JP4844873B2 - 高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆サーメット製切削スローアウエイチップの製造方法 - Google Patents

高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆サーメット製切削スローアウエイチップの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、特に硬質被覆層にチッピング(微小欠け)の発生なく、かつこれの上部層を構成する酸化アルミニウム層(以下、Al23層で示す)が、各種の鋼や鋳鉄などの切削加工を高速で行った場合にも、すぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆サーメット製切削スローアウエイチップ(以下、被覆切削チップという)の製造方法に関するものである。
従来、一般に、例えば図13に概略斜視図に例示される通り、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットで構成され、かつ中心部に工具取り付け用ボルト貫通孔(取り付けがクランプ駒による挟み締めで行われる形式の場合には、前記ボルト貫通孔が存在しない形状となる)を有するサーメット基体(以下、これらを総称してチップ基体という)の切刃稜線部を含むすくい面および逃げ面の全面に、
a−1)下部層として、いずれも化学蒸着形成された、Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
a−2)上部層として、1〜15μmの平均層厚を有し、かつ化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有するAl23層(以下、従来Al23層という)、
以上(a−1)および(a−2)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆切削チップが知られており、この被覆切削チップが、例えば各種の鋼や鋳鉄などの連続切削や断続切削に用いられることは良く知られている。
また、一般に、上記の被覆切削チップの硬質被覆層を構成するTi化合物層や従来Al23層が粒状結晶組織を有し、さらに、前記Ti化合物層を構成するTiCN層を、層自身の強度向上を目的として、通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の中温温度域で化学蒸着することにより形成して縦長成長結晶組織をもつようにすることも知られている。
特開平6−31503号公報 特開平6−8010号公報
近年の切削装置の高性能化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は一段と高速化する傾向にあるが、上記の従来被覆切削チップにおいては、これを鋼や鋳鉄などの通常の条件での連続切削や断続切削に用いた場合には問題はないが、特にこれを高速切削条件で用いた場合には、特に硬質被覆層を構成する従来Al23層の耐摩耗性が不十分であることから、摩耗が急速に進行するようになり、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、上記の従来Al23層が硬質被覆層の上部層を構成する被覆切削チップに着目し、特に前記従来Al23層の耐摩耗性向上を図るべく研究を行った結果、
(a−1)上記の従来被覆切削チップの硬質被覆層の上部層としての従来Al23層は、一般に、通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成:容量%で、AlCl3:1〜5%、CO2:3〜7%、HCl:0.3〜3%、H2S:0.02〜0.4%、H2:残り、
反応雰囲気温度:950〜1100℃、
反応雰囲気圧力:6〜13kPa、
の条件(以下、通常条件という)で形成されるが、この通常条件形成の従来Al23層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図1(a),(b)に概略説明図で示される通り、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、45〜90度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフを作成すると、図3に例示される通り、(0001)面の測定傾斜角の分布が45〜90度の範囲内で不偏的な傾斜角度数分布グラフを示すこと。
(a−2)一方、同じく通常の化学蒸着装置を用い、
反応ガス組成:容量%で、AlCl3:1〜5%、CO2:3〜7%、HCl:0.3〜3%、SF:0.1〜1%、H2:残り、
反応雰囲気温度:750〜900℃、
反応雰囲気圧力:55〜80kPa、
の条件、すなわち上記の従来Al23層形成条件に比して、相対的に低温高圧条件で、かつ反応ガスとして、H2Sに代ってSFを使用する条件でAl23層を形成すると、この結果形成されたAl23層は、同じくα型の結晶構造を有するが、これを、同じく電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図1(a),(b)に示される通り、同じく表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、45〜90度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで現した場合、図2に例示される通り、傾斜角区分の特定位置にシャープな最高ピークが現れ、試験結果によれば、化学蒸着装置における反応雰囲気圧力を、上記の通り55〜80kPaの範囲内で変化させると、上記シャープな最高ピークの現れる位置が傾斜角区分の83〜90度の範囲内で変化すると共に、前記83〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占めるようになり、この結果の傾斜角度数分布グラフにおいて83〜90度の範囲内に傾斜角区分の最高ピークが現れるα型Al23層(以下、改質Al23層という)は、上記の通常条件形成の従来Al23層に比して、一段とすぐれた耐摩耗性を示すようになること。
(b−1)一方、図11に概略斜視図で例示される通り、硬質被覆層の上部層を構成する改質Al23層の切刃稜線部を含むすくい面および逃げ面の全面に、
(b−1−1)まず、下側層として、反応ガス組成を、体積%で、
TiCl4:0.2〜10%、
CO2:0.1〜10%、
Ar:5〜60%、
2:残り、
とし、かつ、
反応雰囲気温度:800〜1100℃、
反応雰囲気圧力:4〜70kPa(30〜525torr)、
とした条件で、0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、オージェ分光分析装置で測定して、Tiに対する酸素の割合が原子比で1.25〜1.90、即ち、
組成式:TiOW
で表わした場合、
W:原子比で1.25〜1.90、
を満足する酸化チタン層を形成し、
(b−1−2)ついで、上記酸化チタン層(下側層)の上に、上側層として、通常の条件、即ち、反応ガス組成を、体積%で、
TiCl4:0.2〜10%、
2:4〜60%、
2:残り、
とし、かつ、
反応雰囲気温度:800〜1100℃、
反応雰囲気圧力:4〜90kPa(30〜675torr)、
とした条件で、0.05〜2μmの平均層厚を有するTiN層を形成すると、
(b−1−3)上記TiN層(上側層)形成時に、上記下側層を構成する酸化チタン層の酸素が拡散してきて前記上側層(TiN層)が、窒酸化チタン層で構成されるようになるが、この場合上記上側層(前記窒酸化チタン層)形成後の上記下側層である酸化チタン層は、厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、酸素の割合がTiに対する原子比で1.2〜1.7、すなわち、
組成式:TiOX
で表わした場合、
X:原子比で1.2〜1.7、
を満足する酸化チタン層となり、
(b−1−4)また、上記窒酸化チタン層で構成された上側層は、同じく厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、拡散酸素の割合が窒素(N)に対する原子比で0.01〜0.4、即ち、
組成式:TiN1-Y(O)Y
で表わした場合(ただし、(O)上側層の蒸着形成時における上記下側層である酸化チタン層からの拡散酸素を示す)、
Y:原子比で0.01〜0.4、
を満足する窒酸化チタン層となること。
(b−2)上記窒酸化チタン層(上側層)および酸化チタン層(下側層)を蒸着形成した状態で、
上記蒸着表面に、ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%の酸化アルミニウム微粒(以下、Al23微粒で示す)を配合した研磨液を噴射すると、上記窒酸化チタン層および酸化チタン層は、前記Al23微粒によって粉砕微粒化し、窒酸化チタン微粒および酸化チタン微粒となって前記Al23微粒の共存下で研磨材として作用し、図12に概略斜視図で例示される通り、硬質被覆層の上部層を構成する改質Al23層の表面を研磨することになり、この結果研磨後の前記改質Al23層の表面は、いずれも準拠規格JIS・B0601−1994に基いた測定(以下の表面粗さは全てかかる準拠規格に基いた測定値を示す)で、Ra:0.2μm以下の表面粗さにまで平滑化されるようになり、前記改質Al23層の表面がRa:0.2μm以下の表面粗さに平滑化されると、硬質被覆層の耐チッピング性に顕著な向上効果が現れるようになること。
(c−1)一方、上記の硬質被覆層は、化学蒸着装置で、約1000℃前後の反応温度でチップ基体表面に蒸着され、常温に冷却されることにより形成されるが、常温への冷却過程で、前記チップ基体の熱膨張係数に比して前記硬質被覆層の熱膨張係数の方が相対的に大きいので、前記硬質被覆層には引張の応力が残留するようになり、この硬質被覆層中の残留引張応力は高速切削加工ではチッピング発生を促進するように作用すること。
(c−2)これに対して、単一基本形状マーク、例えば円形や三角形および四角形、さらにこれらの類似形などの単一基本形状マークを、上記の被覆切削チップのすくい面および逃げ面のいずれか、またはこれら両面の全面に亘って、レーザービームを用いて、例えば図4〜10に前記単一基本形状マークを円形とした場合の実施例が概略斜視図で示される通り、前記単一基本形状マークおよび前記単一基本形状マークの集合マークのいずれか、または両方が分散分布し(この場合、図4〜6に例示のものは硬質被覆層の層厚が相対的に薄く、図7,8および図9,10に例示されるに従って層厚が厚くなる場合の分布態様を示す)、かつ前記単一基本形状マークを、上記硬質被覆層の構成層のうちのいずれかの層が露出した掘下げ面とした条件(この場合の前記単一基本形状マークの露出面の掘下げ深さは前記硬質被覆層の層厚に対応して個々に調整されるが、残留応力の効率的低減を図るには層厚の5〜20%に相当する深さが目安とされる)でレーザービーム照射模様を形成すると、前記硬質被覆層の残留応力が著しく低減するようになり、この硬質被覆層残留応力低減模様の形成によって、特に高速切削加工に際しての硬質被覆層のチッピング発生が著しく抑制されるようになること。
(d)したがって、硬質被覆層の上部層を、表面研磨面の測定で、(0001)面の測定傾斜角の分布が83〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記83〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質Al23層で構成することによって耐摩耗性が一段と向上し、さらに前記改質Al23層の表面をRa:0.2μm以下の表面粗さに平滑化すると共に、硬質被覆層残留応力低減模様の形成によって、硬質被覆層の耐チッピング性も向上するようになることから、かかる構成の硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆切削チップは、切削加工を高速条件で行なっても、硬質被覆層の上部層が、同じく(0001)面の測定傾斜角の分布が45〜90度の範囲内で不偏的な傾斜角度数分布グラフを示す前記従来Al23層で構成された従来被覆切削チップに比して、硬質被覆層にチッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するようになること。
以上(a)〜(d)に示される研究結果を得たのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)チップ基体の切刃稜線部を含むすくい面および逃げ面の全面に表面に、
a−1)下部層として、いずれも化学蒸着形成された、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
a−2)上部層として、1〜15μmの平均層厚を有し、かつ、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、45〜90度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで現した場合、83〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記83〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質Al23層、
以上(a−1)および(a−2)で構成された硬質被覆層を蒸着形成し、
ついで、上記硬質被覆層の上部層である改質Al23層の全面に、
(b−1)下側層として、0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:TiOX
で表わした場合、厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、
X:原子比で1.2〜1.7、
を満足する酸化チタン層、
(b−2)上側層として、0.05〜2μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:TiN1-Y(O)Y
で表わした場合(ただし、(O)は上側層の蒸着形成時における上記下側層であるTi酸化物層からの拡散酸素を示す)、同じく厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、
Y:原子比で0.01〜0.4、
を満足する窒酸化チタン層、
以上(b−1)および(b−2)で構成された研磨材層を蒸着形成した状態で、
)ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%のAl23微粒を配合した研磨液を噴射し、
上記の研磨材層が噴射研磨材であるAl 2 3 微粒の噴射により粉砕微粒化してなる粉砕化酸化チタン微粒よび粉砕化窒酸化チタン微粒と、噴射研磨材としてのAl23微粒の共存下で、上記硬質被覆層の上部層を構成する改質Al23層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を研磨して、これら研磨面の表面粗さをRa:0.2μm以下とし、
)さらに、上記研磨面のすくい面および逃げ面のいずれか、またはこれら両面の全面に亘って、単一基本形状マークおよび前記単一基本形状マークの集合マークのいずれか、または両方が分散分布してなると共に、前記単一基本形状マークを、上記硬質被覆層の構成層のうちのいずれかの層が露出した掘下げ面とした硬質被覆層残留応力低減模様をレーザービーム照射形成してなる、
硬質被覆層が高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮する被覆切削チップの製造方法に特徴を有するものである。
以下に、この発明の被覆切削チップの製造方法において、硬質被覆層、研磨材層、さらにウエットブラストで用いられる研磨液のAl 2 3 微粒に関して、上記の通りに数値限定した理由を説明する。
)硬質被覆層
(a−1)Ti化合物層(下部層)
Ti化合物層は、基本的には改質Al23層の下部層として存在し、自身の具備するすぐれた高温強度によって硬質被覆層が高温強度を具備するようにするほか、チップ基体と改質Al23層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層のチップ基体に対する密着性向上に寄与する作用を有するが、その平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その平均層厚が20μmを越えると、特に高熱発生を伴なう高速切削では熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その平均層厚を3〜20μmと定めた。
(a−2)改質Al23層(上部層)
上記の通り、改質Al23層の傾斜角度数分布グラフにおける測定傾斜角の最高ピーク位置は、化学蒸着装置における反応雰囲気圧力を変化させることによって変化するが、試験結果によれば、前記反応雰囲気圧力を、55〜80kpaとすると、最高ピークが、83〜90度の範囲内の傾斜角区分に現れると共に、前記83〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すようになるものであり、したがって、前記反応雰囲気圧力が前記範囲から低い方に外れても、また高い方に外れても、測定傾斜角の最高ピーク位置は83〜90度の範囲から外れてしまい、このような場合には所望のすぐれた耐摩耗性を確保することができないものである。
また、改質Al23層全体の平均層厚が1μm未満では、これのもつすぐれた特性を十分に発揮させることができず、一方その平均層厚が15μmを越えて厚くなりすぎると、切刃部にチッピング(微少欠け)が発生し易くなることから、その全体平均層厚を1〜15μmと定めた。
)研磨材層
上側層を構成する窒酸化チタン層は、上記の通り、まず、酸素の割合をTiに対する原子比で1.25〜1.90(W値)とした酸化チタン層を形成し、ついで、前記酸化チタン層の上に通常の条件でTiN層を蒸着することにより形成されるものであり、したがって前記TiN層形成時における前記酸化チタン層からの酸素の拡散が不可欠となるが、前記酸化チタン層のW値が1.25未満であると、前記TiN層への酸素の拡散反応が急激に低下し、上側層における拡散酸素の割合(Y値)を原子比で0.01以上にすることができず、一方同W値が1.複合酸化物層90を越えると、前記上側層における拡散酸素の割合(Y値)が原子比で0.40を越えて多くなってしまうことから、W値を1.25〜1.90と定めたものであり、この場合上側層形成後の下側層(酸化チタン層)における酸素の割合(X値)は原子比で1.2〜1.7の範囲内の値をとるようになる、言い換えれば上側層形成後の下側層のX値が1.2〜1.7を満足する場合に、前記上側層のY値は0.01〜0.40を満足するものとなる。
また、この場合、下側層のX値および上側層のY値をそれぞれ1.2〜1.7および0.01〜0.40と定めたのは、前記X値およびY値が前記の値をとった場合に、これら研磨材層のウエットブラスト時における粉砕微粒化が好適な状態で行なわれ、すぐれた研磨機能を十分に発揮することが多くの試験結果から得られ、これらの試験結果に基いて定めたものである。したがって、前記X値およびY値がそれぞれ1.2〜1.7および0.01〜0.40の範囲から外れると、前記研磨材層のウエットブラスト時における粉砕微粒化が満足に行なわれず、すぐれた研磨機能を期待することができない。
さらに、上側層および下側層の平均層厚を、それぞれ0.05〜2μmおよび0.1〜3μmとしたのは、その平均層厚が0.05μm未満および0.1μm未満では、ウエットブラスト時における下側層の粉砕化酸化チタン微粒、上側層の粉砕化窒酸化チタン微粒の割合が少な過ぎて、研磨機能を十分に発揮することができず、一方、その平均層厚がそれぞれ2μmおよび3μmを越えても、研磨機能が急激に低下するようになり、いずれの場合も複合酸化物層の表面をRa:0.2μm以下の表面粗さに研磨することができなくなるという理由にもとづくものである。
)研磨液のAl23微粒の割合
研磨液のAl23微粒には、ウエットブラスト時に研磨材層を構成する下側層の粉砕化酸化チタン微粒および上側層の粉砕化窒酸化チタン微粒と共存した状態で、改質複合酸化物層の表面を研磨する作用があるが、その割合が水との合量に占める割合で15質量%未満でも、また60質量%を越えても研磨機能が急激に低下するようになることから、その割合を15〜60質量%と定めた。
この発明の方法で製造された被覆切削チップは、硬質被覆層の上部層が、表面研磨面の測定で、(0001)面の測定傾斜角の分布が83〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記83〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、この結果耐摩耗性が一段と向上したものとなる改質Al23層で構成され、さらに前記改質Al23層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分が、Ra:0.2μm以下の表面粗さに研磨されると共に、前記研磨面のすくい面および逃げ面のいずれか、またはこれら両面の全面に亘って、レーザービーム照射形成された硬質被覆層残留応力低減模様によって、硬質被覆層の耐チッピング性が著しく向上したものになることから、各種の鋼や鋳鉄などの切削加工を高速で行っても、チッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性を発揮し、使用寿命の一層の延命化を可能とするものである。
つぎに、この発明の被覆切削チップの製造方法を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも0.5〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3 2 粉末、TiN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.05mmのホーニング加工を施すことによりISO・CNMG120408に規定するスローアウエイチップ形状をもったWC基超硬合金製のチップ基体A〜Fをそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比で、TiC/TiN=50/50)粉末、Mo2 C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1540℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体a〜fを形成した。
ついで、これらの工具基体A〜Fおよび工具基体a〜fのそれぞれを、通常の化学蒸着装置に装入し、
(a)まず、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される条件にて、表6に示される組み合わせおよび目標層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成し、
ついで、表3に示される低温高圧条件で、同じく表6に示される組み合わせおよび目標層厚で、上部層である改質Al23層を蒸着形成し、
(b)ついで、上記硬質被覆層の上部層を構成する改質Al23層の全面に、研磨材層の下側層形成用酸化チタン層[TiO(1)〜(6)のいずれか]を表4に示される条件で形成した後、上側層形成用窒化チタン層(TiN層)を同じく表4に示される条件で、表7に示される目標層厚で蒸着形成して、同じく表7に示される組成、すなわち厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、それぞれ表7に示されるX値およびY値の下側層および上側層からなる研磨材層を形成し(図11参照)、
(c)引き続いて、上記の下側層および上側層からなる研磨材層形成の被覆切削チップに、表5に示されるブラスト条件で、かつ表7に示される組み合わせでウエットブラストを施して、工具取り付け孔周辺部に研磨材層を存在させた状態で、前記改質Al23層の切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を、同じく表7に示される表面粗さに研磨し(図12参照)、
(d)さらに、レーザービーム照射装置を用い、上記表面研磨の硬質被覆層に、
レーザービーム出力:10W、
単一基本形状マークの形状:直径が0.5mmの円形、
硬質被覆層残留応力低減模様:図4〜10に示される実施模様のうちのいずれかを表7に示される組み合わせで適用、
単一基本形状マークの露出面の掘下げ深さ:表7に硬質被覆層の全目標層厚に対する割合で示される深さ、
の条件で硬質被覆層残留応力低減模様を形成することにより本発明被覆切削チップ1〜13をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、硬質被覆層の下部層を上記本発明被覆切削チップ1〜13のそれぞれと同じ条件で蒸着形成し、さらに同上部層として、表3に示される通常条件で、表8に示される組み合わせおよび目標層厚で、従来Al23層を蒸着形成し、上記のウエットブラストおよび硬質被覆層残留応力低減模様の形成を行なわずに従来被覆切削チップ1〜13をそれぞれ製造した。
ついで、上記の本発明被覆切削チップ1〜13および従来被覆切削チップ1〜13の硬質被覆層の上部層を構成する改質Al23層および従来Al23層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用いて、傾斜角度数分布グラフをそれぞれ作成した。
すなわち、上記傾斜角度数分布グラフは、上記改質Al23層および従来Al23層のそれぞれの表面を研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、それぞれの前記研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に照射して、電子後方散乱回折像装置を用い、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果に基づいて、前記測定傾斜角のうち、45〜90度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより作成した。
この結果得られた各種のAl23層の傾斜角度数分布グラフにおいて、表6,8にそれぞれ示される通り、本発明被覆切削チップ1〜13の改質Al23層は、(0001)面の測定傾斜角の分布が、83〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが現れ、かつ前記83〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すのに対して、従来被覆切削チップ1〜13の従来Al23層は、(0001)面の測定傾斜角の分布が45〜90度の範囲内で不偏的で、最高ピークが存在せず、かつ前記80〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、度数全体の30%以下である傾斜角度数分布グラフを示すものであった。
また表6,8には、上記の各種のAl23層の傾斜角度数分布グラフにおいて、それぞれ83〜90度の範囲内の傾斜角区分に存在する全傾斜角度数の傾斜角度数分布グラフ全体に占める割合を示した。
なお、図2は、本発明被覆切削チップ1の改質Al23層の傾斜角度数分布グラフ、図3は、従来被覆切削チップ1の従来Al23層の傾斜角区分を示す傾斜角度数分布グラフである。
また、この結果得られた本発明被覆切削チップ1〜13および従来被覆切削チップ1〜13の硬質被覆層の構成層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて測定(縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
つぎに、上記の本発明被覆切削チップ1〜13および従来被覆切削チップ1〜13各種の被覆切削チップについて、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:JIS・SCM440の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:370m/min.、
切り込み:1.5mm、
送り:0.2mm/rev.、
の条件(切削条件Aという)で、合金鋼の断続乾式高速切削試験(通常の切削速度は200m/min.)、
被削材:JIS・FC250の丸棒、
切削速度:420m/min.、
切り込み:3mm、
送り:0.3mm/rev.、
の条件(切削条件Bという)で、鋳鉄の連続乾式高速切削試験(通常の切削速度は250m/min.)、さらに、
被削材:JIS・S30Cの丸棒、
切削速度:330m/min.、
切り込み:1.5mm、
送り:0.2mm/rev.、
の条件(切削条件Cという)で、炭素鋼の連続乾式高速切削試験(通常の切削速度は170m/min.)を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅が、一般に切削チップの使用寿命の目安とされている0.3mmに至るまでの切削時間を測定した。この測定結果を表9に示した。
Figure 0004844873
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表6〜9に示される結果から、本発明被覆切削チップ1〜13は、いずれも硬質被覆層の上部層である改質Al23層が、(0001)面の傾斜角度数分布グラフで、83〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記83〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、これによって耐摩耗性が一段と向上したものになり、さらに前記改質Al23層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分が、Ra:0.2μm以下の表面粗さに研磨されると共に、前記研磨面全体に亘ってレーザービーム照射形成された硬質被覆層残留応力低減模様によって、前記硬質被覆層における残留引張応力が著しく低減され、この結果耐チッピング性が向上するようになることと相俟って、鋼や鋳鉄の切削加工を高速条件で行っても、チッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性を示すのに対して、硬質被覆層の上部層が、(0001)面の測定傾斜角の分布が45〜90度の範囲内で不偏的で、最高ピークが存在せず、かつ前記83〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、度数全体の30%以下である傾斜角度数分布グラフを示す従来Al23層で構成された従来被覆切削チップ1〜13においては、いずれも前記従来Al23層の耐摩耗性不足が原因で、高速切削条件では硬質被覆層の摩耗が著しく促進し、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の方法で製造された被覆切削チップは、さらに各種の低合金鋼や炭素鋼などの一般鋼、さらにねずみ鋳鉄などの普通鋳鉄などの被削材の通常の条件での連続切削や断続切削は勿論のこと、特に高速切削加工でもチッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであるから、切削装置の高性能化並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
硬質被覆層の上部層を構成するAl23層における結晶粒の(0001)面の傾斜角の測定範囲を示す概略説明図である。 本発明被覆切削チップ1の硬質被覆層を構成する改質Al23層の(0001)面の傾斜角度数分布グラフである。 従来被覆切削チップ1の硬質被覆層を構成する従来Al23層の(0001)面の傾斜角度数分布グラフである。 この発明の方法で製造された本発明被覆切削チップにおけるレーザービーム照射形成した硬質被覆層残留応力低減模様の実施例を示す概略斜視図である。 この発明の方法で製造された本発明被覆切削チップにおけるレーザービーム照射形成した硬質被覆層残留応力低減模様の図4以外の実施例を示す概略斜視図である。 この発明の方法で製造された本発明被覆切削チップにおけるレーザービーム照射形成した硬質被覆層残留応力低減模様の図4,5以外の実施例を示す概略斜視図である。 この発明の方法で製造された本発明被覆切削チップにおけるレーザービーム照射形成した硬質被覆層残留応力低減模様の図4〜6以外の実施例を示す概略斜視図である。 この発明の方法で製造された本発明被覆切削チップにおけるレーザービーム照射形成した硬質被覆層残留応力低減模様の図4〜7以外の実施例を示す概略斜視図である。 この発明の方法で製造された本発明被覆切削チップにおけるレーザービーム照射形成した硬質被覆層残留応力低減模様の図4〜8以外の実施例を示す概略斜視図である。 この発明の方法で製造された本発明被覆切削チップにおけるレーザービーム照射形成した硬質被覆層残留応力低減模様の図4〜9以外の実施例を示す概略斜視図である。 この発明の方法における研磨材層蒸着形成後の被覆切削チップを前記研磨材層の一部を切り欠いて示した概略斜視図である。 この発明の方法におけるウエットブラスト後の被覆切削チップを硬質被覆層の一部を切り欠いて示した概略斜視図である。 従来被覆切削チップを硬質被覆層の一部を切り欠いて示した概略斜視図である。

Claims (1)

  1. )炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成されたサーメット基体の切刃稜線部を含むすくい面および逃げ面の全面に、
    a−1)下部層として、いずれも化学蒸着形成された、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
    a−2)上部層として、1〜15μmの平均層厚を有し、かつ、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有すると共に、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、45〜90度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで現した場合、83〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記83〜90度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示す改質酸化アルミニウム層、
    以上(a−1)および(a−2)で構成された硬質被覆層を蒸着形成し、
    ついで、上記硬質被覆層の上部層である改質酸化アルミニウム層の全面に、
    b−1)下側層として、0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、
    組成式:TiOX
    で表わした場合、厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、原子比で、
    X:1.2〜1.7、
    を満足する酸化チタン層、
    (b−2)上側層として、0.05〜2μmの平均層厚を有し、かつ、
    組成式:TiN1-Y(O)Y
    で表わした場合(ただし、(O)は上側層の蒸着形成時における上記下側層である酸化チタン層からの拡散酸素を示す)、同じく厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、同じく原子比で、
    Y:0.01〜0.4、
    を満足する窒酸化チタン層、
    以上(b−1)および(b−2)で構成された研磨材層を化学蒸着形成した状態で、
    )ウエットブラストにて、噴射研磨材として、水との合量に占める割合で15〜60質量%の酸化アルミニウム微粒を配合した研磨液を噴射し、
    上記の研磨材層が噴射研磨材である酸化アルミニウム微粒の噴射により粉砕微粒化してなる粉砕化酸化チタン微粒および粉砕化窒酸化チタン微粒と、噴射研磨材としての酸化アルミニウム微粒の共存下で、上記硬質被覆層の上部層を構成する改質酸化アルミニウム層の少なくとも切刃稜線部を含むすくい面部分および逃げ面部分を研磨して、これら研磨面の表面粗さを準拠規格JIS・B0601−1994に基いた測定で、Ra:0.2μm以下とし、
    )さらに、上記改質酸化アルミニウム層研磨面のすくい面および逃げ面のいずれか、またはこれら両面の全面に亘って、単一基本形状マークおよび前記単一基本形状マークの集合マークのいずれか、または両方が分散分布してなると共に、前記単一基本形状マークを、上記硬質被覆層の構成層のうちのいずれかの層が露出した掘下げ面とした硬質被覆層残留応力低減模様をレーザービーム照射形成すること、
    を特徴とする高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆サーメット製切削スローアウエイチップの製造方法
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