以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態の液晶表示装置の断面図、図2は同じくその液晶表示装置のTFT基板30の平面図、図3は同じくその液晶表示装置のCF基板40の平面図である。なお、図3には、TFT基板30側に形成された突起パターン35を一点鎖線で示す。
本実施の形態の液晶表示装置は、TFT基板30とCF基板40との間に負の誘電率異方性を有する液晶49を封入した構造を有している。また、TFT基板30の上側及びCF基板40の下側にはそれぞれ偏光板(図示せず)が配置されている。これらの偏光板は、偏光軸が相互に直交するように配置されている。TFT基板30は、ガラス基板31と、このガラス基板31の下面側に形成された画素電極32、絶縁膜34a〜34c及び配向膜36等により構成される。すなわち、図2に示すように、ガラス基板31の下面側には複数本のゲートバスライン33bが相互に並行に形成されている。また、各ゲートバスライン33bの間には、それぞれ補助容量電極33cが形成されている。これらのゲートバスライン33b及び補助容量電極33cは、ガラス基板31の下面側に形成された絶縁膜(ゲート絶縁膜)34aに被覆されている(図1参照)。この絶縁膜34aの下には、TFT37の活性層となるシリコン膜37bが選択的に形成されている。このシリコン膜37bは、アモルファスシリコン又はポリシリコンからなる。ゲートバスライン33bとドレインバスライン33aとにより区画された矩形の領域がそれぞれ画素となる領域である。
絶縁膜34a及びシリコン膜37aの下には絶縁膜34bが形成されている。この絶縁膜34bの下には、複数本のドレインバスライン33aと、TFT37のドレイン電極37a及びソース電極37cとが形成されている。ドレインバスライン33aはゲートバスライン33aに直交するように形成されている。また、ドレイン電極37aはドレインバスライン33aに電気的に接続されている。これらのドレインバスライン33a、ドレイン電極37a及びソース電極37cは、絶縁膜34bの下に形成された絶縁膜(最終保護膜)34cに覆われている。そして、この絶縁膜34cの下側には、ITOからなる画素電極32が、1つの画素毎に1つずつ形成されている。この画素電極32は、絶縁膜34cに形成されたコンタクトホールを介してソース電極37cと電気的に接続されている。
画素電極32の下側には、図2に一点鎖線で示すように突起パターン35がジグザグ形状に形成されている。この突起パターン35は、絶縁性の樹脂により、約1.5μmの高さに形成されている。また、ガラス基板31の下側の全面には垂直配向膜36が形成されており、この垂直配向膜36により画素電極32及び突起パターン35の表面が覆われている。なお、図2中においてデータバスライン33aとゲートバスライン33bとが交差する部分に破線で示した台形の部分は、後述するCF基板40の突起パターン45が接触する位置を示している。
一方、CF基板40は、ガラス基板41と、ガラス基板41の上面側に形成されたブラックマトリクス42、カラーフィルタ43、対向電極44及び垂直配向膜46等により構成される。すなわち、図3に示すように、ガラス基板41の上面上には、クロム(Cr)の薄膜からなるブラックマトリクス42が形成されている。このブラックマトリクス42は、TFT基板30のドレインバスライン33a、ゲートバスライン33b、補助容量電極33c及びTFT37を覆う形状に形成されている。
また、ガラス基板41上には、赤(R)、緑(G)及び青(B)のカラーフィルタ43が形成されている。これらのカラーフィルタ43はTFT基板30の画素電極32に対向する位置に配置され、1つの画素電極32に赤、緑又は青のいずれか1つのカラーフィルタ43が対応している。また、カラーフィルタ43の縁部はブラックマトリクス42の縁部に重なっている。
ブラックマトリクス42及びカラーフィルタ43の上には、ITOからなる対向電極44が形成されている。また、この対向電極44の上には突起パターン45が図3に太線で示すようにジグザグ形状に形成されている。この突起パターン45の高さは約4.0μmであり、絶縁性樹脂により形成されている。また、対向電極44の上には垂直配向膜46が形成されており、突起パターン45の表面はこの垂直配向膜46に覆われている。なお、CF基板40側の突起パターン45は、図3に示すように、TFT基板30側の突起パターン35の間に配置されている。
本実施の形態においては、TFT基板30側の突起パターン35は約1.5μmの高さに形成されており、CF基板40側の突起パターン45は約4.0μmの高さに形成されている。そして、図1に示すようにCF基板40側の突起パターン45の先端部分がTFT基板30に接触し、セル厚を一定に維持している。このため、本実施の形態では、従来必要とされていたスペーサ(球形又は円柱形の部材)が不要であり、TFT基板30側の画素電極32とCF基板40側の対向電極44との短絡を確実に回避することができる。また、従来の液晶表示装置のように球形又は円柱形のスペーサを使用した場合は、スペーサの近傍では液晶分子がスペーサの表面に沿って配向してしまうため、配向が乱れて表示不良の原因となることがある。しかし、本実施の形態では、球形又は円柱形のスペーサを使用しないので、良好な表示品質が得られる。
更に、本実施の形態においては、TFT基板30側の突起パターン35とCF基板40側の突起パターン45とにより配向分割が達成される。図4(a)は突起パターンにより配向分割が達成される原理を説明する模式図である。図4(a)に示す液晶表示装置では、一方の基板1aの上側に電極2aが形成されており、この電極2aの上に絶縁性材料からなる突起パターン3aが形成されている。これらの電極2a及び突起パターン3aの表面は垂直配向膜4aで覆われている。また、他方の基板1bの下側に電極2bが形成されており、この電極2bの下に絶縁性材料からなる突起パターン3bが形成されている。これらの電極2b及び突起パターン3bの表面は垂直配向膜4bで覆われている。
一般的に、垂直配向型液晶表示装置では、画素電極と対向電極との間に電圧を印加したときに液晶分子が傾く方向を一定にするために、配向膜の表面にラビング処理が施されている。しかし、図4(a)に示すように、電極2aと配向膜4aとの間に突起パターン3aを設け、電極2bと配向膜4bとの間に突起パターン3bを設けた場合、突起パターン3a,3bの近傍の液晶分子5は突起パターン3a,3bの表面に対し垂直方向に配向する。この状態で電極2a,2b間に電圧を印加すると、突起パターン3a,3bの近傍の液晶分子5の影響により、電極2a,2b間の液晶分子5の傾く方向が決まる。すなわち、突起パターン3a,3bの両側で液晶分子5の傾く方向が逆になる。これにより、配向膜4a,4bにラビング処理を施さなくとも、配向分割が達成される。
また、一方の基板1b側に突起パターン3bを設ける替わりに、図4(b)に示すように、電極2bにスリット6を設けてもよい。この場合も、電極2a,2b間に電圧を印加したときに液晶分子の傾く方向が突起パターン3a及びスリット6の両側で逆方向になり、配向分割が達成される。本実施の形態では、図1に示すように、対向電極44の上及び画素電極32の下にそれぞれジグザグ形状の突起パターン45,35が形成されているので、1つの画素領域内で液晶分子の配向方向が2以上に分割される。これにより、良好な視角特性(コントラスト特性を含む)が得られる。また、本実施の形態においては、CF基板40側に設けられた突起パターン45によりセル厚を一定に維持する。この突起パターン45は対向電極44上に固定されており、振動や衝撃によりセル厚が変化することがない。従って、表示品質の劣化が回避される。
以下、第1の実施の形態の液晶表示装置の製造方法について説明する。TFT基板30は以下のように形成する。まず、公知の方法により、ガラス基板31の上(図1では下面側)にドレインバスライン33a、ゲートバスライン33b、補助容量電極33c、TFT37、画素電極32及び絶縁膜34a〜34cを形成する。ドレインバスライン33a、ゲートバスライン33b、補助容量電極33cの厚さは例えば0.15μm、ゲート絶縁膜34aの厚さは例えば約0.35μm、シリコン膜37bの厚さは例えば0.03μm、画素電極32の厚さは例えば、0.07μm、絶縁膜34cの厚さは例えば0.33μmとする。
次に、ガラス基板31の上側全面にフォトレジストを約1.5μmの厚さに塗布した後、所定のパターンを有するマスクを用いてフォトレジストを露光する。その後、現像処理を施し、厚さが約1.5μm、幅が約10μmでジグザグ形状の突起パターン35を形成する。この場合、図2に示すように、突起パターン35により1つの画素領域が少なくとも2つの領域に分割されるようにする。
次いで、ガラス基板31の上側に、所定のパターンでポリアミック酸からなる垂直配向膜36を約0.1μmの厚さに形成する。これにより、TFT基板30が完成する。なお、垂直配向膜としては、上記したポリアミック酸の膜以外にもポリイミドの膜や、斜方蒸着等により形成した無機膜を使用することができる。CF基板40は以下のように形成する。まず、ガラス基板41の上にクロム(Cr)膜を約0.16μmの厚さに形成し、該クロム膜の上に所定のパターンを有するフォトレジストを形成し、このフォトレジストをマスクとしてクロム膜をエッチングし、ブラックマトリクス42を形成する。
次に、ガラス基板41の上に、青色樹脂、赤色樹脂及び緑色樹脂をそれぞれ塗布して、赤(R)・緑(G)・青(B)のカラーフィルタ43を形成する。カラーフィルタ43の厚さは、例えば約1.5μmとする。また、各カラーフィルタ43の縁部がブラックマトリクス42の縁部と若干重なるようにする。次に、基板41の上側全面に例えばITOをスパッタリングして、厚さが約0.15μmの対向電極44を形成する。その後、対向電極44の上にフォトレジストを約4.0μmの厚さに塗布し、該フォトレジストを露光及び現像処理して、厚さが約4.0μm、幅が約10μmの突起パターン45を、図3に示すようにジグザグ形状に形成する。
次いで、ガラス基板41の上側に、ポリアミック酸からなる垂直配向膜46を約0.1μmの厚さに形成する。これにより、CF基板40が完成する。このようにしてTFT基板30及びCF基板40を形成した後、配向膜36,46が形成された面を向かい合わせて配置し、TFT基板30の縁部とCF基板40の縁部とを、液晶注入口となる部分を残して接合する。その後、必要に応じて接合した基板30,40を所定のサイズに切断する。
次いで、TFT基板30とCF基板40との間に負の誘電率異方性を有する液晶49を注入し、液晶注入口の部分を密封する。その後、TFT基板30及びCF基板40の外側にそれぞれ偏光板を貼り付ける。これにより、本実施の形態の液晶表示装置が完成する。本実施の形態においては、CF基板40に設けた突起パターン45によりセル厚を一定に維持するので、従来必要とされていた球形又は円柱形のスペーサを散布する工程が不要である。また、スペーサの移動に起因するセル厚の変化が防止されるので、表示むらの発生が回避される。更に、突起パターン35,45により配向分割を実現するので、配向膜36,46にラビング処理を施す必要がなく、ラビング工程及びラビング後の洗浄工程を省略することができる。また、突起パターン45は対向電極44上に固定されているので、振動や衝撃による位置ずれがなく、セル厚の変化が防止される。これにより、液晶表示装置の信頼性が向上する。更に、本実施の形態においては、突起パターン35,45の傾斜面に直交するように液晶分子が配向するので、突起パターン35,45の両側で液晶分子の配向方向が異なり、配向分割が実現される。これにより、良好な視角特性が得られる。
なお、本実施の形態ではTFT基板側に突起パターン35が設けられている場合について説明したが、突起パターン35を設ける替わりに、画素電極32にスリットを設けてもよい(図4(b)参照)。この場合も、配向分割が実現され、上記の実施の形態と同様の効果が得られる。図5は、TFT基板側の画素電極32にスリットを形成した例を示す図である。この例では、画素電極32に、CF基板40側の突起パターン45に対し平行となるスリット32aを設けている。このような構成とすると、電圧を印加したときにスリットの近傍では電界の向きが基板に対し傾き、液晶分子は突起パターンに向かう方向に傾斜する。これにより、上記の実施の形態と同様に、配向分割が達成される。
本発明において、配向分割を実現するための突起パターンの幅が広すぎる場合及び突起パターンの高さが高すぎる場合は、開口率が減少して透過率の低下を招く。逆に突起パターンの幅が狭すぎる場合及び突起パターンの高さが低すぎる場合は、配向分割の効果が得られなくなったり、突起パターン形成時にパターン切れが発生しやすくなる。従って、配向分割を実現するための突起パターンの幅及び高さはセル厚に応じて適宜設定することが好ましい。
以下、配向分割を達成するための突起パターン(第1の実施の形態では、突起パターン35)の高さと幅について説明する。図6は、横軸に突起パターンの高さとセル厚との割合(突起パターン高さ/セル厚)をとり、横軸に白表示時の光の透過率をとって、両者の関係を示す図である。この図6からわかるように、突起パターンの高さとセル厚との割合を0.2以上とすると、透過率が約3%以上となり、明るくコントラストが高い画像を表示することができる。このため、配向分割を実現するための突起パターンの高さは、セル厚の0.2倍以上とすることが好ましい。突起パターンの高さのより好ましい範囲は、セル厚の0.2〜0.8倍、更に好ましい範囲は0.3〜0.5倍である。
図7は、横軸に突起パターンのパターン幅をとり、縦軸に白表示時の光の透過率をとって両者の関係を示す図である。この図からわかるように、突起パターンのパターン幅を5μm〜15μmとすることにより、透過率が約3%以上となり、明るくコントラストが高い画像を表示することができる。このため、突起パターンのパターン幅は5〜15μmとすることが好ましい。
(第2の実施の形態)
図8は本発明の第2の実施の形態の液晶表示装置の断面図、図9は同じくその液晶表示装置のCF基板の平面図である。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点はCF基板の構造が異なることにあるので、図8において図1と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
CF基板50側のガラス基板51の上には、TFT基板30のゲートバスライン33b、ドレインバスライン33a、TFT及び補助容量電極に整合する位置にブラックマトリクス52が形成されている。このブラックマトリクス52は、黒色樹脂により約4μmの厚さに形成されている。また、ブラックマトリクス52の開口部には、赤(R)・緑(G)・青(B)のカラーフィルタ53が形成されている。これらのカラーフィルタ53の厚さはいずれも約1.5μmである。そして、ブラックマトリクス52及びカラーフィルタ53の上にはITOからなる対向電極54が形成されており、その対向電極54の上には、高さが約1.5μmの突起パターン55が、図9に示すようにジグザグ形状に形成されている。そして、対向電極54の上には垂直配向膜56が形成されており、突起パターン55の表面も配向膜56に覆われている。CF基板50側の突起パターン55は、データバスライン33aとゲートバスライン33bとが交差する部分(図2の破線で示す台形の部分)でTFT基板30に接触する。
以下、本実施の形態の液晶表示装置の製造方法について説明する。但し、TFT基板の製造方法は第1の実施の形態と同様であるので、ここでは省略する。まず、ガラス基板51の上に、厚さが約4.0μmのブラックマトリクス52を黒色樹脂により形成する。ブラックマトリクス52の材料は特に限定するものではないが、例えばカーボンブラックを混入したアクリル樹脂を使用することができる。この場合、カーボンブラックを混入したアクリル樹脂を基板51上に塗布することによりブラックマトリクス52を形成する。
次に、ガラス板51の上のブラックマトリクス52の開口部分に、赤色樹脂、緑色樹脂及び青色樹脂を約1.5μmの厚さに順次塗布して、各画素領域に、赤(R)、緑(G)又は青(B)のカラーフィルタ53を形成する。これにより、ブラックマトリクス54とカラーフィルタ53との間には約2.5μmの段差が形成される。
次いで、ガラス基板51の上側全面に、ITOをスパッタリングして、厚さが約0.15μmの対向電極54を形成する。その後、対向電極54の上に高さが約1.5μm、幅が約10μmの突起パターン55をジグザグ形状に形成する。この突起パターン55は、第1の実施の形態と同様に、フォトレジストを使用して形成する。この場合、露光マスクの突起パターンの幅が均一であるとすると、図10に示すように、露光及び現像処理後にブラックマトリクス52上の突起パターン55の幅が他の部分よりも狭くなり、スペーサとして必要な強度を確保できなくなるおそれがある。このため、ブラックマトリクス52の上の突起パターン55の幅は、図9に示すように他の部分よりも広くすることが好ましい。
次いで、対向電極54の上側に、ポリアミック酸からなる垂直配向膜56を約0.15μmの厚さに形成し、この垂直配向膜56により対向電極54及び突起パターン55の表面を被覆する。これにより、CF基板50が完成する。その後、図8に示すように、配向膜36,56が形成された面を内側にしてTFT基板30とCF基板50とを重ね合わせる。この場合、ブラックマトリクス52上の突起パターン55がTFT基板30に接触し、CF基板50とTFT基板30との間の隙間(セル厚)が一定(約4μm)に維持される。
次いで、TFT基板30及びCF基板50の縁部を接合し、両者の間に負の誘電率異方性を有する液晶を封入する。その後、TFT基板30及びCF基板50の外側にそれぞれ偏光板(図示せず)を配置する。これにより、本実施の形態の液晶表示装置が完成する。本実施の形態においても、突起パターン35,55により配向分割が実現され、第1の実施の形態と同様に良好な視角特性が得られる。また、ブラックマトリクス52の上の突起パターン55によりセル厚が一定に維持され、振動や衝撃が加えられてもセル厚が変化しないので、表示品質の劣化が回避される。更に、従来必要とされていた球形又は円柱形のスペーサを散布する工程や配向膜をラビング処理する工程が不要であり、液晶表示装置の製造工程が簡略化されるという利点もある。更にまた、突起パターン35,55により液晶分子の配向方向を決めるので、CF基板に平坦化膜(オーバーコート)を形成する必要がない。更にまた、本実施の形態では、ブラックマトリクス52上の突起パターン55の幅を他の部分よりも太くしているので、突起パターン55を形成する際にブラックマトリクス52の上の突起パターン55のパターン幅が細くなることが回避される。このため、セル厚を保持する部分の突起パターン55の高さが均一になり、セル厚の変動が抑制される。
なお、本実施の形態においても、図5に示すように、TFT基板30側に突起35を形成する替わりに、画素電極32にスリットを設けてもよい。
(第3の実施の形態)
図11は本発明の第3の実施の形態の液晶表示装置を示す断面図、図12は同じくそのCF基板の平面図である。本実施の形態が第2の実施の形態と異なる点はCF基板側の構造が異なることにあり、その他の部分は基本的に第2の実施の形態と同様であるので、図11、図12において、図8、図9と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
CF基板50側のガラス基板51の上には、赤(R)のカラーフィルタ53R、緑(G)のカラーフィルタ53G及び青(B)のカラーフィルタ53Bが形成されており、TFT基板30のゲートバスライン33b、ドレインバスライン33a、TFT及び補助容量電極に整合する位置では、これらのカラーフィルタ53R,53G,53Bが3層に重なってブラックマトリクス52となっている。各カラーフィルタ53R,53G,53Bの厚さはいずれも約1.5μmである。但し、これらのカラーフィルタ53R,53G,53Bは赤色、緑色又は青色の樹脂を塗布することにより形成するが、そのようにしてカラーフィルタ53R,53G,53Bを形成すると、重なり部分(ブラックマトリクス52)におけるカラーフィルタ53R,53G,53Bの厚さは平坦部分(画素領域)のカラーフィルタ53R,53G,53Bよりも若干薄くなる。
これらのカラーフィルタ53R,53G,53Bの上には、ITOからなる対向電極54が約0.15μmの厚さに形成されている。この対向電極54の上には、高さが約1.5μmの絶縁性樹脂からなる突起パターン55が図12に示すようにジグザグ形状に形成されている。また、各画素領域の四隅の部分では、突起パターン55の幅は太くなっている。更に、突起パターン55とブラックマトリクス52とが交差する部分には、図12に示すように突起パターン55aを設けて、突起パターン55の強度を補強することが好ましい。
対向電極54の上にはポリアミック酸からなる垂直配向膜56が形成されており、突起パターン55,55aの表面もこの配向膜56により覆われている。以下、本実施の形態の液晶表示装置の製造方法について、図13、図14を参照して説明する。但し、TFT基板の製造方法は第1の実施の形態と同様であるので、ここでは省略する。
まず、図13(a)に示すように、ガラス基板51の上の青の画素領域及びブラックマトリクス52となる部分に青色の樹脂を約1.5μmの厚さに塗布して、カラーフィルタ53Bを形成する。次に、図13(b)に示すように、ガラス基板51上の赤の画素領域及びブラックマトリクス52となる部分に赤色の樹脂を約1.5μmの厚さに塗布して、カラーフィルタ53Rを形成する。その後、図13(c)に示すように、ガラス基板51の上の緑の画素領域及びブラックマトリクス52となる部分の上に緑色の樹脂を約1.5μmの厚さに塗布して、カラーフィルタ53Gを形成する。
次に、図14(a)に示すように、ガラス基板51の上側全面にITOを約0.15μmの厚さに被覆して対向電極54を形成する。その後、対向電極54の上に感光性樹脂を塗布し、突起パターンを有する露光マスクを介して感光性樹脂を露光した後、現像処理を施すことにより、図14(c)に示すように、突起パターン55を形成する。その後、ガラス基板11の上側にポリアミック酸を約0.1μmの厚さに塗布して垂直配向膜56を形成する。
次いで、図11に示すように、CF基板50とTFT基板30とを配向膜36.56を形成した面を内側にして重ね合わせ、両者の間に負の静電率異方性を有する液晶49を封入する。このときCF基板50とTFT基板30とはブラックマトリクス52の上の突起パターン55の部分で接触し、セル厚が一定に維持される。これにより、本実施の形態の液晶表示装置が完成する。
本実施の形態においては、R・G・Bの3色のカラーフィルタ55R.55G.55Bを重ね合わせてブラックマトリクス52を形成している。従って、第2の実施の形態で必要であった黒色樹脂によりブラックマトリクスを形成する工程が不要になり、スペーサを散布する工程及びラビング処理を施す工程が不要であることと相俟って、製造工程がより一層簡略化される。なお、この例では、R・G・Bの3色を重ね合わせてブラックマトリクス52を形成しているが、最も遮光性が高い青色のカラーフィルタを含む2色以上のカラーフィルタを重ね合わせてブラックマトリクスとしてもよい。例えば、赤と青とを重ねることにより、遮光率(OD値)が2.0以上(透過率が10-2以下)となるため、赤と青とのカラーフィルタ55R,55Bを重ね合わせるだけでも十分な遮光性が得られる。
また、本実施の形態では、カラーフィルタ55R,55G,55Bを重ね合わせることによりブラックマトリクス52の部分を他の部分から突出させ、その上に突起パターン55を形成して、該突起パターン55の部分でCF基板50とTFT基板30とを接触させ、セル厚を一定に維持する。従って、振動や衝撃によりセル厚が変動するおそれがなく、良好な表示品質を維持できる。
なお、上記実施の形態では赤色、緑色及び青色の樹脂をガラス基板上に塗布することによりカラーフィルタ53R,53G,53Bを形成しているが、熱転写フィルム(ドライフィルム)によりこれらのカラーフィルタを形成してもよい。上記実施の形態のように樹脂を塗布してカラーフィルタを形成する場合、樹脂の乾燥が完了するまでの間に樹脂が高いところから低いとことに流れるいわゆるレベリングという現象が発生する。このため、セル厚によっては、カラーフィルタを重ねて所定の高さのブラックマトリクスを形成することが難しいことがある。このような場合、熱転写フィルムを使用することにより、所望の高さのブラックマトリクスを形成することができる。
例えば、着色層が2.0μmの厚さの青色の熱転写フィルムをガラス基板51上の全面に熱転写(ラミネート)した後、露光及び現像処理を施して青色のカラーフィルタ53Bを形成する。次に、赤色の熱転写フィルムをガラス基板上51上の全面に熱転写した後、露光及び現像処理を施して、赤色のカラーフィルタ53Rを形成し、更に緑色の熱転写フィルムをガラス基板上51上の全面に熱転写した後、露光及び現像処理を施して緑色のカラーフィルタ53Gを形成する。
この方法では、着色層が仮乾燥状態でガラス基板51に転写されるため、カラーフィルタの重なり部分でもレベリングが起こらず、最終的にカラーフィルタ53R,53G,53Bの厚さはいずれも約1.5μmとなり、合計膜厚が約4.5μmのブラックマトリクスを形成することができる。図15は第3の実施の形態の変形例を示す液晶表示装置の断面図である。この例では、青(B)のカラーフィルタ53Bの厚さを他のカラーフィルタ53R,53Gの厚さよりも厚くしている。具体的には、青のカラーフィルタ55Bの厚さを約2.0μmとし、赤及び緑のカラーフィルタ55R,55Gの厚さを約1.5μmとしている。従って、青の画素の部分ではセル厚が約3.5μmであり、赤及び緑の画素の部分ではセル厚が約4.0μmである。
図16は横軸にセル厚をとり、縦軸に光の透過率(相対値)をとって、各色の画素におけるセル厚(液晶層の厚さ)と透過率との関係を示す図である。この図から明らかなように、青(B)の画素の場合は液晶層の厚さが約3.5μm付近に透過率のピークがあり、赤(R)及び緑(G)の画素の場合は液晶層の厚さが約4.0〜4.5μmのところに透過率のピークがある。
このように、カラーフィルタの色毎(画素毎)に液晶層の厚さを調整することにより光学特性Δndが最適され、ノーマリブラックモードの液晶表示装置の場合、色度特性や透過率特性及びコントラスト等の特性が良好になるという効果が得られる。
(第4の実施の形態)
図17は本発明の第4の実施の形態の液晶表示装置の断面図、図18は同じくその一部を拡大して示す図、図19は同じくその液晶表示装置のCF基板110を示す平面図である。なお、図17,図18ではCF基板110を上側に、TFT基板100を下側に示している。また、図17では図18に示す配向膜106,116の図示を省略している。更に、図19には、TFT基板100側の画素電極102に設けられたスリット102aを一点鎖線で示している。図17は図19のA−A線による断面図である。
本実施の形態の液晶表示装置は、TFT基板100とCF基板110との間に負の誘電率異方性を有する液晶49を封入した構造を有している。また、TFT基板100の下側及びCF基板110の上側にはそれぞれ偏光板(図示せず)が配置されている。これらの偏光板は、偏光軸が相互に直交するように配置されている。
TFT基板100は、ガラス基板101と、このガラス基板101の上面側に形成された画素電極102、絶縁膜104a,104b、配向膜106及びTFT等により構成される。すなわち、図18に示すように、ガラス基板101の上面側には複数本のゲートバスライン103bと、複数本のドレインバスライン103aと、ITOからなる画素電極102とが形成されている。ゲートバスライン103bとドレインバスライン103aとの間は絶縁膜104aにより絶縁されており、ドレインバスライン103aと画素電極102との間は絶縁膜104bにより絶縁されている。画素電極102には液晶分子の配向方向を決めるためのスリット102aが設けられている(図5参照)。スリット102aは、図19に示すように、画素を複数の領域に分割するように、ジグザグ形状に設けられている。また、ガラス基板101の上側全面には垂直配向膜106が形成されており、この垂直配向膜106により画素電極102の表面が覆われている。
一方、CF基板110は、ガラス基板111と、ガラス基板111の下面側に形成されたカラーフィルタ113R,113G,113B、対向電極114及び配向膜116等により構成される。すなわち、図18に示すように、ガラス基板111の下面にはカラーフィルタ113R(赤),113G(緑),113B(青)が形成されている。各画素領域には、これらのカラーフィルタ113R,113G,113Bのうちのいずれか1色のフィルタが配置されている。また、画素と画素との間の領域ではカラーフィルタ113R,113G,113Bが3層に重なってブラックマトリクス112となっている。ガラス基板111の下面側には、これらのカラーフィルタ113R,113G,113B及びブラックマトリクス112を覆うようにして、ITOからなる対向電極114が形成されている。
また、ゲートバスライン103b及びドレインバスライン103aが交差する部分のブラックマトリクス112の下方には、絶縁性樹脂からなるセル厚調整層117が形成されている。更に、対向電極114の上及びセル厚調整層117の下には、図19に示すように、突起パターン115がジグザグ形状に形成されている。更にまた、対向電極114の下側全面には垂直配向膜116が形成されており、この垂直配向膜116により画素電極114の表面及び突起パターン115の表面が覆われている。
TFT基板100及びCF基板110は配向膜102,116が形成された面を対向させて配置されており、TFT基板100のゲートバスライン103b及びドレインバスライン103aが交差する部分に、CF基板110のセル厚調整層117の下方の突起パターン115が接触することにより、TFT基板100とCF基板110との間隔(セル厚)が一定に維持されている。以下、TFT基板とCF基板との間のセル厚を一定に維持する部分をスペーサ部という。
図20及び図21は本実施の形態の液晶表示装置のCF基板の製造方法を工程順に示す断面図である。なお、図20,図21では、カラーフィルタを形成する面を上側にしてCF基板を示している。まず、図20(a)に示すように、ガラス基板111上の青色画素領域、ブラックマトリクス形成領域及び位置合わせマーク(図示せず)等のマーク形成領域に、青色カラーフィルタ113Bを1.5μmの厚さに形成する。青色カラーフィルタ113Bの材料としては青色顔料を分散した感光性レジストを使用し、この感光性レジストをガラス基板111上に塗布した後、露光及び現像処理を施すことにより、青色カラーフィルタ113Bを形成することができる。
次に、図20(b)に示すように、赤色顔料を分散した感光性レジストを使用して、ガラス基板111上の赤色画素領域及びブラックマトリクス形成領域に、赤色カラーフィルタ113Rを1.5μmの厚さに形成する。次に、図20(c)に示すように、緑色顔料を分散した感光性レジストを使用して、ガラス基板111上の緑色画素形成領域及びブラックマトリクス形成領域に、緑色カラーフィルタ113Gを1.5μmの厚さに形成する。
本実施の形態では、カラーフィルタ113R,113G,113Bを重ねてブラックマトリクスを形成するが、フィルタの重なり部分では画素領域に比べてフィルタの厚さが薄くなる。上記のように各フィルタ113R,113G,113Bの厚さを1.5μmとした場合、重なり部分の高さ(画素領域のカラーフィルタ表面からの突出高さ)は約1.8μmとなる。
次に、図21(a)に示すように、ガラス基板111の上側全面にITOを1500Åの厚さに形成して対向電極114とする。次に、図21(b)に示すように、対向電極114上の所定の領域(スペーサ部)に高さが約3.0μmのセル厚調整層117を形成する。セル厚調整層117の材料としては例えばポジ型のノボラック樹脂(感光性レジスト)を使用することができる。この場合、ガラス基板111の上側の全面にノボラック樹脂を塗布し、その後露光及び現像処理を施すことにより、セル厚調整層117を形成する。
次いで、図21(c)に示すように、ガラス基板111の上側に、高さが約1.5μmの突起パターン115を形成する。但し、カラーフィルタの重なり部分では、突起パターン115の高さは若干低くなる。突起パターン115も、ポジ型ノボラック樹脂を使用して形成することができる。その後、ガラス基板111の上側全面に配向膜116を形成する。これにより、CF基板110が完成する。この例では、スペーサ部の高さ(画素領域のフィルタ表面からの突出高さ)は約4.0μmとなる。
なお、上記の例ではカラーフィルタ113R,113G,113Bを顔料分散型感光性レジストを使用して形成する場合について説明したが、それ以外の材料を使用してカラーフィルタ113R,113G,113Bを形成してもよい。例えば、染料又は顔料を含有する樹脂を使用し、エッチングにより所定の形状にパターニングしてカラーフィルタを形成してもよい。また、印刷等の方法によりカラーフィルタを形成することもできる。
更に、上記に例では、セル厚調整層117をノボラック樹脂により形成したが、それ以外の材料、例えばアクリル、ポリイミド及びエポキシ樹脂等により形成してもよい。以下、本実施の形態の効果について説明する。カラーフィルタ113R,113G,113Bの原料となる感光性レジストには、着色材料(顔料)のバインダーとしてアクリル樹脂が使用されている。また、本実施の形態では、突起パターン115の材料として感光性ノボラック樹脂を使用している。これらの材料は平坦性がよいため、カラーフィルタの重なり部分における厚さは画素領域(平坦部分)における厚さよりも薄くなる。
通常、スピンナーやスリットコータなどでこれらの樹脂を塗布した場合、樹脂が乾燥するまでの間に、上に重なった2層目、3層目の樹脂部分ではレベリングが発生し、2層目のカラーフィルタの厚さは1層目の約70%、3層目のカラーフィルタの厚さは1層目の約50%程度と薄くなってしまう。仮に、セル厚調整層117がないとすると、セル厚はカラーフィルタの重なり部分の厚さによって決まるので、カラーフィルタの重なり部分における各カラーフィルタの厚さを厚くする必要がある。2層目及び3層目のカラーフィルタの厚さを厚くするためには、例えば真空乾燥により乾燥を早めてレベリングを少なくする方法や、樹脂の塗布膜厚を厚くする方法が考えられる。しかし、これらの方法では、塗布むらや乾燥むらが発生し、製造歩留まりが低下してしまう。
図22は横軸に画素領域におけるカラーフィルタの厚さをとり、縦軸にスペーサ部の高さをとって、両者の関係を示した図である。但し、▲印は各カラーフィルタの厚さと突起パターンの高さが同じ場合、□印は突起パターンの高さが2μmで一定の場合を示している。この図からわかるように、セル厚を4μmとするためには、各カラーフィルタの画素領域における厚さ及び突起パターンの高さをいずれも3μmとする必要がある。但し、突起パターンの高さがセル厚の30%以下又は50%以上となると、透過率の低下やコントラストの低下を招く。このため、突起パターンの高さは1.2〜2.0μmとすることが好ましく、そうするとカラーフィルタの厚さを更に厚くする必要がある。
一般に、カラーフィルタの材料となる顔料分散型レジストは、厚さが3μmを超えると微細なパターニングが困難になる。また、塗布後の乾燥速度が遅くなり、生産性が低下するという問題も発生する。従って、カラーフィルタの厚さを3μm以上とすることは現実的ではない。カラーフィルタの材料として、ポリイミドのように平坦性が悪い材料を使用することも考えられる。しかし、ポリイミドは非感光性であるので、パターニングにはエッチング工程が必要になり、工程数の増加によって製造コストが上昇するという難点がある。また、仮にカラーフィルタを厚く形成したとしても、スペーサ部の対向電極とTFT基板側の画素電極との距離が極めて接近することとなり、短絡不良が発生しやすくなる。
本実施の形態では、前述の如く、カラーフィルタ113R,113G,113Bの重なり部分と突起パターン115との間にセル厚調整層117を設け、このセル厚調整層117でセル厚を調整できるので、カラーフィルタ113R,113G,113Bの厚さを3μm以下としても十分なセル厚を確保することができる。従って、生産性の低下や製造歩留まりの低下が回避される。また、感光性レジストでカラーフィルタを形成するので、カラーフィルタをポリイミド等の非感光性樹脂で製造する場合に比べて、工程数の増加を回避できる。更に、突起パターン117によりセル厚を最適値に調整することが比較的容易にできるので、透過率の低下やコントラストの低下を回避することができる。更にまた、セル厚調整層117により対向電極114とTFT基板100側の画素電極102との間に十分な間隔をとることができるので、仮に接触部分で配向膜106,116が破損したとしても、ショート不良の発生を回避できる。
なお、上記の実施の形態では、セル厚調整層117を形成し、その後突起パターン115を形成したが、この工程は逆でもよい。すなわち、図23に示すように、対向電極114上に突起パターン117を形成し、その後、スペーサ部の突起パターン117の上にセル厚調整層118を形成する。この場合も、上記の実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記の実施の形態では、カラーフィルタ113R,113G,113Bを3層重ねてブラックマトリクス112としたが、何れか2層のカラーフィルタを重ねてブラックマトリクスとしてもよい。更に、スペーサ部で対向電極114と画素電極102とのショートの発生がない場合は、セル厚調整層117を形成した後に対向電極114を形成してもよい。
(第5の実施の形態)
図24は本発明の第5の実施の形態の液晶表示装置を示す断面図である。なお、TFT基板側の構造は第4の実施の形態と同一であるので、図24において図18と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。CF基板120側のガラス基板121の一方の面(図では下面)には、黒色樹脂からなるブラックマトリクス122が所定のパターンで形成されている。この黒色樹脂からなるブラックマトリクス122の厚さは例えば3.5μmである。また、このブラックマトリクス122は、黒色顔料を分散した感光性レジストを使用し、露光及び現像工程を経てパターニングされる。
ガラス基板121の下面の各画素領域には、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ123R,123G,123Bが形成されている。ブラックマトリクス124の下側には、これらのカラーフィルタ123R,123G,123Bが3層に積層されている。また、ガラス基板121の下面側には、カラーフィルタ123R,123G,123Bを覆うようにしてITOからなる対向電極124が形成されている。そして、対向電極124の下には、突起バターン125が形成されている。この突起パターンは、第4の実施の形態と同様に、TFT基板110側に設けられた画素電極102のスリット102a間に配置されている(図19参照)。
対向電極124の下面には、垂直配向膜126が形成されており、突起パターン125の表面はこの垂直配向膜126により覆われている。本実施の形態においては、樹脂製のブラックマトリクス124によりセル厚を調整するので、第4の実施の形態と同様に、カラーフィルタの厚さを厚くしたり、突起パターンの高さを高くする必要がなく、最適なセル厚に調整することができる。これにより第4の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、上記実施の形態ではブラックマトリクス124の下にカラーフィルタ123R,123G,123Bを3層に重ねた場合について説明したが、ブラックマトリクス124の下のカラーフィルタは1層又は2層でもよい。また、対向電極124と画素電極102とがショートするおそれがない場合は、突起パターン125を形成した後に対向電極124を形成してもよい。
更に、スペーサ部以外の部分では樹脂製ブラックマトリクス122の上にカラーフィルタを重ねなくてもよいし、スペーサ部と同様にカラーフィルタを重ねて形成してもよい。但し、スペーサ部以外の部分でセル厚の1/3を超える突起が形成される場合は、その上を突起パターン125と同時に形成した絶縁層(突起パターン125と同じ材料からなる絶縁層)により被覆することが好ましい。これにより、TFT基板100側の画素電極102とCF基板120側の対向電極124とのショートの発生をより確実に防止することができる。
(第6の実施の形態)
図25は本発明の第6の実施の形態の液晶表示装置を示す断面図である。なお、本実施の形態においてもTFT基板側の構造は第4の実施の形態と同一であるので、図25において図18と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
CF基板130側のガラス基板131の下面側には、低反射Cr(クロム)からなるブラックマトリクス132が所定のパターンで形成されている。また、ブラックマトリクス132の下には、ブラックマトリクス132と同じパターンでレジスト137が形成されている。ガラス基板131の下面の各画素領域には、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ133R,133G,133Bが形成されている。ブラックマトリクス124の下側には、これらのカラーフィルタ133R,133G,133Bが3層に積層されている。
また、ガラス基板131の下面側には、カラーフィルタ133R,133G,133Bを覆うようにしてITOからなる対向電極134が形成されている。更に、対向電極134の下には、突起バターン135が形成されている。この突起パターンは、第4の実施の形態と同様に、TFT基板110側に設けられた画素電極102のスリット102a間に配置されている(図19参照)。
更にまた、対向電極134の下には垂直配向膜136が形成されており、突起パターン135の表面はこの垂直配向膜136により覆われている。図26,図27は本実施の形態の液晶表示装置のCF基板130の製造方法を工程順に示す断面図である。まず、図26(a)に示すように、ガラス基板131上に低反射Cr膜を約0.16μmの厚さに成膜し、その上にポジ型ノボラック樹脂からなる感光性レジスト137を約4.0μmの厚さに形成する。そして、このレジスト137を露光及び現像処理して、所定のブラックマトリクスパターンとする。その後、レジスト137に覆われていない部分のCr膜をエッチングにより除去して、レジスト137の下方にのみCr膜を残存させる。このレジスト137の下方に残存したCr膜がブラックマトリクス132となる。
次に、図26(b)に示すように、ガラス基板131上に、青色カラーフィルタ133Bを1.5μmの厚さに形成する。青色カラーフィルタ133Bの材料としては青色顔料を分散した感光性レジストを使用し、この感光性レジストをガラス基板131上に塗布した後、露光及び現像処理を施すことにより、青色カラーフィルタ133Bを形成することができる。
次に、図26(c)に示すように、赤色顔料を分散した感光性レジストを使用して、ガラス基板131上に赤色カラーフィルタ133Rを1.5μmの厚さに形成する。次に、図27(a)に示すように、緑色顔料を分散した感光性レジストを使用して、ガラス基板131上に緑色カラーフィルタ133Gを1.5μmの厚さに形成する。ここまでの工程で、低反射Crブラックマトリクス132、ブラックマトリクス132上のレジスト137、各カラーフィルタ133R,133G,133Bの重なり部分の高さ(画素部分のフィルタ表面からの突出高さ)は約3.8μmとなる。
次に、図27(b)に示すように、全面にITOからなる対向電極114を例えば1500Åの厚さに形成する。次いで、図27(c)に示すように、対向電極114の上に突起パターン135をジグザグ形状(図19参照)に形成する。突起パターン135の高さは約1.5μmとする。カラーフィルタの重なり部分では、突起パターン135の高さは1.5μmよりも低くなる。突起パターン135の材料としては、ポジ型ノボラック樹脂を使用することができる。
その後、ガラス基板131の上側全面に配向膜136を形成する。これによりCF基板130が完成する。この例では、スペーサ部の高さ(画素領域のフィルタ表面からの突出高さ)は約4.0μmとなる。本実施の形態においては、第4の実施の形態と同様の効果が得られるのに加えて、低反射Crからなるブラックマトリクスを形成する際に使用したレジストをそのまま残してセル厚調整用のスペーサとするので、工程数の増加を回避できるという利点がある。
なお、本実施の形態ではレジスト137の上にRGBのカラーフィルタを3層を重ねたが、1層又は2層重ねとしてもよい。また、本実施の形態では、レジスト137の上にカラーフィルタを重ねるため、レジスト137上のカラーフィルタの厚さは薄くなる。このため、所定のセル厚を確保するために、ブラックマトリクス132とレジスト137との合計の厚さを、各カラーフィルタ133R,133G,133Bの画素領域における厚さよりも厚くすることが好ましい。
(第7の実施の形態)
図28は本発明の第7の実施の形態の液晶表示装置を示す平面図、図29(a)は図28のB−B線による断面図、図29(b)は図28のC−C線による断面図である。なお、本実施の形態の液晶表示装置のTFT基板側の構造は第4の実施の形態と同一であるので、図29において図18と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。また、図29においては、TFT基板を上側、CF基板を下側に示している。
本実施の形態の液晶表示装置は、TFT基板100とCF基板140との間に負の誘電率異方性を有する液晶49を封入した構造を有している。また、TFT基板100の上側及びCF基板140の下側にはそれぞれ偏光板(図示せず)が配置されている。これらの偏光板は、偏光軸が相互に直交するように配置されている。
CF基板140は、ガラス基板141と、ガラス基板141の上側に形成されたカラーフィルタ143R(赤),143G(緑),143B(青)、対向電極144及び配向膜146等により構成される。ずなわち、図29に示すように、ガラス基板141の上にはカラーフィルタ143R,143G,143Bが形成されている。各画素領域にはこれらのカラーフィルタ143R,143G,143Bのうちのいずれか1色のフィルタが配置されている。また、画素と画素との間の領域ではカラーフィルタ143Bと、カラーフィルタ143R又はカラーフィルタ143Gのいずれか1つとが2層に重なってブラックマトリクス142となっている。更に、ゲートバスライン103bとドレインバスライン103aとが交差する地点の近傍のスペーサ部148では、カラーフィルタ143R,143G,143Bが3層に重なっている。
これらのカラーフィルタ143R,143G,143Bの上にはITOからなる対向電極144が形成されている。また、対向電極144上には、図28に示すように、絶縁性樹脂からなる突起パターン145がジグザグ形状に形成されている。更に、対向電極144及び突起パターン145の表面を覆うようにして垂直配向膜144が形成されている。
このように構成されたCF基板140は、スペーサ部148の突起145の先端部分でTFT基板100に接触し、TFT基板100とCF基板140との間のセル厚を一定に維持するようになっている。なお、スペーサ部148のサイズは30μm×30μmである。図30,図31は本実施の形態の液晶表示装置のCF基板の製造方法を工程順に示す平面図、図32は同じくその断面図である。なお、図32は図28のC−C線における断面を示している。
まず、図30(a)及び図32(a)に示すように、青色顔料を分散した感光性レジストを使用し、ガラス基板141上の青色画素形成領域及びブラックマトリクス領域に青色カラーフィルタ143Bを約1.5μmの厚さに形成する。次に、図30(b)及び図32(b)に示すように、赤色顔料を分散した感光性レジストを使用し、ガラス基板141上の赤色画素形成領域に赤色カラーフィルタ143Rを約1.5μmの厚さに形成する。このとき同時に、赤色画素の周囲のブラックマトリクス形成領域、スペーサ部形成領域及び青色画素の周囲のブラックマトリクス形成領域の青色カラーフィルタ143Bの上に、赤色カラーフィルタ143Rを重ねて形成する。但し、赤色画素と緑色画素との間のブラックマトリクス形成領域では、赤色画素側の半分の領域にのみ赤色カラーフィルタ143Rを形成する。また、緑色画素と青色画素との間のブラックマトリクス形成領域の上には、赤色カラーフィルタ143Rを形成しない。
次に、図31,図32(c)に示すように、緑色顔料を分散した感光性レジストを使用し、ガラス基板141上の緑色画素形成領域に緑色カラーフィルタ143Gを約15μmの厚さに形成する。このとき同時に、緑色画素の周囲のブラックマトリクス形成領域及びスペーサ部形成領域の青色カラーフィルタ143B又は赤色カラーフィルタ143Rの上に、緑色カラーフィルタ143Gを重ねて形成する。但し、緑色画素と赤色画素との間のブラックマトリクス形成領域では、緑色画素側の半分の領域にのみ緑色カラーフィルタ143Gを形成する。
次いで、図28及び図29に示すように、カラーフィルタ143R,143G,143Bの上にITOを約1000Åの厚さに形成して画素電極144とする。その後、画素電極144の上にポジ型レジストを成膜し、露光及び現像処理を施して、幅が約10μm、高さが約1.5μmの突起パターン145を形成する。そして、ガラス基板141の上側全面に垂直配向膜146を約800Åの厚さに形成する。これによりCF基板140が完成する。このようにしてCF基板140を形成した場合、スペーサ部148の高さは約3.8μmとなる。
以下、本実施の形態の効果について説明する。ブラックマトリクスをRGBのカラーフィルタの3層構造とした場合、ブラックマトリクスの側壁部分の傾斜角度が大きくなり、ブラックマトリクスの側壁部分の近傍では液晶分子の角度が基板に対しほぼ水平となってしまう。このような配向異常は、電圧無印加時の光の漏れの原因となるとともに、電圧印加時の透過率の低下の原因となり、コントラストの大幅な低下を招く。
図33は横軸に画素領域とブラックマトリクスとの段差をとり、縦軸にコントラストをとって、画素領域エッジ部の段差とコントラストとの関係を示す図である。この図からわかるように、段差が1.5μmを超えると、コントラストは200未満となってしまう。そこで、本実施の形態では、青色カラーフィルタ143Bと赤色カラーフィルタ143R又は緑色カラーフィルタ143Gとの2層によりブラックマトリクス142を構成している。これにより、画素領域とブラックマトリクスとの間の段差は3層構造のときの約2/3となり、液晶分子が基板に対しほぼ水平に配向する領域はセルギャップ方向で約2/3と少なくなり、光漏れが低減される。
また、ブラックマトリクスと画素領域との間の段差の傾斜角度が大きいと、液晶分子の配向は基板に対し水平に近づき、段差の傾斜角度が小さいと液晶分子の配向は基板に対し垂直に近づく。図34は横軸に段差部の傾斜角度をとり、縦軸にコントラストをとって両者の関係を示す図である。この図に示すように、傾斜角度が30度以下の場合は、コントラストが250以上となり、十分なコントラストが得られる。
ところで、各カラーフィルタの明るさへの寄与を考えた場合、RGBの明るさへの寄与度は、R:G:B=3:3:1となる。従って、青色画素の部分での光漏れは、コントラストの低下には影響が少なく、赤色又は青色画素の部分での光漏れはコントラストの低下に大きく影響する。本実施の形態では、赤色画素の周囲ではブラックマトリクスの最上層を赤色カラーフィルタで構成し、緑色画素の周囲ではブラックマトリクスの最上層を緑色カラーフィルタで構成している。このため、赤色画素とその周囲のブラックマトリクスとの間、及び緑色画素とその周囲のブラックマトリクスとの間の傾斜が緩やかになり、配向異常によるコントラストの低下を低減することができる。なお、青色画素の周囲では傾斜角度が大きくなるが、上述したように青色画素の明るさへの寄与度が小さいので、傾斜角度が大きくなることによる青色画素での光漏れが問題となることはない。
実際に上記の方法で液晶表示装置を作成してコントラストを調べたところ、コントラストは400以上であった。画素領域とブラックマトリクスとの間の段差の傾斜角度を変化させる方法としては、カラーフィルタを形成するときの露光条件や現像条件を変化させる方法や、カラーフィルタの材料となる樹脂を変える方法がある。これらの方法を使用することにより、画素領域とブラックマトリクスとの間の段差の傾斜角度を30度以下とすることができる。
(第8の実施の形態)
図35は本発明の第8の実施の形態の液晶表示装置を示す断面図である。なお、本実施の形態は、液晶表示装置の表示領域の外側に冗長遮光膜を配置したものであり、その他の部分の構成は例えば前述の第1〜第7の実施の形態に示す構成を適用することができる。
本実施の形態においては、TFT基板150の表示領域の外側のガラス基板151上に冗長遮光膜152が形成されている。冗長遮光膜152は、光を遮断する例えばAl(アルミニウム)膜とTi(チタン)膜との多層金属膜、又はCr膜等の金属膜又は金属酸化膜により構成される。TFT基板150側の垂直配向膜156の端部は、この冗長遮光膜152の表示領域側端部の上に重なっている。本実施の形態では冗長遮光膜152の幅を2.0mmとしているが、冗長遮光膜152の幅はパターン形成時の位置決め精度に応じて決定し、配向膜156との間に隙間が生じないようにする必要がある。
なお、TFT基板150の表示領域には、複数の画素電極(図示せず)と、各画素電極毎に配置されたTFT(図示せず)と、該TFTに接続されたバスライン(図示せず)と、画素電極の上を覆う垂直配向膜156とが形成されている。CF基板160には、第1〜第7の実施の形態と同様に、各画素領域に配置されたカラーフィルタ(図示せず)と、ブラックマトリクス162と、表示領域内に存在するカラーフィルタ及びブラックマトリクス162の上を覆う対向電極(図示せず)と、対向電極を覆う垂直配向膜166が形成されている。本実施の形態では、ブラックマトリクス162が、青色カラーフィルタと赤色カラーフィルタとの2層により構成されているものとする。また、ブラックマトリクス162の縁部(表示領域の外側)は配向膜166に覆われていないものとする。TFT基板150側の冗長遮光膜152は、表示領域の外側のブラックマトリクス162に対向するように対向するように配置されている。
TFT基板150側のバスライン(ゲートバスライン又はドレインバスライン)は外部回路と接続するために、表示領域から基板151の端部まで引き出されている。このため、バスライン同士が冗長遮光膜152を介して電気的に接続しないように、冗長遮光膜152はバスライン間に形成するか、又はバスラインとは別の層に形成する必要がある。冗長遮光膜152をバスラインと別の層に形成する場合は、バスライン同士の容量カップリングを防止するために、図36に示すように、バスライン153の直上又は直下に冗長遮光膜152を配置しないことが好ましい。
以下、本実施の形態の効果について説明する。カラーフィルタを重ねてブラックマトリクスとする場合、カラーフィルタを3層重ねるとブラックマトリクスの厚さが厚くなって、段差部分で対向電極の断線(いわゆる段切れ)が発生しやすくなる。このため、カラーフィルタを重ねてブラックマトリクスとする場合は、カラーフィルタの層数は2層とすることが好ましい。カラーフィルタを2層又は3層に重ねた場合の透過率を下記表1に示す。但し、OD値は、透過率のログ値である。
この表からわかるように、2色のカラーフィルタを重ねてブラックマトリクスとする場合、青色カラーフィルタと赤色カラーフィルタとの組み合わせが最も効率よく光を遮断することができる。しかし、実際にブラックマトリクスを青色カラーフィルタと赤色カラーフィルタとにより構成した液晶表示装置を作成すると、表示領域の外側部分で青色光の光漏れが発生する。これは、以下の理由によると考えられる。
図37は、冗長遮光膜がない液晶表示装置の断面図である。なお、図37において、図35と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。この液晶表示装置では、青色カラーフィルタの上に赤色カラーフィルタを重ねてブラックマトリクスを構成しているものとする。一般的に、図37に示すように、CF基板160側の表示領域の外側のブラックマトリクス162の縁部は配向膜166に覆われていない。この部分では、液晶分子がランダムに配向するため、電圧無印加時の光の透過率が高くなる。
図38は、青色、緑色及び赤色の各カラーフィルタの波長分光特性を示す図である。この図に示すように、青色領域の波長の光に対する赤色カラーフィルタの透過率が比較的高いため、青色カラーフィルタと赤色カラーフィルタとを重ねても、短波長領域の光を十分にカットすることができない。このため、青色カラーフィルタと赤色カラーフィルタとにより構成されるブラックマトリクスでは、短波長側の光(青色光)が透過し、青色光漏れとして観察される。
しかし、本実施の形態では、表示領域の外側に冗長遮光膜152を配置しているので、表示領域の外側に発生する青色光漏れを確実に遮断することができる。また、本実施の形態では、CF基板160側のブラックマトリクス162が青色及び赤色のカラーフィルタにより構成されているので、TFT基板150側の金属からなる冗長遮光膜152に比べて反射率が低く、外光反射防止膜としての効果もある。これにより、表示品質が向上するという利点がある。
(第9の実施の形態)
図39は本発明の第9の実施の形態の液晶表示装置を示す断面図である。なお、図39において、図35と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。本実施の形態においては、CF基板160に形成されたカラーフィルタ162が青色カラーフィルタ及び赤色カラーフィルタを積層して構成されている。また、CF基板160の上面(TFT基板150に対向する面と反対側の面)であって、表示領域の外側の部分に、UV(ultraviolet )コート膜からなる冗長遮光膜163が形成されている。UVコート膜は、例えば蒸着法によりTiO2膜とSiO2膜とを多層に積層して形成されたものであり、カットオフ波長は500nm以下である。
本実施の形態においては、表示領域の外側部分で青色カラーフィルタ及び赤色カラーフィルタにより構成されたブラックマトリクスを青色光が透過しても、冗長遮光膜163により青色光が遮断されるので、青光漏れを確実に防止することができる。なお、本実施の形態においては、CF基板160側にUVコート膜からなる冗長遮光膜163を形成したが、冗長遮光膜はTFT基板150側に形成してもよく、CF基板160及びTFT基板150の両方に形成してもよい。
(第10の実施の形態)
図40は本発明の第10の実施の形態の液晶表示装置を示す断面図である。なお、図40においても、図35と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。TFT基板150及びCF基板160を接合してなる液晶パネルを挟んで、一対の偏光板158,168が配置される。これらの偏光板158,168は、偏光軸が相互に直交するように配置される。本実施の形態では、これらの偏光板158,168のうちの少なくとも一方の偏光板に、冗長遮光膜169としてUVコート膜を形成している。但し、冗長遮光膜169は、表示領域の外側部分であって、ブラックマトリクス162が垂直配向膜166に覆われていない部分に対応する領域に形成する。
本実施の形態では、第8の実施の形態と同様の効果が得られるのに加えて、液晶パネルに直接冗長遮光膜169(UVコート膜)を形成するのではないため、UVコート膜の形成が容易であるという利点がある。
(第11の実施の形態)
図41は本発明の第11の実施の形態の液晶表示装置のCF基板を示す平面図である。本実施の形態において、TFT基板の構造は例えば第1〜第7の実施の形態に示す構成を適用することができる。図41において、177は表示領域、178は表示領域の外側部分、179はトランスファ接続部を示す。また、図42(a)は表示領域177におけるCF基板の断面図、図42(b)は表示領域の外側におけるCF基板の断面図である。
本実施の形態において、CF基板170側の表示領域177内のブラックマトリクスは、青色カラーフィルタと赤色カラーフィルタとの2層構造により構成されている。また、表示領域よりも外側の部分178では、赤色、緑色及び青色カラーフィルタの3層構造により冗長遮光膜175が構成されている。通常、液晶表示装置では、CF基板側の対向電極とTFT基板側の電圧印加部とが、表示領域の外側の部分でトランスファといわれる導電体を介して電気的に接続される。トランスファは、トランスファ接続部179に配置される。
表示領域の外側部分の冗長遮光膜の全部を3色のカラーフィルタの3層構造としてしまうと、表示領域177とその外側の部分178との段差が大きくなり、対向電極(ITO膜)が連続的に形成されず、段切れ(断線)が発生するおそれがある。そこで、本実施の形態においては、図42(b)に示すように、トランスファ接続部179のカラーフィルタを2層重ねとし、接続不良の発生を防止している。
このように、本実施の形態においては、表示領域の外側部分の冗長遮光膜175を、赤色、緑色及び青色のカラーフィルタの3層により構成しているので、表示領域の外側部分の青色光漏れを確実に回避することができる。また、表示領域の外側であってトランスファによりTFT基板側の電極と電気的に接続する部分(トランスファ接続部179)のカラーフィルタを2層重ねとしているので、ITO膜形成時の段切れが発生しにくく、製造歩留まりの低下が回避される。
(付記)
(1)前記第1の液晶表示装置において、前記第1の基板の前記第1の電極と前記第1の垂直配向膜との間に、前記第1の突起パターンよりも低い第2の突起パターンを有することが好ましい。
(2)前記第1の液晶表示装置において、前記第1の基板の前記第1の電極にスリットが設けられていることが好ましい。
(3)前記第2の液晶表示装置において、前記カラーフィルタのうち、青色のカラーフィルタが他の色のカラーフィルタと異なる厚さで形成されていることが好ましい。
(4)前記第2の液晶表示装置において、前記遮光膜は、黒色樹脂により前記カラーフィルタよりも厚く形成されていることが好ましい。
(5)前記第2の液晶表示装置において、前記遮光膜は、前記カラーフィルタのうち、青色のカラーフィルタを含む少なくとも2以上のカラーフィルタが重なって構成されたものであることが好ましい。
(6)前記第2の液晶表示装置において、前記第1の基板の前記第1の電極と前記第1の垂直配向膜との間に第2の突起パターンが形成されていることが好ましい。
(7)前記第2の液晶表示装置において、前記第1の基板の前記第1の電極にスリットが設けられていることが好ましい。
(8)前記第1の液晶表示装置の製造方法において、前記第2の基板の上側に複数の画素電極を形成する工程の後に、前記画素電極の上方に絶縁材料からなる第2の突起パターンを形成する工程を有することが好ましい。
(9)前記第1の液晶表示装置の製造方法において、前記遮光膜は黒色樹脂により形成し、前記カラーフィルタは該遮光膜よりも薄く形成することが好ましい。
(10)前記第1の液晶表示装置の製造方法において、前記カラーフィルタのうち青色のカラーフィルタを他の色のカラーフィルタと異なる厚さで形成することが好ましい。
(11)前記第2の液晶表示装置の製造方法において、前記第2の基板の上側に複数の画素電極を形成する工程の後に、前記画素電極の上方に絶縁材料からなる第2の突起パターンを形成する工程を有することが好ましい。
(12)前記第2の液晶表示装置の製造方法において、前記赤のカラーフィルタ、前記緑のカラーフィルタ及び前記青のカラーフィルタのうちの少なくとも1つは他のカラーフィルタと異なる厚さで形成することが好ましい。
(13)前記第4の液晶表示装置において、前記遮光膜の厚さが前記カラーフィルタの厚さよりも厚いことが好ましい。
(14)前記第4の液晶表示装置において、前記遮光膜が、金属又は金属化合物からなる膜と、その上に形成されたレジストとからなることが好ましい。
(15)前記第5の液晶表示装置において、前記赤色画素領域とその周囲の前記遮光膜との間の傾斜角度、及び前記緑色画素領域とその周囲の前記遮光膜との間の傾斜角度がいずれも30度以下であることが好ましい。
(16)前記第5の液晶表示装置において、前記赤色画素領域とその周囲の前記遮光膜との間の段差、及び前記緑色画素領域とその周囲の前記遮光膜との間の段差がいずれも1.5μm以下であることが好ましい。
(17)請求項1に記載の液晶表示装置において、前記冗長遮光膜は、金属又は金属化合物からなることが好ましい。
(18)請求項1に記載の液晶表示装置において、前記冗長遮光膜は、カット波長が500nm以下のUVコート膜からなることが好ましい。
(19)請求項1に記載の液晶表示装置において、前記冗長遮光膜は、赤色、緑色及び青色のカラーフィルタの3層構造からなることが好ましい。