JP4863971B2 - トラクタ - Google Patents
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そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、後輪デフ装置から左右に延出するデフ出力軸に一体回動可能に設けられたブレーキディスクを走行ブレーキと駐車ブレーキとに共用するようにしたブレーキ装置を備えたトラクタにおいて、左右幅を狭くすることのできるトラクタを提供することを目的とする。
前記ブレーキディスクとミッションケース側壁との間に、該ブレーキディスクに対して左右方向で対向配置され且つ左右方向の軸心を中心とする環状に形成されたシリンダ部を設け、このシリンダ部の外周部に、走行時にデフ出力軸を制動すべく、油圧によって作動され且つブレーキプレートに接当してブレーキディスクを押圧するブレーキピストンを設け、
このブレーキピストンの、ブレーキディスク径方向外方側に、駐車時にデフ出力軸を制動すべく、ブレーキプレートに対するブレーキピストンの接当部位よりもブレーキディスク径方向外方側でブレーキプレートに接当し且つ前記ブレーキピストンとは独立してブレーキディスクを押圧する駐車ブレーキ用押圧部材を設けたことを特徴とする。
前記駐車ブレーキ用押圧部材の、ブレーキプレートに接当してブレーキディスクを押圧する押圧部を前記切欠部に挿入状とするのがよい。
また、前記シリンダ部をミッションケース側壁からブレーキディスクに向けて突出するように該ミッションケース側壁に取り付け、該シリンダ部の外周部に、前記カムプレートを左右軸回りに回動自在で且つ左右方向移動自在に外嵌するのがよい。
図1及び図2において、1はトラクタの車体の一部を構成するミッションケース1の後端側を示している。トラクタの車体は、例えば、前部のエンジンと、該エンジン後方側のフライホイールハウジングと、該フライホイールハウジング後方側のクラッチハウジングと、該クラッチハウジング後方側のミッションケース1とを直結してなり、ミッションケース1は前後方向複数に分割されている。
なお、以下の説明において、左右方向内方とは、ミッションケース1の左右方向の端部から左右方向中央に向かう方向をいい、左右方向外方とは、ミッションケース1の左右方向中央から左右方向の端部に向かう方向をいう。
なお、ミッションケース1の上壁の、後輪デフ装置2の上方には開口部45が形成され、この開口部45を介して後輪デフ装置2がミッションケース1内に挿入される。
前記後輪デフ装置2の左右両側には、該後輪デフ装置2から左右両側に延出されたデフ出力軸2Aが設けられ、この左右各デフ出力軸2Aの左右方向外端側は後車軸ケース4内に挿入され、該デフ出力軸2Aの外端側は、後車軸ケース4内に左右方向の軸芯回り回動自在に支持された後車軸5の左右方向内端側に遊星歯車形の終減速装置6を介して連動連結され、左右各後車軸5の左右方向外端側には後輪が一体回動可能に取り付けられている。
後輪デフ装置2と終減速装置6との間には、後車軸5(後輪)を制動する多板式の摩擦ブレーキ装置7(ディスクブレーキ)が設けられている。
このブレーキ装置7は、図1〜図7に示すように、左右の各デフ出力軸2Aに一体回動可能に設けられた円板状のブレーキディスク8と、この左右のブレーキディスク8の外周側に配置された円板リング状のブレーキプレート9と、走行時においてデフ出力軸2A(後車軸及び後輪)を制動すべく左右の各ブレーキディスク8及びブレーキプレート9を押圧する左右の走行ブレーキ用の油圧駆動式押圧機構10と、駐車時においてデフ出力軸2A(後車軸及び後輪)を制動すべく左右の各ブレーキディスク8及びブレーキプレート9を押圧する左右の駐車ブレーキ用のカム駆動式押圧機構11とを備えている。
左右方向外端側のブレーキディスク8の外周側の左右方向外方には、デフ出力軸2Aを中心とするリング状の受け部材12が隣接配置され、該受け部材12はブレーキディスク8及びブレーキプレート9の左右方向外方側への移動規制をする。
前記ブレーキプレート9は、複数枚(本実施形態では3枚)設けられ、左右方向内端側のブレーキディスク8の左右方向内方側及びブレーキディスク8間に配置されている。
このブレーキプレート9の外周側には、後車軸ケース4とミッションケース1とにわたって設けられ且つデフ出力軸2Aの軸芯を中心とする同一円周線上に複数(本実施形態では3本)配置された固定ピン15が設けられ、この固定ピンに前記ブレーキプレート9の外周側が係合していて、該ブレーキプレート9が周方向に移動規制(デフ出力軸2A回りの回動が規制)されていると共に左右方向に所定範囲で移動可能とされている。
前記走行ブレーキ用の油圧駆動式押圧機構10は、ブレーキディスク8及びブレーキプレート9の左右方向内方側に配置されていて該ブレーキディスク8及びブレーキプレート9を左右方向内方側から押圧するブレーキピストン16(走行ブレーキ用押圧部材)と、このブレーキピストン16をブレーキディスク8及びブレーキプレート9に対して近接離反させる方向(左右方向)に移動自在に支持するシリンダ部17とを備えている。
左右の各ミッションケース側壁1Aには、デフ出力軸2Aを突出させるための円形の開口47L、47Rが形成され、左側の開口47Lは右側の開口47Rよりも径大に形成されている。
左側のシリンダ部17には、その内周側から前記開口47Lを通して左右方向内方側に延出されると共にデフ出力軸2Aの軸芯を中心とする筒状に形成された軸受部19が一体的に設けられ、この軸受部19の左右方向内端側にベアリング20を介して後輪デフ装置2の左側(具体的にはスパイラルベベルギヤ21が一体形成されたデフケースフタ22)が左右軸回りに回動自在に支持されている。
前記シリンダ部17の外周側で且つ左右方向外方側には、デフ出力軸2Aの軸芯を中心とする環状に形成され且つ左右方向外方に向けて(ブレーキディスク8に向けて)開放状となる環状溝からなるシリンダ室26が形成されている。
前記ブレーキピストン16は、デフ出力軸2Aを中心とするリング状に形成され、前記シリンダ室26に左右方向外方側から左右方向移動自在(出退自在)に挿入されていて、該ブレーキピストン16がシリンダ部17に左右方向(ブレーキディスク8に対して近接離反する方向)に移動自在に支持されている。
前記シリンダ部17の外周部で且つブレーキディスク8側(左右方向外方側)には、該シリンダ部17を周方向全周にわたって切り欠くことにより形成された環状の切欠部29が設けられている。
駐車ブレーキ用のカム駆動式押圧機構11は、ブレーキディスク8及びブレーキプレート9を左右方向内方側から押圧するカムプレート30(第2の押圧プレート)と、該カムプレート30をブレーキディスク8及びブレーキプレート9に押圧させるような推力を発生させるカム機構31と、カムプレート30をミッションケース側壁1A側に引き寄せて非作動位置に保持させる引張りバネ32とを備えている。
カムプレート30は、ミッションケース側壁1Aの左右方向外方側に配置されていて該側壁1Aに近接配置されていると共に前記シリンダ部17を囲繞するリング状に形成されており、シリンダ部17に外嵌されて該シリンダ部17にデフ出力軸2Aの軸芯回りに回動自在で且つ左右方向移動自在に支持されている。
また、油圧駆動式押圧機構10のシリンダ部17をミッションケース側壁1Aに取付固定することにより、従来のようなブレーキケースが不要とされると共に、該油圧駆動式押圧機構10の径方向外方側にカム駆動式押圧機構を設けることにより、ブレーキ装置7の左右方向の配置スペースが小さくなり、後車軸ケース4を左右方向内方側に寄せることができ、幅狭のトラクタを提供することができる。また、部品点数の削減によるコストダウンを図ることができる。
また、カムプレート30の前部の上下中央側には二股状の係合部30が形成され、この係合部30には係合レバー35が係合され、この係合レバー35には、後車軸ケース4を貫通して後車軸ケース4内に挿入された操作軸36の左右方向内端側がスプライン嵌合されており、この操作軸36の左右方向外端側には操作レバー37の上端側が固定されている。
また、駐車ブレーキ装置7を非操作位置に戻すことにより、戻しバネの付勢力によって操作レバー37、係合レバー35及びカムプレート30が元の位置に戻される。
前記カム機構31は、シリンダ部17の径方向外方側で且つカムプレート30と前記ミッションケース側壁1Aとの間に設けられており、本実施形態では、カムプレート30の周方向に間隔をおいて且つデフ出力軸2Aの軸芯を中心とする同一円周上に3カ所設けられている(なお、3カ所以上設けられていてもよい)。
このカム機構31は、ミッションケース側壁1Aに形成された球面状の凹部38と、この凹部38に左右方向内方側が嵌入されたボール39と、カムプレート30に形成されていて前記ボール39の左右方向外方側が嵌入されるカム溝40とを有する。
また、この引張りバネ32は、本実施形態では一対設けられていて、デフ出力軸2Aを挟む対称位置に配置されている。
また、引張りバネ32は、一端側がミッションケース側壁1Aに設けられた掛止部41に引っ掛けられて掛止され、他端側がカムプレート30に形成された挿通孔42を挿通してカムプレート30の左右方向外面側に設けられた掛止ピン43に引っ掛けられて掛止されており、該引張りバネ32の付勢力によってカムプレート30がミッションケース側壁1A側へと引き寄せられる。
引張りバネ32の他端側を引っ掛ける掛止ピン43は、カムプレート30の左右方向外面側に設けられていて左右方向外方に開放状の円形状凹部からなる収納穴44に収容されている。
前述したように、引張りバネ32の他端側をカムプレート30に形成した挿通孔42を挿通してカムプレート30の左右方向外面側に設けられた掛止ピン43に引っ掛けて掛止する構造とすることにより、カムプレート30の外周側端部を後車軸ケース4の内面側に近接させても、引張りバネ32が容易に組み付けることができ、ひいては、ブレーキピストン16の外周側にカム駆動式押圧機構11を容易に組み込むことができる。
1A ミッションケース側壁
2 後輪デフ装置
2A デフ出力軸
4 後車軸ケース
8 ブレーキディスク
16 ブレーキピストン(走行ブレーキ用押圧部材)
17 シリンダ部
29 切欠部
30 カムプレート(駐車ブレーキ用押圧部材)
31 カム機構
33 押圧部
Claims (4)
- ミッションケース(1)内に後輪デフ装置(2)を収納すると共にこの後輪デフ装置(2)の左右両側のミッションケース側壁(1A)に後車軸ケース(4)を取り付け、前記後輪デフ装置(2)から左右に延出するデフ出力軸(2A)を後車軸ケース(4)内に挿入し、ミッションケース側壁(1A)の左右方向外方で且つ後車軸ケース(4)内に、デフ出力軸(2A)と一体回動するブレーキディスク(8)と、該ブレーキディスク(8)の外周側に配置されたブレーキプレート(9)とを有する多板式の摩擦ブレーキ装置(7)を設け、
前記ブレーキディスク(8)とミッションケース側壁(1A)との間に、該ブレーキディスク(8)に対して左右方向で対向配置され且つ左右方向の軸心を中心とする環状に形成されたシリンダ部(17)を設け、このシリンダ部(17)の外周部に、走行時にデフ出力軸(2A)を制動すべく、油圧によって作動され且つブレーキプレート(9)に接当してブレーキディスク(8)を押圧するブレーキピストン(16)を設け、
このブレーキピストン(16)の、ブレーキディスク(8)径方向外方側に、駐車時にデフ出力軸(2A)を制動すべく、ブレーキプレート(9)に対するブレーキピストン(16)の接当部位よりもブレーキディスク(8)径方向外方側でブレーキプレート(9)に接当し且つ前記ブレーキピストン(16)とは独立してブレーキディスク(8)を押圧する駐車ブレーキ用押圧部材(30)を設けたことを特徴とするトラクタ。 - 前記シリンダ部(17)を、前記デフ出力軸(2A)の軸芯を中心とする環状に形成してミッションケース側壁(1A)に取り付け、前記駐車ブレーキ用押圧部材(30)は前記シリンダ部(17)を囲繞するリング状に形成されたカムプレート(30)によって構成され、このカムプレート(30)とミッションケース側壁(1A)との間に設けられていて、カムプレート(30)を円周方向に移動させることによりカムプレート(30)をブレーキディスク(8)に押圧させるような推力を発生させるカム機構(31)を前記シリンダ部(17)の径方向外方側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
- 前記シリンダ部(17)の外周部に、ブレーキディスク(8)に向けて開口する環状溝からなるシリンダ室(26)を形成し、このシリンダ室(26)にブレーキピストン(16)を挿入し、シリンダ部(17)に、シリンダ室(26)外周側を形成する壁部のブレーキディスク(8)側をシリンダ部(17)の外周面からブレーキピストン(16)に至るように切り欠いた切欠部(29)を周方向に形成し、
前記駐車ブレーキ用押圧部材(30)の、ブレーキプレート(9)に接当してブレーキディスク(8)を押圧する押圧部(33)を前記切欠部(29)に挿入状としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のトラクタ。 - 前記シリンダ部(17)をミッションケース側壁(1A)からブレーキディスク(8)に向けて突出するように該ミッションケース側壁(1A)に取り付け、該シリンダ部(17)の外周部に、前記カムプレート(30)を左右軸回りに回動自在で且つ左右方向移動自在に外嵌したことを特徴とする請求項2又は3に記載のトラクタ。
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