間に配置されている。
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42K、現像剤供給ローラ43K及び現像ローラ44Kを備えており、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cも同様である。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
図4に示す画像形成装置において、例えば、帯電ローラ20が感光体10を一様に帯電させる。次に、露光装置30が感光体10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。さらに、感光体10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。このような可視像(トナー像)は、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、さらに転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は、除電ランプ70により一旦、除去される。
図5に、本発明の画像形成装置の他の例を示す。図5に示す画像形成装置は、現像ベルト41を備えずに、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが感光体10の周囲に直接対向して配置されていること以外は、図4に示す画像形成装置と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図5においては、図4と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図6に、本発明の画像形成装置の他の例を示す。図6に示す画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400を備えている。
複写装置本体150には、無端ベルトの中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、ローラ14、15及び16に張架され、図6中、時計回りに回転可能とされている。ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14とローラ15により張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成ユニット18が対向して並置されたタンデム型画像形成部120が配置されている。タンデム型画像形成部120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型画像形成部120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50は、互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には、定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27を備えている。
なお、図6に示す画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、図6に示す画像形成装置を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上に移動した後に、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されて原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、画像形成ユニット18(ブラック画像形成ユニット、イエロー画像形成ユニット、マゼンタ画像形成ユニット及びシアン画像形成ユニット)にそれぞれ伝達され、各画像形成ユニットにおいて、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー像が形成される。各画像形成ユニット18は、図7に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、感光体10を一様に帯電させる帯電ローラ20と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に感光体10を露光(図7中、L)し、感光体10上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置21と、静電潜像を各カラー現像剤(ブラック現像剤、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤)を用いて現像してトナー像を形成する現像装置61と、トナー像を中間転写体50上に転写させるための転写(帯電)装置62と、クリーニング装置63と、除電装置64を備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成されたブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像は、ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に、ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ59を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には、接地されて使用されるが、シート(記録紙)の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22の間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により合成カラー画像(カラー転写像)をシート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、シート(記録紙)上にカラー画像が形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成されたシート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより合成カラー画像(カラー転写像)がシート(記録紙)上に定着される。その後、シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされるか、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
本発明の画像形成装置及び画像形成方法では、耐久性に優れ、帯電制御性が良好であり、経時でのベタ画像部へのキャリア付着及び色汚れの発生を抑制し、精細な画像を長期間に亘って形成することが可能なキャリアを含有する現像剤を用いているので、鮮明な高画質画像を形成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、部は、重量部を意味する。
(実施例1)
50重量%アクリル樹脂溶液1500部、70重量%グアナミン溶液450部、40重量%酸性触媒9部、体積平均粒径D1が0.35μm、体積固有抵抗が1.0×1014Ω・cmのアルミナ粒子1500部、体積平均粒径D2が0.015μm、体積固有抵抗が1.0×106Ω・cmの酸化チタン粒子500部及びトルエン6000部をホモミキサーで10分間分散して、被覆層塗布液を調製した。
次に、芯材として、重量平均粒径Dwが27μm、重量平均粒径Dwと個数平均粒径Dpの比Dw/Dpが1.14、粒径が20μmより小さい粒子の含有率が6.3重量%、粒径が36μmより小さい粒子の含有率が86重量%、粒径が44μmより小さい粒子の含有率が92重量%、1000エルステッドの磁界を印加した時の磁化が72emu/gの焼成フェライト粉を用い、スピラコーター(岡田精工社製)を用いて、コーター内温度40℃で被覆層塗布液を芯材の表面に塗布し、乾燥した。さらに、電気炉中に放置して、180℃で1時間焼成した。冷却後、目開き45μmの篩を用いて解砕して、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
被覆層における結着樹脂の平均厚さhは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察し、キャリアの表面に沿って0.2μm間隔で結着樹脂の厚さを50点測定し、得られた測定値を平均して求めた。
被覆層の平均厚さTは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察し、キャリアの表面に沿って0.2μm間隔で被覆層の厚さを50点測定し、得られた測定値を平均して求めた。
(実施例2)
被覆層塗布液の組成を、50重量%アクリル樹脂溶液700部、70重量%グアナミン溶液200部、40重量%酸性触媒4部、20重量%シリコーン樹脂溶液3000部、アミノシラン4部、体積平均粒径D1が0.35μm、体積固有抵抗が1.0×1014Ω・cmのアルミナ粒子1500部、体積平均粒径D2が0.015μm、体積固有抵抗が1.0×106Ω・cmの酸化チタン粒子500部及びトルエン6000部に変更した以外は、実施例1と同様にして、キャリア2を作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例3)
芯材として、重量平均粒径Dwが32μm、重量平均粒径Dwと個数平均粒径Dpの比Dw/Dpが1.16、粒径が20μmより小さい粒子の含有率が0.3重量%、粒径が36μmより小さい粒子の含有率が80重量%、粒径が44μmより小さい粒子の含有率が90重量%、1000エルステッドの磁界を印加した時の磁化が72emu/gの焼成フェライト粉を用いた以外は、実施例2と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例4)
芯材として、重量平均粒径Dwが28μm、重量平均粒径Dwと個数平均粒径Dpの比Dw/Dpが1.15、粒径が20μmより小さい粒子の含有率が2.8重量%、粒径が36μmより小さい粒子の含有率が91重量%、粒径が44μmより小さい粒子の含有率が98重量%、1000エルステッドの磁界を印加した時の磁化が72emu/gの焼成フェライト粉を用いた以外は、実施例2と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例5)
芯材として、重量平均粒径Dwが27μm、重量平均粒径Dwと個数平均粒径Dpの比Dw/Dpが1.14、粒径が20μmより小さい粒子の含有率が4.7重量%、粒径が36μmより小さい粒子の含有率が89重量%、粒径が44μmより小さい粒子の含有率が97重量%、1000エルステッドの磁界を印加した時の磁化が87emu/gの焼成フェライト粉を用いた以外は、実施例2と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例6)
芯材として、重量平均粒径Dwが27μm、重量平均粒径Dwと個数平均粒径Dpの比Dw/Dpが1.14、粒径が20μmより小さい粒子の含有率が4.8重量%、粒径が36μmより小さい粒子の含有率が88重量%、粒径が44μmより小さい粒子の含有率が96重量%、1000エルステッドの磁界を印加した時の磁化が120emu/gの焼成フェライト粉を用いた以外は、実施例2と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例7)
第2の粒子を体積平均粒径D2が0.02μm、体積固有抵抗が1.0×107Ω・cmの酸化亜鉛粒子に変更した以外は、実施例5と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化亜鉛)の含有量が16重量%、D2/hが0.13であった。
(実施例8)
第2の粒子を体積平均粒径D2が0.02μm、体積固有抵抗が1.0×105Ω・cmの酸化スズ粒子に変更した以外は、実施例5と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化スズ)の含有量が16重量%、D2/hが0.13であった。
(実施例9)
第2の粒子(酸化チタン)の添加量を3000部に変更した以外は、実施例5と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.18μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が27重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が54重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例10)
第1の粒子(アルミナ)の添加量を10000部に変更した以外は、実施例5と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.23μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が86重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が4.3重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例11)
被覆層の平均厚さTが2倍になるように被覆層塗布液の塗布量を変更した以外は、実施例5と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.4μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例12)
被覆層の平均厚さTが0.4倍になるように被覆層塗布液の塗布量を変更した以外は、実施例5と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.08μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
実施例5において、被覆層厚が0.4倍になるようにコーティング量を変更した以外は、実施例5と同様にして、「キャリア12」を作製した。
(実施例13)
被覆層の平均厚さTが16倍になるように被覆層塗布液の塗布量を変更した以外は、実施例5と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが3.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例14)
第1の粒子を体積平均粒径D1が0.35μm、体積固有抵抗が1.0×1011Ω・cmのアルミナ粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例15)
第1の粒子を体積平均粒径D1が0.35μm、体積固有抵抗が1.0×1014Ω・cmのシリカ粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(シリカ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例16)
第2の粒子を体積平均粒径D2が0.02μm、体積固有抵抗が1.0×107Ω・cmの酸化亜鉛粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.13であった。
(実施例17)
第2の粒子(酸化チタン)の添加量を7200部に変更した以外は、実施例2と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.18μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が15重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が74重量%、D2/hが0.10であった。
(実施例18)
第1の粒子(アルミナ)の添加量を13600部に変更した以外は、実施例2と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.23μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が90重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が4.3重量%、D2/hが0.10であった。
(比較例1)
第1の粒子(アルミナ)の体積平均粒径D1を0.1μmに変更した以外は、実施例2と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.22μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが0.7、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(比較例2)
芯材として、重量平均粒径Dwが20μm、重量平均粒径Dwと個数平均粒径Dpの比Dw/Dpが1.14、粒径が20μmより小さい粒子の含有率が58重量%、粒径が36μmより小さい粒子の含有率が93重量%、粒径が44μmより小さい粒子の含有率が98重量%、1000エルステッドの磁界を印加した時の磁化が70emu/gの焼成フェライト粉を用いた以外は、実施例2と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(比較例3)
芯材として、重量平均粒径Dwが20μm、重量平均粒径Dwと個数平均粒径Dpの比Dw/Dpが1.14、粒径が20μmより小さい粒子の含有率が58重量%、粒径が36μmより小さい粒子の含有率が93重量%、粒径が44μmより小さい粒子の含有率が98重量%、1000エルステッドの磁界を印加した時の磁化が80emu/gの焼成フェライト粉を用いた以外は、実施例2と同様にして、キャリアを作製した。
得られたキャリアは、被覆層における結着樹脂の平均厚さhが0.15μm、被覆層の平均厚さTが0.2μm、被覆層中の第1の粒子(アルミナ)の含有量が48重量%、D1/hが2.3、被覆層中の第2の粒子(酸化チタン)の含有量が16重量%、D2/hが0.10であった。
(評価方法及び評価結果)
ポリエステル樹脂100部、カルナウバワックス6部、E−84(オリエント化学工業社製)1.5部及び6部のC.I.PY155をヘンシェルミキサーで混合し、2本ロールを用いて、120℃で40分間溶融混練した。冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、エアージェット粉砕機で微粉砕し、得られた微粉末を分級して重量平均粒径が5μmのトナーの母体粒子を作製した。
次に、得られたトナーの母体粒子100部に対して、表面を疎水化処理したシリカ1部、表面を疎水化処理した酸化チタン1部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、イエロートナーを作製した。
次に、得られたイエロートナー17部と、キャリア93部を混合攪拌し、トナー濃度が7重量%の現像剤を作製した。
得られたキャリア、トナー又は現像剤について、以下のようにして、帯電量、体積固有抵抗、画像の精細性、耐久性(帯電低下量及び抵抗変化量)、ベタ画像キャリア付着を評価した。
帯電量については、キャリア93重量%に対して、トナー7重量%の割合で混合し、摩擦帯電させたサンプルを、ブローオフ装置TB−200(東芝ケミカル社製)]を用いて測定した。
体積固有抵抗については、キャリアを抵抗計測平行電極の電極間(ギャップ2mm)に投入し、DC1000Vを印加し、30秒後にハイレジスト計で計測した抵抗値から算出した。
画像の精細性については、文字画像部の再現性によって評価した。評価方法は、デジタルフルカラープリンターimagio Neo C455(リコー社製)の改造機に現像剤をセットし、画像面積5%の文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力することにより評価した。なお、画像の文字再現性が非常に良好である場合を◎、良好である場合を○、許容できる場合を△、実用上使用できないレベルである場合を×として判定し、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
地肌部のキャリア付着については、デジタルフルカラープリンターimagio Neo C455(リコー社製)の改造機に現像剤をセットし、地肌ポテンシャルを150Vに固定し、画像面積1%のA3文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力することにより評価した。なお、地肌部のキャリア付着の発生個数が0個である場合を◎、1〜5個である場合を○、6〜10個である場合を△、11個以上である場合を×として判定し、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
耐久性(帯電低下量及び抵抗変化量)については、デジタルフルカラープリンターimagio Neo C455(リコー社製)の改造機に現像剤をセットし、単色による10万枚のランニングを行うことにより評価した。
帯電低下量とは、初期のキャリア95重量%に対して、トナー5重量%の割合で混合し、摩擦帯電させたサンプルをブローオフ装置TB−200(東芝ケミカル社製)で測定した帯電量Q1と、ランニング後の現像剤中のトナーをブローオフ装置で除去することにより得たキャリアを、上記と同様の方法で測定した帯電量Q2の差Q1−Q2を意味する。目標値は、Q1−Q2が10.0μC/g以下である。なお、帯電量が低下する原因は、キャリアの表面へのトナーのスペントであるため、トナーのスペントを減らすことで、帯電低下量を小さくすることができる。
抵抗変化量とは、初期のキャリアを抵抗計測平行電極の電極間(ギャップ2mm)に投入し、DC1000Vを印加して、30秒後にハイレジスト計で計測した抵抗値から算出した体積固有抵抗R1と、ランニング後の現像剤中のトナーをブローオフ装置で除去することにより得たキャリアを、上記と同様の方法で算出した体積固有抵抗R2の差R1−R2を意味する。目標値は、Log(R1−R2)の絶対値が3.0[Log(Ω・cm)]以下である。なお、抵抗値が変化する原因は、キャリアの被覆層の削れ、トナー成分のスペント、キャリアの被覆層中の粒子の脱離等であるため、これらを減らすことで、抵抗変化量を小さくすることができる。
ベタ画像のキャリア付着については、耐久性を評価した後、デジタルフルカラープリンターimagio Neo C455(リコー社製)の改造機を用いて、地肌ポテンシャルを150Vに固定し、A3サイズ用紙に全面ベタ画像を現像し、ルーペで観察することにより評価した。画像上の白抜け個所の個数及び実際に付着しているキャリアの個数の総数が0個である場合を◎、1〜5個である場合を○、6〜10個である場合を△、11個以上である場合を×として判定し、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
連続出力時のベタ画像の均一性については、デジタルフルカラープリンターimagio Neo C455(リコー社製)の改造機に現像剤をセットし、地肌ポテンシャルを150Vに固定し、A3サイズ用紙に全面ベタ画像を連続で20枚現像することにより評価した。なお、20枚目の画像の均一性が非常に良好である場合を◎、良好である場合を○、許容できる場合を△、実用上使用できないレベルである場合を×として判定し、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
以上の評価結果を表1に示す。
表1より、本実施例のキャリアは、トナースペントが発生しにくいため、安定した帯電量を長期に亘って得られると共に、結着樹脂の削れが発生しにくいため、安定した電気抵抗が長期に亘って得られることがわかる。さらに、ランニング経時でのベタ画像上のキャリア付着の発生が非常に少ないので、現像剤量の減少による画像の悪化及び耐久性の悪化を抑制することができる。また、高精細な画像を得ることができ、地肌部のキャリア付着が良好である。さらに、補給トナーの現像剤中への混ざり及び帯電の立ち上がりが良く、トナー濃度の変動に対する帯電安定性が良好であるため、ベタ画像の連続出力における画像均一性が良好である。また、色汚れの原因となるカーボンブラックを含有しないため、色汚れの影響が出るカラー用のキャリアとして非常に良好な性質を有する。したがって、コピー枚数が増加するに連れ、発生する複写画像の画質劣化が大幅に改善され、長期に亘って良好な画像を維持することができる。