JP2006255057A - 輸液ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】
蠕動運動式の輸液ポンプにおいて、フィンガープレート、円板カム、ガイド部などの摺動面における摺動性に優れ、低トルク・省電力の駆動モータで動作する小型軽量で安価な輸液ポンプを提供する。
【解決手段】
軸受で支持される回転軸に固定された円板カムと、この円板カムの外周面に接触し該円板カムの偏心回転に伴い進退移動するフィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持するガイド部とを備えてなる蠕動運動方式の輸液ポンプであって、上記円板カム、上記フィンガープレートおよび上記ガイド部が樹脂成形体からなり、該樹脂成形体はその相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であり、上記フィンガープレートおよび上記ガイド部のいずれか一方がポリフェニレンエーテル樹脂の成形体である。
【選択図】 図2
蠕動運動式の輸液ポンプにおいて、フィンガープレート、円板カム、ガイド部などの摺動面における摺動性に優れ、低トルク・省電力の駆動モータで動作する小型軽量で安価な輸液ポンプを提供する。
【解決手段】
軸受で支持される回転軸に固定された円板カムと、この円板カムの外周面に接触し該円板カムの偏心回転に伴い進退移動するフィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持するガイド部とを備えてなる蠕動運動方式の輸液ポンプであって、上記円板カム、上記フィンガープレートおよび上記ガイド部が樹脂成形体からなり、該樹脂成形体はその相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であり、上記フィンガープレートおよび上記ガイド部のいずれか一方がポリフェニレンエーテル樹脂の成形体である。
【選択図】 図2
Description
本発明は、蠕動運動方式(リニアペリスタルティック方式)を採用した輸液ポンプに関する。
医療分野において、輸液チューブによる薬液の注入や自動点滴などの用途に蠕動運動方式(リニアペリスタルティック方式)などの輸液ポンプが従来より用いられている。
この方式の輸液ポンプは、輸液チューブをプレッシャープレートとの間で挟持する輸液作動部を備え、偏心位置をずらして同軸に複数並設された円板カムを所定の角速度で回転させることにより、該円板カムの外周面に接触しガイド部間に並設されたフィンガープレートが上記輸液チューブと上記プレッシャープレートとの間で順次押圧閉塞するように動作し、チューブ内に充填された輸液を一定方向へ送液している。
点滴などに使用されるこの種の輸液ポンプは、所持者が携帯しながら移動する場合もあり、そのサイズの小型化および軽量化、また電池駆動などを可能とするため省電力などが図られている。
この方式の輸液ポンプは、輸液チューブをプレッシャープレートとの間で挟持する輸液作動部を備え、偏心位置をずらして同軸に複数並設された円板カムを所定の角速度で回転させることにより、該円板カムの外周面に接触しガイド部間に並設されたフィンガープレートが上記輸液チューブと上記プレッシャープレートとの間で順次押圧閉塞するように動作し、チューブ内に充填された輸液を一定方向へ送液している。
点滴などに使用されるこの種の輸液ポンプは、所持者が携帯しながら移動する場合もあり、そのサイズの小型化および軽量化、また電池駆動などを可能とするため省電力などが図られている。
ポンプ駆動用モータの低トルク化により省電力を図ったものとして、ガイド部の材質を潤滑性を備えた潤滑性樹脂で形成しフィンガープレートとの摺動抵抗を減らした輸液ポンプが知られている(特許文献1)。
同様に各摺動面の抵抗軽減によるモータの低トルク・省電力目的で、フィンガープレートとガイド部との間に潤滑剤を塗布し摺動抵抗を減らした輸液ポンプ(特許文献2および特許文献3)、円板カムとフィンガープレートとの間にベアリングを設け摺動抵抗を減らした輸液ポンプが知られている(特許文献4および特許文献5)。
また、円板カム、フィンガープレートおよびガイド部が樹脂成形体からなり、その相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体である輸液ポンプが知られている(特許文献6)。
また、これらの輸液ポンプではモータの低トルク化によりモータサイズを小型化し輸液ポンプ本体の小型軽量化を図っている。
同様に各摺動面の抵抗軽減によるモータの低トルク・省電力目的で、フィンガープレートとガイド部との間に潤滑剤を塗布し摺動抵抗を減らした輸液ポンプ(特許文献2および特許文献3)、円板カムとフィンガープレートとの間にベアリングを設け摺動抵抗を減らした輸液ポンプが知られている(特許文献4および特許文献5)。
また、円板カム、フィンガープレートおよびガイド部が樹脂成形体からなり、その相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体である輸液ポンプが知られている(特許文献6)。
また、これらの輸液ポンプではモータの低トルク化によりモータサイズを小型化し輸液ポンプ本体の小型軽量化を図っている。
しかしながら、ガイド部を潤滑性樹脂組成物の成形体とした輸液ポンプの場合、フィンガープレートとガイド部との摺動抵抗は低減できるが、円板カムと接触することにより全体としては低い摺動抵抗が得られないという問題がある。
また、円板カム、フィンガープレート、ガイド部などの摺動部を樹脂組成物の成形体とした場合、輸液ポンプの長期連続駆動時などに各摺動面において経時的に摺動抵抗が大幅に増加するという問題がある。
各摺動面、例えばフィンガープレートとガイド部との間に潤滑剤を塗布すると、使用する潤滑剤によっては高価になること、また摺動性能を維持するために定期的にメンテナンスが必要となることなどから、輸液ポンプの製造コストおよび維持コストが多くかかるという問題がある。また、潤滑剤は環境負荷物質を含む場合が多いため、製造工程時、または廃棄処理時に環境汚染を引き起こすおそれがある場合がある。
円板カムとフィンガープレートとの間にベアリングを設ける場合では、ベアリングの設置スペースを確保する必要があり輸液ポンプが大型になるという問題がある。
特開平5−277183号公報
特開平6−14999号公報
特開平6−15000号公報
特公平4−23547号公報
特開平11−342199号公報
特開2004−81737号公報
また、円板カム、フィンガープレート、ガイド部などの摺動部を樹脂組成物の成形体とした場合、輸液ポンプの長期連続駆動時などに各摺動面において経時的に摺動抵抗が大幅に増加するという問題がある。
各摺動面、例えばフィンガープレートとガイド部との間に潤滑剤を塗布すると、使用する潤滑剤によっては高価になること、また摺動性能を維持するために定期的にメンテナンスが必要となることなどから、輸液ポンプの製造コストおよび維持コストが多くかかるという問題がある。また、潤滑剤は環境負荷物質を含む場合が多いため、製造工程時、または廃棄処理時に環境汚染を引き起こすおそれがある場合がある。
円板カムとフィンガープレートとの間にベアリングを設ける場合では、ベアリングの設置スペースを確保する必要があり輸液ポンプが大型になるという問題がある。
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、蠕動運動式の輸液ポンプにおいて、フィンガープレート、円板カム、ガイド部などの摺動面における摺動性に優れ、低トルク・省電力の駆動モータで動作する小型軽量で安価な輸液ポンプの提供を目的とする。
本発明の輸液ポンプは、軸受で支持される回転軸に固定された円板カムと、この円板カムの外周面に接触し該円板カムの偏心回転に伴い進退移動するフィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持するガイド部とを備えてなる蠕動運動方式の輸液ポンプであって、上記円板カム、上記フィンガープレートおよび上記ガイド部が樹脂成形体からなり、該樹脂成形体はその相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であり、上記フィンガープレートおよび上記ガイド部のいずれか一方が、ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略称)樹脂であることを特徴とする。なお、本発明においてPPE樹脂とは、変性PPE樹脂を含む。
上記フィンガープレートがPPE樹脂の成形体であり、上記ガイド部および円板カムのいずれか一方が、ポリアセタール樹脂の成形体であることを特徴とする。
また、上記ガイド部がポリフェニレンエーテル樹脂の成形体であり、上記フィンガープレートが、ポリアセタール樹脂の成形体であることを特徴とする。
また、上記ガイド部がポリフェニレンエーテル樹脂の成形体であり、上記フィンガープレートが、ポリアセタール樹脂の成形体であることを特徴とする。
上記軸受、上記円板カム、上記フィンガープレート、および上記ガイド部は、潤滑性樹脂組成物の成形体であることを特徴とする。
また、上記円板カムを形成する樹脂組成物と上記フィンガープレートを形成する樹脂組成物とが相互に異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物であることを特徴とする。
また、上記円板カムを形成する樹脂組成物と上記フィンガープレートを形成する樹脂組成物とが相互に異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物であることを特徴とする。
輸液ポンプの長期連続駆動により、円板カム、フィンガープレート、ガイド部などの樹脂成形体同士の摺動抵抗が経時的に増加する原因について研究したところ、相互に同一の樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体間で摺動抵抗の経時的な増加がみられた。この摺動抵抗増加現象は、樹脂成形体同士の摺動抵抗が摺動界面に形成される実接合部の凝着により支配される凝着摩耗によるためと考えられる。すなわち、同一の樹脂を主成分とする樹脂成形体同士が接触すると、真実接触面間で凝着が生じ易くなる。ここで凝着とは、実際に接触している最表面の吸着分子同士に原子的、分子的結合が生じることをいう。
本願発明は、相互に接触する樹脂成形体を凝着を起こさない樹脂組成物の成形体とし、特にフィンガープレートとガイド部の一方をPPE樹脂の成形体とすることにより、それぞれの樹脂成形体同士で生じる凝着摩耗を抑えることができ、摺動性に優れる。その結果、駆動モータの低トルク化および省電力が図れ、輸液ポンプ本体の小型軽量化が可能となる。
本願発明は、相互に接触する樹脂成形体を凝着を起こさない樹脂組成物の成形体とし、特にフィンガープレートとガイド部の一方をPPE樹脂の成形体とすることにより、それぞれの樹脂成形体同士で生じる凝着摩耗を抑えることができ、摺動性に優れる。その結果、駆動モータの低トルク化および省電力が図れ、輸液ポンプ本体の小型軽量化が可能となる。
本発明の輸液ポンプは、円板カム、フィンガープレートおよびガイド部が、その相互接触部分でそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であり、特にフィンガープレートおよびガイド部の一方がPPE樹脂の成形体であるので、凝着摩耗を抑え、摺動性に優れる。その結果、駆動モータの低トルク化および省電力が図れ、輸液ポンプ本体の小型軽量化が可能となる。
特に、軸受、円板カム、フィンガープレートおよびガイド部が潤滑性樹脂組成物の成形体であるので、また、円板カムを形成する樹脂組成物とフィンガープレートを形成する樹脂組成物とが相互に異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物であるので、グリースなどを必要とせず上記凝着摩耗を抑え、摺動性がより優れる。
特に、軸受、円板カム、フィンガープレートおよびガイド部が潤滑性樹脂組成物の成形体であるので、また、円板カムを形成する樹脂組成物とフィンガープレートを形成する樹脂組成物とが相互に異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物であるので、グリースなどを必要とせず上記凝着摩耗を抑え、摺動性がより優れる。
本発明の蠕動運動方式の輸液ポンプを図1、図2および図3により説明する。図1は輸液ポンプの全体図を、図2は図1におけるA−A断面図を、図3は図2におけるB−B断面図をそれぞれ示す。
図1に示すように、蠕動運動方式の輸液ポンプは、壁部分にチューブ装着部7aが設けられた輸液作動部1と、プレッシャープレート8がチューブ装着部7aに対向配置された扉8aと、チューブ装着部7aに装着される輸液チューブ7とから構成される。チューブ装着部7aに輸液チューブ7を装着して扉8aを閉めることにより、プレッシャープレート8により輸液チューブ7が押さえつけられる。
図1に示すように、蠕動運動方式の輸液ポンプは、壁部分にチューブ装着部7aが設けられた輸液作動部1と、プレッシャープレート8がチューブ装着部7aに対向配置された扉8aと、チューブ装着部7aに装着される輸液チューブ7とから構成される。チューブ装着部7aに輸液チューブ7を装着して扉8aを閉めることにより、プレッシャープレート8により輸液チューブ7が押さえつけられる。
輸液作動部1を図2および図3を参照して説明する。輸液作動部1は、輸液作動部本体に設けられた軸受5で回転自在に支持されている回転軸6と、該回転軸6に固定された複数の円板カム2と、この各円板カムの外周面に接触し、円板カムの偏心回転に伴い回転軸6と垂直方向に進退移動するフィンガープレート3と、フィンガープレート3を両側面から挟持し摺動自在にガイドするガイド部4とを備えている。ここで、軸受5、円板カム2、フィンガープレート3、ガイド部4は、相互接触により、それぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体である。
図2に示すように、円板カム2に対応して並設された複数個のフィンガープレート3の先端部3aが正弦波形状となるように、円板カム2は、偏心位置をずらして複数個が回転軸6に固定されている。なお、円板カム2およびフィンガープレート3の数は、輸液チューブ7を順次押圧する蠕動運動が可能であれば任意の数とすることができる
駆動用モータ9により回転軸6を所定角速度で回転させると、該軸に固定された円板カム2が同じ角速度で回転する。この円板カム2の偏心回転に伴い、この外周面2aに接触する複数個のフィンガープレート3は、輸液作動部本体に設置されたガイド部4の摺動面4aで接触しつつガイドされ、輸液チューブ7を押圧する先端部3aがそれぞれ(360°/フィンガープレート3の数)の位相差で正弦波形をなす進退運動を行なう。この結果、輸液チューブ7は、一方の側から他方の側へと順次押圧閉塞され、この内部に充填された輸液を一定方向へ送液する。
上記軸受5、円板カム2、フィンガープレート3、ガイド部4などの摺動部材は樹脂組成物の成形体である。上記樹脂組成物の主成分となる樹脂としては、PPE樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、POM樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略称)樹脂等が例示できる。フィンガープレート3とガイド部4のいずれか一方は、PPE樹脂の成形体とする。
また、上記樹脂に潤滑成分を配合した潤滑性樹脂組成物を好適に用いることができる。潤滑成分としては、液状、ゲル状、固体状、粉末状の潤滑性付与成分であれば使用でき、具体的には、PTFE樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛などの固体潤滑材、潤滑油、グリース等が挙げられる。
また、上記樹脂に潤滑成分を配合した潤滑性樹脂組成物を好適に用いることができる。潤滑成分としては、液状、ゲル状、固体状、粉末状の潤滑性付与成分であれば使用でき、具体的には、PTFE樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛などの固体潤滑材、潤滑油、グリース等が挙げられる。
円板カム外周面2a、ガイド部摺動面4aなどの摺動摩擦面においては、摺動表面の摩耗により樹脂の移着膜の付着・堆積が起こり両部材が相互に凝着する、いわゆる凝着摩耗が起こり易い。摩耗の程度は、表面粗さ、温度、両摩耗材の親和性に依存し、特に同一の樹脂を主成分とする樹脂組成物間では親和性が強く凝着摩耗が起こりやすい。このため、摺動摩擦面にて相互に接触する部材は、相互に異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体であることが好ましい。特に、本発明の輸液ポンプにおいては、円板カム2とフィンガープレート3との間で摺動抵抗が大きく摩擦による発熱量も多いため、相互に異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成することが好ましい。
各摺動部材として好適な樹脂組成物を以下に説明する。
ガイド部4を形成する樹脂は、輸液作動部本体と一体成形してもそりが小さく寸法精度に優れるポリエーテルイミド樹脂およびPPE樹脂が好ましく、それらにフッ素樹脂を充填させたものがより好ましい。ポリエーテルイミド樹脂としては、ウルテム(日本GE社製)、PPE樹脂としては、ノリル(日本GE社製)、ベアリーPD5003(NTN精密樹脂社製)などが挙げられる。
ガイド部4を形成する樹脂は、輸液作動部本体と一体成形してもそりが小さく寸法精度に優れるポリエーテルイミド樹脂およびPPE樹脂が好ましく、それらにフッ素樹脂を充填させたものがより好ましい。ポリエーテルイミド樹脂としては、ウルテム(日本GE社製)、PPE樹脂としては、ノリル(日本GE社製)、ベアリーPD5003(NTN精密樹脂社製)などが挙げられる。
フィンガープレート3は、ガイド部4と摺動面4aにて摺動することからガイド部4の材料と摺動特性の優れたポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂、PPE樹脂、POM樹脂等、またはこれらの樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体であることが好ましい。具体的には、POM樹脂組成物としてベアリーDM5031(NTN精密樹脂社製)、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物としてベアリーAS5000、AS5052、AS5054(NTN精密樹脂社製)、ポリアミド樹脂組成物としてベアリーNY5000(NTN精密樹脂社製)、PPE樹脂としてノリル(日本GE社製)、ベアリーPD5003(NTN精密樹脂社製)などが挙げられる。
また、凝着摩耗を抑制するため、フィンガープレート3の樹脂成形体はガイド部4と異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体とすることが好ましい。
凝着摩耗の抑制、摺動性に優れることから、フィンガープレート3にPPE樹脂を用いた場合では、ガイド部4および円板カム2の一方には、POM樹脂を用いることが好ましい。また、フィンガープレート3にPOM樹脂を用いた場合では、ガイド部4には、PPE樹脂を用いることが好ましい。
凝着摩耗の抑制、摺動性に優れることから、フィンガープレート3にPPE樹脂を用いた場合では、ガイド部4および円板カム2の一方には、POM樹脂を用いることが好ましい。また、フィンガープレート3にPOM樹脂を用いた場合では、ガイド部4には、PPE樹脂を用いることが好ましい。
円板カム2は、ポリエーテルイミド樹脂、POM樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂等、またはこれらの樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体であって、凝着摩耗を抑えるため、フィンガープレート3と異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体とすることが好ましい。
軸受5は、回転軸6との摺動性および軽量化を考慮して、すべり軸受としてPOM樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂、PTFE樹脂等、またはこれらの樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体であることが好ましい。PTFE組成物として、具体的には、ベアリーFL3000、FL3030、FL3700(NTN精密樹脂社製)などが挙げられる。また、軸受5は転がり軸受とすることもできる。
軸受5、円板カム2、フィンガープレート3、ガイド部4などの摺動部材を潤滑成分が配合された潤滑性樹脂組成物の成形体とすることにより、金属などの材質の場合のようにグリースなどの潤滑剤を塗布しなくとも摺動特性に優れる。具体的には、各摺動面の最大静摩擦係数 μs 0.15 以下程度である。
また、定期的なメンテナンスも必要なくなるため、維持コストが大幅に削減できる。
また、互いに摺動する部材を異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体とすることにより、トルクロスの主原因である凝着摩耗を抑制できる。これらの結果、モータの大幅な低トルク化および省電力を実現でき、これに伴い輸液ポンプの小型軽量化が図れる。
また、定期的なメンテナンスも必要なくなるため、維持コストが大幅に削減できる。
また、互いに摺動する部材を異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形体とすることにより、トルクロスの主原因である凝着摩耗を抑制できる。これらの結果、モータの大幅な低トルク化および省電力を実現でき、これに伴い輸液ポンプの小型軽量化が図れる。
実施例1
図2に示す輸液ポンプの輸液作動部1のガイド部4をPPE樹脂(ベアリーPD5003:NTN精密樹脂社製)組成物、フィンガープレート3をPOM樹脂組成物(ベアリーDM5031:NTN精密樹脂社製)、円板カム2をポリアミド樹脂組成物(ベアリーNY5000:NTN精密樹脂社製)、軸受5をPTFE組成物(ベアリーFL3000:NTN精密樹脂社製)の成形体で作製した。
図2に示す輸液ポンプの輸液作動部1のガイド部4をPPE樹脂(ベアリーPD5003:NTN精密樹脂社製)組成物、フィンガープレート3をPOM樹脂組成物(ベアリーDM5031:NTN精密樹脂社製)、円板カム2をポリアミド樹脂組成物(ベアリーNY5000:NTN精密樹脂社製)、軸受5をPTFE組成物(ベアリーFL3000:NTN精密樹脂社製)の成形体で作製した。
比較例1
輸液ポンプの輸液作動部のガイド部をポリカーボネート樹脂組成物(ユーピロンS−2000:三菱エンジニアリングプラスチックス社製)、フィンガープレートおよび円板カムをPOM樹脂組成物(ジュラコンM90−44:ポリプラスチックス社製)、軸受をボールベアリングで作製し、フィンガープレートとガイド部との摺動面にシリコーン系グリース(L641:クリューバー社製)を塗布し、フィンガープレートと円板カムとの間にボールベアリングを設けた。
得られた輸液ポンプの輸液作動部トルクを、回転軸を回し測定した。結果を表1に示す。また、併せて輸液作動部の重量およびコストを表1に示す。
輸液ポンプの輸液作動部のガイド部をポリカーボネート樹脂組成物(ユーピロンS−2000:三菱エンジニアリングプラスチックス社製)、フィンガープレートおよび円板カムをPOM樹脂組成物(ジュラコンM90−44:ポリプラスチックス社製)、軸受をボールベアリングで作製し、フィンガープレートとガイド部との摺動面にシリコーン系グリース(L641:クリューバー社製)を塗布し、フィンガープレートと円板カムとの間にボールベアリングを設けた。
得られた輸液ポンプの輸液作動部トルクを、回転軸を回し測定した。結果を表1に示す。また、併せて輸液作動部の重量およびコストを表1に示す。
表1より、実施例は、グリース塗布およびボールベアリングなどを使用しなくとも比較例と同等のトルクで動作することがわかった。また、実施例は同トルクにおいて、重量、コスト面で比較例より優れる。
実施例2
上記実施例1の樹脂組成物の組合せである、PPE樹脂(ベアリーPD5003:NTN精密樹脂社製)組成物とPOM樹脂組成物(ベアリーDM5031:NTN精密樹脂社製)にて、下記に示す摩擦摩耗試験片を製作した。
上記実施例1の樹脂組成物の組合せである、PPE樹脂(ベアリーPD5003:NTN精密樹脂社製)組成物とPOM樹脂組成物(ベアリーDM5031:NTN精密樹脂社製)にて、下記に示す摩擦摩耗試験片を製作した。
比較例2
上記比較例1の樹脂組成物の組合せである、ポリカーボネート樹脂組成物(ユーピロンS−2000:三菱エンジニアリングプラスチックス社製)とPOM樹脂組成物(ジュラコンM90−44:ポリプラスチックス社製)にて、下記に示す摩擦摩耗試験片を製作した。
得られた試験片を、下記に示すスラスト型摩擦摩耗試験にて摩擦摩耗を調べた。測定結果についてガイド材の摩擦係数を図4に、ガイド材およびフィンガープレート材の比摩耗量を表2に、それぞれ示す。
上記比較例1の樹脂組成物の組合せである、ポリカーボネート樹脂組成物(ユーピロンS−2000:三菱エンジニアリングプラスチックス社製)とPOM樹脂組成物(ジュラコンM90−44:ポリプラスチックス社製)にて、下記に示す摩擦摩耗試験片を製作した。
得られた試験片を、下記に示すスラスト型摩擦摩耗試験にて摩擦摩耗を調べた。測定結果についてガイド材の摩擦係数を図4に、ガイド材およびフィンガープレート材の比摩耗量を表2に、それぞれ示す。
スラスト型摩擦摩耗試験:
摩擦係数:
円筒型試験片(外径 21 mm、内径 17 mm、長さ 10 mm )およびアルミナ製円板型試験片(直径 35 mm、厚さ 6 mm )をスラスト型摩擦摩耗試験機に装着し、室温下、周速 1.16 m/分、面圧 1.8 ×105MPa、無潤滑の条件で運転開始後、最初の測定を 30 分後に行ない 2 回目以降は最初の測定から 1 時間毎の摩擦係数を 49 時間測定した。
摩擦係数:
円筒型試験片(外径 21 mm、内径 17 mm、長さ 10 mm )およびアルミナ製円板型試験片(直径 35 mm、厚さ 6 mm )をスラスト型摩擦摩耗試験機に装着し、室温下、周速 1.16 m/分、面圧 1.8 ×105MPa、無潤滑の条件で運転開始後、最初の測定を 30 分後に行ない 2 回目以降は最初の測定から 1 時間毎の摩擦係数を 49 時間測定した。
比摩耗量:
上記スラスト型摩擦摩耗試験機を用いて、室温下、周速 1.16 m/分、面圧 1.8 ×105MPa、無潤滑の条件で 100 時間運転した後の摩耗量を測定した。試験片および相手材は上記摩擦係数測定に用いたものと同じである。
上記スラスト型摩擦摩耗試験機を用いて、室温下、周速 1.16 m/分、面圧 1.8 ×105MPa、無潤滑の条件で 100 時間運転した後の摩耗量を測定した。試験片および相手材は上記摩擦係数測定に用いたものと同じである。
図4および表2の結果からも、実施例2の材質組み合わせの方が、比較例2の材質組み合わせよりも、摩擦摩耗特性に優れていることが認められる。
本発明の輸液ポンプは、円板カム、フィンガープレートおよびガイド部が、その相互接触部分でそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であり、特にフィンガープレートおよびガイド部のいずれか一方がPPE樹脂の成形体であるので、凝着摩耗を抑え、摺動性に優れる。その結果、駆動モータの低トルク化および省電力が図れ、輸液ポンプ本体の小型軽量化が可能となり、通常のポンプ輸送ではせん断力が大きく、機械的摩擦を受けて変質しやすい薬液の輸送や、破壊されやすいエマルション粒子が配合されている流体の輸送などに用いられる輸液ポンプとして好適に利用できる。
1 輸液動作部
2 円板カム
3 フィンガープレート
4 ガイド部
5 軸受
6 回転軸
7 輸液チューブ
8 プレッシャープレート
9 駆動モータ
2 円板カム
3 フィンガープレート
4 ガイド部
5 軸受
6 回転軸
7 輸液チューブ
8 プレッシャープレート
9 駆動モータ
Claims (5)
- 軸受で支持される回転軸に固定された円板カムと、この円板カムの外周面に接触し該円板カムの偏心回転に伴い進退移動するフィンガープレートと、該フィンガープレートを摺動自在に挟持するガイド部とを備えてなる蠕動運動方式の輸液ポンプであって、
前記円板カム、前記フィンガープレートおよび前記ガイド部が樹脂成形体からなり、該樹脂成形体はその相互接触がそれぞれ凝着を起こさない樹脂組成物の成形体であり、
前記フィンガープレートおよび前記ガイド部のいずれか一方が、ポリフェニレンエーテル樹脂の成形体であることを特徴とする輸液ポンプ。 - 前記フィンガープレートがポリフェニレンエーテル樹脂の成形体であり、前記ガイド部および円板カムのいずれか一方が、ポリアセタール樹脂の成形体であることを特徴とする請求項1記載の輸液ポンプ。
- 前記ガイド部がポリフェニレンエーテル樹脂の成形体であり、前記フィンガープレートが、ポリアセタール樹脂の成形体であることを特徴とする請求項1記載の輸液ポンプ。
- 前記軸受、前記円板カム、前記フィンガープレート、および前記ガイド部は、潤滑性樹脂組成物の成形体であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の輸液ポンプ。
- 前記円板カムを形成する樹脂組成物と前記フィンガープレートを形成する樹脂組成物とが相互に異なる樹脂を主成分とする樹脂組成物であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の輸液ポンプ。
Priority Applications (1)
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JP2005074543A JP2006255057A (ja) | 2005-03-16 | 2005-03-16 | 輸液ポンプ |
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JP2005074543A JP2006255057A (ja) | 2005-03-16 | 2005-03-16 | 輸液ポンプ |
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JP2006255057A true JP2006255057A (ja) | 2006-09-28 |
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ID=37094899
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-
2005
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