JP4866078B2 - 輸液ポンプおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蠕動運動方式(リニアペリスタルティック方式)を採用した輸液ポンプおよびその製造方法に関する。
医療分野において、輸液チューブによる薬液の注入や自動点滴などの用途に蠕動運動方式(リニアペリスタルティック方式)などの輸液ポンプが従来より用いられている。
この方式の輸液ポンプは、輸液チューブをプレッシャープレートとの間で挟持する輸液作動部を備え、偏心位置をずらして同軸に複数並設された円板カムを所定の角速度で回転させることにより、該円板カムの外周面に接触しガイド部間に並設されたフィンガープレートが上記輸液チューブと上記プレッシャープレートとの間で順次押圧閉塞するように動作し、チューブ内に充填された輸液を一定方向へ送液している。点滴などに使用されるこの種の輸液ポンプは、所持者が携帯しながら移動する場合もあり、そのサイズの小型化および軽量化、また電池駆動などを可能とするため省電力などが図られている。
従来、小型・軽量化に対応できるとともに、フィンガープレート、円板カム、ガイド部などの摺動面における摺動性に優れる輸液ポンプとして、円板カム、フィンガープレートおよびガイド部が樹脂成形体からなり、その相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体である輸液ポンプが知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記従来の輸液ポンプにおける円板カムは、複数の円板カムが偏心して連結された形状の円板カムユニットとして、樹脂組成物を一体成形して製造するため、円板カムの軸方向外周面に金型割り線(PL痕)が発生し、このPL痕がフィンガープレートとの摺動抵抗を悪化させる要因となっている。軸方向外周面のPL痕は複雑な凹凸を有しているため、機械加工での除去作業は困難であり、手作業に頼らざるを得ないものの、手作業でも満足できる程度にPL痕を除去することが困難であるという問題がある。
また、この対策として円板カムをユニットの一体成形ではなく個々に作製して組み立てようとすると、輸液流量を平準化する必要から、角度を均等にずらして同軸に組付けなくてはならないために作業効率が悪いという問題がある。
特開2004−81737号公報
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、蠕動運動式の輸液ポンプにおいて、フィンガープレート、円板カム、ガイド部などの摺動面における摺動性に優れ、低トルク・省電力の駆動モータで動作する小型軽量で安価な輸液ポンプ、および、作業性に優れる該輸液ポンプの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の輸液ポンプは、軸受で支持された回転軸に固定される複数の円板カムと、この円板カムの外周面に接触し該円板カムの偏心回転に伴い進退移動する複数のフィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持するガイド部とを備えてなる蠕動運動方式の輸液ポンプであって、上記複数の円板カムは、それぞれが一方の軸方向側面をパーティングラインに設定して射出成形された成形体であり、それぞれが偏心位置に貫通孔をし、該貫通孔を通して円板カムの上死点面が回転軸の回転方向に順次移動して一周するように上記回転軸に組み付けられ連結されてなることを特徴とする。
ここで、本発明における上死点面とは、偏心した円板カムの貫通孔軸心から最も距離が遠い位置にある外径面を意味する。なお、円板カムの外径面において、貫通孔軸心から最も距離が遠い位置は厳密には面ではなく線であるが、本発明では、該線の部分を含む微小範囲の外形面を上記の上死点面とする。
円板カムの上死点面が回転軸の回転方向に順次移動して一周するように上記回転軸に組み付けられ連結されることにより、これらの円板カムからなる円板カムユニットの軸方向断面が(360度/円板カムの数)の位相差の正弦波形となる。
上記回転軸の少なくとも円板カムを固定する部位が角柱形状であり、上記円板カムは、円板カムAと、該円板カムAの貫通孔に対して360度を円板カムの個数で均等割りした角度を偏角させた貫通孔を有する円板カムBの2種類であり、上記円板カムAと円板カムBとは、交互に上記回転軸に組み付けられるとともに、各円板カムは360度を円板カムの個数で均等割りした角度ずつ同一方向に偏角して相互に連結されることを特徴とする。
上記円板カムは、一方の軸方向側面に凸部を、他方の軸方向側面に凹部をそれぞれ有し、円板カムAの凸部が隣り合う円板カムBの凹部に、円板カムBの凸部が隣り合う円板カムAの凹部にそれぞれ嵌合されて、円板カムAと円板カムBとが交互に連結されていることを特徴とする。
また、上記円板カムAの凸部および凹部が、表裏同じ位置に形成されており、上記円板カムBの凸部および凹部は、上記貫通孔の軸心と上死点面を通る中心線を対象にして60度ずれた位置に形成されていることを特徴とする。
上記円板カム、上記フィンガープレートおよび上記ガイド部は、その相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であることを特徴とする。
本発明の輸液ポンプの製造方法は、軸受で支持された回転軸に固定される複数の円板カムと、この円板カムの外周面に接触し該円板カムの偏心回転に伴い進退移動する複数のフィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持するガイド部とを備えてなる蠕動運動方式の輸液ポンプの製造方法であって、上記円板カム、上記フィンガープレートおよび上記ガイド部は、その相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であり、該製造方法は、偏心位置に貫通孔を有する樹脂製の円板カムAと、該円板カムAの貫通孔に対して360度を円板カムの個数で均等割りした角度を偏角させた貫通孔を有する樹脂製の円板カムBの、2種類の円板カムであって、それぞれが一方の軸方向側面をパーティングラインに設定して射出成形された成形体であるものを組み付ける円板カムユニット組立工程と、該円板カムユニット組立工程で得られた円板カムユニットと、上記フィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持する上記ガイド部とから輸液ポンプを組み立てる輸液ポンプ組立工程とを備えてなり、上記円板カムユニット組立工程は、上記円板カムAと円板カムBとを交互に上記回転軸に組み付けるとともに、各円板カムを 360度を円板カムの個数で均等割りした角度ずつ同一方向に偏角して相互に連結する工程であることを特徴とする。
本発明の輸液ポンプは、円板カムを円板カムユニットの一体成形品とせず、1個毎に成形したものを連結して用いるので、円板カムの軸方向外周面にPL痕がなく円板カムとフィンガープレートとの摺動性に優れる。円板カムを1個毎に成形する場合、円板カムの一方の側面がパーティングラインに設定できるため、円板カムの軸方向外周面にPL痕はできない。
また、上記回転軸の少なくとも上記円板カムを固定する部位が角柱形状であり、円板カムは、円板カムAと、該円板カムAの貫通孔に対して360度を円板カムの個数で均等割りした角度を偏角させた貫通孔を有する円板カムBの2種類であり、上記円板カムAと上記円板カムBとは、交互に上記回転軸に組み付けられるとともに、各円板カムは360度を円板カムの個数で均等割りした角度ずつ同一方向に偏角して相互に連結されるので、該円板カムの偏心回転に伴うフィンガープレートの進退移動により輸液が可能となる。
特に、上記2種類の円板カムを用いることにより、角柱形状の回転軸にその角数の倍の個数の円板カムを、360度を該円板カムの個数で均等割りした角度ずつ偏角して取り付けられるので、回転軸の角数と同数しか円板カムを偏角させて取り付けられない円板カム1種類のみを用いる場合と比較して、フィンガープレートを滑らかに蠕動運動させることができ、輸液流量を平準化できる。
さらに、円板カム、フィンガープレートおよびガイド部が、その相互接触部分でそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であるので、凝着摩耗を抑え、摺動性に優れる。
これらの結果、駆動モータの低トルク化および省電力が図れ、輸液ポンプ本体の小型軽量化が可能となる。
本発明の輸液ポンプの製造方法は、回転軸の形状を考慮した 2 種類の円板カムを回転軸に交互に組み付けて円板カムユニットを組み立てるので、偏心位置を均等にずらした円板カムユニットの組み立てが容易であり、輸液ポンプの品質および生産効率を向上させることができる。
一体成形して製造することから生じる、円板カムユニットの軸方向外周面のPL痕の除去が困難である問題と、その対策として円板カムを個々に成形して組み立てようとすると、角度を均等にずらして同軸に組付けなくてはならないために、作業効率が悪いという問題とに対処すべく鋭意検討を行なった。その結果、回転軸を6角柱として、円板カムに6角形の貫通孔と、一方の側面に凸部と、他方の側面に凹部とをそれぞれ設けた、円板カムAと、6角形の貫通孔が円板カムAに対し 30 度偏角した円板カムBの 2 種類を作製し、円板カムAの凸部が隣り合う円板カムBの凹部に嵌合するように交互に取り付けて、円板カムユニットとすることにより、従来の一体成形による円板カムユニットのPL痕の問題を解決できるとともに、偏心位置を正確に容易に位置決めできて作業効率を向上できることを見出すに至った。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明の輸液ポンプを図1、図2および図3により説明する。図1は輸液ポンプの全体図を、図2は図1におけるA−A断面図を、図3は図2におけるB−B断面図をそれぞれ示す。
図1に示すように、蠕動運動方式の輸液ポンプは、壁部分にチューブ装着部7aが設けられた輸液作動部1と、プレッシャープレート8がチューブ装着部7aに対向配置された扉8aと、チューブ装着部7aに装着される輸液チューブ7とから構成される。チューブ装着部7aに輸液チューブ7を装着して扉8aを閉めることにより、プレッシャープレート8により輸液チューブ7が押さえつけられる。
輸液作動部1を図2および図3を参照して説明する。輸液作動部1は、輸液作動部本体に設けられた軸受5で回転自在に支持されている回転軸6と、該回転軸6に固定された複数の円板カム2と、この各円板カムの外周面に接触し、円板カムの偏心回転に伴い回転軸6と垂直方向に進退移動するフィンガープレート3と、フィンガープレート3を両側面から挟持し摺動自在にガイドするガイド部4とを備えている。ここで、軸受5、円板カム2、フィンガープレート3、ガイド部4は、相互接触により、それぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であることが好ましい。
図2に示すように、円板カム2に対応して並設された複数個のフィンガープレート3の先端部3aを正弦波形状とし、蠕動運動により液を一方向に輸送できるように、円板カム2は貫通孔を通して、円板カムの上死点面が回転軸6の回転方向に順次移動して一周するように回転軸6に組み付けられ連結されている。円板カム2およびフィンガープレート3の数は、輸液チューブ7を順次押圧する蠕動運動が可能であれば任意の数とすることができる。
駆動用モータ9により回転軸6を所定角速度で回転させると、該回転軸に固定された円板カム2が同じ角速度で回転する。この円板カム2の偏心回転に伴い、この外周面2aに接触する複数個のフィンガープレート3は、輸液作動部本体に設置されたガイド部4の摺動面4aで接触しつつガイドされ、輸液チューブ7を押圧する先端部3aがそれぞれ( 360度/円板カム2の数)の位相差で正弦波形をなす進退運動を行なう。この結果、輸液チューブ7は、一方の側から他方の側へと順次押圧閉塞され、この内部に充填された輸液を一定方向へ送液する。
円板カムは、その偏心回転によりフィンガープレートを進退運動させ、輸液チューブを順次押圧閉塞する必要があるので、円板カムに設けられる貫通孔の軸心が、円板カムの軸心と重ならない位置とする。
本発明における円板カムは、円板カムAと、該円板カムAの貫通孔に対して360度を円板カムの個数で均等割りした角度を偏角させた貫通孔を有する円板カムBの2種類で構成される。
回転軸の円板カムを固定する部位が n 角柱形状(nは3以上の整数)である場合、円板カムの個数は、円板カムAが n 個、円板カムBが n 個の合計 2 n 個とする。この場合、円板カムAは n 角柱形状の断面である n 角形の貫通孔を、円板カムBは360 度を 円板カムの個数 2 n で除して均等割りした角度だけ偏角させた n 角形の貫通孔をそれぞれ有する形状とする。
円板カムAと円板カムBとは、交互に回転軸にそれぞれの貫通孔を通して組み付けられるとともに連結される。組み付け時においては、各円板カムAおよび円板カムBは360度を円板カムの個数 2 n で均等割りした角度ずつ同一方向に偏角させて相互に連結される。よって、隣り合う円板カムAと円板カムBとは、360度を円板カムの個数 2 nで除した角度だけ偏角し、一つおきに組み付けられた円板カムA同士および円板カムB同士は、それぞれ 360 度を n で除した角度だけ偏角する。
回転軸が6角柱(n=6)の場合の円板カムについて図4および図5に基づいて説明する。図4(a)〜(c)は、円板カムAの軸方向両側面図およびC−C断面図を、図5(a)〜(c)は、円板カムBの軸方向両側面図およびD−D断面図をそれぞれ示す。
円板カムA12は、回転軸の6角柱形状の断面である6角形の貫通孔12cと、図4(c)に示す一方の軸方向側面に形成された凸部12bと、図4(a)に示す他方の軸方向側面に形成された凹部12aとを有する。図4(a)に示すように、円板カムA12の円板軸心と、貫通孔12cの6角形軸心とは距離Lだけ離間している。また、貫通孔12cの6角形軸心から最も遠い位置にある外径面12dが、円板カムA12の上死点面である。
円板カムB13は、回転軸の6角柱形状の断面である6角形の貫通孔13cと、図5(c)に示す一方の軸方向側面に形成された凸部13bと、図5(a)に示す他方の軸方向側面に形成された凹部13aとを有する。また、貫通孔13cの6角形軸心から最も遠い位置にある外径面13dが、円板カムB13の上死点面である。なお、円板カムA12と円板カムB13との外径寸法は同一である。
図5(a)および図5(c)に示すように、円板カムB13における貫通孔13cの6角形軸心は、円板カムB13の円板軸心から距離Lだけ離間するとともに、円板カムA12の貫通孔12cの軸心位置に対して 30 度偏角している。
円板カムA12の凸部12bと凹部12aは、円板カムA12の表裏同じ位置に形成されており、円板カムB13の凸部13bと凹部13aは、円板カムB13の貫通孔13cの軸心と上死点面を通る中心線を対象にして60度ずれた位置に形成されている。回転軸に合わせ、円板カムA12の凸部12bに円板カムB13凹部13aを差し込むだけで、円板カムA12と円板カムB13を30 度偏角して組み合わせることができる。さらに、円板カムB13の凸部13bに円板カムA12凹部12aを差し込むだけで、円板カムB13と円板カムA12を30 度偏角して組み合わせることができる。
このように、円板カムA12および円板カムB13における軸方向側面の凸部と凹部を、偏角方向を考慮した位置に設けることにより、組み付け時の方向間違えを防止でき、正確かつ容易に複数個の円板カムを組み付け、円板カムユニットを製造することができる。
図4および図5に示す円板カムAおよび円板カムBを用いた円板カムユニットおよびその製造方法(円板カムユニット組立工程)を図6および図7に基づいて説明する。なお、図6は2種類の円形カムの組み付け手順を、図7(a)は円板カムユニットの断面図を、図7(b)は図7(a)において円板カムA12のE−E断面から軸受15の方向に向かって見た図を、図7(c)は図7(a)において円板カムB13のF−F断面から軸受15の方向に向かって見た図をそれぞれ示す。
図7(a)に示すように、円板カムユニットは、円板カムA12および円板カムB13の各 1 個を 1 組として交互に6組(円板カムは計12個)を6角柱形状の回転軸16に貫通して取り付けられる。回転軸16は、両端をスペーサー10を介して軸受14および軸受15により回転自在に支持され、各軸受はE形止め輪11により軸方向移動を制限されている。
図4(a)、図5(a)に示すように、円板カムB13の貫通孔は、円板カムA12に対して 30度偏角しているため、円板カムA12と円板カムB13とを同じ回転軸16を通して組み付けると、図6(a)に示すように、これらは30度偏角した状態となる。このとき、円板カムAの上死点面12dと、円板カムBの上死点面13dとは回転軸の回転方向に30度移動した位置となる。さらに、図6(b)に示すように、該円板カムB13に隣接させて、他の円板カムA12を同じ回転軸16に通して組み付けると、該円板カムA12は、隣接する上記円板カムB13に対して30度偏角した状態となる。
なお、組み付け時においては、一つおきに組み付けられた円板カムA同士および円板カムB同士が、同一方向に60度偏角した状態となるように、偏角方向を考慮した向きで組み付ける。具体的には、図6(b)に示すように、円板カムAを、図6(a)における円板カムAの位置から60度だけ回転させた向きで円板カムBに組み付ける。このとき、最初の円板カムAの上死点面12dと、円板カムBを1個挟んだ、次の円板カムAの上死点面12dとは回転軸の回転方向に60度移動した位置となる。
円板カムAと円板カムBの組み付け方を間違えた場合、輸液チューブを押圧するフィンガープレートの先端部が正弦波形とならず、円板カムの偏心回転に伴うフィンガープレートの進退移動による輸液が困難となる。
上記の図6(a)および図6(b)に示す手順に従い、円板カムA12と円板カムB13とを交互に合計で12個組み付けることにより、円板カムの上死点面が回転軸の回転方向に順次移動して一周するように組み付けられ、軸方向断面形状が30度で均等割りされた位相差で正弦波形をなす円板カムユニットとなる(図7(a)〜(c)参照)。
以上のような形状を有する円板カムユニットの偏心回転に伴い、フィンガープレートは、その先端部がそれぞれ( 360度/円板カムの数)の均等な位相差で正弦波形をなす進退運動を行なう(図2参照)。この結果、輸液チューブは、一方の側から他方の側へと順次押圧閉塞され、この内部に充填された輸液が一定方向へ送液される。
得られた円板カムユニットと、この円板カムの外周面に接触し該円板カムの偏心回転に伴い進退移動するフィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持するガイド部とを組み立て(輸液ポンプ組立工程)、これらを備えてなる蠕動運動方式の輸液ポンプを製造する。
本発明の輸液ポンプの製造方法は、上記の円板カムユニット組立工程と、輸液ポンプ組立工程とを備えてなる製造方法である。
上記軸受5、14、15、円板カム2、円板カムA12、円板カムB13、フィンガープレート3、ガイド部4などの摺動部材は樹脂組成物の成形体である。上記樹脂組成物の主成分となる樹脂としては、ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと記す)樹脂、ポリエーテルイミド(以下、PEIと記す)樹脂、ポリアセタール(以下、POMと記す)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと記す)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂等が例示できる。フィンガープレート3とガイド部4のいずれか一方は、PPE樹脂の成形体とする。
また、上記樹脂に潤滑成分を配合した潤滑性樹脂組成物を好適に用いることができる。潤滑成分としては、液状、ゲル状、固体状、粉末状の潤滑性付与成分であれば使用でき、具体的には、PTFE樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛などの固体潤滑材、潤滑油、グリース等が挙げられる。
円板カム外周面2a、ガイド部摺動面4aなどの摺動摩擦面においては、摺動表面の摩耗により樹脂の移着膜の付着・堆積が起こり両部材が相互に凝着する、いわゆる凝着摩耗が起こり易い。摩耗の程度は、表面粗さ、温度、両摩耗材の親和性に依存し、特に同一の樹脂を主成分とする樹脂組成物間では親和性が強く凝着摩耗が起こりやすい。このため、摺動摩擦面にて相互に接触する部材は、相互に異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体であることが好ましい。特に、本発明の輸液ポンプにおいては、円板カム2、円板カムA12、円板カムB13とフィンガープレート3との間で摺動抵抗が大きく摩擦による発熱量も多いため、相互に異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成することが好ましい。
各摺動部材として好適な樹脂組成物を以下に説明する。
ガイド部4を形成する樹脂は、輸液作動部本体と一体成形してもそりが小さく寸法精度に優れるPEI樹脂およびPPE樹脂が好ましく、それらにフッ素樹脂を充填させたものがより好ましい。PEI樹脂としては、ウルテム(日本GE社製)、PPE樹脂としては、ノリル(日本GE社製)、ベアリーPD5003(NTN精密樹脂社製)などが挙げられる。
フィンガープレート3は、ガイド部4と摺動面4aにて摺動することから、相手材であるガイド部4の材料と摺動特性の優れたPEI樹脂、PPS樹脂、ポリアミド樹脂、PPE樹脂、POM樹脂等、またはこれらの樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体であることが好ましい。具体的には、POM樹脂組成物としてベアリーDM5031(NTN精密樹脂社製)、PPS樹脂組成物としてベアリーAS5000、AS5052、AS5054(NTN精密樹脂社製)、ポリアミド樹脂組成物としてベアリーNY5000(NTN精密樹脂社製)、PPE樹脂としてノリル(日本GE社製)、ベアリーPD5003(NTN精密樹脂社製)などが挙げられる。
また、凝着摩耗を抑制するため、フィンガープレート3の樹脂成形体はガイド部4と異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体とすることが好ましい。
凝着摩耗の抑制、摺動性に優れることから、フィンガープレート3にPPE樹脂を用いた場合では、ガイド部4および円板カム2の一方には、POM樹脂を用いることが好ましい。また、フィンガープレート3にPOM樹脂を用いた場合では、ガイド部4には、PPE樹脂を用いることが好ましい。
円板カム2、円板カムA12、円板カムB13は、PEI樹脂、POM樹脂、PPS樹脂、ポリアミド樹脂等、またはこれらの樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体であって、凝着摩耗を抑えるため、フィンガープレート3と異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体とすることが好ましい。
軸受5、14、15は、回転軸6、16との摺動性および軽量化を考慮して、すべり軸受としてPOM樹脂、PPS樹脂、ポリアミド樹脂、PTFE樹脂等、またはこれらの樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体であることが好ましい。PTFE樹脂組成物として、具体的には、ベアリーFL3000、FL3030、FL3700(NTN精密樹脂社製)などが挙げられる。また、軸受5は転がり軸受とすることもできる。
軸受5、14、15、円板カム2、円板カムA12、円板カムB13、フィンガープレート3、ガイド部4などの摺動部材を潤滑成分が配合された潤滑性樹脂組成物の成形体とすることにより、金属などの材質の場合のようにグリースなどの潤滑剤を塗布しなくとも摺動特性に優れる。具体的には、各摺動面の最大静摩擦係数 μs が 0.15 以下程度である。
また、定期的なメンテナンスも必要なくなるため、維持コストが大幅に削減できる。
また、互いに摺動する部材を異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体とすることにより、トルクロスの主原因である凝着摩耗を抑制できる。これらの結果、モータの大幅な低トルク化および省電力を実現でき、これに伴い輸液ポンプの小型軽量化が図れる。
円板カムは、上記樹脂組成物を射出成形等により成形した後、必要に応じて機械加工にて成形バリを除去して得られる。
また、本発明の輸液ポンプは、医療分野において輸液チューブによる薬液の注入や自動点滴などの用途に用いられる小型軽量のポンプであることから、円板カムの外径は、φ10〜20mm 程度であり、円板カムの円板中心と、貫通孔中心との軸方向断面での距離Lは、1〜5mm 程度である。
本発明の輸液ポンプにおける円板カムと、従来の円板カムとの比較を下記の表1に示す。
Figure 0004866078
本発明の輸液ポンプは、円板カムを円板カムユニットとして一体成形せず、1個毎に成形したものを連結して用いるので、円板カムの軸方向外周面にPL痕がなく円板カムとフィンガープレートとの摺動性に優れ、また回転軸の形状を考慮した偏角度の異なる 2 種類の円板カムを回転軸に交互に組み付けるので、容易に偏角位置を均等にずらして同軸に組付け可能であり、フィンガープレートの滑らかな蠕動運動により輸液流量を平準化することができる。
この結果、駆動モータの低トルク化、省電力化が図れ、通常のポンプ輸送ではせん断力が大きく、機械的摩擦を受けて変質しやすい薬液の輸送や、破壊されやすいエマルジョン粒子が配合されている流体の輸送などに用いられる医療用、食品加工用、化粧品加工用などの輸液ポンプとして好適に利用できる。
本発明に係る輸液ポンプの全体図である 図1におけるA−A断面図である。 図2におけるB−B断面図である。 円板カムAの軸方向両側面図およびC−C断面図である。 円板カムBの軸方向両側面図およびD−D断面図である。 2種類の円形カムの組み付け手順を示す図である。 円形カムユニットの全体図である。
符号の説明
1 輸液動作部
2 円板カム
3 フィンガープレート
4 ガイド部
5 軸受
6 回転軸
7 輸液チューブ
8 プレッシャープレート
9 駆動モータ
10 スペーサー
11 E形止め輪
12 円板カムA
13 円板カムB
14 軸受
15 軸受
16 回転軸

Claims (4)

  1. 軸受で支持された回転軸に固定される複数の円板カムと、この円板カムの外周面に接触し該円板カムの偏心回転に伴い進退移動する複数のフィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持するガイド部とを備えてなる蠕動運動方式の輸液ポンプであって、
    前記円板カム、前記フィンガープレートおよび前記ガイド部は、その相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であり、
    前記複数の円板カムは、それぞれが一方の軸方向側面をパーティングラインに設定して射出成形された成形体であり、それぞれが偏心位置に貫通孔を有し、該貫通孔を通して円板カムの上死点面が回転軸の回転方向に順次移動して一周するように前記回転軸に組み付けられ連結されてなり、
    前記回転軸の少なくとも前記円板カムを固定する部位が角柱形状であり、前記円板カムは、円板カムAと、該円板カムAの貫通孔に対して360度を円板カムの個数で均等割りした角度を偏角させた貫通孔を有する円板カムBの2種類であり、
    前記円板カムAと前記円板カムBとは、交互に前記回転軸に組み付けられるとともに、各円板カムは360度を円板カムの個数で均等割りした角度ずつ同一方向に偏角して相互に連結されることを特徴とする輸液ポンプ。
  2. 前記円板カムは、一方の軸方向側面に凸部を、他方の軸方向側面に凹部をそれぞれ有し、円板カムAの凸部が隣り合う円板カムBの凹部に、円板カムBの凸部が隣り合う円板カムAの凹部にそれぞれ嵌合されて、円板カムAと円板カムBとが交互に連結されていることを特徴とする請求項記載の輸液ポンプ。
  3. 前記円板カムAの凸部および凹部が、表裏同じ位置に形成されており、前記円板カムBの凸部および凹部が、前記貫通孔の軸心と上死点面を通る中心線を対象にして60度ずれた位置に形成されていることを特徴とする請求項2記載の輸液ポンプ。
  4. 軸受で支持された回転軸に固定される複数の円板カムと、この円板カムの外周面に接触し該円板カムの偏心回転に伴い進退移動する複数のフィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持するガイド部とを備えてなる蠕動運動方式の輸液ポンプの製造方法であって、
    前記円板カム、前記フィンガープレートおよび前記ガイド部は、その相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であり、
    前記製造方法は、偏心位置に貫通孔を有する樹脂製の円板カムAと、該円板カムAの貫通孔に対して360度を円板カムの個数で均等割りした角度を偏角させた貫通孔を有する樹脂製の円板カムBの、2種類の円板カムであって、それぞれが一方の軸方向側面をパーティングラインに設定して射出成形された成形体であるものを組み付ける円板カムユニット組立工程と、
    該円板カムユニット組立工程で得られた円板カムユニットと、前記フィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持する前記ガイド部とから輸液ポンプを組み立てる輸液ポンプ組立工程とを備えてなり、
    前記円板カムユニット組立工程は、前記円板カムAと前記円板カムBとを交互に前記回転軸に組み付けるとともに、各円板カムを 360度を円板カムの個数で均等割りした角度ずつ同一方向に偏角して相互に連結する工程であることを特徴とする輸液ポンプの製造方法。
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