JP4864893B2 - 大腿骨用の外科支持体 - Google Patents

Description

発明の背景
本発明は、新規且つ有用な大腿骨用の外科支持体に関する。

手術における近年の進歩は低侵襲の手技に焦点を当てており、一般的にそのような手技により、切開のサイズが小さくなり且つ筋肉の剥離または切断が解消される。

この点において、低侵襲の股関節置換術では、患者の脚の前部からの進入が用いられる。このようなアプローチに従うことにより、外科医は、以前の手技における10インチの切開ではなく、4インチの切開を用いて股関節置換を完了できる可能性がある。さらに、脚内部の筋肉が損傷を受けず、その結果、患者の回復が早く且つ術後期間中の筋肉剥離が生じなくなる。

前方アプローチの股関節置換手技においても、寛骨臼へのアクセスを要することに変わりはない。寛骨臼は人工大腿骨の骨頭を挿入する前に削る必要がある。加えて、前方アプローチの股関節置換術の実施においては、大腿骨の適切な操作および位置決めが不可欠である。

股関節置換などの外科手技中に大腿骨に用いるための支持体は、医学分野における著明な進歩となると考えられる。

発明の概要
本発明に基づき、外科手技中の大腿骨用の新規且つ有用な支持体を本明細書において提供する。

本発明の支持体は、近位部分と遠位部分とを持つシャフトを利用する。シャフトの少なくとも一部は、第一の平面と一致する軸に沿っている。シャフトの端は、手術台に付随するジャックにシャフトを取り付けることを可能にする端部フィッティングであってもよい。

本発明においてはフックも用いられ、フックは第二の平面内にある。第一の平面と第二の平面とは互いに交差する。すなわち、フックは中間部分によってシャフトに接続し、そして、大腿骨を適切に位置決めするためおよび股関節の寛骨臼へのアクセスが大腿骨により妨げられることなく外科医が股関節置換を実施できるようにするため、角度を有する。フックは、患者の左または右の大腿骨に対応できるよう、シャフトに対する向きが反対であってもよい。

手術台に対するシャフトの位置を決めるためのベース部材も用いられる。ベース部材は手術台に固定してもよく、または別個に支持してもよい。本発明の特定の局面において、ベース部材は、複数の開口部を有するブラケットの形態をとっていてもよい。ブラケットの各開口部は、シャフトの一部、すなわちほとんどの場合においてシャフトの端部分を収容することができる。ベース部材は、手術台に付随するジャックに接続してもよい。

外科手技中の大腿骨用の新規且つ有用な支持体が以上に説明されたことは明白であると思われる。

したがって、本発明の目的は、人工股関節置換を実施するため大腿骨を十分に支持し且つ股関節の解剖学的部分へのアクセスを外科医に提供する、外科手技中の大腿骨用の支持体を提供することである。

本発明の別の目的は、手術に使われる手術台に適合する、外科手技中の大腿骨用の支持体を提供することである。

本発明の別の目的は、非侵襲股関節置換術の実施を可能にし且つそのような手術を受けた患者の迅速な回復を可能にする、外科手技中の大腿骨用の支持体を提供することである。

本発明のさらなる目的は、大腿骨を支持し、且つ、ブラケットおよび従来の手術台にみられるその他の構成物と連携して調節できる、外科手技中の大腿骨用の支持体を提供することである。

本発明の別の目的は、外科手技中に容易に大腿骨と嵌合でき且つ必要ないときは分離できる、外科手技中の大腿骨用の支持体を提供することである。

本発明は、特に、本明細書が進むにしたがって明らかになるであろうと思われる、本発明の特定の特性および特徴に関して、上記以外の目的および利点も有する。

本発明のよりよい理解のため、以下に好ましい態様の詳細な説明に言及するが、それらは本明細書の別所に説明した図面を参照すべきである。

本発明の好ましい態様の詳細な説明
以下の好ましい態様の詳細な説明から本発明のさまざまな局面が生じるものと思われる。これらの詳細な説明は、本明細書の別所に記述した図面を参照すべきである。

本発明の好ましい態様の全体は、図面中において参照番号10として描写されている。図1〜3において、支持体10は、その1つの要素としてシャフト12を含む。シャフト12は近位部分14および遠位部分16を持つ。シャフト12、またはシャフト12の少なくとも一部は、軸18に沿っている。シャフト12は、金属および複合材など、任意の剛性の材料で形成されていてもよい。シャフト12の遠位部分14は方形の箱型端（solid end）20およびキャップ22を含む。これらの目的は後述する。

シャフト12の近位部分16は中間部分またはスパン部分24へとつながり、且つ、シャフト12と同じ材料で形成される。中間部分24の端は、左曲がり型の丸型フック26になっている。認識されるべき点として、フック26は正方形であってもよく、またはその他角度がついていてもよい。フック26は管状端（tubular end）28および平坦な曲線部30で形成される。図1および図2において、大腿骨32は、フック26の平坦部分30の中にあるものとして描写されている。

次に図4において、左大腿骨35を保持する右曲がりフック33を有する支持体10に、ベース部材34も設けられていることが見て取れるものと思われる。ベース部材34は、図6に示す従来の手術台42の一部であるジャック40に接続する端部分38を含む、ブラケット36の形態をとっていてもよい。図5において、各々が支持体シャフト12の方形の箱型端20にフィットするよう意図された複数の開口部44をブラケット36が含むことが明白であると思われる。キャップ22は、シャフト12の方形の箱型端20が、ブラケット46の複数の開口部44の任意の1つに進入することを制限するように機能する。注意すべき点として、ブラケット12の端20は、ブラケット36の開口部46の中にある。図2および図4において、フック26および33が、軸18と一致せず軸18と平行でもない軸48および49にそれぞれ沿っていることが留意されるべきである。事実、軸18は平面50の中にあり、一方、軸48および49は平面52および53の中にある。平面50と52、および平面50と53は、互いに交差する。フック26または33とシャフト12との間の配向にこのように角度がついていることにより、股関節手術中にフック26または33によってそれぞれ支持される左大腿骨32および右大腿骨35に対して、適切な角度がもたらされる。

図6において、麻酔された患者54が、右足56に関連する股関節の前方アプローチ股関節手術の準備が整った体位で、手術台42上の所定の位置に示されている。図6に完全には示していないが、牽引ブーツ58および60が用いられ、手術台42の機構を介して牽引を提供するために使われる。この点において、カリフォルニア州ユニオンシティーのOrthopedic Systems, Inc.が製造するPRO fxとして公知である手術台は十分であると考えられる。手術台のジャック40はブラケット36に接続された支持体10を上昇および下降させることができる。ジャック40の上昇および下降は、部分的に示した回転可能シャフト62を介して行われる（回転可能シャフト62の動きを、方向を示す矢印64によって示した）。ブラケット36はまた、非侵襲股関節手術を行う外科医が、右足56の中において、大腿骨35（図1〜4に想像線で示す）に対する支持体10の位置決めを完全に制御できるよう、ジャック40に対しても回転することができる。

手術において、ユーザーは、好ましい態様においてブラケット36の形態であるベース部材34の上に支持体10を置く。このような取り付けは、支持体10のシャフト12の端20を、ブラケット36の複数の開口部44のうち任意の開口部の中に置くことによって実現される。患者54に切開を加えた後の適切な時点において（図6）、フック26または33が患者54の股関節領域の創部に入れられ、それぞれ右大腿骨32または左大腿骨35を支持する。患者54に対する人工股関節置換を完了するため、外科医が股関節の寛骨臼および他の部分への無制限のアクセスを得ることができるよう、支持体10と組み合わせられた典型的なジャック40は、適切な角度になって左大腿骨35を支持することができる（図4）。支持体10が必要なくなったら、典型的なジャック40に対してブラケット36を回転させることにより（方向を示す矢印66）、フック26または33を含む支持体10を患者54の創部からスイングさせて外方向に移動させる。次に、手術の進行および完了に伴って、支持体10を除去してもよく、またはこの位置に残しておいてもよい。

上記において、本発明の完全な開示を行う目的で本発明の態様をかなり詳細に記述したが、そのような詳細に対して、本発明の精神および原理から逸脱することなく多数の変更を行い得ることが、当業者には明白であると思われる。

大腿骨を想像線で示した、本発明の支持体の側面図である。 大腿骨を想像線で描写した、本発明の左脚用の左曲がり支持体の正面図である。 図1の線3-3に沿った断面図である。 ジャック（一部を示す）に接続されたブラケットに配置された、本発明の右脚用の右曲がり支持体の背面図である。 図4の線5-5に沿った部分断面図である。 右曲がりフックを用いた本発明の支持体の位置決めを示す略図であり、従来の手術台の一部および股関節置換術前の仰臥位の患者も描写されている。

Claims (9)

1. 手術中に対象者の創傷内の大腿骨に直接接触して支持する装置であって、
   ａ．近位部分および遠位部分を有し、少なくとも一部が、第１の平面と一致する第１の軸に沿っているシャフトと、
   ｂ．端部を有するフックであって、当該フックの端部が第２の平面と一致する第２の軸に沿っており、前記第１と第２の平面は互いに交差し、前記フックがさらに前記対象者の創傷内に入るよう構成された自由端を有し、さらに前記フックは前記大腿骨と直接接触するものであるフックと、
   ｃ．該シャフトと該フックとを接続する中間部分とを具え、当該中間部分は前記シャフトの軸、前記シャフト、前記フックの端部、前記フックの自由端から横方向に延在し、前記シャフト、フック、および中間部分が関節のないワンピース部材を形成しており、前記中間部と前記フックが前記シャフトの軸から離れて延びていることを特徴とする装置。
2. 請求項１に記載の装置において、前記フックの端部、前記フックの自由端、および中間部分の関節のないワンピース部材が、関節のないワンピースの管状部材を含むことを特徴とする装置。
3. 請求項１に記載の装置において、前記関節のないワンピース部材が、剛性のボディを含むことを特徴とする装置。
4. 請求項１に記載の装置において、前記フックの自由端が、平坦部分を含むことを特徴とする装置。
5. 請求項１に記載の装置がさらに、ブラケットを有するベース部材を具え、前記ブラケットが当該ブラケットに沿って互いに離れた複数の開口を有し、当該開口はそれぞれ前記シャフトの一部に適合していることを特徴とする装置。
6. 請求項５に記載の装置において、前記シャフトが、前記ブラケットの前記離れた複数の開口のいずれかに嵌合するよう構成された端部を具えることを特徴とする装置。
7. 請求項５に記載の装置において、前記シャフト、前記フックの端部、前記フックの自由端、および前記中間部分が、関節のないワンピースの管状部材を含むことを特徴とする装置。
8. 請求項５に記載の装置において、前記関節のないワンピース部材が、剛性のボディを含むことを特徴とする装置。
9. 請求項５に記載の装置において、前記フックの自由端が、平坦部分を含むことを特徴とする装置。

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