JP4863053B2 - 難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具の製造方法 - Google Patents

難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具の製造方法 Download PDF

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この発明は、硬質被覆層が、すぐれた高温硬さと耐熱性、さらにすぐれた高温強度を具備し、かつ表面平滑性にもすぐれた上部層と、本来具備する高温強度に比して一段と高温強度の向上した下部層で構成され、したがって特に切粉の粘性が高く、工具表面に溶着し易いステンレス鋼や高マンガン鋼、さらに軟鋼などの難削材(被削材)の切削加工を高熱発生を伴う高速切削条件で行った場合にも、前記被削材および切粉が高温に加熱されて粘性および溶着性が一段と増大し、これに伴なって硬質被覆層表面に対する切削抵抗が増すようになるにもかかわらず、前記硬質被覆層のもつすぐれた高温強度および表面平滑性によって前記硬質被覆層のチッピング(微少欠け)発生が著しく抑制され、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するようになる表面被覆サーメット製切削工具(以下、被覆サーメット工具という)の製造方法に関するものである。
従来、一般に、被覆サーメット工具として、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットで構成された基体(以下、これらを総称して工具基体という)の表面に、
)下部層が、いずれも化学蒸着形成された、Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
)上部層が、化学蒸着形成した状態で、α型の結晶構造を示し、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図4(a),(b)に概略説明図で示される通り、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、図5に例示される通り、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ1〜20μmの平均層厚を有する改質α型酸化アルミニウム層(以下、改質α型Al23層で示す)、
以上()および()で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる、被覆サーメット工具が知られており、この被覆サーメット工具は、各種の鋼や鋳鉄などの被削材の高速切削加工に用いられている。
また、上記の被覆サーメット工具の硬質被覆層を構成する改質α型Al23層が、まず、通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成−体積%で、AlCl:1〜5%、CO:5〜10%、HCl:0.3〜3%、CHCN:0.02〜0.1%、NO:0.02〜0.4%、H:残り、
反応雰囲気温度:800〜900℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
成膜時間:0.5〜2時間、
の条件で、望ましくは0.02〜0.5μmの平均層厚で種薄膜としてのAl23薄膜(以下、Al23種薄膜という)を形成し、このAl23種薄膜の上に従来α型Al23層の形成条件と同じ条件、すなわち、同じく通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成−体積%で、AlCl:1〜5%、CO:0.5〜10%、HCl:0.3〜3%、HS:0.02〜0.4%、H:残り、
反応雰囲気温度:950〜1100℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
の条件でα型Al23層を蒸着することにより形成され、この結果形成された改質α型Al23層は、α型Al23層自身が具備するすぐれた高温硬さおよび耐熱性を損なうことなく、前記従来α型Al23層に比して、一段とすぐれた高温強度を具備するようになり、一方前記従来α型Al23層は、図6に例示される通り、(0001)面の測定傾斜角の分布が0〜45度の範囲内で不偏的な傾斜角度数分布グラフを示すことも知られている。
さらに、上記の改質α型Al23層が、上記の通り、傾斜角度数分布グラフにおいて、傾斜角区分の特定位置にシャープな最高ピークが現れ、このシャープな最高ピークは、グラフ横軸の傾斜角区分に現れる高さが上記Al23種薄膜形成時の反応雰囲気温度および反応雰囲気圧力によって変化し、グラフ横軸の傾斜角区分位置が同じく反応ガスのCHCN含有量によって変化することも知られている。
特開2005−205586号公報
近年の切削加工装置の高性能化および自動化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は高速化し、かつ被削材の種類に限定されない汎用性のある被覆超硬工具が強く望まれる傾向にあるが、上記の従来被覆サーメット工具においては、これを低合金鋼や炭素鋼などの一般鋼、さらにダクタイル鋳鉄やねずみ鋳鉄などの普通鋳鉄の高速切削加工に用いた場合には問題はないが、これを特に切粉の粘性が高く、かつ工具表面に溶着し易いステンレス鋼や高マンガン鋼、さらに軟鋼などの難削材(被削材)の切削加工を高熱発生を伴う高速切削条件で行なうのに用いた場合には、前記被削材および切粉は高温に加熱されて粘性および溶着性が一段と増し、これに伴なって硬質被覆層表面に対する切削抵抗が急激に増大するようになるが、特に硬質被覆層の下部層を構成するTi化合物層のもつ高温強度が不十分であるために、切刃部にチッピングが発生し易くなり、さらに前記硬質被覆層の表面平滑性もチッピング発生に影響を及ぼすことから、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、上記の従来被覆サーメット工具の硬質被覆層を構成する、特にTi化合物層のうちのTiCN層(以下、従来TiCN層という)に着目し、これの高温強度を一段と向上させ、もって上記の難削材の高速切削加工条件でチッピング発生のない被覆サーメット工具を開発すべく研究を行った結果、
(a)上記の従来TiCN層は、通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成−体積%で、TiCl:2〜10%、CHCN:0.5〜3%、N:10〜30%、H:残り、
反応雰囲気温度:850〜950℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
の条件で形成されるが、上記従来TiCN層の形成に先だって、
反応ガス組成−体積%で、TiCl:0.2〜1%、C(メチルエチレン):1〜5%、N:20〜40%、H:残り、
反応雰囲気温度:700〜800℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
成膜時間:0.5〜3時間、
の条件で、望ましくは0.02〜0.5μmの平均層厚で種薄膜としてのTiCN薄膜(以下、種薄膜という)を形成し、この種薄膜の上に上記の従来TiCN層の形成条件と同じ条件でTiCN層を形成すると、形成時の前記TiCN層は、前記種薄膜の結晶配列に著しく影響を受け、これを十分に履歴するようになり、しかもこの結果形成されたTiCN層(以下、改質TiCN層という)は、上記の従来TiCN層に比して、一段とすぐれた高温強度を有し、高い切削抵抗を伴なう難削材の高速切削加工でもすぐれた耐チッピング性を発揮するようになること。
(b)上記の被覆サーメット工具の硬質被覆層の下部層を構成する改質TiCN層と従来TiCN層について、
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図1(a),(b)に概略説明図で示される通り、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフを作成した場合、前記従来TiCN層は、図3に例示される通り、{112}面の測定傾斜角の分布が0〜45度の範囲内で不偏的な傾斜角度数分布グラフを示すのに対して、前記改質TiCN層は、図2に例示される通り、傾斜角区分の特定位置にシャープな最高ピークが現れ、このシャープな最高ピークは、グラフ横軸の傾斜角区分に現れる高さが上記種薄膜形成時の反応雰囲気温度および反応雰囲気圧力によって変化し、グラフ横軸の傾斜角区分位置が同じく反応ガスのTiCl含有量によって変化すること。
(c)上記の通り、上記改質TiCN層形成用種薄膜形成に際して、上記反応ガスにおけるTiClの含有量を0.2〜1%とすることにより、上記改質TiCN層の傾斜角度数分布グラフで、シャープな最高ピークが傾斜角区分の0〜10度の範囲内に現れ、かつ、反応雰囲気温度を700〜800℃、反応雰囲気圧力を3〜13kPaとすることにより、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すようになるが、この場合、試験結果によれば、TiClの含有量が0.2%未満でも、またその含有量が1%を越えても、いずれの場合も上記改質TiCN層の傾斜角度数分布グラフで、最高ピークの傾斜角区分位置が10度を越えた位置に現れるようになり、この結果前記改質TiCN層に一段のすぐれた高温強度を確保することができなくなり、また、反応雰囲気温度および反応雰囲気圧力に関しては、温度が700℃未満でも、800℃を越えても、さらに圧力が3kPa未満でも、13kPaを越えても、前記改質TiCN層の傾斜角度数分布グラフにおける0〜10度の範囲内に存在する度数数割合が45%未満になってしまい、この場合も一段の高温強度の向上を図ることができないこと。
(d)一方、上記の被覆サーメット工具の硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al23層は、相対的に蒸着表面が粗く、これが原因で、特に上記難削材の高速切削加工では切刃部にチッピングが発生し易い原因ともなっている。そこで、前記改質α型Al23層の全面に、通常の化学蒸着装置を用い、通常の条件、例えば表3に示される条件で、いずれも0.1〜2.5μmの平均層厚を有する窒化チタン(以下、TiNで示す)層と炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)層の2層以上の交互積層を、0.4〜5μmの全体平均層厚で蒸着形成した状態で、
ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%の酸化アルミニウム微粒(以下、Al23微粒で示す)を配合した研磨液を噴射すると、上記TiN層とTiCN層の2層以上の交互積層(以下、個々にTiN研磨材層およびTiCN研磨材層と言い、これら全体をTiN/TiCN研磨材層で示す)は、前記Al23微粒によって粉砕微粒化し、TiN微粒およびTiCN微粒となって前記Al23微粒の共存下で研磨材として作用し、硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al23層の表面を研磨することになり、この結果研磨後の前記改質α型Al23層の表面は、準拠規格JIS・B0601−1994に基いた測定(以下の表面粗さは全てかかる準拠規格に基いた測定値を示す)で、Ra:0.2μm以下の表面粗さにまで平滑化されるようになり、この上部層である改質α型Al23層の表面がRa:0.2μm以下の表面粗さに平滑化した上記の被覆サーメット工具を用いて、難削材の高速切削加工を行った場合、350m/min.を越える切削速度でも切刃部におけるチッピング発生が防止され、前記硬質被覆層は長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するようになること。
(e)なお、この場合、上記改質α型Al23層の表面に、上記のTiN/TiCN研磨材層を形成することなく、これに同じくウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%のAl23微粒を配合した研磨液を直接噴射して、研磨しても、前記改質α型Al23層の表面は、Ra:0.3〜0.6μmの表面粗さにしか研磨されず、この結果の表面粗さがRa:0.3〜0.6μmの改質α型Al23層で上部層を構成し、下部層のうちの1層を上記の改質TiCN層で構成した被覆サーメット工具を用いても、切削速度が350m/min.を越えた難削材の高速切削加工では切刃部におけるチッピング発生を満足に抑制することはできないこと。
(f)以上の通り、硬質被覆層の上部層が上記改質α型Al23層で構成されると共に、前記改質α型Al23層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を研磨して、これら研磨面の表面粗さをRa:0.2μm以下とし、かつ下部層のうちの1層が一段と高温強度の向上した上記改質TiCN層からなるTi化合物層で構成された被覆サーメット工具は、特に切刃部にきわめて高い切削抵抗が加わる難削材の高速切削加工でも、前記硬質被覆層が著しくすぐれた高温強度を有し、さらに前記改質α型Al23層がすぐれた表面平滑性を具備することから、すぐれた耐チッピング性を発揮し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を示すようになること
以上(a)〜(f)に示される研究結果を得たのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、()WC基超硬合金またはTiCN基サーメットで構成された工具基体の表面に、
)下部層として
a−1)いずれも化学蒸着形成された、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1層または2層以上と、
a−2)同じく化学蒸着形成された、2.5〜15μmの平均層厚を有し、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質TiCN層、
からなり、かつ3〜20μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
)上部層として、化学蒸着形成した状態で、α型の結晶構造を示し、かつ電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ1〜20μmの平均層厚を有する改質α型Al23層、
以上()および()で構成された硬質被覆層を蒸着形成し、
ついで、上記硬質被覆層の上部層である改質α型Al23層の全面に、
いずれも0.1〜2.5μmの平均層厚を有するTiN研磨材層とTiCN研磨材層の2層以上の交互積層で構成され、かつ、0.4〜5μmの全体平均層厚を有するTiN/TiCN研磨材層を化学蒸着形成した状態で、
ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%のAl23微粒を配合した研磨液を噴射し、
上記のTiN/TiCN研磨材層が噴射研磨材であるAl 2 3 微粒の噴射により粉砕微粒化してなる粉砕化TiN微粒および粉砕化TiCN微粒と、噴射研磨材としてのAl23微粒の共存下で、上記硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al23層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を研磨して、これら研磨面の表面粗さをRa:0.2μm以下としてなる、
難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆サーメット工具の製造方法に特徴を有するものである。
以下に、この発明の被覆サーメット工具の製造方法において、硬質被覆層、研磨材層、さらにウエットブラストで用いられる研磨液のAl23微粒に関して、上記の通りに数値限定した理由を説明する。
(A)硬質被覆層
(a−1)Ti化合物層(下部層)
Ti化合物層は、自体が高温強度を有し、これの存在によって硬質被覆層が高温強度を具備するようになるほか、工具基体と上部層である改質α型Al23層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性向上に寄与する作用をもつが、その合計平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その合計平均層厚が20μmを越えると、特に高熱発生を伴なう高速切削加工では熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その合計平均層厚を3〜20μmと定めた。
(a−2)改質TiCN層(下部層)
上記の通り、上記改質TiCN層の種薄膜形成に際して、上記反応ガスにおけるTiClの含有量を0.2〜1%とすることにより、傾斜角度数分布グラフで、シャープな最高ピークが傾斜角区分の0〜10度の範囲内に現れ、かつ、反応雰囲気温度を700〜800℃、反応雰囲気圧力を3〜13kPaとすることにより、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質TiCN層が形成されるようになり、この結果として前記改質TiCN層はさらに一段とすぐれた高温強度を具備するようになるが、その平均層厚が2.5μm未満では所望のすぐれた高温強度を硬質被覆層に具備せしめることができず、一方その平均層厚が15μmを越えると、偏摩耗の原因となる熱塑性変形が発生し易くなり、摩耗が加速するようになることから、その平均層厚を2.5〜15μmと定めた。
(a−3)改質α型Al23層(上部層)
改質α型Al23層は、傾斜角度数分布グラフで、シャープな最高ピークが傾斜角区分の0〜10度の範囲内に現れ、かつ前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、この結果すぐれた高温強度を具備し、耐チッピング性の向上が図られるようになる外、Al23層自身のもつすぐれた高温硬さと耐熱性によって、硬質被覆層の耐摩耗性向上に寄与するが、その平均層厚が1μm未満では、硬質被覆層に十分な耐摩耗性を発揮せしめることができず、一方その平均層厚が20μmを越えて厚くなりすぎると、チッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜20μmと定めた。
(B)TiN/TiCN研磨材層
上記の通り、TiN/TiCN研磨材層は、ウエットブラスト時に、研磨液に噴射研磨材として配合したAl23微粒によって粉砕微粒化し、TiN微粒およびTiCN微粒となって前記Al23微粒との共存下で研磨材として作用し、硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al23層の表面を研磨するが、この場合、個々の研磨材層の平均層厚が0.1μm未満であったり、TiN/TiCN研磨材層の全体平均層厚が0.4μm未満であったりすると、ウエットブラスト時における粉砕化TiN微粒および粉砕化TiCN微粒の割合が少な過ぎて、研磨機能を十分に発揮することができず、一方、個々の研磨材層の平均層厚が2.5μmを越えたり、TiN/TiCN研磨材層の全体平均層厚が5μmを越えたりすると、研磨液に噴射研磨材として配合したAl23微粒とのバランスがくずれて、相対的に多くなり過ぎ、この場合も研磨機能が急激に低下するようになり、いずれの場合もα型Al23層の表面をRa:0.2μm以下の表面粗さに研磨することができなくなるという理由で、個々の研磨材層の平均層厚を0.1〜2.5μm、その全体平均層厚を0.4〜5μmと定めた。
(C)研磨液のAl23微粒
研磨液のAl23微粒には、ウエットブラスト時にTiN/TiCN研磨材層の粉砕化TiN微粒および粉砕化TiCN微粒と共存した状態で、改質α型Al23層の表面を研磨する作用があるが、その割合が水との合量に占める割合で15質量%未満でも、また60質量%を越えても研磨機能が急激に低下するようになることから、その割合を15〜60質量%と定めた。
この発明の方法によって製造された被覆サーメット工具は、硬質被覆層の下部層を構成するTi化合物層のうちの1層を一段と高温強度のすぐれた改質TiCN層、そして同じく上部層もすぐれた高温硬さおよび耐熱性に加えて、すぐれた高温強度も具備した改質α型Al23層で構成し、さらに前記改質α型Al23層の表面をRa:0.2μm以下の表面粗さに研磨することにより、特に切粉の粘性が高く、かつ工具表面に溶着し易いステンレス鋼や高マンガン鋼、さらに軟鋼などの難削材(被削材)の切削加工を高熱発生を伴う高速切削条件で行ない、前記被削材および切粉が高温に加熱されて粘性および溶着性が一段と増大し、これに伴なって硬質被覆層表面に対する切削抵抗が増すようになっても、前記硬質被覆層のもつすぐれた高温強度および平滑な表面粗さによって前記硬質被覆層のチッピングが著しく抑制され、すぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
つぎに、この発明の被覆サーメット工具の製造方法を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr32粉末、TiN粉末、TaN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことにより、中心部に工具取り付け用貫通孔を有する形式で、ISO規格にCNMG120412として規定されるスローアウエイチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜Fをそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比でTiC/TiN=50/50)粉末、Mo2C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1540℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことにより、工具本体にクランプ駒による挟み締めにより取り付けられる穴なし形式で、ISO規格にCNMN120412として規定されるスローアウエイチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体a〜fを形成した。
つぎに、これらの工具基体A〜Fおよび工具基体a〜fの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表3に示される条件にて、硬質被覆層の下部層としてTi化合物層を形成し、この場合、前記Ti化合物層のうちの改質TiCN層を形成するに際しては、まず表4に示される条件、すなわち試験結果に基づいて定められた目標改質TiCN層に対応した種薄膜a〜kのいずれかを表7に示される組み合わせで形成し、引続いて、上記の通り表3に示される従来TiCN層の形成条件と同じ条件で改質TiCN層を、同じく表7に示される目標層厚で蒸着形成し、ついで、まず表5に示される条件、すなわち試験結果に基づいて定められた目標改質α型Al23層に対応した種薄膜A〜Kのいずれかを同じく表7に示される組み合わせで形成し、引続いて、上記の通り表3に示される従来α型Al23層の形成条件と同じ条件で改質α型Al23層を同上部層として、表7に示される目標層厚で蒸着形成し、さらに、同じく表3に示されるTiN研磨材層およびTiCN研磨材層形成条件でTiN/TiCN研磨材層を、同じく表8に示される積層数および目標層厚で蒸着形成し、
引き続いて、表6に示されるブラスト条件で、かつ表8に示される組み合わせでウエットブラストを施して、上記工具基体A〜Fについては、工具取り付け用中心孔周辺部にTiN/TiCN研磨材層を存在させた状態、また、上記の工具基体a〜fについては、クランプ駒当接面部分(すくい面中心部)にTiN/TiCN研磨材層を存在させた状態で、前記改質α型Al23層(上部層)の切刃稜線部を含むすくい面および逃げ面を、同じく表8に示される表面粗さに研磨することにより本発明被覆サーメット工具1〜13をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、表9に示される通り、本発明被覆サーメット工具1〜13の硬質被覆層の下部層を構成する改質TiCN層に代って表3に示される条件で従来TiCN層を蒸着形成し、かつ上記のTiN/TiCN研磨材層の形成およびウエットブラストによる表面研磨処理を行わない以外は同一の条件で従来被覆サーメット工具1〜13をそれぞれ製造した。
ついで、上記の本発明被覆サーメット工具と従来被覆サーメット工具の硬質被覆層を構成する改質TiCN層および従来TiCN層、さらに改質α型Al23層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用いて、傾斜角度数分布グラフをそれぞれ作成した。
すなわち、上記傾斜角度数分布グラフは、上記の改質TiCN層および従来TiCN層、さらに改質α型Al23層の表面を研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、前記表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子(TiCN)または六方晶結晶格子(Al23)を有する結晶粒個々に照射して、電子後方散乱回折像装置を用い、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面(TiCN層)または(0001)面(Al23層)の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果に基づいて、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより作成した。
この結果得られた各種の改質TiCN層および従来TiCN層、さらに各種の改質α型Al23層の傾斜角度数分布グラフにおいて、{112}面または(0001)面が最高ピークを示す傾斜角区分、並びに0〜10度の範囲内の傾斜角区分内に存在する傾斜角度数の傾斜角度数分布グラフ全体の傾斜角度数に占める割合をそれぞれ表10,11にそれぞれ示した。
上記の各種の傾斜角度数分布グラフにおいて、表10,11にそれぞれ示される通り、本発明被覆サーメット工具の改質TiCN層および改質α型Al23層は、いずれも{112}面および(0001)面の測定傾斜角の分布が0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが現れ、かつ0〜10度の範囲内の傾斜角区分内に存在する傾斜角度数の割合が45%以上である傾斜角度数分布グラフを示すのに対して、従来被覆サーメット工具の改質α型Al23層は、同じく(0001)面の測定傾斜角の分布が0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが現れ、かつ0〜10度の範囲内の傾斜角区分内に存在する傾斜角度数の割合が45%以上である傾斜角度数分布グラフを示すが、従来TiCN層は、いずれも{112}面の測定傾斜角の分布が0〜45度の範囲内で不偏的で、最高ピークが存在せず、0〜10度の範囲内の傾斜角区分内に存在する傾斜角度数の割合も30%以下である傾斜角度数分布グラフを示すものであった。
なお、図2は、本発明被覆サーメット工具1の改質TiCN層の傾斜角度数分布グラフ、図3は、従来被覆サーメット工具1の従来TiCN層の傾斜角度数分布グラフ、、図5は、本発明被覆サーメット工具1の改質α型Al23層の傾斜角度数分布グラフ、図6は、従来被覆サーメット工具1の改質α型Al23層の傾斜角度数分布グラフをそれぞれ示すものである。
さらに、上記の本発明被覆サーメット工具1〜13および従来被覆サーメット工具1〜13について、これの硬質被覆層の下部層と上部層の構成層を電子線マイクロアナライザー(EPMA)およびオージェ分光分析装置を用いて観察(層の縦断面を観察)したところ、いずれも目標組成と実質的に同じ組成を有することが確認され、また、これらの被覆サーメット工具の硬質被覆層の構成層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて測定(同じく縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
つぎに、上記の本発明被覆サーメット工具1〜13および従来被覆サーメット工具1〜13をいずれも工具鋼製バイトの先端部に取り付けた状態で、
被削材:JIS・SUS430の丸棒、
切削速度:390m/min、
切り込み:1.5mm、
送り:0.25mm/rev、
切削時間:5分、
の条件(切削条件A)でのステンレス鋼の乾式高速連続切削試験(通常の切削速度は200m/min)、
被削材:JIS・SMn443Hの長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:370m/min、
切り込み:1.5mm、
送り:0.2mm/rev、
切削時間:6分、
の条件(切削条件B)での高マンガン鋼の乾式高速断続切削試験(通常の切削速度は180m/min)、
被削材:JIS・SS490の丸棒、
切削速度:400m/min、
切り込み:2mm、
送り:0.3mm/rev、
切削時間:7分、
の条件(切削条件C)での軟鋼の乾式高速連続切削試験(通常の切削速度は200m/min)を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表12に示した。
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表7〜12に示される結果から、本発明被覆サーメット工具1〜13は、いずれも硬質被覆層の下部層であるTi化合物層のうちの1層が、{112}面の傾斜角が0〜10度の範囲内の傾斜角区分で最高ピークを示すと共に、前記0〜10度の傾斜角区分範囲内に存在する度数の合計割合が45%以上を占める傾斜角度数分布グラフを示し、一段と高温強度の向上した改質TiCN層で構成され、さらに、(0001)面の傾斜角が0〜10度の範囲内の傾斜角区分で最高ピークを示すと共に、前記0〜10度の傾斜角区分範囲内に存在する度数の合計割合が45%以上を占める傾斜角度数分布グラフを示し、この結果すぐれた高温硬さおよび耐熱性に加えて、高温強度の向上したものとなる改質α型Al23層で上部層が構成され、かつ、前記改質α型Al23層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分の表面がRa:0.2μm以下の表面粗さに研磨され、耐チッピング性向上に寄与することと相俟って、特に切刃部にきわめて高い切削抵抗が加わる難削材の高速切削加工でも、切刃部におけるチッピング発生が著しく抑制され、すぐれた耐摩耗性を示すのに対して、硬質被覆層の下部層であるTi化合物層のうちの1層が、{112}面の測定傾斜角の分布が0〜45度の範囲内で不偏的で、最高ピークが存在しない傾斜角度数分布グラフを示す従来TiCN層で構成され、かつ上部層が表面平滑性の低い改質α型Al23層で構成された従来被覆サーメット工具1〜13においては、いずれも難削材の高速切削加工では硬質被覆層の高温強度が不十分であるために、表面平滑性の低い外部層と相俟って、切刃部にチッピングが発生し、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の方法によって製造された被覆サーメット工具は、各種鋼や鋳鉄などの高速切削加工は勿論のこと、特に硬質被覆層にすぐれた高温強度および表面平滑性が要求される難削材の高速切削加工でも、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するものであるから、切削装置の高性能化並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
硬質被覆層の下部層を構成するTiCN層における結晶粒の{112}面の傾斜角の測定範囲を示す概略説明図である。 本発明被覆サーメット工具1の硬質被覆層の下部層を構成する改質TiCN層の{112}面の傾斜角度数分布グラフである。 従来被覆サーメット工具1の硬質被覆層の下部層を構成する従来TiCN層の{112}面の傾斜角度数分布グラフである。 硬質被覆層を構成するα型Al23層における結晶粒の(0001)面の傾斜角の測定範囲を示す概略説明図である。 本発明被覆サーメット工具1の硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al23層の(0001)面の傾斜角度数分布グラフである。 従来被覆サーメット工具1の硬質被覆層の上部層を構成する改質α型Al23層の(0001)面の傾斜角度数分布グラフである。

Claims (1)

  1. )炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
    )下部層として
    a−1)いずれも化学蒸着形成された、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上と、
    a−2)同じく化学蒸着形成された、2.5〜15μmの平均層厚を有し、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質炭窒化チタン層、
    からなり、かつ3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
    )上部層として、化学蒸着形成した状態で、α型の結晶構造を示し、かつ電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ1〜20μmの平均層厚を有する改質α型酸化アルミニウム層、
    以上()および()で構成された硬質被覆層を蒸着形成し、
    )ついで、上記硬質被覆層の上部層である改質α型酸化アルミニウム層の全面に、
    いずれも0.1〜2.5μmの平均層厚を有する窒化チタン層と炭窒化チタン層の2層以上の交互積層で構成され、かつ、0.4〜5μmの全体平均層厚を有する研磨材層を化学蒸着形成した状態で、
    ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%の酸化アルミニウム微粒を配合した研磨液を噴射し、
    上記の研磨材層が噴射研磨材である酸化アルミニウム微粒の噴射により粉砕微粒化してなる粉砕化窒化チタン微粒および粉砕化炭窒化チタン微粒と、噴射研磨材としての酸化アルミニウム微粒の共存下で、上記硬質被覆層の上部層を構成する改質α型酸化アルミニウム層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を研磨して、これら研磨面の表面粗さを準拠規格JIS・B0601−1994に基いた測定で、Ra:0.2μm以下としたこと、
    を特徴とする難削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具の製造方法
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