JP4866067B2 - メラニン産生抑制剤 - Google Patents
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Description
一方、本発明者は、このような皮膚の美白を目的としてメラニン生成抑制剤の探索を行っていたが、アブラナ科の野菜であるケールまたはその抽出物が紫外線によるメラニン生成抑制作用を有することを見出し、既に特許出願を行った(特許文献6参照)。
化学式(I)〜(IV)のグリセロ糖脂質のIUPAC名は次の通りである。
化学式(I)の化合物:
(7Z,10Z,13Z)-2-hydroxy-3-((2R,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-(hydroxymethyl)-tetrahydro-2H-pyran-2-yloxy)propyl hexadeca-7,10,13-trienoate、
化学式(II)の化合物:
(9Z,12Z,15Z)-1-((7Z,10Z,13Z)-hexadeca-7,10,13-trienoyloxy)-3-((2R,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-(hydroxymethyl)-tetrahydro-2H-pyran-2-yloxy)propan-2-yl octadeca-9,12,15-trienoate、
化学式(III)の化合物:
(9Z,12Z,15Z)-1-((9Z,12Z,15Z)-octadeca-9,12,15-trienoyloxy)-3-((2R,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-(hydroxymethyl)-tetrahydro-2H-pyran-2-yloxy)propan-2-yl octadeca-9,12,15-trienoate、
化学式(IV)の化合物:
1-((9Z,12Z)-octadeca-9,12-dienoyloxy)-3-((2R,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-(((2R,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-trihydroxy-6-(hydroxymethyl)-tetrahydro-2H-pyran-2-yloxy)methyl)-tetrahydro-2H-pyran-2-yloxy)propan-2-yl hexadecanoate、
具体的には、例えば、ケールの葉、茎、花や根などの乾燥物に濃度50〜99.5質量%、好ましくは70〜80質量%エタノールを加え、室温で数時間ないし数十時間の間浸漬・攪拌することによりその抽出液を得て、この抽出液をおよそ10〜20倍程度まで加熱蒸発等によって濃縮し、分液ロートなどによって水溶性画分と脂溶性画分とに分離して得られた脂溶性画分である。ここで得られた脂溶性画分は、さらにその濃度が50質量%のエタノールを用いて再度抽出を行い、分液ロートによって2層に分離することができる。
これらのうちの水溶性画分は主に水溶性の高い糖類や食物繊維などから構成されている。一方、脂溶性画分のうちの50質量%エタノールに溶解しない画分(脂溶性画分I)は主としてクロロフィルやフィトステロールなどである。また、50質量%エタノールに溶解する画分(脂溶性画分S)は主としてポリフェノール類などから構成されている。本発明に使用する前記化学式(I)〜(IV)で表されるグリセロ糖脂質はこの脂溶性画分Sに含まれているので、脂溶性画分Sから逆相HPLCなどでグリセロ糖脂質を分離精製することによって得ることができる。
本発明のメラニン産生抑制剤は、このようにして得られた前記化学式(I)〜(IV)で表されるグリセロ糖脂質をそのまま使用してもよいし、上記のようにして得たケールのエタノール抽出物の脂溶性画分をそのままの状態で含有する組成物として使用してもよい。
このような本発明のメラニン産生抑制剤を含有する美白化粧料は、常法に従って製造することができる。美白化粧料におけるグリセロ糖脂質の添加量は、特に限定されるものではないが、一例としてあげると、化粧料全重量の0.001〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%が適当である。
乾燥させたケールの葉を粉砕し、ケール粉砕物1kgを70%エタノールカラム(カラムサイズ45mmΦ×415mm)を用いて20Lの70%エタノールで抽出し、この抽出液をエバポレーターを用いて1Lまで濃縮した。得られた濃縮物1Lを分液ロートにより、水溶性画分と脂溶性画分に分け、更に、脂溶性画分を50%エタノール2Lに溶解した。このエタノール溶液を、さらに分液ロートで分配して二層に分離し、50%エタノールに溶解している画分を濃縮乾固させてケールエタノール抽出物の「脂溶性画分S」として24gを得た。
得られた脂溶性画分Sの24gのうちの5gを用いて、以下の方法と条件によって分離精製した。
・機器構成:
中圧液体クロマトグラフィーシステム:Kronlab GmbH
逆相カラム:Polygoprep 60−50 RP−18(Macherey&Nagel)
・溶離液:
精製水100%、続いて、精製水100%→メタノール100%のグラジエント、続いて、イソプロパノール100%
・分取物
溶離液が精製水100%で溶出した分画P(0.89g)と溶離液がイソプロパノールで溶出した分画Q(1.55g)を得た。分画PをSPEカラム(Lichrolut EN-Merck)で処理し、0.15gの脱塩物を得た。
得られた分画P脱塩物0.15g、分画Q1.55gを用いて、以下の方法と条件によって分離精製した。
・機器構成:
全自動分画・精製・分取システム:SEPBOXLight
分取カラム:
分画P脱塩物: Merck Select B 250×16mm、10μm
分画Q: Merck Select B 250×50mm、10μm
検出器:ELSD(Sedex75)
UV(Merck、254nm)
・溶離液:
流 速:
分画P脱塩物:15mL/min
分画Q:80mL/min
溶離液:A・・・0.5mMギ酸アンモニウム、0.1%ギ酸水溶液
:B・・・0.5mMギ酸アンモニウム、0.1%ギ酸のアセトニトリル:
メタノール=1:1溶液
分画P脱塩物からサンプル(a)1.71mg、分画Qからサンプル(b)87.61mg、サンプル(c)19.93mg、サンプル(d)5.83mgを分取した。
・機器構成:
HPLCシステム:Merck Hitachi
分析カラム: Merck Select B 250×4mm、5μm
検出器:ELSD(Sedex75)
・溶離液:
流 速:1mL/min
溶離液:A・・・0.5mMギ酸アンモニウム、0.1%ギ酸水溶液
B・・・0.5mMギ酸アンモニウム、0.1%ギ酸のアセトニトリル:
メタノール=1:1溶液
上記の3)で分取したサンプル(a)〜サンプル(d)の4個のサンプルについて、LC/MS分析装置及びNMR分析装置を用いて化合物の構造決定を行なった。
LC/MS分析の溶離液は4)と同じものを用い、グラジエント条件は適宜調整した。MSシステムはPE-Sciex API150(+/(-)-ESI、Fast-Switching-Mode)を使用した。
1H−NMR、HSQC、HMBC、HH−COSYは共鳴周波数400MHzあるいは500MHzで測定した。13C−NMRのスペクトルはHMBC、HSQCの手法を用いて帰属した。溶媒は重メタノールを用い、化学シフト基準に使用した(1H−NMR3.30ppm、13C−NMR49.0ppm)。
以上のようにして抽出分離した各サンプルのLC/MS分析、NMR分析の結果を以下に示す。
LC/MSとNMRのデータを以下に示す。
LC/MS
(+)−ESI:509[M+Na]+、325[M−Gal+H]+、233[C16H25O]+
(-)−ESI:531[M+HCOO]−、485[M−H]−、249[C16H25O2]−
1 H−NMR、 13 C−NMR
スペクトルの帰属と化学シフトを表4に示す。「Gal」はガラクトース、「FA」は脂肪酸を表す。
LC/MSとNMRのデータを以下に示す。
LC/MS
(+)−ESI:764[M+NH4]+、585[M−Gal+H]+、335[C21H34O3]+
(-)−ESI:791[M+HCOO]−、745[M−H]−、277[C18H29O2]−
1 H−NMR、 13 C−NMR
スペクトルの帰属と化学シフトを表5に示す。「Gal」はガラクトース、「FA」は脂肪酸を表す。
LC/MSとNMRのデータを以下に示す。
LC/MS
(+)−ESI:792[M+NH4]+、613[M−Gal+H]+、335[C21H34O3]+
(-)−ESI:819[M+HCOO]−、773[M−H]−、277[C18H29O2]−
1 H−NMR、 13 C−NMR
スペクトルの帰属と化学シフトを表6に示す。「Gal」はガラクトース、「FA」は脂肪酸を表す。
LC/MSとNMRのデータを以下に示す。
LC/MS
(+)−ESI:934[M+NH4]+、593[M−2Gal+H]+、575[M−2Gal−H2O+H]+、313[C19H36O3]+
(-)−ESI:961[M+HCOO]−、915[M−H]−、279[C18H31O2]−
1 H−NMR、 13 C−NMR
スペクトルの帰属と化学シフトを表7に示す。「Gal」はガラクトース、「FA」は脂肪酸を表す。
メラニンを産生する細胞としてマウス由来の培養B16メラノーマ細胞を用いて、ウシ胎児血清を終濃度10%になるように添加したイーグルMEM培地で培養し、該細胞を1×103細胞/wellで、96ウェルプレートに播種し、5日間CO2インキュベーター内で培養した。その後、被検試料を添加した培地に交換し、さらに3日間同条件で培養した。培養終了後細胞を洗浄し、細胞をドデシル硫酸ナトリウム(SDS)により可溶化して475nm、260nmの吸光度を測定し、これをS475、S260とする。メラニン抑制率は、被検試料を添加しない培地で培養した細胞の475nm、260nmにおける吸光度をC475、C260として次式により計算した。
尚、被検試料としては、前記実施例1で得た化学式(I)〜(IV)で表わされるグリセロ糖脂質であるサンプル(a)〜 (d)を用い、それぞれ培地に12.5μg/mL、25.0μg/mL、及び50.0μg/mL添加した。陽性対照区としては美白成分として広く使用されているコウジ酸(Kojic acid)を用い、これを培地に12.5μg/mL、25.0μg/mL、及び50.0μg/mL添加した。
上記の実施例1で得られた化学式(I)で表わされるグリセロ糖脂質(サンプル(a))を用いて、常法により下記表8の配合組成の化粧水を製造した。
上記の実施例1で得られた化学式(II)で表されるグリセロ糖脂質(サンプル(b))を用いて、常法により下記表9の配合組成のクリームを製造した。
上記の実施例1で得られた化学式(IV)で表されるグリセロ糖脂質(サンプル(d))を用いて、常法により下記表10の配合組成の化粧パックを製造した。
上記の実施例1で得られた化学式(III)で表わされるグリセロ糖脂質(サンプル(c))を用いて、常法により下記の配合組成のメラニン産生抑制用組成物の錠剤を製造した。
Claims (2)
- 化学式(I)〜(IV)で表わされるいずれか1以上のグリセロ糖脂質を有効成分とすることを特徴とするメラニン産生抑制剤。
- 前記化学式(I)〜(IV)で表わされるいずれか1以上のグリセロ糖脂質を有効成分とすることを特徴とする美白化粧料。
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