JPH0372305B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、手術用器具に関し、特に、手術台と
共に使用するための肢位置づけ器具に関する。こ
の肢位置づけ器具は、肢特に脚を外科手術を行う
のに最適な位置に保持するためのものである。本
発明の肢位置づけ器具は、特に膝の手術を行う場
合に有用である。

膝に外科的処置を施す場合、膝関節のいろいろ
な部位へのアクセス（手や医療器具で触れるこ
と）を可能にするために膝をいろいろな位置に位
置づけする必要がある。また、下肢の最下部を堅
く支持する必要がある。そのような支持はしばし
ば助手が行うが、その場合、助手は苦しい姿勢を
とり、その姿勢を僅かに変えるだけで長時間維持
しなければならない。

関節検査法および関節検査外科の進歩ととも
に、下肢の位置づけおよび保持を確実に行うこと
が必要とされるようになつた。使用される外科器
具は、本来の治療の目的を達成するとともに、膝
関節を傷つけることがある。そのような外科器具
としては、ナイフ、動力器具、生検鉗子、および
ハサミなどがある。必要とされる膝の位置は、屈
曲、伸展、回転、内転、外転、およびそれらの組
合せである。

手術室において常時助手が得られないような比
較的小さい病院では、脚を保持し、どのような位
置（姿勢）においてもいろいろな度合の押圧力を
維持するための信頼しうる手段が必要である。ま
た、外科医は、位置づけ器具をその無菌状態を壊
すことなく容易に調節することができなければな
らない。信頼生、無菌性および操作の容易性は、
いずれも、下肢支持装置にとつて必要条件であ
る。

脚支持または保持器具は、新しいタイプの外科
処置に使用することができる上に、在来の、ある
いはより一般的な外科処置にも適用しうるもので
なければならない。以下に説明する本発明の器具
は、脚の重量自体がその位置の維持を助成するよ
うにして内反および外反位置づけを可能にする。

従来から、外科処置に使用するための多くの肢
保持または支持器具が開発されている。それらの
うちのあるものは、必ずしも望ましくない止血帯
式であり、また、他のものは、調節または融通性
に欠けており、あるものは所要の信頼性を有して
いない。脚位置づけ器具を開示している米国特許
としては、第2057992号、2119325号、2267924号
があり、更に、473200号、988923号、1266367号、
2801142号、3339913号、3528413号および3810462
号がある。

本発明の肢位置づけ器具は、オートクレーブに
かけることができ、無菌の場で使用することがで
きるように好ましい実施例ではステンレス鋼で製
造されており、下肢を支持し、外科医が助手の手
をかりることなく膝を位置づけし任意の位置に堅
く保持することができるようにする。この位置づ
け器具は、下肢を再位置づけして所定位置に錠止
し、外科医が膝関節検査（診断および処置）、膝
関節間軟骨切除術、総合的膝外科術、滑膜切除術
および膝蓋骨の側方への解放を行うことができる
ようにし、また、診断のための膝の診査切開や、
従来は１人以上の外科医と助手を必要とした他の
いろいろな外科術を行うことを可能にする。この
人員の節約は、病院や、患者にとつて経済的負担
を軽くし、しかも、介護の質を落すことがない。
実際、助手の場合には疲れて動いてしまうことが
あるが、この器具は動くことがなく、外科手術を
より安全なものとする。

本発明の脚位置づけ器具は、各種付属器具を外
科医は、助手なしで膝および脚の最下部を位置づ
けし保持することができる。脛骨の開放骨折の場
合、および開放ロツドによる整復および骨内固定
を必要とする骨折の場合、患者の足を足保持クラ
ンプに取付けて適当な骨固定のための適正位置に
保持し、脚にそれ以上の傷をつけないようにし、
外科医が無傷の柔軟な組織および骨を保存するの
を容易にすることができる。

添付図、特に第１〜３図を参照して説明する
と、本発明の肢位置づけ器具は、中央支持部材１
０と、該支持部材に固定され、図示のように外方
へ延長したロツド１１を備えている。

この位置づけ器具は、膝を伸展、内反、外反、
内転および外転位置およびそれらの組合せ位置に
保持するための剛性プラツトホームを提供する。
従つて、膝を、その軟骨を目視するための任意の
位置、屈曲位置、外転位置、および膝の側部コン
パートメントを目視するための手術台横断位置な
どに保持することができる。本発明の器具は、止
血帯（圧迫帯）の作用を有していないが、外科医
が所望するならば、止血帯を併用することができ
る。

本発明の位置づけ器具を使用すれば、取付ける
ための取付具を有する手術台と共に使用するため
のものであり、取付具に係合させることができる
外方突出ロツドを有する中央支持部材と、該支持
部材に枢着され、脚の膝のどちらか一側に係合す
るようになされた上向き突出腕と、前記支持部材
に対して角度調節しうるように玉継手を介して連
結された細長ロツド状延長部材と、該延長部材に
調節自在に取付けられ、脚の最下部の足首のとこ
ろに係合するようになされたＵ字形部材と、該延
長部材の角度位置、従つて脚の最下部の角度位置
を調節するのを容易にするために延長部材の外端
に設けられたハンドル長したロツド１１を備えて
いる。ロツド１１の自由端１２は、手術台上の標
準取付具（図示せず）に堅くクランプされるよう
になされている。中央支持部材１０には直立肢係
合部材１４を枢動自在に連結し、更に、細長延長
部材１５を中央支持部材に対して角度調節しうる
ように連結する。これらの部材、および後述する
第２の肢係合部材１６は、いずれもステンレス鋼
で製造し、器具全体をオートクレーブにかけて減
菌することができるようにする。

第１肢係合部材１４は、ほぼＬ字形であり、そ
の水平脚部１８の下面から垂下させた軸１７（第
２図）を有している。軸１７を中央支持部材１０
に設けた孔２０に回動自在に挿入し、部材１４を
後述するように膝のどちらの側にも係合させるこ
とができるように部材１４を少くとも180°枢動で
きるようにする。説明の便宜上、患者の脚２１は
仮想線で示されており、膝２２は参照番号22で示
されている。

延長部材１５は、第１〜３図の実施例では玉継
手を介して中央支持部材１０に連結した細長ロツ
ドである。玉継手は、ロツド１５の内端に固定し
た玉２４と、中央支持部材１０に設けた嵌合凹所
によつて形成されるソケツト２５とから成る。支
持部材１０は、２つの部片２６と２７とで形成さ
れており、それらの部片の各々に玉２４の球状表
面の一部分に嵌合する凹所を設ける。

支持部材１０の前部および下部の玉継手の領域
を切除し、ロツド１５の角度位置を調節すること
ができるようにする。かくして、ロツド１５は、
第２図に矢印２８で示されるように垂直平面内で
仮想線で示される水平位置と実線で示される垂直
位置の間で90％に亘つて枢動させることができ
る、かつ、第３図に示されるように、対向して延
長しているロツド１１を含む垂直平面内に位置す
る中心位置３０の両側30°にまで側方へも調節す
ることができる。

支持部材１０の２つの部片２６と２７は、案内
ピン３１とねじ付軸３２によつて相互に結合す
る。軸３２の両端には刻み付つまみ３４を取付け
てある。つまみを一方向に回すことによつて支持
部材１０の両部片２６，２７を玉２４に対して締
付けることができ、それによつてロツド１５を所
望の調節位置に固定することができる。つまみを
反対方向に回して玉２４に対する部片２６，２７
の係合を弛めれば、ロツド１５を新しい調節位置
へ移動させることができる。

第２の肢係合部材１６は、延長ロツド１５に取
付けらており、外方突出脚部３５，３５を有する
Ｕ字形のばね鋼製ブラケツトから成つている。部
材１６は、患者の脚の最下部の足首に係合するよ
うになされている。この目的のために、ロツド１
５を部材１６に穿設した孔３６に滑り嵌合させて
あり、部材１６の位置をロツド１５に対して調節
しうるようにしてある。部材１６は、ロツド１５
に設けた多数の切欠き３８に係合するばね押しさ
れた止め３７によつてロツド１５の軸方向の多数
の選択位置の１つに解放自在に固定することがで
きる。

位置づけ器具の無菌状態を壊すことなく、延長
部材１５の調節を行うことができるように、延長
部材の外端にハンドル４０（第１図）を設ける。

第４〜６図は、本発明の肢位置づけ器具の変型
実施例を示す。この実施例は、中央支持部材４１
を斜めの貫通孔４２を有する一部片構造とした点
で第１〜３図のものと異る。斜めの孔４２の上端
は、延長部材４５の内端に固定した玉４４を受容
するソケツトを形成する。延長部材４５は、第１
〜３図の実施例の延長部材１５に対応するもので
あるが、第４図に示されるように全長に亘つて断
面形状を四角形とした点で異る。

孔４２の上端には、玉４４を保持するようにス
エージまたはスピン加工により凹部を形成する。
玉４４の下方部分は、孔４２の下方部分内に固定
したプラグ４８に螺入させたねじ付軸４７の内端
に付設したパツド４６によつて係合されるように
する。ねじ付軸４７の外端にはハンドル４９が設
けられており、このハンドルを回すことによりパ
ツド４６を玉４４に強く係合させて延長部材４５
を所望の調節位置に固定することができる。ハン
ドルを反対方向に回せば、玉４４が解放され、延
長部材４５を新しい調節位置へ移動することがで
きる。

第１〜３図の実施例の場合と同様に、延長部材
４５は、垂直平面内において90°調節することが
でき、第６図に示されるように中心位置から両側
へ30°まで調節することができる。延長部材４５
を第５図に示される垂直位置へ移動させることが
できるように、延長部材４５の上端に屈曲部分４
５ａを設ける。この構成は、孔４２が斜めに設け
られているために必要とされるものである。

位置づけ器具全体を手術台または処置台に固定
するためのロツド５０、延長部材４５のハンドル
５１、第１の肢係合部材５３、および第２の肢係
合部材５４は、第１〜３図の実施例の対応部品と
実質的に同じである。

本発明の位置づけ器具を使用するに当つては、
まず、ロツド１１または５０によつて該器具を手
術台上の取付具に取付ける。膝の手術または診断
の場合には、患者の脚を第１または４図に示され
るように肢位置づけ器具に当てがう。即ち、下方
大腿部を中心支持部材１０または４１の頂面上に
座置させ、脛を延長部材１５または４５に整列さ
せる。脚の下方部分は、足首係合ブラケツト１６
または５４によつてこの整列位置に保持する。ブ
ラケツト１６または５４の延長部材に対する位置
は、患者の下方脚の長さに合わせて調節してお
く。

このように患者の脚を位置づけ器具に位置づけ
したならば、外科医は、延長部材１５または４５
の位置を上方または下方へ、あるいはどちらかの
側方へ角度調節することによつて膝を所望の位置
に置くことができる。肢係合部材１４または５３
の直立部分は腿の側部または内側部分に当てが
い、この直立部分を支点として膝関節の内側部分
または側部を必要に応じて開放または閉鎖するこ
とができる。

叙上のように、本発明の肢位置づけ器具は、全
体として一体にまとめられた極めて簡単な構造で
あり、中央支持部材１０にすべて取付けられた少
数の簡単な構造の部品で容易に製造及び組立てす
ることができ、従つて安価に製造することができ
る。しかも、第１肢係合部材１４、延長部材１５
及び第２肢係合部材１６は、いずれも、支持すべ
き患者の脚等に適合させるのに単に枢動又は摺動
させるだけでよく、それらの部材を所定位置に固
定するには例えば僅かに２つのつまみ３４と３７
を操作するだけでよい。このように本願発明の肢
位置づけ器具は、操作が容易であり、患者の脚等
を容易に、確実に位置づけし、固定することがで
きる。

以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は
これに限定されるものではなく、本発明の精神お
よび範囲から逸脱することなく、いろいろな変型
が可能であることは当業者には明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の肢位置づけ器具の透視図、第
２図は第１図の器具の側面図、第３図は第２図の
矢印３−３の方向にみた器具の中心支持部材の平
面図、第４図は肢位置づけ器具の変型実施例の透
視図、第５図は第４図の器具の側面図、第６図は
中央支持部材の玉継手部分の透視図である。 図中、１０は中央支持部材、１１は固定用ロツ
ド、１４は第１肢係合部材、１５は延長部材、１
６は第２肢係合部材、２４は玉、２５はソケツ
ト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 手術台とともに使用するための肢位置づけ器
   具において、 中央支持部材１０；４１と、 該支持部材の後端面から突出しており、該支持
   部材を手術台に着脱自在に固定するための固定用
   ロツド１１；５０と、 該支持部材にそれに対して枢動自在に取付けら
   れた、直立腕と水平脚部１８を含むほぼＬ字形の
   第１肢係合部材１４；５３と、 該支持部材から前方に延長しており、垂直平面
   内で一定限度内で移動することができ、かつ、一
   定限度内で側方に調節しうるように玉継手２４；
   ４４によつて該支持部材に移動自在に連結された
   細長ロツド状の延長部材１５；４５と、 該延長部材に取付けられており、患者の脚の下
   方部分の長手に対して所望の調節位置へ該延長部
   材に沿つて移動自在であり、患者の脚の下方部分
   に係合するようにほぼＵ字形とされた第２肢係合
   部材１６；５４とから成り、前記第１肢係合部材
   の前記水平脚部１８は、その外端近くの下面から
   下方に突出した垂直軸１７を有し、該垂直軸は、
   該第１肢係合部材の前記直立腕を患者の上方部分
   の外側又は内側のどちらにも選択的に係合させる
   ことができるようにするために第１肢係合部材を
   前記支持部材１０；４１に対して少くとも180°枢
   動させることができるように、該支持部材の上面
   に回転自在に挿入されている、肢位置づけ器具。 ２ 前記延長部材１５；４５を垂直平面内で移動
   させるのを容易にするために該延長部材の外端に
   ハンドル４０が設けられている特許請求の範囲第
   １項に記載の肢位置づけ器具。 ３ 前記すべての構成部品がステンレス鋼製であ
   る特許請求の範囲第１項に記載の肢位置づけ器
   具。